2015/07/06 のログ
渡辺慧 > 「む」

ふと――呼ばれた気がした。
心当たりはあったし、なにより大分充足感があった、あの日だ。
玉子寿司。おいしいよね。

呼ばれたままに、横を振り向き――と、言っても、歩みは変わらず。ふらりふらり。ゆらりゆらり。――

「あ、変な人」


「――ってぶぁ」

当たりそうで、当たらない危ういバランスは。
同じように、玉子寿司のワードに反応した、その狩人のような目をした少年と接触しかけることによって崩された。

ギルバート > 「安室先輩じゃないスか。」

ふと視線を感じれば見知った顔。
特別仲の良い先輩というわけではないが、生活委員ということで何度か世話になった覚えがある。

「そんなんスよ。」
「この間……数日前かな。回転寿司で玉子しか食わない人がいて。」
「それがそこの……。」

誰が変な人だ、と。思わず抗議の声を上げた。

「もしかして先輩の知り合いスか?」

安室 冥路 > 今は食べる事がかなわないとわかっているとどうにも焦がれてしまうもの
寿司に気を取られ過ぎていただろうか
その"玉子寿司の人"が直近にいた事に全く気がついていなかった
なおかつ接触するほどの位置にいたとは全く、想定外で。

「っと、ごめんごめん。悪いね怪我とかは…無いだろうけど流石に、なんかふらふらしてるけど平気?」

先を急ぎたいところではあったが、ぶつかってしまった以上このまま立ち去る訳にはいくまい
そしてよくよく見れば見知った顔…確かギルバート。
それ程見知った仲というわけでもないが挨拶くらいはする間柄だ

「や。いや俺も通りすがりだし、むしろギルバートくんの知り合いかと」
「…玉子は美味いけど、そればっかり食ってるのはちょっと変な感じするな」
「美味いじゃんサーモンとか。あぁ…サーモン…食べたい………」

お腹すいてきた

渡辺慧 > 「……っと、ととととと」

ワザとでもやっているのか、古典的な、腕をバタバタさせて、という方法でバランスを取って。

「ごめんナー、だいじょぶ?」

と、その接触しかけた少年に声をかけると、ともに。

「いや、ほら――なんか挙動不審だったから」

等と、自分をひたすら棚に上げて、抗議を上げた少年に声をかける。
そして、少なくとも、この少年――慧――には、目の前の少年との面識はなかった。

顔にわかりやすくはてなマークを浮かべつつ。

「……あぁ、俺はだいじょぶよー。なんとなく風に吹かれて歩いてただけだから」

大概変な人の言い分だった。

安室 冥路 > 「というかよくたまたま前に見かけただけの玉子しか食わない人っていうだけで声をかける気になれたなギルバートくん…」

うっかり声が出てしまっただけかもしれないが。
そしてお互いにちょっと変わった人っていう認識をしあっていたらしいが。

「…まぁお互い知らないなら自己紹介でもすればいいよ」
「お互い、変な人、玉子しか食わない人としか分からない状況で話するのもアレでしょ」
「俺は安室冥路、生活委員の二年生。」
「ギルバートくんの名前はしってるけど、風に導かれちゃった君も名前教えてくれる?」

ギルバート > 「いやまずはマグロでしょ。基本であるが故に王道スよ。王道。」

特に気にして食べるタチでもないのだが、妙に張り合う男子心。

「それよか先輩。道端でサーモン連呼は人としてだいぶ格が下がる行為ス。」

そんなに腹が減ってるのか?と疑問に思うも、ギルバートは思い返す。
そういや大食漢だったな、と。学食で出会えば、山のような盛り付けを平然と平らげるような人だったな、と。

「ところで……」

慧に向き直る。
どうにも不振人物だが、第一印象だけで拘束などとはありえない。
ただコイツを逃してドヤされるのもなァと、濁った表情で眉を潜めた。

「学生でしょ。オレは一年だけど……。」

名を名乗ろうとしたところ、安室が先に紹介を済ませてくれた。
相変わらず、妙に人当たりが良いというか。手間が省けたというか。

渡辺慧 > うむ。
等と大仰にうなずき。
「いいことをいう、狼少年」
狼のような目つき=狼少年。

「間違えた、冥路。迷子になりそう」

あいもかわらず馴れ馴れしい。
猫のように笑いながら。

サーモンもマグロの寿司ってそういえば食べた事ねーなー……などと思いながら。

「そ。学生。一応2年だよ」
「ギルバート、ね」

よろしゅうよろしゅう、等と言いながら片手をひらりひらり。

「俺は、渡辺慧ね。特に特徴もない一学生をやらせていただいております、です」

安室 冥路 > 「俺マグロあんまり好きじゃないんだよね。当たり外れ大きくて」
「美味しいマグロはホント、感動するくらい美味しいけどさ」
「俺が行ける程度の店でそんなに美味しいマグロを出してくれるところは…ね…」

安室冥路は貧乏だった。ギルバートの知る通り、大食漢故に主にエンゲル係数の高さによる貧乏だった
回らない寿司なんてものは都市伝説であると信じたい程度に。
相変わらずちょっとキツめな物言いの後輩に、苦笑を漏らしながら弁明する
弁明になってるのか?余計に格が下がっているのでは?という事はぶん投げておく。

「こんな分かりやすいところで迷子ってそれ。っていうか狼少年ってどういう間違い方なの」
「一文字すら合ってないんだけど。俺から狼の雰囲気って一切無いと思うんだけど…」

なるほど変わった人物だ。ギルバートが妙に軽快しているのも納得出来る。
懐っこい雰囲気があるが何処か浮世離れした空気も纏っている。
でなければこんな誰もがよく利用するような場所で迷子にはならないだろう

「…何処に行きたいのか教えてくれれば、そこに送ってくくらいなら出来るよ?」

ギルバート > 「あ、先輩だったんスか。へー。」

妙なタイプだなあと、かしげた首の角度がどんどん深くなる。
少なくとも実害はないかとため息ひとつ。

「安室先輩、折角ならどっかで喰っていきます?」
「この間オススメの屋台見つけちゃって。」
「牛もつあんかけラーメンっつーんスけど……。」

もつ鍋屋が税金対策で始めた屋台だが、評判が評判を呼び隠れた人気店となっているようだ。
どろりとしたスープにたっぷりの牛もつ。ニンニクを利かせた味噌の風味が、また一段と食欲を促すという。

「……迷子って、安室先輩の名前に掛けたんじゃ?」

いや掛かっているのか? 困惑しきり。

渡辺慧 > そうなのか、等と。マグロの説明に頷きを返す。
たまには玉子以外を食べてみるのもいいのかもしれない。
いや、それはどうだろう。寿司屋に行って、玉子以外を食べる……?

「ないな……」
独り言のように洩らした後。

「餓えた狼のような視線を感じた。あれは、まさしく獲物を狙う視線……」
だから狼少年、なんて説明にもなっていないような説明。
説明する気があるのかもわからないような説明。

「んん? 迷子ではないよ。風に吹かれて歩いてたら気づいたらここまで来てたっていうのは嘘だけど」
スーパーを探してただけです。と、拍子抜けするほど適当さ。
ついでに、そこのギルバード君もいいことをいう、などと相槌を飛ばす。

「そうそう。メイロ。メイロ。迷うよね、アレ」
入ったことないけど、等と言う少年の適当さは、よく伝わるのかもしれない。

安室 冥路 > ギルバートの誘いに若干表情に影を落として斜め下に視線を落とす

「…その誘いはとても魅力的なんだけどね、安室先輩今とっても金欠でね…」
「今から見切り品を狙いに商店街巡ろうと思ってた程度にね…」
「…今度給料入ったらいきたいな、とても。というか空腹時にそういう創像するだけでお腹鳴りそうな事言うの止めて」
「テロだよ。テロ。」

お腹を抑えて項垂れる
物言いからするに本当にラーメンの一杯すら食べる金が出ないらしい

「昨日は歴戦の主夫のようだった、って形容されたんだけどなんなの俺」
「見切り品を狙う俺の目ってそんな特異な感じになっちゃってるの…?」

困惑しかない。
自分はただ、貧乏に糊をする為の糧を得ようと安売りを求めているだけだというのに…

「そういう風に名前を捉えられたのは初めてだなー…」
「迷うじゃなくて、太陽系から外れちゃった方のやつ。冥王星の冥。」
「そこんところよろしく。」

渡辺慧 > 「なるほどなるほど。まぁどちらにせよ、冥路と呼ぶから問題なし」
問題はないわけじゃないが……まぁ、しかし。
なんにしても、よろしく、ということだろう。



「ん?」

暗くなったその少年の表情に、ふと。
んー……。

等と言いながら財布をあさる。
先程の視線と言い、今の物言いと言い。

「うん。おごろっか?」
俺もいっていいならだけど。
と付け加え乍ら、ひどくあっさりと。
そう零した。

ギルバート > 太陽系惑星の序列なんてはるか昔の話なのに、さらりと出てくるあたり博学だなあと眺めている。
冥の路なんて縁起悪いなとも思ったが、そこまで口にするには良心が少し抓られるような気がした。

「別に奢りでいいスよ。臨時収入入ったんで。」

死と隣り合わせの実行部隊に出入りする身。
危険手当とは聞こえがいいものの、それが正しい対価なのかはわからなかった。
私生活に困ることはないから、どちらかと言えばいいことなのだろう。
だが、そう口走った矢先、慧からも同様の誘い。

「随分自由スね……人付き合いfreeって感じ。」
「まあ、オレは別にいいスけど。」

安室先輩さえよければ。
言外の意図を含んだ視線を投げる。

渡辺慧 > あや、被った。
少し楽しげに驚く。
でも、と前置きしたうえで。

「変な人、って言っちゃったのと」
「狼少年って間違えた、の詫び、ということで」

ただ、理由としては、それだけでいいだろう。
と。言葉にするでもなく、ただ猫のように笑って。
ぐ、と体を伸ばす。

「君も面白そうだし、そっちの君も面白そうだし」
「まぁ、ほら。一期一会かもしれないし」

どーでーしょーかね、冥路君や、と、楽しげに笑いかけた。

安室 冥路 > グサリ。
何故かは分かりきっているが、そんな幻聴が聞こえて思わず足がよろめいた
初対面の、
それも若干変な奴だな、という認識を持った人物に気を使われている。
え、そんなに?
そんなに今の俺は…駄目…?

ボコリ。
更に追い打ちが入る。
如何に貧乏人と言えども後輩に気を使わせるという有り様。
もしかして今の自分は相当駄目なのではないか…?
そんな思いがほぼほぼ確信へと変わっていく。

二人共、悪い人間ではない。むしろ気遣いの出来るとても気持ちの良い奴等だと思う。
しかしその善意が、優しさが今の自分にはとても…とても眩しくて。

ササ、と二人に背を向けて財布の中身を確認する。
…2日ほど食費を思い切り切り詰める事になるが、らーめんの一杯程度払えない訳ではない。
金が入っていない、という訳ではなく今後の生活を考えると切り詰めなければならなかった、ただそれだけである

二人の方へと向き直り、若干開き直ったような笑顔を浮かべて頷いた

「…大丈夫、落ちぶれていても奢って貰う程じゃあないよ…」
「行こう、ギルバートくんのいう店に。」
「ここで会ったのも何かに縁。ラーメン食べて、交友を深めよう…!」

ギルバート > ―――といったところで件の屋台。
今日は開店が遅かったらしく、客もあまり並んでいない。
少し夜風を感じただけで席が空いた。
順に詰めて座る三人。店先まで届いていた芳醇な香りは、暖簾を潜れば一層力強さを増すようだ。

「大将、オレ普通の。それと、もつから揚げひと……いや、三人前で。」

一人前置いておけば事足りるかといえば、まあそんなことはないだろう。
折角だし、と。人数分。

「もつからの勘定はオレ持ちでね。」

へへへと二人に向き直り、お次どうぞと注文を促す。

渡辺慧 > 「む」

今日何度目かの、唸り声のような、不思議な声。
案内されるままに座り、香りを楽しみ。
さて、楽しみだ、と注文しようかと思ったところ。

件のギルバートからの、勘定持ちの声。

「むむ。……やるじゃんギルバート」

微妙に格の違いを見せつけられたような気も。
気のせいというか、気にしすぎというか。
そういうたぐいのものかもしれないけど。

むむむ、とうなり声を上げ乍ら。

「俺も普通の。おねがいします」

ついでとばかりに。

「3人のラーメンの方は俺が勘定持ちで」

と、ちょっと自己満足だけでも果たした。

安室 冥路 > とりあえずはメニューを一望、値段を確認する。
最もコスパが良いと思われるものを。
そして折角外食をしてしまうのであれば十分に腹を満たせるものを。
そうこう考えている内に二人は注文を終えていて。
しかも何故か自分の支払いの余地が無くなっていて。
こんな時どういう顔をすればいいのかちょっと分からない。
本当に、わからないんだ…

「えーと、じゃあ俺大盛りで。麺は柔らかめとか出来ます?あ、大丈夫ですか。んじゃそれでー。」

もう開き直ることにした。
厚意というのは甘んじて受け取るのが受ける側としての誠意だと思うから。

「今度収入入ったら君達覚悟しとけよ…ぜってぇ奢ってやるかんな……」

良く分からない復讐心を燃やしていた

「あ、全員に烏龍茶。それは俺持ちで………」

せめてもの意地である
届いた烏龍茶で妙に乾いてしまった喉を潤して、ふとギルバートの方を伺う

「そういえば臨時収入って?何かあったのギルバートくん」

渡辺慧 > 「お詫びだって言ってるのに」

と、苦笑して。
さんきゅー、と言いながら烏龍茶を啜る。

「また会ったらな」
気まぐれか。偶然か。はたまたなにか。
いずれかであったなら、奢られよう。
そういう考えの方が、楽しくあったのだ。

――ふと、ギルバートに向け話しかける冥路を見て。
知り合い同志の会話、というのはこういうものなんだろうな。
と。一期一会同然、または、それに似た出会い方が多い自分には、なかなか縁がなさそうな会話だった。

ギルバート > 「何って……まあ、秘密っスよ。バイトみたいなもんス。」

公安所属と公言するのは、表立って"そう"する理由がない限り生むものがない。
それどころか、綻びの元足りえるのだ。ほぼ初対面の人間が混ざっていれば、尚の事。

そうこうして注文した品が、それぞれの前に順番に差し出された。
どろりと粘度の高いスープが、なみなみと注がれている。
ちらりと覗くニラ、キャベツ、ゴボウ。輪切りの唐辛子が彩りを添える。
ひとたび箸を入れて麺を掻き分ければ、出番を待ち望んでいた主役が、ついにその顔を現した。
弾力のあるフォルム。絡んだスープのメイクは、一段と気品を漂わせている。
そう、もつだ。牛もつ。大振りで噛めば噛むほど、うま味を口いっぱいに広げてくれるだろう。
約束された幸福を、ギルバートは啜る。

―――うまい。
強い確信があった。

渡辺慧 > おぉ……かっこいい……。
ミステリアスな雰囲気とでもいうのだろうか。
バイトのようなもの。
その内容に興味と言うよりは、その雰囲気に、気のせいか目を輝かせている少年は、少しだけずれていたのかもしれない。

しかしながら。
その目の輝きは、数瞬後には。
輝いて見えるような、どろどろのスープ。
に対象を移し替えていた。

「……うまそー」

それはほぼ当然のような。確定されたかのような言葉。

――いただきます。
手を合わせ、箸を入れ込む。

ただ、麺を啜る。

ただ、かみしめる。

そして、ただ。

ただただ。それは。

――うまかった。

安室 冥路 > 「詫びられる理由が無いって思ってるしねぇ。まぁ友達付き合いするなら貸し借りがあると面倒な事が多いし」
「今日のところはこれでトントンって事でひとつ。俺だけ払いが1000円にも満たないけど。ワンコインで済むけど」

ウーロン茶:150円である
ゆるく笑みを浮かべながらひらひらと手を振って
彼の中ではとりあえず知り合って、こうやって共に飯まで食ったなら
それはもう友達ということで構わない、という認識のようで

「バイトかー…委員会所属してると中々副業も出来ないんだよなー…」
「割の良いバイトだったらこっそり紹介してくれない?週一日くらいでもなんとかいけたりしない?」

秘密、とまで言うからにはそう簡単には教えて貰えそうではない、しかし
ここのところ金銭的に余裕が無い生活を送っているので割りと必死だった

「まぁ、言いたくないなら言わなくてもいいけどさ…頂きます。」

割り箸をパチリと割って、丁寧に丼に、店主に向かいお辞儀
まずはスープを一口…見た目にそぐわない、濃い味のスープ。
しかしくどいという程ではなく、唐辛子の辛味が食欲を更にそそってくれる。
続いて麺を啜る…美味い。濃厚なスープが確りと絡んでくる。
牛モツの旨味が確りと出ていて…これは、箸が止まらなくなる

「…良い店を、ありがとう。これは通いたくなるわ……」

うっとりとした声音で呟いた

渡辺慧 > 麺を啜る音。
これはうまい。
――あー、これは通うわ。

味覚がずれている、というより。
好物への感覚が違う。そんな少年。
だからこそ、おいしいものにはおいしいを。

そんな言葉も言えないで、ただ、味をかみしめていた。

……暫しあと。半分ほど食べたぐらいだろうか。
冥路の声に反応して、楽しげに笑った。

「りょーかい。……友達でいいのか」
「それじゃ、また会わないとだねぇ」
何て苦笑。
それは果たしてどういう意味か。

本当に、お金に困ってそうなその態度に。
余計に苦笑が強くなってしまったのも、致し方ないのかもしれない。

ギルバート > 「いやー、止めといた方がいいっスよ。」
「オレ今まで13回ぐらい『あ。死んだな。』って思いましたし。」

ずるずるとだらしない音を立てる。
だがそれがいい。音もまた麺の醍醐味。
飲み込むたびに深いため息が零れる。
合間合間に摘むから揚げもまたジューシー。
男三人たらふく食べて、一人頭1000円と数百円。
スープを飲み干す頃には、心も身体も胃袋も満ち足りていた。
ごとりと皿を置く。

「ごちそうさま。」

しばしの小休止。そう思っていた矢先、携帯電話が声を荒げた。

「え、何スか。今メシ喰ったトコなんスけ……はあ!? えっ?」
「いやいやいや! あっ ちょっと!!」

呼び出しである。
緊急性の高い内容故に、理由もロクに告げられず。

「すんません、オレちょっと急ぎの用事できたんで!」

宣言どおりの金額をテーブルに置き、慌てて走り去っていく。

ご案内:「商店街」からギルバートさんが去りました。
渡辺慧 > 「結構それ通ってるよな」
少なくとも13回は。
等と一応ツッコミ乍ら、俺もそのぐらい通ってしまいそうだ、何て笑う。

残り半分。
ペースは落ちず、スープは……飲み干すのはちょっと怖いかな。なんて笑うけれど、結構な量を飲んでしまった。

「ごちそうさま」
「おいしい店をありがとう」
なんてね。
冥路の言葉をたどるように、同じようにそう言って。

「……っと。……あー。……まぁ。またな」

慌ただしげに去る、その少年を笑いながら見送った。

安室 冥路 > 「そうそう、一度会ったら友達で…なんていう歌が昔にはあったらしいけどさ」
「実際に聞いたことはないんだけど俺、そのフレーズが凄い好きなんだよね」
「一期一会なんていう風にも言うけどさ」
「どうせ出会う事が出来たなら、また会って話してみたいって思うし」
「どんな相手とでも…それこそ一切意思疎通が出来なくて文化が違うとかでもない限り」
「友達になりたいじゃん。」

ラーメンを啜りながら真顔でこんなことを言う。
シラフで言うには恥ずかしいような言葉だが、本心であるし
それを恥ずかしいとも思っていない。ゆるーい笑みを慧に向けて、モツ唐揚げを一口
ジューシー…カロリーの暴力という感じがする…もうこの油の中に溶け込んでしまいそうなくらいの美味である…

「死ぬような目、最近オレもよく合うしなー…」
「その割に特別手当とか入らないから困るんだよ生活委員会」
「そもそも荒事向けの委員会でもないのに最近そういうのが多すぎる…って、おっと」
「…気をつけてなーギルバートくん、あんま無茶とかしないようにー」
「ごちそうさまー」

唐突に去っていったギルバートに丸い目をしながら、手を振り見送る
…人懐っこいようで、あまり深くは立ち入らせず。
なかなか良く分からない後輩だ。多分、今のも"バイト"絡みなのだろうが

「…彼もなかなか苦労してそうだなぁ。」

そう、呟いてからスープまで綺麗に飲み干した丼をテーブルに置いた

安室 冥路 > 「さて慧くん、どうする?」
「確かスーパー行きたいんだっけ、俺元々スーパー行こうと思ってたんだけど」

残ったもつ唐揚げをちまちまとつまみつつ、首を傾げる
どうせなら一緒に行く?とでも言いたげな表情

渡辺慧 > 「……すげーね」

その思想、ではなく。
それを実践しようとしてるその姿が。
どうにも、気楽に。自由であろうとしたい自分には、なかなか難しいけども。
だけれども、拒む理由もない。

「そーいうなら……友達、ってことでいいんじゃないかな」
適当な少年なりの、適当に、適度な返答。
だけれども、楽しそうに笑うその顔には、陰は特に見えなかった。

「大変そうだよね、彼」
「でも、なんか、こう」
「絶対あいつ、かっこいいと思うなぁ」

なんとなく、見せない部分。その部分が、多分、きっと。
あやふやな想像だけれども。

「……ん。あ」

そういえば、もともと自分はスーパーに行きたいのだった。
まさに風に吹かれて忘れてしまったとでもいうのだろうか。

「……あー、いや。いいや」
「そもそも、今日の晩御飯でも作ろうかな、と思ってただけだからさ」

安室 冥路 > 「………? 何が?」

凄い、と言われるような事に特に思い当たる節がない彼としては首を傾げるばかりで
良く分からないけれど褒められたような感覚で妙にむず痒い

「まぁいいや、それじゃ、改めて宜しく慧くん。気楽にね」
「堅苦しいの好きじゃないし…それは君も一緒っぽいけど」
「まぁまた何処かで会ったら飯でも………金欠じゃなければ、飯でも食いたいし」
「その時は奢るよ。学生通りに美味くて早くて安い定食屋があるんだ」

あとここじゃないところで美味いラーメン屋台がどうのとか
パスタだったら何処が美味しくてだとか
聴かれてもいないお勧めの飯屋を次々と紹介する
単純に食べるのが好きというのもあるが、どれに反応するかを見極めてもいるようで
ある程度話をしたところで会計を済ませて席を立つ
ラーメン屋というのは余り長居をするようなところでもない

「ごちそうさまでした、またきまーっす♪」

ご満悦の様子で店を後にする
大食漢の彼でもボリュームは十分だったようで軽くお腹を擦りながら

「さっきまで変な人扱いだったのが今はカッコいいになってるんだ」
「まぁこうやって顔を突き合わせて喋らないと、人って第一印象だけだと分かんないよね」
「だからこそ面白いんだけどさ」

その変わり様にくすくすと、楽しそうに笑いを零して

「まぁ実際、慧くんの言うとおりだろうね」
「ああいう飄々としてる奴って大体、やる時にはやる。って奴多いし」

これも勝手な想像ではある、あるが経験的にそういった雰囲気をギルバートから嗅ぎとる事が出来る
同意するように頷いて見せれば、軽く伸びをして

「そんじゃ、俺は一応スーパーにも行かないとだし今日はこの辺で、かな」
「またね、慧くん。またふらふらして誰かにぶつかったりしないようにね」

渡辺慧 > 「分かんないからすごいんだよ」

シシシ。
いつもの、変わった笑い。

「ん。改めて」
「よろしゅうな、冥路」

慣れた手つきでひらひらと片手を振る。
堅苦しいより、楽しい雰囲気が好きなだけ。

簡潔に。
「うん。楽しみにしてるよ」
それは、本当に楽しそうな笑いだった。

ついで、席を立つ。
ごちそうさま。また、気が乗ったら来ます。
そういうのを忘れずに。

ぐ、と伸びをして。

「一期一会も悪くないんだけどね」

そうやって、過ごしてたし。
だけども、しかし。
やっぱり、こういうのも悪くない。

その笑みに、大食漢の彼の笑みに合わせた様に、シシシ、と笑う。

「またあいつとも話したいねぇ。おもしろかったし」
何て零すのは、ただの気紛れか。……意識の変化か。

「またね」
「迷子になるなよ」

なんて、誰に向けた言葉かわからないような言葉を吐いて。
あっさりとその背を向けた。

片手はひらひらと。その背の向こうにいる彼に向けて。


あぁ。今日もいい日だった。

ご案内:「商店街」から渡辺慧さんが去りました。
ご案内:「商店街」から安室 冥路さんが去りました。
ご案内:「商店街」に日恵野ビアトリクスさんが現れました。
日恵野ビアトリクス > 試験が滞り無く終わって放課後。
買物をするために商店街を訪れていた。
普段学園でしている中途半端な装いとは少し違う。
下は普段しているスカートだが、上はシャツではなく
リボンのついたブレザー。そして長髪のウィッグ。
注意深く観察しなければ女性にしか見えないだろう。

慣れているのか、堂々とした調子で商店街をぶらついている。

日恵野ビアトリクス > そうして、水着専門店の前で立ち止まる。

「ああ、そう、ここだここ」

普段来ない場所なだけに、少しだけ迷ってしまった。
軽く周囲を見渡した後店内に入っていく。

(夏……憂鬱な季節だ)

誰も彼もが肌の露出度を上げていく。
そして妙に浮かれていくシーズン。
万年胸裏に木枯らしが吹き荒れているようなビアトリクスでも
時候の変化には逆らえない。

ご案内:「商店街」に神宮司ちはやさんが現れました。
日恵野ビアトリクス > 普段こういったわかりやすい女装をして外出することはないのだが、
男性と見える姿で、女性物のコーナーをうろついたり
真剣に吟味しているといろいろ厄介なことが起こるのだ。

そもそも海に水着姿で向かう、
という行為がビアトリクスには耐え難い。

何が悲しくて公衆の面前で素肌を晒さなければならないのか?
大浴場だって誰も入っていなさそうな時間を選んでいるビアトリクスだ。
修学旅行の時はかなり面倒だった記憶がある……。

神宮司ちはや > (いつもとは違うが、見知った後ろ姿が普段はいらない店に入っていく姿を見かける。
 距離が少し遠かったから声をかけようか迷った末そのまま見送ってしまった。
 よく見ればその店は水着専門店らしい。ショウウィンドウには華やかな女性の水着姿が並んでいる。

 ごくりと気圧されて息を呑むが、ビアトリクスが入ったのなら自分も大丈夫であろうと、何となくそう思って後を追った。
 入り口から少し見渡せば相手はそこにいるだろうか。
 なんとなく緊張しながらビアトリクスへ声をかける。)

と、トリクシーくん。こんにちは、ここで何しているの?

日恵野ビアトリクス > 陽気なBGMが鳴り響く、明るい雰囲気の店内。
肩を震わせて振り返る。
まるで360度を灼熱の太陽に苛まれているような陰鬱な表情。
あきらかにこの手の健康的な場所が苦手だというのがわかる。

「やあ、ちはや……。
 そりゃ、水着を選びに来たに決まっているだろう」
そう応えるが、どう見てもウキウキショッピングという様子には見えない。
地獄で刑吏に言い渡された作業の真っ最中の表情といったほうが近い。

「ちはやも水着を選びに来たのかい?
 夏が近いからね」
骸骨のような笑みを浮かべて、指さした先には男性用の水着コーナーがある。
一応は取り扱っているようだ。

神宮司ちはや > う、ううん……ぼくは水着買いに来たんじゃなくて、
トリクシーくんが入っていったから気になって……。

なんかあんまり楽しそうじゃないね。
水着、嫌い?海とか苦手そうだもんね……。

(明らかに相手の表情が曇っているのを読み取って自分も顔を曇らせる。
 そういえばやっぱり女の子用の水着なのだろうか。
 まぁ彼ぐらい華やかならそっちのほうが似合いそうだが。)

ご案内:「商店街」に正親町三条楓さんが現れました。
正親町三条楓 > 「――あら?」

海開きには水着着用の事。
式典委員たちからの要請に、今年の水着を選びに来た楓。
そこで見かけたのは――

ちはやと、あの時の少年。
にこやかに笑うと、ゆっくり二人へ近づく。

日恵野ビアトリクス > かぶりを振る。
もうちょっとマシな表情を作る。

「まあ……苦手だな」
肌の露出が多くなること以外にも嫌な思い出には事欠かない。
サンダルが波にさらわれたりクラゲに噛まれたり足をつったり……

「でも夏のあいだ行楽せず引きこもってるのもシャクだからね。
 いちおう、見るだけは見ておこうと思って……」
ため息。
あまり熱心に探していたようではないが、
足は女性用コーナーに向いていた。

なんて話しているともう一人知った顔が現れる。
「げっ……」
思わず声に出た。

神宮司ちはや > そっかぁ……。ぼくも小さいころしか海へ行ったことがないから
ちょっと海はどきどきしちゃうかもなぁ。
サメ出ちゃうかなぁ……やだなぁ。

(昔見たDVDで海水浴場にひとくいサメが出る映画をいやいや見せられた覚えがある。
 まぁビアトリクスの苦手はきっとそういうことではないのだろうが。
 あ、やっぱり女の子用なんだ。なるほど、と頷くと
 聞き覚えのある声に振り返る。ぱっと笑顔になった。)

あ、楓先輩こんにちは。
先輩も水着を探しにいらしたんですか?

正親町三条楓 > 「あら、ちはや君こんにちは」

にっこり笑いながら挨拶。
今日も彼はかわいい。
邪魔なおまけがついているけど。

「ええ、海開きは水着を着用しなくてはいけませんからぁ。
ちはや君も、水着を選びに?」

神宮司ちはや > え、えええ?海開きってそうだったんですか?
どうしようぼく、てっきり普通の私服とかだと思ってて……
じゃあ水着、用意しなきゃダメなんだ……

(今大事なことを聞いてすっかり狼狽える。
 全然そんなことを考えてなかったから選ぶものも決めてない。
 ううーんと困り顔になった。

 でもそうすると楓先輩も水着に?あのスタイルのいい肢体が皆の前に顕になっちゃうの?
 ふあ、と思い浮かんだものに顔を真赤にさせて俯いた。)

日恵野ビアトリクス > 「サメより怖い連中がゴロゴロいるしなあこの学園……」
でもこの学園変なところだしサメもすごいかもしれない。
頭が二つあったりとか竜巻を乗りこなしたりとか。

無表情に楓にも軽く会釈しておく。

こんなアウェーで楓と対峙するのはあまり望ましくない。
さっさと帰って水着選びは別の日と洒落込みたいところだが、
ちはやと楓をふたりきりにするわけにもいかない。
なんて考えている間にもちはやは顔を赤くしていた。

「そういう話ならさっさと決めちゃおうぜ。
 なんなら選んで差し上げようか?
 男性用水着なんてそんな選択肢ないしさ」
ちはやの手を引いて男性用コーナーへ向かおうとする。

正親町三条楓 > 「あ、ちはや君は私服でも大丈夫ですよぉ。
私は挨拶があるので、どうしても水着じゃなくちゃいけないんですよねぇ」

まぁ、半分以上式典委員たちの要望なのだが。
『男ひきつける為に水着でおなしゃす!』と欲望全開で言われた時にはどうしようかと思った。
まぁ幸い、腹の黒い痣は消えたし、普通に水着も着れるのだが。

「――そうだ、折角ですからちはや君、選んでくれますかぁ?」

うん、ちはやの気に入る水着ならば問題あるまい。
ついでにちはやを連れて行こうとする彼への牽制にもなる。

神宮司ちはや > (手を引かれビアトリクスへ付いて男性用のコーナーへ向かう途中
 楓に自分の水着を選んでくれないかと頼まれる。

 通路の真ん中で互いの顔を交互に見て、ううっと小さく呻いた。
 どっちも放っておきたくないし……、どっちかを優先させたくもない。
 それに二人には仲良くしてもらいたいというのが正直な気持ちだ。

 困った末にちはやはこういった。)

あの、えっと……先にトリクシーくんと楓さんの水着を決めてからにしませんか?
ぼく、全然おしゃれなのわかりませんけど、選ぶくらいなら出来そうだし……
それで、そのあとぼくの相談に乗ってもらえたら、うれしいかなって……

(どうでしょうか……とライオンに睨まれたうさぎのような怯え具合で二人に尋ねる。)

日恵野ビアトリクス > 脳内での過去のちはやの言葉がリフレイン。
(三人で仲良く……三人で仲良く……)
嘆息。彼を困らせるわけにも行かない……。

「……じゃあ、ちはやの言うとおりにしようか。
 お願いしていい?」
安心させるような笑みを作る。
楓(まだ一言も言葉を交わしていない)が了承するなら
三人で女性もののコーナーへ向かうだろうか。

正親町三条楓 > 「――ええ、それではそうしましょうか」

ちはやは争いを好まない。
なら、なるべく彼の意思を尊重してあげよう。

――女性物水着コーナーへさえ行けばこっちのもの。
大胆な水着で悩殺してしまえばいい。
その点はこちらの方が有利だ。

神宮司ちはや > (二人が承諾してくれたことにあからさまにほっとした顔をする。
 促され、女性物の水着コーナーへ揃って向かう。
 が、やはりさすが水着コーナーというか、派手で布地の面積が薄く、男性物なんかよりも様々なスタイルの水着がマネキンやポールにかかっている。

 初めてこんな場所に入ったわけで、うかつに目を上げられない。
 でも頼まれた以上、品物を目の当たりにしなければ選べないわけで……
 顔を手で覆い指の隙間からちらちらと確かめて……)

え、えっと……楓先輩はなんか……どんなものでも似合いそうですけど、ぼくは紺色とかちょっときれいな感じがいいかなって思います。
それでトリクシーくんは……金髪が綺麗だし、ちょっと色のあるようなものとかどうかなって……。
この間、出してくれた極彩色みたいな綺麗な柄が入ったのとか……。

(それだけ言い終えるとその場に小さく縮こまった。)

日恵野ビアトリクス > 「……」
ちはやの提案の通りにしたのはいいが頭が痛い。

楓の肢体に目を向ける。スタイルよし顔よし。非の打ち所のない美人だ。
自分のようなセクシュアリティがよくわからない男と違い、
ちはやはもっと一般的な男の子の感性の持ち主だろう……
少なくともスタイルで言えば楓のほうに軍配が上がるはずだ。

諦めないと自分に誓いはしたが、
あまり考えないようにしていた問題に直面させられて顔が青い。
なんだ? 自分の何に楓に勝てる要素がある?
地位、スタイル、そして性別……不利な面ばかりだ。

性格――これは両方とも最悪だからいい勝負だな。



「ちはや……」
乙女かよと言わんばかりに露骨に恥ずかしがる様子に
あまり無理しなくてもいいよ、と言いたいが
それでも一生懸命考えてくれたのを無碍にするわけにもいかない。

「こういうのかな?」
暗く鮮やかな極彩色の柄が入ったワンピースタイプの水着を手にとって、
胸の前で合わせてみる。
ビキニタイプでは……あっちの巨乳には勝てないだろう。

ご案内:「商店街」に加賀背 雄さんが現れました。
正親町三条楓 > 「紺、ですか――」

紺だとかなりデザインが絞られる。
特にビキニタイプだと、種類が少ない。
向こうは柄物を自由に選べる、その点は向こうの方が有利。

だが、ここでマイクロビキニなど選んでは、流石にちはやが引く。
そもそもそういう耐性の無い子だ、逆効果だろう。
と、いう事は……

「では、私はこれを着てみましょうかぁ」

一般的なビキニ。
紺色のストライプの入ったものに、同色のパレオをつけたタイプを取る。
うん、これならなかなか――

加賀背 雄 > (お店に取り寄せしてもらっていた水着をカウンターで受け取る。
 もちろん男性用…ではない。 店員さんのやけにクールな視線を受け流しながら、
 二重にして中身を見えないようにした紙袋に入れてもらう。 大事にそれを抱えて、
 お店を出ようとしたところで、見知った顔に遭遇する。 即座に紙袋を…
 どうする?隠すのか? 今隠せば余計に怪しまれるかもしれない。 こういう時は、
 何事もなく、さも普通に男性用水着を買いましたよ的なムーブするしかない。)

あ、ビアトリクスさん。 お買い物ですか?
(会釈。 そして二人にもご挨拶。 掌にじっとりと汗が滲む。
 さすがに初対面で買ったものについて言及などされまい。
 大丈夫だと自分に言い聞かせ、動揺を抑えこもうとする。)

神宮司ちはや > (再び二人が選び出した水着を確かめるためそろそろと指の隙間から覗く。
 ぱっと顔をほころばせて一瞬だけ手を下ろした。)

あ、うんうん!そういう感じの!
あのね、胸元にリボンとかあるやつだとトリクシーくんかわいい感じのも似合いそうだからいいと思うし
それで薄手の羽織ものとか着たら、日焼けとかしないと思うんだ。
えっと白い肌だから焼けちゃうと痛いよね?

(楓のほうに目を向けるとほぅっとため息を吐いて)

あ、はい……楓先輩は大人っぽいから大人っぽいのがいいかなって。本当すごくよくお似合いです……。
今の水着って、腰巻き?が付いてるんですね。スカートみたいで可愛いです。
それで、胸元にお花みたいのあったら、いいかなって……

(思わず胸元の辺りに視線を彷徨わせ、慌ててまた顔を覆った。) 

神宮司ちはや > あっ……、こ、こんにちは……。

(人見知りをとっさに発揮してぎくしゃくと加賀背に会釈する。
 ビアトリクスへ知り合い?という視線を投げかけた。)

正親町三条楓 > ふっと少年――加賀背のほうを見る。
その感覚をなんと言ったらいいか。

……何人もの少年を文字通り食い物にしてきた楓だから分かるのか。
その姿を、一瞬肉食獣のような眼光で見る。
何かに反応したのかどうかは、本人にすら分からない。

だが、一瞬でその眼光を消すと。
ふっと笑いながら、こちらも会釈する。

日恵野ビアトリクス > ちはやの更なる提案に、なるほど、と頷き白いレースの羽織物を手に取る。
楓のものも含め、なかなかいい見立てだと素直に感心した。
「ありがとう、ちはや。少しは自信を持って海に行けそうだ」
にっこりと、偽りのない笑みを浮かべてみせる。
なんてったってちはやが選んでくれたものだから。
それと同時に、
(こいつ……むっつりだな……)
とは思ったが口には出さない。

試着していこうかな、と思いかけたが
ここでちはやの目の前で二人で水着を着ようものなら
鼻血を出されてもおかしくない。やめたほうがいいだろう。多分。


「おや」

雄が現れる。こんなところで出会うとは。
ちはやの視線に頷き返した。

「夏が近いからね。きみも水着かな」
軽く手を挙げて挨拶。

正親町三条楓 > 「ふふ、じゃあ私もこれにしましょうか」

にっこり笑って水着を手に取る。
ちはやの助言で選んだものだし、デザインもなかなかいい。
出来れば試着したいところだが……ちはやには刺激が強すぎるだろうか。

サイズは問題ない事を確認する。
病院で計ったばかりだ、問題ないだろう。

加賀背 雄 > 加賀背 雄と言います。 よろしくお願いします。
(学生服を着ている相手なら、比較的身構えする必要もない。
 人見知りそうな男子生徒と、女子生徒にきちんと頭を下げてご挨拶。
 彼女の視線が一瞬剣呑なもののように見えたけれど、気のせいなのだろうか。
 きっと気のせいだ。気のせい。)

うん、買い物。 ビアトリクスさんたちもそうだよね。
(質問に頷いて、紙袋を少しだけ掲げてみせる。
 買い物をしましたという事実なら、これだけできっと十分だ。)

神宮司ちはや > ふ、二人共それでいいの?お洋服、試着したりしなくて……
あ、ぼく見ないから!ちゃんと、確かめたほうがよくないかな……

(二人が水着を着た姿なんかここで見たら熱が出てしまいそうだし
 自分は絶対に見ないようにすれば二人も気兼ねがないかなとか思っての発言である。
 特に二人がそれで良ければ何も言わないが自信がないのかおろおろと品物を見ている。)

あ、えっと神宮司ちはやです。よろしく、お願いします。

(頭を下げられればもう一度深々と返す。
 掲げられた紙袋を見て、そうか皆ちゃんとよういするものなんだなぁと改めて自分の不用意さを思い知らされた。)

日恵野ビアトリクス > あれほど憂鬱だった水着選びだが、
ちはやに選んでもらった今は鼻歌でも歌い出したい気分だ。
ひとに着るものを選んでもらうというのはなかなかいいものである。

「…………」
ふむ、と口元に手を当てて考える。
サイズに関して問題ないことは確認したが、ちはやの言うことも一理ある。
着てみて実は似合わなかった、ということが後から判明しても悲惨だ。
「なら、試着していこうかな。……あ、別に見てもいいよ」
クールに言って、購入予定物を放り込んだ籠を手に、試着室へと向かう。
そこまで言われたらやるしかない。

正親町三条楓 > 「――そうですねぇ、私も試着しましょうか」

うん、と頷き。
そっとちはやの手を取る。

「ちはや君が選んでくれたものですから――もちろん、感想を聞かせてくださいね♪」

ここらへんは容赦なく行く。
そもそも、どうせイベントで皆に見られるのだ。
先に見せたところで問題ない。

加賀背 雄 > (ビアトリクスを見て、それから女生徒を見て、最後にちはやを見る。
 なるほど、と無言で何度も頷いた。 つまり……)

ちはや君も大変だね…。
(前門の虎後門の狼というやつなのだが、本人は全く気づいていないのだ。
 ちょっとかわいそうだし、放っておくのもなんだろうし。
 思わずそんな感じの言葉が溢れる。)

神宮司ちはや > え、感想?!!ええっ?!!

(見てもいいよとか手を握られたりなんかされれば
 ひゃあああと飛び上がる。必死で首を横に振ったがそうこうしているうちに二人は試着室へ入っていった。

 居心地悪げにその場で足元を見つめたり、落ち着きなさ気に指を組んだり……
 加賀背の言葉には心底困ったような弱ったような微妙な顔で)

大変、なのかなぁ……
でもぼく、こんなに人と一緒に過ごしたの初めてだからちょっとだけ大変でも嬉しいよ。

(はにかんだような顔でそう言った)

日恵野ビアトリクス > 楓も試着室に向かうのを横目に。
(早くも対決することになったか……)
水着ショップに重い足を運んだのは楓の存在も理由として大きかった。
まあ、遅かれ早かれ、である。
カーテンを閉める。衣擦れの音。落ちるブレザー。

ほどなくして、カーテンが開かれる。
ちはやに選んでもらった柄のワンピースタイプの水着に、
レースの羽織ものをしたビアトリクスが現れた。
揺れる金の長髪に、覗く細く白い腕や脚。
その姿は、色気こそ薄いが可憐な少女そのものだ。

「どうかな」

髪をなでつけて、軽くポーズなんか取ってみたり。

正親町三条楓 > これならばこちらの舞台。勝利は堅い。
試着室の中で、しゅると制服と下着を脱ぎ、水着をつける。
うん、サイズはぴったり。
あの痣も消したし、ばっちり。
パレオをつけ、着心地を確かめると、ゆっくり試着室のカーテンを開ける。

「どうですかぁ?」

神宮司ちはや > ふあああああ……ふええええええ……

(現れた二人のモデルに指の隙間からちらちらと眺めていたものの、
 一定の所でくるっと後ろを向いてうずくまる。)

とととととトリクシーくんも楓先輩もどっちもすっごくすっごくすっごく……よく似合っているとおも、思いまっす!

(うにゃあとかうぐぅとかよくわからない声をあげてブルブル震えている。
 あまりに刺激が強すぎた。怖い、ここは色欲のるつぼ……)

加賀背 雄 > なるほど……
(先に試着室から出てきたのはビアトリクスだ。 細い肢体にワンピースよく合っている。
 髪も相まって、妖精とでも表現できそうな、儚さと可愛らしさが同居している。)

こっちも…おおー……
(パレオ姿の女生徒は、自分のスタイルに自信があるのだろう。
 大きな胸と腰のラインを見せつけるような水着にパレオ。
 女らしさをばっちり活かした姿と言えるだろう。 だけど…)

あの、ふたりとも……。 色気勝負もいいですけど、
ちはや君がオーバーヒートしかけてますけど。
(当の裁定者の心が限界を超えて、チワワもかくやといった勢いで震えている。
 ちはや君の背中を撫でて上げながら、勝負する二人を宥めようとして。)

日恵野ビアトリクス > 大人っぽいビキニがよく似合う楓の姿に息を呑む。
やはり強敵だ。しかしこちらも今のベストを尽くさねばならない……

「似合う? ありがとう!
 おいおい、今そんなに恥ずかしがってたら
 本番で大変なことになるんじゃないか?
 今、耐性をつけておいたほうがいいと思うけどね」
ごきげんな太陽のように、しかし意地悪く笑い、
ちはやに近づいてこちらを向かせようとする。

「……」
雄の言葉に、ん? と首を傾げる。固い笑顔。
“部外者は黙ってな”――そんな念が届いたかもしれない。

正親町三条楓 > これは油断したか。思ったより強敵だ。
男だと思っていたのに、その肢体は細く艶かしく、それでいて清楚なワンピースがよく似合っている。

「ふふ、ありがとうございます。
でも、そんな事じゃ、海開きの時倒れちゃいますよぉ?」

にこにこしながらちはやに近づく。
そして加賀背に顔を向けると。

"余計な事言うとどうなるか分かっていますよねぇ?"

とでも言いたげに、凄みのある笑みを浮かべ彼を見つめる。

神宮司ちはや > (にじり寄ってくる二人に怯え、代わりに加賀背を盾にした。
 後ろから泣き出さんばかりの声で二人に呼びかける)

あのあのあのあの、ぼぼぼぼくそのお衣装で結構ですから!!!
あの、次!次!ぼくの水着探してくださるって約束でしたよね?!
ごごごごめんなさい!ごめんなさい!許してぇ……

(必死に加賀背の背中のシャツを握りしめて懇願する)

加賀背 雄 > ひいっ!? あ、あのっ…あの、ほら、ええと…その…!
(いつもならクールで済むビアトリクスの眼は、クールではなくなっていた。
 冷徹…言うなれば、氷のような、突き刺さる視線。
 慌てて目をそらす。女子生徒の方からぶつけられる視線は、
 凄みのあるもの…炎のような、ひとを焼きつくしかねない視線だ。
 炎と氷が等しく混ざり合うことで爆発的な威力をもたらす魔法がなかったか…
 魔術に詳しくない自分でも何かを思い出しそうになる。 もちろん現実逃避だ。
 今すぐ尻尾を巻いてキャンキャン鳴いてお腹を見せたい。
 それくらいのプレッシャーの中、ぎゅっと自分のシャツを握る手の感覚に我に返る。)

あの、あのっ、二人共! その水着、僕はすごくいいと思うんです!
ほら、ちはや君もそう言ってるし、それに……ちはや君は、”二人に”水着選んで欲しいんだよね?
どんな水着が似合うんだろうなー。 普通のトランクスみたいなヤツでもいいんじゃないかな!
(とにかく今はこの争いを収めなければ。 そのためのカードは1枚しかない。
 ちはや君の方を振り返って、二人に聞こえるように言葉を放つ。
 面白みもないトランクスを例に上げるのは、もちろんわざとだ。)

日恵野ビアトリクス > 「…………悪かった、悪かった」
肩をすくめる。
確かに、これ以上無理をさせてちはやに精神的外傷を負わせるわけにもいかない。
今日のところはここまでだ。
楓に目配せをひとつして、試着室に戻る。
再び衣擦れの音。しばらくして、元のブレザー姿のビアトリクスが現れる。
手にした買い物カゴに先ほどの水着。

「じゃ、あらためてちはやの水着を探そうか」
ちはやの手を引いて、男性用コーナーに向かおうとする。
まさか自分のように女性ものの水着に興味があるわけでもないだろう。
さてどんなものがいいか……

正親町三条楓 > 「――ふふ、ちょっと刺激的すぎましたかねぇ」

目配せを受けると、ひとつ頷き。
試着室に戻り、しばらくすると制服を着て出てくる。

「んー、ちはや君の水着ですかぁ」

男物を選ぶ。しかもちはやの。
さて、どんなのがいいか……

神宮司ちはや > (二人が元の制服姿に戻るとやっと加賀背の背中から出てきた。
 顔は赤らんでいるものの目元が潤んでいる。余程怖かったらしい。
 大人しくビアトリクスに手を引かれ、男性用のコーナーへ行くと)

あ、ねこ……

(肝心の下の着衣を見ずにネコミミの白半袖パーカーに目を奪われた。)

加賀背 雄 > …へ、へえ…はへ、っ……はぁ、っ、あ……っ…
(二人から立ち上るオーラがふっと消えるのを感じると全身からどっと汗が噴き出、
 同時に苦しさを思い出して思い切り息を吸い込む。 数瞬、呼吸をすることすら忘れていた。)

まあ男性用コーナーなら大丈夫だろう…。
(ビアトリクスに牽引されるちはやの後ろをついていく。
 彼女が男物に強いとは思えないし、もう一人の女生徒の方も同様だ。
 あとは適当に水着を買ってくれれば終わりのはずだ。 はずなのだが。)

んん…?
(猫耳つきの可愛いパーカーを見て、ちはやが呟く。 なんだかとても危険な予感がするッ!
 あの二人が反応してしまったら、それこそさっきと状況は同じだ!
 いや、もっと悪い…僕に意見を求めてくるかもしれないッ! 額の汗を拭う。
 まだそうと決まったわけじゃあない。 落ち着かなければ…)

日恵野ビアトリクス > 「楓先輩は彼氏の水着選んだ経験はないんですか?」
悩んでいる様子の楓に向けて、皮肉げな笑みを浮かべて。
(※これが今日初めて楓にかけた言葉)

女性物に比べればバリエーションは少ないが男性物にもいろいろある。
ごく普通のいわゆる海パン、セクシーなローライズ仕様、
冗談だろと言いたくなるワンショルダー……

「こういうのはどうかな?」

雄の心配をよそにビアトリクスが示したのは、
ボーダー柄の膝丈ぐらいのゆったりしたサーフパンツ。
かわいらしいとさえ言える、ごくごく無難なチョイスだ。

仮に自分の水着として男性物を選ぶなら、ああいうものにしようと思っていた。
セクシーなものは彼には似合わないだろう。
(いや、それはそれでぼくはうれしいが……)

「あ、かわいいね。それも似合うと思うよ」
パーカーに目を向けて。ちはやは猫が好きだなあ。頬がゆるむ。

正親町三条楓 > 「ありませんねぇ。水着を選んであげたい、と思う程の男性とは出会った事がありませんのでぇ」

だから、ちはや君がはじめてですね、と付け加える。
にっこりと笑みを向けて返した。

男物の水着は、専門外だ。
ビアトリクスの選んだ水着は彼によく似合うだろう。

「あ、それ、いいですねぇ」

素直に褒めたたえる。
ちはやはこうやって仲の良いフリをすれば嬉しがるだろうし。

「――猫耳パーカーですかぁ。
ふふ、ちはや君にぴったりですねぇ」

着ている所を想像して微笑む。
うん、きっとかわいい。食べてしまいたいくらいに。

加賀背 雄 > ヤバい……
(呻く。 古くは冷戦と呼ばれる、直接火力を用いない戦争…
 ギリギリまでハードな国家間のにらみ合いがあったという。
 今の状況はまさしくそれだ。 猫耳パーカーで話題がまとまっているが、
 意志はまったくまとまっていない。 それどころか、隙あらば頭から
 ガブリとやって食い殺さんとする気概が見える。)

ちはや君! それ、いいんじゃないかな。ビアトリクスさんの選んでくれたやつも。
パパっと買っちゃった方がいいよ。 うん。 善は急げっていうし…
(表面上はなんとなく話が落ち着いたのを見逃さない。
 この一件のイニシアチブを握るちはや君に働きかける。
 頼む、冷戦終結には君の協力が不可欠なんだ!心のなかで叫んだ。)
 

神宮司ちはや > (ちはやくんがはじめてですね、と言われればまた頬を染めた。
 当然ちはやも誰かに水着を選んでもらうなんて初めてである。
 それもおしゃれそうな二人になら当然照れもする。)

ほ、本当?これねこでかわいいよね……えへへ。

(手にとって自分に当ててみる。サイズも少し大きめだが大丈夫そうだ。
 ちょっと子供っぽいかなと思ったけれど二人のお墨付きが出たのならばきっと平気だろう。

 ビアトリクスが出した水着に首をかしげるも、身体に当ててみる。パーカーと一緒に揃えてみた。)

どうかな……似合うかな?変じゃない?子供っぽくないかな?

(ちょっとくるりと横に向いたりしてみる)

って、加賀背くんどこか調子悪い?
なんだか焦っているけど……あ、お手洗いならね向こうの通路って書いてありましたよ!

日恵野ビアトリクス > (おや、追従したか)
少し意外に思う。苦手分野では無理に争わない方針か。
ここでは自分が男性であることがプラスに働いたようだ。
いやまあ――それはどうでもいいのだ、正味なところ。
彼に似合い、彼が喜ぶチョイスなら。どちらの選んだものだって。

「それはそれは。どうやら男性運が悪かったようですね。
 ぼくも男のために水着を選ぶのは初めてですよ」
穏やかに微笑みを作る。
(仲良く……仲良く……)
呪文のように念じながら。


「うむ……うむ!」
ちはやが水着やパーカーを合わせる様子には、
ビアトリクスらしくもなく力強く頷く。

とりあえず三人の買い物はこれで決まったようだ。
「じゃ、会計済ませようか。
 ……あ、ちはやも試着していく?」
サンダルなんかを自分のカゴに追加で放り込みつつ。

正親町三条楓 > まぁ、何を思っているのかは分からないが。
「友達」を取られたくないのだろう、かわいいものだ。

――そう。
この時点で、まだ楓はビアトリクスがちはやに懸想しているなど、夢にも思っていないのである。
まぁ、女物の水着を着ていたが。
スカートを履いている子である。地方の風習か何かだろう。

「うん、かわいいですね~」

自分の籠に日焼け止めなどを入れていく。
お肌の手入れは最重要課題だ。

「――ちはや君、日焼け止めが必要じゃないですかぁ?」

ちはやの透き通るように白い肌。日焼けには弱そうだ。

加賀背 雄 > ああ、たしかに水着は着てみた方がいいかもしれないよね。
肌に跡ついちゃうの困るもんね。 それに、日焼けも。
水着の跡って中々消えないし…。 ちはや君、買っといた方がいいよ。
(ビアトリクスの言葉に、うんうん、って何度も頷く。 もう一人の女生徒の言葉にも頷く。
 どっちも悩みの種だ。 男子はあんまり気にしないかもしれないけど。)

いや、お手洗いに行きたいわけじゃなくて……うん。大丈夫大丈夫。
(二人の戦争はどうやら終息に向かいつつあるらしい。
 安堵に胸をなでおろして、ちはや君に返事。 こういう気の利くところが、
 恐ろしい狼に狙われてしまう由来なのだろう。)

神宮司ちはや > 日焼け止め……えっとどんなのがいいかわからないんですけど
日焼けしたらやっぱり痛いですよね。
ぼくもあとで買いますから、先輩のおすすめとかあったら教えて下さい。

(それから手に持った水着をもう一度確かめるように見ると試着室を確認して)

あ、うんじゃあちょっとだけ試着させてもらうね……
ごめんなさい、ちょっと待ってて。

(ぱたぱたとかけてカーテンを閉める。
 ごそごそという衣擦れの音。
 しばらくしてちらっと恥ずかしそうにカーテンの隙間から顔を出し、恐る恐ると言った具合で皆の前に出てきた。

 猫耳パーカーとボーダーのサーフパンツ。髪をゆるくアップにしてまとめてみたらしい。
 白い素肌と首元、胸元がパーカーから、桃色の膝と細い足がサーフパンツの下からチラチラ見えている。

 恥ずかしそうにもじもじと服を押さえ)

……どうかな?サイズはだいじょうぶそうなんだけど……

日恵野ビアトリクス > 「ああ、日焼け止め忘れてたな。ぼくも買っとこうかな……」

あえて言うまでもないことだが、
ビアトリクス自身では以前の二度の会話で
ちはやに想いを寄せていることはハッキリと伝えていたつもりだ。
姑息な性格ではあるが、フェアに振る舞おうとするときもある。
――伝わっていなければ意味は無いが。

ちはやの水着姿を見る。
露出した肌が視界に入って、慌てて目をそらす。咳払い。
実際に着用した姿が思ったより破壊力が高かった。

「……とてもいいよ。今から海開きが楽しみだね」
微かに、陶然とした様子で笑う。
海が楽しみ――なんて、この短い生涯で一度も口にしたことなんてなかった。

正親町三条楓 > 彼が男性である事、嫉妬深い事を理解する楓であったが、流石にちはやを愛している事までは見抜けない。
ので、まぁ、やはり友達を取られるのが嫌なかわいい子、という認識であった。
――はやめに気付かないと、大変な事になりそうだが。

「うん、似合っていますねぇ」

うっとりとして呟く。
あぁ、このまま持ち帰りたいくらいだ。

「日焼け止めですかぁ?
ん~、この会社の製品は、肌に優しいですかねぇ」

と、ひとつ棚から取り出す。
男性用のものはイマイチ分からない。

加賀背 雄 > (色んな意味でいたたまれない。 そっと視線をよそにやる。
 これってちはや君を二人が取り合っているということに気づいているのだろうか。
 怖くて聞けないし、口にだすのもはばかられるし。 傍観者に徹していきたい。)

ああ、ええと…男の人ならこれとか、これとか…。
少しメントールが入ってるから、塗るとさっぱりしますよ。ローションタイプのやつで。
(女生徒がちょっぴり苦戦しているので、助け舟。
 自分も使うからよく分かるとはいえないけれど。)

しかし…ちはや君も似合うね、そういうの。 うん、すっごく可愛いと思う。
(ぐっとガッツポーズしたくなるのをこらえる。これはこれで可愛い。グッドだ。)

日恵野ビアトリクス > やや自信なさそうな楓のチョイスを見て、自分も考えてみる。
「んー、男性は女性に比べて皮脂量や汗が多いから……
 でも、ちはやは若いからそんな変わらないかな?」
それよりも肌がかぶれたら大変だ。ちはやはあまり丈夫ではないだろうし。
「これとかどうかな」
比較的肌に優しいものをチョイスし、棚から取り出して見せる。
実は子供向け商品だ。

正親町三条楓 > 楓は顎に手を当て考える。
先程からこの少年の言動――

『男の人【なら】』
なんでならなのだ。自分も男だろう。

『水着の跡ってなかなか消えない』
男がなんで体験するのか。腰の跡?

『肌に跡がつくのは困る』
いや、腰の跡は普通ズボンで隠れる。

正親町三条楓は考える。
この少年、どこかで見た事はないか……?

神宮司ちはや > よ、良かった……変とか言われたらどうしようかと思ったけどそれならこれにしますね。

(ささっと試着室に戻ると、制服に着替え直し手にお墨付きをもらえた水着を持っていく。

 皆であの日焼け止めはどうだとかこの日焼け止めはどうだとかしているのを横目に眺める。
 本当にたくさんの種類があってどれを選べばいいのかわからない。
 なんとなくはっきりした口調の加賀背に、感心したように)

加賀背さん、お詳しいんですね!すごいなぁ、きっと女の子のお友だちがいたら頼られそうですね。

(それぞれが選び出した日焼け止めのテスターを腕にそれぞで少しだけ塗ってみる。
 んん?と首をかしげるもどれもあまり実感がわかない。
 スースーするのやばっちり日焼けが出来そうなのとか、肌に優しそうなのとか……
 うーん……と悩んだ末にビアトリクスのものに決めたようだ。
 子供向けとはつゆ知らず)

スースーするのはちょっと刺激が強かったから、これにしてみます。

(初めて買った日焼け止めなるものを大事そうにかごに入れると微笑んだ。
 たぶんこれで海開きの準備はバッチリだぞという笑顔。)

加賀背 雄 > え? あ、ああ……うん。 ちょっとだけ使ったりするから…。
(日焼け跡をわざとつけるために使ったりする、なんて言えない。
 ちはや君の言葉に、なんとなく照れくさくなって頬を赤らめる。
 とりあえず買い物が決まったのを見ると、よかった、と表情をほころばせた。)

これで買い物は終わり、かな? それにしても、ビアトリクスさんって
結構笑ったりするんですね。 ちょっと新鮮かも。
(部室の時のクールな様子しか知らない自分にとっては、
 彼女の笑顔というのはびっくりするものだ。)

あの、どうかしました…? 買い物忘れとかですか?
(何かを考えこむ彼女に声をかける。 大丈夫かな、と少しだけ心配げな表情。)

正親町三条楓 > 「――申し遅れました。式典委員の正親町三条楓です」

にっこり笑って挨拶。
……考えすぎかもしれないが。
一応、探ってみてもいいかもしれない。

「ところであなたは、どんな水着を買ったんですかぁ?」

ちょっとカマをかけてみよう。

「そうですね、実際使ってみて自分に合ったのを選ぶのが一番ですよぉ」

ちはやの言には微笑んで頷く。

日恵野ビアトリクス > 「そうかそうか。いいんじゃない?」
些細な話だが日焼け止めでも自分が選んだものを採用してもらえるとちょっとうれしい。
子供用製品だと知ったら機嫌を損ねられてしまうかもしれないが……

雄の選んだ日焼け止めが少し気になって、自分もテスターを使ってみる。
「あ、これいいな。ぼくはこれにしてみよう」
どうやら気に入ったらしく、その日焼け止めを買い物かごに放り込んだ。
今度こそ買うものは決まった。揃ってレジに向かうだろうか。

雄の言葉にはまゆをひそめる。
「失敬な。ぼくだって愉快なことがあれば笑うさ」
好きな人と買い物をしているわけだしね、とまでは言わない。

神宮司ちはや > あ、そういえば加賀背さんも買ったんですよね。
どんなのだろう……?

(特に悪気なく単純な好奇心で楓の言葉に追従する。
 自分のかごをレジに持って行って支払いを済ませる。

 買った品物の入った紙袋を大事そうに受け取ると、嬉しそうにまた皆のところへ戻ってきた。)

加賀背 雄 > あ、いや、その…そういう意味じゃなかったんです、すみません。
ただ、笑ってるところ…素敵だなって思って。
(美術室の時のミステリアスな様子と違って、とっても女の子らしい笑顔。
 魅力的なそれがよかったのだ、と彼女に他意が無いことを示そうとする。)

お、おおぎまちさんじょう…かえで、さん。
かえでさんってお呼びしてもよろしいでしょうか。
(すごく仰々しい苗字だ。かっこいい。 それに立ち姿も凛々しい。
 にこにこと浮かべていた笑顔も、彼女の問いかけでぴたりと固まる。)

普通の…ええと、普通のトランクス的なヤツですよ。
その、別に変なものを買ったわけでもないし、ここで売ってたやつで…。
(質問を受けて視線が揺らぐ。 紙袋の中には、何かが見えてしまいそうな
 ビキニや、耐水ウィッグがあるだなんて言えない。
 嬉しそうに戻ってくるちはやくんを見て、すごくあいまいな笑みを浮かべた。)

正親町三条楓 > 「はい、楓で結構ですよ」

彼に言いながら観察する。
あきらかに目が泳いでいる。
それに、あの袋――

「――トランクスだけにしては、随分と袋が大きいですねぇ」

くすくすと笑う。
どうやらあたりのようだ。

――となると、彼を見たのは。