2016/08/26 のログ
ご案内:「風紀委員本部」に寄月 秋輝さんが現れました。
寄月 秋輝 >  
夏季休暇とはいえ、風紀委員としての仕事はある。
嘱託ではあるが、その手の仕事からは逃れられないものだ。
最近の治安状況や、地域に設置してある魔術の停滞状況の報告書をまとめてきたわけだ。

(……来年は僕も抜けるしな)

学生街から居住区の不審な魔術全てを監視、解読しているため、今後の仕事の引き継ぎもしなければならない。
別に自分が続けてもいいのだが、風紀委員を抜けて勝手に行っていいものでもないだろう。

そんなわけで本部に書類を提出し、ようやく一息。

ご案内:「風紀委員本部」にレイチェルさんが現れました。
レイチェル > 「よう、お疲れさん」

ようやく一息ついた寄月。
彼に対して、軽く右手を挙げて挨拶するのは金髪の少女。
常世の制服に、クロークを身に纏ったレイチェルである。

彼女もまた取り調べの仕事が終わったらしく、
一息ついたところであるようだった。

寄月 秋輝 >  
「あぁ、お疲れさまです。
 ……レイチェルさん、でしたね」

振り返りながら右手をかざすように挙げ、挨拶を返す。
遠目に見たことはあったが、話すのは初めてだ。

「本日は何の仕事を?」

ねぎらいつつも、仕事の内容を聞いておく。
自販機を指さし、何か飲もうということで軽く移動もしつつ。

レイチェル > 「その通り、正解だ。お前は寄月、だったな」

遠目に見たことしか無かったのは、レイチェルもまた同じ。
今回は丁度一息ついた所に珍しく彼が居たので、気が向いて
話しかけてみたのであった。

「窃盗犯の取り調べ。小さな事件から大事件まで、毎日尽きねぇからな……」

指をさされれば、次の予定まで時間に多少の余裕があることを
確認して、彼についていく。

寄月 秋輝 >  
「こうしてお会いするのは初めてですね。
 ここで仕事をして二年目ですが、まだ話したこともなかったのでちょうどよかった」

会っておきたかった、という本心もある。
活動意欲のある相手だ、いざというときに頼れる相手になるかもしれない。

「……このご時世に窃盗とは……
 いえ、逆ですね。異能や魔術があるからこその犯罪です。
 異能や魔術に対する法は、大変容以来早い段階で整備されたというのに」

頭をがりがりかいて呟く。
やはりというか、世界が未熟なのは仕方がないのだろうか。

自販機を上から下まで眺めて、硬貨を入れたら迷わずボタンを押す。

おしるこコーラ。

レイチェル > 「その筈だ。
 まぁ、風紀委員も結構人数が居るからな。
 こうして話すのも何かの縁だ。よろしく頼む」

にこり、と人懐っこい笑みを浮かべるレイチェルであった。
初めて話す相手でも、親しみを込めて話すことが多いのが彼女である。


「法が整備されたところで、人々の心の闇は変わらねぇ。
 起きる犯罪は起きちまう。そんなもんだろ、多分」

自販機を眺めて、欲しい飲み物を探す。
『おしるこコーラ』なるものを見てぎょっ、と驚いた顔をする。
いつの間に入っていたのだ、こんな飲み物は、と。言わんばかりに渋い顔。
その上で『おしるこコーラ』を購入する彼を見て、更に驚いた顔をして。
彼女自身はよく見かける、ミニペットボトルタイプのミルクティーを
買ったのであった。

寄月 秋輝 >  
「ええ、よろしくお願いします」

同じく、自然で静かな微笑みを浮かべた。

「ある程度は仕方がないところかもしれませんね。
 とはいえそれを正す者も居るのなら、まだ安心です。
 これらを取り締まる者が居なかった時代は、混沌としていたらしいですから」

嘆かわしいが、今は恵まれていると思う。
最悪の時代はそれを正せない、無法状態である時期のことだ。

さて、そのおしるこコーラを迷わず開け、ぐいっと飲む。
無表情。

「……佐伯さんにいいから飲めと勧められたのですが……
 二度飲んでも良さがわかりません」

真顔で呟いた。

レイチェル > 「光と影みてぇなもんだろ。
 誤った道を行こうとする者が居れば、道を正そうとする者が出る。
 道を正そうとする者が居れば、誤った道を行く者が出る。
 だからそう、仕方がないことではあるんだよな……」

肩を竦めて見せるレイチェル。
この世が混沌としていた時期のことは、
テキストの上に並ぶ知識のみではあるが、レイチェルも知っていた。


「ん、貴子。知り合いだったのか、お前」

少し意外そうな顔をする。
貴子から寄月の話を聞いたことが無かったからだ。
問いかけた後に、ミルクティーをこくこく、と飲む。

寄月 秋輝 >  
「……そうかもしれませんね。
 ただ、元居た世界と比べてあまりに……
 いえ……ここ一年近く、あまり重大な犯罪が起きていないことのほうを喜ぶべきでしょう」

世界同士の比較などしても意味が無い。
何にせよ、今の平和を喜び、維持することが大切だ。

「ええ、彼女が落第街の警邏の折には僕が護衛も兼ねて同行しています。
 ……ご友人でしたか?」

おしるこコーラを飲み干して尋ねる。
何せ佐伯貴子とは、ほとんど仕事上の関係だ。
あとはあまり人に話せないことか。

ご案内:「風紀委員本部」にレイチェルさんが現れました。
レイチェル > 「お前が居た世界はそんなに犯罪のない世界だったのか?
 そいつは羨ましい話だがな……。
 ああ、そうだな。あまりに大きな事件ってのは、まぁ……
 表には出て来てねぇな」

表には出ていないとはいえ。
今この瞬間にも大きな犯罪が一つや二つでなく進行しているのだろう。
腰に手をやって、頭を小さくニ、三度振るレイチェル。

「護衛か、そりゃ良いことだ。
 あいつはしっかりしてるが、戦闘向きかと言えばそうじゃねぇから
 な。まぁ、友人……というか、そうだな。親友だ」

何度も身体を重ねているのだから最早『友』より上の何かではないか、と。
一瞬脳裏にそんな考えが浮かんだが、それは喉に届く前に胸に
押し留めておくのだった。

寄月 秋輝 >  
「そうですね、件数は少なかったです。
 起きた場合は、相応に大きかったですが。
 ……そういう意味では、あまり治安が良かったとも言いづらいかもしれませんね」

そう呟く。
小さな事件の下で大きな事件が進行しているのかもしれない。
そう考えると、どこの世界も同じかもしれない。

「ちょっとばかり弱みを握られたのもあって、しっかり活用されていますね。
 いやまぁ、僕が悪いんですが」

頭をかりかり。
そしてそのレイチェルの対応から。
そしてその弱みを握られた瞬間のことを思い出した。
なるほど、この人か。
とは思うが口にはしないでおく。

レイチェル > 「成程な……。
 件数が少ないこと自体は一見、良いことのように思えるが……。
 まぁ、難しいところだな。そういうのは」

寄月が話せば、その間は黙ってミルクティー入りのペットボトルに
口をつけつつこくりこくりと頷く。

「ふーん、弱みねぇ。色々あるんだな。
 まぁ、今後も護衛するならよろしく頼むぜ。
 オレも貴子と一緒に行きてぇんだが、
 色々別の仕事やら重なっちまっててな……」

その弱み云々について聞く気にはならなかったので、そっとしておき
つつ。

寄月 秋輝 >  
「何にせよ、気を引き締めながらも平和を楽しめばいいんでしょうね。
 起きるまでは大したことが出来ないのは、僕らの常です」

おしるこコーラの缶をくしゃりと軽く握り潰し、ゴミ箱へ。
分別はしっかりね。

「今年のうちは任せてください。
 来年はもう教師をするので……それも含めて引継ぎが必要ですね。
 レイチェルさん、来年までに都合を付けられませんか?」

レイチェル > 「そこも仕方ないところだが……まぁ、最善を尽くすだけだ」

同じく飲み干したミルクティーを、ペットボトル用のゴミ箱に
ぽいと投げ入れて。

「へぇ、教師か……。そいつは大変だな。
 ん、引き継ぎって、何のだ?」

純粋な疑問を投げてみるレイチェルであった。

寄月 秋輝 >  
「現在学生街から居住区までの範囲にある、不審な魔術の監視と解読を行っているのです。
 ほとんど自分の自由でやっていることではありますが、一応風紀委員会にすべて報告していますからね。
 あとは落第街の危険因子データ、一部の建造物の地下のマップ……」

なんか色々ある。
二年間の単独調査の結果だろう。

「……失礼、話し込みすぎました。
 これから研究区にも行くので、これにて……
 ありがとうございます、レイチェルさん」

ふ、と小さく笑顔を浮かべて礼を述べた。
時間はあるものの、やるべきことは多いのだ。

レイチェル > 「……成程、まぁ。データの方は受け取っておこう。
 改めて目は通しておく。監視と解読については……まぁ、
 この場でどうこう決めることは出来ねぇな」

レイチェルは刑事課の人間であり、自分以外の者が担当するべき
と判断すれば、他へと投げるつもりである。
少し前であれば、引き受けていたかもしれないが。

「おう、じゃあまたな」

確認すれば、次の仕事の時間が迫っていた。
軽く手を振って、レイチェルもその場を後にした――。

ご案内:「風紀委員本部」から寄月 秋輝さんが去りました。
ご案内:「風紀委員本部」からレイチェルさんが去りました。
ご案内:「委員会街」にクライド・マクスウェルさんが現れました。
ご案内:「委員会街」に五代 基一郎さんが現れました。
クライド・マクスウェル > その男達は、異能の園たる常世学園をして異質な雰囲気を纏った男達だった。
委員会街。その中でも、風紀委員会の力が強く影響している一角。
風紀委員会本部にほど近い場所にある、来賓用のとある施設のこれまたとある部屋にて。
 
その男。
在日米海軍第七艦隊所属の米兵。
名を、クライド・マクスウェル。
階級は大尉。
 
護衛を数人つれたその男は、無機質な笑みを浮かべたまま、ソファに座っていた。

五代 基一郎 > しかしその男を応接用のテーブルで挟んだ向かい側。ソファに座る男はまた逆で。
異能の園かさてこの常世ではもはや慣れたものか、はみ出し者か何か。
義務付けられた風紀の制服も着用せず、相対する”かの国”の男と同じくスーツで現れ。

護衛の一人も連れずここにいた。
もちろん護衛などつける必要などないのだが、それは常世学園にいる
拳銃の携帯すら必要ない”異能者”であるが故だ。

また加えて言うならば、笑みなど一切なくそもそも何故ここに呼ばれたのかも分からない…
ような、厄介事を押し付けられたなというものを察して特に何と言うわけでもなくソファに座っていた。
ただのお客様お出迎えではなく、その身分から見て外交案件をいきなり投げられたわけだから何事かと思う。

そして何故ここに呼ばれたのか、など聞くわけにもいかない事でもある。
大体来賓の場、迎える側にいていざ迎える時にどのようなご用件でしょうかなどと聞くわけにもいかない話だ。
時計の針が音で時間を刻み進む中で相手からの言葉を待った。
それこそ相手にはここに来たそれなりの理由があるのだろうから。

クライド・マクスウェル > 「まずは、お時間作って頂きありがとうございます。
私はとある伝手でこちらの常世学園に在日米軍から出向している、クライド・マクスウェル大尉であります。
細かい肩書の方はこちらで失礼」

一種の演劇科白染みた自己紹介と共に、クライドは名刺を差し出す。
横文字ではなく、日本語で書かれている縦書きのものだ。

「早速で申し訳ありませんが、コンセントを貸して頂いてもよろしいですかね?」

五代 基一郎 > 「風紀委員特殊警備一課の五代基一郎です。」

どうも、と名刺を受取りみれば日本人向けのそのデザインから
こういった仕事に慣れた……専門の人間だなとは察せられた。
故により一層何事だろうかという疑念が湧いてくるわけだが。

自分も一応作られた通話連絡用のアドレス等が記載された風紀委員用の名刺を差し出し名刺の交換を済ませる。
コンセントの使用についてはどうぞ、とも答えて相手からの開示を待った。

クライド・マクスウェル > 「ありがとうございます」
 
 そう五代に微笑んでから、クライドは背後の男たちに目配せをして、英語で何やら喋りはじめる。

『おい、準備しろ』
『防諜はよろしいのですか、大尉』
『この島ではそんな事は考えるだけ無駄な事だ。
今だって何人に覗かれているのか分かったものではない。
この島ではプライベートなんて言葉は無いと思え。
そんな事よりも、ミスター五代を待たせる方が問題だ。
さっさとしろ』
『承知しました』
 
 そして、スーツケースからおもむろにノートパソコンを取り出して、テーブルの上に広げ始める。
 
「まずは、こちらの映像を見て頂きたい」
 
 そういって、デスクトップに置かれた一つの動画ファイルをクリックすると……。

【常世きゅんきゅんッ♥ ワクワクっ♥ えーきさいとっ】

 何やら、若者向けのPV動画の様なものが始まった。
 それも、相当コアな客層に向けられたそれであることが分かる。
 常世学園についての言及があるあたり、この学園の地下出版物の一種であろう。

五代 基一郎 > 大体言っている内容はわかる。
実際そういった能力者はいくつかいて、問題にもなっている。
その辺り気にすれば果てもないし各々の防衛をとなるわけだが……
流石にここがそういったこと前提、というのは大分問題があるわけであるが
こちらの立場から何を言ってもと思うし個人的な考えでいえばここもどこまで安全かというのはある。

さておきわかるが彼らが言う内容がそのままなら、ある程度のリスクを理解した上で
今回のとなるわけだが、そうまでして持ってきたものとは一体なんなのだろうか。


と、待てば出てくるのはノートパソコンから写されるのは……
所謂”地下アイドル”のPV動画だろうか。この島の名前が使われている辺り
あまりセンスを感じさせないものが出ているところもまた地下アイドルらしい。

「……これでいいんですか?」

流石に見せるものを間違えた、というわけでもあるまいが
一応聞かずにはいられないものが流れ始めている。
大の大人含む制服組が囲んでみているのが地下アイドルのPVというのも異様な光景である。

クライド・マクスウェル > 日本人一名と屈強な米国人数名が、小さなノートPCの画面に映し出される地下アイドルのPVを覗きこんでいる。
傍目から見たら滑稽やもしれないが、残念ながらこの場には当事者しかいないため、傍目というものは存在しなかった。

「いいんです。これで。
まあこの辺はどうでもいいんですが……全部御覧になりますか?」

流れ続ける黄色い声色のPV動画に視線を送ったまま、クライドは尋ねる。

五代 基一郎 > 「いえ進めてください」

それも官庁街の風紀影響下、応接室でこれだ。
傍目というものがないことに感謝するべきだろうか。
問いかける人間などいはしない。

流石に何か問題があるだろう該当箇所まで見続けるほどこの地下アイドルに思い入れがあるわけでもないし
購買意欲が湧いてくるかと聞かれれば二度と聞きたくないというのが感想だ。
本題はどこにあるのか、そこを見せてほしいと答えた。

クライド・マクスウェル > 「じゃ、飛ばします」
 
 そういって、シークバーを豪快に中ほど後ろにまでスライドさせたところで。
 
「ここです、ここ。この【私が異能者になっても】の所」
 
 そういって、PV動画中でマシンガンを持って動き回っているコスプレ女子こと地下アイドルの胸元を指差す。
 ……よく見れば、何やらアクセサリを付けている。シルバーリングのようだ。

五代 基一郎 > 「……どこです?」

若干視力がというのはさておきノートパソコンのディスプレイ自体が、というのもあって
覗きこむように注視し、説明を受けて見ればその該当部分が示される。
地下アイドルがつけているシルバーリングが示されるがこれがなんだというのだろうか。
少なくとも何か破壊的な威力を持つ戦術兵器のようには見えない。
このリングが気に入ったので買ってきてほしいというわけでもないだろう。

クライド・マクスウェル > 「ここ、この少女が持っている銃と、つけているアクセサリ」
 
 クライドがそういってまたクリックして何やらソフトを走らせると、拡大処理され、画像が鮮明になる。

「このPVはつい先日発売されたものです。
撮影時期もまだ分かっていないのですが……この少女の持っている銃とアクセサリは、我々が内偵していたとある人物の持っているはずのものでしてね。
お話を聞きたく思い足取りを追いましたが、関係者は未だ一人も行方がわかっていません」

五代 基一郎 > 「ちょっと待っていただきたい。」

地下アイドルのPVから出てきた要件の中心。
その拡大静止画。そこから出された内容。

「なぜその案件をうちに。貴方達が捜査しているというのであれば問題(こと)が問題(こと)だ。
 公安委員会の方に持ち込むような内容じゃないんですか。」

かの国が内偵している人物、それも軍部の人間が追っている人間だ。
内容を砕けばその人間がこの島で活動しているようなので情報が欲しい、また協力しろというものだ。
それこそ風紀のという問題ではない。たしかにうちは対外関係の実働でもあるが
問題が問題すぎる。よりそちらの色が強い公安委員会の方を通り越してというのもであるし
何よりこのPVにどういう経由で経緯で行きあたったかだ。動画再生サイトであれ
こういった類のはいくらでもある。見ていなければ判別などつかない。
ある程度目星をつけて探っていなければ……である。

「それに持っている人間が割れているのであれば彼女らに聞けばよい話ではないんですか」

大体言い様からすれば先日発売された、というのにこの速さであり
かつ地下とはいえアイドルなのに関係者一人も行方が分からないとはおかしな話だ。
不明瞭な点が多い話だが。あまりいいものではないことだけははっきりしていた。

クライド・マクスウェル >  五代の言を聞いて、クライドは満足気に頷く。

「全くその通りです、ミスター五代。
これは本来なら公安委員会と協議するのが妥当な案件でしょう」

 実際、こと常世学園に限れば、警察的な側面の強い風紀と、諜報組織としての側面の強い公安では後者の方が適した案件である。
 だが、しかし。

「ですが、それでは遅すぎるのです。
この島では即応性の側面でいえば、公安委員会よりも貴方達風紀委員会……さらにいえば、風紀の中でも特殊な独自のパイプを持っている部署のほうが都合がいい。
御理解頂けるには十分な理由かと思われます」
 
 そういって、クライドはまた無機質な笑みを浮かべた。
 当然、公安にも後で持ち込むのだろう。
 だが、それでもイの一番に持ち込んだ部署とは当然優先度が異なると内外に示すことになる。
 それを真っ先に示した、ということである。
 
「彼女達の身柄はこのPVを我々が見つけてから再三追っているのですが……まるで足取りがつかめません。
我々は性質上、この手の捜査が不得手で、本来ならCIAなどの協力も仰ぎたい所なのですが……流石に彼らの介入を徒に望んでは、此処の親許に覚えがよろしくない。
となれば、現地で、都合を理解してくれて、無難にご協力願えそうな部署はどこかと考えていくと……行きつく先はそう多くないのですよ」

五代 基一郎 > 実際まぁ、そうではあるのだが。
目の前の相手が言うように色々ツテやらなにやらで何かあれば
さておいて色々好きにやっているのはあるのだが……
しかし何よりこの男の言い方からすれば既に事態は動いているように感じられる。

それも早急に手を打たなければならないし、秘匿性の高い案件でもある。
呼べる人間など限られているし内々に済ませる必要がある。
公安との協力は必要だが、ほぼ事後となるのはまた確執がとも思うが
それを理解した上でのだろう。後で面倒なことにならなければと思うが今考えても仕方がないことだ。

大体何か起きるとして、何かが起きてからでは遅い規模のものであることは
持ってきた者達の身分からすれば言わずもがなだ。
こういうときのまず外からの糸口として置かれているのは自分でも理解していたがかなりデリケートな問題が入ってきたことには苦い顔をせざる負えない。

「それで、我々に何をどうしろと」

クライド・マクスウェル > 「御安心下さい。何せ急な事ですので、お願いする事はそう多くありません。
まず、第一にこのPVに映っている生徒達の行方。
そして、もう一つは、この人物の行方を追ってほしいのです」

 
 そういって、また部下に目配せをすると、一枚の古ぼけた写真を渡してくる。
 映っているのは、三十代半ばと思われる日本人男性の顔。
 口を引き結んだ生気のない目をした男。

「有馬 幸作。35歳。国籍日本。
数年前まで、我々米国でとある物理学の研究をしていた科学者でしてね。
研究者になる前は此処で教鞭をとっていたそうです。
まぁ、しかし、無理にとはいいません。
日頃の職務の片手間にもし何か耳に入ったら……程度で結構です」
 
 出向中の身である彼らだ。
 大っぴらにあれをしろ、これをしろ、などとはいえない。
 これらはあくまでただのお願いであり、一種の世間話の延長線上なのである。

「我々からのお話は、まぁ、有体で言えばこれで終わりですね」