2016/10/18 のログ
伊都波 悠薇 > 「いったっ……」

痛い。当然痛い。
だが、この痛みは罰ではない。
違うと、自分のなにかが告げている――
だから……

「そう何度も何度も、気安くたたかないでくださいよっ」

叩かれた反動を使って、左手の裏で。
頬を叩く――遠慮なく――振り切って――

「子供と言いたいのはわかりますがっ! だから罰は受けたといっています!! 罰をしっかりと享受してますっ……謝る代わりに。それのどこがいけないんですかっ。誤って許されることと許されないことの区別くらいできますっ」

吠える。
姉とも、言い争いした時と同じくらいの”なにか”

「新しいだれかって何ですかっ!? 新しいだれかって誰ですかっ。間違った人に必要なことって何ですかっ!!!!」

罪人は。

「前を向く方法なんて知らない! 私はいつも一人だ、独りだっ!!!! なにも、何も知らないのに――簡単に前を向けなんて言わないでっ。あなただって――」

息を吸う。

「あなただって、線引きして――生きているヒトでしょっ」

ちょっとにているけれど、でも違う人。

「――ごめんなさいなんて――……」

――……そう

「ごめんなさいなんて……」

自分だって、謝られても許せなかったのに。

「――……ごめんなさい、なんて」

そう、何度も謝られたって。許さなかったのに

「………………うぇ……」

泣く権利なんて、自分にはない。
でも謝れというなら。

「ごめんなさい……」

とさりと、全部吐き出したように。地面に、崩れ落ちて
顔を手で覆った

谷蜂檻葉 > 「痛っ……!! このっ――ー!」

べぢん。と、鈍い音が顔を張る。
グーにも近い、ちょっとした鈍痛がジンジンと残る。

反射的にまた腕を飛ばしそうになるところを―――堪えた。
ようやく『聞ける』のだと、そう直感したから。



………


……………そうして、彼女の独白を聞き届ける。 答えを、聞き終える。



「罰ってのはね、自分で決めることじゃないのよ。
 周りが、後から「そう」である事を決めるもんなの。


……”人のこと言えない”のは百も承知。 でも、言っちゃダメではないでしょ?

 『独り』だって言うなら、なんであんたもの周りに人が”居た”のよ。
 嫌われるだけの余地があったんなら、独りじゃなかったって解るじゃない。

 ……なのに、ほんと、わざわざ馬鹿な事して……馬鹿。」

へたり込むように冷たい地面に腰を下ろす悠薇の頭を、乱暴にグシャリと撫でる。

「ん。 ……私も、その、叩いてごめんね。」

気恥ずかしげに、そのまま腰を下ろして悠薇に肩を貸して立ち上がらせる。
本は、悠薇のカバンに無理やり詰めて。

「あぁ、ほら! こんな所で座ってたら風邪ひくから!」

彼女がまた一歩踏み出せるように、寄り添って歩き出した。

ご案内:「委員会街」から谷蜂檻葉さんが去りました。
伊都波 悠薇 >  
泣くことも許されないのは知ってる。
手を引かれ、寄り添われる。
そして――

一緒に帰ったその道は――ほんの少しだけ。
寒さがなかったような気がした。

けれど――……


……こんなかんじか、なるほどね

誰かの声が、どこかでノイズのように聞こえて

ご案内:「委員会街」から伊都波 悠薇さんが去りました。
ご案内:「委員会街」に比良坂 冥さんが現れました。
比良坂 冥 > 「───……」

すっと建物の間、その影から白い少女が姿を見せる

「………」

じっ…と去っていく二人を眺めた後、少女はその後を足音を殺して、ついていった

ご案内:「委員会街」から比良坂 冥さんが去りました。