2015/09/29 のログ
ご案内:「常世公園」に東雲七生さんが現れました。
東雲七生 > ──夕暮の常世公園

ベンチに腰掛けて、思案に耽る。
以前この公園に来た時──悪夢に浮されて無意識下でこの場所を訪れた時。

その時の“夢”が妙に記憶の隅に引っ掛かっていた。

「……公園。 この島じゃない、どこか知らないけど、公園。」

それは児童用の遊具に溢れた、
至って普通の、ありきたりな公園だった気がする。

だがその風景は、島内の大小さまざまな公園の、そのどれとも一致しなかった。

東雲七生 > 人差し指で、こめかみを軽く叩く。
何かスイッチが付いてるわけでもないが、そうする事で少しは記憶を手繰る手助けになるかと思い。
結果、大した成果は上げられなかった。

病室の様な部屋の中に居た記憶と、何処か知らない公園に訪れた記憶。

七生にとって、自分の過去と呼べそうなものは今のところそれくらい。

「……どっちが先で、どっちが後なのかも分かんねぇ。」

盛大に溜息を吐いて、前方へと足を投げ出すと、
背凭れに上半身全てを預ける様にして脱力した。

東雲七生 > 半分閉じた目で見上げる夕方の空は赤く。
その赤はどちらかと言えば、自分の髪や瞳の様な赤さではなくて、もっと暖かみのある橙に近い。

そんな他愛無い考え事へと思考をシフトさせて。
夕飯時までの時間をこのまま潰せるかどうか、少し案じてみたり。

「つーか晩飯何だろ……。」

ぽつりと、頭という受け皿から零れた思考が、口からも零れ落ちた。

ご案内:「常世公園」にリビドーさんが現れました。
リビドー >  

 暢気に公園を過ろうと足を踏み入れ、道中でおしるこを購入し、さて過ぎろう。
 ……そう思った所で、ふと、見覚えのある紅髪紅眼の少年を視界に認める。

 確か。覚えを掘り起こしながら、少しだけ近寄って声を掛ける。

「おや、キミは……この前の。」

東雲七生 > 「ほぁい?」

そういやファミレスで食べ切り損なったカルボナーラ。
今度いつ食べに行こうか、などとだいぶ飛躍発展した思考の外から声が掛かって。
間の抜けた声と共に、きょろきょろと辺りを探る様に動く紅二つ。
声を掛けたであろう姿を捉えると、ああ、とも、うう、ともつかないようなうめき声を上げて少しだけ居住まいを正す。

「どーも、えっと……リビドー先生、でしたっけ。」

先日、異邦人街でのドンパチの時に居合わせた魔術師。
それが学園の講師だったのを知ったのは、その後日だったけれど。

リビドー > 「そうとも。リビドー先生だよ。
 知っててくれるとは嬉しいね。……この前は助かったよ。」

 柔らかい雰囲気を作って浮かべ、もう1.2歩ほど歩み寄る。
 目線を合わせてみれば、それはほぼ水平――から僅かに下がるか下がらないか。
 ……身長はほぼ同じ位だろうか。なんてことも考えた。


「相手については置いておくとしても、見事な身体捌きだったじゃないか。
 若い身にしては素晴らしかったよ……と、そう言えば名前を聞いていなかったな。
 聞いても、良いかい。」

 ……異邦人街での記憶を掘り起こせば、彼の身体捌きが脳裏に浮かんだろう。
 おしるこを胸ポケットに仕舞いながら、そう語り掛ける。

東雲七生 > 「まあ、あんまり先生の顔と名前くらいは知っといた方が
 何かと失礼も無いっすからねー。」

へらへら、と緩んだ笑みを浮かべて答える。
只でさえ様々な年齢の生徒が居るのだから、年齢だけでは一概に“先生”だと分からない事もある。
老けて(見え)る生徒や、幼く見える先生なんてザラだから最低でも先生の顔と名前くらいは覚えておく必要はある。
少なくとも七生はそういった考えを持っていた。
それがたとえ担当科目を受講していなくとも、だ。

「東雲、っす。
 東雲七生。 まあ、取ってる授業が授業なんで。
 あれくらい動けないと、授業中何してたんだって話になっちゃうんすよね。」

あはは、と下手な愛想笑いを浮かべながら、ひらひらと手を振る。
“あの時”七生は不機嫌だった。
出来れば不機嫌な時の事はあまり思い出したくは無いものだ。
誰にどんな失礼を働いてるのか、思い出すだけで穴を掘りたくなる。

リビドー > 「ははっ、その心遣いは先生方は良く伝わるよ。
 ――ふむ、東雲七生。東雲君で平気かい。ま、改めて宜しく頼むよ。」

 常世島の教師は恐らく簡単に覚えられるような数でもなければ、その専門とする分野も幅広い。……と、リビドー自身は認識している。
 少なくとも、覚えようと意識する必要はあるだろう。失礼の無い様にと考えて、実行に移し切るのは中々に勤勉なものだ。

 好ましそうに眼を細め、口元を緩める。

「そう謙遜することもあるまい。
 いや、全体のレベルすら上がる程、担当の教師の腕が良いのかもしれないな。」

 素人相手とは言え、東雲自身より体格のある上に武装した対多数をいなす腕前だ。
 本人の資質や指導の良さ等に優れたものがなければ身に付くものでもあるまい。
 謙遜気味ではあるが、さて、彼の内心は如何程に。礼節としての謙遜か、そう思える程に激しい環境にいるのか。

(或いは、別の理由か。)

東雲七生 > 「うっす、東雲で大丈夫っす。」

そうそう居る苗字でもないだろう、と快く頷いて。
そもそも覚えよう、とはしているものの実際憶えられているのかどうかは七生自身首を傾げてしまう程度。
同性の教員ならともかく、異性の方は自分が受けている授業の講師くらいしか憶えられていないかもしれない。

そして、そんな少年の受講するものは大抵女性教員が指導につきたがらない様な物ばかりだった。

「謙遜で成績が上がるんなら幾らでもするんすけどね。
 生憎と、あの程度の、ちょっと素人に毛が生えた程度のを相手にして天狗になってらんねーんで。」

対魔物戦闘──それも異能の力に頼らない、己の身一つでの戦闘技術の修得。
七生が“学生として”最終的に目指すひとまずの目標の一つ。
その為に受けている授業の数々は、どれも生半な内容の物では無く。
その言葉に謙遜を匂わせる様な色は無い。

何処か諦めたような、苦笑いを浮かべつつ答える姿からもそれは窺えるだろう。

リビドー > 「ふむ。」
 
 ――、一応は額面通りに受け取っているらしく、特に疑惑を抱く様子はない。
 あの程度と言い放つ彼を見れば、それらが謙遜では無いことを窺い知る。
 とは言え、垣間見える諦観も察し取ったのだろう。言葉には出さないが、歩の少しだけ眉を潜めた。

「……随分と目標が高いみたいだね。
 東雲君程、武錬の目標を高く設定する生徒は――いないとは言わないが、そう居ないな。
 魔術や異能を使って、となると大分増えるが。」