2015/09/09 のログ
猫谷凛 > 「そ、そうなんですかにゃ♪」

やはり暴走していたか…そう思いながらギーを落ち着かせようと撫でる
なぜか今日は落ち着かない様だ

「ギ、ギーちゃん……その前に、貴方何なのにゃ?」

ギーの異様な反応
そのせいで警戒心が高まる
相手が何者なのか……いざと言う時の為に常備したカバンの中の本に手が伸びる

ミウ > 目撃者である彼女には一応言っておこう。
「この件は、特に何も起きずに平和に終わった事よ。
 彼は暴走しかけていたけれど、他者の関与があったとは言え、事件に発展する前にちゃんと抑える事が出来たわ。
 後は、彼が異能の制御できるかになるかしら」
変に大騒ぎする事でもないという事を伝える。
最も、彼はこれからちゃんと異能を制御する必要が出てくるだろうけれど。
彼がもし、また異能を暴走させるような事があったら、まあ事件になるだろうけど。

自己紹介がまだだった。
「わたしは神よ。
 名前は、ミウというわ」
優雅に微笑みつつ、自己紹介。
撮影をしていた彼女が何者かは分からないが、素性はさらしておく。
そして、さらりと神と名乗る。
「あなたは?」
そして、彼女にもそれを求めた。

猫谷凛 > 「…何も起きずに、じゃないにゃ。
それに…暴走しかけたというより完全に暴走してたにゃ?
貴方が居なかったら今ごろ…」

少し嫌そうな顔をする
少女の言葉をまとめればつまり騒ぐなという事だろう

「私は…凛にゃ。」

警戒が拭えないので名前だけ答える
神と言うのがまた胡散臭さを加速させる

「ところで…神様が何でこんな所に居るのにゃ?展開とか天国に居るんじゃないのかにゃ?」

ギーを不安を紛らわすようにぎゅっと抱きしめながら尋ねる

ミウ > 確かに、暴走していた。
暴走しかけていた、というのは正直、甘い表現である。
嫌そうな顔をする少女。
どうやらお気に目さなかったようだ。
「先程は男が奇声を上げてはいたけれど、今は至って平穏な商店街よ。
 それを濁すような事はないようにと、わたしは考えてみたけれど、
 まあいいわ。
 実際に、誰かがなんとかしなかったら想像もしたくない事が起きていたのは事実ね。
 この場で見た事をどうするかは、あなたに一任するわね」
品のある笑顔で、そう提案する。
考え方は人それぞれあって、別に『何か起きていた』と彼女が考えるなら、それでもいいだろう。
ばっさり言ってしまえば、暴走しかけていた男を庇う義理は、ミウにはない。

「凛ちゃんね。
 よろしく」
自己紹介にも笑顔で対応する。

「わたしも常世学園に通う生徒の一人である以上、ここにいても不思議はないでしょう。
 少し、この商店街の人々を見るついでに、本屋で小説を買うつもりだったのよ。
 住居は、ちゃんと天界にあるわよ。
 雲の上に存在する世界ね」
そう言って、人差し指を天へと向ける。
 

猫谷凛 > 「そうかにゃ…」

何だか偉そう…と思いながら答える
正直力に物を言わされたらどうしようもないのでそれ以上は何も反論はない

「神で生徒で…」

上を見上げれがあるのは空だけ
何を言っているんだろうと思いながら一先ず警戒を解く
笑顔での対応に少し安心する

「あ、そうにゃ。神様だったらこれ知ってるにゃ?」

そう言って鞄から本を取り出す
神という事は信用していないがその力と知識は尋常ではないと思い尋ねる
禁書庫から持ち出した本

神ならば気づくだろうその本の表紙が人の皮膚でできた事
異常なまでの魔を本自体が有していることを

ミウ > 凛ちゃんからは、ひとまず反論はないようだ。
どうするかは彼女に任せた以上、ミウも口出しする事は特にない。

「常世学園だものね。
 神である生徒ぐらいいるわ」
空を仰ぐ凛ちゃん。
天界は残念ながら、上空高くに存在し、雲などで遮られて実際に見る事はできない。
だが、そこには実際に天界が存在していた。
輝かしく、美しい世界が──。

知ってるにゃ、と質問されて、きょとんと首を傾げる。
「何かしら?」
凛ちゃんが取り出したのは、一冊の本である。
なんだろう……この本。
異様な魔の力を感じ取る事ができる。

とりあえず神の目、千里眼で見てみよう……。
すると、とんでもない事が明らかになる。
……この表紙、人の皮膚で出来ている。
「この本……どこで手にしたのかしら?
 いえ、質問するまでもないわね」
こんな本を手にする場所など、十中八九、禁書庫だ。
他の場所である可能性はもちろんあるが、禁書庫である可能性が高い。
「表紙が人の皮膚。
 そして、異様なまでの魔の力を感じ取る事ができるわね」
そう率直に答えた。

猫谷凛 > 「……神はないにゃぁ…」

流石に神はない、そんな思いでいっぱいの様で
疑いの視線

「ちょ、ちょーっと拾ったのにゃ♪
……って、皮膚!?」

落としそうになるがぐっとこらえる
もともと禁書庫にあり異様な力を持つの本
材料が普通なのもおかしいというもの…そういうもの

「そ、そうなのにゃ…うへぇ……」

ごそごそと鞄にしまう
今までベタベタと触っていた自分が恨めしい

ミウ > 神はいない。
神ではない。
そう疑いの目を向けられてしまう。
「わたしが神ではないと思うのね。
 あなたが疑おうが、そうでなかろうが、わたしが神である事は事実よ」
そう告げる。
神を信じないという人は少なくないだろう。
だけど神はどこまでも現実的に、ここにいる。
それだけを伝える。

「……ちょっと拾った、という程度の物には見えないわよ」
少々呆れた声で言う。
「どう考えても異常なものだものね」
ちょっとで拾えたら、逆に恐ろしい。
ただ、禁書庫にはこれぐらいの本があっても、納得がいく。
どんな本があっても驚けない場所なだけに。

鞄にしまう様子を見て、
「中身は、確認してみたの?」
首をやや傾げて、そう問うてみる。

猫谷凛 > 「そ、そうですかにゃ…」

恐らく精神病と断定する
偶に居る自分は特別!
と思うかなり上位版だと。天界とやらを
実際に見せられれば納得するのだろうが

「うーん……何と言うか、床にこれだけ落ちてたのにゃ。
それでちょっと可哀想だから拾ったのにゃぁ…
あ、あと中は漢字でいっぱいだったけどこの前おお願いしたら
日本語になってスラスラ読める様になったにゃ♪」

誤魔化しは何となく聞かない気がする
そう思い正直に話す
禁書庫にに落ちていた本を失敬し
時計塔で土下座したら何故か中の文字が読めるようになったと
そして最後に…帽子に擬態していたギーを呼び出したと

ミウ > なんだか、結構引かれている……。
普通に『頭おかしい子』だとか思われてそうだ。
天界の存在については、聞かれれば実際に見せようとするだろう。

「床とは、禁書庫の床ね?」
それ以外の床なら、結構恐ろしい。
「危ない事に、本棚にしまい忘れたのかしら……」
本が勝手に動いたという事もありえる。
「可哀想だから人ったって、まるで物に意思でもあるかのようね」
これもまた、禁書に限って言えばありえない話ではない。
「その本は、自分の読める字に、変換する機能が搭載されているのね」
誰にでも読める本、という事になる。
そして、ギーという帽子に擬態したものを呼び出したらしい。

「不思議な帽子は、その本から呼び出されたのね」
なんだか、さっきから帽子に警戒されているように見える。
何者だ、この帽子。
ミウは帽子へと視線を移す。
「あなたがギー君ね。
 それとも、ギーちゃんなのかしら?」
君かちゃん、性別を聞いている。
こちらからはあくまで威嚇されまいと、柔らかい笑顔で接しようと試みる。

猫谷凛 > 完全にイッてる子と思いながら

「まぁ……そうにゃ」

ばつの悪そうに頷く
禁書庫からの持ち出し…褒められたことではない

「そうにゃ、この子がギーちゃんにゃ♪
始めはびっくりしたけど結構可愛いにゃ♪」

性別は知らないにゃ、と抱いたままのギーを見せる
ギーの方はとまるで怖がるように細い触手をワサワサ動かしている
よく見ればミウの神聖を嫌がっているのが分かるかもしれないが、
ただの変な事思っているミウは何でこんなにミウを嫌がるのかよく分からない様子

ミウ > 神である事が事実とは言え、実際にそう名乗る以上、頭おかしい子と思われるのは、避けられぬ道だろう。
特に『神である証明をしてほしい』とも言われてないので、『頭おかしい子』と思われている可能性がある事を受け入れる事にして話を進める。

ばつが悪そうに頷く凛ちゃんを見て、少し『しまった』といった心情になる。
わざわざ伏せて話をしていたのに、こちらから『禁書庫』という言葉を出してしまった事についてだ。
そこは伏せながら話を進めた方が、彼女にとっては都合がよかったのかもしれない、と反省。

「帽子とは言え、懐くと可愛く見えてくるものなのね。
 さしずめ、ペットのようなものかしら?
 わたしはちょっと、嫌われているみたいだわ、残念」
と、苦笑。
異常な魔の力がある本から呼び出された帽子。
ミウを嫌っている理由は、そこにあるのではないか、とか想像はしてみたりする。
「触手を動かしているけれど、この子は、元の姿とかあったりするの?」
そう質問してみる。

猫谷凛 > 悪い事は悪い事なので仕方ない
いつまでもいじけているわけでもなく
思考を切り替え

「そうにゃ。なんか可愛かったから飼う事にしたのにゃ♪」

可愛いと言われれば喜び嫌われていると言えば何でかと頭を悩ます
好き嫌いでもあるのかなと思いながら

「元はなんだかイソギンチャクみたいで…ギーちゃん、もういいにゃよ♪」

そう言うとギーは帽子に擬態するのをやめる
帽子の葉面がいくつにも別れ色は黒くヌラヌラとした艶のある色
鉛筆ほどの太さの触手がいくつも絡まった様な塊
まさしく異形と言われる姿に戻る…だがサイズはそこまで変わらす
抱きかかえられたままだ

ミウ > 帽子には触手がある事を考えると、嫌いな人はとことん嫌いそう。
絶対に被りたくない、という人がいてもおかしくはない。
そんな中で、可愛いから飼う、という彼女は結構大物なんじゃないかな。
それも、魔導書から出てきた生物を……だ。
「話を聞く限り、可愛いから飼う……という出会い方には思えないけれど、
 飼う本人が可愛がって育てれるなら、それもいいかもしれないわ。
 謎の生物なので、不意の事態とか、その他諸々に注意をして、何らかの緊急事態に備えておく、ぐらいかしらね」
謎の生物けれど、何かしでかす……とは、実際考えたくはないものである。
実際、飼い主に従って大人しくしているので、基本良い子なのだろう。

「なるほど……イソギンチャクなのね」
触手がある理由を一発で納得する。
凛ちゃんの指示により、帽子はイソギンチャクの姿になる。
さすがにその瞬間は、声に出さずともびっくりしてしまう。
一言で言えば、帽子サイズの異形。
「それがその子の真の姿ね。
 見方によれば、愛着が出そう……と解釈できなくもない姿ね」
それは遠回しに、普通なら愛着沸かないかも、と言っているようなものだが……。
「魔導書から飛び出ただけに、とてもユニークだわ」

猫谷凛 > 「そこはちゃんと私のいう事を聞くから安心にゃ♪
素直でいう事もちゃんと聞くとってもいい子なのにゃぁ♪」

確かに傍から見れ場不気味極まりない
だが自分のいう事を理解し全て菊となれば話は変わってくる
大物と言うより現金な奴と言った方が正しいかもしれない

「イソギンチャクだからギー、とってもいい名前にゃ♪」

愛着が出そうと言われ喜ぶ
ペットを褒められればやはり嬉しい物
上機嫌にまたあまたの上に乗せると帽子の形に丸まり擬態する
黒一色の大きなベレー帽
そんな風に見える

「さて…色々聞かせてくれてありがとうにゃミウちゃん♪
怖い人じゃないって事は何となく分かったからよろしくにゃ♪」

そう言って鞄を持ち直す

ミウ > 「そうなのね。
 飼い主がである凛ちゃんが、ちゃんと言う事を聞く、と言うなら一安心かしらね。
 あなたの言う事ならちゃんと聞く良い子である事は、わたしから見てもよく伝わったわ。
 あなたが本から呼び出したから、なのかしら」
実際は、飼い主の言葉だけで安心と決めるのは早計かもしれない。
話を聞く限りは、凛ちゃんも魔導書についてはよく分かっていない事だろう。

「なるほどね。
 ギーちゃんというのは、イソギンチャクからとった名前なのね。
 『ギ』以外の言葉が、見事に採用されていないわ」
だから、言われるまで全く気付かなかった。
だが由来を聞かされると、首を縦に振って納得する。

凛ちゃんは、イソギンチャクのギーちゃんを頭に乗せると、再び帽子へと擬態する。
黒色のベレー帽だ。

「こちらこそ、よろしくね。
 とても楽しい話ができて、良い時間を過ごせたわ」
鞄を持ち直す凛ちゃんに、優雅にそう返した。

猫谷凛 > 「そうかもにゃぁ?まぁ何でもいいにゃ♪」

呼び出し主の命令に従う
それはまるで召喚者の様

「シンプルイズベスト、無駄な物は徹底的に省いたニャ♪」

省きすぎて本体も削っている感じがするが
当の本人はとても満足そう

「ありがとうにゃミウちゃん。またどこかで会ったらお話ししようにゃ♪」

そう言って小走りで帰っていく
買い物なんてともかくかえって新しいニュースを仕上げねば

ご案内:「商店街」から猫谷凛さんが去りました。
ミウ > 「魔導書の能力は、結構重要なものだと思うのよ……。
 まあ……いいわ」
何でもいいにゃ、という凛ちゃんに言う。
本当に、召喚者の命令に従うのなら、安全なものなのだろう。
ただ、仮にミウが呼び出した立場ならば、素直に従うような生物にも見えない……。

「省き過ぎて、もはや一文字しか残っていないわね。
 シンプル……なのかしら」
シンプルという言葉に違和感。
もっとシンプルにするなら、安直に『イソギン』とか『ギンチャク』とかあると思う。
最も、そこは飼い主が満足しているなら、良い事かな。

「わたしの方こそ感謝するわ、凛ちゃん。
 またどこかでお話しましょう」
走り去って行く凛ちゃんに手を振って、見送る。


さてと。
聖なる鎖で縛られている男もそろそろ正気に戻っているだろうし、
解放しておこう。
千里眼で視認している男を縛っている鎖は、ミウの意思により跡形もなく消滅した。
自由になった男は、何が起きたか疑問に思いながら、その場を去っていくのだった。
今後、異能が暴走する事があるかどうかは、彼次第……。

そして、ミウはたいやきを置いているベンチへと歩いて戻る。
当然だが、たいやきは冷めており、がっかりな思いをしてしまう。
「仕方がないわね……」
それでも食べれない事はない。
いや、せっかくだから異能を使って温めてしまおう。
ミウは紙袋の中に、熱を創造し、たいやきを暖める。
しばらくすると、先程の食いかけを取り出して、口へと運ぶ。
「とても、おいしいわ」
そう可愛らしく感想を述べ、
そのまま、本屋へと向かうのだった。

ご案内:「商店街」からミウさんが去りました。
ご案内:「商店街」に『ハンター』さんが現れました。
『ハンター』 > 商店街のある建物の屋上に、そいつはいた。
七英霊の一人『ハンター』。
『ハンター』は、商店街の人々を見て笑う。

「ひゃーきゃっはっはっはっは!
 良い感じに、人が集まってんなぁ、ここは!!」
『ハンター』の右手には弓。
異次元の扉が開き、そこから剣が現れる。

「さぁて、早速狩るかぁ!」
剣を矢の代わりにし、弓を引く。
ターゲットは弱い奴が良い。
そうだ、弱ぇ女にしよう。
狙いを、商店街の客の一人である女に定める。

そして、弓から剣が発射された。

剣は一般人の女に、一直線に向かっていく。

ご案内:「商店街」に光ヶ丘睦美さんが現れました。
『ハンター』 > 『ハンター』は、基本的に弱い奴しか狙わない。
『ハンター』の目的は、射殺数記録を更新する事にあるからだ。
無理して強い奴を狙う必要などない。

だからか弱い女を狙う。
子供なら、尚良い。

島には、女や子供でも強い奴がいるようだ。
しかし、男を狙うにしてもそれは同じ事。
やっぱり、女を狙う方がリスク軽減を狙える。

ご案内:「商店街」に蒼穹さんが現れました。
光ヶ丘睦美 > 「普通に考えてみて、自分が料理作るからって材料を同居人に買わせに行くものなのかな、
でもこうして私が買いに来てるということはちゃんと感謝されてる、ってことだし」
今日の献立は聞いたところではホワイトシチュー。
こんな時間から煮込んでどうするのかと思うけど、当人は煮こむ過程が楽しいみたいなので、
多分今日作る料理の献立ではあるけど、
今晩食べる料理ではないらしく。

通りすがった八百屋の店先、手頃な値段と手頃な大きさの人参を二つ三つ掴んで、
ポケットの中のエコバックを確認してから。
奥の店番の学生さんに向かって、
「とりあえず、この人参くださーい」
そう声を上げた少女の首筋へ向けて、一条の銀光が音もなく近づいた。

『ハンター』 > 剣は、ポニーテールの少女へと迫る!!
弓を構えたままの『ハンター』は建物の屋上から、ニタァと口を歪ませてその様子を見ていた。
これでまず、記録を一つ更新だなぁ。
やっぱり弱ぇ奴を狙うのが、効率がいい。
「この島の弱ぇ奴を狩りつくしてやるよおおお!!
 ひゃーきゃっはっはっは!!」
それが狩人の生き甲斐だ!

見事、剣は命中するかどうか。
何者かの助けがこなければ、あるいはポニーテールの少女が回避動作などを行わなければ、命中してしまう事だろう。

蒼穹 > (外がうるさい。…正確には、己から斜め上当たりの、近くの建物と、その周辺がうるさい。
外が喧騒に包まれる最中、己は本屋でジョークブックを立ち読みしていた。)

…ん?…あ、ああー…あほらし。

(外を一瞥すれば、キラリと刃物の煌めきが見えた。
動体視力は人間のものでないので、それが何処に向かっているかも分かる。
ついでにいえば、その発射源も―――それは、角度的に見えなかったが。
買い物客だろうか?一般人の少女めがけて飛翔した。
このままクリーンヒットしてしまえば…ああ、バカらしい。なんて甘ちゃんなんだろうか。
別に人助けなど柄ではない。柄ではないが…まぁいいか。
正義の味方のフリもたまには悪くない。たまには。

面倒事のようだが、この辺で手柄をあげるのも悪くあるまい。…何気風紀委員故に。
周囲の安全確認…うん、大丈夫。
たぶん往来に人はいない。これなら誰も巻き込まないだろう。)

破壊…轢殺っ!

(本屋の中で破壊魔法「轢殺の剣」をぶっ放した。
こっから向こうの八百屋には、きっと声は届かないだろうと、そう判断したが故に。
八百屋に買い物に来ていた少女の首を掠めんとする銀の煌めきに、
一条の真っ黒な閃光が遮る。
一瞬にして伸びた剣は破壊という属性を背負い、
本屋の窓を突き破って、首を射止めんとした剣を阻むような、そんな機動を辿り、一直線に伸びた。)

光ヶ丘睦美 > 長いポニーテールが、交差する銀と黒の刃の前でふわりと揺れる。

窓ガラスをひっかきながら割り砕くような、聞くに堪えない音が少女の耳元で突然発生した。
「あとはー、たしかキャベツが必要なんじゃなかったっけ。
メモがないけど……いっ!?痛……っ、何!?」
まともにその音を受けた耳を押さえながら振り向けば、

……誰もいない。
「お、遅れてきた怪奇現象、とか…?」
一撫でで少女を何度か殺しきるような破壊行為の応酬は、
どちらも行為者はその視界の外。
不安げに左右を見回してみるものの、その異能を持ってしても彼女を害しようとしているような欲求は見当たらない。
キィんと未だに耳鳴りのさなかの聴覚は、屋上からの笑い声を認識して対処するほどに回復できていない。

「えーっと、じゃあ音を飛ばす異能でイタズラ、とか…?
それで結局どこなんですか!?
みーちゃん!?樫切くん!?全然怒ってませんよ―!?」
もしかすると、危ないことなんて無かったんじゃないか、なんて。
すくみあがっていた体をゆっくりと緩和していくほど、
兎にも角にも、全身隙だらけなまま。今度はイタズラを仕掛けた友人を探し始めた。

『ハンター』 > その時、真っ黒な閃光が突然どこからか現れる。
本当にどこからだ!!
少女の首筋に当る直前だった。
一人狩れる!!
そう心をウキウキしていた!!
ニタァとした顔で、彼女の首から血が噴き出し、そして倒れる瞬間を心待ちにしていた。

それなのにいいい!!

謎の閃光が、弓から放たれた剣を破壊したのだ。
『ハンター』は一瞬、何が起きたか分からなかった。
数秒の間、唖然としていた。
だがすぐに額に筋を浮かべる。

「邪魔すんなやあああああああああああああああああああ!!!」

そう大声で叫んだ。

「誰だ!
 俺の狩りを邪魔する奴はぁ!!
 どこのどいつだぁ!!!」

『ハンター』は異次元空間から今度は槍を取り出す。
それを矢にし、再びポニーテールの少女の頭へと放った。
槍は一直線に、睦美の頭へと飛んでいく。

光ヶ丘睦美 > 「香月くーん!?篠原さーん!?……おかしいなぁ」
声を上げて異能の覚えがある知り合いの名前を呼びながら、
商店街の人々の顔を一つ一つ見分けていく。

心臓の鼓動をゆっくりと遅めようと、
さきほどの異音が切り裂いた日常を繕おうと、
何もなかったかのような素振りの睦美の頭上から。

薄膜一枚隔てたどこかの非日常の次元の先から。
悪意と殺意で彩られた絶叫が響く。
反射的に見上げた先に、睦美をまっすぐに見つめる瞳。
「私、邪魔なんかしてない…です」
呆然とそう呟く少女の眼前へと、槍が迫る。

睦美は短く、ヒッ、と息を呑むような呼吸をした。

蒼穹 > (書店より出で来た黒い光は、剣を、飲み込む如くして遮り、破壊する。
これは、そういう魔術だ。
如何なるエネルギーも、重量も、速度も、硬度も。この破壊魔法の前ではこうなる。

襲撃された本人は…早く逃げれば良いものを。
挙動不審にきょろきょろとしている。…まぁいいか。
さっさと応援頼んで…いやもういい。自分で片づけよう面倒くさい。)

…ああ?邪魔ァ…?
(襲撃者が大声を出す。それに小さな声と、大きな魔術で答える。
書店の出入り口の自動ドアを、一瞬にして"消し飛ばす"。
これも、破壊の魔法。ガラスの欠片一つも飛ばないし、音もならない。
ただただ、エフェクトとして、黒い爆発が自動ドアを爆殺する。
何故こんなことをするのか?理由は簡単―――自動ドアが開くのを待っている時間が持ったないから。

開けた出入り口へと駆けこみ、八百屋へ伝わる路地と出た。
幸い、目視できるほど距離は近い。走ればすぐだ。
脚力もまた、人間のものではない。適当でも、走っていればすぐ彼女の方へ向かえよう。)

誰だい。私の読書の邪魔をする奴は。どこのどいつだ。
…人に名前を聞くときは、自分から名乗るべきだよ。

さて、お初に御目にかかるね、私―――。

(読んでいたジョークブックを片手に握る。
先程と違って、長さのある槍。己の頭上を掠めて向こう側―――また、睦美の方へと向かう。
だが、見える。同じ弓で、放たれた物なら。)

"通りすがりの幽霊風紀委員X"だよ。
…轢殺…ッ!

(危ない部分を切り落とせばいい。…流石にあれを線形で潰すのは困難だ。
もう一発、真っ黒な剣をぶっ放す。茶色の衣服の襲撃者が、屋上に立っているのを視界に認め、
ゆっくりと走る速度を落として向き直りながら、迎撃態勢にてどうでもいい名乗りを告げて。
ついでとばかりにどうでもいい外国のジョーク集の本を向けて、口元のヒクついた、少々不機嫌そうな笑顔。

それから、その槍の先端部と、後ろの部分を真っ二つに両断せしめんと、振りおろした。)

『ハンター』 > 狩られる対象が何か言っている。
狩りは一発目が大事だ。
それが防がれてしまったのだ。
大声で叫びたくもなってくるぜぇ!
イライラする!!
「てめぇは、大人しく俺に狩られればいいんだよおぉぉ!!
 黙って、俺に射殺されろよやああぁぁぁ!!」
睦美に向けて、また叫ぶ。

叫んでいるせいで、注目を浴びている。
狩人には一気に不利な立場になりやがったぜ。
それもこれも、俺の狩りを邪魔した閃光使いのせいだ!


さっき閃光が飛んできた建物の入り口が消し飛ぶ。
その破壊は、とても静かなものだった。
ただ黒の爆発が起こっただけだ。
奴が、俺の狩りを邪魔した奴だぁ!!
「狩ってやるよおおおおおおおおお!!」
怒りに満ちた声を上げる。

「聞いて驚くなよ……。
 俺はなぁ、七英霊の一人『ハンター』だ!」
高々に名乗りを上げる。
現れたのはまたしても少女。
狩ってやる! 狩ってやる!! 狩ってやる!!!

槍は、蒼穹によって真っ二つに切り裂かれてしまった。
だが奴の方から、出てきた。
後は、あいつを狩るだけだあああああ!!
「てめぇは俺を怒らせた……。
 俺の狩りを邪魔した事を後悔させてやるよおおおおお!!」

単なる弓攻撃は、防がれてしまうという事は理解した。
異次元空間から今度は大剣を取り出す。
「これでお前を砕いてから、射殺してやるよおおおおお!」

大剣を振り上げると建物からジャンプ!
そのまま着地と同時に、蒼穹へと大剣を振り下ろす。
「死ねっ!」

ご案内:「商店街」に平岡ユキヱさんが現れました。
光ヶ丘睦美 > 「……嘘じゃない、ですね。ホントのホントに、そう思ってる」
「『じっとしてうずくまっていてほしい』って」
叫ぶ男へと向けた視線から、睦美はいくつかの欲求を見た。
感謝なんて有り得ないその頼みごとは、とてもじゃないけど受け容れられない。
「……私が、命令されて従うと思ってるなら、大間違いですからね」

吸い込んだ呼気を巡らせて、とりあえず動く。
生きたいでも無く、避けたいでもなく。
手近な、すぐそこの欲求を頼りに。
八百屋のお兄さんの『とりあえず他所でやってほしい』
という気持を目標にして。
眼前に迫る槍を――

避けるより、早く。
目の前に青色の風と見紛うような少女が駆け込んだ。
「わ、た、っとと、え、今度は誰なんですか!?
誰で……どなた、ですか?」
一瞬で槍の穂先を切断するのは、その手から放たれた黒い魔剣。
睦美に背を向けて立つその姿は、控えめに言っても……すごくかっこよかった。
「通りすがりの幽霊風紀委員X、さん……」

「っと、危ないですッ!?」
頭上から、今度は体を引き連れて。『ハンター』と名乗る男が大剣を構えて降下した。
狙いは明確に、目の前の通りすがりの幽霊風紀委員X。
「わ、私を庇ったから…?」

蒼穹 > (人々の注目は何処へ向かっているのだろうか。少女?私?それとも…屋上?
わぁわぁと叫ぶ連中がうるさいし、これ以上被害者出したら流石に庇い切れない。)

…ったく。死にたくなけりゃとっとと失せなぁッ!!幽霊風紀委員様様のお通りだッ!
(声を張り上げる、甲高い、響き渡るような声。
睨み付ける様に、或いは砂利でも見下すかのように。
正義とは似ても似つかない様な視線をギャラリーに馳せる。これで人が減ればいいが、
生憎野次馬根性の高い連中はと言えば減らない。

…が、残念ながら、睦美の方は逃がしてはくれない、か?)


ハン…ター…はいぃ?ごめん…知らない。
(いや、何か見たことある気がする。何だっけ。禁書庫に何か英霊どうのうとかあったが、あれだろうか。
いや別物だろうか。…どっちでもいい。)

宛ら返すけど聞いて驚くなよ。私は最強最悪の破壊神様だ!
隠喩ではなく直喩で。
(すっぱりと。まるでそこに何もないかの様に、当然のように槍を前と後ろに分断する。
脆いとか、柔らかいとか、そんなレベルではなくそこに何もないかの様にして。
怒号する相手を半ばからかうような声使いと反芻っぷり。それから屋上の対象を指差して半笑い。)

ねぇちょっと待って。…おかしいよね?
あの、キミが読書を…邪魔…ああ…。

(如何に巧妙な言葉を言ったとて、襲撃者…『ハンター』と名乗った人物の大きな声は、
己の弁明も聞かないのだろう。
頭に血が上ったやつは、大体こうなる。)

…どうしよ。痛いけどガマンしてね。
(背に睦美、腹に『ハンター』。
手品の様に、何処からともなく…若しくは、異次元空間から新たな武器が握られる。
そのメカニズムはわからないけど、次々と武器を作っていくのだと理解した。
だが、何を取り出してもこの魔術の前には同じだ。剣であれ、飛び道具であれ。
今の見た目で、分からなかったのだろうか。…確かに、分からないかもしれないが。)

ん、じゃあ―――破壊魔法・第二十一術式「轢殺の剣」
(迎え撃つ、破壊の剣。真っ黒な閃光。
長く伸びる一閃。
着地する前に、或いは振りおろされるまでに、大剣をまたと分断して、切り払ってしまおうとする。)

平岡ユキヱ > 「風紀特別攻撃課である! 全員動くな!!」
商店街のガラスがビリビリと鳴る程の咆哮。騒ぎを早々に聞きつけた、
風紀の赤服…通称「特攻課」が一人、平岡ユキヱが群衆を割るようにずいと蒼穹の側に入った。

「…蒼穹か! なんだこの騒ぎは! 夏祭の時期はとっくに終わっているぞ!」
一人見知った顔を見て、状況の把握に動く。

光ヶ丘睦美 > 獅子吼が轟く。
群衆の叫びも、『ハンター』とかいう人の胴間声もかき消して、
睦美の鼓膜もビリビリとなって、
『動くな』の言葉とは裏腹に、持っていた人参ごと両手を頭の上へと上げた。

視線を向ければ。
金の髪をリボンでまとめた、予想とは逆に、可愛さの際立つ女の人がそこにいて。
目の前の通りすがりの幽霊風紀委員Xさん…
こと、蒼穹さんに顔見知りって感じで話しかけるものだから。

「風紀委員が二人も揃ったなら、もう大丈夫、ですよね」
そんな気がして、睦美はその場にへたり込んでしまった。

『ハンター』 > 群衆の注目は、『ハンター』、蒼穹、睦美にほぼ均等に向かっている。
群衆の一部は逃げ惑っており、この場所よりだんだんと遠ざかっていた。

「風紀委員……だとぉ!
 そうか……この島の情報を集めていた『ウィザード』の奴から聞いているぞ。
 てめぇが、治安維持機構の一人ってわけか」
元々逃げに徹していた群衆だが、野次馬はやはりいるものだ。

「俺を知らねぇか。
 知らなかった事をあの世で後悔していろ!」
英霊ってのも、この世界じゃあ広まってねぇもんだなぁ、全く……。
その方が『シーフ』の奴にとっては都合がいいのか。

「は、破壊神……?
 てめぇが破壊神って言うのかよ?」
本当だったら、やばくね……?
俺ちゃん、勝てねぇんじゃね……?
まさかまさか、はったりに決まっているだろうが。
いくらなんでも、ばったり破壊神なんて凶悪な存在に出くわすわけがねぇ。

その破壊神と名乗ったホラ吹き少女は何か弁明しようとするも、すぐにやめた。
頭に血がのぼっているので、弁明が無意味なのは正解だ。

破壊神より来る漆黒の閃光が大剣を破壊する。
な、なにこいつ……。
次々と、俺の倉庫に保管してある武器を破壊していくぞ……。
着地した時には大剣は分断していた。
そして目の前には、破壊神を名乗る少女。

こいつ……もしかして、本物じゃね?

「ひいいいいいいいぃぃぃ!!」

『ハンター』は、実はヘタレであった。
そんな時、新たな敵の増援と思われる人物に、動くな、と指示される。
そんなわけにはいくかよ!

「待てよぉ、話せば……話せば分かるぜ、破壊神さんよぉ……」
そう言いながら、後ずさっていく。

蒼穹 > はいはい、風紀委員で幽霊だよ。
気軽にXさんと呼んで欲しいなっ。
(後ろ目にて、被害者の少女を一瞥する。艶やかな黒色…濡れ羽色のポニーテールに、
極々一般の少女と言った体つきと、身長。己の見た目よりは年下だろうか。

ともあれ、普通の人間の少女が立ち会うには良くない光景だ。

危ない!の声を聞けば、流石にちょっとだけ気を引き締めた様相で、太い剣を瞥しよう。)

…っと…ぉ!

あっはは、柄じゃないんだけどさ。
これでも風紀委員で、仕事探してるんだ。今月も給料査定がピンチでねー。
ってわけで、アイツぶちのめした暁には証言よろしくね!
ええっと、はい、そっちのチャラっとしたおねーちゃんが言ってるように私の本当の名前は蒼穹《ソラ》だけど今はどうでもいいねっ!
(庇ったなんて、柄じゃない。本当に柄ではないのだ。恐らく。
横から入ってきた平岡を指差せば、ついで自分を指差して自己紹介。
それから、風紀委員の服を身にまとった知り合い、平岡に改めて向き直る。)

やぁユキエさん。出勤ご苦労さん。でもこの仕事を私から奪っちゃったら給料減るからやめてほしいな。
たまたまやる気出してるんだけどねー。んぇ?…後の祭りってヤツだよ。多分。
あとそこに立ってたら"危ない"から気を付けてね。
(ジョークブックを掲げた手をあげながら緩く挨拶をしてのける。
職務中とは思えないような緩さ。状況説明にもならない説明。
程々に冗談を言いながら半笑いの応対。
あんまり現場慣れしていないのが露呈していようか。それとも、わざと振る舞いをしているのか。
咳払いを一つ。)
"あれがホシ"。以上。

(分断する。真っ二つに。「危ないです!」と、彼女が言ってくれたのは早かったか遅かったか。
いずれにしても、大きな剣もまた切り伏せる。そもそも、剣と剣の戦いじゃない。
もし剣で戦うなら、技量そのものはきっと向こうが上を行くだろうし。

着地点で、その刃は既になかったことはとても満足そうだった。
がちゃん、と、アスファルトの上に落下した大剣の片割れをその足で踏みつけて、後ずさる
『ハンター』と名乗った人物に一歩、一歩近づく。)

お?…降伏かい?
…ふうん。そう。…ごめんね。知らない者は知らない。
それと、お仲間の情報までありがと。『ウィザード』?『シーフ』?
メモっといてユキエさん。
犯罪組織の疑いあり。ウィザードが情報役、シーフっていう構成員が居る。
(『ハンター』が次々と溢した情報を聞けば、しかしやっぱりあんまり働く気は無い様で。
他人に仕事を押し付ける。)

それと私に治安維持する気は全くない!だからその辺は安心してねっ。
いえーす、私が破壊神だよ。見たかな。
…よしじゃあお話に応じようか。跪け。
(大剣の先端部を後ろ足蹴にして蹴り飛ばして、後退する『ハンター』に笑いかける。
その様相は、まるで鬼ごっこでもしているかのような悪戯っ子である。緊張感などまるでない。)

平岡ユキヱ > 「わかった」
危ない、という蒼穹の忠告に、「何故」とか「何が」の一切聞き返さずに、
至極まじめに即決で対応する。
何かあれば、すぐに動けるように少し重心を後方に動かすと、光ヶ丘の傍に動く。

「もちろん。風紀が二人そろえば無敵なり、ってねー?
 もう大丈夫よ。安心して」
光ヶ丘に軽くおどけてウィンク。半分冗談であるが、残り半分は本気である。

「言われずとも報告に上げるさ。しかしまあ…蒼穹…。
 お前…まだ破壊神とか…。いや、ほら、
 八百屋さんとか商店街の人たちとかも聞いているし…そういうのは…」
何故かいやに優しいというか気遣い半分、戸惑い半分の声で蒼穹を同級生として扱う。
神系統に妙に優しいユキヱさん。

「…いい歳になってから後悔するかもしないじゃん?」
優しさなのである。

『ハンター』 > 「破壊神を相手にしてちゃぁ、命がいくつあっても足りねぇ……。
 他にもいるぜ、俺達は七人の英霊だからなぁ。
 おっと、あまり情報を与えねぇよう『ウィザード』の奴に口止めされてんだったなぁ……」
両手を上げて降伏する意思は見せつつも、後ずさっていく。

「治安維持をする気ねぇなら見逃してくれ。
 な? いいだろぉ? な?」
情けない声で破壊神に懇願。
「俺はなぁ、射殺記録を伸ばすために活動してんだよぉ。
 だから、てめぇみたいな強ぇ奴とは出来れば戦いたくねぇんだ。
 狩るのは女子供みたいな弱ぇ奴だけにするから、ここは見逃してくれぇ!」
土下座する『ハンター』。
まさしく、ヘタレな光景であった。
ヘタレすぎて、英霊の名が泣くぜ。
でもいきなり脱落は簡便な。

光ヶ丘睦美 > 座り込んだ少女のポニーテールが、くるくると路面に円を描いている。
そこから見上げる幽霊で風紀委員の少女の姿は、本当の姿よりもずっと大きく見えた。
「は、はい!証言します!変な人から助けてもらったって。
だ、大丈夫です、ちゃんと言えます」
こくこくと何度も頷きながら。
あっという間に、一瞬で、
変な人(『ハンター』と名乗る男)を制してしまった蒼穹のことを羨望の眼差しで見上げていた。
「あっとうてきすぎです……これが……はかいしん…」
キラキラした目で見上げていた。


「そうですよね、風紀委員はすごくて凄いって友だちが言ってました!
あと、今すっごくそう思いました!
もう安心、ですよね!」
平岡さんのウィンクに、意気込む睦美。風紀委員のことになると早口になるよね。
「……あ、でもその、神様ってもう年取らないんじゃないですか?」

蒼穹 > (また後ろ目にて被害者の睦美を見遣る。
襲撃者がああだからもう心配は要るまい。へたりこんでしまった姿勢は…ちょっと危ないかも?
乗り掛かった舟だし、今更向こうに"狩"られて良い気などしなかった。
ああ柄じゃない。本当柄じゃない。なんでこんなお人好しで正義っぽい事してるんだ。
人一人死のうが生きようがという根性だったのが今じゃなんでこうなってるんだか。
見知らぬ女の子を助けるくらい正義感が強かった覚えはない。
もっとロクデナシだったのだが。

群衆は後退してくれている。今この場に、目につく限りの主要人物は4人だけだろう。)

おっけ。
(彼女は、比べて場慣れしていて、真面目な対応だった。
「特攻課」だけあっての対応か。彼女の手早い対応に頷くのみに留めるが…。)
じゃあその子のアフターケアよろしく。今からそこの『ハンター』とお話するから。

(それから、嬉々として交渉相手の方へと―――向かわない。)

ユキヱさんお前…。ユキヱさんお前…。
…あああああ…!ユキヱさんお前…。…うるさいなぁ!私は本当に…!
ってまぁいいか。もう私はいいトシしてるよ。そんじゃ。
(ユキエさんの半分は優しさでできていました。

それから、ようやっとハンターの方へと向く。)

うんうん、分かった分かった。じゃあ大体ウィザードってのがブレインでリーダー格かな。
キミの話が本当かどうかは知らんけど、7人いるんだね。
ウィザードってどんな人?可愛いかい?
(一歩一歩詰め寄りながら、それに合わせて問と言葉を紡ぐ。)

うん、…じゃあ、私"は"見逃そうかな。素直で良いねぇ、キミは。
あっはは、気に入ったよ。そういうの、好きだし、正義も嫌いだから。
でも、ね…今度から暴れる場所…射殺記録を伸ばす場所は選ぼうか?
ここには一般普通の生徒さんがいるからさ。もっと人目の付かない所で殺ろうね?
じゃあ私からはこれだけ。
(土下座している。それに、再犯を堂々と宣言する。
ヘタレだが、素直で正直だ。狡猾なよりよほど気持ちが良い。
あっさりと、詰めた距離を引き離す。土下座した彼に背を向ければ、平岡へと振り返って。

「じゃあ後は頼んだよ。」とでも言うかのように目配せ。
一つ言葉に含みを持たせたのは「私は見逃すけどもう一人は見逃さないと思うよ。」
と言ったところ。)

はい、じゃあ短かったけどアフターケアと交渉役交代ね。
(勝手に話を進めていきながら、光ヶ丘の方へと戻る。
誠に勝手である。正直いい加減にしろと言われても文句言われないくらいの乱暴で煩雑な職務であった。)

お疲れ様。証言してくれるの?ありがと!
あとはあのパツキンのおねーちゃんが何とかしてくれるから大丈夫だよー。見守ろうね。
(へたりこんでしまった彼女の頭に手を添えながら、同じく己も座り込む。
…羨望の眼差しは、少しくすぐったかった。)
…あはは…あり、がと。
(喜んでよかったのだろうか…。
こういう事をされるから、己も甘ちゃんになってしまったのかもしれない。
感謝されたり、尊ばれたりするのは…実際、とても嬉しい。)

平岡ユキヱ > 「破壊神…ん、まあ。うん。そうね。たぶん、歳とらない…かもね。
 …。…そのままの優しい君でいてね」
何故か光ヶ丘に蒼穹をよろしく、とすごく優しい笑みで。

かの破壊神を『すごい魔術と異能を持つただの人間』だと思っているユキヱさんなりの、
最大限できることであった。それ以上はない。
友達で同級生だ、一緒に爆発した仲(!)だし優しくしよう。と蒼穹を見てすごくいい笑顔でニッと親指を立てて笑っている。

「…蒼穹、あんたねー。
 そいつはフリこそしているけど、完全に降伏してはいないように見える。
 …『擬態よ』」
蒼穹の奔放な動きにぶっ倒れそうになるが、行動はすでになされた。ならば対応するのみである。

「攻守交替…。改めて警告する。射殺記録の更新など、殺傷行為に関する行為はこの島に対する侵略行為だ。
 直ちに学園の更生プログラムを受けるべく投降しろ」
警告。ハンターと名乗る男にそう言った。

光ヶ丘睦美 > 今泣いた烏がもう笑うという言葉のとおり。
ニコニコとした笑顔で、撫でられたり、感謝されたり。

……なぜだかはわからないけれども、破壊神をどうかよろしくと言われてしまったり。
ちょっと買い物に来ただけなのに、
今日は珍しくて、質のいい感謝をたくさんもらっていて、睦美は大変に満足でした。

ほくほくとした顔で、最後のデザートでも頂こうかしらという表情で。
『ハンター』と名乗る変な人を見ながら、睦美は
「ところで、ハンターさん」
「ハンターさんって、狩る相手から助けられても感謝って出来る人ですか?」
ポニーテールの毛先を指でいじりながら、そう尋ねた。
たとえ答えなくても、嘘をついても、少女の欲求を見透かす異能にはわかるというところだが――

『ハンター』 > 仲間同士で話し合っているようだぜ。
それにしても、こんな強ぇ奴に出くわすのはついてねぇぜ……。
ちくしょう!

破壊神から『ウィザード』についての質問をされてしまう。
それ教えたら、『ウィザード』の奴……怒るだろうなぁ。
「『ウィザード』の奴なら、自分がブレインとかリーダー格とか思ってそうだなぁ。
 奴は俺よりも遥かに恐ろしい奴だぜ……。
 『ウィザード』には関わらねぇ事だ」
詳しい情報を与えるわけにもいかねぇ。
個人的には全然教えてもいいが、後々『ウィザード』の奴が俺に何しでかすか分からねぇからなぁ。

「破壊神は俺を見逃してくれるのかぁ。ありがてぇ」
よ、よし。これで助かる可能性が格段に増えた。
「人目がつかねぇ場所はよぉ……。
 ある英霊のテリトリーになっちまって、俺は近づけねぇんだ」
シーフの奴め、自分だけ安全圏を確保しやがって!
「だから俺は、こういう場所で狩りをさせてもらうぜ」
再犯宣言再び。
「『シーフ』の奴さえいなければ、落第街という場所で狩りを楽しめるものを!!」
奴は、どこか気にいらねぇ。
死ねばいい! いや、既に死んでいるから成仏すればいい!!

そこで選手交代。
ユキヱが交渉役となった。
「侵略行為ぃ?
 知るかよおおおおお、んなもん!!
 やめねぇぞ、俺は!!
 いいだろ、こんだけ人がいるんだ。
 俺は、弱ぇ奴を殺すだけだぜ」
七英霊に改心はありえない。
ただ邪悪に染まっている。
存在そのものが『悪』なのだ。

「俺はなぁ、射殺記録を更新する事が生き甲斐なんだよぉ。
 いいかぁ、この場は見逃してくれぇ!
 この通りだ!!」
さらに土下座で頭を下げる。
改心する気もなく、ただ『見逃してください』と頼む。

どうする……どうするよ、この状況。
考えろ……。考えろ……。
俺は『モンク』じゃねぇんだ。あんな脳筋みたいにアホじゃねぇ。


そこで、睦美からの質問で思考停止。
もしかして、こいつ、俺を助けてくれんの?
ここは『イエス』って、素直に言ってた方がいいんじゃね?
そうしよう。
「も、もちろんだぜぇ。
 狩る予定の相手でも、助けられたぁ感謝するしかねぇぜ」
嘘である。
まっかな嘘である。
この場をどう凌ぐか考えた結果出てきた出まかせだ。
結局、『ハンター』はクズでしかない。

蒼穹 > だーからッ!!ユキヱさんお前…。
(ぐぬぬ顔。本当の事を言っても信じてもらえないつらさ。
本物の神様なら持ち前の神格化《カリスマ》でこんな笑顔もびっくり仰天に変えられるのだろうが、
残念ながら己にはそれが致命的に欠けている。だってもう堕ちた邪神だもの。)
…優しいままで…当面は…いるけどさぁ。
(優しさが痛い!優しさが痛いよユキヱさん…!とか、中二病の少女ならそんな風に思うのだろうが事実破壊神であるが故にふくれっ面。)

うん、見ての通り"擬態"…だね。
っていうか、どうみても降伏したようには聞こえない台詞。
だけどまぁ…いいじゃん?私的にはおっけーだよ。ユキヱさんに後は任せた。
私って実際こういうの知らないから…。いえい。攻守交代。たーっち。
(彼女との擦れ違い様に可能であればハイタッチでもしようと手を上に上げて催促。
それから、カタにはまったと言うべきだろう風紀委員の警告文を読み上げる彼女を見遣る。

ああ、あんな感じだったっけ。あれ私覚えてなかったし、ユキヱさん来なかったらダメだったな。
やっぱり警邏は複数人でやるべきだと認識する。)


…感謝、か。
(何だろう。…幼いが故の率直な質問だったのだろうか。
己に向けられた言葉ではなかったけれど、核心的で、いい言葉だと思った。
そういえば、八百屋に買い物に来ていたらしい彼女は、ちゃんと買い物出来たのだろうか。)

…ふぅん。『シーフ』…落第街。
(後から、襲撃者の言った言葉を反芻する。
やっぱり、実在する人物なようだ。ウィザードというのはやはり、実力的にもリーダー格だろうか。
この『ハンター』というのも遥かに恐ろしいと認めているのだからきっとそうなのだろう。

それと、ポロっともう一人の居場所も吐いてくれた。
拷問にかけてもないのに。…大丈夫なのか?この犯罪組織。
ってか割とこの人お茶目だ。お茶目だし、あまり頭の回転も良くないのだろう。
次々と組織?の事を知らせてくれる。

…ともあれ、後の問答は平岡に任せよう。

死んでいる、英霊…か。今度、詳しく調べてみよう。
確か、禁書庫でそれっぽい本があった記憶はある。忍び込むのは容易い事だし、
良い感じに給料も稼げそうだ。『ウィザード』は多分名前からして魔術師っぽいし、
頭もよさそうだし、部下?に怒れるって事はリーダー格なんだろうし、そもそも結構腕がたちそうだから、
ハンターの忠言に従い、関わらないようにしよう。そいつは他に任せるとして―――。

と、サボリなりの給料搾取の企みを始めた。)

平岡ユキヱ > ハイタッチで破壊神と交代。そして、いよいよ前衛に出る。

「…。 ああ、『わかった』」

ハンターの言葉に、静かに、だか確実に不穏な調子で短く答える。
無言で重心を獣のように低く落とし、抜刀の姿勢に構えた。
漆黒の刃体加速装置がギラリと鈍く光る中、柄に手を添える。

「その言葉、宣戦布告と判断する」
結論から言うと、『斬る』気だ。

アーケードの天井が抜刀前の殺気で吹き飛ぶ。
めらりと髪の先の青白い光が、極大の炎のように凄まじい発光を始めゆらめく。
ただの異能が使える人間でも、ここまで出来る、出来るのだ。

「…」
光ヶ丘、一般生徒の言葉を耳にして、そのまま動くのを止める。
おそらくは、次で更生不可と判断すれば、動くだろう。

光ヶ丘睦美 > 「そうなんですか!助かったら感謝してくれるんですか?
こういうどん底!進退窮まった!命乞いでもなんでもやる!
って感じの状況の人ってすっごく良い感謝をしてくれるので、ついつい心動かされちゃうんですよね!」
やったー!とばかりに腕を突き上げる睦美。
たまたま入ったラーメン屋さんがものすごく美味しいわけでもないけど、
ちょうどランチタイムでライス無料だった時の嬉しさくらいに匹敵する喜び。

「蒼穹さんからは見逃してもらっていてー」
「この商店街に居る目撃者の皆さんは『巻き込まれたくない』と思っているので、
ちょっと脅せば証言はきっとしなくなりますしー、」
「平岡さんにはまだ手を出していないですしー」
指折り数えるみっつの条件。
「私が、『変な人に会って、なんか変なこと言ってましたけど蒼穹さんに助けてもらいました。』
って証言するだけなら厳重注意で済むのかなーって思うんですよねー!」
ホラいいこと思いついた!という表情でびし、っと指をハンターさんにつきつける。
「……と、いう感じなんですけども。
あれ、感謝してもらえないのは私の名推理に穴があるからですか!?」

「それとも、未だにハンターさんが――」
その身の回りに映る欲求のシャボン玉の通り、『私を射殺すために策を練っているから?』と。
意表をついて取ろうとしていたのであろう行動を一つ一つ上げようとした。
例え異次元に隠し持った武器でも、使おうと思っていれば見えてしまい、睦美は言葉にするだろう。

『ハンター』 > 宣戦布告と断定されては、頭を下げていられねぇ……。
幸い、破壊神は今、一歩引いた立場にいるようだ。
これは物凄く幸運。
もしかして、幸運の女神だけは俺に味方してんじゃね?

ユキヱは抜刀の姿勢。
迫力は十分。
いや、待てよぉ……なんだこの殺気。
天井が吹き飛んだ!?
こいつも、もしかしてやべぇ奴なんじゃねぇの?


「か、感謝はいくらでもするぜ。
 だから、助けてくれぇ!」
喜ぶ睦美。
喜んでないで、さっさと助けろやああああああああ!!
いいから、助けろおおおおおお!!
感謝の気持ちなど微塵もない。

厳重注意で済ませる?
馬鹿言っちゃいけねぇよ。
この場から逃げてぇんだよ。
「ふざけんなぁ!
 助けると言うなら、この場から俺を逃がせっ!
 弱ぇ奴を狩りつくして、射殺記録をどんどん伸ばすんだ!
 いいから、俺を助けろ!!
 感謝してやるから!!」
必死に叫ぶ。
もう見苦しいってぐらいに必死で。
「お、俺が……なんだって言うんだよ……」
この女、まさかこの『ハンター』を見透かしているのか?
今更、ポニーテールの女を殺すなんて考えねぇ。
とにかく逃げる。
殺すのは、後で良い。助かった後で良い。
逃げた後は、弱ぇ奴を大量に殺してやる。


「……くそっ。
 こうなったら、やるしかねぇか」
チキン野郎が覚悟を決める。
武器を取り出せ。ここから逃げるための武器をだ!!
異次元空間の扉へと手を伸ばそうとする。

平岡ユキヱ > 「風紀執行…!」
相手が動いた。決着なり。故に、後は戦闘行為のみが互いを決めるばかりだ。

 ―カチカチカチカチッ
四回。刃体加速装置のトリガーのクリック音が響く。

「ヤァァァァァァッッッッ!!!!」
次の瞬間、裂帛の気合と同時、砲弾のようにユキヱが一歩で数mは踏み出して鞘から漆黒の刀身を抜く。

「街中ゆえ…マナーモードにて御免ッッ!!」
ベイパーコーン…戦闘機が主に発生させるような現象を
親からもらった二本の足と努力と根性と気合でもって発生させると、ほぼ音速を超える形でハンター目がけ抜刀する。

ギンッ、と巻き込まれた建物ごと両断するかのような、理不尽な斬撃と衝撃波が商店街に発生した。
遅れで爆音と砂塵。周囲に喧噪が広がる!

蒼穹 > …眩しい、ね。
(眩く青白く、圧倒的な気迫。迸る殺気。
爛爛と辺りを凌駕していく、抜刀前のその光景は…かっこいいものだった。
正義と言うか、なんというか。
風紀委員とは、こうあるべきなのだろう。)

終わった、かな。
(真っ黒な刀身による居合切り。音を越えたそれが生み出す衝撃波。
振りかぶり斬り裂かんとして舞い上がった髪から漏れる淡い青白。

一方、戦闘行為を覚悟した向こう側。
弱い奴を殺すとかそんな事ばっかりだ…素直だ。素直だが、愚直だった。

それに、この場に感情を読み取れる?能力がいる彼女がいたのがさらに仇となったのか。
戦闘するには十二分な舞台。

もう己に出番はないか。…さてどうしよう。
これも柄ではないが、商店街の戦闘沙汰、危険人物の報告書でも書こうか?

舞い上がった砂塵をジョークブックで払いのければ、ノートから一枚の紙を千切った。

…いや、やっぱりユキヱさんに任せ―――それは、流石に酷いだろうか。)