2015/09/03 のログ
■鏑木 ヤエ > (その言葉を聞き終わるまでに幾度となく「なるほど」、と言葉は漏れた。
同時に小さくこくりと頷く様も何度もあった。
腕を組み、その言葉を受けてまた思考は廻り巡り)
(ただ一人の役者に向き合うのはただ一人の観客。
偏屈な、見てくれだけなら何処かのお嬢様かというような高貴な皮肉屋。
誰も観ていない、誰も興味を示さない夜の公園でその公演は執り行われる)
(女優は笑う。女優は言葉を紡ぐ)
「なるほど」
(観客は────、)
「人間は生きることが全部でありますから。死ねば、なくなる。
これは何時の時代だって変わることのない所謂アタリマエ、ってヤツでしょう。
自由であるとするならば。
ジブンの肉体に精神は拘束されているともいえないでしょうか。
ジブンの精神に肉体が支配されているともいえないでしょうかね。
───、それならばジブン自身が"モノ"である、ともアンタの話だといえませんかね。
ニンゲンも他のモノとも同じ、"モノ"。
ただ考えるアタマがあるだけの"モノ"だと言ってもいいんじゃねーですか」
(女優の言葉にまたひとつ疑問を投げかけた)
「ニンゲンも自由を持つなど、不自由を宣言することすらも烏滸がましい────、」
(なんでもないことをひとつ問うように。
──、否。なんでもないことをひとつ問う)
「そうともいえる気がしたんですが、女優さんならコレにどう回答を導き出しますか」
(鮮やかな紫色が女優の姿を捉えた。
悠然とした、舞台然とした彼女にただただ率直な疑問を、ひとつ)
(読み上げられる台本があるのならばそれを邪魔する悪趣味なアドリヴのような問いは。
真っ直ぐ真っ直ぐと舞台の上に投げかけられた)
「完全な自由と完全な不自由は決して存在しねー、ってのは納得ですね」
■『エフェネリカ』 > ふーむ、と。顎に細く小さな手を添えて考える素振りを見せる。
投げ掛けられる問いは、どれもコレも哲学的で難解。
故に長く長考をしてしまう。会話というのは難しいと再認識すると同時に。
彼は彼女は喜んで笑顔を見せるのだ。
なんと楽しいのか。なんと心地よいのか。これだから人と関わることは止められない。
内心は歓喜で満ち溢れる。
それが表に出て笑顔となった。
観客の問に長考を終えた女優は答えた。
「まずは一つ、納得して頂いて光栄です。
ですが、それ以外は納得してない様子。
私も聞いてみて確かにな、と。逆に納得をしてしまいました。
肉体に拘束されて、精神に支配されている。
なるほど、肉体と精神論の話も持ち出すのであれば、人間自体が既にモノなのかもしれません。」
真紅の瞳が紫の瞳を見据えながら、こう答えた。
「ならばこう考えてはどうでしょうか。
既に全員が"モノ"なのであれば、判断の基準を一つ下げる。
肉体に精神に囚われて、自由とも不自由とも呼べない半端な檻に閉じ込められたモノ達。
そんなモノ達が偽りの自由を手にして、偽りの支配をして。
モノ以下、名称付けるのも烏滸がましい存在へと堕落させる。
自由という言葉に不自由という言葉。
どちらも人が言葉として口に出すのは、烏滸がましいことか、はてさて?
自由という不自由に、不自由という自由の言葉に囚われてるままでは、正解は求められないでしょう。
回答とも言えない回答ですが、私ではコレが限界でしょうか。」
そう言って締めくくるのだ。
■鏑木 ヤエ > (哲学的で難解な趣味の悪い質問は嫌がらせなのか、果たして。
自分の思考と相手の思考の相違点を見つけ、それをつついて新たな疑問とする。
それが一体愚問であったとしても問いが止まることはないのだろう)
(笑顔を浮かべる女優とは対照的に変わらない表情。
ただ変わるとすれば先刻よりも幾らかその口調が早口になった、くらいだろう。
鬱屈とした表情でハイテンションに囀る様は随分とオカシな光景だ)
「ショージキなところジユウフジユウの話に精神論を持ち出すのは悪手かと思いましたが。
そのヒトだかモノだかが『自由』だと思えば変わらず『自由』なんでしょうし、
幾ら『自由』だったとしても『不自由』だといえば『不自由』なんでしょう」
(やる気なさげに、「自由って何なんですかねー」、と呟いた。
それは問いかけであったのか、それともただの独り言であったのか)
「下ンねーですね、そうなっちゃうと。
今やえと女優さんが話してるこのハナシですらも下ンねーハナシになっちまいますし。
それはそうであると認めたくはねーですしキチンと内容のあるハナシです。
だからここでやえの意見をいわせて頂きますよ」
(観客は、ふうと一つ溜息を吐けばゆっくりと頭を上げた。
三角座りをしたままに、しょうもない世間話をする一幕のように。
或いは───、)
「やえはジユウもフジユウも深い意味はねーと思うんですよ。
ただそこにあるのは自分だけ。自分が自分らしくあれるのがジユウ。
自分が自分らしくないことを強要され、自分らしくあれないのがフジユウ。
───、だからね。
判断の基準を一つ下げる必要は何一つねーんですよ。
全員が全員そうならそれがアタリマエになるんですから。
女優さんもやえも別に頭ひとつ抜けた存在ではねーですしね」
(井戸端会議のように)
「言葉に囚われない、それはとっても正解だと思います。なるほど。
それよりもずっと思うのはですね」
(小さく口元を吊り上げて)
「『自分の思考に呑まれない』のが一番の正解だと、自由だとやえは思います。
やえ自身もできてませんけどね」
(そこでゆっくりと立ち上がる。
舞台の上を女優があるくと言うならば言えば哲学の上を歩くように)
「長話にお付き合い頂きありがとうございました。
とってもとっても楽しかったですよ。
女優さんが、ジユウになれることを。忘れないうちは祈っときます」
(「やえでした」、と言葉を落とし。
観客はのぼった舞台からふ、と飛び降りた)
(残されたのは女優/彼/彼女を照らす電灯と、公園/公演の舞台のみだった)
ご案内:「常世公園」から鏑木 ヤエさんが去りました。
■『エフェネリカ』 > 言葉を告げて去って行ってしまった客。
彼女の意見を否定するつもりはない、それもまた一つの正解。
いかに自分として見れるか、自分を見失わないか。
それが大事であり、それが答え。なのかもしれない。
やえと名乗った客を見送り、最後にまた礼。
そして。
瞳を閉じた矢先に彼女は白き炎に包まれた。
瞬きする間もなくして、頭に白き角。背にはワンピースを破り一対の白い翼。
尾てい骨から伸びた白き尾は、スカートから飛び出して。
人ではない龍は言葉を出した。
「コレにて演劇は終了。また一つ知りたい人物が増えて私は嬉しいよ。
頭ひとつ抜けた存在な私は、やえ。貴方を知りたい。」
白き龍は欲する。知りたいという探究心を満たす為に。
今日の所はそのままの姿で居場所に帰るだろう。
後に落第街に帰る際にワンピースが破けてしまったことに後悔する。
背中が丸見えで下着も隠せてないのなら当然であった。
ご案内:「常世公園」から『エフェネリカ』さんが去りました。
ご案内:「常世公園」に蒼穹さんが現れました。
■蒼穹 > (平日の昼間。暑さも幾許かマシになってきたこの頃。
涼しいとは言えないけれど、暑い訳でもない。そんな微妙な…温いと言うべきだろう気候。
その時間は、お昼休み―――の前の、授業の時間だった。いつも通り、暇していた。
いや、暇と言うのは間違いだろうが、暇なのだから仕方ない。暇だ。)
はー、やっぱりサボって食べる御飯は最高だなぁ…。
(すっかり、人間の食生活に馴染んでしまったので、御飯とも言えぬ御飯を貪る。
コンビニで買ったスナック菓子…ポテトチップス関西だし醤油味なる物らしいのだが、
まぁ食べられれば何でもいいのだ。
…味的には、うすしお味の方が好みな気がする。
ヒョイパクの擬音語が似つかわしい様な食べ方で、手を止めず食べ続ければ、軈て袋は空となる。
公園に来て座ってから、袋の中に伸ばした手が空を切るまでには、そう時間はかからなかった。)
…ん?…あれ?もうなくなっちゃった?
ちぇー…。
(座ったままゴミ箱へと袋を丸めてスローイン。
空気抵抗が小さくなるよう、極めて小さく圧縮すれば、最早1円玉くらいにまで小さくなった。
数メートルはあろうかという距離を軽々と越して、ホールインワン。
幽かな気持ち良さと達成感に「よっし…!」と呟くが、何か虚しかった。)
ご案内:「常世公園」にリヒットさんが現れました。
■リヒット > ふわり……。どこからともなく、小さなシャボン玉が飛んできました。
それが白昼の公園で寛ぐ少女の目の前を横切ると、柑橘とラベンダーを混ぜたような、さわやかな石鹸の香りも漂ってきます。
「……おねーさん、なに食べてたの?」
蒼穹さんの頭上から、子供の声が響きました。
小さな身体を、ところどころ破れたビニール製の半透明のレインコート1枚で包んだ、小さな男の子。翼もなく宙に浮き、少女を見下ろしています。
着ているのは子供用の合羽のようですが、そこからぼやけて透けて見える体躯は、普通の人間の子供よりもさらに小さいように見えるでしょう。
その、女の子のように長い髪は、海の波のように蒼く、どこか透き通っているようにも見えます。実のところ、男の子か女の子かは一見わからないかも。
そんな子供が、蒼穹さんの目の前にゆらゆらと降りてきました。
■蒼穹 > (良い匂い、公園の晴陽の匂いではなく、洗われるかのような匂いが漂った。
シャボン玉が漂っている。昼間の公園だ。子供たちが遊んでいるのかもしれない。
ああ、楽しそうだな。あれ。ゆるい目線を横切る綺麗なシャボン玉に向ける。
ぼんやりと、昼休みの時間を過ごす中で…白昼夢でも見たのか。否、夢など見る機能はなかったはずだが。
何処からともなく、と言うよりは己の上から、声が聞こえた、あどけない、未成熟な子供の声。)
…ん…?
ああ…あれはね。
(ふるり、とまるで眠気を払う様にしてから首を声がした上の方へ向ける。
…人型の、小さな誰か。飛んでいる。異邦人が沢山いるのだからこの大きさも珍しくないのだろうか…?
揺らめく仄かな虹色が昼間の白い光と交わって、シャボン玉宛らに綺麗だった。
小さくて、綺麗で、幼くて、飛んでいる…これらの条件を加味すると、妖精さん、というのが正しい見解だろうか?
あくまでも、主観的な憶測だったが。
それにしても、今日は晴れのはずだったが、何故にレインコートを…これがちょっと珍しいと思った。)
ポテトチップスって御菓子だよ。
ちょっとしたおやつ。…キミもサボリ?それとも、もうお昼になっちゃった、かな。
(公園をうろついているのだし、きっと学生だろうと思って「サボリ?」と聞いたが、彼にその意味は分からないだろう。
己は座ったままだが、彼が地面に降り立って、己の目の前に降りてきても尚、見下ろすのが丁度良いくらいに小さかった。)
■リヒット > やや過ごしやすい陽気とはいえ、まだ残暑の季節。
少年は音もなく地に降り立ち、裸足を地面に着け……「あちちっ」と甲高く鳴いて、地面から10cmの高さを保つように浮き直しました。
それでも、座っている蒼穹さんを見上げるような体勢です。紺碧の瞳を丸く開きながら。
――青髪と、青い瞳。どこか似たもの同士かもしれません。
「ぽてとちっぷす……? じゃがいも? おねーさん、農家?」
首を傾げたり、せわしなく鼻をひくつかせたり。食べ物の残り香を嗅いでいるようです。
しかし『醤油』という調味料はリヒットは知りません。嗅いだことのない、どこかブドウ酢めいた芳香を感じますが、それもすぐ吹き流されてしまったようです。
常世島に張られた何らかの魔法効果によって、言語は断片的には分かるようです。
「サボリ……んーん、リヒットはおしごとしないよ。おねーさん、サボるとおかあさんに怒られるよ?」
リヒット視点では、蒼穹さん程度の年齢の少年少女は昼間は仕事に駆り出されているという認識なのです。
ふよふよと覚束なく浮遊しながら、少年は泳ぐようにレインコートの中で足をパタパタさせています。どうもコートの中には何も着けていない様子……。