2016/08/13 のログ
ご案内:「学生通り」に加賀見 望さんが現れました。
■加賀見 望 > 季節は夏。
夏と言えば色々思い浮かぶ物は多いだろうが……
こと学生時代ということに限定するならば、
多くの人が夏休みと答えるのではないだろうか。
学校が休みの間にある者は遊び、またある者は旅をする。
ある者は恋に情熱を捧げ、またある者は補講に涙を流す。
多種多様な夏の有り様を満喫する者達が、
日差しにも負けない燃えたぎるような熱さを放つ夏休み。
二重の意味での熱気が集う学生街の一角で、
その小柄な影はぼんやりと人の流れを眺めていた。
「…………あつい……です……」
正確に言うなれば、熱に浮かされていた。
ご案内:「学生通り」に祐樹臨助さんが現れました。
■加賀見 望 > 「……おみせより……ずっと……あつい……」
頭上から降り注ぐ太陽光。
そして、それに照らされ、熱せられた地面。
上下から押し寄せる二つの熱量は、学生通りを散策していた
小柄な望の体力を想以上のペースで削り取っていた。
普段はクーラーで冷やされた店内に居り、
異常な夏の暑さに対する認識が甘かったのも問題であったろう……
通りに敷設されたベンチに伸びるように腰かけたまま、
ぐったりと動けなくなっていた。
放って置けばとろけかねない様な有り様であるが……
残念ながら、熱に浮かされた頭はそれに気づけない。
あるいは、記憶はあれど経験していない弊害かもしれないが
■祐樹臨助 > 祐樹臨助は基本的に外食をしない。
精進料理みたいな素朴なメニューを毎日自炊している。
気がついたら冷蔵庫の中に何も入っていなかったので食材を買いだめに炎天下の学生通りに向かった。
長く暑苦しい黒髪を汗で額に張りつかせながら本人は涼しげな……というか無表情で、熱射病などで人が倒れてないといいがなんて懸念しながら往来を行く。
すると歩道の真ん中で熱に茹でられ浮かされたような、小さな人影が見えた。
「おい、あんた。大丈夫か?」
とりあえず声をかけることとした。
■加賀見 望 > 「……?」
掛けられた言葉に、ゆっくりと視線を上げる。
白いシャツに、黒い髪……そして、黒い瞳。
『自分にとって』見覚えがないことを茹だる頭で何とか確認し、
こくりと頷いた。
「大丈夫……です…… きょうは……あつい、ですー……」
そう応えるが、汗にまみれぐったりとしているその様は、
傍目には大丈夫には見えないだろう。
バンダナで纏められた長い長い髪が、強烈な日差しの中で
淡いオレンジから赤へと色変わりしているのが、
視界のはしに捉えられるかもしれない。
■祐樹臨助 > 髪の色が変わったように見えたが、今は真偽を問うてる場合じゃない。
目の前の少年の様子は完全に熱にやられてる。
口から零れる言葉も、視線も、おぼつかない様だ。
「いや、どう見たって大丈夫じゃねえだろ。兎に角屋内に入ろう。歩けるか?無理そうなら背負うぜ」
■加賀見 望 > 「なか、です……? はい、大丈夫……です」
こてん、と首を傾げつつーー自覚症状があまりないようだーー
ベンチからゆっくりとした様子で身を起こす。
普段なら知らないひとに対する疑問を挟むところだが、
それすらも熱に流されているようで……
言われるまま、付いていこうと足を踏み出す。
と、その瞬間。歩きだそうと踏み出した足がもつれ、
体勢がぐらりと崩れて
『…………』
バランスを崩しかけた体を、足元に蟠る黒い黒い影から
伸び上がった黒い『何か』が音もなく支え……
一瞬で望の姿勢を立て直すと、何事も無かったかのように地面に沈みこんだ。
■祐樹臨助 > 「……あんた、それ使って日傘の代わりになるもの作れるか?」
小さな体を支えた、立体的にうごめく影を見て言った。
「とにかく今は日差しを避けるべきだ。ああ、体力使うってなら無理しなくていい。」
そう言って、それから目の前にしゃがみ込んだ。
「それと、あんたやっぱりフラフラだから背負うわ。いいか?」
■加賀見 望 > 「ふえ……? それ、ですか……?」
ぼんやりとした様子で、小さく首を傾げる。
熱に浮かされているからか、それとも『違う理由』があるからか。
何か、不思議なことを聞かたかのような、曖昧な言葉が返ってくる。
影に視線を向けてみても……先程のような変化はなく、ただ沈黙したままである。
「え、えと……わるい、で…………ふ」
手を振って、遠慮がちに申し出を断ろうとしたところで
「…………あ、う?」
どうやら、小さな体は限界に達したらしい。
何とか立っていた体がゆっくりとバランスを崩し……
そのまま、臨助に向かって倒れこむような形で身を預けてくる。
小柄な体は見た目相応な軽さと柔らかさで、
バンダナと誰かに纏められた長髪が、ぱさりと揺れ触れてくるだろう。
聞こえる吐息からはやや力がなく、体力的に参っているのが分かるかもしれない
■祐樹臨助 > 「っと、とても力なんざ使ってらんねえ感じだな」
倒れこんだ柔らかな感触をひしと受け止め、軽々持ち上げる。
小さな体躯やその柔らかさ、長い髪などはまるで女の子のようだと感じた。
「ちょうどそこにファミレスがあるな。クーラー効いてるだろうしそこ行くぜ」
■加賀見 望 > 「はい……」
力なく身を預けたまま、小さく応える。
抱えられたことでの視線の変化への驚きと、
自分を持ち上げる腕の力強さに薄い憧れに似た感情を抱きつつ……
華奢な体を邪魔にならないように小さくしながら、
そのままファミレスまで連れていかれるだろう
ご案内:「学生通り」から祐樹臨助さんが去りました。
ご案内:「学生通り」から加賀見 望さんが去りました。
ご案内:「学生通り」に祐樹臨助さんが現れました。
ご案内:「学生通り」から祐樹臨助さんが去りました。