2016/10/21 のログ
■東雲七生 > ぼんやりと見下ろしながら、通り過ぎていく生徒の学年を当てる遊びを始める。
今の子は制服が真新しいから、とか制服は汚れが少ないけど鞄に年季が入っているから、とかで大まかな在籍期間を予測している。
時折完全私服だったりとか、鎧だったりとか、そういう生徒も通るので、その時は素直に予測を諦めたり。
「んんー……2年、かなぁ。」
このゲームのポイントは、単純に顔や背丈で学年を判断しない事。
それがどれだけ浅慮であるか、七生は身をもって知っている。
ご案内:「学生通り」に足ル歯 繰朗さんが現れました。
■足ル歯 繰朗 > 香ばしい匂いを辺りに漂わせる焼鳥の屋台に、大柄で青い影がのそりと寄り掛かる。上半身は鱗だらけ、下半身はジャージに裸足という、もはや学生かどうか判別しにくい。
周囲の客がその風貌に驚き、さぁあっと脇へよける。
ヤケに広くなった丸椅子にどっかと腰を下ろし、慣れた口調で注文をしているようだ。
「店主、ハツとつくね、レバーとかわをくれ」
■東雲七生 > 段々学年当てゲームにも飽きてきて、今度はファッションチェックめいたものを始める。
と言っても他人を評価出来る程、自分に戦縋るとは思っちゃいない。
むしろそういう感性に関しては凡庸、やや貧相寄りである自負すらある。
ただ、大人っぽく見える服装がどういうものなのか、少しでも観察しておくべきと思ったのだ。
とはいえ通行人の大半が学生服なのだが。
「ぐぬぬ……場所替えた方が良かったかな……。」
やれやれ、と肩を落として視線を他所へ向ければ。
焼鳥屋の前に陣取った特異な風体を発見する。あれ、と小首を傾げて。
「おー、学校でちょくちょく見かけた事ある人だ……人?
人……で良いのかなこの場合。」
種族の違いによる言葉の不便さを感じながら、じー、と街灯の上からフクロウめいた視線を送る。
■足ル歯 繰朗 > 唐突だがこのリザードマン、額付近に熱探知器官が存在し、熱量の差から周囲を詳細に把握することが可能である。
焼き鳥屋を見つけたのも正直なところ、匂いにつられてというよりも熱源を感知し、おおよその推測をつけながら探していたのだ。
そしてこの探知能力は、意識に関わらず常時発動している。
通り沿いに、一定間隔おきに立っている街灯。そのうちの1本に、生命のような熱源が感じられた。
が、ここは多種多様な学園、そういう存在が居てもおかしくはない。目の前には焼き鳥屋。当然、食欲の方が優先された。
やがて運ばれてきたつくねに歯を立て、……どうにも視線が気になる。
顎を動かしたまま首だけ突き出し、外を、正確には空を見上げた。
「……そのような所で何をしている?
空を見るにはちと場所が悪いぞ」
どうやって上ったのかわからないが、見ていて危なっかしい。
内心はハラハラしながら真っ赤な目で見返し、街灯上の少年に声をかけた。
■東雲七生 > 「んぁ、気付かれた……?」
流石にじろじろと不仕付け過ぎたよね、と反省しつつ。
するすると登り棒でも降りるかのような身軽さで街灯を滑り降りると、足取り軽く焼き鳥屋の方へと駆け寄った。
「こんちはっ!
……えっと、人間観察……ってやつ、してたんすよ。
そしたらこっちでリザードマンを見掛けるなんて珍しいなって、ちょっと釣られて観察しちゃって。」
すんませんでした、とぴょこりと頭を下げる。
ちなみに人間観察という言葉自体は今日の昼休み、友人達との世間話中に初めて知ったもの。
■足ル歯 繰朗 > 見ていると、少年はするすると街灯の柱を滑り降り、無事に着地したようだ。
(そうか、ああやって上ったのだな。器用なものだ)
安堵したように、ふぅー、と息を吐き、近寄ってきた少年を見る。
「いいや、謝られるような程の事ではなかろう。ただ少しばかり心配になったのでな……まあ、自力で降りられるなら良い。
だが人間観察ならば、何も街灯の上にのぼらんでもよかろう。もう少し、足場を気にせず観察に集中できる場所ではいかんのか?」
そういうと刺々しい左腕を伸ばし、屋台から通りを挟んでちょうど反対側のベンチを指さす。
右腕は串をつかむのに忙しい。
「普段は見た通りの外見だ、どちらかというと視線をそらされる方が多いからな、意識して観察されると流石に気づく。
しかし思ったより物怖じしないようだな。今年に入って直接声をかけてきたのは2人目だが」
哀しいかな、圧倒的な身長差があるために向き合うとどうしても威圧感が出る。
それでも話しかけてくれることはありがたいことではあるが。
■東雲七生 > 「いや、まあ、そりゃそうなんだけどさ……」
間近によれば嫌でも思い知る身長差。
それでも七生にとって、そんなものは常である。同じ年の頃の男子と並べば大体負けてる。何を今更、だ。
そして相手が上背に恵まれていようとそれを恨む事はしない。恨むべきは成長しない自分の体だ。
でもその気持ちを鎮める為に街灯に上りました、なんて口が裂けても言えない。
「あははは……俺にも色々事情ってもんがあるんすよ。
それはそうと、その強面は地顔っすか?それとも異能の関係で?」
純粋な異邦人なのか、それともそういう異能を持ってしまったこちらの世界の人間なのか。
非情に簡潔にそう訊ねながら首を傾げる。
その眼差しは恐怖や畏怖といった感情は無く、ただただ好奇心のみが溢れて輝いている。
「今年で二人目ぇ!?
え、だって今年なんてもうあとちょっとで終わっちゃうじゃないっすか。
思ったほど異形慣れしてないんすね、皆。」
異邦人街に居候しているからか、どうにも見慣れちゃいました、と笑いながら。
焼き鳥屋の店主に砂肝を頼みつつ断わりも無く隣の席に腰を落ち着かせた。
■足ル歯 繰朗 > どうしても高いところがいいなら、校舎の屋上を使うなり、手はあろうに。
なるべく危険の少ない場所でやってほしい。とは思うが、それを口にする段階ではないと判断する。
「いいや、地顔だ。
確かに変身能力は持っているが、完全な人間顔に擬態することはできん」
ゆっくりと首を振る。
ついでに言えば、人間種の姿をとる必要もなかったといえよう。
道具を使うことに、それほど差があるわけではないのだ。
ハツを齧る蜥蜴男の、紅い半月の瞳が、ぎらりと光る。
「名乗るのが遅れた。
生粋のリザードマン、足ル歯 繰朗だ。呼び方はタルシでも、クルローでも良い。
学年は2年だ。
周囲の反応については、異形慣れしていないというより、凶悪面慣れしていないようにも見えるな。
まああまり気にしてはおらん」
それが普通の反応である。
■東雲七生 > 屋上も時計塔も、人を観るには些か遠過ぎるらしく。
──屋根の上なら、まだ怒られないだろうか、と思案気に紅い瞳が動く。
「ほうほう、じゃあ異邦人って事なんすね。
変身能力、擬態……人間に変身する異能があるって事っすか?」
興味本位の質問を投げ掛けながら砂肝を齧る。
ふぅん、と満足げに息を漏らしながら独特の食感を味わいつつ。
「あ、俺は東雲七生っす。同じく二年。
学校で何度か見かけたから生徒なんだろーなー、とは思ってたんすけど同級生だったんすね。」
にぱ、と歳不相応に幼く見える笑みを浮かべる。
同級生と解ればもう少し砕けた口調でも大丈夫だろうか、と思案しつつ。ぺろりと串焼きを平らげて。
「たるし……くるろー……。独特な名前っすねえ。
えーと、そんじゃあ、くる……くるろー、クルロー……で!
面相なんていちいち気にしてたら疲れるだけだと思うんすけどね。
けどまあ、見た目から警戒しちゃうのは仕方ないっすね。
暴れる人たちってやっぱ、どーしてもそういう顔してたりするし。」
難儀っすねえ、とへらへら微笑みながら物怖じとは無縁そうな眼差しを繰朗へと向ける。
■足ル歯 繰朗 > 「いや、むしろ逆だ。より人型から離れていく。
なんといったらいいか……あまり頻繁に使いたくない変身であるのだけは確かだな」
パリパリと小気味いい音をたてながら、鶏皮をかみ、のみこむ。
そのままレバーに手を出し、さて追加で頼むべきか、どうするか。
「フム、東雲七生。では七生と呼ばせてもらおう……
なんだ、同学年か。ならばタメ口調でよかろう。
その方が互いにしゃべりやすかろうからな」
正直年齢など些末な問題だろう。
レバーの串から1つちぎり、しみ込んだタレの味をかみしめるように顎を動かす。
「気にせんという者は本当に気にせんがな。
ただし視覚効果による印象は思いのほか大きい、よって強面が有利になる場面がなくもない。
ただ喧嘩にでも巻き込まれんかねない、故に、歓楽区の奥にはよほどのことがない限り、なるべくいかないようにしている」
そう言いかけたところで、クルローのジャージからP!P!P!と音が鳴る。
ポケットに手を入れ、携帯端末の画面を確認した後、俄に焦った表情で立ち上がった。
「店主ー、お代置いておくぞ。
さて、急に呼び出しが来たので、話の途中で残念だがお先に失礼する。また会おう」
いうが早いかザックを肩にかけ、早足で屋台を出ていく。
ご案内:「学生通り」から足ル歯 繰朗さんが去りました。
■東雲七生 > 「へえ、人型から離れてく……。
まあ、そういう事ならそういう物だ、って覚えとく!」
こくん、と頷いてから笑みを浮かべて。
話してくれてありがとう、と人の好い笑みで礼を言った。
「タメ口で良いんすか?
だったら俺も遠慮なく……うん、遠慮なく!
あはは、確かに喋りやすいっちゃ、やすいかな。」
きゃらきゃらと笑いながら頷いて。
お冷を飲んで一息つくと、気まぐれに店内を見回したりして、
「視覚効果、か……。
確かに、要らない喧嘩には巻き込まれそうだよね、クルロー。
何だかんだ言って物騒なとこもあるから、気を付けてね。」
少しだけ気遣う様にそう結んで、電子音がすればきょとんした顔でそれを見遣る。
そして席を立つ繰朗を見上げて、改めてその体躯の大きさに感心し。
「ああ、うん。また学校とかで会ったらよろしく!」
またね、と笑顔で手を振って見送るのだった。
■東雲七生 > 「……よーし、俺も帰ろうっと。
おっちゃん、ごちそーさま!また来るね!」
串焼きの代金を店主に渡し七生も屋台を後にする。
道すがら、「流石に鱗や牙は生やせないよな」等と独り呟く七生の姿があったとかなかったとか──
ご案内:「学生通り」から東雲七生さんが去りました。