2017/02/09 のログ
東雲七生 > 「えっと、そう……っす。」

話しかけられた事に驚きつつ、頷いて肯定する。
ついでに相手の見立てにも頷いてから、さてどうしたものかと改めて思案する。
目の前の……ロボットはこう言っているが、
機体が遥か遠くに行ったなら尚更風紀や公安の目はこっちに向くだろう。
海にまで行ってしまえばそもそも彼らの管轄外になるだろうし、転移荒野でも同様だ。
それ以前にまさか全員揃って不審な航空機を追うとも思えない。
紙飛行機追っかける子供じゃないんだから

「……だ、だったら良いっすねえ……うん。」

むしろそこまでポンコツな組織が学園の、および島の安全を守る気なら早急に転校したい。

イチゴウ > 「ふむ。本当に奴らがただの航空機を追うのか
疑心暗鬼なようだな。まあ確かに単に航空機が
飛んでいくのなら確認しないだろうね。
ただボクが脱出する直前に機体を
研究施設群に落ちるよう進路を微調整したから
確認しないとヤバいんじゃないかね?
多分今頃迎撃に大忙しさ。」

イチゴウは自分の乗り捨てた機体が
飛んでった方を見てそう呟く。

「それと勘違いしないでくれよ?
ボクはテロを起こしたいわけじゃない。
あくまで奴らの気を一時的にそらすための処置さ
彼らは必ず迎撃するよ。彼らは"有能"だからね。」

イチゴウは赤髪の少年を見上げながら
そう告げる。

東雲七生 > 「気があろうと無かろうと、それはテロっていいます……」

だとしても航空機一台に総動員はしないだろうと七生は思う。
何しろ実戦向きの生徒たちばかりではないと思うし、落下物が無いか軌道上の安全を確認するのも同時に行われる事だろう。
もし仮に、万が一それらが行われないというのなら。

「……どっちにしろここに下手人が居ますって通報はしなきゃなんないじゃないっすか。」

さっき不審飛行物体の通報をしたばっかりなのに、と口と尖らせながら七生は端末を取り出した。
見なかった事に出来るならしたいが、テロリストの擁護は流石に出来ない。

イチゴウ > 「はぁ。これでもボクは学園の警備隊の
一員なんだがね。まあ風紀とは独立してるから
必然的に行動も限られるけど。
というか先ほどの空中戦も飛行型の魔術師喰らいを
食い止めるためにやってたってのに。負けたけど。それをテロリスト呼ばわりとは泣けてきちゃうね。」

イチゴウはため息のようなものをついて
そう呟く。
そして一息ついて

「出来れば通報しないでくれると嬉しいなあ。
ボクもゴタゴタは嫌いなんだ。」

イチゴウは懇願の気持ちをこめたような
口調で少年にむかって言う。

東雲七生 > 「そういうのって普通風紀か公安の末端組織としてあるべきなんじゃ……?」

つまり自称か。
なるほど、と納得してから頭を掻く。
理由はどうあれ。
やってる事は独断の武力行使で挙句の果てに研究施設に航空機を突っ込ませることなので、
それをテロ以外の言葉で表現することは七生には難しかった。
せめて否定するなら誰にも悟られずばっちり勝って風の様に消えてから言って欲しい。敗者に自己弁護の権利は無いのだ。

「……いや自分から蒔いた種だから甘んじて受け入れてくださいっすよ。
 ゴタゴタが嫌いならそもそもその……魔術師喰らい?とかいうのも、足止め程度で風紀や公安との連携を待てば良かったんじゃないんすか。」

淡々と告げてから端末の発信履歴を引っ張り出す。
風紀にはついさっき連絡したばかりだから、あとはワンタッチで通話が掛けられる状況だ。

イチゴウ > 「・・・仕方がないな。」

イチゴウはバックステップで素早く
少年から距離を取る。
その動作はとても素早くまばたきを
挟んでしまえば目視できないほどだった。
それと同時に対異能用の電磁波を少しだけ出力し
これによって辺りの電波を妨害する。

「全くボクの悪い癖さ。
もう軍には所属していないのにね。」

イチゴウは沈みかけている太陽を見ながら
そっと呟く。
そしてすぐに少年に視線を戻し

「そういえばキミ。
目の前に重機関銃を装備した戦闘ロボットが
いるのに全く動じずに自分の意見をしっかり言うよね。
全く大した度胸だよほんとに。」

イチゴウは少年をじっと見つめる。
その瞳はまさに無慈悲な戦闘マシーンそのものだ。

東雲七生 > 「あはは、まあ重機関銃くらいならと言うか……
 それに類する能力とか、散々見て来てるからっすかねえ。」

何を今更、って片手をぱたぱた振りながら笑う。
しかしすぐに使い物にならなくなった端末を見て、思い切り眉を顰めた。
やっぱり行動がテロリストのそれだなあ、と溜息を突きつつ、端末をロボットへと向けて。

ぴろりん♪

軽快な電子音と共に画像データが端末に保存される。
帰りがけに風紀委員本部に持って行こう。億劫だけど。
そう決意してからポケットに端末を仕舞って、
あとはもう大した用は無いとばかりに橙と藍の入り混じる空を眺め始めた。

イチゴウ > 「(分かり合えないか・・・
異常存在を排除するというのは正義ではないのか?
少なくともボクは人類に異常存在の排除が
正義だと散々言われた。
中途半端に異能を抱えている風紀や公安こそ
悪なんじゃあないか?)」

イチゴウは様々な処理を張り巡らす。
自らの常識とこの少年が言った事とで
一種のパラドックスを起こしているようだ。

ワンテンポ置いてイチゴウは我に返る
そうして少年に話しかける。

「写真をとるとは中々律儀じゃあないか。感心するよ。だけどすでに風紀には姿が割れてると思うから
その行動は無意味だと思うなあ。」

イチゴウは発していた電磁波を止める。
声の口調の変化もあって無慈悲さが
消えたような感じであった。

東雲七生 > 目の前のロボットが何を考えているのか、そもそも何か考えているのか。
表情らしい表情の無い無機物からそれを読み取るのは難しく、
そもそも読み取ってもあんまりおもしろくなさそうだからという理由で七生は視線も関心も向けずにただ空を眺めていた。
人型の機械であるのならともかく、そうではないし、何より遭遇の仕方からして穏やかではない。
だったら関わり合いにならない方が得策と判断したまでの事である。
が、声を掛けられれば流石に無視をするわけにもいかない。というか、単純に気が咎める。

「この時間に此処に居た、っていう情報提供っすよ。
 飛行機から何かが飛び出して、此処に降りてきた、っていうだけの情報。
 すぐに情報提供を求められるだろうし、風紀に何人か友達が居る身としても、協力しない理由は無いっすから。」

ついでに妨害電波も出せるって事も伝えられそう、と軽く手を叩いた。

イチゴウ > 「ほう、風紀のお友達がいるのか。
そりゃ厄介だなあ。」

イチゴウが面倒そうに顔をしかめる。
風紀委員会というのは大した事がない奴もいるが
中には軍所属時代に戦ったような
凄まじい奴らもいる。
もしこの少年がそういった奴らと
繋がっているとしたら。
イチゴウは最悪の事態を想起していた。

「とりあえずこの場でボクが取らなくちゃ
ならない選択肢は一つだけだよな?」

そう言うとイチゴウは先ほどと同じく
バックステップをかます
ただし今度は2回。
2回目のバックステップで高く跳ねて
宙返りをしながら時計台から落ちていく。

「ではさらばだ。次会うとしたら
その時はもっと平和的に出会いたいね。」

イチゴウは宙返り中にそう別れを述べる

「(誰だろうがかかってくるのなら来い。
このボディが朽ち果てるまで相手してやる。)」
イチゴウは落下中にそのような事を
意識の中で思い続けた。

イチゴウはそのまま下にあった岩を踏み台に
地面に着地しそのまま走り去っていった。

ご案内:「大時計塔」からイチゴウさんが去りました。
ご案内:「大時計塔」にイチゴウさんが現れました。
東雲七生 > 「……大変だなあ、風紀も公安も。」

視界から消えて行ったロボットを見送っての正直な感想だった。
ふと見れば通信環境も回復したらしい、と端末を弄ってメールにて通報をしておく。
あとは彼らに任せよう、と長く長く息を吐き出して。

「そろそろ帰るかなー」

夕飯も出来た頃合いだろう、と腰を上げて。
そのままのんびりと時計塔を後にするのだった。

ご案内:「大時計塔」から東雲七生さんが去りました。
ご案内:「大時計塔」からイチゴウさんが去りました。