2016/09/22 のログ
ご案内:「商店街」に世永明晴さんが現れました。
世永明晴 > とろくさい体を早く動かして、商店街の軒下に潜り込んだ。
ぽたぽたと、白衣から水が垂れる。
急に降り出した雨……というよりそれは、ほぼ予定調和の雨だったのだろう。
天気予報など普段から見る習慣がないから、こういう事はよく多い。
朝出かけるときも、そういえば雲は黒くなり始めていた気がする。
間抜け、いや学習しない、というべきだろう。

「……参ったスね」

この呟きも何度目だろうか。止むのを待つか、それとも。
今更だ、と断じ。鈍い体を動かして家に帰るべきか。

どうにも、それなりに降っている雨を見て決めかねていた。

ご案内:「商店街」に加冷さち子さんが現れました。
加冷さち子 >   
「こんな所で何しているんですか。世永先輩。」

 傘をさした少女が通り掛かる。
 セミロング程に伸ばした髪。整った前髪から軽く覗く瞳。冬空めいた透き通る声。
 真顔から表情を変える事もなく、否、ちょっとだけしかめっ面をして、
 世永明晴の名前を確かに呼んだ。

「天気予報、見なかったんですか?」
 
 咎めるような口ぶりで、秋雨を吸った白衣へと視線を移す。
  

世永明晴 > 「……加令さん」

考え込み、俯いていた顔を上げた先に見えるのは、知った顔。
図書館を利用することが、意外と多い身としては、何かと接点がある相手。

一つ、頭をガリガリとかく。

「雨宿りでス。……えぇ、はは。どうにも俺には、そういうマメさはないみたいなもので」

困ったように笑い、一つだけくしゃみを落とす。

加冷さち子 >  
「そんな事だと思いましたけれど。 
 ……ぁあ。今日の星座占い、牡羊座が12位でしたよ。世永先輩。」

 溜息をつきながら無遠慮に軒下へと潜り込んで近付く。
 傘を閉じて地面へ降ろし、軽く叩いて水滴を散らす。

「因みに天秤座は2位でした。」

 聞かれてもいないような、何処かの局の星座占いの結果を語る仕草はやや得意げだ。
 語気に併せ、申し訳程度の胸を張る。
  

世永明晴 > 「…………。あ、そういえば、俺、牡羊座でしたね」

言われてからやっと思い出したように、呟きを返す。
なら、この雨もそのせいかもでスねぇ、なんてどこか焦点の合わない返事をしつつ、薄く笑う。
自然と近くに来た彼女に、どこか不思議そうに目を瞬かせた。

「……どうしたっスか? 遅くならないうちに帰った方がいいでスよ」

得意げに胸をはった彼女に苦笑しつつ、そんな運勢なら余計に、と。
今だ止みそうにない雨を視界に入れて。

加冷さち子 >   
「世永先輩は帰らないんですか?」
 
 瞬く瞳を意に介さず、ん?と言わんばかりに小首を傾げる。
 わざとらしいような、そうでないような。

 有体に言えば、真顔でボケてみせているような口ぶり。
 帰る素振りもなければ、揶揄っているようにも見えなくはない。
 

世永明晴 > それを、素で言ったのか察する力は自分にはない。
そんな思いを苦笑に変えて、返事を返す。

「どうしようかなと迷ってました。まだ……当分やみそうにないでスから」

以前の風邪を思い出して、また風邪を引くのも考え物でスしね、と小声で言った後。

「冷えてきましたね……秋でスか」

加冷さち子 >  
「それは大変ですね。
 所で、ここに男子学生寮前までおしるこ缶1本のタクシーがあるんですけど。
 先輩の横にある自販機のボタンを押して、あったかいものが飲みたくなったりしません?」

 商店街の軒下、店と店の境目にある年季の入った自動販売機。
 そこの最上段を見て、ねだる様に視線を移す。

「ええ、秋ですよ。」
 
 自販機から視線を戻す。
 灰色の空を見上げ、ぼんやりと復唱した。
 

世永明晴 > 「……あなたは。……」

暫し、目を瞬かせた後。

「……そうでスね。なんだか、飲みたくなってきました」

そんな、あからさまな意図をやっとくめた鈍さを苦笑しながら。
二本分のおしるこの硬貨を財布から取り出し、購入する。
それを取り出し、彼女に一本差し出すように向けて、ありがとうございまス。
そんな風に首を傾けた。

「……秋でスから。暖かいものも、飲みたくなりまスよね」

加冷さち子 >   
「他意しかありませんよ。」

 待ってましたと言わんばかりに受け取る。
 意気揚々とおしるこ缶の蓋を開け、両の手で暖かさを堪能しながらゆっくりと飲見始める。

 二口程飲んでから、ぷは、と、大きく息を吐き出した。尚、傘は一旦立てかけている。 

「秋ですし、こんな寒いんだから強請ります。
 何でお餅を入れてくれないんでしょうね、缶のおしるこ。」
 

世永明晴 > 「それを言うのは、余り他意にならない気もしまスが……」

頭をかく。まぁいいとばかりに、自分も同じようにおしるこの蓋を開けた。
雨で冷えた体にはちょうど良かった。ふぅ、と一口二口飲んだ後、息を吐いた。

「しっかりしてるんでスね」
強かな言葉に何を思ったか、目を細めた後。
「喉に詰まっちゃうから、じゃないでスかね」

加冷さち子 >  
「ちゃっかり者のさち子と呼んでください。
 あぁでも、ちゃんと寮前まで送りますから安心してください。
 商店街前始発、男子寮前終点。ちゃんと送ります。」

 少しだけ得意げに言ってみせながらも飲み進める。
 基本、この手の缶はそこまで大きくない。あっという間に底をつく。

「あぁ確かに。
 サイレントキラー、なんても云いましたね。お餅。
 美味しいのに。」

世永明晴 > 「信用してまスよ、運転手の加冷さん」

この後輩になる人物は、表情が薄い割に言動に感情が出やすいのかもしれない。
鈍い自分には、それを判別する術は、あまりないのだが。
そんなことを考えて、もう一口、お汁粉を口に流した。

「缶になると目にすらあまり見えないでスからね」
それじゃまるで、本当に暗殺者か何かか、なんてくだらないことを考えて肩を落とす。
「もうすぐ、いくらでもお餅を食べれる季節もきまスよ」

加冷さち子 >  
「それで、その季節まで後幾つ寝れば良いんでしょうか。
 ずっと寝てるつもりなら叩き起こしますよ。」

 透き通る声をころころ舌の上で転がしつつ、所定のごみ箱におしるこ缶を捨てる。
 満喫したと言わんばかりの吐息は甘ったるいものとして漂う。

「……さて、行きましょうか世永先輩。
 暖まっている内に進んでしまいましょう。」

 片手で器用に傘を開き、自身と世永を覆う様にさす。
 二人程度なら何とか入れそうだ。
 

世永明晴 > 「俺も起きていたいんでスけどね」

暗に、自分の異能に向けたちょっとした皮肉だった。
肩をすくめ、それでも。たたき起こすという言葉に少しだけ嬉しそうにしながら。

幾分か彼女より遅いペースで、飲み干す。
先程まで出ていたくしゃみも、おしるこの効果か引いたようだ。

「はい。おねがいしまスね」

そういえば、これ相合傘というんだったか。
なんて年頃らしくいらない考えが浮かび、躊躇するが。
一つ思い直して、ため息もつく。

彼女との背の差から些か、彼女が窮屈になってなければいいが。

ご案内:「商店街」から加冷さち子さんが去りました。
ご案内:「商店街」から世永明晴さんが去りました。
ご案内:「商店街」に影打 鈍さんが現れました。
影打 鈍 >  
(夕方、どこにでもあるようなごく普通のスーパーの前。
 客層が大幅に学生に偏っている事を除けば、至ってどこにでもあるような風景の一部に、帯刀したメイドさんという異質な存在がいた。
 そのメイドは手に大きなビニール袋をぶら下げており、そこからネギが飛び出している。)

――やはり傘を持ってくるべきだったか。

(軒先から一歩出れば、ざんざか雨が降っている。
 朝学校に行くときはそこまでひどくは無かったから、傘など持ってきていない。
 バイトが終わった時は怪しい空模様だったのだが、肉以外の食材が家に無かったからスーパーに寄ったらこの有様である。
 やはりまっすぐ帰るべきだったか。)

しかし東華のやつめ。
料理出来るんなら出来ると言えっつーに。
料理で胃袋を掴むどころかこっちが掴まれるわ。

(同居している少年の胃袋を掴もうと先日夕食を作った際、彼の料理のスキルの高さが判明した。
 まさかの事態を思い出し、苦い顔でぼやく。)

影打 鈍 >  
(とにかく今は雨が止むのを待つしかない。
 入り口横に置かれたベンチに腰を下ろし、ぼんやりと空を見上げる。)

前は雨で足止めを食うなんて事も無かったのだがなぁ。

(言葉とは裏腹に、その表情はどこか嬉しそうなものだ。
 ただ人の形をしていた以前ならともかく、今は濡れれば寒いし最悪風邪を引いてしまう。
 怪我も含めて弱くなった身体だが、それがなんだか嬉しい。
 肌に張り付くような湿気や、雨の時の匂いなど、以前は気にもしなかったことが改めて命を得たのだと感じられる。
 嬉しさのあまり顔が緩み、それを隠すようにベンチの上で膝を抱えて嬉しそうに身体をゆする。)

影打 鈍 >  
(そういえば、広場の方でなにやら祭りがあるらしい。
 外国の祭りで、名前は確か――)

おく、――おくと、パス?ふぇすた?
蛸祭りか?

(オクトーバーフェストである。
 しかし聞きなれない名前だし、周りに訂正してくれる人もいない。
 頭の中では公園で大蛸の怪物が大暴れしている光景が浮かび上がった。)

――なんかやらしい祭りだな。

(脳内の大蛸は、公園の女性を片っ端から捕まえてあんな事やこんな事をしている。
 苦い顔にで頭を振って頭の中から大蛸を追い出し、スーパーの袋からペットボトルのお茶を取り出して一口。)

ご案内:「商店街」に寄月 秋輝さんが現れました。
寄月 秋輝 >  
「雨宿りですか?」

ざりざりと、雨の中を草履で、傘もささずに歩く姿。
腕には買い物袋がぶら下がっている。

「よければ傘を」

と、腕にぶら下げていた傘を差し出した。
本人は不思議と、全く濡れていない。

影打 鈍 >  
(などとしていたら聞き覚えのある声。
 そちらを見ればいつかの剣士がいた。)

――おお、秋輝。
汝も買い物か。

(買い物袋を見て、そう声をかけた。
 彼から見れば、自身の在り様の半分が刀ではなく人に変わっている事に気が付くだろう。)

いや、それでは汝が――濡れとらんな。
なんで傘持って歩いとんだ。

(断ろうとしたが、その姿がまったく濡れていない事に気が付いた。
 そもそも傘差してなかったし。)

寄月 秋輝 >  
「ちょっと自宅に常備する包帯と薬を。
 ここ最近怪我が絶えないもので」

ドラッグストアのものらしい。
にしては中身がぎっしりである。

「何故って……こんなこともあろうかと思って」

さらりと答えた。
雨宿りをしている生徒に貸して、後で風紀委員会に返してもらえば済むことだ。

影打 鈍 >  
ちと量多くないか?
そんなに怪我するつもりか?

(無駄にぎっしり詰まった袋。
 それが全て医療用品かはわからないが、それにしたって多いだろう。
 呆れ顔で尋ねる。)

――うん、まぁ、その心がけは立派だと思うがな。
せっかくあるんだから使えばいいだろうに。

(どんな想定だ。
 ツッコミを入れつつも、差し出された傘を受け取る。
 どっちにしろ傘を手に入れるか雨が上がらねば帰れないのだ。
 貰えるものは貰っておくに限る。)

寄月 秋輝 >  
「怪我をしたときに病院に行かなくて済むようにです。
 ……次腹の傷を開いてきたら、麻酔無しで手術すると低めに脅されたので」

めんどくさいな、みたいな顔をしながら呟いた。
もし病院に行くことになれば、家庭用の物でまかなえるような傷ではないかもしれないが。

「必要ないのに使う意味が無いでしょう。
 これを持ち歩いているのは、鈍さんのように雨のせいで動けない人用です」

断言した。
魔術を日常レベルに落とし込んで活用している人間はそんなものだ。

「そういえば、人の気に近付きましたね。
 ようやく脱処女ですか」

やれやれ、みたいな態度で言い放つ。
先日のやりとりから軽く煽る形だ。