2015/07/14 のログ
東雲七生 > そうだな、うん……。一緒にな、楽しめたら良いよな!

(少し照れ臭そうに笑いながら、頷く。
 本当に楽しそうに語られて、東雲も何だか楽しみになって来た。)

ああ、悪いな。何か機会があれば良いけど、ま、あんま期待しないでくれよ。
だろ?誰かが近くに居ると思えば、怖くなくなるもんだろ?へへ、そりゃあ楽しみだな!

(でも、何年先になるだろうか。この学園に通ってる間に行けるようになるのだろうか。
 そんな不安にも満たないような疑問が胸に沸いた。)

トト > 「うん、今のうちに何をするのか考えておかないと、あ、でも目下は海で何するかだよね!海での遊び方、教えてもらわないと…。」
既に待ちきれないといった様子でそわそわしちゃったり

「うん、まぁどう行けばいいのかわからないけど… 他の星って、ようは他の世界みたいなものでしょ?
異世界にいけるなら、きっと直ぐに行けるようになるよ、此処は、そういう場所だもの… きっと。」
きゅ、と強く七生の手を握ったり、空を真っ直ぐに見つめるその目は、それを少しも疑ってはいないらしい

東雲七生 > そうだな、海で遊ぶ……前に、水着買いに行かねえとな!

(忘れる所だった、と笑いつつ。
 今から秋や冬の計画を立てるのも悪くないな、と感心したり。)

ああ、それもそうか。他の世界に行けたり来たり出来るんだから、他の星にもすぐ行けるようになるか……。

(それもそうだ、盲点だったと笑いながら同じ空を見上げる。
 あまりにもはっきりと曇りなく言われると、自然と信じてしまう。)

トト > 「うんうん、約束なんだから、忘れちゃ嫌だよ?友達との買い物だって、初めての経験になりそうだしね。」
ぷくぅ、と少し頬を膨らませてみる、が、顔は笑っていて

「ま、今は取り敢えず、この場所をいっぱい楽しんでからだけどね、学ぶことも楽しむ事もいっぱいなのは
皆に教えてもらったことだもの、だったら、自分に出来るだけ取り込まないと損ってものだよね?」
ふふん、とちょっとだけ得意げな顔をしてみせる

東雲七生 > 大丈夫大丈夫、冗談だって!忘れたりしねえよ!

(ちゃんとメールくれよな、と笑いながら答える。)

そうだな、俺もまだこの島だけでも全然知らないとこあるし。
他の星に行くのは、もうちょっとこの星を満喫してからでも全然遅くねえよなっ!
だったらまず、この島の色んなとこ行かねえと。俺も損しちまうな。

(得意げな顔に頷いて見せる。
 そう考えると、明日からの日々が少し楽しみに思えた。)

トト > 「もちろん!帰ったら一番にメールするよ。」
こくこく、としきりに頷いて見せて

「うん、僕がはじめにいた… 遺跡群、だったかな?あそこも結構楽しいところだったし、あの自販機でもまた買い物したいし
やってみたいことが沢山あって、事欠かないね… うん、いい事だ、七生と此処で話せてよかったよ。」
満足げにそう言って、暫く空を眺めてから、ばっ、と体を起こして立ち上がる、一度大きく伸びをして

「よし、じゃあ僕はそろそろ行こっかな、七生はどうする?もうちょっと此処にいる?」
こてん、と首を傾げて聞いてきて

東雲七生 > いや、そこまで無理しなくて良いんだけどな?
お前なら本当にすぐ送って来そうだからなあ……。

(冗談半分で受け取ったが、満更でもなさそうだ。)

遺跡群かあ……遺跡、か。何かお宝とかあるのかねえ?
自販機も、俺も会ってみてえなあ。どんなもん売ってんだろ。
ああ、俺もトトと話せて良かったよ。また明日から楽しく頑張れそうだっ!

(そうしてトトが身を起こすのを見ると。自分も併せて上体を起こした。)

俺はー……もうちょっと居るよ。
さっき教えて貰った星、確認してから帰りてえんだ。忘れないようにさ。

(少しだけ恥ずかしそうに微笑んで、そう告げる。)

トト > 「それじゃあ、そのときは僕が同行するよ、案内できるかは分からないけれど、あそこには又行きたいしね。」
小さく頷いて、笑う

「ちょっと名残惜しいけどね、でも、これがまた出会いの糧になるなら、悪くないかな。」
名残惜しそうにしながら繋いでいた手を離して

「そっか、七生は勉強熱心だね、教えがいがあるよ…  じゃあ、またね?七生、良い夜を。」
残る理由にほっこりと笑顔を浮かべ、ばいばいと名残惜しげに手を振りながら去っていく

東雲七生 > ああ、そん時は宜しく頼むわ。
ゴーレムがボディガードしてくれんなら心強い事この上ないしな!

(ははっ、と笑いながら肯いた。)

ああ、またこうやってだらだら駄弁ろうぜ。
まあまた手をつなぐって訳にもいかねえけどさ。

(何だかんだでちょっとキザな事してしまったな、と思っていたのだ。
 それでも友人に安心感を与えられたのなら、気恥ずかしさも悪くないな、と思い直す。)

勉強熱心って言うか、ちゃんと覚えようとしねえとすーぐ忘れちまうからさあ。
じゃあな、トト。気を付けて帰れよ!

(振られた手に、笑顔で手を振り返して。
 去り往く背を見送って、少年は一人その場に残った。)

ご案内:「大時計塔」からトトさんが去りました。
東雲七生 > ふぅー……。

(足音が聞こえなくなると、再びその場に寝転んだ。
 夜空に浮かぶ星は、ついさっきまでとは変わって見えた。
 それは、星に関する知識を得たからか、それとも気の持ちようが変わったからなのか。
 東雲本人にも、それは判らなかった。)

東雲七生 > ……今日も色々あったなぁ。

(昼間は商店街の路地裏で自称化け物にキスされて。
 夜は夜でここで自称ゴーレムと手を繋いで。
 我ながらやたらと濃い日常を過ごしている様な気がする。
 
 というか、思い出すと凄く恥ずかしい。何やってんだ俺って気分だ。)

東雲七生 > ……。

(でもそんなちょっと変わった日常も、
 明日の朝になれば普通の日常の中に埋もれていく。

 ──か、どうか。

 もしかしたら、まだまだ東雲の良そうも出来ないような“日常”がこれから続いていくのかもしれない。
 そう考えると、何だかとてもわくわくした。)

東雲七生 > 天の川。

(ついさっき教えて貰った光の川を指でなぞる。
 無数の星々が集まった、読んで字のごとく夜空を流れる星の川。
 自分たちもあの星の一つ一つみたいに輝ければ、いつか大きな流れになるのだろうか。

 柄にもなくそんな事を考え、自分で笑いが耐えられなかった。)

ぷっ、……くくく、あははははは。

はー、でもまあ、似たようなもんか。

東雲七生 > (一日一日を後悔せずに生きてけば、
 いつかそれが重なって見れた物になるだろう。

 いまは、きっとそれでいい。)

さてと、んじゃ帰りますかねっと。
えーと……階段下りるの面倒くさい。

(東雲はゆっくりと起き上がると、欠伸を噛み殺しつつ階段へと向かった。
 この後も日課のランニングがある。帰って制服を着替えなければ。)

ご案内:「大時計塔」から東雲七生さんが去りました。
ご案内:「大時計塔」にクゥティシスさんが現れました。
クゥティシス > (夜の時計塔。街の喧騒から遠く離れたこの天上の庭)
(そこに1人―)

(いや)
(一匹の、犬)

(青い毛並みを風に靡かせ、俯いたままフェンスから下を見下ろしている)
(寂し気にくぅん、と一声鳴くもその声は風にかき消され)

(人狼だった筈の少女は―)
(何故だか未だに犬の姿のままであった)

ご案内:「大時計塔」に自販機さんが現れました。
クゥティシス > (怪しげな自販機との謎のバトルの後、勝ち得た戦利品)
(露骨に食欲を削るパッケージの飲み物を飲んだ途端、この姿は犬となっていた)
(本来であれば1分そこらで戻るものだったらしいが―)

(異邦人である彼女の体質故であろうか)

(何故だか彼女はずっと犬のままであった)
(かれこれ3日。折角ニンゲン社会の中で生きていこうと思っていたのに、これである)
(どうしたものか―)

自販機 > (大時計塔に忍び込んだそれは、見事捕まっていた。
 「壊れてるから撤去しておいてー」
 「あーい」)

(レッカー装置にグルグル巻きにされて運び出されていく。
 わんこの隣をお兄さんが通過していく。
 自販機さんがグルグルまきにされていた)

「ブーン」

(あ、この前はどうも)

(お兄さんが去っていったとさ)

ご案内:「大時計塔」から自販機さんが去りました。
ご案内:「大時計塔」に渡辺慧さんが現れました。
クゥティシス > (余りにも一瞬であった)
(現状に気落ちして黄昏ていたところを、その元凶である無機物が通り過ぎて行った)
(何か反応をとる時間すらない)
(まるで轢き逃げである)

(轢かれた本人がそれに気づいた時にはもう自販機の姿はない)

「………くぅん」

(と、小さくため息にも似た鳴き声をこぼすぐらいしかできなかった)

渡辺慧 > 「…………ん?」

鼻歌が止まる。
時計塔。いつもの場所。いつもの恰好。
のんびりとした足音で立ち寄った。

なにか……見慣れない光景があった気がする。

しかしながら。
それよりも、しっかりとしたリアル。
リアルの中に、見慣れない――。

「……犬?」
屋上にたどり着き、鼻歌をやめた少年は。
ポツリ。一言つぶやいた。

クゥティシス > (ぴくん、と尻尾がそば立った)
(何者かの気配を―、というのは語弊がある)

(「知っている誰かの、待っている誰かの」気配を感じたのだ)
(ぶんぶんと尻尾を振りながら駆けだした)
(彼に会ったからといってどうなるというわけでもない)
(彼が自分だと気づいてくれる保証もない)

(けれども)
(やはりこの場所は自分にとって特別なのだ)

(落ち込んだ時)
(気持ちが晴れない時)
(いつもこの場所は「ヒント」をくれた)

(自分にとって彼は―この場所の象徴なのだから)
(だから、無意識に尻尾を振ってしまうのも致し方ない)

(なんて言い訳をしながら彼の方へと走り寄る)
(彼は、青い毛並みの子犬に対してどんな反応を返してくれるだろうか)

渡辺慧 > 「お?」

駆け寄ってくる、その小さな姿。
青い毛並み。
尻尾をブンブン。楽しい姿。
誰か――その誰かは。自分にとって、此処で会う。ここでしか、会っていない。だから、その誰か。――を連想させる。

――生憎。それと結びつけるには、ちょっとだけ。
現実感がなかったのだけれど。

駆け寄ってくるその姿を、そっと自分はしゃがんで目線を合した。
なんとなく、柔らかく笑ってる気がしている。

「こんなとこでどした。迷子か?」

クゥティシス > (少年の言葉に「違うの、そうじゃなくて―」と答えようと思うも)

「わん、わんわんっ」

(口から洩れるのはそんな鳴き声だけ)
(当然だ。犬だもの)

(気づけないのも当然だ)
(けれど、彼が今の自分に向けるその柔らかな笑顔はやっぱり落ち着く)
(無条件に笑顔を向けてくれるのであれば―)
(今の姿もそんなに悪くないのかもしれない)

「へっへっへっ…わん、わんっ!」

(すりすりと彼の足に身体をこすり付け、自分の存在をアピール)
(足の間をすり抜けては、そのままぐるりと足の外側を回り正面へ)
(そのたびに顔をあげれば目に入る彼の笑顔)

(こんな単純なことが、何だか無性に楽しいのは今の自分の姿故だろうか)

(尻尾の振れは尚大きく。彼の瞳を見つめてもう一度、わん、と声をあげた)

渡辺慧 > 「ん?」

何か言おうとしてる様な。――まーさか。
だけども。自らが、猫になった経験。
そんなこともあった。だから、この。
目の前の――彼女を連想させる――犬も。
なにか、伝えようと。

――やっぱり。まさか、な。
笑みは、変わらなかった。

やたらと人懐っこいその犬。
「犬にはモテる、ってかな」
感触がくすぐったいわけじゃない。
その、視線が。動作が、ちょっとだけくすぐったくなって。

「おいで」
立ち上がって。いつもの場所に歩き出した。
言葉では伝わらないかもしれないから、少し振り返って。
笑いかけ乍ら。

そして、いつもの場所。……いつもの。
そこに、胡坐をかいて。
もう一度振り返って、手招きをした。

ご案内:「大時計塔」に三崎 春華さんが現れました。
クゥティシス > (彼が導く先。手招きをされればためらうことなく駆けだした)
(胡坐をかいた彼の足の間に飛び込むようにして身体を預ける)

(普段ではあり得ない距離)
(手を伸ばさずとも触れ合えるこの距離)
(きっと意識してしまえば二度とこんなことは出来ない)

(だから)
(だから今ぐらいはきっと、この距離を楽しんだって許されるだろう)

(彼の足の間。胸板に前足を当て、後ろ脚で立ち上がればちょうど彼の首元に顔をうずめられる位置)
(先ほどまで足に擦り付けていたその毛並みを、今度は彼の首筋へとこすり付ける)
(深い意味なんてない)
(きっと深い意味なんてない)
(犬であるのならば当たり前のスキンシップだと)
(脳裏に過る微妙な背徳感を振り払うように)

三崎 春華 > [とたた、と階段を上がる音が聞こえる。]
「おおっと…?」
[声をかけようかという所で二人…一人と一匹である事に気が付き、ちょっと隠れる]

「(こないだ服忘れていったの、間違いなくあのわんこちゃんなんですけどねー…なんかいいムードじゃないですか)」

渡辺慧 > 「やっぱり……犬にはモテるのかな」

……さっきより、よほどくすぐったい。
物理的にも――心情的にも。
もし、これが。――彼女だったら。なんて意味のない想像だ。
だってこれは、彼女を連想させる……そんな犬で。

だから、少し。
「なんか…………クゥ、みたい」
その頭に手を伸ばして、撫でて、嘯いた。
その可能性を否定する呟きであると共に。

――その可能性を認める様な。
そんなつぶやきをしてしまったのかもしれない。

シシシ。
猫のように……笑うと。
ゆっくり、その頭を撫でつけた。

――背後にいる存在には、間違いなく気づかずに。

クゥティシス > (彼は今、何と言っただろうか)
(誰の名を、呼んだのだろうか)

(どくん、と心臓が大きく跳ねるのが分かった)
(触れるその手は暖かくて)
(顔が熱いのは、きっとそのせいだけではないけれど)

(ぐるぐると頭の中をかき混ぜる感情の波)
(嬉しくて、楽しくて      ―)

(気づけば、彼のその手に舌を這わせていた)
(そして、それに気づいたときにもう一度、心臓が大きく跳ねた)

(どくん、どくん、どくん)

(早鐘のようになり続ける鼓動の音が頭の中で反響し、何が何だか分からなくなってきた)
(この鼓動の音は自分のものなのか、それとも触れている彼の手から伝わるものなのか)
(陶酔にも似た混乱がピークに達した時―)


(ぷし、と身体の何処からか煙が噴き出した)
(噴き出した煙は少年と一匹の犬を見る間に包み隠し―)

(その煙が晴れた時)
(そこに犬の姿は無く)

(代わりに彼の目の前にいたのは)
(青い耳と尻尾を風に揺らし、きょとん、とした顔で少年の瞳を見つめるクゥティシスの姿だった)

「……へ?」

(出て来たのはそんな間抜けな声)
(状況を全く理解していない少女はきょろきょろと辺りを見渡して―)

「…あれ?」

(もう一度、間抜けな声を出した)
(少年に頭を撫でられながら―)
(少年の足の上で―)
(一糸まとわぬ姿で―)
(彼女は、首を傾げたのだった)

三崎 春華 > [一人と一匹が煙に包まれる。ここからは少年の背中しか確認出来ないが、あの様子はもしかすると]

「どうしましょうこれ…」
[鞄の中には狼少女が忘れていった服。一応クリーニングを頼みながら返すために探していた所なのだが、まさかここまで解けていないとは思わなかった]

「んー………そうだ。」
[ぴこん、と電球を閃かせると、メモ帳の一枚にペンを走らせ、衣服の入ったナイロン袋と一緒に階段の手すりにくくりつけた]
「よしよし。アルトバイエルンさんからは今度ゆっくり聞けばいいですからね」
[満足気な笑みを浮かべると、来た時とは真逆の忍び足で階段を下っていく]

『いい子で待っていたようだから、お忘れ物をプレゼント
               初夏のサンタクロースより』

渡辺慧 > 「……シッ。……なんだよ」

手のひらを舐められた。
舌の感触。
くすぐったさが、ひどく。
――それは、心地よさを伴うもので。
――その仕草に。やっぱり彼女を何となく連想して。

「クゥ」
彼女じゃないのに。
――いや、そうではないと言う可能性を肯定しているのに。
思わず名前をよんだ。

くすぐったい。
それを、言葉にしようとした。

――確かに、しようとした。
だけれど、しようとする前に。
なにかが。視界を奪って。その青い毛並みの犬の姿が、見えなくなった。
それは煙で、どこから……それは決まっている。
その犬から――なぜ?

いや――なにが起こって。
「いっ……?」

だから、その煙が晴れたとき。
その前に移る景色は、最初は。

「………………………はー」

最初は。ただの、記号。目の前に広がる、脳内に入ってこない、その記号。

「………………………あ?」

脳が動き出す。情報を取り入れろと騒ぎ出す。
思考は忙しいほど解凍処理を始め、止まった視界は通常の営業を開始し始めた。
――それ、すなわち。

「……………ッァァァ!?」

――さっきまで。
――まるで、彼女みたいだと言っていた、その犬が。
――またここで会うはずの、その彼女が
――自らの膝の上に、その…………は、だかで、いた。
「――――――――は……ぁぁっ!?」


目線、顔、視線、閉じて。そらす。
――顔がひどく熱くなるのを今この瞬間、とめる手立てなんてない。

……生憎。パニックに対する対応力は低かった、という話……はたして、どうだろうか。

ご案内:「大時計塔」から三崎 春華さんが去りました。
クゥティシス > 「戻っ、た…?」
(手足にむず痒い痺れが走る)
(長らく使っていなかった神経がつながったような感覚)
(ちりちりとした痛みにも似たそれを以て、ようやく自分の姿が戻ったことを理解した)

「…ケイ?」

(どうして、彼はそんな声を出しているのだろう)
(どうして、彼は自分から目を背けるのだろう)

(確かにいきなり犬が変身したら驚くのは当然だろう)
(けれど―)

「…何でそんな―」

(直接問いかけようとしたところで、彼と自分の距離がやたら近いことを理解した)
(わずかに頬が紅潮し―)

「わ、わわっ!あの、そのっ!さ、さっきのは!犬…だったからで!」
「クゥが、そういうことしたかったわけじゃ!」
「ない…わけでもないけど!」

(頬を赤く染めながらピントのズレた釈明)
(犬の姿で居たせいで、きっと思考回路がおかしくなっていたのだ)
(でなければ、あんなこと恥ずかしくて出来よう筈もない)

(両頬に手を当てれば驚くほどに顔が熱い)
(恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい)

(けれど、彼女は今自分の何が一番恥ずかしいかは気づいていない)

渡辺慧 > 膝の上に残る彼女の重み。
今、この瞬間でなければ……恐らく。
それは先ほどのくすぐったさと同じように。
よくわからない心地よさを与えてくれるのだろう。

今、この瞬間、じゃなけれ……ば……。

そも。
――だれが、本当に。先ほどまでの犬が彼女で。
――だれが、この、狙ったかのような瞬間に。元に戻り。
――そして。だれが――――

彼女の姿が、そのまま――――
動揺するのも当たり前の事態。
だけれど、それより……羞恥、いや……これは羞恥と言っていいのか、わからない……け、ッド……!

「そッ……そうじゃなく、て」
「……ク、クゥ…………。き、君な……服を……」

言葉に出すのは、現実を認識させる上で、ひどく重要だ。
目を硬くつむり、視線を外しながらも。
先程、目に。脳の記憶媒体に入ってきてしまった、その―――――。

――――言えるかっ!?

ァァァァァァァ……
「ぁぁぁぁあ、くっそ」
目を硬くつむりながらも、動揺しながらも。依然顔は熱くなって、彼女が…………この近すぎる距離にいて。

気のせいか……いや気のせいではない。
動悸は、うるさい。
音が……うるさい。

そんな中でも、自らのパーカーのチャックを乱暴にあけ……そしてそのまま脱いだ。

それを、彼女の方に投げた。

「……ぜっ…………ぜっ、んぜん、いみっ!」
「わかんっ……ないけど! と、とりあえず……それ着……て」

クゥティシス > 「―わ、ぷっ!な、何?!着てってこれケイ、の…」

(投げつけられたパーカーで隠された視界が開けてようやく理解した)
(パーカーの素材の感触を、どうして地肌で感じているのか)

「―え、ぁ」

(肺から漏れ出た空気が声となって喉を揺らす)
(瞬間、ぼふん、と音が出そうな程に)
(赤く色づいていた程度の頬が真っ赤になった)
(自分は、今)
(彼の、膝の上で)
(何も、着て―?)

「っっっっ!!!!!!」

(声にならない叫びをあげ、瞬時に彼の膝から飛びのいた)
(投げつけられたパーカーを抱きしめながら何とか前を隠す)

「ん、な、ななななっ!!なん、っ!!」
「なんでっ!!く、クゥの…はだ、か…っ!!」

(ぷるぷると震えながらパーカーを握る手に力を込める)
(じわりと目の端に涙が滲む)

(決して悲しいわけでも、嬉しいわけでもないけれど)
(処理しきれない感情の波が滴となって頬を濡らす)

「ケ、イの……ばかぁーーーーーーーっっっ!!!!」


(駆けだした)
(彼のパーカーを抱きしめたまま一目散に階段へ)
(何が何だか訳が分からない)
(何が起きたのか)
(彼に何を見られたのか)

(自分が今、どんな気持ちなのか―)

(穏やかだった波間に巨岩を投げつけられたような)
(荒れ狂う心模様が落ち着いたとき、彼女は何を思うのか)

(時計塔が彼女に与えた「ヒント」はいったい何だったのか)


(それが明らかになるのは、もう少し先の話だ)
(今はただ、手すりに括り付けられた自分の衣服と彼のパーカーを抱きしめながら)
(長い長い、出口の見えない階段を駆け下りていくのだった―)

ご案内:「大時計塔」からクゥティシスさんが去りました。