2015/07/13 のログ
ご案内:「常世公園」に渡辺慧さんが現れました。
渡辺慧 > 月が出ている。

風が白いフードを揺らした。
公園の片隅にあるベンチ。
その一つ。

その上に、まるで死んでいるかのようにピクリとも動かない、白いパーカーを被った人影が、うつ伏せになって乗っていた。

白いフードを。風が揺らした。

渡辺慧 > ――。

公園には夏の音がしている。
樹が風で揺れる音。

その中に、微かにながら聞こえる――
小さな息の音。
それは、言ってしまえば。

ただの寝息である。

渡辺慧 > 時刻で言えば。
夜半。
夜中。
時計の短針は、日付を変えるために登りきろうとしている。

意図してこの時間になったわけではない。
ただ……寝ていただけ、それだけの理由しかなかった。

いつから寝ているのか。
果たして、それは。
まぁ、少年に聞けば、分かる事だろう。

相変わらず。
その、白いフードを頭に被った人影は。
ピクリとも、動かない。

ご案内:「常世公園」に紅葉 椛さんが現れました。
紅葉 椛 > 「どこだ……」

夜中の公園に黄色い影が駆け込んでくる。
裾の長いパーカーを着た少女は、草むらや遊具付近を走り回り、何かを探すような仕草。
何を隠そうこの少女、依頼の猫探しの途中だった。
その猫もただの猫ではなく、単眼種らしい。
つい先ほど見つけたのだが、思いのほか素早く、公園へと逃げられた。

「ああもう……聞き込みしなきゃ……
 もしもし、そこのお兄さん。起きてるー?」

ベンチで寝転がる少年へ近付き、声をかけた。

渡辺慧 > ――――……。
――。

接触する外からの接触。
声という衝撃は、深層に追いやられていた意識を浮上させる。
浮力は、生憎。足りていないようだが。

「……………ねー……てますー……」

うつ伏せの体制のまま、体は動かず。
うつぶせのまま。顔は見せず。
そのフードの下にあるであろう顔からは。
ひどく眠たげな声が漏れ出た。

紅葉 椛 > 目の前の少年からは寝てますとの返事。
なるほど、寝ているならば仕方ない。

「返事するってことは起きてるんだよね、おはよう。
 質問あるんだけど」

眠そうな様子は無視をする。
相手の眠気よりも猫探しの方が重要なのだ。
ゆっくりと近寄り、肩に手を伸ばす。

渡辺慧 > 接触。
物理的な接触。浮力に推進力としてつけたされた。
……生憎。今だ海面の下を揺らめく意識ではあろうが。
先程よりは、意識は、意識として存在した。

「………………今日は……7月10日前後ですよー……」

その意識はガラクタのようだったが。
フードの下で薄目が開く。
……黒い。いや、暗い。

――今、何時だ?

紅葉 椛 > 明らかに寝ぼけているように感じる。
はっきりとした応対をしてもらえないと楽ができない。
いっそのこと叩き起こそうかと思うが自重。
肩に置いた手に力を込め、揺らす。

「前後って言うにはちょっと遅いと思うけどー。
 とりあえず聞きたいことあるから起きてー」

ゆりかごやロッキングチェアーの代わりとしては些か強すぎる揺れを提供する。

渡辺慧 > 「……ねてます、ってば……」

揺さぶられる衝撃。いささか、違う意味で声が震えている。
しょうがない、とばかりに、体を起こした。

――と、したばかりに、ベンチから落ちる。

「ぎゅ……っぇ」
きゅう、と伸びた音が似合いそうなほどな落下の仕方。
しかしながら、その意識は海面へ浮上する。


――あれ。

「……………………太陽がない!?」
寝過ぎだった。

紅葉 椛 > 「うわいたそ」

落ちる様子を見て、少し同情気味に声を漏らす。
モノがモノならべちゃっと潰れそうな落ち方に見えた。

「太陽がないって……どんだけ寝てたの。
 ってことは猫、見てないか」

やや落胆。
ため息を1つ吐き出し、肩を落とす。
楽できると思ったのに。
そう小さく呟いた。

渡辺慧 > 「………………あ゛ー……」

顔をさすりながら、片手で、体を軽く起こした。
そうしながら、再び。
ベンチへ座りなおす。
相手の言葉は、あまり意識になく。
如何にも。今、相手に気付いた、とばかりに見つめ。

「……えーと」
「…………俺攫っても身代金は出ないよ」

寝起きゆえか。はたまた。元からか。
碌なセリフではないことだけは、間違いなかった。

紅葉 椛 > 「……は?」

素っ頓狂な声が出る。
まさか誘拐犯とでも思ったのか。
見た目からして明らかに少年より小さい少女を。
そう考えると、じわじわと笑いがこみ上げる。

「ふふ、お兄さん面白いね。
 こんな小さな女の子がお兄さんを誘拐できるわけないじゃん」

警戒を解こうと、そう嘯く。
少年が抵抗をしないのなら、攫うくらい難しくはないのだが。

渡辺慧 > 「残念ながら俺はか弱いから君にも攫われそうだけどな」

ぼぉ、と。した意識で、目の前の相手に視線をやり。
そして、ぼんやりと、辺りを見回した。
暗い。まるで夜だ。それはおかしい。
それはとてもおかしいことだ。
時計。目につく。それが指す時間は――。

「……寝過ぎ」
現実を己に与えてくれた。

あー……等と息を吐くように声を出しながら。

「……こんな夜更けに、少女一人。……やっぱり人さらい?」
しかしながら、そうなると。
人さらいをする側は。

「俺の方になるのか」
そんな思考をしたせいか、口元。顔。
そこに楽しげな笑いが浮かんだ。

「……で。……なんだっけ」
本当に。なにも。話を聞いていなかった。
伝わるなら、それが真実だろう。

紅葉 椛 > 「私もか弱いから、逆に攫われちゃうかもね」

栗色の髪を揺らし、くつくつと笑う。
楽しげに笑みを浮かべ、自分が人攫い側になるのか、と言った少年。
なんとなくこの少年は面白そうだ。
そう思考し、依頼を少しの間だけ後回しにする。

「ほんとに話聞いてなかったんだね。
 まぁ聞いてたらもっとまともな反応するか。
 猫を探しててさ、知らない? 白い毛並の単眼ネコ」

簡単に猫の容姿を説明する。
万が一知っていたら儲け物。
知らなければ手伝ってもらえるかもしれない。
そんな楽観的な考えをしていた。

渡辺慧 > 「か弱い同志か。そうすると、どんな結果になる事やら」

ワザとらしく肩を竦め笑う。
しかし。なにもこんな少女がこの夜更けに探さなくても――。
と、言ったところで。そんな思考は割合。ここでは例外が簡単に存在する。
決めつけるのは早計だし、逆に決めつけるのも早計でもある。だからこそ。

「一応言っておくけど。か弱いなら夜の外出は気を付けたほうがいいと思うぜ。俺みたいなか弱い人間にさらわれるからね」

「生憎俺は睡眠系の異能は持ち合わせていないからね。寝ていたら声は届かないし、寝ていたら視界は開けない」
見えたなら、そりゃ。夢の世界だけだろ。
なんて言って笑う。
回りくどい言い方だが。
単純に、知らない。
そういえばいいもの、なことだった。

紅葉 椛 > 「平和な結果になるんじゃない?
 お兄さんが変なことをしなければ、だけど」

にこり、と微笑む。
先程までは、こちらを人攫いと思っていた相手と立場が逆転していることが少し面白く感じた。
何かあっても服の下には多少の武器を隠している。
なんの問題もない───はずだ。

「まぁそうだろうとは思ってたけど。
 せっかくだから一緒に探してくれたりしない?
 名前はチーズって言うらしいんだよね」

声をかけた時の反応。
そして、太陽がないという発言。
それらが見ていないということを雄弁に語っていた。

渡辺慧 > 「生憎。君にさらうほどの熱意は抱いてないよ、何て言っちゃうのは失礼か」
「攫いたいほどの興味はあるけど、やる気はないよ、に訂正しておいて」
明らかに適当。だが、軽口としては一等級。
本音は如何にも分かりづらく。その中身にそこまでの意味はないようにしか思えない。
楽しそうな顔のまま、実にくだらない軽口。

「そりゃ犬だろ。……まぁ猫もいていいか」
「……単眼ねぇ。研究所はついに新種の生物でも作り上げたのかしら」

嘯きながら、視線を周囲に這わす。
――まぁ、いないだろうがね。

「君ひとりにして。後で人さらいの責任とらされるのも人生真っ暗になりそうだ。手伝わせていただきますよ、おじょーさん」
ん。と言いながら伸びをして立ち上がる。
座った時にはわかりづらかった、その少女の体の小ささに適当に視線をやり。
――常識は生まれてからの偏見の塊だったか。

適当に笑って。適当に、手伝いを受託した。

紅葉 椛 > 「まぁ初対面だしね。
 私もお兄さんを攫うようなやる気はないよ」

軽口を叩かれ、軽口で返す。
あまり嘘はつかない。
しかし、本音を言うこともない。
この程度の距離感が最適だろう。
楽しげな笑顔を浮かべて言葉を繋げる。

「どこかの異世界から来たのを捕獲したんじゃない?
 名前のセンスは置いといて」

釣られるように辺りを見渡す。
白い猫の姿は、見えない。

「ありがとう、お兄さん
 さっきこの公園に入ってったから、多分ここに居るはずなんだよね」

視線を向けられると、わざとらしく裾を引っ張り、太腿を隠す。
特に意味の無い仕草だが、たまに後々の依頼に繋がる。
手伝いを受諾してもらい、ゆっくりと草むらへと歩き始めた。

渡辺慧 > 「実は知らずの内に出会っているとかなら、世が世なら運命的なストーリーになるけどもね」

あぁ、見知らぬ少女は実は運命に導かれた人さらいだったのです。
大げさな、ワザとらしい、ただの一人の演技。
それを実に楽しそうにやっているのは。
まぁ、恐らく。――ただの、寝起きだからだ。

「にゃんで素性も知らぬ猫を君が探しているのかはともかく」
「いいセンスだ」

なんて言って笑う。
裾を伸ばす動作。
態々そこに注視することもなく。
失礼な、なんて嘯いて笑った。

迷子の猫さんが交番にたどり着く前に見つけられるかどうか。
迷い猫センターでもあればいいのだけれど。

別の方向へ視線を向け、やっぱり。
楽しそうにそうつぶやいた。

――生憎。猫の思考をトレースできるほど、猫にはなり切れていないから。

かさかさと吹いた、風の音に反応してそちらに歩き出した。

紅葉 椛 > 「運命に導かれた人攫いはやだなぁ。
 ロマンが足りないよ、ロマンが」

適当に返しつつ、くすくすと笑う。
眠気が強い時特有のテンションだからか、なんでも面白く感じる。

「ああ、猫探しのお仕事が来てね。
 面倒だけどご飯のためだから」

嘘をつく必要もない。
とりあえず本当のことを話す。
猫の行方はどこなのか。
草むらをかき分けてもみつからない。
どこなのだろう。草むらから出て、少年の方を見る。

突然、慧の向かった辺りから、白い猫が飛び出す。
瞳は青く、眼は1つ。恐らくは依頼の猫、チーズだろう。

渡辺慧 > 「喜劇としては最高だろうよ」
「ロマンはちょっとしたスパイスなだけさ」

視線と歩みを前方に据えたまま適当にかえす。

「仕事」
「なるほどね。運命に導かれた少女はアルバイターだったか」

実に……。あぁ、実に。愉快な喜劇だ。
まぁしかし。ならばだ。
勤労な少女のために、少し真面目にするのも、一つ。
自己満足の為には最適だろう。

――だから、気づく。
その白い影が、猫だということも。
そろそろおねむの時間だろうよ。

――少しだけ。
思考だけ、速くなる。

「……っと、っと」
足元をくぐり抜けようとするその白い猫を。
少しだけ加速した反応速度で危うげなく掴んだ。

「これで猫攫いのいっちょ上がりだ」

紅葉 椛 > 「おお、ナイス反応」

パチパチと小さく拍手。
股を抜かれるかもしれないと危惧したが、それも杞憂に終わる。
念のためにと足に込めていた力をゆっくりと抜き、少年へと近付く。

「いやー、ここまでうまくいくと運命も信じそうだよ。
 ありがとね」

そう言って少年へと両手を伸ばす。
猫を寄越せ。と言いたげな眼差しを送りながら。

「ああ、それと1つ
 アルバイトじゃなくて自営業かな。
 似たようなものだけど。
 依頼があったらだいたいなんでも受けるよ?」

そう言って伸ばした手を片方ポケットに突っ込み、紙を取り出す。
連絡先と 何でも屋 の4文字だけが書かれている紙を左手に持ち、少年へと差し出した。

渡辺慧 > 「お褒めに預かり光栄、でっす」

両手で、その猫の前足の腋の下を持ちながら、恭しく、ワザとらしく頭を下げた。

「ほらよ、猫攫い」
そう言って。人聞きの悪い事を言いながら。
楽しそうにその猫を渡した。

――。

「ふぅ、ん……」
「……なら」

「たまに、君に会いたくなった時にでも依頼させてもらおうかねぇ」

何でも屋。
何でも屋、その文字。はてさて――。
依頼することがあるなら、依頼する。
依頼することがないなら、依頼しない。
それだけの話。

さんきゅ。
そう言って、紙を受け取った。

紅葉 椛 > 「猫攫いだなんて人聞き悪いなぁ。
 なんにせよ、ほんとにありがとね。楽ができたよ」

猫を受け取り、笑顔を向ける。
これで帰って眠れる。
そんなことを考えながら。

「面白い依頼だね。
 それくらいなら今日のお礼としていつでも無料にしてあげよう」

少し偉そうに。
そういえば、と何かを思い出したように一言。

「自己紹介してなかったね。
 私は3年の紅葉 椛だよ。よろしく。
 って早くこいつを返してこなきゃ。
 君の名前はまた会った時にでも!」

じゃあね、と一言残し、慌ただしく公園を出ていく。
白い猫を持った少女は、すぐに見えなくなった。

ご案内:「常世公園」から紅葉 椛さんが去りました。
渡辺慧 > 「客観的に見て正しく意見を述べたまでー」
「いいってことよ」

なんたって――実に気分がよくなった。

「気が向いたら、是非呼ばせてもらおーかね」
自らの気が向く先を、把握できるわけもないから。
それはいったいいつになるかは――。

「人さらいに会うなよ少女」
見送りながら。

「……………――――えっ、年上?」
素で驚いて。
いや、この学園の学年制度で言えば、正しくそれが当てはまるとは言えないが……。

ひらり、と片手を振る間もなくいなくなった少女。
それを見送ると、再び。
先程のベンチへ座ると。

――そーいやまた。

「……だーれもさそえてねーな」
そう言って、独り言をつぶやいた。

渡辺慧 > 時計を横目で見る。
日付は変わり、昨日はいい日でも。
今日はどうだろうか。

学生は学生らしく。
こんなところに。こんな時間にこうしているのは不健全であるだろうが――。

風が吹いている。
ひどく心地いい。

風をせき止めるフードを、うっとうしげに脱いだ。

渡辺慧 > 「……つーか」

寝過ぎた。間違いない。
避暑のために、木陰のベンチに横たわり――日が落ちる前からそこにいたのだから、ひどく不審なものだったのだろうが。――。

休日。
――誰かを誘う努力。

心情は、恐らくひどく変化している。
当初よりは、ひどく――。

だけれど、行動にはまるで出ていなくて。
誰かに会えないだけなんて、言い訳にもならなかった。

自販機。
歩きより、ブラックのコーヒーを買う。

乙女ではない。
だから、まだ、夜は長い。
眠気などとうにとんだ頭で、コーヒーでその喉を潤した。

渡辺慧 > 自分は本来。――いや。
自由を求めるのは。――いや。
本当は、あの人達は。

――――いいや。

かぶりを振り乍ら、思考を忘れる様にコーヒーを飲む。

口の端を、無理やり然とした風にゆがめ。
猫のように笑った。

踵を返し、公園の出口へ向かう。
飲み歩き。少しの贅沢なのかもしれない。

ご案内:「常世公園」から渡辺慧さんが去りました。
ご案内:「常世公園」に鈴成静佳さんが現れました。
鈴成静佳 > ふぅ……暑っつぅ……。
(放課後。汗を拭き拭き、制服姿で公園を散歩する静佳)
(暇つぶしがてらに、学園地区や居住区を歩きまわるのがほぼ日課となっている。保健委員として、病人怪我人がいないかの見回りだ)
(とはいえこの時間はまだまだ暑い。帽子を持ってくればよかったと後悔する。バッグからスポーツドリンクを取り出し、口をつけながらの闊歩)
(とりあえずここまで異状はなし。木陰にベンチを見つけると、そこに腰を下ろし、一息つこうとする)

ふぅ……。さすがにこんなに暑いとランニングとかは無理ッスね。もう少し日が暮れてからでないと……。
(と、一人呟きながら、静佳はバッグからスマホを取り出す。タッチパネルを操作し、呼び出すのは、メールの受信履歴)

ご案内:「常世公園」に蒼穹さんが現れました。
鈴成静佳 > (自由人ゆえか、受発信履歴は同年代の子と比較すると少なめだろう。その受信履歴はメルマガめいた胡乱なタイトルで埋め尽くされている)

(……否。知る人なら知っているであろう。そのメールの多くは、「ゲマインシャフト」なる組織(?)から送付されていることを)

(静佳は数週間前、メールを受信し、返信した。『生きるということは素晴らしいことだ Yes/No』とだけ書かれた本文……)
(静佳はとくに深く考えることもなく、YESに近い返事を記して返信した。そりゃそうだ、静佳は人生を楽しみたいのだ)

(それ以来、この胡乱なメーリングリスト……というよりメルマガが届くようになった)
(静佳はそれを訝しみながらも、飛ばし飛ばしながら読んではいる)

蒼穹 > (テスト期間が終わってまぁまぁ日にちが立ったこの頃。
海開きに色々と初夏の暑さが感じられる。
学校帰りに、一足遅れでふらりと歩いて寄った公園。
鈴成とは逆方向からやってきたのか、間もなくベンチに座り込んだ彼女を見つける。
凄く暑そうにしていた。かく言う私も薄着ではあるが直射日光を遮るための帽子はない。)

やっほー、お久しぶり、鈴成さん。元気してたー?
(ゆるーく手を振りながら、今さっき携帯に目を落とした彼女に声をかけてみる。しかし熱いのはわかる。
不快的なジメジメとした熱さ。叶うなら日陰のそのベンチへと御邪魔させて頂けないかなーなんて思って。
ゲマインシャフトについてはまるで知る由もない。)

鈴成静佳 > ……げめいん……すちゃ? 何なんだろうなー、このメルマガ。情報は楽しいけどさ。
(メルマガの末尾に記された英字、Gemeinscha。残念ながら静佳はドイツ語に明るくなかった)

(……と、メールを流し見する静佳の前に立つ人影に、顔を上げる。その顔に笑顔が浮かぶ)
あ、蒼穹ちゃん! おひさー! アタシは元気ッスよ! 蒼穹ちゃんは?
(言いながら、ベンチの隣を手でぽんぽんと叩き、埃を払うしぐさ。隣に座るよう促している)
暑いねー、もう夏って感じッスね。蒼穹ちゃんは水着買った?

蒼穹 > おー、元気なら良かったーっ。
私?あっはは。見ての通り、元気元気ーっ!!
(わいわいと元気さをアピールしつつ。お、と埃を払ってもらったらいいのかな、と有難げにも促されるままにお隣に失礼。)
そだねー、すっごくあつい。
ん?私?…いやね、私あれ。カナヅチっていうの…?うん。だからさ、まぁ…あはは。
(目を合わせず乾いた笑いを溢して。)
な、夏って言ったら花火じゃん!!夜の砂浜でさぁっ!
(それについては結構悔しそうだった。だが、他に楽しみ方があるではないかと続けて。)

…んで。もしかして何かメールとかSNSとかのお邪魔しちゃった?
(携帯の外枠だけ一瞥して首を傾げた。先程なにかメルマガとか呟いていたことに懸念。)

鈴成静佳 > よかった、蒼穹ちゃんも元気そうで。まぁでも夏はこれからが本番だからね~、夏バテしないように栄養のあるもの食べなくちゃね!
(しばしスマホから眼を離し、快活な声で応える)
蒼穹ちゃんはカナヅチかぁ、でも波打ち際くらいなら大丈夫でしょ? 水着がないと夏はつまんないッスよ? アタシはもう買っちゃった!
……あーでも花火もいいッスね! ロケット花火とか! 蒼穹ちゃんはどんなのが好きなのかなー?
((自称)破壊神の好む花火とは。気になるところではある)

……っと、メールね。いや、暇つぶしに見てただけなんだけど。
(スリープに入りかけたスマホに触れ、明度を取り戻す。そして2,3回フリックして)
なんかねー、不思議なメルマガが届くようになったの、最近。どうも島の中のニュースっぽいんだけど、どれもアタシに馴染みのない地区の話っぽくて。
見てみる?(手持ち無沙汰に画面をこちょこちょ上下させながら)

蒼穹 > そだねー、夏バテ防止に。あ、マムシとか良いらしいよ!私は食べないけど。それと、カレーライスもいいんだってさ。
(程々に冗談も交えつつ、内心では彼女の言うことに全面的に同意し、頷く。)
あっはは。恥ずかしいけどね。水は泳ぐものじゃなくて壊すものとして認識してるからさ。
お、おおう…そっかそっか。あー、どーしよ。
どうするっかなぁ…んとねー、着物なり和服なりは買ったんだよ?
でもなぁ…水着かぁ。
(結構悩ましいっていうか。なんていうか。困った顔でううんと。)

あっはは、やっぱり、ちゅどーん、ってやってどっかーん。ってなる奴が良いよね。
芸術は爆発だって至言だとおもうな。そうそう、打ち上げ花火をロケットみたいに打ち上げるの、あれいいよねー!
(屈託のない笑顔で答える。破壊こそ至高。芸術なのだ。)

…ん?うん。見てみよっか。
(ぱっと、画面が戻った。ずれて行く画面。やがてお目当てのところに到着する。)
ふぅん…なんだろうこれ。
噂で何か聞いたことあるかな。ま、ただの噂さ。何か都市伝説みたいなもんらしいし、
気にしなくっていいんじゃない?
(気楽に答えを紡ぐのだった。多くは知らないのだから仕方あるまい。)

鈴成静佳 > あはは、マムシかぁ~……。ちょっとアタシは蛇は勘弁かな~。
(今は同居人のペットとして蛇……すなわち括流先生がいる。食べるなんてとんでもない。そういえば、あれから括流先生の件で何か進展はあったのだろうか……)
蒼穹ちゃんって水も壊せるんだ。水を壊す……(少し考えこみ)電気分解? あの実験は嫌いだったなー……。
花火もそうだけど、あんまり物騒な遊び方はしないほうがいいッスよ? 破壊神さんに言ってもアレかもしれないけど。フフッ。
(とはいえ、節度を持って遊べば花火は楽しい。線香花火よりはドラゴン花火のほうが好きだ。早く夏休みが来るといいな……と、夏の空を見上げる)

(そして、メルマガが届く発端となったメールを見せると)
まぁ、噂なんだろうけどね。怖い話も興味深い話も届くけど、今はまだ遠いところの話かなって感じはするッスね。
鵜呑みにするわけでもないし、無料の週刊誌程度に楽しむことにするッスよ。
そうそう、こんなメールも来たッスよ。見てみて……。
(フリックを繰り返し、先に見せたメールから数件離れた位置にあるメールを開く。そこには1枚の写真)
(題名は『ノーパンで満員電車乗ってる生徒見つけたったwwwwww』なるもの。添付された写真は満員電車のローアングル、何者か男の手でスカートを捲りあげられた、大きなお尻がほぼ丸見えになった赤裸々な姿……)
(しかし角度的に重要な部位は見えていない。腰から上は本人含め一切映っておらず、解像度も悪い。ほんとにノーパンなのかどうかさえ不鮮明だ)
アハハー、時々こういうえっちーな写真も混ざってるんスよ。なかなか楽しいッスよ!!

(笑いながら事も無げに写真を見せつける静佳。そのお尻がほかならぬ静佳本人のものだとは、本人以外知る由はないであろう……?)

蒼穹 > わかるわかる…蛇無理。きっしょいよねー。
(うんうんと頷く。破壊神っていうか、宛ら乙女で女子高生である。)
ぶっ壊したいくらい。
(やっぱり破壊神でした。)

うん。もっちろん、簡単簡単。あっはは、それはただの分解だねー。
ああ、因みに科学分野には明るいよ。水酸化ナトリウム水溶液を入れないと電気が通らない。
それから、水は酸素と水素でできてて酸素が―――
(とまぁ、語りは程々にしておく。)
あっはは、私にとっちゃまだまだ危ない遊びなんて出来てないんだけどなぁ。
ああでも、あれだね、皮だけじゃなくって右手の肉を抉られた時は流石にビビった。
(と言いつつ、危機感のない笑顔を浮かべる。)

ほうほう…、そう。
怖い話、ねぇ…そうだね、それがいいよ。
(その辺は安全の為にも同意しておく。それから、彼女から見せられたものを、んー?と覗き込む。)
おーけい、鈴成ちゃん。ちょっと待とうか。
顔を赤くするわけでも、笑うわけでもない。無論それが彼女の特殊フリーな事である等知ったことでもない。
ちら、と伺う。肌色の…足の様な何かだけが映っているのしか見えないのだろうか。)
ああうん、その…投稿者さんは妄想乙だね。

あのさぁ、私風紀委員だからね?幽霊だけど。あんまりこういうの集めるのは感心しないよー?
(苦笑い半分である。まさか彼女がそんな事をと思っている。)
…ま、程々にしなよ。欲求不満なんだね。そうなんだね。私悲しい。
(あまりノリ気ではない様だが、しかし。まるで自己完結という程にうんうんと頷く。ああ、彼女もこう言う年頃だものな―――
いやちょっとまて何かおかしい。)
あのひょっとして鈴成さん。まさかそっちの気?

鈴成静佳 > えー? 蛇かわいいじゃん! (口を尖らせ反論する)まぁそう思うようになったのはごく最近だけどさ……。
ダメだよ、嫌いだからって傷つけようとしちゃ。生き物なんだからね?(苦笑いを浮かべ、首を傾けて窘める仕草)

あー、うん、水の分解の原理は分かるッスよ。アタシこう見えて勤勉だから。でも実験は苦手。電気使うんだもの。
水を分解するような電気で感電したら絶対死んじゃうッスよ……(ぶるぶる、と肩を震わせ)
というか、え、肉を、抉られ……? ちょっと、蒼穹ちゃん、なんかまた危険なことしてんの?
(今度は表情から一切の笑みを消し、まっすぐに見つめる)
この前の図書館のときもそうだったけど、蒼穹ちゃん、なんか物騒なことに巻き込まれすぎだったりしない……?
幽霊とはいえ風紀委員だからかもしれないけど、アタシだって保健委員。友達が怪我するのはあまり好きじゃないよ。
お願いだから、危ないことに自分から突っ込んでいくのはやめ……(しばし逡巡する。相手は破壊神だ)……その、ほどほどにしてよね?

(と、眼光鋭く真面目な面持ちだった静佳は、またすぐにおどけた表情に戻る)
……とかいって、アタシもお互い様ってとこッスけどね。アハハー。
うん、こういう写真集めるのってよくないッスよね。じぽほーが何だかんだと。風紀委員に見せるもんじゃなかったッスね。失礼失礼!
(といって、スマホのスイッチを切る)
欲求不満といえばそうッスけどね。アタシ、変態ッスから。(当然であるかのようにさらりと)

蒼穹 > …えっ?そうなの?
(きょとんとした顔だった。)
いやいや、ウロコはグロイ、目もグロイ、それに最悪なのは舌だよ。ちろちろちろちろと。
あっはは、ごめんごめん。…良い子だねー…キミは。
(壊してばかりの自分とは、そういう所が違うのだろうなと、しみじみする。)

ありゃ、これは失敬。
…ん?あ、うん。そう…だね?
(おかしい。何かがおかしい。普通「電気分解」の話をしていて「死ぬ」なんてワードが出てくるだろうか?釈然としないまま震える彼女に違和感を覚える。ここは素直に頷くが、疑問符が頭の上に浮かぶことだろう。)

…ん?まぁ、ちょっとね。
いやいや、ただの遊びだってば。…ええと。
…ええっとね。…ありがと、勿論死ぬような危ない所に顔は出さないから安心して?
私だってそうだよ、お友達が傷つくのは好きじゃない。それは凄く分かるよ?
だから…うん、ほどほどにしとくさ。
(自身もまたいつもの軽い態度を抑えて、それはそうだと頷くばかり。言っていることは分かる。だけれどそれは危険な事ではなくただの遊びの一環で。)
ああ…図書館の時はもう大丈夫。
殺し合いをしてるわけじゃないんだ。殺し合いの舞台にも積極的には上がらないから、さ。
(その頷きは、戦況を殺し合いにさえならない様にする自信の表れの様でもあるし、素直に彼女の意図のままに受け入れたようでもある。)

…はぁ、いやー…分かってくれて何より。
まぁ、分かるよ。生きてる物は誰しもなんかの欲望に囚われなきゃなんないだろうさ。
(なんか達観している自称16の破壊神。)
ま、自分で変態っていっちゃうのは…うん。そうなんだろうね。自覚があるだけマシだよ。
(苦笑いする他なかった。多分冗談じゃないんだろうな、なんて思う。最近の倫理観はアレらしいが、こう言う面で彼女は奔放なのだろう。友人にそんな人が一人二人いたとして不思議でも何でもない。…はず。)

鈴成静佳 > (蛇の嫌いな箇所を淡々と述べられ、静佳も淡々とそれを想起する。そうすると、やはり蛇は怖い。舌はそれほどでもないが……)
んー、やっぱりアタシの知り合いの蛇だけ別格ッスかねー。くくる先生っていう保健の先生、蛇の姿で授業してるんだけど。知らない?
まぁ、無駄な殺生はほんとダメだからね。メッ!

(とはいえ、素直に言うことを聞いてくれる蒼穹さんには、静佳も笑みを取り戻す。破壊神としての享楽や自尊心などは知る由もなく)
うんうん。傷つくとか殺し合いとか、そういうのはアニメやテレビドラマの中だけで十分ッスよ。
アタシにはまだよく分かんないけど、蒼穹ちゃんは破壊神なんだよね。でも、人や生物を傷つけることなく「遊ぶ」こともできるんでしょ?
なら、そうしてほしいな。そうそう、たとえば花火とかね。フフッ、シーズンが来たら一緒に遊ぼうね!
(微笑みながら、さりげなく手を握ろうとする)
あ、大丈夫、アタシ変態とはいっても手当たり次第ってわけじゃないから。友達は友達!
(あえて口に出すとかえって怪しいか……?)

蒼穹 > …んー?知らないなぁ。いや、知ってるかもしれないけど、忘れちゃったかもっていうか。
誰だったかな。ん、分かった分かった。ほどほどにしとくさ。…あはは。
(殺生っていったら破壊することも入るのだろうか。きっと入るんだろう。困った顔で返事を曖昧に。)

もうここアニメやテレビドラマの世界じゃない?
ほら、昼頃バカでかいイカが現れたんだって噂になってるよ。
…はぁ、分かった分かった。出来る限りそうするさ。勿論、他にも遊ぶことは出来る。
花火も良いよね。ってかもうシーズンじゃん?買った?花火とか夏祭りの浴衣とか。
(す、と重ねた手。人や生き物を傷つけることなく、という彼女の本質は優しいんだろうなぁ、と心中で呟く。)
けどさぁ、ほら、一番やりたい事って言ったらぶっ壊すことなんだよねー…なーんて。今のは冗談。
(不穏な一言をつい漏らすが。)

ん、それで結構。っていうか誰彼かまわずだったら本当通報沙汰になるからね?
その辺注意しよう。…そっかー、鈴成さん変態だったのかー…。
(何とも言えない気分で彼女の表情をチラチラ伺う。)