2015/08/27 のログ
■ヨキ > (真面目な顔で、黙って蒼穹の話を聞く。
手のひらで頬や顎を撫でて、ふうむ、と息を吐く。
『もちろん誰にも言わんさ』と前置きして、)
「――つまり君は、その人物を『本当に助けてもよかったのか』悩んでいる、という訳だな。
そいつは人を殺して食べる。
自分がその命を助けてしまった以上、そいつがまた人殺しを重ねてゆくのではないか……と」
(目を伏せて、頷く。
腰の後ろ側へ両手を突き、上体を傾けた格好でゆったりと座り直す)
「ヨキは、その『人食い』について、今しがた君から聞いた以上の『体質』を知らん。
……『体質』については一旦置いておくとして。君はそいつの、『人となり』についてはどう思ったね?
自分が人殺しであるそいつを、『助けてもよい』と思えるような言葉や態度を――君に見せたことがあったか?」
■蒼穹 > そういう事、かな。
(要約すればそうなるのだろうと、と頷く。)
もわもわーってした話になりそうなんだけどさ。
今は大丈夫、とか何とか本人は言ってたけど…どうだか分からない。
人殺しする事を悪びれる様子もなかったし、
手を貸したなら最低限度でその殺戮の加担者だからね。
それに、どうも私らしくなくって、さ。
今更悩んだところでも仕方ないけど、スッキリしないんだ。
(もう、済んだ話ではあるのかもしれないけれど。
未だに、あれで良かったのかと思っている。
そこまで大きな後悔でも懸念でもないけれど、少しの迷いが生じている、気がする。)
ひととなり、…かぁ。うーん…分かんない。
ただ、まあ…悪い奴…じゃあ、ないの、かな。
人殺しは「食事の為」って悪びれずやるみたいだけど、お礼も謝罪も出来るみたいだし。
此方の要求にもそこそこ応じられるみたいだし…って言っても、これも実際どうだか分かんないんだけどね。
色んな意味で子供っぽい、って。それが印象。
結局、…助けても、良かった、って、そう…なのかな?
(押しが弱い一言。少々泳ぎながら彼を見遣る視線には、あたかもこの言葉を肯定して欲しいという意図を馳せてか。)
■ヨキ > (普段は朗らかな蒼穹が浮かべた陰りに、ゆったりと笑う)
「……なるほど。
人殺しは『食事のため』か。
じゃあ、もしも……例えば君が、傷付いて倒れていたとして。
誰か知った顔が、君の命を助けてくれたとして。
その命の恩人が、後日ヨキのところへ相談に来る……話の内容はこうだ。
『わたしは“悪魔の実の種子を発酵させた練り物”を好んで食べる異端者の命を助けてしまいました。
わたしの故郷では、誰もが忌避するあの麻薬! 彼女は快復ののち、あの邪悪な食物を再び口にするでしょう……』
その“練り物”の名前は“チョコレート”。
……ちょっとした例だが、どう思う?
100円でも握り締めてスーパーへ出向けば買えるその菓子を、咎められたとしたら」
(両手を緩く広げる。まるで座学の講義のように)
「生き物の食性など、そんなものだ。
人が『節度を以って』獣を食うのと同じで、そいつは『節度を以って』人を殺しているのではないか。
『これ以上、牛や豚を殺したら生態系が崩れる』『これ以上、人を殺したら生活が出来なくなる』。
人食いが『人を殺して生活が出来なくなる』ことの理由は、様々あるだろう。
ひとつは、“人間の数が減ることで自分の食物の絶対数が減少するから”。
もうひとつは――“法律ないしは社会通念によって、自分の立場が危うくなることを知っているから”。
それらの『理由』が、人食いにとっては『節度』の基準になる。
君が問題にすべきは、そいつの中の『節度』の在り方だ。
食性それ自体は、大した問題ではないよ」
■蒼穹 > …?
……??悪魔…?麻薬…?
(きょとん、と、話す内容に首を傾げて、時折零れる不可思議なワードを拾っては、
頭上にクエスチョンマークを浮かべる。)
チョコ、レート…。
(悪魔の実の種子が、カカオ豆。麻薬、邪悪な食物は、チョコレート。)
…成程。
その時は「何言ってるんだろうこの人って」って、そう思うだろうね。
(思い起こす。…あれは、確か。路地裏だったか。
財団が存在を認めない、存在していないとされる、そんな場所で。
社会にも認められない場所であったし、別段食に狂って食い荒らしていたわけでもなかった。
まして、あれ一人で生態系を崩せるわけでもなかろう。
彼の言葉の通りか、『節度を以って』の食事であったと言って間違いはあるまい。
彼の述べた二つの理由を、クリアしている。
何を食べているかを見るのではない。)
…あっはは、ありがとう。
そう、なんだろうね。…『節度』。
…うん。
じゃあ…食べてる物が問題じゃないんだね。
(美味い具合に返す言葉は見つからない。
だけど、この間の一件の語りもあってか、自分の記憶と照らし合わせて。頷く。)
だったら、あれで、よかったん、だよね。…多分。
(ほ、と一息漏らして。)
…ありがと。何となく、気が晴れた…気がする。
襲いかかられたのだけは癪だけど、謝ってたし…もういいかな。
ケータイ弄ってるとこごめんね。
…ふぅ、後期は美術、取ろうかな。今更遅いか。
それに私って絵心ないし。
(一つ謝罪を述べた後、笑い顔でそう付け足す。)
■ヨキ > 「君は学園の入学案内や、入島者向けのパンフレットを読んだことがあるか。
常世島は――『21世紀の初頭より現れた異能、魔術、異世界と、
現代の地球の文化を融和させ統合するモデル都市として、全世界にその門戸が開かれた』。
要はモデルケースなのさ。
人びとにとっては、すべての『異様さ』が。
異邦人たるヨキの体質も、人となりも……人間と獣の中間として。
『人は見かけによらない』丸きり鵜呑みにするのが正しいとは限らないが、大体はそうだ。
そいつが人を食らうことには、必ず理由がある。
君や君の親しい人を手に掛け、口にしたとしても――
そいつにとっては、君らがただ美味そうに見えただけやも知れん。
君がそいつを咎めてよいのは、その殺人が食性の範疇を超えたときだ。
腹八分目を超えて、大して食事をしたい気分でもないのに人を殺めたとき。
一族郎党を根絶やしにするほど、数多くを手に掛けたとき。
考えてもみろ。
『人食い』が人間社会で生活をしているんだ。
そいつにとって、この島は最高のビュッフェレストランに等しいだろう。
『食べ放題』にだって、ルールとマナーくらい在る」
(息をつく蒼穹の、肩をぽんと叩く)
「本当に善かったかどうかは、君がこれから判断してゆくことさ。
少なくとも――その瞬間、『そうすべきだ』と判断して手を伸ばした自分自身を、今は責めるべきでない。
もしも食事とは関係なしに襲い掛かられたのなら……次は一喝してやれ。
『人を襲って憂さを晴らすくらいなら、一緒にゲーセンに行こ』――とね」
(時計を見遣る。荷物を手に取り、ゆっくりと立ち上がる。
大らかに笑って、蒼穹を見下ろす)
「ヨキの授業へは、いつでも来るといい。モグリの聴講だって大歓迎だ。
誰だって最初は、絵心も腕もないところから始めるのだから。
――それではヨキは、そろそろ家へ戻るとしよう。
分かれ道まで、話しながら帰るか。このヨキが、君の話し相手に足るならね」
(誘って、小首を傾げる。
帰り道が二人かそれとも独りきりか、どちらにせよ最後には笑って別れる)
ご案内:「常世公園」からヨキさんが去りました。
■蒼穹 > …うん。
(全世界の門戸、どちらかといえば外からやってきた己ではあるが、しかし。
誰から誰を見ても、全てが異様で間違いないのだろう。
人食い以前に大量破壊の大罪人もいるし、この世はつくずくロクでもない。
食べることを悪びれないのは、当然だったのだろう。
そして、食べるながらでも、きっとアレはルールもマナーも守っていた。
揺れる右肩、斜めに見上げる。
彼もまた、異様の一人。
人と獣の間、と今名乗っていたが…差し詰め獣人か。
この間見えた、特徴的な歯を思い出す。)
あはは、そうだね。うん…。
そのセリフ、きっちり覚えておくよ。
(大きく頷き、屈託なく笑みを浮かべて見上げる。)
そう、なら…気が向いたら行こうかな。
ヨキさんの授業聞いたら、何か絵が上手くなりそうな気がするしー。
んー、そうだね。…キリの良い所まで、御話していこうかな。
あはは、十分すぎるって。ヨキさんは凄く言葉が上手だからね。
(ワンテンポ遅れで立ち上がる。手ぶらで身軽なその身なり。
帰るアテもないので、言葉通り、キリの良い所まで話したら、切り上げたのだろう。
別れ際に返すのは、やはりというか、いつもながらの馴れ馴れしさを多分に含む笑い顔か。)
ご案内:「常世公園」から蒼穹さんが去りました。
ご案内:「常世公園」にアーヴィングさんが現れました。
■アーヴィング > (昼も過ぎ夕方には少し速い刻限、公園の一角のベンチに背を預け、仰け反るようにして空を見上げる
ここは結構、気に入っている
この時間帯は木陰がちょうど良く日光を遮りつつ、空を見上げられる
最初は戸惑った噴水も今でも水の音が心地よく、程よい距離で定期的に起こる水の音が時間を忘れさせてくれる
そんな空に手を伸ばし、手の平をきゅっと、握りこむ)
やっぱ、遠いよなあ…空
(そうしてぽつり、と呟く
こちらでいくつもの出会いがあった
その中でここの空も悪くは無いと言われた
その中で死ぬ事について語った
自分の中で何かが揺らいだという気はしない、ただ、思う事がないわけではない)
ご案内:「常世公園」に嶋野陽子さんが現れました。
ご案内:「常世公園」から嶋野陽子さんが去りました。
ご案内:「常世公園」に嶋野陽子さんが現れました。
■嶋野陽子 > 昨夜の佐伯先輩の言葉から、今日の公務終了
と同時に風紀委員会から呼び出しがあるかと思いきや、何
の音沙汰も無いので、とりあえず公園で待機することにし
た陽子。噴水の前のベンチには、見慣れない男性がいる。
空をつかむような動きを見せている男性の方向に、
ゆっくりと近づく巨体に、いつ気がつくだろうか・・・
■アーヴィング > (アーヴィングの異能は三次元知覚能力である
魂装態や飛翔機でのブーストをかければ超音速での近接格闘域内の空間を立体的に把握できる
地上では様々な情報のノイズで識別領域はかなり短縮されるが
それでも自分に近づいてくる相手くらいは、判る)
休む場所探してんなら他ぁあたってくれや
ここに用があるなら…まあ、俺が掃けっけどな
(と、視線も向けずに)
■嶋野陽子 > 『休む場所探してんなら他ぁあたってくれや』
という彼の声に、
「休む場所も用も無いけど、しばらくこの辺で待機な
ので、今一番探しているのは、話し相手・・・かな?」
と答える陽子。声だけなら間違いなく少女のそれだ。
振り返らなければその声の主が巨大な筋肉の塊である
事はわからないだろう。
■アーヴィング > いや……初対面の相手にいきなり話し相手にっつわれてもな…
何話せっつんだよ、当たり障りのねぇ話なら俺選ぶ意味ねーだろがよ
(めんどくさそうに応えて手をひらっと振る
なにかしらの用がある、助けが必要、なんとなく話しかけた
他人に関わる理由は色々とあるだろうが
時間と暇を潰す相手となれば気が乗らないのが正直なところで)
■嶋野陽子 > 気乗りのしない相手を無理に話に付き合
わせるのも悪いので、一番最初に近づく気になったあの
手の動きだけ説明してもらおうと、
「判ったわ。一つだけ答えてくれれば、他に行く。さっ
き何で空をつかもうとしていたの?」と尋ねる陽子。
■アーヴィング > なんで……って言われてもな
理由なんかねーよ
風が吹けば手で受けようとする、水が流れてりゃ指で触れようとする
そういうもんじゃねーのかね?
(手は伸ばすためにあり指は触れるためにある
気を惹かれれば手を伸ばし
触れて確かめたくなる
そういうものだろう、とそれだけで
ただのクセのような物で)
■嶋野陽子 > 理由が無いほど当たり前に空をつかむ・・・
「風を手に取ろうなんて、まるで空に生まれた人のような
発想ね。お邪魔してごめんなさいね」と言うと、珍しく名
乗らずに踵を返す陽子。
機会があれば、また会うこともあるだろう。
ご案内:「常世公園」から嶋野陽子さんが去りました。
■アーヴィング > 産まれたんだよ、空に
(ぽつり、と呟き、去っていく背中に手を振る
そう、空だ
もう記憶も定かではない幼い頃
一つの原風景がある
一体どういう経緯だったかは覚えていない
覚えている光景は、父親に肩車され、空を見ていた
カエルーンで陸地の端は断崖となっていて、あとは無限に空が続いている
空の中に無数に浮かぶ群島世界、それがカエルーンだ
当時の自分は、それが世界の果てに見えた
どこまでもどこまでも続く空
そして流れていく雲
流され、遠くへ消えていく雲に手を伸ばし…握り締めた
おそらくその時だろう、精霊にギフトを授かったのは
自分の何が精霊を惹きつけたのか、それは今でも判らない)
■アーヴィング > (最初にここの空を見上げた時に思ったのは「違う」だ
カエルーンの空はどこまでも広く、そのくせ包み込むように近い
空の中に居る気分だった
ここは空の底にある気持ちにさせられる
だが、そこに郷愁の念という物がなかったと言い切れるだろうか?
自分は死んだ、やりきって死んだ
故郷で戦場に身を置くものに取って死は身近な物だった
決闘で、魔獣との戦闘で、あの虚空戦争で
だが、それで死んだと割り切ってしまうのは…遺された人達にとってはどうなのか
帰ってきて欲しいという願いはあっただろう
喪失感というものを得させてしまっただろう
それを割り切ってしまうのは……身近にあった死という安易な道を建前にしただけではないのか、と
死と向き合った友人にかけた言葉がある
その言葉こそ自分が考えるべきだったのではと、そう思うのだ)
■アーヴィング > (簡単に答えは出ない
思えば自分は戦うこと以外の記憶がほとんどない
人生経験の大半は騎士団で過ごした日々だ
そこでの出来事は濃厚だった
色々な事があった
それは充実していて…今の自分を形作る重要な要素がいくつもあった
ただ、当たり前の少年時代を過ごしていない
戦い尽くしだったわけではない
しかし、いつ出撃する事になってもいいよう、成人年齢になっても酒は飲まず
生活のすべてが騎士であるためにあったのは間違いない
この島で、当たり前の日常を過ごしながら、もう一度
きちんと考えてみるのも、ありかもしれない)
ご案内:「常世公園」にヨキさんが現れました。
ご案内:「常世公園」からヨキさんが去りました。
■アーヴィング > (もう一度、空に手を伸ばし、握りこむ
届かないから手を伸ばす
それはあの時の雲と同じだった
求めて…求めて、それでどうした?
あの日から翼を求め、騎士を目指した
そこにあったのは…ただ純粋な願いだったはず
ああ、たしかにここの空は、遠い
ただ、見方を一つ変えれば、こうも受け取れる
ああ……高いところから空を見下ろしているようで、悪くない
ベンチに寝転がり、飽きる事無く空を見上げ続けるのだった
日が落ちるまで)
ご案内:「常世公園」からアーヴィングさんが去りました。