2017/09/26 のログ
神代 理央 > 前方からの機械音に気が付いて視線を向ければ、其処には見知った同僚であるロボットの姿。
幾分気怠い頭を振り払いつつ、軽く片手を上げて彼に近付くだろう。

「…やあ、イチゴウ。今日はこっちのパトロールだったのかい?」

何時もに比べれば幾分と覇気のない声で彼に声をかける。
尤も、その声色は聞いただけでは普段と何の変わりも無い様に振る舞ってはいるのだが―

HMT-15 > その見覚えのある人影から声をかけられれば
ロボットは歩みを止めると共にピクッと反応して

「やあ、理央。ここ最近は実に平和的なパトロールだ。」

前足の片方を空に向けて上げ辺りを見渡しつつそんなことを。
こういった場所の警備ではこのロボットの兵器としての性質は正直持て余す
もっともそれは目の前の少年の異能も同じかもしれないが。
そして挨拶してくれた少年を見上げ少し考えた後に

「キミの声質、その他動作から判断するに
調子が悪いようだが何かあったのか?」

組織に属している以上同僚を気にかけるのは当然の責務。
特に風紀では一人のメンバーの不具合が致命的な戦力の低下をもたらす。
相互的な協力は必要不可欠だ。

神代 理央 > 「違いない。この辺りで君の力が必要な事が起きれば、風紀委員会の存在意義が問われるからね」

彼の言葉に小さく笑みを零しながら頷く。

しかし、次いで彼から投げかけられた言葉には一瞬迷う様な表情を見せる。
僅かな逡巡の末、ゆっくりと口を開いて―

「…ああ。どうにも疲労が溜まっているらしくてね。少し頭痛がするものだから、病院に行ってきたところだよ。
何、大した事は無かったから問題は無いさ」

異能の酷使による頭痛、という表現は避けつつ体調不良であることは素直に告げる。
隠し立てする事でも無いかも知れないが、今は多くの任務をこなし委員会上層部へアピールしなければならない。
それ故に、真実を告げつつも全てを明かさないという玉虫色の言葉になるだろう。

HMT-15 > ロボットの言葉に理央は小さく微笑むも
若干無理しているという感じは否めない。
その後に理央がゆっくりながらも言葉を紡ぐ。
無論、このロボットがその言葉の真意を知るはずは無い。

「それは良くないな、体の不備は後々に厄介事を起こす。」

細かい不具合を残しておけば後々重大なミスにつながる、
そこは生物も機械も変わりはしない。

「データベースによると確かにキミは様々な任務に出ている。
それも戦闘絡みのものが多いようだ。」

いつの間に調べたのか
それでは疲労が貯まるのも無理ないだろうといった様子で
彼を見上げている。

それに加えてロボットは不意に呟いた。

「また後方の人員はむやみに力を振るわないのが適切だ。」

データベースにあった作戦内容まで見たのかそんな事まで。

神代 理央 > 「全くもってその通りだ。自己管理が出来ていない事には、恥じ入るばかりだよ」

僅かな溜息と共に首を振る。
実際、原因はともあれ身体の不調を招いてしまった事は事実。
きちんと休息を取ることも大事なのだな、としみじみ思い直した。任務に励むあまり本調子を出せず、結果的にミスに繋がるようでは本末転倒である。

「…この異能では、致し方ない事だとは思うがね。流石に、金属の化物に交通誘導をさせる訳にもいかないだろうし」

風紀委員としての任務は当然記録され、同じ委員会に所属していれば閲覧可能である。
他者に見られても問題無い様に振る舞ってはいるが、もっと効率良く行わなければならないだろうか、と考えていた矢先―

「…後方まで敵対勢力が来なければ、わざわざ振るう必要もないんだがね。本当は、後方から火力支援を行うのが主な任務だし」

前回の任務を思い出したのか、小さく苦笑いを零しながら頷く。
最前線で戦える能力とは言い難い自分の異能では、近接戦闘になった時点で半分「詰み」なのだ。
それを理解しているが故に、彼の言葉には強く同意するだろう。

HMT-15 > 「ミスを恥じる事はない。
ミスを続けるのならば恥じるべきだ。」

辛そうな彼に対して励ましとも取れるような
取れないようなそんな言葉をかける。
このロボットが搭載している人工知能も
ニューロAIでありミスをする。
ゆえに犯した間違いから学習し自らを修正するという
考えが強いようだ。

「確かに適材適所という言葉が存在している。
その点においてボクのようなHMTは汎用性がある。」

その言葉をは無機質な声で語っているものの
心なしか自慢気に。
イチゴウに限らずHMTというのはこの不思議な外見の影響か
初見で兵器とは考えづらい。
おかげで武器を搭載すれば戦場へ、何も付けなければ
その他の用途へと結構幅が効く。

「後方を敵に取られるというのは戦略的に見て敗北に近い。
この作戦については最前線の人員か指揮の能力が
低かったと判断せざるを得ない。」

美化したり卑下したりすることもなく
ただ正直に分析内容を淡々と並べてゆく。

神代 理央 > 「…そうだな。今暫くは体調の回復に努めて、万全の状態で任務に臨むとしよう。体調不良がミスの言い訳にならないようにね」

彼の言葉は正論であり、自身も同じ考えである。
此方に気を遣った様な発言には少し驚いたが、温和な笑みを浮かべて頷くだろう。

「汎用性、という点では俺の異能は火力面に特化し過ぎているからな…。その点は、君を含めてHMTというのは羨ましい限りだ。
学生の日常生活をサポートするという点においては、自分の異能は役に立たないからね」

此の場所の様に治安が保たれた場所では、そもそも異能の発動すら躊躇われてしまう。
そう考えると、彼のように市民から警戒されにくい見た目であり、状況に応じて武装を装備出来るというのは羨ましい限りである。
自分の召喚物から砲塔を仮に外せたとしても―まあ、ただの足が生えた鉄塊であるし。

「ふむ…。考えてみると、敵は最初から後方に兵力を置いている様に思えた。本来は、本拠地に至る前に敵を撃破するつもりの配置だったのかもしれないな。今となっては、知る由もないがね」

先日の違反組織は《最初から此方を狙っていた》かの様に敵が沸いてきた。
拠点の敵も、後方を襲撃した敵も生き残りは皆無なので今となっては敵の目的は知る良しも無い。
しかし、近接戦闘における自衛の手段は確保しなければと深い溜息を吐き出した。

「…すまない。やはり体調が優れない様でね。そろそろお暇させてもらう。次は、共に任務に当たれる事を期待しているよ。君がいれば、例え後方に敵が浸透しようとも、安心して任務に当たれるからね」

再び始まった鈍い頭痛に僅かに表情を顰めると、申し訳なさそうに彼に頭を下げる。
手に持っていた薬入りの紙袋を軽く持ち上げ、今夜は休息に勤しむと告げて帰路へと着くのだろう。

次は彼と同じ任務に当たりたいという、半ば切実な本心を口にして―

ご案内:「学生通り」から神代 理央さんが去りました。
HMT-15 > 「汎用性という言葉は裏返せば中途半端という事にも成り得る。
その点特化型はその分野において間違いのない結果を残す。」

イチゴウは最前線、後方支援どちらにも回ることが可能だが
その両方を同時にこなすことは出来ないので
状況を見極めなければ満足に結果も残せない。

「それは妙だな。後方のピンポイントに
攻めてくるとは情報漏洩でもしていたのか?
万が一情報戦で負けているとなれば議論にならない。」

一蹴するように低い機械音声でそんな事を。
そもそもこのロボットも得意分野は戦闘であり
情報戦はお呼びではない。

そしてやはり体調が優れないのか理央は
頭痛に苦しみつつ別れを告げて帰路へと着く。

「お大事にするんだ。
それとボクもキミの戦力には興味を持っている、
いつか任務でタッグを組めることを希望している。」

そうしてロボットもまたパトロールへと戻っていく。

ご案内:「学生通り」からHMT-15さんが去りました。