2016/10/02 のログ
ご案内:「常世公園」にルベールさんが現れました。
ルベール > 「………んが。」

ぐかー、と大口を開けて公園のベンチで寝そべる金髪の女。
ジーパンの足を投げ出し、Tシャツから腹が少し覗くだらしのない格好。
バスケットボールが周囲に転がっているのだから、運動をしていたのだろう。

クレープの包み紙と空のペットボトル3本が置いてあることから、よく運動してよく食べてよく寝ていることが分かるかもしれない。

この島は平和だ。
矢が飛んでくることも無ければ、権力闘争も騙し討ちも暗殺も、少なくとも今の自分の立場からは関係が無い。
その平和を全身で享受するかのように、ふくぅー……と寝息を立ててすやすや。

段々寝返りのせいか、ずるずるとベンチの端に寄ってはいるが。

ルベール > ずべしゃっ、と情けない音と共に、地面に抱き着いて目覚める。

「んぁ……。あー、寝てたか。」

公園の地面にうつ伏せに寝そべる自分に気が付けば、ようやく目を覚まして。
くぁ、と欠伸をしながら手をついて起き上がり、ぱん、ぱんとTシャツとジーパンの砂を落とす。
ああよく寝た。よく食べると眠くなるんだよね。

「んんっ………っ!」

ぎゅ、っと伸びをしながら………大あくび。
涙がこぼれるのを手でごしごしと拭って、首をぐるりと回す。

ご案内:「常世公園」にルベールさんが現れました。
ご案内:「常世公園」にルベールさんが現れました。
ご案内:「常世公園」にルベールさんが現れました。
ルベール > 「しかし、まあ………思ったより上手くいかないもんだな。」

学園という環境は楽しいものだ。
とはいえ、見ず知らずの世界なのだから、スポーツまで見ず知らずというのは困った。
部活に誘われても、何が何だかさっぱり分からない。

特に熱心に誘われた部活のボールを借りて、ひとまず自分でやってはみたものの。

「このボールをあの穴にすぽっと入れりゃいい、って言われても………」

さて、とボールを改めて鷲掴みして考える。
先ほどまでは、延々と入らないシュートを投げつけていた。

ルベール > 「えーっと……」

見よう見まねでドリブルを重ねて、よ、っとゴールの前で地面を踏み切る。

元々、魔法を扱うとはいえ、その戦歴のほとんどを近接戦闘のみで生き抜いてきた人間だ。
身体能力がお荷物ならば生き延びることも出来なかったわけで。
全身のバネは十分な強度を持つ。

ボールを抱えたまま思い切りジャンプをして、それをそのままリングまで……!

……には、若干届かずに、舌打ち交じりでボールを鷲掴みのまま投げつけて。
ガンッ、と金属製のリングに乱暴さが嫌われたのか、やっぱりはじかれてしまう。

ご案内:「常世公園」にデーダインさんが現れました。
ルベール > 「こなくそ……っ!」

ボールが弾かれて上空に舞い上がる。それをジャンプ一番、がっちりと掴み。
始めた時は、この程度簡単だと思っていたが、なかなか難しい。

トップスピードでぶつけるだけならいくらでもできるが、リングに潜らせるというその一点がどうしても感覚が掴めない。

「………諦める、もんかよっ!!」

ぬがー! と全力でジャンプしてリングに肉薄する長身の女。
興奮すればするほど、段々リングに近づいているのは彼女の気質か、才覚か。
それとも意地か、根性か。

デーダイン > 「お嬢さん…。
お困りの―――様だなッッ!」

バスケットボールの練習中?な、如何にもな身長の金髪の彼女、
ことリングへと跳躍して絶賛格闘中のルベールに、
何やら暑苦しく、無駄に大きい声が掛かった。
その声の主はと言えば、仮面、ローブ、赤マント。
一切素肌を見せない完全不審者スタイルの謎の人物、こと、デーダインである。
ボールを使った運動というのは、バスケではないにせよ、
デーダインにも割とタイムリーなものであったので…。
ふと息抜きにと公園をぶらぶらしてた折、
やけに気迫溢れる練習を目撃して、つい。というところ。

「ウーム、あと一息で入りそうなモンだがなぁ…。」

その身長や身体能力もアシストして、
ゴールというには惜しい所まで、行ってるようだが。
所詮デーダインも素人なので何がダメだとは分からない。

ルベール > 「別に困ってないし! 困ってなんかないし!」

その暑苦しい声に、ぜーぜーと肩で息をしながら反射的な言葉を投げ返す。
………振り向きながら言葉を投げた後で、え、誰よ……みたいなちょっとした間があるところまではワンセット。

別に見られて気にするタイプでもないので、ふんぬぅーっとジャンプをして飛びつこうとする、が。
彼の言葉通り、ガンッ、とリングの淵にボールが当たって惜しくも着地。
くそっ、と地面を蹴って、改めて振り向く。

「………で、何さ。
 私はこれ、ただ絶不調なだけだからさ。
 勝負でもしよーっての?」

ふん、と勝気な笑みを浮かべて、親指でリングを指す。
初心者とは思えぬ堂々たる自信。

デーダイン > 「……ウ、うむ。」

珍しくこの格好にツッコミが入らなかったことに逆に釈然としないけど、
それならそれでいいとしよう。

「いや、随分と困っているようではないか!
ホレ、行き詰まりが仕草に出てしまっているぞ!!」

などと先の地面を蹴った事等を指摘しつつ…。

「それに、見る限り惜しい所まで行って入らない、を繰り返している様だしな。
イヤ、何……こう、ボールを使った運動の練習というものを、なんというか、見たかった。それだけだ!
そうか…すらんぷというヤツだったのかね。」

抽象的すぎるビジョンの解説をそのままに。
アレコレ意味不明のジェスチャアを手袋でぶんぶんしながら振り向くルベールに見せる。

「フッ…この私と勝負だと?!
折角だ。良いだろう…ならば、是非とも、受けて立とうではないかッッ!!」

暑苦しい声で、やってやろうではないかと答えるデーダイン。
自信の有り様はルベールに負けてはいないだろう。

―――ただし!
このデーダインも、正真正銘の初心者である。
しかも、恐らく身の丈はルベールより一回り以上は小さいと見えるだろう。

ルベール > その理由は二つある。
一つ目は彼女の過去。
ボディラインばっちり出るレオタード式のバトルスーツに身を包み、大音声で自分の名前を名乗りながら戦場のど真ん中に駆けていった彼女の黒歴史が、人の衣装に突っ込む選択肢を奪っていた。
お前が言うなという奴だ。

二つ目は。
「………勝負すんならマント外せよ。
 あと、後でちょっとそれ貸してよ。」
マントかっこいいよマント。
センス勝負はおそらくどっこいだろう。現時点ではともかく、本質は。

「…じゃ、ジャンプ力の訓練って奴だよ。
 この学園に来たはいーけど、運動の一つでもしとかないと鈍っちゃうからね。
 
 ふん、自信だけはあるようだね………。」
 
腕を組んで、相手を見やる。
不思議な相手ではあるが、しかしこの大音声で勝負を受けようとする心意気に、どこか親近感を感じるのは事実。

「面白い。この私………ルベールとの勝負を即答で受けると言ったのは、お前が(今日は)初めてだ。
 その勇気に敬意を払おうじゃないか。
 
 そして、教えてやろう。
 勇気と、蛮勇と、無謀の境界線をっ…!!」
 
 スイッチが入った。
 唇の端を持ち上げ、堂々たる声で相手を挑発する。

デーダイン > 「………。ふ、ふむ?」

立て続けに良く分からない事が連続である。
何やら、ただのバスケットボール練習中のお嬢さんではなかったのかもしれない。
しかし、デーダインが知るところではなく…

「ハッハッハッハ…。なるほど、貴様中々見どころがあるな。
良いだろう、一勝負終えた後にはこれを羽織る権利をやろう!」

バサァッ!手を使わず、豪快に赤いマントを空中へ浮き上がらせて、
ローブとフード、仮面だけになるデーダイン。
マントはまるで空飛ぶ絨毯か何かの様にふわりふわりと飛行し、ベンチにぱさりと身を落とすだろう。

そして、デーダイン。もうなんていうかただの幽霊か黒魔術で出てきた魔物だ。
赤マントが取り払われたことで、逆に不審者度が上がった。

「………ジャンプ力の訓練をするなら…いや、言うまいッ!
クックック、元は何か、戦闘に携わってでもいたのかね?」

演習施設とかでジャンプ台とか踏んでる方が、なんて野暮なことは言わなかった。
お日様の元、公園でボール遊びをする事は、大層健康的で好ましいといえよう。

「フハハハ…しかァしッ!その言葉はそのまま貴様に返すぞ。
可愛らしいお嬢さんにも、私は手加減などせん!!」

手加減なんか出来るレベルですらないのだが、それはヒミツ。

「ハッハッハッハ、光栄な事だよ。
なるほど、貴様はルベールと言うのだな?
ならば私もその敬意に応え、我が名を名乗ろう。私はデーダイン!
私と勝負する者として、特別にダインと呼ぶことを許そうッッ!!」

仰々しく自己紹介。はためかせるマントがないので、
腕から掌を優雅に上から下へ振って…その優雅さぶち壊しの大声で名乗る。

「―――さぁ、やってみるが良い!
まずは貴様の番だ!クハハ…それを知るのは果たしてどちらかなぁッ!!!」

特に細かいルールを決めるでもなく。
まずボールを持ってるルベールに先手を譲る様だ。

ルベール > 「おぉ………。」

ばさあ、っとマントを翻して脱ぎ捨てる仕草に、感嘆の声を漏らす。
ああいうのいいな。ああやって脱げばよかった、なんて少し頭の片隅で考えながらも、相手をキッ、と見据えてやって。
………改めて見ると、不思議な奴だ。仮面をつけ、ローブを身に纏ったままの相手を上から下まで眺める。
ついでに、ベンチにかかったマントも眺める。いいなあアレ。

「……ふん、良く分かったな。
 私は戦士だったんだよ。こっちの世界じゃあ、戦士も傭兵もねーから単なる学生させてもらってるけどな。」
 
 指を擦り合わせると、ぼ、っとライター程度の炎が浮かんで消える。
 単なる戦士ではないことを、さりげなく見せつける。
 能力の恰好いい見せ方を研究したのだ。若かりし頃。
 
「………か、可愛らしいとかいきなり言われて焦るとでも思ったか!
 そんな言葉で動揺はしないからな!
 あと手加減はいらないし!」
 
 顔を赤くして両手を振り上げてぷんすこ。
 相手の名前を聞いて、ふん、と鼻を鳴らす。
 
「……そうかい。 じゃあダイン、勝負だ。お互いの意地と……
 クレープ代を賭けてな。
 
 …ふん、じゃあ、私のこともルビィって呼べばいいさ。」
 
 さも当然のように賭けられた物を上乗せしていく。
 その上でリングを眺めて、少し考える。
 真剣に眺めながら、………………汗がだらだらと流れ落ちていく。
 
 ルールどうしよう。
 今から決める? いやまて、あれだけ啖呵切ってからルールどうするって聞くのか?
 いや、それは恥ずかしい。
 これだけ自信満々ということは、おそらくこの世界には「勝負」の時の明らかなルール……暗黙の了解的なそれがあるはずだ!
 今からそれを予測する? 否! そんなに私は頭もカンも良くない!
 
「あー………。私のシマでは、勝負のルールがちょいと特殊でさ。
 ルール無用の勝負が当たり前なんだよ。
 交代でボールを掴んで、多くボールをあのリングに先にぶち込んだ方が勝者だ。
 ……今更、嫌とは言うまいね。」
 
 ふん、と鼻を鳴らして相手を挑発する。
 挑発するように見せて、ルールの確認をする。
 交代でシュートを打つだけ、ディフェンスという概念を無視した画期的勝負。

デーダイン > 「ドヤァァ……。」

デーダインは、魔術学を教えている教師である。
何かそれ以上にパフォーマンスがアレなのだが、何にしても、
デーダインは褒めたら、驚かれたら、調子に乗る性質だ。
仮面の表情は見えない。しかし、今デーダインが大変ドヤドヤしているのは、
デーダインの全身の仕草と声から伝わる事だろう。

「ククク…良い目をしているッッ!!

ほう。そうだったのか…こっちの世界にも戦う職業はあるし、たまーに外界からそういうのが紛れてくるがな。
ともあれ、普通の学生にはそういう荒事には縁もゆかりもなかろうッ!
因みに、私はこっちの世界ではただの先生をしている!覚えておきたまえ。

ムッ……戦士は戦士でも、さしずめ魔法か超常戦士とでもいったところ、かね?」

手品の様に、重なった手…指から飛び出てきた炎を見て、
何となく察しが付いた様だ。

「ハーッハッハッハ!なんだその反応はッ!!
ルベール貴様―――可愛いな!しかも生徒と来たもんだ!
こんな事を言うのも何だが、私は三度の飯と同じくらい可愛い女が好きなのだ。
いや、イカンな、何だか……ふむ!!可愛い!」

いけないスイッチが入った暗黒変態デーダイン。
無機質な仮面がずっとそっちを向いて、手袋が拳を作ったり。
ぶんぶん上下したり、ルベールを指差してみたり…。

「ああ、良いだろう!何ならそれにソフトドリンク代を付けても構わんぞ!!

……ならば、その名で呼ばせてもらおうか、ルビィよ!」

この教師、一体どこまで墓穴を掘る気だろうか。

―――少しお互いの沈黙。
先程までの運動のせいか汗を流しているルベール、物言わぬマントを外したデーダイン。

あれ?まだ投げないんだろうか?なんて呑気にディフェンス体勢もせず考えるデーダイン。
そもそも、デーダインはこの勝負に置いて、ディフェンス等と言う物の存在すら考えていなかった。
そう!貴様の番だ、と譲れば、ルベールがボールをシュートするのを棒立ちで見てる気であったのだ。
そして、自分の番になったら今度は逆に自分が入れる…そういう感じ。
回数は適当にって具合で。
つまるところ、デーダインは体育の初心者故に、全くバスケットのルールなんて知らなかった。
すごい勘違いが産んだルール解釈の齟齬はしかし―――

「ハッハッハッハ、勿論だッ!!そのルールで良いとも!私もそのつもりだったのだよ!
単純明快で分かりやすいしな!」

ディフェンスナシで、お互いが交代交代でボールを投げ合う。
妙なところで、一致していた。
というか、この初心者二名がディフェンスしながらバスケットやってたら、
一向にゴールも決まらなさそうだし、これで良かったのだろう。

「さぁッッ!!今こそ、貴様の実力を見せてもらおうか!行くのだルビィ!」

それでは改めて。勝負開始の宣言を。

ルベール > 「ふん………瞳の鑑定をされるほど、私の目を見て長生きした奴はいないんだよ。
 ……ふん、そういうことさ。炎を扱う魔法戦士。紅のルベールって聞きゃあ、地元じゃ泣いてるガキも泣き出す……じゃねえ、泣き止むって有名さ。
 ビビッても遅いからな。
 
 ……って、先生かよ。……ぇー、あー、……よろしくお願いします。」

どやどやしい相手に、こちらも鼻を鳴らして言葉を投げ返す。
散々挑発やら暴言を繰り返したところで教師と明かされ、一瞬どもって頭を下げる。
え、これが教師なの。この島の教師ってこういう人ばかりなの。異世界といっても平和なとこに跳んだなあ、と思っていたけどここでそういうどんでん返し来るわけ?
頭の中に様々な言葉が流れるが、強制的に中断される。

「ば……っ! バッカ! 誰が可愛いんだよ!
 動揺を誘おうとしても無駄だっての!
 ば、ばーかばーか! 黙ってみてろ! わー! わー!」
 
 両手を振り上げて大きな声を上げて相手の声をかき消そうとする。
 真っ赤な顔で歯をかみしめて、ちょっと涙目になった女はボールを両手で掴んで、ぎろりと相手を睨みつけた。
 
「………話が早くて助かるけど、絶対負かしてやるからな。
 ソフトドリンクの件、忘れんなよ。」

 勝負、となれば気合のノリが変わってくる。
 普通のシュートは入るわけもない。が、今回はルール無用。
 あと少し。……あと少しだけ高く飛ぶことができれば、ねじ込むこともできる。
 すー……っと息を吸い込んで、大きな胸が持ち上がって……ゆっくりと息が吐き出される。
 集中。 まるで紙を縒っていくかのように、気持ちを鋭く、鋭く、鋭く………
  だんっ、と地面を踏み切って高くジャンプをして………
 
「だりゃっ!!」

 がっつん、とボールをリング中央に叩きつける。気分が乗ると魔力が増幅する、彼女ならではの土壇場力。

「………入った……入ったーっ!」

 やったー!と両手を上げて素直に喜びを爆発させる。

デーダイン > 「ほお……ウム、何だかよくわからんが………あれだな!炎を扱う魔法戦士!紅の!
何か、貴様とは同族っぽいニオイを感じる!!何か嬉しいなぁこれ!

私も敢えて名乗ろう、私も異界の出身でな!偉大なる森羅万象全てに潜む暗黒の化身、
即ち、完全無欠なる絶対悪の暗黒神なのだよッッッ!!!!

―――ゆえに、暗黒の化身としての使命として、主に黒魔術を教えているぞ。
ああ、こちらこそよろしく…校内で会う事もあるだろうがその時は何卒な。
平常から生徒からは変人、不審者扱いがデフォルトであるが故に、畏まらんで良いぞ!」

自信満々に、恥ずかし気も臆面もなく、しかし人が聞けば聞いてる方が恥ずかしくなりそうな、
闇の言葉を流れる様に更にカウンター。
やけに中二チックなのはお約束として、色々と物騒かもしれない。

「ハッハッハッハ…、そういう反応が可愛らしい!!
動揺を誘う作戦でもあるが、可愛い事も事実である!!!
……ふむ、貴様あれだろう!戦士として生きてたから可愛いって言われ慣れてないみたいなの!」

おっちゃらけたポージング。声の大きさ、暑苦しさでは負けてはいない。
教師と言うには、あまりにも大人げないが、とても楽しそうだ。

「ふはは。口だけは達者だなッッ!!!」

そういって、デーダインは集中するルベールの方へ仮面を向ける。
あんだけ惜しい所まで行って外してたし、多分数回は外すだろうとタカをくくってはいた、慢心。
あとスタイル抜群だな本当に可愛い。などと無機質な仮面は黙りながら色々考えていた。

「―――ッ!!」

跳んだ!
しかし、さっきと同じで綺麗で、鋭く、正確で高い跳躍!
更に身長がアシストして、リングへと迫る。
そして―――
なんと、ボールはリングに弾かれる事なく、
ゴールド真ん中に落ちた!間違いなく、ゴールだ!

「―――んなっ…ニィイィッ?!!!」

デーダイン、一気に大ピーンチ!
大喜びしているルベールを他所に、彼女とは違ったお手上げ的な意味で両手を上げるデーダイン。

―――余談であるが、ドッジボールをやった時も明らかになったように、
デーダインのスポーツマンシップ的な能力は、特にコントロール性能においては実はかなり低いのだ!―――

「……フ、フッ…おめでとう、と言っておこう。」

リングから零れたボールを何時の間にか手元に収めて、ちょっと元気がなくなった声でそう言った。

「次は…私の番だな…うむ!!
ええい!ままよ!!やってやるぞッッ!!!明日へ向かってシュートだッッ!!!」

バスケットボールのルールを完全に無視して、ボールを両腕のローブで抱えて駆け出すデーダイン。
走り方も、なんかたどたどしい。
そして、ゴールリングの前で、ジャンプする

「―――うおおおおををををををを!!!」

のだが……明らかに、跳躍距離が足りない。
ルベールの様に、身長も運動神経も高くないデーダインは、
ゴールの下あたりで気持ちばかり跳んで…
思いっきり、ボールを投げ上げた!
声だけは、やけに気合十分だが、それでは足りない。

「ああ~……ああ!!」

綺麗にゴールリングの上を飛び越えて、向こう側へ放物線を描いて飛んでいったボール。

「………ぐ、ぐぬぬ…ッ。

…どうやら、私では貴様には敵わん……。降参だ。

あんなに近くにあるのだ。
あてずっぽうでも入る物だと思ったが、実際やってみると…そうでも、ないのだな。」

早くも、降参。

「一度、コツを掴んだ貴様だ、もう一度入れる事も出来るんじゃないかね?」

白くてごっつい手袋を空へ向けるデーダイン。
すると、掌の部分から真っ黒い影のカタマリみたいな炎が噴き出して…
そこから、さっきあっちへ飛んでいったボールが現れる。
もう一度シュートしてみてはどうか、とばかり、そのボールをルベールへ向けた。

ルベール > 「……ほー? 暗黒の化身……ね。面白い。
 ふん、……同じ穴の狢とでも言いたいんだろーが、私の炎で照らされない闇なんて、この世に存在しないのさ。
 もしもあるとしたら、それは私の背中だけだ。」
 
 相手の喜びに、こっちも思う存分その手のセリフで返してやることにする。
 ふわぁ、久々のこの感覚。
 たのしい。
 
「………いやまー、がっこーであったらちゃんとダイン先生ってつけるから。」

 場と常識はわきまえているらしい。頭をぽりぽりと掻いてとりあえずそれだけは伝えておくことにする。
 いきなり問題児扱いされても困ってしまう。

「う、うるせー! そんなこと無いし!
 よく言われてたからな!
 それくらい普通! 普通過ぎてもう言われても嬉しく無いんだからなっ!!」
 
 声の大きさが張り合い過ぎて、公園の中央でやたら目立つ。
 真っ赤な顔でぐぬぬ、と唇を噛む女は、この手の論戦では防戦一方だ。
 
「……ふん、次はお前だ。精々あがいてくれよ。」

 今度は逆にこちらが所作、表情、すべてにおいてドヤァ…感を出して腕を組む。
 表情は緩みまくっている。嬉しい。
 ただ、ゴールに向かって走り出してジャンプする姿に、はっ、とする。
 
「………私と同じことを……っ!?」

 身長の差は最初から気が付いていた。
 もしもあの差をジャンプ力で埋めるとするなら、私の更に上を行かなければ絶対にムリなはず……!?
 なんてびっくりしていたら、普通に外したので視線を外した。
 なんだか見てはいけないような気がした。
 
「………ふん、まー、当然の結果だな。
 このゲーム………、相当に難易度が高い競技。
 おそらく本来の勝負、1、2点が勝負の分かれ目になるんじゃねーかな。」

 想像する。たぶん3-2とか2-0とか、そういう得点の勝負になるんだろう。

「……ふん、任せときな。
 私がお手本ってのを見せてやるよ。」

 相手が黒い炎からボールを取り出すのを、一瞬あっけにとられた顔で眺める。
 こちらは同じ炎使いでも、そういった器用なことはできないのだから……当然だ。
 それでも、ボールを投げられれば受け取って。……また、自信満々に跳ぶ!
 しかし、勝負が決した後であれば、興奮状態も程よく収まってきており。
 
 ガッ、とボールはリングの真横に当たってバランスを崩し。
 
「ふぎゃっ……!?」
 
 ドタァンッ、と、そのまま背中から地面に叩きつけられる。

デーダイン > 「クックック、光栄だが、面白いのは貴様の方だなッッ!!!

随分と炎の扱いに自信がある様だ……しかしッッ!黒より暗き我が暗黒まで、照らせるものか!!

……ふむむ。しかしルビィよ。
何やらこのままやり続けてたら炎VS闇の魔法合戦に突入する気がするぞ!」

カッコイイセリフの応酬をしたかったが、売り言葉に買い言葉を重ねるうちに、
本当にやりかねないかも…なんて懸念するデーダイン。

「ウム、そうだな。呼び捨てはあくまでも勝負の時だけ…。」

先んじて常識力を見せられてしまった…いかんいかんと思いつつ便乗してニ三頷く仮面。

「ハッハッハッハ…それはツンデレと言う奴かね!!
嬉しいのか照れてるのかようわからんが!
何だろうなぁ……、強がっても無駄だ!私には感じるぞ!!
何だか、こう、……照れちゃってる感がッッッ!!!

そうだ!!何なら具体的にどこがどう可愛いか授業風に説明してやろうか!」

等と、煽り立てる始末である。
可愛い女というのが好きだと語るデーダインに対して、
ルベールの反応には、魚が水を得るがごとく次々と攻め入る。

「―――その様だ。そうそう、ナントカダンクとかナントカのバスケとかいうバスケットボールマンガでは、
基本的に後半の1秒2秒とかでブザービートとやらで1点2点の逆転打撃を決めるのが一般的らしいが…。」

悉く聞きかじって間違ったニワカ知識を述べるデーダイン。
本当のバスケットボールはもっと点差が開いたり、数十点を優に超えたり…色々ある。

「うむ。よく見ておくぞ!!」

驚かれれば、言外にドヤァと伝えるべく親指グッ立てしてみせるデーダイン。
表情も言葉もないが、とても得意気だ。

「ル、ルビィーッッ?!」

ボールを持って、シュート。スピードも飛距離も充分だった。
しかし。…さっきと同じ様に、いや、さっきよりも酷い感じに、失敗してしまったようだ。
リングとの衝突が、宜しくない。無理な姿勢とでもいうのだろうか。

「だ、大丈夫かッッ!擦りむいたり捻ったりしてないかね?!」

全身黒ローブが駆け寄ってく。
あれで、そこそこリングも高いところにあるし…。

ルベール > 「……そいつぁ確かにこの公園でやるにゃ、激しすぎるかも。」

 同じくこちらも頬をぽりぽりと掻く。
 ここでブレーキがかかるのが彼女の丸くなったところだ。
 危ない危ない。こんなところで大騒ぎを起こすわけにはいかない。
 
 異邦人の彼女は、追いだされたところで困ってしまうのだ。
 問題は起こすわけにいかない。

「誰がツンデレだ! うるせー!
 嬉しくもないし照れてもない! 無いったら無いんだよっ!!
 
 やめろぉーーっ!!」
 
 授業風に解説なんかされたら羞恥でばったり行く。
 こう見えてはずかしいことには弱い。
 普段の私生活は意識していないだけで、意識させられると脆いのだ。

「………漫画で1点2点の逆転ってことは、本当に得点の難しいスポーツなんだろーな。」

 本物を知らぬ彼女。後ほど顔を真っ赤にしながらバスケットボール部の友人にルールを教えてもらうことを今はまだ知らない。
 
 
「……っ、て…………っ」

 背中を思い切り打って、うごぉぉ……と悶えるけれど。
 仮面の男がばたばたと駆け寄ってくると、途端に恥ずかしくなってきて、仰向けになったまま自分の顔を手で覆う。
 
「………だ、大丈夫だから、その。
 秘密にしといて。 勝負とか、もう、いいから。」
 
 消え入りそうな声になってしまった。
 超恥ずかしかった。

デーダイン > 「うむ。こういう場所での戦闘行為も宜しくない。
…やるならしかるべき場所で、だな。」

この辺りで、張り合うのは留めておいた。
色々と挑発的で活発さが目立つルベールだが、常識力は高いのだなと認識。

「分かった分かった…そんなに言うなら今回はこの辺りでやめておこう!
セクハラ行為とされてお縄にされてしまってはならんからなッッ!!

しかし…見た目は実に大人っぽいのに内面は乙女っぽいとはどういう事だッッ?!
貴様の可愛らしさはこのデーダインは永劫忘れる事はないだろうッ!」

まるで、次回があるかのような言い方。
それに余計な一言を付け足す。最後まで、とても愉快そうだった。

「うむ、更に更に、ルールも複雑で複数人がやるのだ。
中々決着がつかなかったり、同点も多かったりするだろう…。
まるでサッカーの様だな…。」

かくいうデーダイン、しかしサッカーですらも実はあまり知らない。
黒魔術教師がスポーツにニワカ半分に手を出してはいかんものである。

「そ、そうかぁ……分かった。ウム。
秘密にしよう、約束だッ!」

どうやら、大丈夫そうらしい。
本当に……大丈夫なんだろうか?凄い唸ったり、何か気迫も薄れてしまってるけど。

「節介を承知で聞くが…本当に、大丈夫なのかね?
ならば…それならば、大丈夫であることを立って示すが良いッ!

しかし、勝負は勝負だ。そうだな…私の負けと言う事で終わらせよう。
このデーダインを打ち破った祝いに、約束通りクレープと飲み物を奢ってやろう。

さぁ、行くぞッッ!!そうそう、ボールを忘れるんじゃあないぞ。
それとこれを…ホレ!貸そうじゃあないか。
いや…なるほど紅の、炎の魔法戦士と言うだけあって似合っているやもな。」

さっきと同じ様に、黒っぽい炎を空へかざした掌の中から取り出せば、
彼女が立ったのを確認してから緩々のパスで投げ渡して。
次いでひょいと手袋で空間を下から上に薙ぐように動かせば、
ベンチにかかった赤マントが魔法の絨毯よろしくふわっと浮かび上がった。
はいどうぞとばかりに彼女の背中へかかっていくか。


それから、巷で有名なカフェテラスか、若しくはルベールが勧めるクレープのお店とか、
何処かしらでおやつの時間でも過ごしたことだろうか…。

ルベール > 「やめろっての!!」

 大人っぽいスタイルをした女ではあるが、くきゃーっと怒ってやる。
 からかわれるのはどうにも、弱い。
 
 
「大丈夫、大丈夫。 この程度で怪我はしないけどさ。
 ……んな世話ばっか焼かなくても大丈夫だよ、ダイン先生。
 ちょっと、恥ずかしかっただけだって。」
 
 気を遣われると、それもまた恥ずかしいのか、大丈夫大丈夫、と何度も口にする。
 それでも、マントを預かるとちょっと嬉しそうに、へへ、っと笑い。
 
「そりゃあ、……マジの戦士だしね。
 そんじゃま、公園の隣のクレープ屋、美味しいからさ。」
 
奢ってくれる、というのならそこまで拒まず。
先生と一緒にのんびりクレープ屋に。
甘いものを食べる時もまたたっぷり乙女になるのだから、それをからかわれるかどうかは別の話である。

ご案内:「常世公園」からデーダインさんが去りました。
ご案内:「常世公園」からルベールさんが去りました。
ご案内:「常世公園」に真乃 真さんが現れました。
真乃 真 > 屋上に身体全体を包帯に巻かれた男が一人立っていた。
首に巻いた黒く異様に長いタオルが風に靡いて揺れている。

男の手に握られていたのは数量限定一日20個しか出回らないというレアなメロンパンである。
そのパン屋では凄まじい争いになることも多々あり結局食べられないままで学園を去る生徒も少なくない。
その希少性から裏のルートでは一つで普通のメロンパン100個いや1000個の値段で取引されることもあるという。

それほどの逸品である!

今日はなぜか普段なら争奪戦に参加しているであろう風紀委員の姿が見えなかった。
そのために今日はそれを容易に確保できたのであった。

「おいしいって感じが見た目から伝わってくるな!」

そんな貧困なボキャブラリーから発せられる感想を告げて手に持ったそれを眺めはじめる。

真乃 真 > 「そう…この何というか、おいしそうな…感じ!」

全身を包帯でグルグルと巻かれた男が公園で一人メロンパンを褒める。
それはこの常世島であったとしても一般的な光景ではないだろう。

「このサクサクとしてそうな外皮!持っただけでやわらかさが伝わるえーと…底の部分!」

そう、口に出して言っているだけで黒いタオルが少し波打つ。
この段階で真に憑りついた、いや取り込まれた黒い塊、あるいは妖怪もどきは満足しそうになっているのだ!
だが!まだ!食べていない!その香りと食感は楽しめど味は!未だ味は見ていない!

「さあ、いただきます!」

ご案内:「常世公園」にルギウスさんが現れました。
真乃 真 > 「さあ、いただきます!」

大きく一口かじると目を見開く!

「な、なんだ!これは舌先から脳!そして全身へと流れるこの味の奔流!
 いや、違うこれは味だけじゃあない!このサクサクを越えたサクサク感を持つ外側と
 まるで高級な綿のようなふんわり感すら感じるこの中身!
 さく!ふわ!そしてこの上品かつ大胆なこの甘さ!
 その二つと味が混ざり合わさり一つになって作品とも呼ぶべき物へとなっている!
 これは味の芸術作品!いや、食の芸術だ!」

ベンチから立ち上がってそう叫ぶ!
それと同時に黒いタオルが強く波打った。

「ふう…。さあ続きを食べるか。」

ルギウス > 「やぁ、お久しぶりです」

そっと真後ろから耳元に声をかける、怪しい司祭。
オマエ、今までどこにいた。

「少々、手間取りましたが『ひみつとっくんしせつ』が完成しましたので、ご連絡をと思いまして」

真乃 真 > 「うおぅ!ルギウス先生!はい、お久しぶりです!」

後ろから話かけられて驚く。
どれだけメロンパンに夢中になっていたのだろう。
たしかに美味しかったからなと思う。

「本当ですか!?ついに出来たんですね!
 いやあ、楽しみだな!秘密特訓!」

メロンパンを口に運ぼうとする左手を右手で制しつつ言う。

ルギウス > 「構いませんよ、お食べになってください。
 なんなら紅茶でも淹れましょうか? 渋みが少ない良い葉が手に入っていましてね」

時間がかかる作業は魔法で時の流れをちょちょいと弄ればすぐに済む。
ある意味で最秘奥の一つなのだけれど、時間操作。

「ええ、昭和の特撮ヒーローをメインにするため採掘場を買い取りまして。
 未開拓地にありますのでどうぞご自由にお使いください。
 アトラクションも用意してありますので」

フリーでご自由に設定してください(ぁ

「それと、貴方用の強化プランも―――と、面白いモノを飼ってますねぇ?」

真乃 真 > 「あっ、いいんですか?ありがとうございます!」

右手が口に運ばれる。
お茶まで入れてくれるという。
いい人だ。

「はい!また使わせてもらいます!」

やはり採掘場か!
あそこなら爆発とかもいっぱい起こせるしな!
…爆発するのだろうか。

「飼ってる?ああ、これですか?」

タオルを振ると黒い塊が出てくる。
おそらく今討伐作戦が組まれている「妖怪もどき」と同じもの。
ただし、それと比べると悪意や害意などというものは完璧に抜け落ちている。

ルギウス > 「はい、どうぞ」

どこからともなく取り出したように見える、とてもとても高そうなティーセット一式。
中には紅茶が温かいままに淹れられている。

「崖から大岩を落としたり、鉄球ぶつけようとしたり、ポーズ決めたら爆発して記念撮影とかもできますよ。
 あと、レンタルヒーロー衣装も用意してあります」

もうそっちでお金がとれそうである。

出てきた黒い塊を見て感想を漏らす。

「なるほど……どうやったかはわかりませんが、見事な浄化術ですねぇ。
 貴方は意外とそちら方面に素養があるのかもしれません。
 ソレは現状で無害ですし……そのうちに消えるでしょう、心残りのないようにしてくださいねぇ?」

真乃 真 > 「おおっ便利!
 ありがとうございます!」

ベンチに座って最高のメロンパンと高級な紅茶を飲む。
うん、幸せ。

「本当ですか!鉄球ぶつけるやつと岩のやつはやってみたいです!
 ヒーロー衣装は見てから着るか決めます!」

実際に一人で使うのはもったいない感じもする。
宣伝したら人も来そうなものだ。

「浄化というか…無念を晴らしてるんですよ!」

名前のないそれら「妖怪もどき」と言われるそれらの中でも真に憑いたのは助けを求めるモノだった。
誰にも助けられなかったその思いはその男に縋りついたのだった。
それらの為になれない酒を飲んだり、タバコを吸ってみたり、お墓を殴ったりしたのだった。

「ええ、あと一つ、あと一つ望みを果たしたらもう消えるそうです。
 それさえできればもう心残りもないらしいので!」

願いを叶え、コレらを助けて残した願いはあと一つ
最後に残るのはメロンパンかこれかと思っていたが最後にこれが残るなんて…。
恐らく一番難しい願いである。

ルギウス > 「まぁ、基本的には解放していますので誰でも利用はできますよ。
 使い方を間違わない限りは死にませんし」

間違うと死ぬかもしれません。
爆薬とか使ってるから仕方ないね。

「言い換えると、成仏させようとしているですかねぇ?
 可愛げのあるモノでしたから貴方に引かれたのか……そこは調べてみると面白そうです」

何か玩具を見つけたような顔をした後に。

「女性とイチャイチャしたいという願いなら、ご自分で努力してくださいね?」

真乃 真 > 「まあ、死なないように気をつけて使います!」

特訓中に死んだとかそれはつらい。
もしかしたら死ぬかもしれない!という特訓をするのが良いのであって死んでは全く意味もない。

「多分そうです!だって、誰からも助けられずに生きて、思いだけになっても助けを求め続けてるなんて
 放って置けないじゃあないですか!知ってしまった以上は最後までいきます!」

手を伸ばして届いた!届く距離にいたのだから助ける他ないのだ!

「…似たようなものですけど。出来るだけ自分で努力します!」

まあ、その願いがイチャイチャするよりは精神的な要素が薄い分簡単ではあると思うが…。
こっちの願いであればそれこそ最悪この先生にお願いすればいけるかな?いけるかも?
いや、駄目だな。満足できないと思う。