2015/07/10 のログ
■東雲七生 > そ、そーだルフス!!そういやそんな名前だった!
……つーか、お前、……あ、と……えー……
(名前よりも行動の方が強く印象に残っていたため名乗られるまで名前も忘れていた様だ。
そもそもこんな奴がどうしてこんな所に、と問い詰めようとして険しい表情になる。
が、包帯を見ると疑問が変わったらしく、何度か口をパクつかせた。
そうしている間に、目の前で少女の姿が傾いていく。)
──危ねえッ!!
(今度も考えるよりも先に。
目の前の少女が以前自分を抱えて飛んだ事すらも思い出すより先に。
残りの階段を一足飛びで駆け上がって黒いワンピースを掴んで引き寄せようとするだろう。)
■ルフス・ドラコ > 抵抗しなかったのが功を奏したのか、少女が落ちそうになるスピードは非常に緩やかで、
七生の思い切りが良かったのならば腰か背辺りを捉えて引き寄せることは容易だろう。
「また、ですね。……私の事、何だと思ってるんです?」
左手で必死に胸を…いや、もしかすると気づけるかもしれないが、
ワンピースの胸元に隠した何かを押さえながら、
少女はあの日聞かなかったことを今度こそ少年に問う。
■東雲七生 > ふぅ~……ギリギリセーフ。
あっぶねえだろ、お前!結構高さあるん……
──飛べたじゃんお前!! 騙された!!
(ひ弱な腕力を総動員して、渾身の力でルフスの体を引き戻した。
無事に落下を防げたことに安堵した直後、思い出したように大声を上げる。というか、実際たった今思い出したのだ。)
何って、人攫い未遂。
そんな奴でも目の前で落ちられたら寝覚めが悪いっつーか、まあ……。
お前こそ、何で怪我してんのにこんなとこ来たんだよ!
(何かを隠そうとしている仕草には気付いたが、
それよりも東雲としては言及しなきゃならないことを先に問うた。
もし階段を上がる途中で足を滑らせてたらどうすんだ、と至って真面目な顔でルフスを半ば睨むように見つめる。)
■ルフス・ドラコ > 「ちょ、ちょっと、まさかそこまで考えずに、ふ、ふふ…」
騙された、の言葉に本当に堪えられなくなって、顔を背けてひとしきり笑う。
「はー、苦しい、こんなに笑ったのも久しぶりですね。」
「今は飛べませんから。ありがとうございます。」
押さえたものが無事だったことに気づくと、少女は左手を胸元から離した。
そしてその手を七生さんの肩に回そうとする。
「…そういうわけで、怪我してますから上まで連れて行ってくださると助かるんですけれど。」
表情は元の平坦なものに戻り、声音は冗談なんだか本気なんだか判別がつかない、もしくは半分半分というところ。
「ところで、その人攫い未遂がもしかすると貴方より頑丈だったりしても、助けるんですか?」
「それならよほど、人情に篤いと言うべきなんでしょうけれど」
睨まれるのからは目をそらした。
確かにこんなところで死ぬのは困るのだ。まだ。
■東雲七生 > 何だよ、何がおかしいんだよ!
しょうがないだろっ、誰だって目の前で落っこちられたら気分良いもんじゃねえっての!
そもそも、何で怪我してんだよお前っ。
(手助けを求められれば、すんなりとその体を支える。
肩に回された手に、自分の手を添え、それからハッとした顔になった。)
って、お前そうやって近づいてまた攫おうとしたりするつもりじゃねーだろな!?
止めろよ、怪我人相手に加減して抵抗とか出来ないからな!余計怪我するぞ!
(距離が近いのもあってか頬が赤らんでいる。
声を上げて警告のようなものをするわりには、突き放したりしない所にこの少年の性格が表れていると言えなくもない。
質問には答えなかったが、たとえ頑丈だとしても助けるのだろう。)
■ルフス・ドラコ > 「そういうものですか。……そうかもしれないですね」
誰だって、と言われれば、少しだけ困ったように笑った。
もうそんな感情は想像もつかないのだ、と言うように。
「怪我の理由は…まあ、あの時と同じく、ちょっとお金が入用で。」
視線が胸元に落ちる。
それから立ち止まると、ちょんちょん、と自分の腰を指さした。
「もう用事は済みましたから、攫ったりしませんよ。
…そんなに心配なんでしたら、私が変なことをできないように持ち上げて無力化するのがいいのではと思いますけれど。」
たとえ少年がその言葉を受けるにしろ、受けないにしろ…
少女は屋上まで行き、人を待つからといって暫くはそこに居るだろう。
■東雲七生 > 何だよ、はっきりしない言い方すんなあ。
(むぅ、と不満げに口を尖らせる。
童顔と相まって子供っぽ過ぎる仕草に見えるだろう。)
金が要るって、だったら普通にバイトすれば良いじゃねえか!
何だって人攫いとか、そんな、怪我する様な事するんだよ!
怪我して治療費とか掛かったら、完全に無駄骨じゃねえか。
(咎める様な声音で言いながら、少女を支えて屋上へと向かう。)
持ち上げるほどの力があったらとっくにそうしてんの!
割と今でもいっぱいいっぱいなんだからな!自慢じゃねえけど!
(嘘偽りない言葉だった。
以前の様に血液から腕を作ればそれも可能なのだろうが、こんな事で出血するのも勿体無い。
そのまま少女を屋上まで運び、そこで漸く自分も人を探していたことを思い出したのだった。)
ご案内:「大時計塔」からルフス・ドラコさんが去りました。
■東雲七生 > (──何で女の子なのに危ない目に遭わなきゃならないんだ。
以前何処かで抱いたそんな疑問が再び胸に起こる。
その理由は色々あれど、何とも言えない遣る瀬無さを感じながら、
東雲は時計塔の屋上を後にした。結局探し人は見つかりそうで見つからなかったという。)
ご案内:「大時計塔」から東雲七生さんが去りました。
ご案内:「大時計塔」に渡辺慧さんが現れました。
■渡辺慧 > 「う」
(――どーするよ)
誰もいない屋上に、小さな呻きがこだました。
いつもの定位置に胡坐をかいて。
白いフードを被っているのはいつもの、少年であることは間違いない。
間違いないが――。
どことなく、その顔は。
憂鬱、いや。
苦悩の表情に近かった。
■渡辺慧 > 缶コーヒーを煽る。
苦味がいい。
普通の講義は再開されている。
されているが、どうにも昨日から身が入らない。
なにが――というと。
海水浴。
誰かを、誘う。
――無理難題、いや。
本当に――気が、重い。
重く、深く。
ため息をついた。
ご案内:「大時計塔」に南雲 海斗さんが現れました。
■渡辺慧 > ――。
しかしながら。
わずかばかりでも、努力をした形跡がなければ、それはそれで。
……変な空気になるだろうが。それを許容するかはまた別だ。
……誰。誰がいる。……そも、自らの基準で物を考えている時点でだめなのだろうか。
「はぁ」
いかんな。
ほんとうに。
■南雲 海斗 > とてとてと学校を探索中……に、誰かいた。
「こ、こんばんは。初めましてー……」
取り敢えず声をかけてみよう、と思って勇気を出して声をかけてみる。
……ちゃんと、出来てるかな?
ご案内:「大時計塔」にルフス・ドラコさんが現れました。
■渡辺慧 > 如何に。気分は苦悩。
思考に染まっていたとしても、その声には気づく。
だから、いつも通りへ、その顔を。
横顔でその声の主へ振り返りながら。
「やぁ。こんばんは。…………なかなか悪い子だね?」
こんな時間に、こんなところなんて。
なんて言いながら、悪戯気に笑った。
■ルフス・ドラコ > ……壁を伝い伝い、ゆっくりと上ってくる少女が、一人。
人を待ちにやってきてみれば、先客が二人。
しかも二人は初対面のようで。
「……まぁまぁ、若いお二人なんですから遠慮せずにお近くに座ってください」
屋上の開け放たれた扉の後ろから、適当に声をかけた。
■南雲 海斗 > 「ひぅっ!」
悪い子、と咎められてしまいました……ちょっとした探検気分でしたが、駄目だったんでしょうか。
「え、えっと、ごめんなさい……マズかったのでしょうか……?」
■渡辺慧 > 「誰がお見合い中の若い二人だ」
聞こえてくる声に、脊髄反射。
――と言うのは大げさだ。だけれども、楽しげにツッコミを入れた。
「で、そちらの若いお嬢さんはどちら様でしょうか」
■渡辺慧 > 「いーや?」
大体。そもそも。
「俺だってここにいる事に対して言及してもいいんだぞ?」
「そこにいる少女にもね」
悪い奴らの集会みたいなものさ。
ちょい悪。
シシシ。
何て笑いながら。
「まぁ、そこの少女も言っていることだし。とりあえず座んなさい」
■南雲 海斗 > 「あ、そ、そう言えばそうでした!」
考えてみれば、です。ちょっとうっかりでした。
「あ、じゃ、じゃあ失礼します……」
ぺたっと正座。おどおど。
■ルフス・ドラコ > 「お見合い状態の若いお二人でしたよね?然程の間違いですよ」
怯える少年の退路を塞ぐように、夜の時計塔の屋上に現れる。
黒いワンピース、右手と足首に見える白い包帯。
「そうそう、ここからはただでは帰れませんので、座ったほうがいいですよ」
「ようこそ悪い人の集会へ。悪い人はだいたい友達。良い人については裏切った帰りです」
■渡辺慧 > そんなおどおどとしなくてもいいのに。
なんて思いながら苦笑。
その少年を見やり。
「して、ソコな少年は。探険は順調かい」
■南雲 海斗 > 「え、えっと、お見合いって言ってもボク、男ですよ……?」
お見合いって言うのは、男の人と女の人でやる物ですよね……?
「あ、探検は、順調です!こっそりですけど、色んなところを見て回れました!」
この学校は凄いのです。学校なのに、まるで街みたいなのです。
■ルフス・ドラコ > 「あらまあ、ごめんなさいねうちの子ったらまるで正座もできない子みたいで…足を崩してくださっていいんですよ?」
仲人続行である。
「これで悪い人らしく、どこか紹介できればいいのですけどね」
■渡辺慧 > 「見識の違いがあったようで」
現れた……。…………どっから出てきてんだこいつ。
「悪い奴というか変な奴なら目の前にいるけども」
「そして俺は悪い奴でもいいやつでもないので。以降宜しくお願いします」
裏切った、等という声が聞こえた気がしたけど。
しかしながら。
面白そうで、変な奴。
まぁそれ以上、善悪で判断する必要は――今のところないだろう。
■渡辺慧 > 「誰がうちの子だ」
なんで見合いなんだ。
「そーだな。だがしかし。あんまり遅くならないようにしろよ?」
「迷子になって翌朝そこの少女に連れ攫われるなんて事態になっているかもしれないからな」
■南雲 海斗 > 「あ、いえ、お構いなくっ!」
こ、このお姉さんは、このお兄さんのお知り合いなのでしょうか。にしては、お兄さんはよくわかってない雰囲気ですが。
「ぴぇっ!?つ、連れ攫われちゃうんですか!?」
変な声が出ちゃいました……いくら水火拳をやってると言っても、ボクなんてまだまだなんだから、もしこのお姉さんが強い人だったら……ふるる。
「あ、でもお兄さんがてきとーな所にいてくれれば、多分大丈夫です!」
そ、そうです!ボクには異能があったんでした!
■ルフス・ドラコ > 「階段からやって来た、はずなんですけれど」
少年に追い抜かされた記憶はない。
「となると、なんでしょうね、最初から居たのかもしれません」
すす、と足を億劫そうに動かす少女がそういえば、なんとなくそうなのかもしれない雰囲気も有った。
「ああじゃあ、悪い人じゃないしいい人でもないなら友達でもないので自己紹介が居るでしょうね」
「人攫い未遂犯のルフス・ドラコです、本日はお二人の良縁のために微力ながらお手伝いさせていただければと思います」
静々と頭を下げる少女。
「しかし翌朝まで待つのはずいぶんと良心的ですね、その想定の中の私」
「そしてテキトーな存在とみられる年長な方の少年」
意図的な誤解。
■南雲 海斗 > 「ひ、人攫いしちゃうんですか!?」
このお姉さん……ルフスさんは、なんだか悪い人のようです。
でも、良縁のためにお手伝い、って事は、優しい人なのかも?
でもでも、ボクは男の子で、お兄さんも男の人で……?あれ、よくわからなくなってきました……あ、取り敢えず自己紹介しないと!
「あ、えっと、ボクは南雲海斗(なぐもかいと)です、よろしくお願いしましゅ!」
かんじゃった。
■渡辺慧 > 「そこの少女には、夜な夜な深夜帯をうろつく少年を、つい、とばかり連れ去り、家でなんか。鍋パーティーとかやるんじゃない?」
「今考えたけど」
明らかに今考えた適当さで、適当にこぼし。
ついでに笑った。
「そしてそこの少女も割と適当そうなのでお兄さんちょっと安心しちゃうよね」
「あと本当に攫ったら引く」
「あと俺はテキトーな位置ってどこ」
「君たち落ち着いてくれないかな」
等など。口数多く適当な言葉を一通りはいてから。
「渡辺慧、だよ」
そう言って、自己紹介を噛んだ少年に笑った。
■南雲 海斗 > 「はい、お、落ち着きます!」
すぅ、はぁ。取り敢えず深呼吸です。
「ルフスさんと慧さん、ですね。よろしくお願いします!」
今度は噛みませんでした!ちょっとがっつぽーず。
■ルフス・ドラコ > 「今のところ勝率ゼロですね、ド素人相手に敗北したことさえあります」
人攫いって難しいですよね、と遠くを見ながら少女は呟く。
「とはいえいいですね、次からはその鍋パ案で誘いましょう」
「次が有れば、ですけど。現在無期限休ぎょ……中で」
噛んだ。引かれているのでこの話はおしまいだ。
「……渡辺慧と、南雲海斗。そのうち覚える苗字は一種類でよくなるわけですね」
そして噛んだことを一切フォローせずに妄言を吐いた。
■渡辺慧 > 「よろし」
どうにも。賑やかになったなぁ、とぼんやり考えると。
微笑ましげに、そのガッツポーズを見やり。
「海斗、ね」
「うん。よろしくね」
ひらり、ひらり。そう言って片手を振った。
■南雲 海斗 > 「よろしくお願いします……って、なんで苗字が一緒になるんです?」
はて。苗字が一緒になるのは、結婚したときとかのはずですけれど……。
「あ、でもでも、お鍋っていいですよね!たくさん食べたら幸せな気分になります!」
お鍋は大好きです。練習の後、へっとへとの時に食べるお鍋。本当に幸せです!
■渡辺慧 > 「ルフス・ドラコ。……どっち名前?」
どうにもこの辺の感覚の違いにはなれない。
そも、苗字という概念ではないのかもしれないのだから。
「君の方にも渡辺ってつける未来でも想定してやろうか」
妄言に乗りながら、どんな家庭状況だ。
等と自らの思考でつっこんだ。
「……自分でいっといてなんだけど、今の時期鍋より他の方がいいと思うよ、うん」
ドてんねんと言うのだろうか。この子たち。
■南雲 海斗 > 「そうでしたぁ……」
そうです、お鍋が美味しいのは冬です……今の暑い時期、お鍋なんて食べたら暑くて熱くてふやけちゃいます。
■渡辺慧 > 「苗字が一緒になることについてそこまで真面目に考えなくてもいいし、苗字が一緒になることによって危機的状況に立たされるのは俺だからあんまり考えないで」
頼む。等と言いながら、この不思議な空気に笑う。
「そーだぞー。夏だー。夏は、なんだ。……なんだろう。かき氷食べたいよね」
■ルフス・ドラコ > 「あれ、開業したほうがいいんでしょうか鍋パ。今なら火龍のドキドキ煮込みセットが材料費1/2ずつで食べられますよお二人とも。」
「美味しいから食べるんじゃなく……わざわざ閉めきった部室棟でストーブとこたつを用意して食べる、それが今の時期の鍋かな、と」
冒涜的な発言を流していく。部室棟なのはイメージの話であって別に確保できる部屋もない。
「どっちも名前ではないです。合わせて赤龍という意味の偽名ですから」
「…まあどちらかだけ呼ぶならルフス、と。
竜なら他を当たれますが、赤龍が他に居るなら縄張りを頂きに行くだけですし」
胸元を押さえながら少しだけ剣呑な発言をする。
包帯が目の毒だ。
「……まあつまり渡辺ルフスの突撃晩御飯的な?」
危機的状況の原因は間近にも居た。
■ルフス・ドラコ > 「南雲ルフスでも勿論いいんですが、今夜は二人を応援しようかなとさっき決めた気もしますし」
すみません南雲さん、と謝りつつ。
「……ところでさっきから言っててなんですが、この学校の学生証って結婚するとちゃんと苗字切り替わったりするんでしょうか」
■南雲 海斗 > 「は、はい……じゃあ、あんまり考えないようにします……」
慧お兄さんが言うなら、多分あまり考えない方がいいんでしょう。年上の人の言う事はしっかり聞きなさい、ってお父さんも言ってました。
「かき氷、食べたいです!他にもアイスキャンデーとかも!
と言いますか、なんで閉め切ったところで、わざわざ暑くして食べるんです?」
首かしげ。暑い時期にそんなにあつあつの状態になってあつあつの物を食べたら、暑くて熱くて大変な事になっちゃいそうです。
■渡辺慧 > 「初対面から偽名を言われるのは初めてだな」
いや、どちらかというと、初対面で偽名だとそのまま言われることが。だろうか。
やっぱり……おもしろそうな子だ。
等と内心笑いながら。
「多分俺が思うに、鍋パーティーにおいて脱落者、とかいう文字が使用されそうな環境はどうなんだろうね」
「まぁ、いいや。ルフスね……適当にヨロシュウって行ったそばから結婚とかいう言葉を使ってんじゃねーぞオラ!」
「今俺その話流したろ! 聞いてたろ!」
「なんか危ない発言するのか違う意味でアブナイ発言するのかどっちかにしてくれない? ちょっと今俺の脳の許容量割と危ないもんでさ」
いかん、ペースに飲まれてる。
■渡辺慧 > 「いいか海斗。このおねえさんは、いわゆる」
「えむかえすでいったらえむだ。どういう意味かは聞くな。とりあえずそれだけ覚えておきなさい」
なんとなくいたいけな少年に身もふたもない、碌でもない知識を授けているような気はするけど俺は悪くない。
びしり、と人差し指を立てながら、しっかりと言い聞かせよう。
「まぁそれはともかく。アイスなー。……また、ここ以外で会ったら奢ってやるよ。いい子にしてたらな」
■ルフス・ドラコ > 「そうですね、今のうちから慧くんの言うことはよく聞いたほうがいいですよ、家庭円満の秘訣です」
うんうんと頷きに同調する少女。
「一つにはそうして暑くしたほうがかき氷とアイスキャンディーが美味しいからです」
「もう一つはそうしてあつあつでアツアツにしてから大変なことになっていると攫いやすいからです」
勉強になりましたね―と頷く少女。先程から頷きは何の意味もないことにお気づきだろうか。
「ええ、私も偽名を使うのは初めてなんです……初めて同士、ですね」
「まあ、私の言葉はまっすぐに受け取っていただければと思いますよ。大丈夫です。この仲人に任せていただきたい。」
言いながら、早速アイスをおごろうとする慧さんにうんうんと頷いている。
■南雲 海斗 > 「えむ、ですか……ルフスお姉さんはえむなんですね!わかりました!」
実はちょっと意味がわかりませんが、聞くなって言われたし聞きません。
とりあえず、ルフスお姉さんはえむ。それだけ覚えていれば、きっとおっけーなのです。
「あ、アイス、楽しみです!いい子にしてます!」
頑張っていい子にするのです!そしたらアイス貰えるのです!
「慧お兄さん、ボクにはえむのルフスお姉さんの言ってることがちょっとよくわかんないです……」
なんだか、言ってることがちょくちょくわかりません。ボクの頭が悪いんでしょうか……
■渡辺慧 > 「初めて同士という言葉の羅列がここまで悪意的に聞こえたのは初めてだよ。やった。初体験だ」
多分恐らくこの海斗少年がこの場に居なければツッコミ不在の混沌とした場所になっていたことだろうが、生憎この少年の前まででふざけ始めると。
将来に悪影響を与えかねないというか既にもう、誰か助けろ。
「安心してくれ、海斗。このルフスとかいうのの発言は、勝手に真っ直ぐ進むから放置してくれていいんだよ、と言う風に解釈しなさい。受け止めるな。おうけい?」
■渡辺慧 > 疲れた様に缶コーヒーを煽る。
「してルフス。君は何。少年を連れ攫いに来たのか、仲人をやりに来たのかはたまた俺を疲れさせに来たのか、どれだったりするんだい」
■南雲 海斗 > 「お、おうけい、です!」
慧お兄さんが言うには、えむのルフスお姉さんの言葉は、ほっといても大丈夫なようです。寧ろその方がいい感じです。
■渡辺慧 > 「よろしい」
満足げにうなずく。
「……そーいえば」
冒険、って言ってたか。
「ここ『常世』に来て、まだそんなたってないのかな。海斗は」
この年で、自立。とでもいうのだろうか。
――しっかりしてるねぇ。
■ルフス・ドラコ > 「年端もいかぬ少年から社会的にマズイ言葉を連呼されるの、なんとなくよくわからない部分が刺激されますね。慧お兄さん、ルフスにもよくわかりませんよ?」
わかりません。
「まあ初体験ですって。……海斗くんも居ますのに」
あらやだ、とワンピースの裾を払った。
「でも、いい子にしているというのはどういう状態なんでしょうね」
「悪い人の言うことは聞かない、良い人の言うことは聞く、というところだとして」
そうそう、私悪い人、と指しつつ
「慧お兄さんって別にいい人じゃないじゃないですか」
「ああ、私ですか?……人待ち、ですよ。多分ですけれど、友達を待っているんです。」
良い人の友だちを。
そう呟くときも表情は先程から何も変わらないけれど、
この少女の声音はとてもわかりやすく、打って変わって、それこそ校舎に住む幽霊じゃないかというほど大きく変わって。
■ルフス・ドラコ > 「この年で、確かに。
……拳を握り慣れてるところから見ると、武者修行か何かですか?」
■南雲 海斗 > 「あ、えっと、今年来たばっかり、です!
ボクの異能をもっとうまく使える様にって、お父さんが送り出してくれたんです!」
ボクの異能……地元の研究所で「stand by me(誰かボクのそばにいて)」って名付けられた能力を、ボクはまだまだ使いこなせてないのです。
「え、えむのルフスお姉さん、ちょっと雰囲気変わりました……?」
きょとん。なんだかちょっと変わったような。よくわかりません。
でも、質問には答えませんと。
「あ、異能のほかにも、ボクは水火拳って言うのをやってるんです!
だから、ついでにそれも修行してきなさいって、言われてきました!」
■渡辺慧 > 「嘘つけルフス」
わかってるよね。
「いや、わかってるよね」
微妙にそのしぐさがかわいく見えるから実に悔しい。
「俺がいい人でも悪い人でもないから、相対的にいい人と悪い人が分かりやすい、と言うところでどうだろう」
「俺がルールだ」
実に、頭が悪そうな発言ではあった。
「――そーかい」
「……それは、今日来るのかい?」
その声音からは。
今までも。これからも。
期待しないで。でも期待して。
――よくわからないな。
■渡辺慧 > 「……お父さんか」
「なるほどね」
――少しばかり。声音に出ていただろうか。
いいや。
「すたんどばいみー……? ふぅん。その名前からだと。ちょっと内容が分かんないな」
後、あまり武術に詳しくはない自分には。
水火拳という言葉にもあまり聞き覚えがなかった。
「……やっぱり、しっかりしてるねぇ」
■南雲 海斗 > 「えっと、stand by meは……多分、やって見せた方が早いのです」
多分ああだこうだ説明するよりは、その方が早いはず。
「よかったら……慧お兄さん、ちょっと離れて立ってくれますか?」
と言うわけで、ちょっとお願いしてみるのです。
■ルフス・ドラコ > 「…やっぱりゾクゾクする感がありますね、良くないですよ海斗くん。バッドボーイです」
「一人暮らしは立派ですし、武者修行も立派なことだと思いますけれどね。」
唯一包帯のない左手をくるくると回して、思い出すようにしながら、
「演習場には探索に行きましたでしょうか?電車ならすぐにつきますし、教えたがりもそこそこ揃っている、と聞きます」
又聞きのアドバイスをした。
「もう少し本調子なら、お相手できたんですけど、残念ですね。」
えむのおねーさんとしては。
「ルールの化身がそう言うなら、わかっていることに致しましょう」
やっぱり左手だけを上げて、お手上げ、と言った。
「……まあ。待ち合わせ以外には、予定もありませんし。」
「それなりに火急の要件ですから。世界の危機ですよ、世界の危機」
巫山戯たことを、まるでふざけた口調で、今度は海斗くんに悟られないような、目つきだけの真剣さ。
■南雲 海斗 > 「ひぅ、何か悪い事を言っちゃいましたでしょうか……?」
バッドボーイ、と言われてしまいました。ちょっとしょんぼり。
「ぼ、ボクなんてまだまだで……演習場、ですか?
まだ行ってないです……ありがとうございます、えむのルフスお姉さん!」
ぺこっと頭を下げます。やっぱり優しい人です、えむのルフスお姉さん!
■渡辺慧 > 目つきの違い。
――流石にそれに分からないほど鈍くはないつもり。
「――ま、暇だったら。おもしろそうな、危機だったら。ちょっとは付き合うけどな」
ふざけた言葉にはふざけた言葉。
その真意は、伝わらなくても別にいい。
そう言って、海斗の言葉に。あいよ、なんて片手を振って立ち上がる。
「この辺かい?」
そうは離れていない位置。
だけど、離れている位置。
■南雲 海斗 > 「あ、はい。そこで大丈夫です!」
ボクも立って、そして慧お兄さんをじーっと見ます。
「それじゃあ、行きます……『stand by me(誰かボクのそばにいて)』……!」
ひゅん、っと消えて……慧お兄さんのま後ろから、声をかけます。
「ばあっ!」
■渡辺慧 > 「そんな見つめられると照れ……………」
と、ふざけ気味に言いながら。
真後ろから、聞こえた声に。
「………………」
……ゆっくりとした動作でしゃがみながら。
「……………」
「……ゆ~う~たいり~だ~つ~」
■ルフス・ドラコ > 「ええ、貴方に付き合ってもらえるなら一番ですよ、渡辺慧」
それは笑っているというよりは牙を剥いているような、ほんの一瞬の表情の変化。
その後にはすぐに平坦なものに戻ったけれど。
「……」
スッ、と少女が左手を上げる
「すみません、海斗さん」
「もう一度やってみてもらえますか、あと発動時のセリフはもう少し切なそうに」
「言うことを聞いてくれたら私からもいい子認定とアイスを差し上げますから、あと慧さんには抱きついてもいいですよ」
ほら立てよ渡辺慧と言わんばかりの目線。さっきのと違う…!
■南雲 海斗 > 「わわっ、ど、どういうことなのです!?」
慧お兄さんも、ちょっとよくわかりません……。
「と、とにかく、ボクのstand by meは、テレポート能力なのです。
ただ、自分しか飛ばせなくて、目標をボク自身が目で見て、ちょっと集中しないとダメなんです。
それに、その目標のすぐそばにしか飛べないのも欠点で……」
正直、テレポートとしてはかなり微妙って、自分でも思うのです。
「え、えっと、ボクは全然おっけーですけど……?」
えむのルフスお姉さんはなんだかもう一回見たそう。でも、そんなに面白い能力なのかなあ?
■渡辺慧 > 内心肩をすくめる。
深入りするつもりはまるでない。
ないが――。
いやだね、全く。自己満足の権化だ。
だから、その――一瞬だけでも変わったその顔に。
実に楽しそうな顔で笑い返して。
固まった。
「…………君、キャラが」
「なに。待って。抱き着くとは一体」
「いや、あの。謝るから。ちょっと」
「いやあの、立ちます。立ちますよ」
割とすぐに立ち上がった。
■ルフス・ドラコ > 「説明を聞く限りで言えば……」
「どうしようもない類の失敗には踏み込まずに済む能力だと思いますけど」
目標を目で見て集中して「目標の中」に飛び込まずに済むのなら、それはそれでお得だ、と考えた。
「海斗さん、いま慧お兄さんからおっけーが出ましたから。……お願いします」
そうと決まれば何をためらうことが有ろうかという口調であった。
どちらかと言えば慧お兄さんの話を聞いてない口調でも有った。
■渡辺慧 > 「今俺オッケーしたかな」
「したっけかな」
「いや俺もちょっと小難しい話に混ぜてもらいた……いや、あの」
ダメとは、言いづらい。いや、なんか。
多分ダメと言うとこの少年落ち込みそうな予感もしないでもない。
というかこれさっきの言葉への仕返し感もなくはない。
ひどい。俺が何をしたっていうんだ。
会話に入り切れず、立っているこの状態は実に、わびしいものがあった。
■南雲 海斗 > 「うーん、そう言えば研究員の人も『リスクは少なめの能力』って言ってました!」
なんでも、細かい設定が必要な分、それをしてる分には変な失敗をしづらいんだとか。
それで、えーっと、なんでしたっけ。ちょっと切なそうに、そして慧お兄さんに抱き付く……。
「じゃ、じゃあもういっぺんやりますね!」
てこてこ。ちょっと離れて、もっぺんじーっと。
「それじゃあ……『stand by me(誰かボクのそばにいて)』っ……!」
ワープ、今度も慧お兄さんの真後ろに。切なそうってこれでよかったのかな?
後、えーっと確か……
「えいっ!」
抱き付くんでした!取り敢えず後ろから抱き付いてみます!
■渡辺慧 > 「海斗、君も割と俺の話聞かないよね」
先程と同じようにジーと見つめられてるさなかにそう切なげに漏らすと。
背中に、柔らかい衝撃。
……うん、抱き着かれてるよね。
「……ルフス。満足ですか。なにに満足するかはわからないけど、なんだ」
なんだこの状況。
■ルフス・ドラコ > 「ええ、ありがとうございます海斗さん、これで双方のご家族にも良いお返事が伝えられますね」
「……私が本調子ならカメラが使えたんですけれど、でもとってもいい表情をしていますよお二人とも」
本調子万能説に近づきつつ有る。だがその声に潜む悔しそうな様子は滲み出さんばかりであった。
「慧お兄さんは呼べば抱きつかせてくれるタイプに見えますので、
演習場に行くなり、暗い夜道を人攫いに怯えるときなり、海に行く時なりには今のように呼んでみるといいのではないですか」
「ええ満足ですよ。寂しげな少年にちょっとした安らぎ。写真部に写真を渡しても良いレベルだと思いますがその点は全く惜しいと思います」
妄言は置いておきつつ、
「小難しい話をしたいのでしたら一つ。
……そう、一つ疑問なのですが、研究所ってそんなに身近なものですか、例えば貴方にとっても。」