2018/09/19 のログ
■神代理央 > 背後から投げかけられた声に振り返り、その声の主を視界に捉えれば僅かに片眉を上げる。
不機嫌と言うほどでも無いが、ご機嫌とも言えないような。要するに、熟れた何時も通りの仏頂面に近い表情。
「ほう、無事に生きていたか。ならば重畳。此方の傷は大したことはない。貴様こそ、元気そうで何よりだ」
しげしげと彼を観察してみれば、今の所昨夜の様に化物に成り果てる様子は無い。
取り敢えずは一安心かと思った矢先、彼から投げかけられた言葉に皮肉げな笑みを浮かべる。
「ストレスばかりかかるものでな。甘味で糖分でも摂取しないとやってられん。どこぞの誰かさんが、風紀委員の真っ当な任務中に襲いかかってきたりするしな?」
と、厭味ったらしく言ってみるものの、直ぐにその笑みは苦笑いに変わり、抱えた買い物袋を持ち上げて日用雑貨を買いに来ただけだとあっさり告げるだろう。
会話している間、常に目線を上に向けていないといけないのには内心閉口していたが。
■國宏一実 > 自分は犯罪者以外を傷つけてしまった。
もしも後遺症になるレベルで傷を与えてしまっていたら?そんなことを考えて正直怯えていたが、そんなことはなく安心した。
目の前の少年はいつも通りだ。
「俺もまだま死ぬ訳にはいかねェからなぁ。やることは腐る程ある。」
左腕はもう動かないが、自分の活動を辞めるわけにはいかない。
何とも言えない笑みを浮かべている相手を見ては、笑みを浮かべる。
「あーあー、分かってるよ。風紀委員様のお仕事を増やしてしまってごめんなさいでしたー。」
棒読みで相手にそう言う。反省の色は何一つ見えないだろう。
こうして話すのは初めてだろうか?やけに、なんというか、身長差がこうもあるとは思いもしなかった。
■神代理央 > 「…今一つ反省の色が見えないな。生徒指導室に報告して、放課後を暫く反省文の山で埋もれる生活にしてやっても良いのだぞ?」
棒読みで謝罪する相手に、呆れた様な溜息を一つ。
別にそんなことをするつもりは無いが、本当に悪いと思っているのかと疑わしそうな視線を彼に向けるだろう。
「全く。唯でさえ此方は忙しいんだ。余り此方の仕事を増やすような真似はしてくれ……何だ?」
小言の様な口調で言葉を続けていたが、彼の視線に怪訝そうな表情で首を傾げる。まさか、身長差について彼も考えていたとは思ってもいない。
屈強な肉体を持つ青年と、二回りは小さな風紀委員の腕章をつけた少年。周囲の群衆は、何事だろうかと好機の目を向けながら通り過ぎていくことだろう。
■國宏一実 > 「そいつァ勘弁してくれ。やること山ほどあるんだこちとら。」
大きな溜息を吐けば、苦笑いでそう答える。
一応悪いとは思っている、口に出すのが嫌なだけで。
「仕事を増やしたくないんなら少なくともこの島の犯罪者を全員消さなきゃダメだな。
いや、まぁ...お前って思ったより小さいんだなって。」
相手の頭頂部近くに手をかざし、そのまま自分に手を引き寄せ、胸辺りに頭が来ることを確認する。
こんな小さい奴が治安の為に戦っていたのか、なんて思いながら。
■神代理央 > 「ならば、反省する素振りくらいはきちんと見せる事だな。社交辞令だの上辺だけの謝罪というのは、世渡りに十分役立つものだ」
苦笑いを浮かべる彼に、ほんの僅かにではあるが呆れた様な笑みと共に肩を竦めた。
「その場合、最後に残る犯罪者はお前かも知れんな。犯罪者の定義にもよるだろうが。
……年齢差だ。年齢差。大体、誰もが貴様の様に無駄にでかくなれると思うな。体格差で戦闘の勝敗が決まる訳でもあるまい」
いつもの高慢な口調で告げたのも束の間。身長の話題になれば年齢差を強調しながら言葉を並び立てるだろう。
それは憤怒というよりも、歳相応にぷんぷんと怒っているという方が正しいだろうか。
風紀委員としての少年を知る通行人は『気持ち悪いものを見た』と言わんばかりに足早に立ち去る程度には、珍しい光景だったかも知れない。
■國宏一実 > 「はっ、世渡りなんて必要ねぇよ。群れるのは苦手なんでな。」
ずっと一人でいた自分には必要ない物だ。
実行する必要もなければ知る必要もない。
「最後まで残してくれるなんて優しいじゃねぇか。まぁそのときはお前に任せる。
ぷっ...くくく、まさかお前...身長気にしてやがるな?」
もし最後に自分が残ったなら、暴走した自分を抑えることができたこの男なら自分に引導を渡してくれるだろう。
そんなことを思いながら相手の話を聞いていると、急に噴き出した。
なるほど、先程までの表情といい、コイツは身長を気にしている。
普段とのギャップで笑いを抑えられなかった。
■神代理央 > 「一人で生きていく為にも、他者を敵にしないための方便というのは覚えるべきだと思うがな。別に、無理強いするわけでは無いが。
目的を達成する為の手段として、こういった腹芸も必要だろうと再び肩を竦める。
「仕事だからな。当然に義務だ。……まあ、その時は苦しまぬ様に始末をつけてやるとも。
………他者の体格について笑うのは、中々失礼なことだと思うがね。致し方あるまい。お前は明日から補講5週間にして―」
吹き出す彼に、むっとした様に口調と態度で抗議するだろう。
言葉こそ何時ものように大人びたものであっても、その態度と口調は正しく年齢相応のものであった。
尤も、そんな風景も此方の携帯が鈍い振動音を立てるまで、であったのだが。
「……チッ、相変わらず耳の早い。悪いな、そろそろここらで退散させて貰うとしよう。次に会った時は、今日笑った分の礼をしてやるから覚悟しておけよ?」
携帯に表示されたのは父親が支社長を勤めるPMCからのもの。
その画面を怒りと疲れが入り混じった様な表情で眺めた後、幾分温和な表情と物騒な言葉と共に彼に別れを告げる。
結局、体格について笑われたり、他愛もない世間話をしたり。そういった日常が今の自分に尤も欠けているものだったのかと、彼に背を向けて歩きながらぼんやり考えていた―。
ご案内:「商店街」から神代理央さんが去りました。
■國宏一実 > 「味方がいねぇからな俺には...。まぁ、考えとく。」
敵しかこの世界にはいない。奴らを潰すことだけが自分の存在理由だ。
「頼むぜ?悪人には悪人らしい最後ってのが欲しいんだ。
あー悪かったよ俺が悪うございました。」
補修が5週間なんてたまったもんじゃない。
相変わらず反省の見えない謝罪をすれば笑って見せる。
「あぁ?風紀委員さんはお仕事かい。おうさっさと終わらせて来い。」
さて、そろそろ自分も狩りの時間だ。
脳内で異形に語り掛けると待っていた言わんばかり肩に乗るように姿を現す。
「さて、そろそろいくか。居候?」
『アァ、リハビリトイコウカ』
ご案内:「商店街」から國宏一実さんが去りました。