2015/08/28 のログ
■綾瀬音音 > でも、朝が来たら吸血鬼は眠るしかないし、向日葵は上を向くよ。
……うん、ちょっと人じゃないかも
(ここまで街の灯は届かないし、月明かりがぼんやりと差し込んでくる程度の明かりしかない。
真っ黒な夜の帳は、永遠に続くものではないと解っていても、長く感じる)
うん。
今度ね。お弁当持って行くよ
(何時だったか、交わした何気ない約束のような、それ未満のような話。
あの頃は純粋に幸せだった。
――今が不幸かと言えばそうではないのだけれど)
……うん
(再び、頷いた。
彼と彼女がどれ程の親しさだったかは解らないし、彼女は人間ではない。
だから彼の死の重みはきっと違うことも簡単に想像できる。
だけど、今はうまく笑えない。
笑おうとした所で、きっと気を使わせてしまうだけだから、目を閉じて柱に身体を預けている。
彼女と自分では彼の死の重みは違うのだ。
比べた所でどうしたというわけではないが、それは事実だ。
彼の飛び降りを知ってから数日が経ち、友人から大切な言葉を貰っても、時折どうしようもない疲労感に襲われるのは止められない。
それを味わってほしいわけではない。
だから、きっとそれでいいのだ。
死んだのかぁ、と言っているような言葉には、頷くだけだ)
――――ん?
(謝らえて、うっすらを目を開けて首を少しかしげる。
先に謝るということは、何かしら悪いことを言う、ということだ。
だから、少しだけ身構えてそれから力を抜いた)
――どうしたい、かぁ……。
どうしたいんだろうね。
…………少しずつ、元々の生活に戻るべきだとは思うよ。
玲刃君がいない日常に。
だけど、どうしたいって言うのはないかなぁ。
だって、もうどうしようもないんだもん。
ああ、でも。
そう思えば。
まだ一度も、大声で泣いてなかったなぁ……
(どうしたいか、と言われれば。
どうしたい、も無いと答える。
自分は彼に死んで欲しかった訳ではないのだ。
だから、その問に返す言葉は持たない。
だって、自分は本当の事を言えば、生きて帰ってきて欲しかったのだ。
一緒に居たかったのだ。
それだけだった。
だけど、それはもう叶わない。
ならば、少しずつ元の生活――白崎玲刃がいない生活に戻り、綺麗な宝石のように胸の奥に仕舞いこんで、大切な思い出にしてしまうのが一番だろう、と。そう思う。
その努力を漸く、始めたところだった。
忘れたいわけではなく、忘れてもいい、と思えれば――多分そうなるのが正解なのだろう。
だって、彼はきっと――途方もなく高い確率で――戻ってはこないのだ。
だけど、自分は。
まだ、彼のためにも自分のためにも、彼の死を悼んで泣いていない気がして。
それが少しだけ申し訳なく思うのだ。
上手に泣くことすら、今はまだ出来やしない。
あえて言うのだとすれば、きっと。
それが多分“したいこと”)
■蒼穹 > 夜と朝ってのも、不思議なもんだよね。
よく分かんないけど、これだけ魔術異能だ言ってるのに、地上に暖かく降り注ぐ太陽は物理現象。
…ふう。
(この間も、こんな感じだったか。何を言っても、少しつれない返事に、表情。
以前の彼女なら、己の下らない話もにこにこ聞いてくれていたが。
彼女を取り巻く環境だけでなく、彼女自身も、相当変わってしまったのかもしれない。)
うん、楽しみにしてる。
(その時は、前みたいに互いに笑い合えればいいのだけれど。)
…そう。
(彼女も彼女なりに、気を使ってくれているのだろう。
ここで、彼女が誤魔化しもせず、また、憤りもしないのは、己とは違う感性だと分かってくれているからで。
種族も、関係も違う。
彼女には、彼という存在が大きすぎたのだろう。
彼女の生活に、どれだけ彼という存在の比重が大きかったのかは分からない。
けれど、命の恩人で、恐らく、初めての恋人だろうし。どれだけ、は分からなくとも、大きいのは分かる。
相変わらず、指輪は付けているのだろうか。
頷くだけであるのなら、そういうこと。
こうして、互いそれ以上踏み込まないのは、若しくは、踏み込めないのは、
これもまた、いつかのあっちとそっちの、普通と言う壁に隔たっている故か。)
うん。そうだね。
…それが良い。さっさと忘れろ、なんて薄情な事は言わない。
けれど、引き摺っていたって仕方ないしね。
そう…どうしようもないことなんだよ。人間はいつか死ぬようにできているから。
頭の中のアルバムにしまっておきな。時の薬が解決してくれるさ。
今は、悲しいだろうけど、我慢できない事もあるだろうけど。
泥濘に突っ込んで、泥だらけになっていても、我武者羅に走っていれば、いつか泥も渇いて落ちる。
そんな感じじゃないかな。
何にしても…どうせ死んじゃうんだし、楽しんで生きた方が良いに決まってる。
お前に何が分かるーって、言われちゃうかもしれないけど。
(結局、彼女は分かっているのだ。少しずつ、元に戻らなければならないと。
どうしようもない事だと。
生きて帰ってきてほしいと、そう思っているのはよく分かる。
彼女は、きっと彼に多くを求めなかったのだろう。)
…?大声、かあ。
大声で…ね。
(きょとんとしたけれど、
彼女がしたい事には微笑ましくも、少し悲しくも思う。
だけれど、やっぱりそれくらいまで。
深く共感は出来ないのだ。)
…誰の前で泣きたい、かな?
まあ…もし、生きていたら、会えるとするなら、レイハの前、なんだろうけどさ。
例えば、レイハが少しだけ―――
(もし、因果を捻じ曲げて、彼女が最後に彼と会えるとすれば、それを選ぶだろうか。
いや、いつしか彼女は踏ん切りがつくのかもしれない。
割りきった、とは言えないけれど。本人はどうにかして乗り越えんとしているのだろう。
一瞬、道から外れた、もし死んでいたら、の仮定を前提からひっくり返す方法が頭をよぎったが―――
下らない茶々を入れるのも良くないだろう。
そもそも、未だ死体は見つかっていないのだから。)
―――それはいいか。はぁ、泣きたいなら泣くと良いさ。
ここなら誰も聞いちゃいないし。…そんな気分じゃないかな?
良いかい?キミの世界はレイハだけで出来てるんじゃない。
さっきも言ったけど、忘れろとはいわない。
代わりになる人なんていないだろうけど。前向いて歩いた方が、楽しいよ。
悲しいって言うのは当然人間だからだろうけどさ。
(どうしようもないとは、まさにこの事なのだろう。
ともすれば、忘れてしまう方が幸せなのかもしれない。
楽しいだ悲しいだとか、そんな単純な話でもないのも分かっている。
けれど、黙っていることも出来ず、饒舌に自分なりの拙い言葉をせり出す。)
■綾瀬音音 > ただ地球が回ってるだけの筈なのにね。
……魔術が使えても、異能が使えても、使えなくても。
誰にもで同じくただ光を振りまいてくれる太陽ってそれだけで素敵だなぁって思うよ。
(太陽の光に公平も不公平も無い。
その事実は少しだけ救われる気がする。
幾ら辛くても、朝になれば太陽はいつも通りなのだ。
悲しくても、切なくても。
――自分や環境がどれだけ変わろうとも)
(指輪は相変わらずに、左手薬指に収まっている。
持っていても仕方がないような気もするが、まだ外せないのだ。
自分と彼を繋ぐ絆の一つだったそれ。
彼と自分の関係で、結局残ったのはこれだけであった。
いつかは外さなくては、と思っているが、今ではなくてもいいと思っている。
彼の存在は大きかったし、それは依存ですらあったけれど――それでも愛していた事実には何の代わりもなく。
ある意味では、生活の全て、であったのかもしれない。
短い言葉に今度は頷くだけにとどめて。
踏み込みも踏み込まれもしない距離は、今は有りがたかった)
忘れてもいいし、覚えていてもいい、って言われたよ。
いつかきっと玲刃君の事を“忘れてしまって”、一番大切な場所に全く違う何かを置いて。
それで――それがきっといいことなんだと思う。
いつかは思ったよりずっと早かったけど、それでも――うん、玲刃君と一緒にいた3ヶ月位は、何だかんだで今まで一番幸せだったよ。
今が辛いのは事実だけど、幸せだったのも本当の本当だから。
――――――だからきっと、忘れないといけなんだね。
(誰のためでもなく、自分のために、凄く悲しいことだし切ないことだけど、自分は彼を忘れなければならない。
自分が一般的な恋愛と比べてどれほどの物を求めていたのかはわからない。
だけど、一緒に居たかった。
それだけだった。
だけど。
幾ら幸せだったと胸を張って言えても、これからそれだけを抱えて生きていくわけには行かないのだ。
彼女の言うように泥濘に足を突っ込むようなこともあるし、楽しいこともあるだろう。
その時に後ろを振り向いていては――楽しい生き方等出来るはずがないのだから。
だって、彼はもう居ないのだ。
もし戻ってきたとしても――きっともう、自分は彼の側にはいられないだろう。
もう、信じて待つことは出来ないのだから)
前にね、玲刃君が死んじゃったら海ができるくらい泣くよって言ったけど、水たまりも出来ないくらいしか泣いてないんだ。
なんか、上手に泣けなくて。
こう、つっかえてる感じはするんだけど
(吐き出す術が見つからない。
泣いたら楽になるのだろうか、それとも辛くなるのだろうか。
それも良く、解らないけれど。
大声で子供のように泣きたい、と思った。
けれど、そういう風に泣ける気もしないのだ)
どうだろうねぇ。
誰の前でもいいんじゃないかな。
――でも多分、玲刃君見ちゃったら泣いちゃうんだろうなぁ……
……?
(例えば、レイハが少しだけ――
その後に続く言葉は、何となくは察しがついた。
だけど、だから首を傾げはしたが訊かなかった。
それからただ、静かに首を振る。
自分はそれを、選ばないだろう)
あはははは、でもね言ったとおり上手に泣ける気がしないんだよ。
もうちょっと、時間がかかるのかもしれないし、そもそもそういうものじゃないのかもしれない。
……それは、解ってるつもりだよ。
前は、向かなきゃなーって思ってるよ。
いつまでも落ち込んでられないし、きっとね、これからも楽しいことはあると思うんだ。
だから、ちゃんと前は向くよ。
ありがとう、ね
(どうしたらいいのかわからない。
だけど、もう顔を俯かせるのはやめようと思ったのだ。
疲れた時はそれすらも休むかもしれないけれど、やっぱり前を向いて歩こうと、そう決めたのだ。
置き去りにしたいわけじゃない。
ただ、綺麗な箱に綺麗な思い出として仕舞いこんで、時々思い出してあんな事もあったね、と笑えるようになればいいと思う。
彼女が自分を思って行ってくれてることが解るから。
だから――漸く、笑えた)
■蒼穹 > 地球が回る、かぁ。
さてどうかな。世界変容のその日から、地球は全く別のものに変わったのかもしれないし、そうじゃないのかもしれない。
あはは、でも、それは確かに、そうなんだろうね。お天道様、だったかな。
地球人はその平等さと、明るさから太陽を神様として崇めることもあるんだとか。
今は沈んで、月が変わりに。でも、この月が光ってるのは太陽の光を反射してるから。
(誰にでも同じく、そこに作為はなく、そこに意図もない。
誰に意地悪するのでもなく、誰に好意を寄せるでもない。成程、平等だ。
人にしてみれば、それはとても、大きな存在なのだろうか。
ただ、光を齎すだけではなく、色々な意味で他を照らして、明るくさせる。
非日常だろうと、日常だろうと、太陽が登らない日はない。)
3か月。…たった3か月だったろうけど、一生使っちゃった心算かな。
幸せってさ。辛さと紙一重なんだよね。
一般に「幸せを失った時、初めて気づく」とかもいうけれど、きっとおとちゃんは幸せを感じていたと思うんだ。
惚気る時なんか、凄く嬉しそうだったし。
だから、失った時の辛さは、一般のソレとは比べ物にならなかったんだろうなぁ。
「幸」から、一本線を引っこ抜けば「辛」…言葉ってよくできてる。
…そう。なら、…そっか。
キミがそう思うのなら、忘れてしまえって、私はそう言おうかな。
(忘れなくても良いと、そう思っていたけれど。
結局彼女がそういうなら、それが正しいのだろう。
彼女の愛が分かるのは、彼女と彼しかいないのだから。
それの正しい判断が、己になどできようものか。
彼との過ごしたその証だろう指輪は、いつか外す日が来るのだろう。
それが、おめでたいことかどうかもわからない。笑って祝うべき事でもなかろう。
「この指輪を見たら、あのバカを思い出す」なんて、どうしようもなさそうに告げる日が来る、そんな予感。
そして、彼女は、今までの色々な意味で無理が多かった愛情を忘れていくのだろうか。
求めても絶対に与えられる事はない。如何に愛しても帰ってくる物は無い。
それから、彼女自身も、変わったのだ。恐らくは。)
うん…。
何かのきっかけや、時間がいるんだろうさ。
…ダムみたいにね。だから、そうだね…一先ずは前向いてればいい。
そうすりゃ勝手に堰き止めてるヤツが壊れて、溢れてくるだろうさ。
その時は池でも湖でも海でも何でも作ると良いんじゃないかな。
それに、泣くのだって疲れるだろうしさ。キミは疲れすぎてるんだよ。
だから、今はきっと満足に泣けないだろうし。
…あはは、誰の前でも、か。なら…私で良ければ。
なーんて、ね。
(漂うのは、疲労感。呆れも、諦めも、悲しみも、嵩みに嵩んで疲れてしまったのだろう。
泣きたい気持ちは、分からないでもない。近くで見れば、尚の事。
泣いてどうにかなるわけでもないけれど、何かが…感情が溜まっている。
それこそ、ダムのように。
その時溢れて流れ出す涙は、水たまりにさえならないだろうけれど、
感情は、見えたとしたらば海よりも広がるか。)
ん。それで良い。
…終わった事は終わった事。
辛かった、悲しかった。そんなの置いておいても仕方ないからね。
もしも、に縋るなんて良くないし…あはは、意外に結構、泣くんだね。
(選ばない、それが正解だろう。頷いて見せれば、もうそれを語りだすことはない。
どうしようもない事を、どうしようもないと認めたのだし、彼女なりにもう終わった事としたのだろうと、
そうとらえた。)
泣きに上手なんてないさ。
わんわん唸って、大声散らして、人間の赤子みたいに下手に泣くのがいいんじゃない?
泣くってのはカッコ悪い事だけど、そういうものだよ。きっと。
「好きな人が死んじゃって悲しい」とかじゃなくて「勝手にバカやって死にやがってー!」って。
思ったことを素直に吐きだすものでしょ。だから、上手に、なんて考える必要もない。…そういう事じゃないか。
…兎も角、泣けると思ったなら、…少なくとも、この場では、いつ泣いたって良いんだよ?
あっはは、今日はその気分じゃないだろうし、泣けないだろうけど。
そうそう…前向いて、楽しい事を見つけていこ?
それの協力は、お友達として惜しまないからさ。
(にっ、と屈託のない笑いを返す。
へらっとした笑いじゃない、「あははは」って、そんな、前みたいな笑い声を聞けて。
月並みだけれど、嬉しくて。
戻ってきてくれた。未だ不完全なものだろうけれど、彼女の中での一応の決着はついたのだろう。
前を向こうと、その意思を聞かせて貰ったのだし。後は、その思いを形に出来れば、なんて。)
どういたしまして。
…今度気分転換に、カラオケでも行くかい?
遠慮がちに、いつまでも細々してたら腐っちゃうし、ね。
泣くにしても何にしてもそうだけど、無遠慮にでかい声出すって、いい気分だよ。
(いつもながらの髪をかき上げる仕草から、無邪気にニヤリと笑って見せる。
果たして何故そんなチョイスが出てきたのかは、本人以外に知る者はなし。)
■綾瀬音音 > でも、やっぱり地球は回ってるんだと思うよ。
私が生まれた時は世界はもうこんな感じだったら、変容とか言われてもよく解らないしね。
そうそう、お天道様が見てるからーって言うのは古典的だけど、良い表現だよね。
大抵何処の神話にも太陽にまつわる神様いるしね、詳しいわけじゃないけど。
――うん、結局太陽はいつもそばにいるのかもね
(よく言われる「明けない夜はない」
確かにそうだ。
どんなに悲しくても、辛くても。
太陽はいつだって昇ってきてる。
沈まない太陽もないけれど、代わりに月が照らしてくれる。
それは紛れも無く、救いなのだろう)
一生はちょっと困るかな。
まだまだきっと、先は長いだろうし。
……うん、幸せだったよ、凄く、本当に幸せって言うしか無いくらい。
………………うん、人生でやっぱり一番しんどかったのは事実だよ。
だけど、ほら、また足したら“幸せ”になるから大丈夫だよ。
うん。
本当にそれでいいのかは、解らないけどね。
だけど、そのまま抱えて生きてくには少し重たい荷物だと思うから、何処かで下ろすよ。
――勝手に帰ってくるの辞めたんだからそれくらいは、許してくれるよね
(時間がどれ位かかるのかは解らない。
一週間後には忘れられるかもしれない。
一生忘れられないかもしれない。
それは解らないけど、“忘れて”彼のいた自分の中のスペースを空けて、そこに何かをおければいいと思う。
今は引き算されて“辛”だけど、いつか、足し算に出来れば良い。
忘れないけど、忘れる。
多分それは――必要なことだ。
指輪を外すことがあれば、ただそうなんだって笑っていってくれればいいと思う。
その時はに自分も笑ってきっと、彼女の想像した台詞が言えるはずだから。
自分の愛に無理があったとは想わない――少なくとも、今は想わない。
だけど、それすらもいつかは変わっていくのだろうか。
でもきっと、それはそれでもいいのだ。
時は流れる、人の想いも、環境も、少しずつ、時には激しく変わるのものなのだから)
うん、今は、疲れてるからちょっと休むよ。
本当に突っ走ってきたからね、ここ数ヶ月って言うか2,3ヶ月の間。
だから――うん、何かが壊れたら、思いっきり泣くよ。
その時ソラちゃんが居るかはわからないけどね。
きっと、泣くのにもタイミングが必要なんだね、理不尽だけど。
(振り返れば、あの指名手配からそれ程時間が経っているわけではないのだ。
それらはいい思い出、なんてまだ言えないけれど。
時々被った埃を払ってあげられるような思い出になればいい。
だけど、今は休もう、と思う。
何でもない日常を享受して、何事もない普通の生徒として学校生活を送り、友達と遊んだり笑ったりする、普通の生活。
きっと、その内泣けるようになるだろう。
ならければ、それだけのこと。
この想いに、きっと大泣きする必要はなかっただけだ。
価値ではなく、必要が)
辛かったことも、いつかは綺麗な思い出になるといいな。
過去のもしも、はないけれど、未来のもしも、はありだよね。
……泣くよー、や、今は泣いてないけどね。
(まだ終ったこと、とまでは言えないのだけれど、そう言う風に出来るように努力したい。
疲れたら休めばいいのだ、立ってることさえ無理なら、誰かに――友達に寄りかかったていいのだし)
そうかな。
あはははは……赤ちゃんならどれだけ泣いても許されるけど、もう16だからね。
―――――――そうだね、バカって、泣いて怒ってもいいんだよね。
まあそうなんだけど、なんて言うかさ、こう、泣くのも喚くのも得意じゃないんだよ、本当に。
……うん、今日は大丈夫。
そうだね。楽しいことだって、沢山あるもんね。
うん、ありがとう、ソラちゃん
(返って来た笑みに、礼を言う。
失ったものは多いけれど、沢山を失ったわけではないのだ。
この手のひらには、まだまだ溢れそうなくらいに、沢山残ってるのだろう。
だから、前を向かなければ、と思う。
休み休みでもいいから、ちゃんと)
今ラブソングなんて聞いたらそれこそ泣いちゃうかも。
でも、結構流行ってる曲なんてそんなのばかりなんだよねぇ
カラオケも暫く行ってないなー……
(誰も彼もが愛を歌う。それがどれだけ素晴らしい物で、切ないものかを。
それはきっと誰もが望んで手に入れることができるものじゃないからで、失いやすいものでもあるからなのかもしれない。
綺麗な髪の毛が夜に舞うのを目を細めて見てから、友達との新しい約束を胸に仕舞いこみながら――そしてそれをちゃんと形に出来る事を祈りながら、もう少し、ここで話していようか。
とりとめのない話になるかもしれないが、きっと彼女は聞いてくれるに違いないと、そんな確信を抱きつつ。
そうして、今日も夜は更けていく。
いつもと何も変わらずに)
ご案内:「大時計塔」から綾瀬音音さんが去りました。
ご案内:「大時計塔」から蒼穹さんが去りました。
ご案内:「大時計塔」にケイさんが現れました。
■ケイ > 「にゃあ」
猫が一声。
いつもの、だれか。白いフードを被った少年が、いつも通りに。
胡坐をかいて座る場所へ我が物顔で座り込み。
誰もいない、時計塔の屋上。
どうやって入り込んだのか、分からないそこで。
空に花が咲く時間を。
悠々と待っていた。
■ケイ > 3日目。
しいていうなら、この状態は、3日目である。
以前にように、半強制的になったものでなければ。
自分の意思で。自ら。この状態になった、という話。
まぁ、この島であれば。――が猫に変わるなど。
そこまで驚くような話ではないのかもしれないが。
まるで猫。ほぼ、猫。
見た目からすれば、それは猫だが。
どことなく。人間臭さを感じる、そんな仕草で。
後ろ足で、顔の辺りをかいた。
■ケイ > 理由なら、少しだけある。
あの時の、屋上での会話。
自分は猫ではない。猫でないなら――猫になったら、それは、猫であるのか。
哲学的なものでもなんでもない。
結論から、言ってしまえば。
――やっぱり、自分は猫にはなれない、というだけ。
何処にいこうとも、結局ここに帰ってきてしまう。
3日間、何も食べていなかった反動か。
少し。いや、大げさに言ってしまえば。
とてつもなく、お腹がすいていた。
■ケイ > 自らの、袋小路――いや、それは本当に、外に出ようとしているのか?
な悩み――いや、それは本当に悩みに値するのか?
なんて、一瞬で置き去りにされるような。
ただの肉体的欲求。
だから、少しだけ。
また、気分が楽になった。
「…………………にゃ」
今鳴いた声に。
お腹がすいた、そういう響きがあらわれていることを。
否定できそうにないぐらいに。
■ケイ > その鳴き声と同時に。
光。遅れて音。
小さい体では、その光でさえ痺れるような。
鳴き声は音にまぎれ。花が咲き。
一人満悦気に、ひどく人間臭い動作で、頷いた。
この特等席に近い場所に、誰も来ないなんてもったいないな、とでも思いながら。
ご案内:「大時計塔」に奥野晴明 銀貨さんが現れました。
■奥野晴明 銀貨 > ぱ、と夜空に大輪の花火が咲き誇ると真っ暗だった時計塔一体も一瞬明るく照らされる。
その瞬間先ほどまでいなかったはずの人影が花火に照らし出されるように現れた。
花火が空に上がるたびにその少年の影が後ろにするりとのびる。
猫からは少し離れて目を細めて夜空を見上げる。
「こんばんは、きれいだね」
花火の破裂する音の合間にそう小さく猫に呼びかけた。にゃあお、とからかうように鳴きまね。
■ケイ > 色鮮やかな花。この瞬間に置いて、先程の。空腹感すら置き去りにして。特等席。一歩、二歩、駆けだせば空へ飛び出しそうな位置。
耳がピクリと揺れる。
ひどく人間臭いその猫は。
ひどく人間臭い動作で体をゆらし。
そして、ひどく。それはとても。猫の声で。
「…………にゃー」
振り返りながら、それは、まるで笑った、かのように。
■奥野晴明 銀貨 > 「隣、いいかな」
そっと猫に歩み寄る。人ひとり分開けたそこに座り込むと同じように空を見上げる。
猫の人間臭いしぐさには相変わらず整いすぎた笑みを向ける。
猫の視力ならこの夜闇でも見えるだろうか。
「君は花火が好きなのかな。猫はみんな、ああいうひどい音がでるものを嫌うかと思っていた」
相手が猫なのだから会話なんてできるはずもないのにまるで人間のようにそう聞いてみる。
■ケイ > 「み」
知らない人だ。
そして、この3日間は、誰とも話していない。――それはそうだ。だって、猫――じゃない――んだもの。だから、気分良く鳴いた。
この姿は猫であるならば。
整いすぎた笑みに警戒を持つ必要はない。
「にゃ」
花火が好きだ。ともいえるし。ただ、そういう気分だった、ともいえる。
人ではないし、猫でもないのだから。言葉を発せない不便さを、心地よく思いながら、否定か、肯定か。そのどちらとも。言葉が通じてるとも見える様に。ゆらゆらと、首を横に振った。
■奥野晴明 銀貨 > 愛想よく鳴いて相手をしてくれる猫に口元を緩める。
そう、とだけうなずいて相手の言葉、鳴き声に相槌を打った。
別に動物の言葉が話せるわけではないし、何を言っているかなんて想像でしかわからないがなんとなくこうだろうという感覚だけで。
「中途半端なのだね。僕と同じだ。
花火、僕も好きだとも言えるし嫌いかもという時もある。
今日はなんとなく観に行きたい気分だったからついここまで来てしまったよ。
君もそんな気分だったのかな。猫ならここに立ち入っても怒られはしまいしね」
羨ましいな、などと茶化しながらまた一つ上がった花火にたまやーとゆるんだ声をあげた。
■ケイ > 「み?」
相手の言葉の雰囲気に、少し首を傾げた。
まるで、この少年の雰囲気のように。
そう。自分が居なかったら、一人で、これを見たい気分だったのか、とでも。
――まぁ、人のことを言えないのだろうが。
そも。こんな、ただの猫の姿では、伝わるものも伝わるまい。
「みゃふ」
少し、悪戯気な雰囲気を出して、笑うかのように鳴く。
そう、キミとは違って、今の自分は怒られない、自由なのだと誇示せんとばかりに。
■奥野晴明 銀貨 > 「生きているものにとって一人でいる時間は当たり前のように長いし、それが普通なのにね。
なぜか時折、こうやって人気がない場所に引っ込んでは一人になりたがる。
その癖一人では生きていくことすらままならない。生きるということはかくも不自由だね。
今日は素敵な先客がいてくれたから、それはもういいんだけどね。
君が人間じゃなくてよかった、”今は”猫だものね」
首をかしげるしぐさにいちいち人間臭さと親しみを覚える。
「自由が好き?いいことだね、自らを由しとするのはなかなか勇気がいることだから」
そっと細く白い指先を猫の顎の下へと伸ばす。
軽くかいてやろうとでもいうしぐさ。
■ケイ > 「みっ」
まるで、見透かされたかのような言葉に、少し身をはねさせた。
この場において。ある種。この姿、だからこその時間。
別に、人の姿であっても、それは変わらないのかもしれないが。
結果はひとつ。予測は無限大。とぼけるかのように。
「み」と一つ鳴いた。
――一人と一匹。または一人と一人。
そういう意味では、この両人とも。この場には、1つずつなのだろう。
まるで拒絶する様子もなく。
だからと言って、あるがままを受け入れるでもなく。
その指は、顎の下へ触れた。
本能的なものか、はたまた。それは、先程のそれより。
猫のような反応で。くすぐったそうに目を細める。
――か、と思えば、まるで、人間臭く。
小さく、本当に幽かに。花火の音に、一瞬で溶けてしまいそうな音で。
まるで、空腹を示すかのように、お腹をならせたのだった。
■奥野晴明 銀貨 > 猫がびくりとはねるのを面白そうに眺める。
どうせ相手だって猫なのだ。まともな返答は今は期待していない。
相手にとぼけられればこちらもさぁ?という調子でそれ以上は触れないでおいた。
素直に触らせてくれたことに感謝をしつつ、のど元をあやすように撫でる。
こうしていれば本当にふつうの猫にみえる。もし先ほどのように人間臭さがあったら少し残念だったかもしれない。
花火の合間に聞こえた空腹を訴える音。おやと片眉を動かして猫を見つめる。
「困ったな、僕は普段食べ物を持ち歩いていないから今君に挙げられるものが何もない」
水ならあるんだけどね、と口元に手を寄せて考え込む。
「この花火が終わったら一緒に塔を降りて、コンビニに寄ってくれる?
そうしたら何かあげられるけど」
覗き込むように猫の顔を見てそう尋ねてみた。まぁでも猫は気ままな生き物だから一緒に来てくれるとは限らないけれど。
■ケイ > どうやら。
相当この相手は、自分より色々な意味で、上手、なのだろう。
まるでため息をつくかのように一つ息を吐いた。
それならばきっと。――元に戻った時にだって、やり込められるのかもしれない。それは、それで。
次の、その時の再会。――また、あるならば。
是非にとも。
とでも言いたげな。首を大きく縦に揺らした。
現金な物、気紛れを気取ろうが、苦悩に彩られようが。
――空腹には勝てないのだ。
一つの、ある意味。絶対的な、くだらない結論。
愛想よく。もしくは――。
「にゃぁ」
一声、ひどく。機嫌よさげに、尻尾を揺らした。
もう一つ、ひときわ大きく。夜空に花が咲く。
■奥野晴明 銀貨 > 「決まりだ。キャットフードが置いてあるかどうかは知らないのだけれど
現代の文明の行き着いた先、コンビニなら何でもあるだろうね。
好きなものを選んでいいよ、店員が君を見逃してくれたらだけど」
いたずら気にそう微笑んで、また視線を夜空に戻す。
それから先は黙って最後まで花火を観続けた。さまざまな色や形の花火が夜空に照らし出されては猫と少年の目を楽しませる。
そうして最後の一つが打ち上げられて、それきり空にしばらく何も打ちあがらなくなってからよいしょと名残惜しそうに腰を上げた。
「終わったかな。そろそろ行こうか、ええと……三毛猫だから”ケイ”でいいか」
名前がないのも不便だしね、なんて言いながらまったく論理が通じていない仮の名前を付けてみる。
時計塔から降りる階段へ向かい、猫へ手招きする。
それともいっそ、猫を抱いたままここから宙へとダイブして直接降りてしまおうかなんて考えたりもしたが、やめておこう。
暴れて取り落としてはかわいそうだ。
■ケイ > 猫の姿故の、言葉の不自由さ。
やはり、それも――なんだか、一つの心地よさ。
だが、しかし。それすらを超えて見透かされているような感覚もまた。
「にゃは」
任せろ。そう鳴き声に込めたつもりで、空を見上げた。
ナツノオワリ。それはまだ先だろうが、一つの区切り。
そんな、一つの終焉である静けさを体に浴びた。
「……………みー」
本当に、見透かされてるのでは。とでも言いたげに、胡乱げな目つき。
猫では、それも形無しだろうが、手招きされて行かない道理もない。
だから。
一つ。
「みゃ」
――君のお名前は?
そうやって、鳴き声に込めながら。
■奥野晴明 銀貨 > 頼りがいのありそうな鳴き声にうなずいて笑う。
「名前?」
そう聞かれたような気がしたから、足元まで歩いてきた相手を見下ろして静かに言った。
「銀貨だよ、おくのせいめい、ぎんか。長い名前だから猫みたいにシンプルではなくてごめん」
苦笑しつつ緩やかに階段を降り始める。時々後ろを振り返りながら猫がついてこれているか確かめながら、疲れたら抱いて下してやろう。
地上へと戻ったら最寄りのコンビニに入る。店員の目を鮮やかにごまかしながらケイを招き入れ、中ほどにあった陳列棚のキャットフードから彼自身に一つ選ばせる。
それをレジで支払ってから、外に出てしばらく歩いたのち一緒に買った紙皿に餌を入れて与えた。
「それじゃあね。また逢えたら餌をねだりに来ていいよ。
でも君は自由そうだから、きまぐれじゃないと逢えないかも」
そっとそうつぶやくともう夜もふけた道をのんびりと歩いて去ってゆく。
点々とともった街灯が、にわかに点滅し始める。
数度の瞬きののち、明るくなったそこに彼の姿はなかった。
ご案内:「大時計塔」から奥野晴明 銀貨さんが去りました。
■ケイ > 「み」「む」「みゃ」
無理やり、猫の、その声で名前を言ってみる。
屹度覚えた。ならば――まぁ、今度は。
空腹感にさいなまれ。猫の姿であるから、一つの自由を覚え。
だからこそ、ここ最近の鬱屈とした思考は、少しばかり奥へ。
花火はきっと綺麗だった。
気遣われている、と分かりながら。自信ありげに、堂々とついていく。
此処への道は、ある意味。家に帰る、それとも似ている。
それが、猫の姿でなければ、とはつくが。
一つのスリルを覚えながら。食べたことがない、キャットフード。
興味本位に、選ぶと。まるで、わらう。猫が笑いかける様に。
銀皿に乗ったそれ。初めて食べるそれ。
案外……悪くはなかった。
「にゃ」
「みゃ」
尻尾を一つゆらし。まるで、人間臭い猫で。猫のような猫で。
ありがとう。
そして、また会おう。
彼とは。正反対の向きに歩きだし――。
ご案内:「大時計塔」からケイさんが去りました。