2016/12/26 のログ
ご案内:「商店街」に雪城氷架さんが現れました。
■雪城氷架 > "気晴らしに散歩でもしてくるといいよ、気をつけてね"
そう言われて、暑着を着込んで商店街に出かけると
当然のようにあのあの綺羅びやかだったイルミネーションは片付けられ、
クリスマスセールの売れ残りらしい商品が特化で売り切りされている
普段でも一抹の寂しさを感じるものが、今日は特にココに来る
「(なんで商店街に来ちゃったんだろ)」
はあ、と白いため息をついて、冷たいベンチに座る
気分転換どころか、雪原に佇むアヒルのようにどんどん沈んでいく気がする……
ご案内:「商店街」に羽月 柊さんが現れました。
■羽月 柊 > コツ、カツ、カツ、というブーツの音がベンチで俯いている氷架の耳に届くことだろう。
柊は買い出しにでも来ているのか、
セイルとフェリアの2体の龍を肩に留まらせながら歩いている。
周りのヒトは大体が防寒具を着込んでいるモノだが、
彼は普段良く来ているであろう白衣で歩いていた。
正気の沙汰ではないような感もあるが、彼の周囲はフェリアのおかげで暖かであった。
「……ん? おや」
聞き覚えのある声がした。
■雪城氷架 >
「あ……」
あの時、テンパってはいたものの何度も何度も聞いた声、
顔を上げれば、記憶にある顔と一致するその髪色と瞳の色
珍しい色だなって印象に残っていたのだ
「こ、こんにちわ」
慌ててぺこりと頭を下げて挨拶する
■羽月 柊 > あぁやっぱりか、という呟きと共に、氷架の前には柊が居た。
珍しい色というに、男の髪は紫、眼は薄めの桃色。
「こんにちは。出歩いても大丈夫になったのか。」
事情聴取だけで返された自分やザフィールとは違って、
色々と面倒そうな事態になっていたなと思い出しながら声をかけた。
両肩でフェリアとセイルがキューイと鳴いている。
■雪城氷架 > [あ、はい……]
降りかかる言葉に若干ローテンションな雰囲気を見せながらも、
唐突にハッと気づいたように慌てて立ち上がって
「あ、あの時はほんとなんていうか、ありがとうございました!!
たくさん迷惑かけちゃって、その、ごめんなさい!!」
少し喚くような口調でわたわたとそう言葉を投げかけて、
あせあせ深々頭を下げる
長い長いツインテールがしゅるんと地面を撫でた
■羽月 柊 > 頭を下げた相手を男はじっと眺めていたが、
不意に氷架の頭に柊の手がぽん、と乗る。
「…それはもうあの場で何度も聞いたろう。
幸い死人は出なかったんだ。
謝るよりも次に活かす方がよほど謝罪になるとも。」
何度かぽんぽんと撫でると手を離した。
パタパタ、と羽ばたく音が聞こえると、
頭を下げている氷架の視線の先に来るように蒼い角の白龍、セイルが飛んできた。
■雪城氷架 >
頭をぽんぽん撫でられる
家族以外にそうされて嫌な気分にならなかったのは、
きっとこの相手の男の人が自分よりも確かな大人だと理解しているからに違いなさそうで
目の前に飛んできた小さな竜を、
いやがらないかな?と思いながらちょっと抱いてみようとして
「とんでもないことしちゃって、
やっぱり反省もしないと…それに、まだ事件も調査中みたいだし…」
結局自分が燃やした謎の怪異がなんだったのか、
あれの正体がわからないことには心が落ち着かなかった
仮にも元・人間の何かだとしたら…
そう思うと自然に身体が震える
再びベンチに腰を落ち着けて……
「そういえばおじさんはどうしてあの時あんなところに…?」
■羽月 柊 > セイルは素直に抱きしめられることだろう。
以前に氷架が触ったフェリアとの違いは、フェリアは赤の一本角、
セイルは蒼の二本角が頭にあること。それ以外は白い龍で同じだ。
「異能は専門ではないが、筋力でも気分に左右されるところは大きい。
反省するのは悪くないが…
気が滅入れば力に嫌われるばかりかもな。」
まぁ、感情論だが と。
自分の肩に残っている方の龍、フェリアの顎を人差し指で撫でやる。
「…俺か? あぁ、俺はこのフェリアに知らされたんだ。
こいつは火を司る。故に、巨大な火を感知した。」
火事では到底説明のつかない、あの巨人を。
■雪城氷架 >
「力に、嫌われる?」
ちび竜、セイルを抱きながら柊を見上げる
もしかして自分の異能の制御がうまくいかなくなっていたのは、
そういった部分もあるのだろうか…なんてことも考えたりして
現場に来た理由については簡潔に納得できた
連れている竜達にそういう力があるのだろうということ
それと、あれだけのモノが出現すれば落第街の外からでも理解る
それで駆けつけてくれたのだ
あの時のようにこうやって竜を抱かせてくれることもそうだけれど、
なんとなくこの人が優しい人間なのだということが伝わってくる気がした
■羽月 柊 > 「君を見てると、少しばかり息子を思い出すんでね。
…まぁ、世の中には本当にどうしようもない場合もあるが、
自分の力を嫌うモノは自分の力に嫌われるモノだ。」
言葉遊びのような言い方をしながら、
自分の長い紫髪が風に乱れたのを軽く直す。
「反省して沈むのは結構だが、
俺個人としては、次にあんなことが起きないように
前を向いて、力と向き合って貰いたいな。」
でなければまた息子が外出出来なくなる。と独りごちるように言った。
フェリアを撫でる手は、
小さな引っかき傷や噛み傷らしきモノが見える。
■雪城氷架 >
「…自分の力を嫌うモノは自分の力に嫌われる…」
その言葉を反芻するように、呟く
言われた通り…あの事件以降そんなことばかりを考えていた
なんでこんな力が、異能が、と
「落ち込んでばかりはダメだってわかってるんだけど、
もしあの事件で人が死んでたら、って思うと、怖くってさ」
まだ調査が途中、その上に落第街にいる二級学生なんかは数を把握されていないだろう
けれど忘れられない、燃えた制服の切れ端が頭にちらつく
ふと顔をあげて見上げると、その傷だらけの手が目に入った
「……随分傷だらけだね」
そう苦笑する
■羽月 柊 > 「あぁ、これか? 最近"孵った"子供が懐かなくてな。」
孵った、という辺りに何かの動物なのだろう。
柊がまだドラゴン専門研究者ということは知られていない。
こんな状況で笑えとも言えないが、氷架の苦笑にやれやれと言った笑みを返して見せた。
「…どうしようもない場合っていうのはそういうことだ。
とはいえ、意図的でなければ減刑もつくだろう。
【大変容】で異能が発現してからそういう事例は…残念ながらにあったからな。」
柊は淡々と現実を語った。
"大丈夫だ、君はヒトを殺してはいない"等と確定的な証拠もない夢を語れるほど
男は若い訳ではなかった。
「それはおいおい分かることだろう。
それまで君は後ろを見続けるか、それとも前を見るか…だ。」
■雪城氷架 >
ペットショップの人には絶対見えないし、
まぁそういう類の研究者なのだろう
基本的に勉強の出来ない氷架にもそれぐらいは理解った
「……ちゃんと前を見るよ。
昔からよく転ぶんだ、ちゃんと前向いて歩いてないと余計ひどくなる」
ベンチから立ち上がって、抱えていたちび竜セイルをひと撫でしてから、
はい、と抱え上げて柊へと返す素振り
「ありがとう、なんだっけアニマルセラピー?」
気が楽になったような小さな笑顔を向けて、もう一度お礼を言うのだった
■羽月 柊 > 「それは…殊勝な心掛けだな。」
抱え上げられたセイルは手から羽ばたいて柊の肩に戻った。
笑顔を向けられれば、両肩に小さなドラゴンを乗せた男もまた、微笑んだ。
「いや、礼は……あぁ、君がもし無罪であるならば、俺の息子と友達になってやってくれ。
どうにも気が弱い子でな。
君と同じように、自分の力に悩んでいる。」
炎の巨人と対峙し、鎮めた男だからこそ言える言葉なのかもしれない。
また異能が暴走したらどうしよう等と悩むこともしないのだ。
■雪城氷架 >
「息子さんかぁ。
うん、子供は好きだよ、大丈夫」
異能の力に悩む小さな子供を想像しつつ
実際には一度会っていることにはまだ気づいていないようで
くるんとツインテールを翻して踵を返す
「また会えるかな」
振り返り気味、陽が落ち少し冷え込んできた商店街でそう尋ねる
■羽月 柊 > 「…君が逢いたいと願うなら、羽月研究所を探せば良い。
とはいっても、素性も知らないおじさんにそんなことを言うモノではないがな。」
ふふ、と笑みを浮かべた。
両肩でセイルとフェリアがキューイ、キュイーと鳴いた。
「…こらお前たち、変なことを言うんじゃない。」
と、龍達に返しながら。
■雪城氷架 >
「じゃあ、色々落ち着いたら訪ねてみるよ」
出会った時よりも幾分か明るい笑顔で何度か手を振って、商店街を歩き去る
交わした言葉の数よりももっともっと沢山のものを抱えて、帰路につくのだった
ご案内:「商店街」から雪城氷架さんが去りました。
■羽月 柊 > 「………。」
手を振る氷架に小さく手を振り返し、龍達は翼を軽く広げて鳴いた。
「…簡単に終わる問題なら、良いんだがな。
俺とあいつみたいに…ずっと悩むことも無いだろうに。」
呟くように言う男の右耳には、金色のピアスが煌めいている。
龍達は何度か鳴き、男と会話をする。
「……分かっている。
はっきりと分かるまで、俺は諦めたりしないさ…息子の為にも。」
■羽月 柊 > 「…ところでフェリア、俺は確かに小さいのは好きだが、
そういう趣味がある訳ではないぞ。」
神妙な顔を消すかのように、男は桃眼でフェリアを睨めつけた。
睨まれた方の龍はというと笑うかのように鳴いている。
「全く……雛の餌を買いに来たはずが、とんだ道草だったな。」
■羽月 柊 > やれやれ、と柊は溜息を吐けば
大通りの方へと歩いていった。
ブーツの音は遠のいていく。
ご案内:「商店街」から羽月 柊さんが去りました。