2015/08/15 のログ
ご案内:「大時計塔」に蒼穹さんが現れました。
■蒼穹 > (時間は、夕方と夜の間頃。気温は涼しくも温くもある、微妙なところ。
ただ、普通の感性の人間がいれば丁度快適と感じられる程度の温度ではないだろうか。
己が転移荒野の他に、暇があったらうろつきたくなる場所と言えばここ。
夏休みを与えられたは良いが、暇であった。…こうして持て余す程には。
ついでにいえば宿題なんてなかった。
生徒立ち入り禁止とあるのだがやはりそこは全く考慮の外。堂々と、まるで「え?そんなのあった?」と言わんばかりに敷地に踏み入る。)
…ふぅ。
(一息。時計塔の付け根、一番下から、時計塔を見上げる。
今日はあそこにはだれかいるのだろうか?
この塔を登る人は、大概酔狂だと思う。実際時計塔の頂上で会う人は酔狂な人ばかり。
そもそも、人とはどこまで人なのか、そもそも人でない存在ともあったが、取り敢えず酔狂であることに変わりはない。
…己もまぁ、その一人と言えば一人だが。
最下段、すぐそこに階段が見えるだろう箇所にて暫し休憩。
一番上に行こうと思えば階段を登らずとも一瞬で行けるのだし。)
■蒼穹 > (一度、登らないと決めれば登りたくもないもので。
怠惰な思考をぐるぐるしながら今一度時計塔の頂点を見上げる。
目に人影が映るかどうかなど分からないけれど、少なくともいえることはやたらでかい「橘」が見える。
相変わらずザルな警備。
それどころか人っ子一人として居はしない。
きょろきょろとあたりを見まわして再確認。
…やっぱり、誰もいない。)
んー…どうしよ。
(或いは、この高い高い一番上に、誰かしらいるのだろうか。
いたとすれば、この時間帯に物好きなものだが、案外誰か居るかもしれない。
無論誰かいてどうと言う事はないのだが、酔狂な者同士、話が合う事もままある。
そう思って、葛藤を始めた。
登ろうか、登るまいか。…いや、別に登る必要ないじゃん、転移魔術あるじゃん。
そんな思考を巡らせながら、階段の最下段へと歩み寄って。見上げる。)
…ううん。
(と、思いきや引き返した。
どっちつかずだがしかし、やっぱり登る気も、頂上を確認する気も起きない。
後からやってくる客に知った顔とかは居ないだろうかと、また見上げ始めるのだった。)
■蒼穹 > …さて。
(今日は、誰も来なかったかのだろうか。
まぁ、見落としているだけかもしれないし、先客が居たのかもしれない。
それがどちらかなど己の知ったことではないが。)
帰ろっかな。
(次は何処で暇を潰そうか、なんて割と悠長でのんびりした考えを馳せながら伸びを一つ。
くるっとUターンすればそのまま引き返した。)
ご案内:「大時計塔」から蒼穹さんが去りました。
ご案内:「大時計塔」にオリハさんが現れました。
■オリハ > 大時計塔上部。
広間のように少しだけ開けた場所は、夏の暑さとは少しだけ離れ、無音の中に肌寒い風が通る。
その空中に、ダイアモンドダストのように煌めきだけが浮かぶ。
まるで羽虫のようにその場で滞空していたそれらは、やがて長い時間をかけて人の形を取った。
■オリハ > 「…………、ァ…。」
人の形は、妖精のようだった。
羽虫から象られたその美しさは、蝶にも似たような美しさがあった。
―――そして死にかけの蝶のように、その各部に傷がはいっていた。
髪の色がまるで塗装を剥いだように、所々色褪せるようにその金色が汚れたようにくすんでおり
瞳には力がなく、輝きを失った青は深海の如き紺色に淀んでいた。
長らく着ていた制服も、各所が大分よれよれになってしまっている。
「………時間切れ、かなー……あはは………は……」
軽く頭を振って、片隅に置かれた古ぼけたベンチに腰を掛ける。
■オリハ > ぐったりと、ベンチに体重をかけて胸ポケットを弄る。
もぞもぞと弱い握力で狭いポケットからやっとのことで取り出した物は、携帯だった。
「………うー………」
充電は残り1桁を示しており、もうじき何処かで充電をしないと使えなくなるだろう。
仮初めの宿主である自分は、身体が覚えている知識事象を本を読むように確認することが出来る。
けれど、「本」を読むというのは彼女にとって実に苦痛で面倒くさく、そしてその知識を使うのはつまり説明書を読んで改めて自分で扱う事に実践しなければならないということで、その利点を生かし切れないのが宿主としての欠点だった。
つまるところ、彼女は「充電」という行為が出来ない。
―――そんな彼女が、その慣れぬモノを疎ましげに眺めているのにも訳があった。
■オリハ > 「慧君……。」
メールを送ったのが、2日前の晩。
つまり、昨日の昼が刻限だった。
そして、今日の昼が、本当の本当の刻限だった。
もう、何度も心の奥。 籠の中に入れた小鳥が歌っている。
『もういいかい』 と。
まだ、もう少し。と、延ばしてはいたが2週間を過ぎれば一度は連れださねばならない。
……そして、籠を開ければ外を知った/思い出した小鳥は空へ飛び出すことを願うだろう。
ついでに、色々遊びすぎた覚えがあるのであの子は私を怒るだろう。
それは避けたいのでそれまでに「決着」を付けたかった。
……「別れの言葉」を言いたかった。
計画なんて立てない思いつきの行動が"自分達"の普通だったが、ここは持ち主を見習って予定表の一つでも作るべきだったと思う。
なにせ、そのせいで宿題が終わらぬ学生のように泣きを見る羽目になったのだから。
■オリハ > 「あ、後一日……後一日だから……。」
願うように、引きつった笑みで体を抑える。
けれど、身体から徐々に漏れる魔力を止めることは叶わない。
羽根が消え、黄金の光は薄れ、青は黒に染まっていく。
―――籠の鳥が羽ばたく。
籠を揺らし、鍵を突付き、その扉を強引に押し開いていく。
「クッ! さ、最期ぐらい友人の顔を立てるとかあるでしょ……!
『楔』が無くなって、顔馴染みが呼ぶから態々顔出しに来たっていうのに、この……ッ!」
だんだん、『限界』が近づくのが解ると引きつった笑みが弾けて
半ギレ―――相手が居ないので壮絶な一人芝居にも見えるが―――で腕をブンブンと振り回す。
と、地団駄を踏むようにしていたが。急にその手が止まる。
「え、いや。アレっ? 言ってなかっ…… と、止められたら止めてるわよ!」
一瞬、身体から散っていく魔力の量がグッと少なくなったが
漏れ出ていくそれは川の流れを手で堰き止めるが如く止めどなく溢れていく。
やがて―――