2018/10/17 のログ
■國宏一実 > 「・・・早めに来れてよかった。」
ふと声を漏らす。こんな綺麗な世界を少し、一かけらでもどうしてか好きになれる。
憎しみという感情以外でも、少しでも戦える理由がこの景色だと思える、それだけでも心に余裕ができる。
童心に帰ったかのように少し笑みが漏れる。やはりこの場所は好きだ。
なんて物思いに耽っていると、聞こえた声の主に瞳を向けた。
「よくって程じゃないな...たまに疲れたときとか?」
まさか話しかけてくるとは思わなんだ。
こう近くでみるとやはり人形のような少女だ。
■柊真白 >
?
(彼の呟きを聞き取り、首を傾げる。
その言葉がまさか自分の姿から出たものとは思いもしない。)
ふうん……。
疲れてるの?
(よく来るわけではないのに今ここにいると言うことはそういうことだ。
まぁ自分も似たようなものだが。
しばし考え、距離を詰めて。)
――ちょっと屈んで。
(目の前でそんな要求。)
■國宏一実 > こうやって居候の異形以外と会話するのはいつ以来だっただろうか。
最後に会話したのはあの態度のでかいチビだったか?
そんなことを思いながら相手の問に答える。
「あぁ、疲れた。
休まないとやってけなくてな。」
本当は休みたくない、もっとこの活動を続けなくては。その感情を押し殺し、そう答える。
こうしている間にも腐った連中が悪事を行っていると思うと虫唾が走る。
「あ?これでいいのか?」
相手の要求に従うように屈む。
無意識にこうしてしまったが、たまにはいいか。なんて。
■柊真白 >
(こちらの言葉通り屈んだ彼。
その彼の頭に手を伸ばし、)
よしよし。
(撫でる。
子供の頭を撫でるように、優しくゆっくりと。)
疲れた時は休むといい。
焦って動いても、疲れてると辛いだけ。
■國宏一実 > なにをするのか?若干の期待があった。
疲れを癒す異能?魔術?
そんなものでまた戦えると思えばこのくらいお安い御用だった。
「...あ?」
撫でられた。
撫でられたことなんていつぶりだろうか、記憶すら霞んでいる程ずっと前。
こんなもので何ができる。何になる。そう思っているはずなのに。
「あ?なんで...こんな。」
気づけば涙がでていた。理由は分からない。
ただ何故か悲しくない、辛くない涙だ。
■柊真白 >
(もちろん人を癒す異能なんて持ち合わせちゃいない。
持っているのはそれと真逆の人を殺すためだけの技能だけだ。)
泣きたいときは泣いていい。
我慢しないで泣けばいい。
(それでも、そんな血に汚れた手でも人の心を癒すことは出来るのだろう。
何となくそう思えた。)
よしよし。
(彼の首に手をまわして引き寄せ、撫でる。
あまりクッション性のない胸だけれど我慢してほしい。)
■國宏一実 > 自分が他人に涙を見せる?
折れそうな心を無理やりつなぎ止めて、折れないように、壊れないように、ずっと一人で戦っていた自分が?
とうとう壊れてしまったのだろうか?こんなところで?
「はは...不思議な気分だ...。」
他人に撫でられるのはこんな気分なのか。
ずっと一人だった自分にとってはとても新鮮な感情だった。
「だけど...俺が戦わないと、俺がやらないと、声が止まないんだ。こんなにつらいのに...。」
■柊真白 >
そっか。
頑張ったんだね。
(彼が何と戦っていたのかはわからない。
けれどそれはずっと一人での戦いだったのだろう。
こんなになるまで、一人で戦っていたのだろう。)
でも、それじゃあ君が救われない。
君が誰かを助けるだけじゃなくて、君も助からないと救われない。
(まずは自分だ。
自分が万全でないと誰かを助けることなんて出来るはずがない。)
だから休んでいいんだよ。
誰かを助けるために、君がまず休もう。
(そう言い聞かせながら、頭を撫で続ける。)
■國宏一実 > 「もっと...もっと頑張らないといけねぇのに...。」
自身が傷を負おうが、人を捨てても、忌み嫌う犯罪者に堕ちようとも、戦い続けてきた。
自分と同じ境遇の人間を少しでも減らす為に。
相手は何も聞かずに撫でてくれる、自分を包んでくれる。
「自分も助かる...?そんなこと、一度も考えたこともなかったなぁ。
休んでもいい、アンタと違ってこんなに汚れた俺にそんなことを言えるなんて、アンタ優しいんだな...。」
■柊真白 >
覚えておいて。
「もっと頑張る」って思ったときは、休まなくちゃいけない時。
(これまでの長い生涯で、そういって潰れてきた人を何人も見てきた。
だから、優しく頭を撫でる。)
そうでもない。
誰だって見えないところでは意外と汚れてる。
知り合いにも厳しいって言われるし。
(主に同居人のことをいじめたりしたときに。)
■國宏一実 > 「あぁ...なるほどな...分かった気がする。」
ずっと居候が言っていた休めという言葉。
半身同然のコイツから言われた言葉を流していた自分を恥じる。
「そうか?だけど俺からしたら十分にアンタは優しいよ。
お陰で決心がついた...感謝する。」
気づけば涙が止まっていた。ようやく落ち着けた、こんなに幸福感のある涙は初めてだった。
■柊真白 >
ん。
(その言葉を聞いて体を放す。
彼の顔をじっと前から見て。)
わかってくれたなら、いい。
(表情を変えずそう告げ、再び欄干にもたれかかる。
そうして夜の空のような街の景色を眺める作業に戻った。)
■國宏一実 > 「...変な姿見せちまったな。」
他人の前で泣いてしまうとは、今になって恥ずかしくなってくる。
立ち上がり、涙を拭えば、もう一度景色を目に焼き付ければ、息を吐いた。
「あぁ、ありがとうな。また...会えたときは何か礼をする。」
そう言って自身は時計台から帰ろうと出口へ歩いていく。
そんな中、彼の背から赤黒いスライムに口が付いた異形が姿を現す。
異形は何も言わずに彼女の後姿を見ていたが、やがて彼の体に戻っていった。
ご案内:「大時計塔」から國宏一実さんが去りました。
■柊真白 >
気にしないで。
誰だってそういうことは何度かある。
(自分だってこの間人前で泣いたのだから。)
だから気にしなくていい。
でも、何かくれるなら貰っておく。
(そう返し、彼の姿を見送って。
彼の体から出てきた赤黒いスライムには手を振っておいた。
そのあとしばらく夜景を眺め、気が済んだところで時計塔を後にした。)
ご案内:「大時計塔」から柊真白さんが去りました。