2015/06/07 のログ
ご案内:「学生通り」に橿原眞人さんが現れました。
橿原眞人 > 電脳世界という電子の世界に入り浸り続けると、現実がどこにあるのかという区別が曖昧になりそうになる。
今ここに立っているこの世界こそが、自分にとっては現実であるはずだ。あくまで、自分が時折没入する電子の世界は現実に存在するものではない。
それは電子の世界だ。この物理的な、現実の世界とは全く異なるものだ。
だけれど、眞人にとってはその電脳世界での日々が、まさしく現実であるように思われたことがあった。

彼の“師匠”は電子の海をまるで生きているように駆け、ほとんどの時間を電子の世界で過ごしていた。
幼い少女の姿のままで、電子の世界で眞人を指導し続けたのだった。
そして、その“師匠”は電子の海の中に消え、消息を絶った。
それからというものの、彼の現実には常に空虚さが伴うようになった。
家族を失い、ただひたすらその事件の追及のために、師匠とともにハッカーの腕を身に着けていった。
眞人は時折思っていた。この電脳世界での出来事が、自分にとっての真に心安らげる場所、現実なのではないかと。

「……師匠が消えてもうかなりの時間が経つ。この学園都市のネットワークのどこかにいるはずなんだ」

眞人は学生街を歩いていた。時刻は19時。下校のピークは去り、人もまばらである。
どこか上の空と言った様子で、イヤホンから耳を突きぬけてくる音楽に僅かに気を向けながら、ぼんやりと学生たちが運営する様々な店を横切って行った。

橿原眞人 > 無気力感。焦燥感。喪失感。
眞人にとって、この現実の世界はそれを埋めてくれるものではなかった。

常世学園で今騒動になっている風紀委員と公安委員の件についても、首を突っ込もうなどとはしていない。
彼の目的は一つだからである。眞人の挑むべきは相手は「常世財団」であったためだ。
21世紀の混迷とともに姿を現し、神の如き手腕でこの学園を作り上げた組織。
多くが謎に包まれた財団が操る現実こそ、ここであろう。
眞人はその財団の掌の上ともいえるこの島で、財団に挑もうとしていた。
世界の真実を知るために。
そして、電子の海の果てに消えた“師匠”を探すために。

眞人が現実を感じられるのは、生を感じられるのは、電脳世界の中においてであった。
《銀の鍵》として、学園の中枢コンピューターにアタックし、彼らのセキュリティと戦う。
世界の真実を探ろうとしているとき、師匠を助け出そうとしているとき、それこそが眞人の現実だった。
虚構と欺瞞に彩られていると眞人が感じているこの現実こそ、ひどくヴァーチャルなものに感じられるのである。

「あ……」

不意に視界の端を小柄な何かが走り、思わず視線を向けるも、すぐに首を横に振る。
ただ、小柄な女子学生が通り過ぎただけであった。眞人の驚いたような表情に彼女は怪訝な顔をしたので、眞人は苦笑いを浮かべながら駆けて少女から離れていく。
何の事はない。“師匠”がそばにいるように思ったからだ。ハッカーの修行をしているとき、いつもそうであったように。

「……どうかしてるな。さっさと帰って、師匠を探さねえと」

最近、独り言が多いと眞人は感じていた。常に傍にいた師匠が、少女がそこにいないからである。
彼に現実を感じさせてくれたその言葉、姿、それらは電子の海の果てに消えた。
気が付けば、視界の端にその影を探してしまっている。

ご案内:「学生通り」に雛元ひよりさんが現れました。
雛元ひより > 蜜柑の様なぬいぐるみを抱いたワンピースの少女が辺りを物珍しげに見渡しながらとてとてと歩いてくる。
見ようによっては迷子のように見えるかもしれない。

橿原眞人 > 家族。
家族であったといえば、そうなのかもしれない。
そんなことを思い、同時にそんなことを口走ればいつものように彼女がからかいのことばをかけたはずだ。
そう想起すれば、より喪失感や焦燥感は増していく。渇望が胸中を支配していくのである。
突発的な“門”の発現による事故――今の時代、そこまで珍しいものでもない。
21世紀の初頭に比べれば落ち着いたのかもしれないが、今でも突如異界の「門」が開き、人が巻き込まれるという事件は起こっている。
珍しい事ではない。この世界では普通のことだ。
それで、家族を失ったとしても、普通の事――

――そうではない。
眞人はそう諦められなかった。この事件は、人によって仕組まれたものだ。そう確信するに至っていた。
理不尽ではないか。神も仏も実在したこの世であるはずなのに、理不尽ではないか。
事件はあまりにもあっさりと片付けられた。眞人の言葉に耳を貸す者もなく。
そして、眞人は出会ったのである。「真実を知ってみないか」という、あの幼き姿の――

「……!?」

はっと息を飲んだ。目の前に現れた影、小柄なそれは、“師匠”によく似ていたように思われた。
だがすぐに、そうではないとわかる。ぬいぐるみを大体ワンピースの少女が歩いてきているにすぎなかった。
どこか珍しそうな様子だ。ここに慣れているようには見えない。
迷子だろうか。普段ならそのまま通り過ぎてしまうこともあるだろう。

「……迷ったの?」

スッと出てきた言葉はそれであった。“師匠”の影を見たためであろうか。
それとも、眞人の人間性が何とか現実との接点を保とうとしたのか。
眞人は歩いてきた少女にそう声をかけた。

雛元ひより > 「えっと……ひよりは迷子じゃないよ? ここの学校に来たばかりだから探検してるんです!」
声を掛けられ困惑した様子を見せつつもえっへん、と腰に手を当て胸を張って言い放つ少女。
子供が背伸びしているようで少し微笑ましく見えるかもしれない。

橿原眞人 > 「……探検って」

思わず笑いが漏れた。

「もう夜も遅いぜ、子供はさっさと寮にでもなんでも帰ったほうがいい」
少々不審な話しかけ方だったろうかと思っていたものの、目の前の少女はそこまで気にはしていなさそうである。
胸を張る姿、まさに子供と言った様子に眞人は口を押えて笑いを堪える。今日日、中々このような少女は見かけられないだろう。
そして、そのせいであろう。眞人の中では完全に目の前の少女は子供として認識されていた。

「この学校に来たばかりならより危ないぜ。君みたいな子供がぶらぶらしてるとな、悪い奴らにどっか連れていかれちまうぞ」

半ば冗談めかしつつ言った物の、完全な嘘でもない。
学生街ならば問題はないが、歓楽街や落第街の近くでは現に起こりうることだ。

雛元ひより > 「ひっ……。」

自分の事をひよりと呼ぶ少女は眞人の言葉に恐怖を覚えたのかぶるっと震えた。

「ひ、ひよりは子供じゃないもん! もう16歳になったんだから!」

と、己の中から恐怖を追い出そうとするかのようにやや大きめな声を出しつつ頬をぷくっと膨らませるのだ。

橿原眞人 > 「あ、ああ、16歳……ハハ、もう少しまともな嘘を吐けよな」

苦笑いしながら、耳をふさいでいたイヤホンを取り、適当にポケットに丸めて入れる。
明らかに自分の話に怯えた様子である。怪談話をされた子供のような反応だ。
だが、その少女から出てきた言葉は驚くべきものだった。少女は16歳だというのだ。

「まあ、その年で背伸びしたいってのはわかるけどなあ。だが16歳はないだろ16歳は……俺と一歳しか違わないっていうのか、えーと、ひよりちゃん?」

明らかに小ばかにしたような口調で眞人は行った。頬を膨らませている16歳など見たことがない。

「へえ、それでその16歳のひよりちゃんは? どこに行きたいわけ? お兄さんが連れて行ってあげようか」

げらげらと笑いそうになりながら眞人は言った。さすがに失礼である。

雛元ひより > ひよりはぐぬぬ……と悔しそうな表情を浮かべ眞人を睨んでいるもののその外見のせいか迫力は微塵も無い。

「ひよりは16歳だもん! 本当だもん!」

精一杯の抗議のアピールであろうか、ぴょんぴょんと跳ねる。
その姿もまた微笑ましいものである。

橿原眞人 > 「わかったわかった、そんなにぴょんぴょん跳ねるなよ、余計に子供っぽく見えるぜ」

ぴょんぴょん跳ねる様子を見て、なだめるようにひよりにどうどうと手を掲げる。
眞人は実のところ困っていた。眞人は彼女を子どもと思っている。上手い対応の仕方がわからないのである。
このまま泣かれたりしても困るなあと眞人は思索する。
子どもをあまりからかっていて風紀の世話になどなりたくはなかった。

「わーった、わーったよ。君は16歳、はい、覚えました……俺は橿原眞人。一年だ。ああ、そうだな……あそこの自動販売機でなんか買ってやるから、機嫌直してくれねえか? そろそろ周りの視線が厳しくなってきたからな……」

そういって近くの自動販売機を指さす。

雛元ひより > 「あうっ……。」

眞人の 子供っぽく見える との言葉にハッと我に返り大人しくなった。
ひよりはひよりで、子供扱いされる事を非常に気にしているのである。

「橿原眞人……まーくん? ひよりは雛元ひより、同じ一年生だよ。オレンジジュースで許してあげる!」

眞人の名前を聞き、変なあだ名で呼びつつも自己紹介をした。

橿原眞人 > 「自覚はあるんだな……」

自分の言葉で落ち着きを取り戻したのを見ると眞人は安堵したように胸をなでおろした。

「ちょっとからかいすぎたな、悪かった」

そう言いながら自動販売機まで歩き出す。

「ま、まーくんって……まあ、なんでもいいが。へえ、一年なのか。その様子じゃほんとにお登りさんって感じだが……何でこの学園に?」

変なあだ名で呼ばれたので怪訝な顔をしつつ、自動販売機でオレンジジュースを購入し、ひよりに渡す。「どうぞこれでお許しを」などと言いながら。
そして、自分は甘そうなコーヒーを買った。

「まあさっきはふざけたけど、あんまり柄の悪いところとかはいかないほうがいいぜ。ここらへんはまあ大丈夫なんだけどな……」

雛元ひより > 「えへへっ♪」

嬉しそうにオレンジジュースをで受け取る。
封を開けずそのまま手の中で転がしながら

「ん~……ひよりは勉強をしに来たの! この学園ならひよりも伸び伸び出来るって先生言ってたから。」

どこか遠いところを見ているような、そんな目で学園に来た理由を語り、眞人の注意には

「柄の悪いところ? うん、分かった気をつけるね!」

にぱーと笑顔で答えた。

橿原眞人 > 「勉強……ま、俺も似たようなもんだ。魔術について勉強しにきたわけだ」

無論、自身がハッカーであるとか、師匠を探しに来ているとか、そんなことを言えるはずもない。
カシュ、と音を立ててコーヒーの蓋を開けると、眞人はそれを飲んでいく。

「……ひより、も?」

その遠いところを見る視線に、何かがあったのだろうということを感じる。
深入りしていいものなのだろうか。彼女の子供っぽい要するからは微妙に判断がし辛い。
「まあ、のびのびっていえばそうかもな……ここにはなんでもいる。人間や妖怪、俺は自称神様にも会ったことがある。いくら世界が変容したからって、こんなおかしい場所は初めてだよ。どんな勉強したって怒られないだろうな」

飲みなよ、とひよりに言う。ぬるくなってしまうから、と。

「……ほんと単純なやつだな。純粋というかなんというか」

はあ、とため息を吐く。すぐに騙されてしまいそうな少女だ。

雛元ひより > 「かみさま!?」

眞人の言葉に目をキラキラと輝かせている。
それまでの憂いすら感じられた視線とはまるでかけ離れた表情だ。
そして促されオレンジジュースの封を開けた。

「??」

眞人のため息には気付かずにこにこしている。褒められたと思っているらしい。

橿原眞人 > 「……ああ、神様だよ。なんか、そういう連中がここには結構いるんだ」

自分が出会ったのは破壊神だとか邪神だとか、そういう者だったが、相手の様子を見ているとそれを明かすのは忍びなく、神様だけにとどめておいた。

「神様、好きなのか? いや、好きっていうと変だけど……ここには本物の神様だっていうやつが結構いるみたいだ。探してみてもいいかもな。連中、きっと目立ちたがり屋だからな」

甘いコーヒーを飲み干す。

「つっても、良い神様ばかりじゃない。神様だっていってすぐに信じてしまったら駄目だ。ここじゃ、何もかも疑ってかからないとな……」

眞人の目が鋭くなる。強い意志、この学園の何もかもを疑うというような、そんな意志を秘めた瞳であった。

「だから褒めてるわけじゃないよ、雛元。危なっかしそうだからなお前。神様だなんだといえばすぐについていきそうだ。いいか、これはマジな話だ。お前が異能を持ってるのかどうか知らないが、危ない目に遭わないようにはしておけよな」

そして、ゴミ箱に向けて空き缶を投げる。それは弧を描いてゴミ箱の中に落ちた。

「ま、もう夜の良い時間だからな。雛元、どこに住んでるんだ?」

雛元ひより > 「かみさま見たこと無いから。」

興味深そうな表情で答える。
そして眞人の真似をしようと一気飲みしたもののむせてしまい、咳き込んでしまった。

「けふっ……まーくんは優しいね。 ひよりはね、あっち! まーくんがそこまで言うならひよりは帰ってあげても良いよ!」

と居住区の方向を指差し、何様のつもりか上から目線で言うのだった。

橿原眞人 > 「まあ……そりゃそうだよな。世界が変容して異能とか魔術が普通になったっていっても……神様は中々ねえよな」

ハハ、と笑っていると、突如ひよりがむせはじめた。

「お、おい馬鹿野郎。そんな一気に飲もうとすんなよ! ほんと心配になるな……最近ぶっそうだってのに」

優しいねと言われると頬をかきながら視線を逸らす。

「そういうのじゃない。ただまあ、知り合いが色々巻き込まれたら嫌だろ。それも、お前みたいな子供がさ……。はいはい、わかったよ。そろそろ帰りましょうぜ、ひよりさん。」

過去を追想するように眞人は言った。眞人が《銀の鍵》として動いているのは、家族を失った事件の真相を知るためと、あのようなことを防ぐためである。
人が何かに巻き込まれて、ひどい目に遭うなど、眞人は当然ながら嫌がっていた。

一方の少女は何やら上から目線の様子。やれやれと肩を竦めつつ、ひよりが指さしたほうを見る。

「ああ、居住区に住んでんのか。なら帰る方向は一緒だな……ま、これも何かの縁だ。飯ぐらいおごってやるよ。何かあったら寝覚めも悪いしな」

そして、帰るぞと彼女に促し、居住区の方へと歩き出したのだった。

雛元ひより > 「むーっ。ひよりは子供じゃないもん!」

再び子供扱いされた事によりぷくーっと当社比10%分多めに頬を膨らませつつも、大人しく眞人の言葉に従い後を付いて歩いていった。

ご案内:「学生通り」から雛元ひよりさんが去りました。
ご案内:「学生通り」から橿原眞人さんが去りました。
ご案内:「学生通り」に志葉恭介さんが現れました。
志葉恭介 > 【昼時である。日々を勉学や部活動や友人との戯れやろくでもないことに励む学生たちにとって最も貴重であり、崇高な時間である。当然、此処学生通りにおいても熾烈な昼食の席争いが繰り広げられている】
【人気のある店には当然人が群がり、時には異能を用いた小競り合いすら起こりうるがそれもむべなるかな。何しろ昼食の時間は学生にとって絶対不可侵の救われるべき時間なのだ】

……何食うか。

【そんな騒乱を背に、黒ずくめの学生が半ば途方に暮れた風情で佇んでいるのはいっそ侘しい物があった】
【ぼそりと呟き、がま口財布の中を改めて首を横に振る。どうやら予算が潤沢とは言えなさそうな様子であった】

志葉恭介 > 『王椀軒』のラーメン屋台は今日は来ていない。
安い早い美味いの『バックパッカー亭』も今日は定休。
『食い倒れエルトクス屋』は……材料確保の為臨時休業……。

【現在の予算で望みうる限りの候補は潰えた】
【学生の波をぐるりと見回し、嘆息】

安くて食いでがあって美味い店は他に何処か無いものかな。

ご案内:「学生通り」にオーロラさんが現れました。
志葉恭介 > 【ともあれこうして途方に暮れていた所で腹が膨れる筈もない。校舎に近い店から順に、席は埋まっていく】
【必然的に人が未だ入っていない店で予算に合致した所を探し、見て、首を横に振る】
【何だかもう、食べられるのなら何処でもいいというテンションになって来たが財布はそれを許さない】

この際腹が満たせるなら何処でもいい。どこか、どこかないのか。
このやかましい学園都市で俺のお財布に指す一筋の光は……

オーロラ > などと、志葉恭介が悩んでいると、背後から現れた女生徒が硬貨を何枚かがま口に放り込む。
振り向けば、そこに居るのは小柄な女生徒。
「はい、優しいおねぇさんが今日も資金提供してあげましょう」
相変わらずの弾けるような笑顔で、彼女は歌うように声をかける。
「相変わらず貧乏してるみたいだね、志葉君♪」

志葉恭介 > ああ、……えぇ?

【怪訝な顔で振り向き、視線を下ろすと小柄な黒髪の娘が楽しげに笑っている】
【親しげに話しかけられたのだ。覚えのある女子であろう。きっと。多分】

……えぇと、

【名前を思い出すのに暫くかかった】

同い年でおねぇさんは無かろう、オーロラ同級生……
相変わらず貧乏しているよ。残念ながら。

オーロラ > 「背伸びしたい年頃なもので」
オーロラ。しばらく病欠していたその少女は実際はもう少し年齢が上ではないかと言われてはいる。
しかし、堂々と「17歳」と言い放つし、一応書類にもそう書かれているのであまり突っ込まれることはない。
「そかそか。まぁでも、今早速どこかの誰かから偶然にも資金を供出されたわけだし、少し豪勢なお昼にしないかな? ほら、目前に腹ペコな美少女までいるわけだし」
そういって、ちょろちょろと志葉の周りを歩く。
そのたびに、黒髪が揺れ、隙間から覗く笑顔と黒瞳がちらつく。

志葉恭介 > ……婦女子に施しを受けるというのもなかなかに情けない何かがあるものだがね。

【とは言え、ありがたい話なのであった。先程よりもずしりと来るがま口の重みが頼もしい】
【小動物めいたオーロラとは対照的に姿勢を伸ばし、ぐるりと見回し】

美少女かどうかは扠置いて。何かご希望は御座いますかな。

オーロラ > 「おっと、出資元と思しき少女は『全部きっと間違いなく』美少女では?」
冗談めかして嘯きながら、堂々と腕をとって胸を押しあて、隣を歩く。
志葉に特別こうというわけでなく、この少女は割と誰にでもこうする。
まぁでも志葉には特別懐いているほうではあるが。
「んー、そうだなー。私はじゃあ食後にドーナツが食べられるとうれしい! なので近くにドーナツを食べられる場所があるお店を要求しましょう!」

志葉恭介 > その妙にあやふやで確定的な物言いも変わらんね。あとくっつき過ぎだ。
年頃の美少女なら慎み深く在り給えよ。

【いつもこうである。が、常そうであるからと言って慣れるかと言えば別の問題であった。腕を取られてからの歩みが硬いのは気のせいではなかろう】
【ともあれ、リクエスト通り。ドーナツの甘い匂いも芳しい、飲食スペースではランチも提供しているパン屋などに連れ立って入り――】

――そう言えば。
病欠って話だったけれど。身体の方はもう良いのかね。

【それでも矢張り一番安いサンドイッチと珈琲のセットを前にしつつ、疑問を投げかける】

オーロラ > 「慎みを以って我慢ってのはベッドの上で散々したからいいのいいの」
つーん! とかクチで言いながらそっぽを向き、志葉と同じサンドイッチセットをむしゃむしゃ。
小さな口で食べているはずなのだが、サンドイッチがきえる速度は志葉よりもずっとハイペースである。
「ん? うん! 今は見ての通り、とっても元気よ。なんなら食後にタンゴでも踊ってみせましょうか?」
そういいながら、上目遣いにニヤニヤと笑う。
「多分午後も晴れるし、一緒に踊ってもいいのよ? 素敵な殿方」

志葉恭介 > 左様で。つまり今は解放期間という訳かね。

【志葉恭介は料理を味わって食べる。大凡男子としてはみみっちく見える程の速度で食べる。故に、目の前の女子が自身よりも早く食べ終えるのもまた、いつもの事であった】
【時折砂糖とミルクをモリモリ入れた元珈琲で口を湿らせつつ、悪戯めいた視線に眼鏡のブリッジを押し上げ、苦笑】

縁が無くてね。ダンスは見ている方が楽しい。
何より君のファンに恨まれるのも怖い。小心ですまないな。

オーロラ > 「あらあら、志葉君ったら相変わらずのchicken(良い発音)さんね。それとも、そういうところが可愛いと思うアナタのファンも一杯いるってこと知ってるからそうしているのかしら?」
結構、女子の間でも話題になってるのよ? などと付け加えつつ、コーヒーをちびちび啜る。
志葉と違って砂糖もミルクもいれていない。
「ま、ダンスはそれじゃあ勘弁してあげる。かわりに、食べ終わったら一緒にドーナツ選びましょ。ね? それくらいはいいでしょ?」
そういって、眼鏡のしたから覗き込むように上目遣いで嘯く。

志葉恭介 > ……何とでも言ってくれ。
話題にされた所で依頼が増える訳でもなし……

【拗ねたように視線を逸そうとした所で、上目遣いに覗きこむ瞳に縫い止められた】
【真、この同級生には敵わない――否、というか女子全般に敵う気がしない】
【チキンと呼ばれるのむべなるかな。免疫が無いのだ、そもそも】

其れなら構わないけれど。
美味いのを見繕うとしよう。……どういうのが女子のお好みなのかと言うのもひとつの勉強であろうしね。

【やっとサンドイッチを食べ終わり、ダダ甘い珈琲を飲み干して。観念したように頷いた】

オーロラ > 「やった♪ じゃ、早速いきましょ!」
そういって、さっと志葉の手を取り、即座に腕を絡めてひっぱっていく。
いつもこの調子だ。
歩幅は狭いはずなのに、それ以上の速度でパタパタ歩くせいで移動速度は志葉のそれよりも早い。
「んー、私はじゃあこれとこれとこれとこれ!」
スタンダードなオールドファッション、やわらかい生地のクリームサンド、チョココーティング、ナッツをまぶしたものとさっさと選ぶ。
「さて、1人の女子の好みは示しましたけれど。男子の好みは何かしら?」

志葉恭介 > 【引っ張られて慌てて着いて行く形になり、完全にペースは向こう側】
【やれやれと呆れた風を装うが、正直な所悪い気はしない。そういう雰囲気のある少女であるし、付き合わされるのも楽しいというものだ】

なるほど……そういうのが。ふむ。
俺は……、

【オールドファッションにフレンチクルーラー、それからハニーシュロを迷いつつもトレイに移す】

文字通り甘党垂涎であるね。たまにはこういうのもありがたい。
あ。ああ、あとは……

【思いついたようにクリームサンドとチョココーティングも移し、うむ、と頷く】

オーロラ > 「お、いい趣味だね。さすが志葉君。そういうところ、素敵だよ」
お揃いを選んだところで少しまた嬉しくなったらしく、上機嫌に鼻歌を歌いながら、会計を2人で済ませる。
そして、また二人で元の席に戻って各々のドーナツに舌鼓を打つ。
「んー! やっぱりドーナツは最高! あ、志葉君の奴も少し貰っていい?」
当然ながらさっさと自分は食べ終えてしまった少女は、そう聞く。

志葉恭介 > 今後の参考にしようとね。こういうのを喜びそうな知人も新しく出来た事だし。
……素敵、の要件なのかね。
【ピンと来ない表情ではある。が、褒められて面映い所もあるが、素直に受け取っておこうと考えた】

【もそもそと食べながらも、ふわりとした甘味に満足気に目を伏せる。やっぱり食べる速度は遅いのだが】

……え、もう食べたのか。早くないか。
まぁ、別にいいけれど。

【自身のトレイを押しやり、瞬く間に無くなった彼女のトレイと幸福そうな顔を見比べる】

オーロラ > そう、言質をとれば、少女は嬉しそうに笑って身を乗り出す。
そして、そのまま志葉が手に持っている、先ほど口を付けたドーナツをはむ、と一口。
そのまましばらく、身を乗り出したまま咀嚼して、口元についた分まで舌先で舐めとってから、柔らかく笑って呟いた。
「ごちそうさま」
そして、さっと身を引くと、後ろに手を結んだまま嬉しそうに笑う。
「じゃ、私は食べ終わったし先にいくね! その新しいお友達も今度、紹介してよね。約束だよ?」
そういうと、くるりと踵を返して、パタパタと走り去っていった。
いつものように。

ご案内:「学生通り」からオーロラさんが去りました。
志葉恭介 > ……ぅ。

【妙にその仕草が艶かしくて、しかし目を逸らすことが出来ず】
【何事も無かったかのように――事実、何事も無いのだが――いつものように踵を返すその背中を見送る】

……あぁ、必ず!
ありがとうな、オーロラ同級生!!

【はっと気付いた時にはその背中は大通りへ。思わず大きな声でそう告げて、いま暫くドーナツの味に舌鼓を打つ】
【気付けば、昼休みの時間も残す所僅か。学生たちは皆、穏やかな喧騒からそれぞれの日常へと戻り行く】

ご案内:「学生通り」から志葉恭介さんが去りました。
ご案内:「学生通り」に聖夜さんが現れました。
聖夜 > 時は夕刻、学生通りに黒森峰聖夜の姿はあった

「やはりこの通りはこの時間が映えるわね」
夕暮れ色に染まる通り、少女は誰にでもなく呟く
されどその呟きは喧騒に紛れ誰の耳にも届く事無く空へと消える
時は夕刻、学生通りに黒森峰聖夜の姿はあった

聖夜 > 夕刻の学生通りは実ににぎやかだ
学園での一時を終えた生徒達が自分達の時間を楽しむ
小腹を満たすためにカフェやファーストフード店へと向かう者
勝利と対戦欲求を満たす為に遊技場へと向かう者
ただただ急ぎ足で居住地へと向かう者
生徒達が自由と自在を謳歌すべく行き交う通り
そんな中を彼女は行く黒き髪を風に揺らしながら

聖夜 > 「あら?ふふっ」
聖夜に声が飛んできた、聞き覚えのある声
振り向けば古い電子遊戯台の前にたむろする男子生徒達の姿
やはり見覚えのある顔
移動教室で何度かとなり合った事のある男子生徒の顔
男子生徒は再度彼女に呼びかける、夜遊びの誘いだ

聖夜 > 彼女は口元を笑みの形にしたが
それは誘いに対する喜びではない
彼女は誘われる事を面白いと感じそれに対し笑みを浮かべた
彼女が居城とする地ではありえなかった出来事
それが面白い

聖夜 > しかし聖夜は誘いを断った、極めて自然に丁寧に
そしてもう一度口元を笑みの形にするとその場を歩み去る
背後で声が聞こえる、男子生徒を他の男子生徒が慰める声だ
その声に悲観的な物はない、むしろ囃し立てる様な声
そう彼らにとってもこれは一つのイベントであったから
青春を彩る愉快なイベントの一つ

聖夜 > 男子生徒達の声を聞きながら彼女は思う
私の次のイベントはどこにあるだろう?
次はどこに足を向けよう?
何か面白い事はあるだろうか? 
そんな事を思いながら彼女は夜へと溶け込んで行った……

ご案内:「学生通り」から聖夜さんが去りました。
ご案内:「学生通り」に空閑 栞さんが現れました。
ご案内:「学生通り」に瀬部キュウさんが現れました。
空閑 栞 > 「んー、やっぱりツヅラはこの辺に来ないのかなぁ……」

誰かを探しているかのように辺りを見回す。
落第街に行く前に念のため、とこの辺りを探してみたが探し人はやはり居ない。

「もうちょっと探してから落第街、かなぁ……」

危ないと何度も忠告された落第街だが、目当ての人が居るのなら仕方ないと考え、また辺りを見回し始めた。

瀬部キュウ > 「すぅ…」

特に意味のない深呼吸をひとつ。

「放り込まれちゃったものは楽しみたいけども。はてさてどうしようかな……と?」

何をどうすれば楽しくなるかなんてパッと浮かぶものではない。誰かを探しているような人の姿を見かけてしまえば、そんな思考はひとまず追いておくべきであるし、当然そうした。

「やあ、こんにちは。なにか探し『者』ですか?」

ご案内:「学生通り」から空閑 栞さんが去りました。
ご案内:「学生通り」に空閑 栞さんが現れました。
空閑 栞 > 「……? 私、ですか?」

突然声をかけられて困惑の表情を浮かべる。
男性とも女性とも見て取れる相手を見て、どう対応したものかと思案する。

――――ナンパ? いや、女の子かもしれないし……

そんなことを考えつつ、相手の顔を見つめていた。

瀬部キュウ > 「そうそう、貴方(アナタ)です。…人間(ニンゲン)さんですかね?」

軽く笑って自然に歩み寄ろうとするが。

「…っと、ああ、そういえば。こちらの方々は大抵『先輩』だって言われてたなぁ…失敬。こほん」

やっちゃった、と言った感じの顔をしたあとに咳払いを1つ。

「改めまして……こんにちは。初対面でいきなり馴れ馴れしく話しかけてごめんなさい。『こちら』にはあまり馴れていなくて」

笑顔のままペコリと礼をした。無礼を詫びているように。

空閑 栞 > 「あら、そう言うあなたは人外さんですかね?」

笑顔で一歩距離を取る。
突然人間と呼ばれて警戒するなという方が無理な話だ。

「こちら……ということは転移荒野辺りから来た方ですか?」

そう言って笑顔で警戒を続ける。
いつでも目の前に壁を作り出せるように。

瀬部キュウ > 距離を取られたことも含めきょとんとした顔になり、

「いえ、私も人間(ニンゲン)ですよ?どこか異世界から転移してきたというわけでもないです」

何で勘違いされたんだろう、と言った様子で答えた。

「こちらには人外さんが多いと聞いていたので、ちょっと声を掛けるときは警戒するべきかな、と思いまして。初対面で聞くようにしようかなと……何かおかしかったですかね…?」

少し不安そうな声になる。
一応キュウなりの目的を持って人間かどうかは聞いたのだが、
何かの失礼に当たるかもしれないとは考えておらず、少し狼狽。
敵は作りたくない。それもこんな初っ端から。

空閑 栞 > 「ああ、確かに人外さんも居るには居ますね。今みたいな声のかけ方だと警戒されるだけ、ですけど」

学園都市の外から来た人、と言う意味なのかと納得する。
しかし、突然人間かと聞くような相手だ。人外か人間かに何かをしようと企んでいるのかもしれない。

何かおかしなことが起きたらすぐに拘束して逃げよう。
そう考え、笑顔のまま警戒を強めた。

瀬部キュウ > 「そうなんですか…あちゃあ、申し訳ないです。今後は気をつけよう……」

はぁ、と溜息1つ。

「ということは今は貴方(アナタ)にも警戒されてるんですよね……うぅ、どうすればいいかなぁ」

弱った。なにせ異能山盛りのこの島だ。
丸腰を主張しても敵意がないことを示すになんの意味もない。
考えて考えて……

考えているうちに、胸の上あたりから白い光が服を通して仄かに漏れはじめた。

空閑 栞 > 「ええ、それなりには警戒してますよ? まぁ、何かされたら対応はしますけど」

そう言った直後、キュウの胸元に白い光が出ていることに気付く。

――――遅かった!
そう思うや否や、無言で目の前に空気の壁を作り出した。

瀬部キュウ > 「あ、そうだ!……っえ?」

相手の焦って何かをした様子にきょとんとする。

「えっとあの……何か起きました…?」

ややあって、慌ててキョロキョロと周囲を見渡すが、当然特におかしなことはなく、結局また首を傾げることになる。

瀬部キュウ > (その頃にはもう白い光はおさまっているだろう)
空閑 栞 > 収まった光を見て、不思議そうな顔をする。
攻撃じゃなかったの? いや、気付いていないだけで何かが起きているのかもしれない。
警戒を解かず、キュウに問いかける。

「今の胸の光……説明してもらえます?」

空気の固定を継続しつつそう言う。
周囲にも警戒しながらじっとキュウを見つめていた。

瀬部キュウ > 「胸の光…あっ!ごめんなさい!深く考えすぎました!!」

ただの人間ではないという一番の証拠。
何も能力を使わなくても、黙っていても、誤魔化せない証拠。

「えーっとどう説明したらいいのか…思考補助、をしてもらってるんです。この宝石に」

ぐっと首元から服を押し下げて、こぶし大より一回り小さい程度の白い宝石の一部を見せ

「て、敵意はないです!絶対無いですよ!この宝石が光るのは私が…そのえっと、アレコレ変なことするのとは関係無いですし!」

あせあせと補足説明を加える。

空閑 栞 > 「思考補助?」

そう言われ、怪訝な顔をする。見せられた宝石のようなものは、キュウの胸に埋め込まれていた。
これなら思考に関係してもおかしくない? いや、嘘をついている可能性も、と思って提案をする。

「それならあなたの持つ異能を見せてくれたら多少は信用しましょう。手の内を明かしてくれるなら少しは信用に足りますからね」

慌てる様子に 本当に敵意はないのかも? と考えるが、先日の落第街のことを考えると簡単には怪しい他人を信用はできない。
学生街であっても同じことが起こる可能性はあるのだから。

瀬部キュウ > 「手の内…えっとそうですよね。それが一番ですよね……じゃあ、一番分かりやすいところで……」

そう言って水が半分ほど入った飲みかけのペットボトルをとりだし、キャップを開けた

「よい…しょっと」

そう言うやいなや、水がペットボトルの口からひとりでにじゅぽんっと抜け出し、空中に浮いた。
先ほどのような光を宝石が放っている様子はない。

空閑 栞 > 「水を操る能力? ですか?」

目の前の光景を見つつ、胸元の宝石を見つめる。
微塵も光る様子がないので、警戒を薄める。

「体内の水を操れたりは……しますか?」

最悪の事態に備えてそう問いかける。
もしそうであっても正直に答えられる保証はないのだが。

瀬部キュウ > 「水だけじゃなくて五元素全部なんですけどね。火とか木とか…。水だとこうなります。でもそんなに強くは操れませんよ……よいしょ」

丁寧に浮いた水をペットボトルの中に戻した。

「体内の水…ですか?体内に水があれば頑張れる可能性はありますけど…やってみたことはないですし、体内にあるのって普通"血"とか"体液"って呼ばれませんか?」

血は無理です…概念的なんですよ、とっても。と、苦笑しながら付け加える。

空閑 栞 > 「へぇ……。水を生み出したり……はできなさそうですね」

予想以上に強そうな異能を目にするが、相手が手の内を明かしたことで警戒を完全に解く。

「なるほど、H2Oならいいってわけではないんですね」

自分の異能も気体ならばよいというわけではないので、少しだけ親近感を覚えた。

瀬部キュウ > 「無から生み出すなんて無理無理です。とんでもない」
「…でも、やっぱりそういうのが出来る方も結構いらっしゃるんでしょうかね、ここには…」

目の前の彼女はどうなのだろうか、と思いながら、水を一口飲んでペットボトルをしまう。

「えっと、私の能力について言えることはいいましたけど……」

まだ足りませんかね…?と言外に含ませて。
『言っても大丈夫なこと』を考えながら。
『他には何をすればいいのだろう』と考えてるように見せかけて。
胸の宝石がまた軽く光った。今度はそれを分かっている。

空閑 栞 > 「まぁ、発火能力くらいならそれなりに居るでしょうね」

ここまで言っているなら問題なさそうだ。自分の能力を聞いてこないのだから本当に敵意はないのだろう。

「ああ、とりあえずこれで大丈夫ですよ。とりあえず」

また宝石が光った。考えている時に光るのは本当なのだろう。
そう思い、空気の固定を解除した。

ご案内:「学生通り」に瀬部キュウさんが現れました。
ご案内:「学生通り」から瀬部キュウさんが去りました。
瀬部キュウ > 「大丈夫ですか、よかった」

ようやくパッと笑って言った。宝石の光も止む。

「ごめんなさい、ずいぶんと邪魔をしてしまいました……人探しでしたっけ、あまりお役にはたてないかもしれないですけど、お詫びも込めてお手伝いしますよ」

人間かどうかを直接聞かずに判断する方法も、あとで考えておかないと。
自分の生存を左右する、とても重要な問題なのだから……と、
全く別のことを考えながら、でも本心から誠意をもって助力を申し出る。
宝石は光らなかった。

空閑 栞 > 「うーん、私1人で十分ですよ? 今会ったばかりの人に迷惑をかけるわけにもいきませんし」

今から探す場所は、治安の悪い落第街だ。
そんな場所に人を連れていくわけにはいかないと判断した

瀬部キュウ > 「そうですか……」

残念そうに言った。
もし色んな場所を探すのだったらついでに案内してもらえるかと思ったのだが……と思った。

「えっと、さっきも言った通り、私はこっちに来たばかりなので、あまり色んな場所の散策はしていないのですよ。……なので、人探しでどこか色んな場所を探すのだったらついでに案内していただけるかなぁ、なんて」

思ったので言ってみた。
お母様も言っていた。世界は発言することで変わっていくと。

空閑 栞 > 「はぁ……それなら人探しは中断して軽く案内でもしましょうか」

苦笑して頬を掻く。
これもまた1つの運命なのだろう、急ぎの用があって探していたわけでもない。

「まずは歓楽区にでも行きましょう」

そう言って歩き出す。
見失われないようにペースを上げず、ゆっくりと地面を踏みしめて進んでいった。

ご案内:「学生通り」から空閑 栞さんが去りました。
瀬部キュウ > 「あれ、いいのですか!?」

探し相手には申し訳ない感じもするが、それでも嬉しいものは嬉しい。
発言することで世界は変わる。なるほど。

「あ、自己紹介がまだでしたね。私は――」

一緒に歩き始める。
つまづきかけたスタートだったけど、どうにかうまく踏み出せた気がした。

ご案内:「学生通り」から瀬部キュウさんが去りました。
ご案内:「学生通り」にレセナさんが現れました。
レセナ > 実に不可解である。遺憾である。
あれは本当にホンモノなのか。
ひょっとしたら見間違いなのではないか。

カフェのテラス席に座ってアイスコをストローでぶくぶく鳴らしながら通りを眺める
"祭り"のおかげで若干慌しい。

レセナ > 『始まったか・・・』
『あぁ』

ククク、と独り言と共に悪い笑みを浮かべてケーキの苺を頬張る
一度言ってみたかったのですこういう台詞

ご案内:「学生通り」に沙塚 凛さんが現れました。
沙塚 凛 > (どうしよう)
(何か意味深な呟き聞こえてしまったんじゃけど)
(ここは聞かなかった事にして立ち去るべきじゃろか…)

ケーキを頬張って目線を向けた先。
そんな表情を浮かべたまま、ばっちりとメイドさんの方を振り向いて固まっている女がいた。

レセナ > こっちを見て固まる農家の人に気づく。二度見した。
学生・・・?というか今の聞かれてた―――

「ごきげんよう、ここのケーキは絶品でございますね。特にこの苺。」
にっこり、と精一杯の笑顔で羞恥をごまかす。

沙塚 凛 > 「あ…?あぁ、ご…ごきげんようさまじゃ」
言いながらぎくしゃくと頭を下げる。ぎこちない様子だったが、メイドが発した続いての言葉には顔をあげ。
「本当か!? ふふ…ありがたい言葉じゃのぅ。実はその苺な、ウチで入れてる奴なんじゃよ。お褒めに預かり恐悦やわぁ… メイドさん、ここには良く来られてはるん?もしかしてお得意様だったり?」
笑顔を浮かべる姿に、先までの緊張はない。

レセナ > 「お得意様、といえるかどうかはわかりませんが...」
ちょっと困ったような苦笑

「放課後や仕事の合間などにふらっと立ち寄るのが日課、というか毎日の楽しみにございますね。」

ああ、そういえば店先で卸している姿を何度か見かけたような。
「良いお仕事をなされてます。 植物は繊細で寂しがりですからね。さぞ愛情込めてらっしゃるのでしょう。」
「・・・挨拶が遅れました。レセナ、と申します。よしなに。」
スッと立ち上がり恭しく立礼。
よし!行儀良さ完璧!恥ずかしい台詞帳消し!と自己評価

沙塚 凛 > 「ほぅかほぅかー そんなら、もしかせんでもウチの子達を楽しみにしてくれとった言う事なんやね、大事に育てた子達なんよ、ほんにありがとうねぇ……きちんと美味しくしてくれとる、ここのマスターさんにも感謝せんとのぅ」
ほくほくの笑顔で両手を合わせる。

「ウチは凛じゃ、3年の沙塚 凛。あ、そうじゃレセナさん…ちっと待っとって?」
 言うが速いが、礼をしたレセナを残してテラスの外、道へと駆けてゆく。

レセナ > 「っと、どちらに・・・?」
席に座り駆けていく姿を見送りつつアイスコを飲む。

ああいう心からの笑顔をみると本当に自分の造ったものを愛してるんだなぁとわかる。
癒される。

確か造園部でございましたか・・・、開拓村周辺に農業系の部活が点在してた気がする。
農業系異能の持ち主が美味しい作物を作るのだとか、資料で読んだ気がする。
ひょっとしてあの人なのだろうか。

沙塚 凛 > ――言う通り『ちっと』で、あっという間に帰ってくる。
「お待たせなー! これ…良かったら持って帰っておくれ?」

満面の笑みで差し出すのは、きゅうりやトマト…夏野菜の入った一抱えほどの箱。
「褒められたんなら苺をお出しできりゃあ良かったんやけど、時期が時期やし、ウチの他の味も知って欲しくての」
「これ、農業区やなくてウチが開拓村で作ってるんよ。気に入ってくれたなら、来てくれたらこっそり産直とれたてのをおすそ分けしちゃるけぇ」
カフェテラスには似つかわしくない、野菜箱。名刺代わりだと言わんばかりにずずいと差し出す

レセナ > 「開拓村で農業してる組があると聞いたことありますが変わっておりますねぇ...」
あそこはあまり治安が良くない、というか学園地区に比べると前時代的なところである。

「こんなに。」
こんな満面の笑みで渡されたら断ることなど出来るものか。
野菜箱を受け取る。重い。

「あ、ありがとうございます。食べきれるかな・・・??」
きゅうりトマトにんじんナスピーマンかぼちゃとうもろこしetc...
ああそうだ、夏野菜カレーだ。帰ったら近所の極貧二級学生に振舞おう。

沙塚 凛 > 「それよぉ言われるわぁ。」
変わっている、その言葉にころころと笑う。
「でもなぁ、こんな広くて自由な島じゃけぇ。誰かに言われるまま授業受けて卒業するより、やってみたいと思った事を全部やってみてから……そう思ったんじゃよ。大変じゃけど、これはこれでめっちゃ楽しいんよぉ」

「あは、食べきれんかったらお友達にでも分けたげてな。ついでにウチのとこで作ったって宣伝しといてくれりゃあ助かるけのぅ…あぁっと」
言葉の途中、店内の時計を見て手を打つ。
「いっけない、今日はまだもう2件配送あるんじゃったわぁ。嬉しくてつい話し込んでもうた。ウチ、もう行かんと。ほんならレセナさん、またねぇ」


あまり慌ててる口調にも聞こえないし、むしろさっき野菜箱を取りに行くほうが急いでなかったか?と言う具合だが。
農家の人は手を振りながらカフェを後にしていった。

レセナ > 「此処では沙塚さんのような方が重宝されるのかもしれませんねぇ。」
植物であっても暗所で育てられるもやしより、広場で踏みつけられる雑草のが強い。
雑草は食べられませんが。

「然程宣伝できる範囲は広くありませんが善処致します。営業も大事なのはよぉく理解ございますから。」
箱を脇に置いて手を振り、にっこりと笑顔を返して見送る。

"祭り"も終わりを迎えたようだ。次の祭りまでどうしたものか。
とりあえずカレーを煮込もう。
アイスコを飲み干すと席を立った。

ご案内:「学生通り」からレセナさんが去りました。
沙塚 凛 > カフェテラスの前を軽トラが走ってゆく。その開いた運転席の窓から。
「…あ、なんか独り言したい時に来てもええんよぉ? ウチの畑結構広いから聞かれる心配もないけぇねー」

非情なる一言を残して。
今度こそ農家の人は去っていった。

ご案内:「学生通り」から沙塚 凛さんが去りました。