2015/07/25 のログ
ご案内:「大時計塔」にハイドレンジアさんが現れました。
ハイドレンジア > (―――白と黒の粒子が入り混じって視界を塞いでいた。
 白黒。セピア。灰色とも例えようか。
 時計塔から眼下を望む位置。手すりに腰掛けて空を見上げていた)

ハイドレンジア > (推進装置が復活した今、発見されることなく忍び込むことなど容易だった。
 月。夜空。どうしてこうも悲しい気持ちになるのか。
 右目は眼帯で覆われている。完全に復旧するには少々時間が必要だった。左目さえあれば。例えなくても聴覚だけでエコーロケーションの要領で距離を把握することはできる。皮膚に備えられたレーダーを使ってもいい。
 ほう、とため息を吐く。制服の上からコートを羽織った暑苦しい格好を、上昇気流がくすぐっていく。
 月。海。お父さん。固有のワードが心を締め付けるのはなぜなのだろうか。
 お父さん。お父さんとは開発者のことなのだろうか。
 あるいは、―――アマナは考えることをやめた。)

「ばかばかしい……」

(首を振って月を見上げる。魔性の香りがした)

ハイドレンジア > (とても大切なことを忘れてしまっている気がする。
 思い出すことは出来ない。メモリーの整合性確認を何度走らせても異常は見当たらない。メモリーのどこに生じた裂け目が見せる幻惑なのかもしれず。
 手元にもっているのは渦巻きソフトクリームだった。
 赤い舌を伸ばして舐めとっていく。甘く、冷たく、おいしい。)

「おいしい……」

(盗み取ってきたわけではない。買ったのだ。
 制服を着込んでいるだけに不審人物として認識されることはなかった。普通に購入できた。
 ペロペロとアイスを食べながら月に答えをせがむ。
 月は無言だった)

ご案内:「大時計塔」に蒼穹さんが現れました。
蒼穹 > (たん、たん、たん。
三つ、高い高い時計塔を登る音をテンポよく立てて上がって行く。
警備などないから忍び込むのは簡単だし、もしあったとしても、こんな面白い所、適当に潜り込んで入るに違いない。)

…先客かな?
(真っ赤な長髪が遠目に見えれば、ぽつん、と落とすように呟く。
こんな高い塔で、しかも夜空を眺めながらアイスクリームとは、…おいしそう。
見た目的に、女の子に見えるが、果たして。)

(たん、たん。と続けざまに登る音を立てて、彼女(少なくとも己はそう思っている)の見える時計塔の上へと昇ろうか。)

やっほ、…こんばんは。良い景色かい?

(一つ馴れ馴れしさを感じさせるような手の振りと口振りで、挨拶を述べると共に、
それとなく登りつめて、何となしに聞いてみた。
赤髪の子、夜の景色の様に、黄昏ている印象がある気がする。)

ハイドレンジア > (音がした。振り返ると、対極的な青い髪の女性が時計塔へとやってきているのが見えた。
 服装、雰囲気、時間帯、要素を考慮しても警備や風紀の人間ではなさそうで、警戒する必要性を感じなかった。
 アイスクリームを半分一気に口に含むと口の周りに白い痕跡を残しつつも食べていく。おいしい。悩もうがなんだろうがアイスは美味しいものだ。
 口の周りを指でさらい、軽く頷いてみせる。)

「街中見えるから気分がいいよ。僕になにか用?」

(声のトーンは静か極まりないもの。
 元気が無く沈み込んでいる)

蒼穹 > いやあ、綺麗な景色だねって。御挨拶くらい返してほしいものだけど、さ?

(黄昏ている。…恐らく、今の夜空も、その赤毛の子の気分も。
まぁ、初対面だし冷めた反応は仕方がないと言えば仕方がないか。

なんとなく、アイスクリームを口に含むというより、"頬張る"と言うべきだろう一連の仕草は、
よりアイスクリームが美味しそうに見える。

彼女の思惑を一つ訂正するなら、己は風紀委員であること。
だが、警備する気も仕事する気もないと言った笑い種の一つだが。

それはさておき、固より、こう言った場所に寄りつく人は、結構物好きが多い。
そもそもこんな高い所、こんな時間に好き好んで来る人もいまい。
だから―――。)

ひょっとして一人になりたかった、かな?

(―――邪魔してしまった、だろうか。)

ハイドレンジア > (食べるたびに口元を気にする。
 汚れるのを嫌っているのか。その割りにハンカチのようなものは持っていないようで、手で拭いている。食べ方は知っているが食べたことが無いようなあべこべ加減。
 まさか風紀委員とは思っていない。いかに機械といえど全知全能ではない。データベースにアクセスできるならば話は別であるが。
 濃密なミルクの味にうんうんと頷いている。)

「そうなの?」

(起動からたった数ヶ月。故にコミュニケーション能力が高いとはいえない。何か応答の仕方に不備があっただろうかと首を傾げる始末だった。
 一人になりたかったのは事実だった。
 だが一人では答えが出ない。
 何故かわからないが『姉』に聞いても答えはでないだろうという確信があった。
 だったら――。)

「半分正解。半分違うよ。僕自身どうしていいのかわかんない」

(手すりから飛び降りるとアイスを舐めつつ相手の方に歩いていく。
 ほぼアイスを食べつくしていた。)

「たとえば思い出せない過去があるとしたらどうする?」

(悩み全てを徹底的に抽象的にぼやかして質問を投げる)

蒼穹 > (食しては、口元をぬぐい、食しては口元をぬぐう。その子は、そんな仕草を繰り返すのだろうか。
だが、人の食べているものは、とても美味しそうに目に映るのが世の常。
ああ、さっき私もアイスクリーム頼めばよかったと思い起こす。コクの深くも甘くクセになりそうでシンプルなバニラアイスはきっと美味しい。
…ただ、夏と言え夜。この寒さで食べる気が起こるかと聞かれれば怪しいのだが。)

そう、思わない?
挨拶するたび何とやら、さ。…覚えとくと良いよ。学校で御友達作りたかったらね。
(多分、制服が見えるし学園の生徒なんだろう。
尚、この時点でその子がアンドロイドであることは知り得ないし、まして起動数か月という事も知らない。
「ちょっと疎い子なのかな。」なんて心中で独り言ちるに完結する。
ただ、放っておくのも酷だろうしと、一応は述べておく…皮肉めいた言葉かもしれないが、努めて気分を悪くさせない口調。)

ふぅーん。…誰しも、悩みの一つくらいあるさ。
(悩んだとき、人は空を見上げることもあるとか。
最もその子のアンドロイドの中にある「人格」が同じく悩んだときそうするのかは、知らないが。)

思い出せない過去…ね。
ああ、もう諦めるかな。ってか、私は現に「忘れた、知らない」って開き直って諦めてる。
参考にはならないかな。…何か、忘れちゃったかい?

(心の中で、帰りがけにアイスクリームでも買おうか、と思いながら話を続ける。
何となく、真剣な問の様だが、「どうする?」と聞かれたら己が実際やったことを答えるのみ。
「どうしたらいい?」と聞かれたら、また答えは変わったかもしれない。

とん、と半歩。己からもそちらに踏み出して。)

ハイドレンジア > (パリパリと音を立ててコーンを食べにかかる。紙を取るのを忘れて少し食べてしまっていた。数口食べて気が付き紙を取って完食した。
 アイスはおいしいもの。記録にひとつ情報が刻み込まれる)

「友達――? ……うんわかった。あいさつは対人関係を潤滑にするんだっけ」

(どうやら生徒と思われているらしい。丁度いい。話をあわせておくべきだろう。頷いておく。
 はたから見たら友達とはなにかというニュアンスで語尾を持ち上げたようにもとられるかもしれない。
 同類か、暴力で語り合うような関係としかコミュニケーションをとってこなかったアマナにとって、蒼穹はいわゆる『まとも』な存在であった。まとも過ぎてどう話していいのか困っているとも言える。
 接近してくる相手の前で紙ごみを丁寧にたたんでポケットにねじ込むと、ゆるく腕を組んで首を傾げる。視線はあらぬ方角に揺れていた。)

「忘れちゃった気がするだけ。本当に忘れたのかも忘れちゃってて……思い出すべきなのかな。
 思い出さなくてもいい。『開き直って諦めるべき』なのかな。
 だとしたら悩むなんて、ばかばかしいのかなと」

(メモリーの一部改ざんを行われていることについて自覚は無い。
 改ざんされた以外にも損なわれているメモリーがある。
 時折思い出すせいで、判断に迷っていた。
 何もかも忘れて今の生活を送るならば楽なのだと思う。とても楽しいし、愛してくれる人も居る。関係が狂気に満ちていたとしても理解者がいるならば。
 暗に思い出したいのだと言っているようなものとは気が付かない。)

蒼穹 > わお、大分機械的な反応だねぇ。
あっはは、いやなら結構だけど、ああ…一応名乗っておくね、一年の蒼穹《ソラ》って言います。
対人関係ってのも、名前知った上じゃあないとね。
…ん、友達…いないの?

(大分常識がないのか。その子が「友達」と反芻した際、まるで海外の料理の名前を自慢したときの様な反応だった。
「フォアグラ食べました」「フォアグラー?」…と、この様に。
因みにここでは全く関係ないし、表にもならないのだろうが、多分己はそんなに『まとも』ではない。
所謂『ロクデナシ』というのに値する様な存在。といっても、己はその子がどういう存在か看破で来ぬように、
その子も己がどういう存在かは看破出来ないときた。割と好ましいのかもしれない。
ただその子の内なる暴力的なコミュニケーションというのが、この場に置いて見せられるかは…そう低くない確率かもしれない。
時計塔の頂上からゴミを投げ捨てない辺り、割と律儀なのだろうか。)

物によるんじゃない?っていってもそれがどんなものかさえ忘れちゃったからどうしたらいいのかも分かんないんだろうけど。
記憶喪失かい?そんなんじゃなさそうだけど。
…どうすりゃいいかなぁ。ふぅ。
(一息。
乗り掛かった舟ではあるが、何となく断片的すぎて上手くまとまらない。
いや、意見をする事はいくらでもできるだろうが。
からん、とその子へと寄った足の向きを変えて、時計塔の縁に歩む。
外を見上げれば夜空と星。白と黒の境界にぼやけて滲む光が綺麗。
くるん、とその子の方に向き直って。)
悩んだら、解決するの?
何か、記憶を取り戻すか戻さないか、二者択一を迫られてるの?

ハイドレンジア > 「ソラさん? うん、覚えた。
 ぼくはアマナ。にー ……2年生。
 友達はいないよ」

(同じ一年生と言ってしまうと身元がバレる可能性があるということくらいは悩めるアンドロイドにも理解できたことだ。少し言い澱んでから嘘をつく。嘘を見破るのは容易だろうが、見破ったところで調べられるものでもない。
 ゴミは投げ捨てない。はしたないことはしない。アマナの言う思い出せないことに該当する行動であることは、アマナ自身にもわかっていない。無意識的に実行しているに過ぎない。
 腕を組んだまま唸り続けている。磁界の狂った方位磁石を手にさまよう旅人のようだった。)

「記憶喪失……かな。たぶん。どこまで忘れて、どこまで思い出してるのかも分からないけど。
 迫られてない。誰にも、そうしろなんて言われてない。思い出さないといけないなんて、決まりは無い。
 だけど、忘れちゃいけないことを忘れてるみたいで、悲しい」

(迷子の子供を諭したときのようなたどたどしい言い方だった。
 言葉を必死に選んで、言ってはいけないことをフィルタリングしながら紡ぎだしている。
 暴力的な会話なら考えることもない。相手に殺意をぶつければよかったのだ。通常の会話がこうも苦しめるものかと眉に皺を寄せる。
 結局、解決しない問題に悩み続けているだけ。
 大きく首を振ると蒼穹の隣に並んで立つ。
 相手が酷く捩れ狂った本性を持っていようが構わない。なにせアマナ自身壊れた機械に等しいのだ、悩み事を聞いてくれるだけで十分なのだ。
 相手のほうを見ずに空を見つめている。蒼穹というよりも漆黒に限りなく近い。)

「ソラ。ごめんね。話したらすっきりした。
 悩んでも解決しないってよーくわかった。」

(嘘だった。すっきりどころかこじれている。
 嘘をついてはいけないよ。誰かの言葉が脳裏で反響するも、聞かなかったことにしておいた。
 『姉』とのリンクはノイズが酷すぎて切断されている。)

蒼穹 > そう、アマナね。私も覚えとくよ。
…異邦人かい?

(「だったら私が友達になろうか。」と、気のきいたセリフを言いたいところだが何故かしら憚られた。
それは、己がこう言う存在だからではなく、多分、先程からちらちらと伺える彼女からの違和感に依るものか。
といっても、様子見みたいなもので、馴れ馴れしい己は一つ段を上がればすぐにそんな気のきいたセリフの一つや二つは出すだろうが。
余談だがサボリなので多分一年といってもばれない。また、職務放棄者みたいなものなので身元がバレても「それで?」で終わり。

狂った方位磁針を持つ旅人。或いは狂っているのは彷徨う旅人の方なのかもしれないし、両方狂っているのかもしれない。
悩まし気に唸る様はしかし、時計塔の上にはやはり変わった人が集まると再認識させるのみで。)

…そんなもんだよ。
人は忘れるから生きていける。全部覚えてたら壊れるんじゃないかな。
かく言う私もさっき言った通り、色々忘れちゃってねー、もう笑い話にしかならないんだけどさ。

(「決まりは無い」…まるで何かの決まりに従って生きているような言い方だと不自然に感じる。
殺気をぶつけたなら己はこの塔でちょいと遊ぶのも吝かではない。
だが、―――今は、そんなムードではないだろう。後続する足音に後ろ目にて一瞥を遣る。
黒い空を背景に広がるその子の髪。炎というには少し淡いが、長く伸びた先は、ともすれば箒星。

眉に皺を寄せる様は、「やっぱり一人にして欲しかったのかな」とのズレた懸念を抱かせる。

青かった空は時を刻んで色を変える。青から赤へ、黒へ、白へ…。)

良い景色だよね。

(何の意もない。最初と同じように、問を遣る。ただ、少し、同意を促す様な形で。)

あっはは、そう。なら結構。
…んで、悩み自体はもういいのかい?
(その子に向き直る。相変わらず漆黒を見据えていようが、此方を向こうが言葉を続ける。)

ハイドレンジア > 「別の世界から落ちてきたんだ。
 だから異邦人っていうやつ? かな。 遭難者みたいな」

(この学園に来て日が浅い。知識は危ういが異邦人の意味くらいはわかった。
 同意をする。
 アマナの人間を模した形態はほぼ完璧に近い。人工物の結晶とはいえ、見破れる可能性は限りなく低い。故に会話がおぼつかない少女あるいは少年がしゃべっているだけに捉えられるであろう。
 距離感を相手が感じても仕方がないこと。心を開いても居ないのだ、距離感があるのは当然といえる。
 決まり、ルール、システム……ありとあらゆるものに縛られているのがアマナという固体。今は泥沼のような愛情という枷に嵌められて幸福感さえ覚えている。
 それでもなお思い出したい忘れたくない記憶を追い求めて苦悩しているのだ。
 蒼穹の名に等しい深い青の髪が風にあおられている。赤と青。対照的な色合いが隣同士。
 そらは綺麗だろうか。
 綺麗だと心から思う。ようやく、わずかばかりに口元に笑みを乗せた。)

「うん。とても綺麗。そらは大好きだよ」

(アマナは空を見つめ続けていたが、やがてソラのほうへ青い目を向けた。右目は眼帯に覆われ痛々しい。)

「自分で解決したいと思う。わたしの問題だから。ソラさんは悩みをなんでも解決できる能力とか持ってたりしないんでしょう」

(一人称がぶれる。女性的な服装をしているのだから私という人称のほうが合致している。
 決意をあらたにした目で頷いてみせる。
 決意の中に不安と悩みを大量に内包しているというのに。
 もし悩み事を瞬時に解決できる異能があったとしたらそれはもはやヒトでも神でもない。悪魔的な何かである)

蒼穹 > そう…。
私も似たようなもんかな、異邦人。

(初対面であるが故に、距離感を置くのも当然だろうし。
高所であれば、一層風も吹き抜けるのだろう、髪が揺れるくらいには。
夜の風は、初夏の物でも涼しくて。高い所に登って良かったと感じさせられる。

落っこちてきたのなら、頭を打ったのかもしれないし、この世界に適合が住んでいないのかもしれない。
よもや何らかのアンドロイドであるとも思うまい。目論見通り、会話がおぼつかない、少し幼さが感じさせられる何かと会話している気にしかならない。

赤い髪、こちらに来てから結構見たけれど、蒼い髪は見なかった。)

…そう、だね。高い所に登るとさ、空に近づける気がして…なんてね。
馬鹿と煙は高い所に登るって言うし、真偽は不明、さ、あっはは。

(あ、笑った。僅かな笑みは広がるか?そう思って、軽く冗談を付けたす。ダメ元だが。
かちあう瞳は青と青。右眼の眼帯は…触れないのが礼儀だろう。
己が返す表情は、悪く言えば馴れ馴れしさを前面に押し出した笑みで。)

そう。…ま、そりゃそうだろうね。
さぁね?これでもちょっと腕には自信があるから…案外なんかの役に立つかもね。知らないけど。
でもま、アマナ自身はそれを望まないだろうけどさ。

(さて、女性的であるが故、ここではその子を彼女としておくが、目の色が変わったのは、恐らく気のせいではないだろう。
ますます人間味があるのも間違いではない。ただ、「自分で解決したい」というその意思は汲み取った。
よもや、思うまい、悪魔というか、神から外道に堕ちた邪神めいた存在がこんな所で呑気に夜空を眺めているとは。
時折、言葉が狂れるのも、きっと彼女が見た目以上に幼い精神を持っているが故なのだと完結させた。)

ハイドレンジア > 「いと高きものになろうと……なんだっけ」

(ふと思い出した言葉を紡ぎ上げる。言葉は布にはならず失敗作に終わった。
 なぜその一文を選んだのか、なぜ思い出したのかはアマナにも分からない。
 まさか相手の正体が自分が打倒すべき神に類する存在であるとは思いもよらない。アマナが数式が神も悪魔も征服した世界からやってきたことも偶然であろうか。ようは偶然が重なっただけである。
 いと高きものになろうとしたものは奈落に落とされ地球の中心で腰まで氷に漬かっているらしい。
 笑みは広がりはしなかったが消えることなく燃え続けていた。
 人のよさそうな笑みに返すのは、ぎこちない笑みだ。笑みには笑みを返すこと。分かっていても実行に移す段階になると困難なことを理解する。戦闘兵器として優秀でも工作員や諜報員としては劣っているのかもしれない。
 眼帯。まさか、自分で目玉をくりぬきました、とは絶対に言わない。口が裂けても言えないし、言うつもりはない。)

「うーん。役に立つような力があるなら頼っちゃうよ。
 僕にアイスおごってくれる能力とか」

(ぺろりと舌を覗かせてジョークだよと表現する。いやに人間臭い笑みを浮かべて。
 自分でやると言ったのだ。頼るつもりは無いのだ。
 人間味に欠ける受け答えや、幼い言動ばかりのなかでも時折普通の言動が表れる不自然さ。機能不全やメモリーの損傷が影響を引き摺っている。
 涼しい風が突き抜けていく。上昇気流にのった落ち葉がゆらゆらと塔を超えて行く。風を失い落ちて――見えなくなった。
 アマナは再び柵を乗り越えて腰掛けた。落ちたら真っ逆さまだが怯える素振りは皆無である)

「いい風……」

(己の赤い髪の毛を指で梳く)

蒼穹 > …なんだろう、ね。何かの知識か、偉人の言葉かな?

(彼女は何を思うたのか、下らない冗談だと鼻で笑ったわけでもなければ、面白い冗談だと賞賛して笑い転げる訳でもない。
高くなろうとして逆に奈落に転落するとは、それこそ聞かされれば己は面白い話だと笑い転げるかもしれないが。

表情やら言葉やら、コミュニケーション力が疎いか。幼いと思っていたが、それは誤りかもしれない。
そもそも、コミュニケーションの必要性がない存在にさえ思えてきた。アンドロイドかどうかなどさておき。
ただ、異邦人にはそういう人がいてもおかしくない。だからといって何をするわけでもないが。
己に害を為すなら何であれ壊すし、己に益を為すならそれが何であれ受け入れる。主観多量。
こうやって話している分には害も何もない。ただ、気まぐれで登った塔に、こちらから話かけた事に応じてもらっているだけ。)

ふぅーん、そりゃー実力でも何でもない。
アイスねぇ…まあそれくらいなら良いか。やれやれ、今月も私は火の車だよ。

(冗談を冗談で返したのだが、割と本気にしてじゃあ奢ってと話が進展するかもしれないし、するかもしれない。
やれやれと肩を竦める半笑いを返しておく、同じく、冗談である事を示す為に。

ころころと変わる一人称だが、不安定なのだろうか。
吹く風に揺れる木の葉も不安定。
「危ないよ」と、彼女の背中に呼びかける必要はないのだろう。
ここから落ちても無事な人等ごまんといるし、そもそも落ちる概念さえ無い人もいる。
平然とそれをやってのけるなら、前者か、後者か…或いは狂人か馬鹿。
柵の向こうで吹く風は、普通より一層強いのだろう、ゆらり、赤い髪が揺れるのを見遣る。

髪を梳くというその仕草は―――先程までのノイズがかかったそれと違って、嫌に人間らしく見えた。

すっきりしたといったけれど、それは彼女の嘘で。
それに気付くこともなければ、大して深く気にもしない己は、彼女の悩み事はすっかり解消したものだと思っていたが。
柵の向こうで腰かけた、彼女は一体何を思うのか。)

涼しいね…。

ハイドレンジア > (哲学するのもいいが用はアイスは好きなのだ。
 さっき食ってまた食うのかと誰かに話したら飽きられてしまいそうだが。奢りの話をするときは奢るようなことを一瞬でも見せてはいけない。奢ってくれるのかなあと本気の視線で見つめている。冗談を冗談ではなくするつもり。冗談じゃないと笑い飛ばすもよし。
 奢らせるだけの技術はなかった。よって、ふん、とそっぽを向いて話を終わらせるだけにとどまるだろう。
 柵に腰掛ける。たとえ落ちても大丈夫な存在であるが故に、恐怖など感じない。バランスをとりつつ地平線の丸みを探している。)

「ちぇーケチー」

(アイスはおじゃんだ。気温が涼しいといっても普通に食べる人種だったらしい。自分で買えばよかろうが。
 悩み事について話すのはやめたらしい。どうせ解決しないとさじを投げたのか、解決するために努力を継続しますと心に秘めたのかを語ることは無い。
 髪の毛をしばらく梳いていたが手を止める)

「時間とらせてごめんね。
 そろそろいかなくちゃ。姉さまが待ってる」

(姉。まさか、異常な関係性であるなどと思うまい。
 口調はごく自然で自分の姉妹に呼ばれているから会いにいくといった様子。頬を緩め嬉しそうな表情をのせている。機械的な言動の目立つ中でも人間的な仕草。想う相手が機械であることは皮肉としか言いようが無い。
 柵から飛び降りて飛翔してもいいが、流石に怪しまれる。
 柵から内側にぴょんと腰を下ろすと、出入り口の方角へと歩き始める。途中振り返って蒼穹のほうに首を傾げてみせる)

「いっしょにおりる? 残る? おりるならアイスを……ごめん冗談だって」

(火の車に奢らせてしまっては炎上して灰になってしまうだろう)

蒼穹 > …ふーん、お姉さま、ね。

(なんというか、彼女に姉がいるなら、その姉は苦労しそうだなぁ、と思う。
普通に転移なり飛翔なりする人が出来るのだから、多分その懸念は杞憂であると、きっと己は指摘するだろう。
それは、彼女が心配性過ぎる故か、己が超常的な現象をごく当たり前の者として受け入れる故か。
頼られてるんだろうな、というのはその表情から察したが、事実か否かは知らない。)

結構結構。奢ってあげてもいいよ。
その代り…そうだね、今度なんか奢ってよ。もし会ったら。

(適当な約束を取り付けようと。己も見上げた夜空から視線を外して、降りる階段へと足を踏み出した。
ちゃっちゃと転移してしまえば良いのだが共に降りるのも一興。

火の車が奢って灰になろうとも、きっと不死鳥の様に蘇る、幽霊風紀委員の不労所得。

財布を探ると、768円入っていた。アイスクリーム一つ買うのには十分すぎる。
別に奢る事は吝かではない。露骨に機嫌を悪くされてしまうのは流石に宜しくないだろう。

ついでにいえば、己も商店街にでも寄る気になったところだ、同伴に与ってもらうのも、悪くあるまい。
ひとりさみしくぽつーんと買い物をするよりは、恐らくマシだろうし。)

んじゃま、降りよっか。

(さて、彼女が一体どういった人物であったかなど己としては露と知らない。
異常を集合させたようなこの偏屈な島に紛れる1つ2つの異常などよくあることだ。
常と異なるの意で異常。常世というのに中々笑える話。
たん、たん、たん。一足お先、3段、階段を下りた。)

ハイドレンジア > (ずるい。相手が三段降りるなら、四段まとめて走破する。子供にありがちな自分が先に行こうとする心理。
 アイスクリームを奢ってもらったとすれば借りがひとつできたことになる。
 借りは返さなければならない。次遭遇したのならば返すべく行動するだろう。
 赤髪は青髪と共にその場を後にするのであった)

ご案内:「大時計塔」から蒼穹さんが去りました。
ご案内:「大時計塔」からハイドレンジアさんが去りました。
ご案内:「大時計塔」に鈴成静佳さんが現れました。
鈴成静佳 > (ガチャリ。時計塔の屋上の塔屋に備わった、重い扉を開ける)
(風圧が重い。高所なので風は吹きすさび、もはや真夏といえる時候の昼下がりといえど涼しい)
(遮るもののない陽光は肌に厳しいが)

……ふぅ。やっぱり、ここはいい場所ッスね。涼しくて。

(澄んだ空気を肺いっぱいに吸う。こんがりと焼けた肌から、汗が急速に乾いて散っていくのを感じる)
(そのまま、屋上のふちに張られた柵へと歩み寄っていく。前回来た時は、ここからの景色を堪能することなく、悩み事と会話に終始した)
(一度は、景色を見ておかねば。常世島の全景を)

鈴成静佳 > (常世島は、島だ。名前から自明であるが、静佳はそれを、全周を一望できるこの場所にて、改めて認識した)
(傾き始めた太陽が強烈な光を投げかけ、海面はキラキラと輝きスパンコールのよう)
(本土は見えない。360度、水平線だ。そうだ、夏休み中に1週間くらいはは故郷に帰らねば……)

………。
(太平洋に囲まれたこの島。いったい、何千人、何万人の人間が住んでいるのだろう。詳しい値は生活委員といえど正確には把握していないようだ)

(南に向かう。眼下には、色とりどりの屋根やビルの並び。静佳たちの住まう、居住区だ)
(自分の友人の大半も、そこで暮らし、生活を営んでいるはずである)

鈴成静佳 > (そして、視線を東側へと移していく)
(一般的な日本の街並み、といった雰囲気は徐々に遷移し、手前には雑居ビル群、奥手には低く古風な家並みが奇妙なコントラストを作る)
(歓楽街、そして異邦人街。まだ静佳は異邦人街には脚を踏み入れたことはない。危険度は薄いだろうが、あまり用事があるわけでもない)
(異邦人の友人と、夏休みに会って遊ぼうと思ったら行くことになるだろうか。しかし、そこに住む友人はいたかどうか……)

(さらに視線を東に送ると、半島のように突き出た地区のビル群はさらに雑然となり、心なしか大気が赤茶けているようにも見える)
(落第街。自分にはきっと、無縁な場所……)
(一度だけ、脚を踏み入れたことはあるが。自分の意志で探検したい場所ではない)

鈴成静佳 > (……不法入島者。違反学生。二級学生)
(そういった者たちが、あの狭く雑然とした空間に、多く住んでいるという)
(それは、常世財団が認識していることではないというが、きっとそれは「黙認」というやつなのだろう)

(自分が入学した当初は、漠然と「あの地域は治安が悪い」程度に認識していた。そして、それに隣接する歓楽街も、ある程度は)
(しかし、保健委員として生活委員会の一員になったことで。また、メーリングリスト「ゲマインシャフト」の情報を垣間見ることで。それらの存在を少しずつ知ることとなった)

(彼ら、彼女らがどんな人たちで、どんな生活を送っているのか。静佳はまだよく知らない)

鈴成静佳 > ………。

(生活委員会の任務は、「学園関係者の」生活を守ることだ。あそこに住まう者たちは、基本的にその範疇にない)
(その必要はない、と断言してしまうのは心苦しいが、二兎を追えば一兎も得ず。手を広げすぎるのは考えものだ)
(きっと、落第街を管理している者が別にいるのだ。静佳の知らぬ別の委員会の別の課か、あるいは常世財団そのものか)

(……あるいは、管理などもなく。住人たちが自らその世界を維持しているのか)

ご案内:「大時計塔」に黒神 蓮さんが現れました。
鈴成静佳 > (あそこに住む者たちとて、生きている。生活をしている)
(ならば生活委員会という肩書において、サポートしたいと考えてしまうのが静佳。しかし、そもそも人間はサポートなしにも生活はしていける生き物だ)
(インフラというのは、生活を楽に豊かにするための物だ。税金とか、そういった対価をもって、我々はそれを享受している)

(……では、「ここ」と「あそこ」を分けているものはなんだろう?)

(答えは、単純に言えば「学生証」であろう。彼らはそれを得られず、または失い、しかし常世島に居残る必要があり、生活を続けている)
(世界が「変容」して半世紀。未だこの島は、異能者・異邦人にとってはユートピアに近いのだろう)

(しかし。「ここ」と「あそこ」の境界は、思った以上に脆弱な気がする)

黒神 蓮 > (かつん、時計塔に響く足音)

(風紀委員として、教師として、一年前から暇なときは時計塔の見回りを行うようにしている)

(この時計塔、警備が薄いからか立ち入り禁止を破り侵入する生徒が後を絶たない、かくいう自分も学生時代に侵入したことがある)

(可能性は低いと思うが、この場所で何か妙なことが行われ、それに生徒が巻き込まれるかもしれない)

(そんな理由を胸に抱きながら、塔屋に続く扉を開けた)

「……何してるの、ここは立ち入り禁止の場所」

(扉の向こう、制服を着た少女が街を見ていた、義務としてとりあえず注意を)

鈴成静佳 > (びくっ)
(制服の後ろ姿が目に見えて震える。そうだ、多くの生徒がここを公然と使っているとはいえ、表向きは立入禁止だ)

(考え事をとりあえずやめ、苦笑いを浮かべながら振り向く少女)
……アハハー、ごめんなさい。ちょっと、この島の景色を眺めたくなっちゃって。
(ぺこぺこと頭を下げながら、風吹きすさぶ中でもよく通る声で答える)

(制服を見て)風紀委員さんッスね。すぐ立ち退くんで、今回はどうかお目こぼしを……。
(……と言いつつも、まだこの景色に未練があるようだ。入り口にまっすぐ向かわず、柵に沿って歩く)

黒神 蓮 > 「ここは一応立ち入り禁止、なにか壊したら大変だし、今度から気をつけること」

(少女の苦笑いにため息をつきながら、念押しとばかりに注意する)

(柵に沿って歩く少女を横目に見ながら、すたすたと柵に向かって歩き、身をのりだす)

「……ま、ここに来たがる気持ちもわかるけど」

(黒い目が見据える先は海の向こう、ここからでは本土は見えないが、常世島は一望できる)

(学生時代は何度か時計塔に侵入したことがあるし、こうやって目を凝らして本土を見ようとしたものだ)

(結局、一度も見られなかったけど)

鈴成静佳 > えへへ、ごめんなさーい。
(頭を掻きながら、ちょっぴり悪びれた素振りで謝罪)
(しかし、連行されるわけでもなく、ましてや当の本人も景色を見ようと柵から身を乗り出すのを見れば、静佳も脚を止める)

……うん。ここの景色、いいッスよね。
(再び、島の南部へと目をやる。太平洋上のため、位置的に本土は北か西か)

この島って、ほんとに色とりどりで。いろんな人がいろんな所に住んでいて。
見ていて飽きないッスよ。
お兄さんもここの景色、好きなんスね。フフッ。

……あ、アタシは鈴成静佳。1年で、保健委員。……生活委員の一員なのに、こんな所に入っちゃって、すまないッスね。
(海岸のほうに目をやりながら自己紹介。高所はそんなに得意ではないし、柵も錆び付いているため、身を乗り出すことはしない)

黒神 蓮 > 「……ああ」

(首は景色の方を向いているが、少女の言葉は聞いていたようで肯定を返す)

「この島は綺麗なものばかりじゃない……異界の怪物、違反部活、委員会暗部、危険なものも内包している」

(そう語る声は淡々と、しかし確固たる意思を纏うように)

「そんなものにこの島をズタズタにされる気は無いから、守れるものは守らないと」


「……黒神・B・蓮、付与魔術科教師、風紀委員もやってる」

(自己紹介を聞き、体を少女の方に向けながら自分も自己紹介)

(別にこれ以上注意はしないけど校則違反はすんな、みたいな目をしながら)

鈴成静佳 > 黒神さんッスね……付与魔術の教師。……教師ィ!?
(目をひんむいて、驚いた表情で黒神さんの方を見る。どうみても、自分と同い年程度かそれより若い少年だ)
……あ、いや、ごめんなさい。人は見た目によらないッスもんねー。アハハー。
(感心したように目を細め、その小柄な姿を眺めながら微笑む)
そう言えば、あちこち包帯だらけッスね。怪我したんスか?

(そして、「綺麗なものばかりじゃない」という言葉には、島の南東の方に一瞬視線をやる)
……うん、そうッスね。危険で、普通の学生の安全を脅かす人やモノもいっぱい居る。
同じ学生の安全や安心、健康は守りたい。その点については、道は違えど風紀委員も生活委員も目指すところは同じだと思うッスよ。

……でも。怪物のことはよく知らないけど。
(再び、島の東部へ首を向け)
あそこに住んでいる人々も、生きていると思うんスよね。事情があって、あそこで、精一杯に。
悪いことをした人には相応の罰は必要だけど、でも、守るためには、守るだけじゃなくて。
悪いことをしそうな人たちへのケアやアプローチも必要あるんじゃないかって。
自分はそう思ってるッスよ。……といって、具体的な案はないッスけどね。フフッ。

黒神 蓮 > (驚愕の表情には特に反応せず、寧ろ慣れているように)

「そう、教師……一応本土の法律ではお酒飲める年齢
……この島にはそういう存在は多いし、そのうち慣れる」

(そう受け流し、包帯への質問には)

「怪我したというか……風紀の仕事で色々と怪我のあとが残ったから、そういうの隠すため」

(現在は一線を退いているが、学生時代には犯罪者の摘発や捕縛で生傷が絶えなかった、包帯はその傷跡を隠すためにしている)


(島の東部に向けられた目線、それに合わせて発された言葉)

「……まあ、あっちで問題を起こしている人には、こっちの常識を知らなかったり、誰かに強制されて嫌々やってるひともいる
そういうひとをなんとかするのも委員の仕事なんだろうけど、うまくいかないよね」

(何度も歓楽街や落第街で摘発を行ってきたが、そういう存在は多い)

(しかしそういう存在は脛に傷があるものが大概で、摘発してはい終わり、だけだと社会復帰できないのだ)

鈴成静佳 > ……常識、かぁ。
(常識。たとえば法律。たとえば人間の生活様式。たとえば倫理の観念)
(異国の者ばかりでなく今や、異邦人を含め、さまざまな種族が入り乱れる世界)
(成人しながら性徴前の容姿を保つ者もいれば、人間離れした巨躯を持つ者もいる)

確かに、この島って、なんだか常識離れしたモノが多すぎるッスよね。
本土の田舎に居た頃には、ファンタジー程度にしか捉えていなかった物事が、溢れていて。

だから、こちらの常識を教えるのも大事だけど。
向こうの常識ってのを知るのも、きっとコミュニケーションの手助けになるとは思うんスよね。
異邦人とか、異能のことだって。異能は便利なだけじゃなくて、それで辛い目にあってる人も多いはずだから。

(黒神さんの小柄な体に近づき、柔和な笑みで顔を見つめる)
黒神さん……いや、黒神先生、かぁ。
黒神先生は、この島でそういった、常識の違う人たちのことを考えるとき……上手くやっていきたいと思うとき、どういうふうに考えるんスか?
ちょっと気になって。変な質問しちゃってゴメンナサイ。でも、アタシもいろんな人の意見を聞きたくて。

黒神 蓮 > 「うまくやっていきたいとき?」

(鈴成からの問いかけに、んー、と考えごとの表情)

(彼女が真剣に質問しているのはわかるし、これは真面目に考えるべきだろう)

「……まずは、こっちの意思をハッキリさせる、相手に勘違いされたら大変だし、自分から友好的な態度を示さないと相手に伝わらないから
それから……こっちの常識を押し付けず、相手の話もちゃんと聞く、相手に譲歩させるんじゃなくて、こっちにも譲歩するべき点があるんじゃないかって考えるべき
……まあ、これは異邦人だけの話じゃないけど」

(今話したことは何も異邦人だけに当てはまることじゃないし、人とコミュニケーションするときには大概当てはまるものだ)

(そう考えれば、地球の人間と異邦人の間にはそれほど差が無いのかもしれない)

「それにしても、こういう質問をするってことは異世界に興味があるの?
別に答えなくていいよ、そろそろ帰るし」

(言葉の調子は軽く、ただ単に気になったからという様子で)

鈴成静佳 > こっちの意思をはっきり、ッスか。なるほど。
(空を見上げ、口を尖らせる)

……いや、こんなこと聞いたのは、異世界というより異邦人のみんなと仲良くなりたいな、って常々思っていたからなんスけどねー。
友達は多いほうが絶対いいッスもん。えへへ。
だから、こちらの意思はとりあえず「仲良くしたい」ッスね、アタシの場合。
……ただ、まずそこで躓いたこともあって、ちょっと困ってたんスよ。

(それが通じにくい相手もいた。仲良くしたいという意思、そのものに拒絶感を示す人も)
(そういった人にまずどう接すればいいか。きっとそれが問題だ)

……話を聞く。大事ッスよね。相手が何を求めているかを知りたい。わかれば、してあげられることはしてあげたい。
それが保健委員の、生活委員の仕事だと思うッスからね。
風紀委員さんはもう少し違う事情になるんでしょうけど……。
(風紀を守る。それはきっと、彼我の常識と常識をすり合わせ、穏当な落とし所を見つける仕事)

意見、ありがとうッスよ、黒神先生。(頷きながら)
自分は結構譲歩をしてるつもりだったんスけど、今まではちょっと最初の押しが強すぎたかなー、って気になってきたかも。フフッ。
風紀の仕事、頑張ってくださいね、先生。(にっこりと笑みを浮かべ、小柄な少年を見つめる)

ご案内:「大時計塔」に黒神 蓮さんが現れました。
ご案内:「大時計塔」に黒神 蓮さんが現れました。
ご案内:「大時計塔」に黒神 蓮さんが現れました。
ご案内:「大時計塔」に黒神 蓮さんが現れました。
ご案内:「大時計塔」に黒神 蓮さんが現れました。
黒神 蓮 > 「意見が役に立ったのなら何より」

(それだけ言うと出口に向けて歩き出した、もう帰る時間らしい)

「君がこれから異邦人に対してどう向き合っていくか知らないけど__良い友好関係を
それじゃ、さよなら」

(扉を開き立ち去ろうとして__顔は相手に向けずに、それだけ言ってこの場を去った)

ご案内:「大時計塔」から黒神 蓮さんが去りました。
鈴成静佳 > うん、ありがとう、黒神先生。話に乗ってくれて。
この島はアタシもあと3年以上は住むことになる島ッスからね……居心地のいい場所にしていきたいッスよ。
(去っていく先生越しに、島の遠景を眺めながら)

……っと、屋上に入るのも控えるようにするッスね。ご迷惑をお掛けしました。
それじゃ、また!(笑顔で見送る)

鈴成静佳 > ……仲良く、なりたいッスね。

(もう一度、島の南側の景色へと向き直り)
(柵を越えて、火傷の痕の残る左手をかざす。街並みが掌に隠れる)

(《過激な握手》という、自らの生き様。でも、自分はそろそろ大人になるべきなのかもしれない)
(いきなり踏み込まず、ゆっくりと、相手を知る。それも大事なことなのかもしれない)

(実際は、まだ迷っている。生き様は生き様だ)
(しかしそれを決めるには自分は若すぎる気もするし、そしてこの島の暮らしにはまだまだ時間がある)

(きっとこの夏休みに、自分はいろいろと大きな経験をできるだろう。良いことにせよ悪いことにせよ)

……フフッ。楽しみッスね。

(澄んだ笑顔のままで鼻を膨らませ、さいごに1つ夏の空気を肺いっぱいに吸い込むと、静佳もそのまま塔を降りていった)

ご案内:「大時計塔」から鈴成静佳さんが去りました。