2018/11/18 のログ
ご案内:「休憩室」に雪城 氷架さんが現れました。
雪城 氷架 >  
「はー‥…っ」

休憩室の椅子にどかっと体重を預けるようにして腰掛ける
珍しく他に使っている人もいなかった
故に見た目を気にする必要もなく、まるで自分の部屋でそうするようなガサツさである

「……ねむ」

メイクが擦れない程度に片目を擦る

結局昨日は眠れもしなかった
歓楽街の路地裏で、あんなものを見てしまったせいだ

雪城 氷架 >  
手鏡を取り出して顔を映す

寝不足が顔に出てないだろうなーとチェックする
化粧のノリも悪くないし、ぱっと見れば顔色も問題ない、気がする──

またしばらく、歓楽街には足が向かなくなるな、と肩を落とす
落第街なんて危ない場所に近づく気はないけど、遊ぶ場所が減るのはなんだか寂しい

といっても此処の所周りも忙しかったりなんだりで、あまり学生同士で遊べていないけど

「(みんな、それどころじゃないのかもな)」

異能の力と付き合っていくのは大変だ
それは身を持って、知っている

ご案内:「休憩室」に尋輪海月さんが現れました。
尋輪海月 > ━━━━━━━━がこん、がこん。



…………自販機のある方で二回、飲み物が落ちてくる音がした。
そちらが腰掛ける椅子から背中の側。そこから、足音が近付いてくる。

目の前に、ことんと、ホットココアの缶が置かれる。
「…………お疲れ気味な顔、してますね」

雪城 氷架 >  
「?」

あれ、他にも誰かいたか、と自販機の音と足音で気づく
椅子に派手に体重を預けて足を組んだかなりの自宅スタイルで寛いでいたが、
それを直す前に目の前のテーブルに缶が置かれていた

「何、くれんの?」

そう声をかけながら薄青の視線を向ける
……顔を見たことはない、と思う
ちょっと年上だろうか

「疲れもするよ。あちこちで薬だのなんだの。
 落第街いかなきゃいい、関わらなきゃいいやと思いきや、関わっちゃうしさあ。
 おかげで今日は眠れもしなかった。 …で、誰さん?」

尋輪海月 > 目を向けられた先に居たのは、見慣れない学校の制服の学生だ。そちらより三、四は年上に見える。高い身長に、肩辺りまで伸びた髪は黒染めの艶を持ちながら、薄らと真紅の地毛らしき色が見える。
……違和感のある黒い瞳だった。カラコンらしい。

「うん、ほら、疲れた時には甘いもん、でしょ?」
奢り。と、こつっと缶を指で小突いてから、そちらの向かい側に腰掛ける。
……羽織っている黒い上着を椅子の背に掛けながら。

「……薬、かあ」
……ぼんやりと呟き、そしてようやく。

「……ああ、うん、初めまして。4年の尋輪海月です。図書室にバイクの雑誌読みに来たら、ちょうど大きなため息が聞こえたからさ」

雪城 氷架 >  
「ん、じゃあもらう。さんきゅ」

遠慮なくプルタブを開け、口へと運ぶ
初対面の相手からの飲み物、学校内であるということもあって疑いもしない…というよりは、
そういうものから無縁である故の注意力のなさというようにも見えた

「はーっ、やっぱり疲れた時は甘いものだな。先輩の言うとおりだ。
 ごめんな。愚痴っちゃって。そー、薬、またかよって感じで辟易だよ」

暴走剤の記憶は、きっと今の常世の学生達の中ではまだ風化していない
そんなうちに、また新しい違法な薬物が、なんて話は…できれば聞きたくないものだ

「3年の雪城氷架。よくサボりに来てる」

悪びれもなくそう返して

尋輪海月 > 遠慮無しに口を付けているのを若干苦笑いしながら見ていたが、自分も自分の飲み物を飲んでいた。
……お汁粉だ。室内にわびさびとした小豆の匂いが香った。

「いいよいいよ。一人で愚痴るつもりだったとこに私が居合わせちゃっただけだから」

薬。……顔を柔く陰らせて。

「……うん、ほんと。やだね」

…………もう1口。そしてゆっくりと缶を指で包みながら。
「━━飲むだけで制御出来るなんて夢みたいな薬。あるなら持ってるバイク売っぱらってでも欲しいや」

「……サボタージュ?大丈夫?単位足りてる?」
と言ってから、ヴっ、と小さく声を上げて。

「……いやそうだ。私絶賛卒論間に合わなくて留年してるんだった……」

雪城 氷架 >  
丁度、顔を上げてそちらの顔を見たタイミングだった
その表情が曇ったように見えて……
…まぁ、この学園に学生としているのなら、かつての暴走剤の時に何かあったのかもしれない

「さっさとなくなってほしいよ。
 異能の力に悩んでる学生なんて大勢いるんだ。
 …そういうのを食い物にするクスリとか、反吐が出る」

口元から缶を離し、一息ついて

「冗談。やめとけよ先輩。
 制御できないなら、使わなきゃいいだけなんだ」

言いつつ、両手を上に持ち上げてぐーっと伸びをする
寝不足が祟っている、少しだけ肩が固い

「単位?多分。…え、ダブり?かわいそ」

尋輪海月 > 「━━━━━━━━。」

かたん。飲み干したおしるこの缶が音を立てる。テーブルにおいたそれを、指先が弄ぶ。余熱が引いて冷えていく缶に落とした目が、揺らいでいる。

「……うん、そだね。使わなきゃいいし、悩むくらいなら封印すればいい。……出来ればいいのにね」

「……うあぁ”っ、ダブりって言わないで!泣きそうになる!!」
かと思えばダブりの一言に派手にリアクションしていた。泣きそうになると言いながら既に目尻に光るものがある。
「しっかり単位取りなよ!奨学金継続の書類とかの準備が巻き返すためのカツカツなスケジュールと生活費のためのアルバイトとの間に挟まれてもれなく死ぬからね!!」
先輩からのアドバイス!と。

雪城 氷架 >  
「使わないって確固たる意思があれば異能者だって普通の人間と変わんないんだ。クスリなんかいらないよ」

淡々と呟く様子は、そういった薬物に対する軽蔑・嫌悪すら感じさせる

「…う、うん。まあダブったりはしないよ…。
 あと、うちお金だけはあるから学費は全然問題ない」

さらりと返されていた
──その時

"ガシャン"

外から、大きな音が聞こえる

「?」

立ち上がり、休憩室からの窓から外を眺めて──

「あ、またか……最近多いよな」

外では異能者であろう学生二人が対峙し、周囲がそれを止めようと取り囲んでいた

「例の薬だろ。使えなかった異能が使えるようになったり、
 自分も知らなかった力が制御できることで表に出てきたり…、
 そんなこんなで学校の中も最近ああいうの増えてんだ。先輩も気をつけろよ」

尋輪海月 > 「━━異能ってさ、そこまで、解明されてるのかな」

……前後の繋がらない返答に、唇から滲むような言葉。
「……意思だけで抑えれない人がいて、それが危ないって思われて、孤立して、苦しくて、勝手に異能が動いて、
それで……」

━━━━薄暗い顔。周りだけが、日差しが届きづらそうな。
かと思えば、パッとあげた顔はまた先のようにくしゃりとした笑顔を作って。

「……あー、うん、そっか。それなら心配要らないね。お金沢山あるなら結構趣味とかにもふんだんに使えたり━━━。」

……不安定な顔色の変化は、外からの音で止まった。弾かれたように外を見て、その様子を見つめていた。

「…………薬」

ぽつり。ふらりと椅子から立ち上がって。

「……でも、そしたら、あれ、止めないと」

雪城 氷架 >  
「いるだろ。そんな人も」

窓際から、そんな言葉が返ってくる

「別に異能に限った話でもないしな。この島だと、そういうので悩むヤツは多いけど」

私だって───
その言葉は、飲み込んだ
そして、滲むように呟かれたその言葉は、一見普通に見えたこの先輩学生の、闇が漏れているようにも感じた

「……先生達がなんとかすると思うけど?」

止めないと、と漏らす海月に向けて、若干不安を帯びた声でそう告げる

尋輪海月 > 「……居る、から、要るんだよ」

━━耳では分かり得ぬ言葉。存在があるから、必要であるという意味をこめて、
外を見下ろして、片手が強く握り締められて。

「……薬、薬だったら?あの、危ないものだったら、そうだよ。だから、止めないと」

振り返る。差し込む光に顔が逆光に隠れて窺えない。ただ、その黒く隠した目の下。

「……薬が必要なだけで、危ないのは、異能で、人は、危なくなくて、だから、ね?雪城さん」

━━━━点滅、明滅する赤色。

「危なくないのは人と薬、危ないのは、異能なんだ」

雪城 氷架 >  
「違う。必要なのは理解だ」

前へ歩く
振り返ったその目前まで、歩いて、少し見上げて

「…人も異能も薬も使い方次第だ。
 でも、今学園を賑わせてる薬は、違う。
 明らかに悩む異能者の弱みに漬け込んで流通させてる、悪意がある。
 ………個人の自由、ってのも当然だけどさ」

くるりと踵を返して、窓と、海月へと背を向ける

窓の外では教員と、制御薬によって異能の力を自由に扱えるようになった生徒が今だに揉めていた

「先輩がもし孤立してるんなら、それって多分異能のせいだけじゃないよ」

尋輪海月 > 「━━━━っ弱みがあるから、それをどうにかしたくて、薬が、ある」

━━━━テーブルの上の空き缶。彼女が飲んでいたお汁粉の缶。
……それが、からんっと倒れる。
凝視でもしていれば、或いは。
缶のプルタブが、ひとりでに、くるり、くるりと、回っているのが見える。

「……異能は誰も救わない。異能なんて、危ないだけで。だから、使わないようにしようともしたよ。だけど、ダメだ。そもそも、あんなものが存在しちゃいけないんだよ」

……テーブルから空き缶が転がり落ちる。捻れる、軽やかな金属音。
窓に背中を向けた女は、俯いて。

「…………必要、なんだ。人が、薬が、だから、…………もっと、必要、なんだ。沢山の手が、救われたと、言う人が。だから、不要なんだ。危ない異能が、使う人が、止めないと」

雪城 氷架 >  
吐き出すように、心から絞り出すように、その言葉は続く

痛い

痛いくらいに、理解できた

「なあ、先輩…異能って、道具なんだよ。"人が使うモノ"なんだ。
 だって異能の力、単独じゃ何も起こらない、人が持って初めて、力になるんだ」

がらんと倒れたお汁粉の缶
不自然な動きを見せるそのプルタブに視線を向ける
先輩…彼女の何らかの力が働いているのだろう

「本当に必要な薬だったら、裏のルートで取引なんかされるもんか。
 怪しい、危険だってわかっててもそれに縋るしかない、って決めてるのは、先輩自身だよ。
 ……本当に危ないことしかできない異能で、それがこの世に不要だってレッテルしか張られないなら…」

缶のプルタブの動きが止まる
──缶自体が、凍りついてテーブルに張り付いていた

「2年前に私は自殺してるよ」

俯いた海月へと、射抜くような真っ直ぐな視線を向ける

「しなかったのは、周りが私の事、私の異能の力のことを理解して協力してくれたからだ」

言いながら、ポケットからスマホを出すと小さく操作し、差し出した

「ほい、連絡先。遊ばないからそんな鬱屈したこと考えるんだよ。
 …単位とかしんどいのもわかるけど、ガス抜きくらいなら付き合える」

──窓の外では、一応自体は収まったのか
校内で異能の力を使った学生が教師に連れられてゆくところだった

尋輪海月 > 「……だったら、私は道具に振り回されてる。道具が、危ないからで…………っぁ」

……そこで初めて、何かに気づいてしまったように。はっとして落ちた空き缶を見た。
━━想像していたことは、凍りついた缶を見て、起こらないと悟ったらしい。
俯いていた顔を上げて、片手が強く押さえる。

「……技術は、人が、使うもの……道具、も、異能も…………それなら、それなら、今まで、私……っ違う。異能は、何度もどうにか、しようと……違う、怖くて、苦しくて、好きなものが台無しに。違う」

違う。違う。違う。違う。違う。違う。
重なり続ける否定が口から溢れる。
窓際の先輩は、酷く、小さく見える。

「━━━じ、さつ」

死ぬ。自分で?何度も考えた。いいや、目の前の彼女は、そうしようとしてしなかった。どうして。

━━━━理解?

「ぁっ」

……目の前に差し出された液晶に、酷い顔をした自分が反射していた。
ゆっくりとあげた顔を、視線を重ねて。
それから、外で落ち着いたらしい事態を見て。
…………ポケットから、自分のガラパゴスケータイを取り出した。

「…………バイクが好きだから、あんまり私の話だとつまんないと、思うよ?」
それでも、連絡先の交換を請けるつもりでアプリケーションを開いていた。
くしゃ、とした笑顔を浮かべて。
「……ごめんね。愚痴っちゃって」
最初に謝られたことを謝り返した。

雪城 氷架 >  
「振り回されることもあるかもしれないし、危ないこともあるかもしれないけど…。
 多分それ、先輩が自分で一人でなんとかしようとしてたからだろ」

あ、ガラケーなんだ、と思いつつ、まぁ赤外線通信ができれば問題ないなーと連絡先のやりとり

「さっきも行ったけど人間って色々間違えちゃう生き物だから、一人ではうまくいかないんだよ。
 間違ったら正してくれるヤツとか、怒ってくれるヤツとか、いないとダメなんだと思う」

連絡先の交換を終えて、スマホをポケットへと仕舞い込む
改めて、眼の前の先輩へと視線を向けた

「先輩の異能が本来どういうものかしらないけどさ、
 あの缶の動きなんかだったらやべークスリじゃなくったって、私の力でも止めれられる。
 いいじゃん、バイクの話。私身長低くてバイクとか乗れないからなんなら後ろに乗っけてどっか遊びに連れてってくれてもいいぞ」

尋輪海月 > 答えはない。
…………と言うより、それが答えだ。図星。
ゆっくりと間を開けてから首を縦に振る。

「……地元さ、異能、なんてものが無かったからね」

━━小さく呟いた一言が、ほぼ全てを物語る。
画面に映った新しい連絡先を確認すると、ぱたんと折り畳む。

「…………怒ってもらえても、正してはもらえなかったし。うん。探せば良かったな……逃げなきゃ良かったって、今思った」

「…………それについては、近いうちに。多分、凄く危ない異能だ。本当に……危険な、異能、だから」
濁る言葉を、それでも告げた。それから、

「…………だから、今度ゆっくり話したいな。大型免許持ってるから、後ろに乗せて走るくらい、なんて事ないし。あぁでもそうなると私のヘルメットだと大きいかぁ。アーマーとかも予備あったっけ……買い足そうかな……」
などと、またあっけからんとした先輩の顔はみるみる悩み込み始める。
それがきっと本質だ。悩み出すと内側でぐるぐると回る性格。
……そして。

「……よし!雪城さん!今度バイクショップ行こう!メットとアーマーと、出来ればスーツと!!」

雪城 氷架 >  
「私も、異能が発現したからこの島に引っ越してきた。
 その異能の力も、多分今でも制御しきれてるとは言えない。
 だからまぁ……先輩の気持ちもわかるよ。
 私も他に縋るものがなかったら、制御薬なんて夢のようなモノに縋ってたかもしれないし」

すっかり静寂が訪れた窓の外を眺めながらそう言葉を続ける
外はちょっと曇り空、そろそろ一雨来そうだ

「多分、逃げてもいいんだとは思うよ。でも一度逃げるとずっと逃げ続けなきゃなんないから、それもしんどいかなって」

窓から向き直って元々座っていた椅子へとどかっと書け直す
少し冷めたココアを口に運んで…

「バイクショップ?いいけど、私なんにもわかんないぞ」

えすこーとしてもらわないと、と軽口を叩く

尋輪海月 > 「……そ、うなんだ」

ちらり、と。
先程氷漬けにされていた空き缶を見た。……もう既に氷は溶けているだろう。
拾い上げ、手の中の冷たさと━━缶のフタ付近の、温い感覚に、唇を強ばらせながらテーブルに置き直す。
……窓からの風景を一瞥してから席に戻る。

「……逃げっぱなしだった。うん、これじゃ先輩、なんて威厳無いに等しいよ。異能も人も怖くって、今まで何やってたかって、アルバイトとバイクで一人ツーリング……何も考えてないから卒論なんて書けなかったし」

だから、今なんだろうと。頬をかいた。

「……そこは大丈夫。私工業高校出身だし、あと、ツーリング歴も高校からだし、良いもの置いてるショップなんかも私のアルバイト先にあるよ。そこで装備一式買ってから後ろに乗ってもらう。
……綺麗な女の子がバイク事故で大怪我なんて絶ッ対許さないしね!後ろに乗せる相手にもフル装備は基本!あとメットはフルフェイス!ジェットの半メットとかダメ絶対!!」
突然熱が篭った。なんかそこに妙な意思の強さがある。

雪城 氷架 >  
「うん。なんだから、経験をいかして…なんて偉そうなことは言えないけど、
 将来はそういった自分の力に悩んでる異能者の子の力になれる仕事がしたいなと思ってる。
 …そのためには勉強しなきゃいけないんだけどな」

苦笑して頬をかく
サボっているという言葉通りに、どうにも勉強が苦手のようだった

「お、おう…。……うん。
 今の先輩のがよっぽど活き活きしてんじゃん」

熱の籠もりようといい、よっぽど先程までよりも、楽しそうに見えた

尋輪海月 > ━━━━━━━━もだっ。

不思議な動きをした。
片手が顔をおさえ、片手が胸を押さえる。赤くなった顔を隠してしばらく震えたかと思えば、ゆっくりと天を仰ぎ、何か浴びるような所作をし。
そしてどこかに小さく手を合わせた。

━━━━からの、何事もなく振り返って。
「……因みに、苦手な科目とかは?えっと、2年までは大体の講義参加してるから、教えるのはなんとかなる、し」
そこは先輩らしく、わからない所を教えたい所存らしい。

「……え、あ、そ、そうかな?……うん、好きなことにはそりゃもう熱が入るよ……バイクは特にね。昔から好きな乗り物だし、実家の本棚なんて雑誌でみっちみちだったし、自分のバイクの整備なんかも本見ながらやってて……うん、凄いバイク熱だなぁ私。女としてどうなんだろほんと」

雪城 氷架 >  
「…物理。私の異能は特に物理学とか熱力学に関係してるからそっちの単位落とせないんだ」

うだーっとテーブルに突っ伏した
本当に勉強が苦手らしい

「…いいんじゃない?私だって、性格も口調もこんなだし。
 周りがせめて見た目だけでも女らしくーとかやってなかったらもっと悲惨な育ち方してた気がする」

女としてどうの、みたいな言葉にはテーブルに突っ伏したまま視線だけを向けてそう返していた

尋輪海月 > 「……うわぁ、私と全く同じ方向だ……いや、加えて材料工学とかもやってたっけ。どの辺?何分からんの?教えちゃけるよ〜?」
範囲もろ被りだなぁ。とにこにこしていた。教えられそうだと喜んでるらしい。そして言葉尻に訛りまで出てきた。

「……それはそれで需要が……ヴっ、ううん!何でもない!!よーし!!今度一日一緒に勉強とお買い物とツーリングしよっか!!先輩と!!…………って、あぁそうだ」

ぽん。手を叩いた。

「……先輩って呼び方、ナシ。あと、ミヅキって呼んで欲しい。字は海に月って書くんだけど……」

海月(くらげ)。

雪城 氷架 >  
「マジ?助かるなぁ。
 それじゃそのへんのわからないトコの整理も兼ねて今度勉強会しようか。
 あ、でも先輩単位落としてんだよなー教えられんの?大丈夫?」

怪訝。

「ん…じゃあ私のことも氷架でいいよ。
 島には家族で越してきてるから、"雪城さん"は他に3人いるんだ」

よっこいしょーっと突っ伏していた机から復活
少し乱れたツインテールをくいくいと指で直す

尋輪海月 > 「う”っ。…………い、いや大丈夫。講義の内容とかはノートに全部書き写してるし……うん、資料は充分ある。あとは私の集中力が続けば大丈夫!」
ダメそうだ。

「……家族とかぁ。実家暮らしなのかな。じゃあ氷架、でっ」
呼び捨て。綺麗なツインテールに戻っていくのを見つめていたが、は、とガラパゴスケータイを再び開いた。

「……かっ飛ばせば間に合うかなぁ……バイト……」
忘れてたらしい。

雪城 氷架 >  
「うわあ頼りにならなさげ……でもまぁ…」

うん、と頷いて

「一人でやるよりは勉強だって楽しいかもな」

にへっと笑って見せる
何よりもモチベというものが重要なので、勉強には

「じゃ私も海月って呼ぼうっと。ああ、お母さんは同じく学生やってるけど寮で別部屋、あとは先生やってたり、父親は研究者だからほとんど会わないなぁ、私も女子寮だよ」

そう答える
家族で島に来ているにしてはばらばら、まあ珍しいかもしれない

「え、やばいじゃん急げよ~。
 私も帰ろ…」

隣の椅子に放り投げていたバッグを肩に掛けつつ、立ち上がっていつぞやのようにうーんっと背伸びして背中を反らせた

尋輪海月 > 「…………楽しく出来るように頑張ります」

にへ、と似たように笑った。先輩、というオーラは微塵もないが、どこか人懐こい顔をしていた。

「……お母さんが、学生……で、先生で…………ははは、ふーん、ほー。」
大体分からなかったようだ。雪城家恐るべしと頭に刻み。
「……私学校からはちょっと遠い量だー……うん、ほら、そっち側の量費高いし、あと、バイク停めるところとか……あはは……」

「うんヤバい!結構ヤバいね!!」
こっちは弾かれたように上着をばさっと羽織り、肩掛け気味に休憩室の出口に向かう。

…………が、そこで振り返り。

「氷架」

…………ぱっ。

「……ありがとう」

…………お礼をのべてからは、急にきゅっと顔を引き締め、アイルビーバック!などとサムズアップをしてから、飛び出し

…………戻ってきて、空き缶をちゃんとゴミ箱に捨ててからまた2回目の上の所作をして出て行ったとか。

ご案内:「休憩室」から尋輪海月さんが去りました。
雪城 氷架 >  
危なげなところもあるけど、可愛くて見てて飽きない先輩だな

そんな印象を受けていた

「ありがとう、ね」

一人になった休憩室で呟く
自分がした苦い経験や思い出は、ちゃんと人の役に立つ
異能も同じ、一度は呪ったこともあったし、制御できなくなって悩んだこともあったけど
きっと自分の異能の力も誰かの役に立てる
そう一念発起したあのときのことを、少しだけ思い出した

「どういたしまして」

誰ともなしにそう答えて、自分もまた休憩室を後にするのだった

ご案内:「休憩室」から雪城 氷架さんが去りました。