2016/08/16 のログ
東雲七生 > 「んまあ、いっか。」

お盆に帰る実家が無くとも、七生には家がある。
むしろ今住んでいる……もとい、居候している異邦人街の家が実家のようなものだ。
今の七生にとって、あの家こそ帰る場所であり普遍的な自分の居場所である。
そう考えたら、少しだけ気が楽になった。

「んんー……よし。良いぞ。
 このメンタルの立て直し方は良い。」

すごくいい、と自画自賛しながら軽く肩を回す。
毎日の様に海で泳いでいたからか、少しだけこってるようだった。

ご案内:「常世公園」に滝川 浩一さんが現れました。
滝川 浩一 > 「はぁ……」

リュックを背負い、ため息交じりに公園に入ってくる少年が一人。
何かあったのか纏う空気は何処となくネガティブなそれであり、お世辞にも明るいとは言えなかった。
ふと横を見ると通称「魔物」と勝手に呼んでいる自販機を発見する。

(公園に来てたのか…帰巣本能か?動物じゃあるまいし…)

ため息を一つつき、フッと笑うと財布を取り出し、自販機に500円を入れる。
自販機の小さなモニターに500と表示されると、光るジュースのボタンを押す。
目的のジュースはおしるこコーラ。女性人気が高いこの飲料品を利用しようとする。

しかしボタンを押した瞬間、光は消え去り、500という表示も暗黒に包まれる。

「あ~またダメだったかぁ~…お前つええよ~」

その自販機に喋るように独り言を呟く。
お金を食われたのにも関わらず、その表情は特に嫌そうな顔はしてなかった。

東雲七生 > 軽く肩の凝りを解す様に腕を回して、ついでに首もぐるぐる回してふぅ、と息を吐く。
いつまでもこうしてベンチに引っ付いているわけにもいかない。買い物をしに出て来たのだから、買い物をしなければ。

「よっし、休憩終了。」

ベンチから腰を上げて、さて最寄りのスーパーに行こうかと公園の入り口の方を見れば。
何だか自販機と親しげに話している姿が見えて。

ああ、うん。暑いもんな、なんて思ったら見知った顔だった。
つい昨日海の家で相席した同学年の、確か名前は──

「……滝川、だっけ。」

滝川 浩一 > 「まぁ…また来るぜ」

自販機にサムズアップする男。決して暑さにやられた訳ではないが、熱いのは事実だ。
何処か木陰で休めるところはないかと探していると、ちょうど木陰にあるベンチとそれの近くにいる男性を発見。

「彼は…東雲さんか!」

彼は先日海で迷惑をかけて一方的にお礼した男性その人じゃないか。
ちょっと関わりづらいがここは一つ、勇気を振り絞りその男性へと接触を試みる。

東雲七生 > 「……えーと、おっす、どうも。」

流石に多種多様な友人知人と交友関係を持つ七生でも、自販機と親しげに話す知り合いはそう居ない。
どんな顔をして挨拶すれば良いのか悩みながら、半ば無理やりに笑みを作って軽く片手を挙げる。

「何してたの、自販機見て……何か買ったって感じじゃ無さそうだけど?」

けれどもまあ、一度話し掛けてしまえばあとは惰性だ。
手ぶらである彼を見てから、身長差の為覗き込む様に見上げて首を傾げる。

滝川 浩一 > 「いやぁ…お恥ずかしいところを見られました。
実はあの自販機は魔物が住んでる故、投入したお金を食われ目的の飲料品が出ない。というのがございまして…
僭越ながらその魔物と対決し、敗北した次第でございます」

頭をかき、呑気に笑いながらこちらを見上げる少年に事情を説明する。
自販機の見た目は周りにあるそれと大差なく、東雲も飲料品を買おうと思えば自由に変える代物だ。
ただ、滝川浩一の運が悪いのか、はたまた本当に魔物が住んでいるのか。
彼が何かを買おうとすると決まって何も出さないというのがあった。

それゆえ、彼は魔物が住んでいるということで自身を納得させ、その魔物と対決するのが一種の楽しみとなっている。

東雲七生 > 「ええと……」

何を言ってるんだこいつ。
思わずそんな言葉を口に仕掛けて、慌てて飲み込んだ。
きっと暑いから少し思考回路がオーバーヒートしているのだろう、と好意的に解釈をして。

「……なるほど、そうなんだ。
 普通の自販機使った方が良いと思う。

 あ、あと何かそんな堅っ苦しい話し方しなくて良いよ。
 一応同級生でしょ?もっとラフで良いよラフで。」

にぱっ、と笑みを浮かべてから今しがた自分が腰を上げたばかりのベンチへと促す。
こっちの方が涼しいよ、と。

滝川 浩一 > 「おお、忝い。いや、ここに来てからずっと敬語でラフな言葉遣いを忘れてしまったでござる。
ここは一つ、東雲殿でタメ口を思い出させてくれまいか?
少し練習すれば思い出すさかい。さもありなん!」

いろいろな時代、方言が混じった言葉で彼にそう言い放ち、促されるままベンチへと腰掛ける。
背中のリュックは地面に置いて、深呼吸をするとゆっくりとベンチに寄りかかり吹いてくる涼風に気持ちよさそうに声を漏らす。

「ところで東雲殿はこちらの方で何をしてたでござったか?
もしや、某と同じく、魔物と対決して敗走をなされたか?」

未だ治らぬ言葉遣いで彼にそう問う。
いや、ここまでくるとわざとなのかもしれない。

東雲七生 > 「いや、絶対嘘だろそれ……」

じとー、と半眼で見つめてから自分もベンチへと腰を下ろす。
少なくとも海の家ではもう少しまともな話し方だったし、数日でそこまで変化する様な交流があったとも思えない。
何より七生の嗅覚、いわゆる第六感が嘘だと告げている。

「はぁ。
 俺?……俺はええと、買い物しに来たんだけど、どこの店も閉まっててさ。
 何か、お盆だから、っての?知ってる、お盆。」

ちょいちょい、と商店街の方を指してから首を傾げる。
日本人なら普通は知っているだろうお盆だが、実際七生自身はついさっきまで知らなかったのだ。

滝川 浩一 > 「はっはっは!お盆が何か?ですと!?
そんなもの知ってるでござそうろう。
時は西暦4世紀頃、極東の地へやってきた異人「苧(お)」と呼ばれる人物がボンッ!と太鼓の音を鳴らした日がお盆でござる。
一部の地域では、その苧と呼ばれる人物を祭る神社があり、この季節になると彼の逸話にならって太鼓をボンッ!と鳴らすでござる」

高笑いをして彼の質問に答える。
しかし…その内容は小学生の嘘と良い勝負であり、お盆を知らなかった彼ですらも嘘と看破できるほどのちんけな内容であった。

正直、自分自身ここまで饒舌に阿保なことを抜かせたのは驚きである。

東雲七生 > 「うんうん。」

さてどんなリアクションをしようか。
少し悩んでから、別にリアクションを取る必要が無い事に思い至る。
というかこのクソ暑い中、余計な気力を使わせようとするんじゃない、と妙な苛立ちすら覚えた。

「……で、実際は知ってるの、知らねえの?」

若干語尾に怒気が混じる。
何だかバカにされたような気がしたから、『次は無いぞ』と警告も兼ねてもう一度質問を繰り返した。

滝川 浩一 > 「あっ…いや、すいません。
いや、自分も正直なところ明確には解っておりませんが…
所謂、年の後半戦の始まりを意味していると聞いた覚えがあります。
正月が1月からお盆のある8月まで、お盆が8月から正月のある1月までの年いっぱい…
何かを祭るとかはわかりませんが…まぁ、気を付けて一年を過ごしましょう的な奴じゃないですかね?」

彼の威圧の籠った一言を受けると、身を震わせ、言葉遣いが敬語になりそう説明する。
正直、自分もテレビでやってるのを話半分で聞いてただけなのでこれが正確な情報である自身はなかった。

まぁ、目の前の彼はそれを詳しく知らなくても怒らないだろう。と多少の安心感を持っていた。

東雲七生 > 「ふむふむ。」

やっぱり知ってて嘘をついたのか、と少しだけ怒りを覚えたが、いちいち気にしてては暑さが増すだけなので気にしない事にして。
彼の口から語られたお盆についての断片的な情報をきちんと頭の隅に置いておくことにする。
後日図書館にでも行って詳しい事は調べるとして、

「それでさ、そのお盆って奴で島民が結構自分の実家とか故郷に帰ってるみたいでさ。
 だから思ったほど買い物も進まなくて、スーパーでも行こうと思ったついでにここで休憩してたとこ。」

ざっくりと自分の事についての説明を終えて、ふぅ、と息を吐く。
話してると暑いなー、なんて言いながら空を仰いで、改めて滝川を見て。

「それで、滝川は今日のこれからの予定は?」

前に言っていたアルバイトの誘いとかはその後どうなったんだろう、と。

滝川 浩一 > 「あぁ~なるほど。確かにこの時期は閉まってる店も多いみたいですね。
チェーン店などは通常営業してるところは多いですが、個人営業の飲食店や肉屋、魚屋などは閉店してる場合というのが多いと聞いたことがあります。
しかし、まさか…スーパーもですか」

そのように説明しつつ、顎に手を添え、考え事をする。
スーパーも閉店…となると、地域住民にかなり迷惑かけるよな。
と自分なりに頭の中で考えているとこれからの予定について聞かれ我にかえる。

「これからの予定…ですか。そうですね。図書館に行って勉強か…着替えて筋トレか。或いは、"また"訓練施設に行ってトレーニングですかね」

いつの間にか敬語でペラペラと話しているが、滝川自身、これが一番話しやすいのだろう。

東雲七生 > 「ほら、ここの店って大体生徒かその家族でやってるからさ。
 いやいや、スーパーはやってると思うよ。これから行くとこだから、確信は無いけどさ。」

どうやらこちらの言葉の意味を履き違えたらしい事を察すると、それとなく訂正を入れる。
まあスーパーも閉まってる可能性は否定しきれない。
何につけても各店の営業そのものは生徒及びその家族によって行われているのが大半だ。
であれば、スーパーでも私情につき休業、も十分あり得る。

「ふうん、勉強か筋トレか……トレーニングかあ。
 また、って事は今日はもう既に一度行ってるとか?」

小首を傾げて今の時間を確認する。
まだ昼前のつもりで居たのだが、知らないうちにだいぶ経ってたのだろうか、と。

滝川 浩一 > 「…えぇ、一応…異能の試験運転で、ですけどね…」

訓練施設のことについて触れられると、少し声色を変えそう返す。
先ほどの明るい声色と打って変わって少し暗い雰囲気を纏い、下を俯く。

訓練施設で何かあったのか、異能関係のことでトラブルがあったのは明確ではある。
自身が落ち込んでいることに気付き、顔を挙げて笑顔を取り繕うと

「まぁ、体を動かしたら次は頭を動かすべきですので、図書館が妥当なところではありますがね」

引きつった笑顔、そして冷や汗をかき頬を人差し指でかいてそう返す。

東雲七生 > 「異能の、試運転……」

そう語る彼の表情は浮かない。
なるほど何かあったんだな、と察して敢えて踏み込むことは避けた。
七生自身、異能に関しては眉を顰めたい事の一つや二つある。というか殆ど全部かもしれない。

「なるほどね。あるいは気分転換に海に泳ぎに行くのも良いかもしれない。
 人が少ないのは今の内だけだしね。」

明後日か、早ければ明日には海水浴場はまた人でにぎわうようになるだろう。
夏休みも残り半月、悔い無く遊び倒すにはもう妥協は許されないのだ。

滝川 浩一 > 「海…はは、確かにそれもいいかもしれませんね。
泳いでさっぱりするってのも選択肢の一つかもしれません」

彼の言葉を聞いて、多少元気が出たのか自然な笑みがこぼれ始める。

「でも、それこそアルバイトで明日に行くので遠慮しときます。
アルバイト前に海を楽しむってそれはそれで乙ですけどね」

笑顔で少年に返すと、明日にアルバイトが控えていることをさりげなく告知し、ベンチから立ち上がって伸びをする。
同年代の男性と話して少しスッと気がして、座っている彼を見て口を開く。

「っというわけで!順当な投票の結果図書館に行くことにします!
我が頭脳を徹底的に鍛えてきますよ!」

自身のこめかみを指さし、先ほどのようにハイテンションでそう答える。
リュックサックを背負い、元気よく準備運動をすると歩き出し、最後に彼に向かって

「…ありがとう」

そう言い放ってその場を後にする。

ご案内:「常世公園」から滝川 浩一さんが去りました。
東雲七生 > 「んまあ、泳がなくても砂浜でボーっとしたり、
 ボーっとラムネ飲んだり、
 ぼーっとイカ焼き食べたりするのも良いと思う。」

最近は泳ぎ過ぎてそれ以外の楽しみも見出し始めた七生である。
海に行ってまでする事なのか、と疑問に思われそうな提案をしながら、へらりと笑みを浮かべて。

「ああ、明日あるんだ。
 そっかそっか、どんなバイトか知らないけど、頑張ってなー!
 そんじゃーな、滝川ー!熱中症には気を付けてー」

来た時より元気を取り戻したように見える滝川を微笑ましく見上げながら応援を贈る。
自分は夏休み前に散々バイトをしたのでまだまだ軍資金には余裕があったが、
そういえば海にある遺跡で探索や修繕のアルバイトがあると聞いた気がする。

「……?なんで礼を言われなきゃならないん……
 あっ! しまった!5000円返し損ねた!!」

公園を後にする背を見送って、七生も要件を済ませようと腰を上げたところで。
先日の借りを返すことをすっかり失念していたことを思い出したのだった。

ご案内:「常世公園」から東雲七生さんが去りました。
ご案内:「常世公園」に不知火 械徒さんが現れました。
不知火 械徒 > 「かー………くかー………」

すっかり日が沈んだ時間帯。
公園の隅の方のベンチを陣取って、横になっている男が居た。
少し用事があって、学園の図書館に行ってからの帰り道。
少々、眠たくなったので公園の片隅で夕寝と洒落こんでいた。

「…んが…むにゃ…」

顔を覆うように白衣を被せている、その姿は傍から見ればホームレスに見えるかもしれない。
…落第街やスラムで殆ど寝泊まりしているので、あながち間違いでも無いのではあるが。

ご案内:「常世公園」に癒斗さんが現れました。
癒斗 > 片手に買い物袋をさげて、お散歩ついでに公園を通って寮へ戻ろう。
そう思って通った常世公園だが、なんだか不穏な白い塊を見つけてしまった。
先日は自殺しようとしていた(しちゃった)人がいたけど、あそこで寝ている人はどうなのだろう。

ここのところそういう運付きでもしているのかなと、遠目に眺める。
が、何かを決心したかのように、そっと近づく。

「……生きてますかー?」

不知火 械徒 > 「………ぐー…んがっ…」

白衣の下に隠れた顔は気持ち良さそうな表情を浮かべており、口の端から涎を垂らしていた。
時折、いびきを掻いて小さく身動ぎをしており、一応生きてはいることが分かるかもしれない。
だが、近づいてきた人物が声をかけた瞬間。

「っ、は!?」

がばっ!と白衣を翻して飛び起きた。
そのままベンチを乗り越えて声をかけた人から隠れては、
ベンチの陰からそっと様子を窺う。

「………あ?風紀委員じゃねぇのか。」

癒斗 > どうやら心配は杞憂だったようで、
跳び起きた相手はこんなにもアグレッシブにベンチ裏に隠れてしまった。
その素早さに驚きながら、若干引けていた腰を戻す。

「風紀委員ではないです、図書委員なので…。
 こんなところで寝てらっしゃったので、ちょっと、その、大丈夫かなーって」

威嚇してくる野良猫との距離感、とでもいうのだろうか。
じりじりと近づくのをやめ、相手がベンチ裏から出てくるのをそっと待つ。

不知火 械徒 > 「…ほんとだな?実は、後ろの方に隠れてたりー…とかは無いよな?」

風紀委員から目を付けられている違反学生という立場上、少々警戒する。
そうでなくとも治安の悪い場所で寝ることが多いためか、人の気配と声には敏感になっている。
目の前の少女は確かに風紀委員ではないと把握しながらも、回りを窺い…

「………ふぅー、どうやらただ心配してくれたってだけみてーだな。
 平気平気、ちょっとした仮眠だったからさ。」

どうやら風紀委員は居ないようだと分かると、ベンチの影から出てくる。
そのままベンチに座りなおして、髪を掻きながら謝罪をしておいた。

癒斗 > いませんいません、と首を横にぶんぶん振る。
その時に若干のぶどうの匂いをまき散らしながら、腰を落ち着けなおした姿に小さく笑みを浮かべた。
相手が違反学生だとは思っておらず、はめをはずしちゃって風紀員に怒られたのかな、くらいの感覚で。

「いませんてば。私は風紀員に知り合いはいませんもの。
 こんなとこで寝ちゃったら、暑かったでしょうに」

大丈夫でしたかと、買い物袋に手を突っ込みボトルを取り出す。
250mlタイプのスポーツ飲料だ。

「………いります?」

不知火 械徒 > 首を横に勢い良く振る少女に、分かったからと軽く笑いながら小さく手を振る。
と、そんな時にぶどうの匂いがすることに気付き、不思議そうにもう一度回りを見てから、自分の衣服を確認する。
ぶどうなんて無いな、と首を緩く傾げてから少女へ視線を戻して

「あ、そうなの。
 じゃあ、此処にこんなのが居たって言うのは聞かれても言わないでくれよ。
 あー…確かにな。ちょっと暑いなぁ」

寝汗を掻いてしまったらしく、少々不快感を感じながら襟を開いて空気を取り込む。
そこへ差し出されるスポーツ飲料をじ、と見つめてから真顔で口を開いた。

「………くれるなら遠慮無く貰う主義だぜ。」