2017/04/09 のログ
ご案内:「大時計塔」にVJさんが現れました。
VJ >  
降ってきた。

気配を隠していたでもないので、まあ気づけないこともなかっただろう。
上空から落ちてきた彼女。
宵闇の自由落下であり、多分速度は200km/hに迫っていたから、目視出来るかは怪しいものの、とりあえず彼女が「降ってきた」ことは、その衝撃音で理解できたと思う。
バンッ、と鳴った。前回り受け身である。

「あら、校則違反」

立ち上がり、デブリ避けのゴーグルを外しながら。

黒龍 > 「………あン?」

元より人外であるからして、五感などは常人離れしている黒スーツの男。
不意に視線を上へと向ければ、何か”降ってきた”。サングラスの奥の黄金の双眸を僅かに細め…スイッと一歩横へとズレる。
まぁ、そうしなくてもあちらが回避したかもしれないが…ともあれ、時速200キロ近い速度で降ってきた人影にも全く動じていない。
…どちらかといえば、降ってきた事よりも相手の服装…変わったジャージ姿の方が気になる。

「……何だよ教師の類か?説教なら後にしろ後に」

と、初対面だとかそういうのはお構いなし、淡々と切り返しながら喫煙続行中。
見事に前回り受身をこなした女の身体能力とかは相当なものなのだろう、と思いつつ。

(…つーか、俺が出会う女は唐突な登場をするヤツばかりだな…)

と、内心で肩を竦めつつゴーグルを外して対峙する女を眺めていただろう。

VJ >  
重めの人間砲弾を受けても傷一つ付かない塔に、内心驚きつつ。

「ああ、生徒だったの。勘も悪いもんじゃないわね」

尤もこんな場所に用のある教師はなかなか居ないし、かつて彼女が塔の、ましてや最上・屋上階で出会ったのは不良が9割だ。
経験則的に、とりあえず相手のことを不良と格付ける。

「あっはっは、消火だ消火」

訳あってテンションが高い。
大気から凝固させたサッカーボールサイズの水塊を投げつけてみた。
2個3個、4個5個6個7個。

黒龍 > 「……俺が教師に見えるなら、この学園も自由すぎると思うがな」

教師ではなくチンピラとかマフィアとかヤクザにしか見えない出で立ちだから仕方ない。
紫煙を燻らせつつも、まぁ不良と格付けされても特に気にしない…むしろその格付けは間違いでもない。

と、何かいきなり複数の水塊を生み出してこちらに投げつけてくる女…何だいきなり。

ヒョイッ、ヒョイッ、バシュッ!!

全て煙草を咥えたまま、最小限の動きで無造作に交わしつつ、最後の1個は左手…黒い義手で水塊を受け止めつつ握り潰した。

「……つーか、何だいきなりテンション高ぇなオイ。タチの悪い酔っ払いか?」

呆れたように口にする。今の水塊…感覚からして魔術ではないだろう。異能の類かもしれない。

VJ >  
「酔ってたらこんなことしないわよ」

そう言ってのけ、相手がじゃれ合いに応じてこないのに対して、むすっとした表情で睨みつけた。
浜辺で海に膝まで入って水を掛け合うヤツを想定していたようだ。

「生徒ならちゃんと目上の人を敬う態度を……」

水が受け止められたのを見て、思い立ったようにもう一つ、似たサイズの水球を投げた。

「ヘーイ! ナイスキャッチ!」

相手が取る前からそう言う。
今度のはシャボン玉のようなもので、受けようとしたが最後、形状崩壊した水が慣性に従ってアメーバのように降り注ぐタイプである。
ニヤニヤしながら言うので、受け止めるべきではないのはミエミエだとして。

黒龍 > 「……嗚呼、酔っ払いは大抵自覚がねぇからそういう事を言うよな…」

と、淡々と切り返すが、どのみち酒の匂いがしないので相手が酔っ払いではないのは分かりきっている。
そもそも、好戦的に見えてこの男は意外と理性的なのでカッとして反撃する事は実は少ない。
まぁ、あちらの想定していた行動と違ったのか、ムスッとした顔で睨まれたが気にしない。

「……悪ぃが、そういう説教を俺にしても意味無いぜ。無理だからそういう態度は」

自由気侭が信条であるからして、目上を敬う態度とかほぼゼロである。
相手を気遣うとか、そういうのは出来るが敬語とか敬いの類は男にはほぼ無縁だった。

そして、再び水塊が投げつけられるが、今度は”性質が違う”のを瞬時に看破したらしい。

(…どうも魔術じゃねぇっぽいから地味に面倒なんだよなぁ、こういうの)

正直、魔術なら幾らでも対処できるが異能中心の類は”慣れていないので”やり難い。
ニヤニヤしている女の表情から、やれやれと察したのか溜息を一つ。

不意にブリッジに近いレベルで器用かつ柔軟に上半身を逸らせてシャボン玉みたいなソレを回避しておこう。

そのまま、筋力だけで逸らした上半身を起こして一息。
煙草は相変わらず咥えたままで紫煙を燻らせながらジト目。行動はタチの悪い酔っ払いじゃねぇかこの女。

VJ >  
「うわっ、面白」

その避け方が。理想としていた爆笑とは違ったが、これはこれでリバーブローじみた笑いがこみ上げてくる。
声を出すように笑うのも機を逸した形なので、俯いて肩を揺らしながらぷるぷると震えていた。
数秒。
ハーと大きめの溜息を挟んで、深呼吸をして落ち着いて。

「あー面白かった。君、評価点あげておくから名前教えて?」

平常点、生活点、呼ばれ方は一様だが、教師からの好感度が成績に加点されるシステム。
テストが赤点でも進級できる魔法の救済措置。

「あとどうしたのこんなところで。階下へなんか投げても途中でシステムから迎撃されるわよ? 前に試したけど」

黒龍 > 「……面白いも何もテメーがいきなり仕掛けてきやがったんだろうが」

仕掛けた、とは言うが戯れだろうけれど。本気で殺る気ならもっと殺意のある奇襲をしてくるだろうし。
何か笑いを堪え切れない様子の相手に、姿勢を戻しつつも相変わらずジト目であったが。
ともあれ、少々すれば相手が落ち着いたようなのでまぁ、いいとしよう。

「…1年の黒龍・ランドグリーズ…異邦人。これでいいか?」

偽造とはいえ学生証を取り出してみせる。かなり精巧なそれなので見破られる事も無いだろう。
彼女が学生証を確認すれば、直ぐに懐へと戻しつつ煙草を燻らせて。
ちなみに、出席態度というか日数はアレだが成績そのものは結構優等生な男である。これでも。

「……あン?別に考え事が煮詰まってたからストレス解消に一服してただけだぜ。
ここは生徒が基本立ち入り禁止であんまり人もこねーからな…静かでいい」

ちなみに、景色も良いのだが何度も足を運んで見飽きたのでそこはもうなんとも思わなかったりする。
あと、試した云々はツッコミ待ちなのか分からないがスルーしておこう。

「…んで、そっちは教師ぽいが何モンよ?」

VJ >  
「そりゃ君がいきなり何もないところでコケたほうが面白いでしょうけど」

そうならないから作るのだ。

「ランドグリーズ君ね。あら優等生。私の管轄じゃなかったわ」

名前を口頭で言われたものだから、学生証などろくすっぽ確認せずに押し返す。
デバイスで生徒情報を閲覧、立派な成績のナイスガイか。

「私は見ての通り――」

自分の姿を見える範囲で再確認して。

「教師以外の何者でもないでしょう? 能力指導と家庭科を教えてるわ」

言い切った。

「でも面白ポイントを付けるところがないのは残念ね。いまから家庭科でも受ける? 卒業までに私のウェディングドレスを縫えるようにしてあげるけど」

選択制なので、いつでもどうぞ、と付け足して。

黒龍 > 「…嗚呼。それはねーな…」

コケるという事がまず無いのだというニュアンスで言い切る。
実際、単純な身体能力は人外領域だし、ギャグ時空でも多分コケないだろう。
むしろギャグ時空だとツッコミ側であるこの男。

「…ああ、長ったらしいから黒龍でいい黒龍で。管轄も何も俺はそっちの担当知ら……あ?」

能力指導は兎も角…家庭科ぁ?という表情で教師?である女を眺める。つぅか名前聞いてないんだが。

「…何でウェディングドレスなんぞ縫わないといけねーんだ…裁縫も料理もそもそも一応出来るが」

何か男も男で、見た目にそぐわない事をサラリと言った。面倒だから家庭科技能は滅多に出さないが。
そもそも、口には出さないが実年齢が4ケタの大台乗ってるので、人並みの家庭科経験はあるのだ。

(…つーか、ドレス云々で思ったが結婚願望が強いのか?この女…)

などと他愛の無いことを考えつつ、短くなってきた煙草は形態灰皿にぶっこんで。
で、すぐに2本目を取り出して口に咥える。これまたジッポライターで点火して。
一応。煙がそちらに流れないようにという最低限の配慮はしているが。

VJ >  
「黒龍はちょっと私のセンス的に無理だから、ランド君」

ロリータの天敵だろう。なんなら姫を誘拐する側じゃないか。
いや、それはそれで良いのだろうか? 生徒と教師――その立場にありながら龍の魔王は禁断の恋に足を踏み入れる。
人間界の禁忌などその暗黒、紅蓮、なんでもいいが灼熱の火炎で焼き尽くす。
そうして奪われた姫は、むしろそこで始めて気づくのである。
今まで王族であること、民を導き、民に慕われる良き姫であることを願った人生のなんとつまらないことか。
ここには自由がある! この龍の背中から見る景色には、そう、この塔から見下ろすような、広大な自由。
その自由につい胸をときめかせ、姫は――

「……ふふ」

薄気味悪く笑うのである。

「おっと、言いそびれてたわね。私はジェイパージェイルよ。男の子からはポーラと呼ばれたい年頃。
 家事スキル、あって困るものじゃないでしょう。
 君みたいなハンサムがクラスに居ると女の子たちもやる気が出ると思うんだけど……いや、それはまずいな……」

私利私欲で打算を働かせている。生徒の喫煙は、相手の年齢的どうこうではなくあまり褒められたものではないのだろう。
教師を自称する――事実教師である――彼女、あまり気にしていないようだが。

黒龍 > 「……まぁ、別にそれでもいいがよ」

珍妙なあだ名とかそういうのでなければ別にいいのだけれど。
そもそも偽名であり本名ではないので、余程変な呼び方でなければあまり頓着しないのだ。

(――っていうか、今なんか変な悪寒?みてぇなのが背筋を走ったんだが…大丈夫かこの女)

薄気味悪い笑みを浮かべている教師の女を眺めて、その悪寒を確信する。
生憎と、男は恋愛や結婚願望など微塵も無いので悪寒を感じるのもしょうがない。

「……んじゃ、ジェイルでいいか。…ハンサムとかは別にどうでもいいけどな」

ポーラとは呼ばない安定のスルースキルを発揮しつつ、何か打算を巡らせているらしき女。
ジト目でサングラス奥の黄金瞳で相手を眺めるが…多分何を言っても意味無さそうだと感じた。

(……何つぅか…一応狙われてんのかねこれ。もっとマシな男を引っ掛けりゃいいものを)

VJ >  
「不服ならブラッ君でも可」

ブラックドラゴンだから。
予定通りポーラはなかったことにされたので、フンと腕組み。

「ジェイルと呼ぶ子は私という名の恋の牢に囚われてしまう謂れがあるから気をつけるとね」

ポーラ以外だとこのような難癖が飛んでくるので気をつけよう。
もちろんそんな謂れがあれば彼女は既婚である。

「……あっ、もう囚われている感じ?」

だってすっごい見てくるから……そうなんじゃないかと薄々気づいていた。そんな顔をしている。

黒龍 > 「だが断る」

ランド君の方がマシだ。頓着しないと言ったな?だが選り好みはするんだよ!
…まぁ、それはそれとして。フンッという感じで腕組みする女を眺めつつ。

「…んじゃヴェイパーで。」

ポーラと呼ぶ気は全く無いらしい。まぁ面倒になってきたらそう呼ぶかもしれないがそこは謎だ。
あと、恋の牢とか何それ重たい…とは口にも表情にも出さないけれど。

「……いや、恋愛とか結婚願望ねーし」

真顔でキッパリと断言しつつ、右手を顔の前で横にヒラヒラと振る。
残念ながら、性欲方面なら歓迎だが恋愛方面とかは男には無縁だ。
こういうのは、先にキッパリ宣言しておいた方がいいだろう。
彼女には、さっさと別のターゲット…もとい生贄…もとい男を見つけて欲しい。

VJ >  
彼女も言うほど呼ばれ方を気にしているわけではない。
最近では、ジェイルもなんかジュエルっぽくてよくない? くらいに考えている。
不思議なものを見た顔をして言った。頭の上に?が浮かんでいるような顔で。

「ランド君の結婚願望の有無と、私とランド君の入籍は別に関係ないことでしょう」

なにそれ?

「と、まあ今は先生モードだから置いておきましょう。とりあえずランド君は家庭科の評価にプラス付けておくからもったいないので出席するように」

黒龍にとって、もったいないということである。
謎の面白ポイントなる評価点を失うことと、1週間に90分の時間を失うことのどちらを損失と見るかは人それぞれだ。

「考え事って言ってたかしら。教師の立場から手を貸せることがあれば、この通り手は空いているわよ」

急に教師風を吹かせてみる。

黒龍 > 「……いや、入籍とかそもそも全く関係ねーし」

結婚とか自分の自由気侭な主義に反するから絶対したくねぇし、という内心。
そういう甘いのは他所で自由にやってくれ、というのが男の本音であり。
今は、ではなくずっと置いておいて欲しい問題ではある。つぅか別の男探せよ、と思うけど口には出さない男であった。

「………面倒くせぇなぁ」

紫煙交じりの溜息を一つ零す。まぁ出ないとそれはそれで後が面倒そうだ。
一度くらいなら出ておくか、と思うが継続して出るかどうかは微妙である。
面白ポイント云々は正直、男にはどうでもいいのだが進級云々に後で響いてくると面倒だ。

(…そもそも、学生なんつーのはカモフラージュみたいなもんだしな)

最悪、留年やら退学してもそれはそれで構わないと思っている。
そうなったらなったらで、落第街やスラムを拠点とするだけだ…今でもそうだが。

「……あーー異能にどうも目覚めたぽいんだが、いまいち…こう実感が無くてな。
そういうのってやっぱり研究区画とか行けば判定とか検査はして貰えんのか?」

異能については素人に近い為、彼女にそう尋ねてみる。魔導書の力については黙秘だ。
そっちは禁書庫が関わってくる為、流石に教師らしい相手には話せない。

VJ >  
必須教科ではないので多分響かない。

「うーん、そうね。君が実は不法な生徒であったり、なんらかの犯罪歴があったりしない限りはなんらかの検査はしてもらえるでしょう」

たとえて言ったのであり、別に相手が不法な手段で学生証を手に入れているのではないか、と思っているわけではない。
不良の5人に1人は脱法生徒(?)であるとの噂もあるので、頭の片隅に置いていないわけではないが。
相手がそうだったからといって、だからなんだというのが彼女の本音である。

「異能に目覚めたようではあるけど、それを扱えないから分からない?
 それとも、使えはするけどそれの正体がなんなのか分からないみたいな話?
 前者であれば――試しにやってみてもらって構わないけど」

くいくい。カモンのボディランゲージ。

黒龍 > 「…不法っつぅか異世界から来た人物って時点でアレだけどな。
この島にゃ、俺みたいに別世界から来た連中もゴロゴロ居るんだろ?
まぁ、ハッキリしねぇのは気持ち悪ぃから一度は足を運んでみるつもりではあるがよ」

不法な生徒ドンピシャだが、そこは全く態度を変えない。伊達に長生きはしていない。
まぁ、何となくこの女はそういうことはあまり気にしなさそうでもあるが。

「あー何か上手く言えねぇが、魔術とは違う力に目覚めたっつぅ漠然とした感覚はある。
けど、それに具体性が無いっつぅか異能の「形」がイメージ出来ないというか掴めない感じだな」

要するに、力は確かに目覚めているが何の異能なのか発動条件すら分からないのが現状だ。
だから、彼女の発言に則るなら前者に近いが正体不明という点では後者も該当する訳で」

何となく、右手をかざして目覚めた力を外に出すイメージをしてみる…が、何も起きない。

「……んーやっぱ何も起きねぇな。そもそも自分であれこれ試したからな」

VJ >  
「ココも一枚岩じゃないわけだから、面白そうな力なら清濁併せ呑んで調べちゃう変人も居るだろうけど」

出会ったことはない。探す気もまた然りだ。イケメンだといいなァ、と思うばかりのこと。

「……これは自論なんだけど。
 魔術以外の力って、基本的に自分の何かを削って行使するものでしょう。
 だから、『自分の想う力』が発現する傾向にあるんじゃないかと思っているの。
 体外への変化がなければ体内の変化。
 自分に使う力じゃなければ他人に使う力。
『扱えない』って時は、『扱う方向性』を間違っていることが多いわね。
 無意識に則した力であれば尚更。深層心理なんて、見えないから深層なわけだし。
 自分だけで試して分からなければ、誰かに試すか、誰かと試すか。
 ……どっちにしても、手っ取り早く可能性を知りたかったら、もうちょっと専門的に調べるのが早いんでしょう。
 能力指導は専門分野とはいえ、私が教えるのは取り扱いの方法なだけで、もう少し根っこってなったらお手上げ」

 ごめんなさいね、と。バツの悪そうな顔で締めた。

黒龍 > 「……つまり、もうちょいアプローチの方向性を変えつつ、それでも駄目なら専門機関でやっぱ調べて貰うのが早いって事か…」

呟くように口にして。彼女の持論については成る程、と思う。
初めてやっと教師らしい面を垣間見た気がする。今まで?そこはノーコメントだ。

(――そうなると、能動的にこちらが使うって異能じゃねぇ可能性が高い。
受動的…相手からの異能や攻撃に反応するとか?そっちはまだ試してねぇからな…。
大まかに方向性だけでも掴めりゃ、そっから逆算して当たりを付けるのも不可能ではねーんだろうが。
…面倒だが、やっぱ研究区画に足を運ぶのが妥当っていやぁ妥当なのかね…)

と、あれこれ考えても仕方ない。一先ず、方針的なものを固まりそうだからそれで良しとしよう。
まぁ、もう一つの悩みの種である魔導書については平行して独自に調べるしかないが。

「……んー…あんがとよヴェイパー教師。何となく方針は決まった…つぅ事で俺はそろそろ暇するわ。そっちは?」

VJ >  
「ああ、死にかければもっと早い。
 魔術と違って感覚的なものばっかりだから、習うより慣れってこと。
 調べられるのが性に合わないなら危ないところに行ってきたら?」

 おすすめはしないけど――と言う割に、その表情は。

「うん、私はそもそもランド君が居なければここに居ないわけだから」

 帰るというのであれば、そりゃ帰ろう。

「来たついでに、チャイムの調整でもしていきますか……次は家庭科室で会いましょう」

にこり。

黒龍 > 「――生憎と、元の世界では何度も死んだり死に掛けたりしててな。
そういうのは”もう飽きた”。まぁ、こっちの世界は俺にゃ未知数だからいい案かもなそれ」

と、小さく皮肉げに笑う。嘘ではない。元の世界で屍山血河を何度も乗り越えてきたのだから。
そもそも”死を象徴するドラゴン”なのだから――この男は。

「……なんだそりゃ、最初から俺目的で落下してきたのか?ストーカーってやつじゃねぇだろうな?」

思わず真顔でガン見してしまうが、直ぐに一息ついて気を取り直し。
ニコリ、とした笑顔は何とも言えないがヒラリと、ゆるく右手を振ってみせる。

「――んじゃな。アドバイスあんがとよ”先生”」。

そう告げれば、そのままヒラリと最上階から飛び降りて――重力制御の魔法で無事に着地。何かに迎撃されることも無く。

そのまま、後は気だるそうな足取りでこの場を後にするだろう。

ご案内:「大時計塔」から黒龍さんが去りました。
VJ >  
「生徒が居ると思って跳んでこないわよ」

今後ストーカーになる可能性がないとは流石に言い切れないけれど。
言い切れない。

その背を見送り、頭をかく。

「……力不足かしらね」

少しだけ、憂鬱げな眼差しで時計を見上げる。
時計――時計。
ふいに目に入る『橘』の文字。

「……オッラァアアアアアッ!!!!」

橘――とあるカフェでの出来事を思い出しながら、夜空に吠えた。

ご案内:「大時計塔」からVJさんが去りました。