2016/12/19 のログ
ご案内:「拘留部屋」に雪城氷架さんが現れました。
■雪城氷架 >
「………」
ぼうっと、天井を眺めていた
風紀委員の管理する施設、その拘留部屋
想像していた…留置場とか、牢屋なんかとは違う空間だった
ベッドもあるしトイレもある、
暖房も効いているし、…いわゆる軟禁状態である
■雪城氷架 >
……あれから、色んなことを聞かれた
まず、一般学生が立ち入りを推奨されていないあんな場所になぜいたのか
──それについては妙な動物を追いかけて思わず侵入してしまったということ
歓楽街からの境目を意図せず超えてしまったことを正直に答えた
■雪城氷架 >
一番の焦点は…なぜあんな規模で異能を使ったのか、だった
それについても何度も説明した
得体の知れない、ゾンビみたいな、変なモノに襲われたということ
抑えた異能の力では全然太刀打ちできなくて、身の危険を感じてやったことだということ
──異能の不調が以前からあったこと、も含めて
■雪城氷架 >
……現場検証で出てきた、いくつもの燃えた制服の切れ端
それを提示され、何度も同じことを問われた
"襲ってきたのは、二級学生だったのではないのか"
"気が動転して化物に見えていたのではないのか"
違うと、そんなはずがないといくら主張したところで
証拠や状況をみればそんなもの、言い訳としてしか取られないのは当たり前だった
■雪城氷架 >
……本当にそうだったのだろうか
自分が、精神的に動揺してそう見えていただけで……
だったら
自分が焼き尽くしたのは───人間だったことになる
「………」
じっと自分の手を見る
………人を殺した?
ご案内:「拘留部屋」に寄月 秋輝さんが現れました。
■寄月 秋輝 >
こんこん、と小さなノック音。
「起きていますか」
外から声が響く。
抑揚のない声、男性のものだろう。
「嘱託風紀委員の寄月と申します。
入ってもよろしいでしょうか」
ドアのところから身分証が出てきた。
■雪城氷架 > 突然のノックの音にびくっとその身体を震わせて
「………どうぞ」
小さい、消え入るような声でそう答える
……また、同じことを何度も聞かれるのだろうか
そう想うととても気が重い
■寄月 秋輝 >
「では失礼します」
ドアを開け、静かに入室してくる。
嘱託だからか、風紀委員の赤い制服ではなく、一般生徒の制服だ。
手の中にはいくつもの資料が収まっている。
「どうぞ楽にしていてください。
いくつかの質問をさせていただきますが」
氷架から少し離れた虚空に腰を下ろすと、まるで空気椅子のように浮かぶ。
ぱらぱらと資料をめくり、すいっと目線を上げる。
「……もう何度も同じ質問をされてお疲れでしょうが、お付き合い願います。
危険区域への立ち入り、炎の巨人の再召喚、及び二級生徒と思しき人間への攻撃……といったところでしたか?」
■雪城氷架 >
やっぱりそうなんだと顔を曇らせる
もう何度も同じ人間に同じことを答えたのに
だんだん、自分のことが信用できなくなってゆく
「そうだよ」
向けられた言葉にはそう返して
「でもワザとじゃないし、…私には学生に見えなかったんだ」
そう、続ける
■寄月 秋輝 >
「ふむ。学生に見えなかった、ですね。
腐乱死体のようなモノに襲われ、命の危険を感じて異能を行使……これまでの供述通りか」
ぱらぱらと資料をめくり、後半の数枚を取り出した。
それを氷架の方に向けて差し出す。
「多分、本当にそれは生徒ではないですね。
現場からどうにもきな臭い残滓を感じました。
人為的に発生させられた、魔術的……呪術的な存在だと思います」
その資料には、それらを裏付けるデータがつらつらと書き連ねられていた。
解読の難易度は高く、魔術の授業をしっかり受けていても、完璧に読み取るのは難しいであろう単語も多いが。
「妙な生物を追って立ち入ってしまった、というのもおかしな話ですね。
もしかすると、それを使って誘われたのかもしれません。
……誰かまではわかりませんが、その首謀者に」
わずかに細めた目で、少女を見つめる。
■雪城氷架 > 「でも…燃えた制服とか色々見つかったって──」
そこまで言って、首謀者という言葉にハッとする
それも含めて、仕組まれていたことだとしたら、と
「…で、でも、全然身に覚えがない!
私そんなことされるような覚え…、なんにもないんだぞ」
あんなことをする誰かなど、まるで見当がつかない
■寄月 秋輝 >
「先に二級生徒を『使って』、それらを『用意』していたかもしれませんね。
それすらブラフで、人間ですらない何かに制服を着せただけかもしれませんが」
実際に計測した魔術等のデータに関しては報告書に記載したが、いくつかの推論に過ぎないことまでは書いていない。
氷架が対峙した者が人間だったのか、元人間だったのか、それとも別の何かだったのかまではわからないのだ。
「報告書にも、現在あなたは異能制御に関して不安があると書かれていました。
それを知る人間はそれなりに居るでしょう。
異能を暴走させることで破壊を生み出そうとした悪意……もしくは愉快犯という可能性もあります」
あまり抑揚のない声で、そこまでの推論を述べて。
手を小さく振る。
「……少し想像の話が過ぎました。
どちらにせよ、あなたがこれまでに恨みを持っているということは無いと思いますよ」
ふ、と小さく笑みを浮かべる。
少しでも安心させようと。
「……人型をしているだけで、異能の行使をためらう。
そんな優しい人が、ここまでの恨みを買うことなど無いでしょうから」
■雪城氷架 >
破壊が目的?愉快犯?
わざわざ制服の痕跡を残すことの狙いは?
頭の中が、こんがらがってきた
ただ、理解できることは───
そうだったとしても、そんな風に利用される、隙だらけの自分が…悪い
自分の持っている異能の力がどんなものか……一度目にあれを発生させた時の事件で、
十分身に沁みているつもりだったのに
練習して、勉強して、頑張って、
自分の思い通りに使えるようになって…
そのあと不調になっても、いずれ治るだろうと楽観視して……心に隙ができたんだ
「あんまり、他人のこと買いかぶらないほうがいいよ。
咄嗟のことで、よく考えて使ったわけでもなかったもん」
仮に、あの時襲ってきたのが本当に学生だったとしたら……自分はどうしたのだろう?
もの悲しげに苦笑するのだった
■寄月 秋輝 > 「……本当に、十分反省は出来ているようですね。
風紀委員会はいつまで拘留し続けるつもりやら」
笑みを浮かべたまま、背もたれにもたれるように体を傾けた。
試したというほどでもないが、彼女がどれだけ疲れているかは今の回答でよくわかる。
「あまり気負ってもいけませんが、確かに使い方はもう少し身に着けてしておいた方がいいですね。
こと暴走からの収束は、魔術でも早い段階で学ぶことです。
飛行機が失速した状態から立て直すのと同じように」
やってしまったものは仕方がない。
暴走も起こってしまうときは、どれだけ注意しても起こるものだ。
ならばそれを抑える手立てを用意すべきだと考えている。
■雪城氷架 >
その、使い方をこの一年半ずっと磨いてきたはずだったのに
いや、こんな弱音をこんなところで吐いたって、仕方がない
落第街の一部を焼いてしまったことには変わりないのだ
その責任は、当然のように自分に降り掛かってくる
最終的にどうなるかはわからない
厳重注意………だけで済めばいいけど
「……もういいかな。
毎日同じことばっかり聞かれるから、疲れちゃったよ」
目の前の相手は、昨日までの風紀委員とは少し違うようだったけれど
拘留期間に関してはまだ何も聞かされていない
…もし、彼の言うように誰かが仕組んだことだというなら……
そんな相手が、自分の近くにいるということ
……それはそれで、とても恐ろしいことのように感じた
■寄月 秋輝 >
「ええ、お疲れさまです。
これらの調査結果も提出しておきますから、早めに出られるように手を回しておきます」
失礼します、と先ほどのデータの書き込まれた資料を回収する。
まだ本部に提出する前の資料だが、これで早めに出られればよいのだが。
「仮に早めに出られたとしても、しばらく風紀委員の監視が必要かもしれませんが……
そこは少しだけ我慢してください」
空気の椅子から腰を上げ、立ち上がる。
ぺこりと頭を下げ、ドアの方へ。
「では失礼します。
……気を強く持ってくださいね。
風紀委員会はあなたを守ることもまた仕事ですから、何かあれば頼ってください。
助けを求める生徒を裏切ったりはしませんから」
最後に、恐怖に飲まれないように一言だけ告げて。
ぱたん、と静かにドアから出て行った。
■雪城氷架 >
ドアが遮るまで、その出て行く彼の背中を見ていた
一人の意見として提出されるであろう、今回の設問
…最終的にどういう処分が下るのか……正直気が重かった
道徳的にはどうあろうと、
間違いなく思われてはいるのだ、
危険な異能を持つ人間だと
「……はあっ…」
大きなため息
「どうしよう、括流」
いつもの癖でついそう言葉を呟くも何も返ってこない
……もう何度やっただろうこれ、習慣とは恐ろしい
「……寝よ」
色んな人に心配をかけてるんだろうな
そう思うとなかなか眠れなくて、ここ最近不眠が続いていた
今日の彼は、自分を安心させてくれようとしたのが伝わってきた
……昨日までよりは心が苦しくない
今日はなんとか、眠れそうだ───
ご案内:「拘留部屋」から雪城氷架さんが去りました。
ご案内:「拘留部屋」から寄月 秋輝さんが去りました。