2015/09/30 のログ
東雲七生 > 「あはは、みたいっすね。
 んまあ俺の場合は単に魔術は扱えないし、
 異能は戦闘向きじゃない……というか、そうぽんぽん使える類じゃないんで。」

必然的に、自分の肉体を鍛えないとなんすよねえ、と軽い調子で告げる。
目指すは人外との戦闘。その為には洗脳された素人やチンピラ風情は鼻歌混じりに倒せなければ。
そう語りながら見つめる先は、傍の教員では無くもっと遠く、大きなものを見据えていた。

「そういう、約束なんで。」

リビドー >  
「確かに、如何に魔術が使えず、異能が戦闘向きでないものであっても。
 戦う理由があるのならばそれを言い訳に逃げてもいられない。そうなれば自ずと身体を鍛えるしかないか。」

 軽い調子で告げられているものの、裏を返せばそれ抜きで何かを成さねばならない。
 調子からして/諦観からして、武術家として高みを求めるような求道者でもない。
 となれば。……そこまで思案した所で、零れる言葉を耳にする。

「……約束、か。
 その約束がキミにとってどれほど重い物なのかは、分からないが。
 それでも推測するのならば、大分……いや、探らない方が良いかい。」

 彼の強い動機であろう『約束』。
 ……其処に踏み込む前に、一つ、尋ねた。

東雲七生 > 「そうなんすよねえ。
 とはいえ、そもそも俺ってば腕力の方はてんで無いからどうにも道のりが険しくて。」

へらり、と困った様に笑いながら。
軽く頭なんか掻いたりしつつ、ふぅ、と小さく息を溢して。

「別に探られて痛いもんでもないっすけどね。
 ついでに言うなら重くもないし、固くも無いっすけど。
 
 ……まあ、その分聞いて面白いかっつーと、そんな事もないと思いますよ。」

頭を掻いた手でそのまま一度自分の顔を撫でて、
そうして最後に大きく伸びをした。首や肩が音を立てて鳴った。

リビドー >  
「確かに遠い道のりだ、が。
 案、最後に頼れるものは楽な道ではなく、険しい道を歩いて来た経験かもしれないよ。
 決して異能や魔術が楽な道とは言わないが、それらよりも厳しいものはあるだろうからな。」

 口元を緩め、何処か期待のような明るい感情を言葉に乗せて零す。
 大きく伸びをしつつ、"面白くはない話"だ――と、こぼした彼の様子を伺えば、
 口元を手で覆い、思案の後に応える。

「成る程。ボクとしては興味があるが、キミにとって面白くない話を語らせるのも気が引けるな。
 どうしても聞きたくなるような事があったら、問わせて貰う事にするよ。
 ……でも、そうだな。変わりに浮いた話でも聞かせてくれないかと尋ねたら、怒るかい?」

 それこそ冗談交じりに、おどけた調子で尋ねてみせた。

東雲七生 > 「そういうもんなんすかねえ……?
 異能や魔術を使う人らだって、制御とか鍛錬とかってのしてるじゃないっすか。
 ……んまあ、自分の糧になれば良いんだって事は分かってんすけどね。」

すこしばかり納得のいってない風で呟く。
が、実のところ理解が追い付いていないだけで不満があるわけでも無い。
その証拠に、次の瞬間にはけらりと笑みをこぼして。

「浮いた話なんて、それこそ無いっすよ。
 いや、年頃の学生としてそれもどうかとは自分でも思うんすけど。
 ……どーにもちょっとばかし、そういうのは俺には早いと思って。」

一度手痛い経験をしているだけに、踏ん切りがつかないともいう。
そんな本心は屈託のない笑顔の裏に隠し、先生こそどーなんすか、とブーメランを往なした。

リビドー > 「それを否定する訳ではないよ。
 が、 例え十全に制御出来たとしても異能や魔術は不安定なものだからね。
 強力・あるいは有能な反面、基本的な物理法則と"異なる法則"を動かす事になる以上、
 どうしても歪みの出るものとしてボクは認知しているよ。」

 一つ答えを告げてから、彼の笑みを眺めてから聞けば零すような笑みを、冗談のように弾んだ声色を転がせる。

「早いと思うが興味はある、か。
 ははっ、早い早いと思っているといつの間にか旬を過ぎてしまうよ。
 手痛い経験もいい経験になるかもしれないとも。
 
 ……ん。先生かい? そうだな、こっちに来てからはさっぱりだな。
 正直少し寂しいものではあるが、捻くれ者の先生には中々春が来ない見たいでね。」

東雲七生 > 「不安定、っすか……。
 んん、よく分かんねえっすけど少なくとも何にせよまず土台がしっかりしてない事には始まらねえと思うんすよね。
 ……とはいえそれを教わったのは、また別の先生からなんすけど。」

小さく首を傾げながらも、分かった様に一つ、頷いて。
そうして今度は、苦笑めいた笑みを浮かべて言葉を続ける。

「旬も何も、俺まだ15っすからね。
 少なくとも今までの人生分は余裕があるんで!
 ……まあ、だから、いずれは。とは思ってるんすけど。

 ははーん、なるほどー。
 まあでも先生見た目若いんだし、これからじゃないっすか、これから。」

何の保証も無いっすけど、とけらけら笑いながら軽口を叩く。
別に授業中どころか、ここは学校内でも無いのだからこれくらいは許されるだろう、と。

リビドー > 「そうだな。基盤は重要だな。」

 くす、と、柔らかい声を転がし、そのままの肯定を見せる。

「そりゃ確かにこれからだ――ふむ。モテそうな顔と性格はしていると思うんだがね。」

 ボケにすら見えるような思案げな真顔呟く。
 本気で言っているのかのかもしれないし、そうしてみせることによる冗句交じりなのかもしれない。
 とは言え言葉に悪意はなく、まるっきりの嘘を言っているようなそれではない。

「……ははっ、ボクもこれから、か。そうだと良いんだがね。さてしかし、こんなボクを愛してくれる人が居るんだろうか――っと。」

 諦観交じりに声を吐き出し大きく伸びをする。
 その後に、先程拾ったおしるこの缶をベンチの上に置いた。
 大分ぬるくなっているが……。

「大分好い時間だ。ボクはそろそろ行くとするよ。
 ……ああ、話を聞いてくれた、聞かせてくれたお礼にこれをあげるよ。
 大した事もない、あるいは邪魔にすらなるかもしれないが。ま、気が向いたら持っていってくれ。」

東雲七生 > 「んだから、俺はまず体鍛えようって思ったんすよ。
 それを教えてくれた先生も、そう言ってたし。」

その結果能力に何かしらの影響が加われば良し。
能力に影響が無くとも、そもそも能力を使わなければそれもまた良し。
特に損をする事もないから、と軽く言う割に選んだ道はだいぶ険しい物だけど。

「あははー……モテるにはどうも男らしさが足りないっぽくて。
 クラスでも割と、というか、ほとんど年下扱いっすし。」

先生もそういう経験無いっすか、と幼く見える顔を覗き込むようにして見上げる。
くりり、と探る様に動く紅色がすっ、と細められて。

「それこそまあ、これからの事だから分かんないっすよ。
 ほら、最後に頼れるのは険しい道を歩いてきた経験ってさっき言ってたじゃないっすか。」

にんまりと笑みを浮かべてから、あざーっす、と軽い調子で礼を述べて。
ベンチに置かれた缶しるこに手を伸ばした。
夕食を控えているので、これは食後に飲もうと制服のポケットにねじ込み。

「別に大層な話も出来なかった気がしますけどね、俺は。
 それじゃあ先生、また明日!」

ひらり、と手を振って見送ろう。

リビドー >  
「そうだな。身体を鍛えるのが良いだろう――ふむ。
 確かに、似たような経験は多いな。学生に間違えられる事は多い。
 流石に鍛えている分女子に間違えられる事はあまりないが、それでも肉付きの良い女子に見られたこともあったよ。」


 冗句めかしつつも、言葉には体験による経験を語る事による同意を示す。

 丸い瞳が細められた様を見て、聞いた。
 少しの間を置いてから、くつくつと笑い声を漏らす。


 「ははっ、そうだな。確かにその通りだ。
  一本取られたぜ、っと……ああ、また明日。」


 最後に同じ様に眼を細め、苦笑交じりの笑みを零す。
 そうやって笑みを浮かべてみせれば、ゆっくりとを踵を返す。

 ……片手を挙げて別れの会釈を重ねれば、ゆっくりとその場を去った。

ご案内:「常世公園」からリビドーさんが去りました。
東雲七生 > 「流石に俺は、女子とまではいかないっすけど……」

間違われたらどうしようか、と一抹の不安が胸を過る。
しかしそれをすぐさま否定して、軽く息を吐くとベンチから腰を上げた。
去っていく後ろ姿をしばし眺めた後、再び大きく伸びをして。

「浮いた話、かあ……」

やっぱり自分にはまだ早い、と小さく呟き。
心にじゃらりとした音を立てると、お汁粉片手に家路へと就いた。

ご案内:「常世公園」から東雲七生さんが去りました。
ご案内:「常世公園」に黒谷 知来さんが現れました。
黒谷 知来 > 「……うぅん……。」

日が落ちた常世公園。悩む少女が一人。

彼女の前には大きな直方体の機械が設置されている。
規格で大きさが決められているとかなんとか聞いたことがあるが
記憶違いかもしれないし正直興味もない。

その機械はかすかに音を立てながら震え、
目の前の少女のアクションを待っている。

窓の中にはさまざまな商品のサンプルが並び、
値段表示とボタンがついている。


つまるところ、少女は自販機の前で何を買うか
延々と悩んでいるのであった。

黒谷 知来 > 本来、悩む必要などない。買いたいものを買って飲めば良いだけ。
けれど少女には悩む理由があった。

「……困った。」

少女のポケットには100円玉が一枚、10円玉が三枚。
そして1円玉が四枚である。

ペットボトルの商品を買うにはやや不足。
缶入りのものなら問題なく買える。


だが。


今日はよりによってものすごく暑いのだ。

暦の上では秋になったが、まるで夏が帰ってきたのではないか
と思えるレベルの酷暑。

秋となった今、自動販売機のラインナップは
ほとんどが『あったか~い』に変更されている。

「……冷たいものが飲みたい。」

黒谷 知来 > そして悩む理由がもうひとつ。

少女は財布を持ってきていない。
さらに、電子マネーをチャージしたカードも部屋に忘れてきた。

もしかしたらまたどこかに落としたのでは、という嫌な想像を
頭を振ってかき消す。
部屋に帰ればちゃんとおいてあるはずなのだ。

それはさておき。

今日、少女は財布を忘れたおかげで昼食をとっていない。

部屋に戻って食事を取る予定だったが、今度は部屋の鍵を学校に忘れてきた。

つまり、これから学校に戻って鍵を取りにいかなければならない。

だが、少女は貧血気味である。
昼食抜きでまた学校に戻り、それから寮に帰るには
体力が少々不足していた。

黒谷 知来 > そういうわけで、自販機で何か飲み物を買って一休み。
それから学校に鍵を取りに行く予定だったのだが。

「……うーん……。」

手持ちの小銭だけでは少々心許ない。
この後貧血で倒れたりしては話にならない、ということで
何を買うのが最適か、ということを考え続けていた。

すでにいくつかの商品は選択肢から消去済みである。

黒谷 知来 > まず、真っ先に選択肢から消えたのは『あったか~い』飲料である。
何しろ、暑い。できることなら飲みたくない。
これについては考えるまでもなかった。

次に選択肢から消えたのはブラックコーヒーと炭酸飲料。
これは単純に好みの問題である。
苦いコーヒーは飲めないし、炭酸飲料はどうも口に合わない。

つまり、これ以外から選べばいい。

じっとラインナップを眺める。

黒谷 知来 > ふと、商品の下に書かれた値段に目が行った。

ボトル飲料はほぼ全てが150円以上。手持ちのお金で買うことができない。つまり除外。

端っこのほうに栄養ドリンクとカロリーブロックが置いてあるが、値段はそれぞれ160円と200円。これも除外。

仮にお金が足りていたとしても、栄養ドリンクはともかく
カロリーブロックなど買おうものなら口の中の水分を吸い尽くされて
取り返しのつかないことになるのは目に見えている。

事実、一度そのような光景を目の当たりにしたことがある。
あれもたしか自販機の前だった……。

首を振って忌まわしい記憶を振り払い、再び自販機に向き直る。
ともかく、選択肢は減ってきた。
あとは最適なものまで絞り込めばいい。

黒谷 知来 > ミネラルウォーター。110円。
500mlから、大きなもので550mlのものまである。
少女はミネラルウォーターがそこそこに好きである。
故によく買って飲んでいる、のだが。

今日はこれを買うべきではない、と感じた。
何せ、ただの水である。

昼食抜きでわずかでも栄養を求めている体が水で満足してくれるだろうか?

答えは否である。これも除外。

黒谷 知来 > じっとスポーツドリンクのボトルを見つめる。
ボトル飲料の中では安い140円。500ml。

「……ぐぬぬ。」

わずかに、足りない。

疲れた体にこれを流し込むことができれば問題は解決したのに、と思わなくもない。
が、買えないものは買えないのだ。
諦めて別の選択肢を探す。

黒谷 知来 > 続いて、たくさん並ぶコーヒーのシリーズに目をやる、のだが。

(高っか……)

並んでいる缶コーヒーはどれもこれも値段が高かった。
一番安いブラックコーヒーがぎりぎり手の届く130円。
だがこれはすでに除外済みである。

ミルク入り、砂糖入りなどいろいろなものが並んでいるが、
その値段は140円を超えるものばかり。
手が出るものではない。

仮に手が届く値段だったとして、自分はこれを買っただろうか?
ミルクや砂糖で緩和されているとしても空きっ腹にコーヒーは
少々きついのではないだろうか。

そう考えて、少女はコーヒーへの未練を断ち切る。
選択肢は、どんどん減っていく。

黒谷 知来 > アイスココア。130円。
手の届く値段。そこそこの量。そして何より自分が好きな飲み物。
普段なら迷わずボタンを押していたこと間違いなしの飲料。

だが。

「よりによって……。」

お金を入れる前から、そのボタンだけ赤いランプが点灯している。
浮かび上がるのは無慈悲な『売切』の文字。

なんだろう。前にも大事な時にこの商品が売り切れていたような。

嫌な記憶が蘇り、もやもやした気持ちが胸の中で渦巻く。
何度目になるか、首を振って雑念を追い払った。

今変なことを考えたら、下手を踏めばこの飲み物が嫌いになってしまうのではないか、などという錯覚さえ覚えた。
今はそんなことを気にするべきではないのだ。

黒谷 知来 > 缶入りのお茶。120円。
無難なところだ。けれど、それを選ぶのを少女は躊躇う。

普段は確かに何も考えずに飲んでいるお茶。
けれど、本当にこれを選ぶべきなのだろうか。

栄養価が低いとは言えない。むしろ飲み物の中では高い印象さえある。
だが、お茶はなんとなくカロリーが少ない印象がある。
じっくり表示を読んだ経験がないため確信は持てないが、
0カロリーといわれても納得してしまう気がする。

昼食抜きでエネルギーを欲している体は、果たしてお茶を飲むだけで
これからの道のり耐え切ってくれるのだろうか。
確信は持てない。
除外することはできないが、積極的に選ぶには少々勇気がいる。

黒谷 知来 > オレンジジュース。140円。
残念だが手の届かない値段だ。

お茶よりはカロリーも高そうな印象があるし、
なんとなく悪い選択肢ではない気がしたのだが……。

あと一枚10円玉があればよかったのに。
ちらっと周囲を見渡して小銭が落ちていないか
確認してしまった自分に自己嫌悪。

黒谷 知来 > 青汁。130円

論外。除外。

むしろなぜおいてある。飲みたくない。

黒谷 知来 > 減っていく選択肢。
とうとう残りはごくわずか。

「……ん。」

目に留まったものがある。
パック入りの牛乳と、豆乳。

値段はどちらも130円。
はたして、どちらを買うべきだろうか。

黒谷 知来 > どちらも似たようなもの、だろうか。
それとも案外隔たりがあるのだろうか。

少女はじっと考える。

牛乳は動物性たんぱく質、豆乳は植物性たんぱく質。
なんとなく、前者のほうがエネルギーになるのでは、という気がする。
もちろん知識から導き出したものではない。単なる印象である。

けれど、印象というものは大事なのではなかろうか。
世の中には偽薬効果というものもある。
なんとなくそう思える、だけでもいいものではなかろうか。

けれど、豆乳は豆乳でお腹に優しいイメージがある。
あくまでイメージである。印象である。

空きっ腹に流し込むのなら少しでもお腹に優しいもののほうがいいのではないか、などと考えてみる。
実際には大して差はないのかもしれないのだが。

黒谷 知来 > しばらく考えて、豆乳にしよう、と思い立った。
たいした理由ではない。
ただ、普段買い物をするときは牛乳よりも豆乳のほうが大体高い。

同じ値段で買えるなら、高い印象があるほうを買ったほうが
ちょっぴりお得な気がしたのだ。

一体飲み物ひとつ買うのにどれだけ時間をかけているのか。
傍から見たらずいぶんとおかしなものだろう。

そんなことを考えながら、自販機に小銭を投入。
ボタンを押して豆乳を購入した。

黒谷 知来 > 「……あ。」

ふと、自販機から戦利品を得て思い出す。
自身の持つ『異能』の存在。

普段、こういうときに限って悪さをしてくることも多いのだが、
幸い今回はそうはならなかったらしい。

ふと、そのとき電子音が聞こえた。

聞きなれない音。何の音だろうか。

きょろきょろとあたりを見回し、自販機に取り付けられたディスプレイに目が行く。

そこには『あたり』の表示が出ていた。

黒谷 知来 > 「……あー。」

ぽかん、と口を開けてそれを見つめる。
なぜだろうか、一度しか顔を見たことのない大柄な先輩の顔が
頭を過ぎった。理由はわからない。

ただ、なんとなく。なんとなく自販機にまつわる忌まわしい記憶が
今日に限って妙に思い出されるだけ。

「……まあ、いいか。」

気にしないことにする。気にしてはいけない。
少ない所持金で2本の飲み物が買えればそれは得というものである。
そのまま、こんどは牛乳のボタンを押す。

黒谷 知来 > がこん、と飲み物の落ちてくる音。
そして気づく。気づかなければ良かった事実。

自販機の『あたり』が出れば無料でもう一本。

つまり、所持金が足りなくて手が出なかったほかの飲み物に手を出してもべつに構わなかったわけで。

豆乳の水分があれば、カロリーブロックでお腹を満たすことさえもできたわけで。

「……やってしまった……。」

結果だけ見れば、総合的には得である。
130円の所持金で、2本の飲み物が買えた。

けれど、逃がした魚は大きい。
気づいてさえいれば、もっと大きい成果を得ることもできていたのである。

「……はぁ……。」

両手に1本ずつ紙パックを握り締め、少女はため息をつく。
視界が一瞬暗くなったのは貧血のせいだということにしておいた。

黒谷 知来 > 別にすぐに飲み干して鍵を取りに行っても良いのだが、
今の件が思ったよりこたえたらしい。
すこし休みたい、という気持ちが今は強い。

自販機の横にはゴミ箱とベンチが設置されている。
少女はベンチに腰を下ろし、ため息をついた。

すこしだけ、ここで休んでいこう。
休んだら飲むもの飲んで、鍵を取りに行けばいい。

黒谷 知来 > 紙パックにストローを突き刺し、ゆっくりと飲み干す。

「……んむ。」

体調は万全とは言いがたいが、貧血で倒れることはないだろう。

軽く伸びをしてゴミ箱に紙パックを捨て……

「……えー……」

捨てられなかった。
備え付けのゴミ箱はペットボトル専用のものと、缶専用のものだけえである。

紙パック飲料売ってるのに。

そこはかとない理不尽を感じつつ、学校に鍵を取りに歩く。
結局、寮に戻れたのは日付がかわる直前になってしまうだろう。

ご案内:「常世公園」から黒谷 知来さんが去りました。