2015/07/18 のログ
ご案内:「学生通り」に東雲七生さんが現れました。
ご案内:「学生通り」に深雪さんが現れました。
東雲七生 > (人もまばらな夜の学生通り──

 東雲七生は一人、携帯端末の画面を無言で睨みながら歩いていた。
 対面から歩いてくる人影は早々に気付いて東雲を避ける様にしているが、東雲自身は他の歩行者の事など眼中に無い──むしろ“ここに他に人が居る”という事すら念頭に無い様子だった。)

深雪 > (そんな貴方の正面からは銀の髪を靡かす少女が、貴方とは逆の方向に。
 つまり、貴方の方へ向かって歩いてくる。

 彼女は携帯端末を握りしめてもいないし、単行本を開いてもいない。
 確かにその瞳で、貴方のことを真っ直ぐに見ている。

 けれど、避けようとはしない。
 貴方が避けるのだろうと、それが当然なのだと言わんばかりに、表情一つ変えはしない。)

東雲七生 > ………。

(黙々。
 端末を操作している様子は無い。
 一つの画面を見つめたまま、声も発さず、表情も浮かべず。
 まさに“心ここにあらず”といった様子で歩いて行く。

 銀髪の少女との間が次第に詰まっていき、少女がそのまま避けないのであれば。
 そのままぶつかってしまうだろう。)

深雪 > (少女は、少年にぶつかる直前で立ち止まった。
 だが、避けようとはしない…道を譲るつもりなど、僅かもありはしない。)

「……………。」

(貴方の視界の端に、何かが見え…次の瞬間には、何かにぶつかって、貴方の歩みは止まる。
 ……長身の少女は、少年を見下ろす形になるだろう。ぶつかったのは丁度、胸辺りだろうか。

 黄金色の、どこか冷たく鋭い瞳が、貴方をじっと見る。何も語らぬまま、じっと、見る。)

東雲七生 > ……でぁっ!?

(突然──東雲からすれば、突然。
 目の前に何かが現れてぶつかった、と思った時にはその場に尻もちをついていた。
 目を白黒させながら我に返り、こちらを見下ろす少女に気づいて慌てて立ち上がる。)

うっわ、今ぶつかったのってキミ!?
ごごご、ごめん!ちょっと……どころじゃなく前方不注意だったッ!

(転んだ際に手放していた携帯を慌てて拾い上げ、上着のポケットへ放り込む様に仕舞う。
 そしてそのまま勢いよく頭を下げた。)

深雪 > (少年を見下ろす少女の表情には、怒りの感情は込められていない。
 ぶつかってきたことに対しても、道を譲らなかったことに対しても。)

「そうね……皆が、貴方に道を譲ってくれると思って?」

(貴方の、慌てて頭を下げた態度に満足したのか、優しげにそう告げる。
 僅かに視線を下げて…視線の高さを合わせつつ。)

「怪我はないかしら?」

東雲七生 > だ、だよなぁ……。
いやあ、携帯見ながら研究区をぶらぶらしてたのは覚えてんだけど……。

(いつの間に学生通りまで来たんだか、と辺りを見回して自分の現在地を確認し、肩を落とす。
 視線の高さを合わせて怪我がないか問われれば、やや頬を赤らめたまま、少々緊張した面持ちで繰り返し頷いた。)

お、おう。全然大丈夫!
それより、えっと……お前…じゃない、キミの方こそぶつかった時に怪我とかしなかった?

深雪 > 「研究区…?
 周りを見てみろ…ここはもう、研究区からはだいぶ離れているぞ。」

(一体どれほど集中していたのか、その言葉を聞けば、呆れ顔でそうとだけ返した。
 相手に怪我が無さそうだと分かれば、視線の高さを戻して…)

「頑丈で何よりだ。
 ……私か?怪我でもしていたら、お前が責任を取ってくれるのか?」

(少しだけ、意地悪な笑みを見せた。)

東雲七生 > で、ですよねー……。
いやホントいつの間にこんなとこまで来ちゃったんだか……。

(呆れた様子の少女に対して、乾いた笑いを浮かべる事しか出来ない。
 視線の高さが外れれば、改めて少女の背丈に感嘆する。)

えっ?
あ、えっと……病院に案内するのと、治療費を出すってくらいなら……。

(それ以上の責任の取り方は分からないんで……とバツの悪そうに呟いた。
 バイトの代役くらいなら出来るかもしれない、と後から思い至って、それも告げる。)

深雪 > 「…どの道を通って来たかも覚えていないのか。
 そんなに熱心に、一体何を見ていたんだ?」

(特に深い理由も意味も無く、そう尋ねてみた。
 のめり込むような記事でも、あったのだろうか、と。)

「…ふふふ、そうか……歩けないかもしれないな。
 そうしたら、お前が背負って案内してくれるのか?」

(どう見てもそんな怪我はしていない。
 明らかに遊んでいる…意地悪な笑みのまま、僅かに目を細めて。)

東雲七生 > いやまあ、その……
あは、あははは……ちょっとメールを。

(笑ったり焦ったりしながら半歩だけ後退する。
 無意識のうちに携帯を庇う様な体勢を取るが、
 これは普段学校で携帯を取られる事が多いため自然に身についたものだった。)

えっ!?
いや、その……流石に背負って歩ける自信は…って立ててるんだからそりゃないでしょ!!

(一瞬、本気で焦ったような顔で少女の足元を見た。
 がすぐに我に返ってツッコミを入れる。自立出来てて歩けない道理があるか、と言わんばかりだ。)

深雪 > (貴方が半歩後退すれば、一歩前進する。
 結果的に距離はさらに縮まっているという構図である。)

「勿論冗談…貴方の反応が可笑しくてね。」

(悪びれもせずにそう告げて、さらに、相手の、携帯をのぞき込もうとする。
 露骨に上からのぞき込んでいる。)

「メール…?
 研究区からここまで、ずっとメールを眺めていた…なんて、随分大切な人からのメールだこと。」

(あ、また意地悪な笑みを浮かべているぞ。)

東雲七生 > そういう冗談は良くないと思う……!

(ぐぬぬ、と呻き声を上げながらも距離が縮まって僅かに怯む。
 慌てて携帯をポケットに戻し、その上から手で押さえた。)

だ、大事な人っつーか、何て言うか……。
ちょっと、どうすりゃ良いか分かんなくって。

(からかわれている事はすぐに察せた。
 しかし、どうも流すことが出来ずに馬鹿正直に答えてしまう。
 初対面の相手に話すような事でも無いな、と言ってから小さく溜息を溢した。)

深雪 > 「でも……冗談で良かった、とは思えない?」

(貴方が携帯をポケットへとしまい込み、それを守るように押さえれば…
 …僅かに、目を細めた。まるで得物を見つけた狼のように。)

「……貴方、正直ね。」

(けれどその表情は、すぐに、呆れたような表情へと変わる。
 再び、視線の高さを合わせるように、少しだけしゃがんで…)

「そのまま、今度は川に落ちるまで悩み続けるか…
 …暇を持て余しているぶつかった相手に相談するか、どちらか好きな方を選びなさい。」

東雲七生 > それは……まあ、そうだけど……。

(あくまでお互い無傷で済んでるのはもともとお互い無傷だったからだ。
 これが怪我人相手ならそうも行かないだろう。そう考えて顔から血の気が引く。)

えっ、と……でもほら、流石にたった今さっき知り合った相手に相談するような事でもないし…。
それに、川に落ち……そうだなぁ。今の感じだと……。

(再び視線の高さを合わせられ、気圧される様に目を逸らす。
 現にこうして人にぶつかったわけで、川に落ちるというのも強く否定できなかった。)

深雪 > 「貴方をこのまま行かせれば、次は怪我人が出るかもしれない。そうでしょう?」

(視線を逸らされても、貴方の顔を真っ直ぐに見つめたまま。
 だが、この少女は親切心で言っているのではなく、好奇心で言っているだけだ。
 その証拠に…)

「…ま、貴方の話が面倒で退屈な話なら、怪我人が出ようとこのまま行って貰うけれど?」

(悪びれもせずそう言い放ってしまう。)

東雲七生 > 面倒で退屈な……そんなの、それこそ聞いてみなきゃ分かんねーだろっ!
でも多分……そうだと思うけどさあ。

(ほとんど俺が勝手に悩んでるだけだし、と携帯を再び取り出す。
 そして少女と携帯とを、逡巡する様に交互に見た。)

うー、じゃあ……1つたとえばの話。
もしアンタの友達が急に連絡を絶って、暫く音沙汰も無くて。
1ヵ月くらいしてから急に食事の誘いをしてきたらどうする?

(行く前に、と前置きして。
 やや早口でまくしたてる様に尋ねた。)

深雪 > (貴方の言葉に、小さく頷いて…考える。
 どうやらこの少女にとって、それは退屈で面倒な話ではなかったようだ。)

「真面目に答えるなら…そうね。
 私は行くと思うわ…一発殴ってから、事情を聞かせてもらいにね。」

(考えをまとめれば、貴方へ再び視線を向ける。)

「……で、研究区からここまで、周りも見えないほど悩む必要があって?」

東雲七生 > (考える少女の顔を上目づかいで、同じく何やら考える様に見つめる。
 割と真面目に考えてくれたことに驚き、そして続く言葉に少し俯いた。)

いや、まあ……何て言うかさ。
普通はそれで済むんだろうけど、何て言えば良いかな……。

その人がどうして連絡を絶ったのかも、大体分かっちゃいるんだ。聞く事なんか、ない。
俺だって、何でこんなに悩んでんのか分かんねーよ。

(携帯の、何も映ってない画面を見下ろし、そこに反射する自分の顔を見て溜息をつく。)

深雪 > 「……そう、それなら貴方の思いでも伝えたらどう?
 1ヶ月、色々ため込んだんじゃなくて?」

(貴方の表情を見て、それから、貴方の顔が映った形態の画面をのぞき込む。
 反射する貴方の顔の後ろに、表情は変えないまま、けれど静かに見つめる黄金色の瞳。)

「…もし行かないなら、その分、ぶつかった責任を取って私にご馳走なさい。」

(冗談とも本気とも取れる言葉で、そう付け加えつつ。)

東雲七生 > やっぱり、行った方が良いのかなあ……。

(携帯に映る自分の赤色とは違う金色の瞳に気付き、慌てて顔を上げる。
 伝えたい思いというのも、現状何を伝えれば良いのか分からないのが正直なところだった。)

行くか行くまいか、よりはさあ。
今更どんな顔して顔を合せればいいのか分かんねーんだよ。

(携帯を握りしめ、吐き捨てる様に呟く。
 気持ちの整理がつけられるほど、少年はまだ大人じゃない。)

はは……まだ、その方が気まずい思いはしなくて良いかも。

(こちらも冗談とも本気ともつかない声で、返した。)

深雪 > 「…その半端な顔を見せたくないの?
 まぁ、気持ちは分からないでもないわ……好きになさい。」

(顔を上げれば、半ば呆れたような、半ば心配しているような…
 …無関心であるような、不思議な色をした、瞳が見つめ返す。)

「そう?私は歓迎よ?
 でも…会ってみて、駄目なら帰ってくれば良いんじゃなくて?」

東雲七生 > まあ、……そんなとこっ!
話させといて好きにしろってのも……まあ、やむなしか。

(あはは、と乾いた笑いを上げ。そのまま、はぁ、と溜息をついた。
 そして改めて少女を、その顔を見上げる。)

まあ、行くだけ行ってみるよ。
サンキュー、……あ、えっと、名前聞いてなかったっけ。
俺、東雲。キミは?

(少しだけ吹っ切れたような、ぎこちなくも明るい笑みを浮かべる。
 そして名を名乗った。苗字だけ、だったが。)

深雪 > 「内容は楽しいけれど、決断は貴方の問題だもの。」

(そうとだけ言って、それから…少年を見下ろす。
 少女の表情は、最初に見下ろしていた時と、さほど変わったようには見えないだろう。)

「貴方がそう決断したなら、それでいいと思うわ。
 ……私は、深雪。
 貴方が逃げ帰って来て、責任取ってくれるの、楽しみにしてるわね。」

(冗談とも本気とも取れるような言葉とともに、名を名乗った。)