2016/11/17 のログ
■東雲七生 > 「……んっ、んん……。」
横たわって夕焼け空を眺めていたおかげか、だいぶ体力が回復した気がする。
だらりと垂れ提げていた腕を持ち上げ、手を握ったり開いたりしながらゆっくりと身を起こした。
体の芯から感じていた疲れは、ほとんど取れている。
「んんぁ……ふわぁぁぁぁ。……んし。」
大きく伸びをすれば、自然と欠伸も零れて。
昼寝明けの猫の様に顔を擦ると、はた、と我に返って辺りを見回した。
今の、誰にも見られてないだろうか、と。
■東雲七生 > 「……よし、おっけー誰も居な……ふあ、ふわぁぁぁぁ。」
油断したところでもう一発。
いっそ寝てしまおうかとも思ったが、
こんな場所で寝たらきっと風邪を引くだろうし、知り合いに見つかったらと思うと恐ろしい。
軽く頭を振って眠気を払ってから、七生はベンチの背凭れに体を預けた。
空には僅かに星が瞬き始めている。
もう夜だから、眠くなるのも仕方ないか、と七生は他人事の様に考えていた。
遠くから祭りの喧騒が聞こえてくる。完全に放課の時間を迎えて、夕飯時というのもあって飲食店や屋台が盛況になっているのだろう。
「あ~……美味そうな匂いもする~」
ご案内:「常世公園」に濡鼠さんが現れました。
■濡鼠 >
「そら、そこの君」
その声は、すぐ身の傍の闇から響いた。
黄昏時の常世公園。
常世祭の喧騒遠く、間に間に傍から覗いて見れば、人の気配は疎らに漫ろ。
そんな、静かな常世の外れ。浮かんだ影は……肥満のせむし。
ずるずる、コートを引きずって、ひっかぶるのは大きなフード。
その相貌は、窺い知れぬ。
「今、正に、空きっ腹を抱えているかね?」
■東雲七生 > 「ほぇ?」
風に乗って漂ってくる匂いを、これは焼きそば、お好み焼き、クレープ、と
嗅ぎ分けていたところで声が聞こえた気がして顔を下ろす。
現れた男を一瞥した後、辺りを見回して自分以外の姿を探す。
誰も居ないのを確認した後、ゆっくりと自分を指さして
「……俺の事?
まあ、腹が減ってるっちゃ減ってるけど……。」
僅かに首を傾げた。
■濡鼠 >
「それは全く都合が良い。良ければ、君もこっちに来るといい」
そう、笑み零して、せむしは小さく指をさす。
その先、あるのは小さな露店。
小さな小さな露店には、見れば僅かに人が集まる
「丁度、これより物売り初めの算段だ。
軽い御菓子も準備してある。
どれ腹が減っているのなら、君も此方で拵えては?」
■東雲七生 > 「ふーん……?」
指示された方を見遣れば、なるほど気付かなかったが露店があって人も集まっている。
俄かに興味が沸いて背凭れから身体を離すと、小さな掛け声とともにベンチから立ち上がって。
「うーん、確かに腹は減ってっけど、晩飯も近いし。
ただ、せっかくだから見るだけ見てみるよ。
何か買うかとかは即断出来ねえけどさ。それでも良い?」
■濡鼠 >
「重畳重畳、見てくれるだけでも全く恐悦至極の次第。
さぁさ、こちらへ若旦那」
促す様に、短く突き出した手で手招きをして、せむしは露店の彼方へと。
物売り役の席に付き、小さなその手を大きく開いて、集まる客に声掛ける。
少年七生の他の客は、半開きの口そのままに、ただただせむしの声を聴く。
「やぁやぁ、よくぞ、皆の衆、今日も今日とて集まってくれた。
当方自慢の舶来品、今日もたぁんと揃えてある。
是非手に取って、見ておくれ。気に入る品ありゃ是非買っとくれ」
露店に並ぶその品は、大陸由来と思しき珍品。
いくつか、旨そうな乾物、菓子も並んでいる。
■東雲七生 > 「若旦那なんて、そんな。」
そこまで歳いってねーやい、と口を尖らせつつ。
促されるままに露店へと近付いていく。
ベンチから離れ、数歩進んでから、七生の鼻が小さく、すん、と鳴った。
微かな違和を目敏く嗅ぎ取る。
「……ん。」
その場に集った客たちを見て、それは確信に変わる。
にこっと大人しく愛想笑いを浮かべながら、つぶさに周囲の様子を観察する。
見たところ、異常と呼べる異常は無い。だから逆に訝しむ。
顔にも、態度にも出さず、ただ大人びた微笑を口元に浮かべたまま、愚鈍なフリだけをして。
■濡鼠 >
「さぁさ、御集りの御歴々。今日も今日とて振舞おうじゃないか。
当方自慢の舶来品。どれもお値段ピンからキリまで。
是非とも一つも買ってくれれば、おまけもいくつか付けようじゃないか」
せむしが言うなり客等、口端に僅かな笑み浮かべ、一つ一つと品を買う。
乾物、香草、菓子に入物。
適当それぞれ手にとっては、せむしの言い値をただ渡し、時にはその場で口に運ぶ。
「さぁ、若旦那。いや、少年よ。
そちらもどうか? 之等一つ」
そういうせむしが差しだしたのは、綺麗な形の小さな粉菓子。
「当方自慢の舶来品だ。お試しに一つ、含んでみては?
なぁに、試食に御代はいらないよ」
■東雲七生 > 「ふーん………。」
男の口上に相槌を打つフリをして、その実聞き流しながら。
集った客たちや、『舶来品』とやらを観察する。
漂う“匂い”、場の雰囲気は幾度か赴いた事のある落第街のそれに近しく思う。
傍目に見て異常は無い、だからこそ性質の悪さを七生は肌で感じていた。
「……え?あ、ああ。
美味そうだけど、やっぱ飯前に食っちゃうとさー
でも、くれるってんなら持って帰って、食後に食うけど。」
直接受け取らず、掌を差し出す様にして首を傾げる。
夕闇の中に在って尚、男へと向けられた真紅の双眸が挑発する様にぎらりと輝いた。
■濡鼠 >
「勿論、それでも構わないさぁ。
尤も、我ら自慢の舶来品……食事と共に楽しむ事を、是非ともにお勧めするがね」
一つ、一つと、店頭に並ぶ品が消えていき、終いに全て、客へと渡る。
群がる客は一人、また一人と闇へと消える。
数人はその場で乾物や粉菓子を口にして、恍惚、もしくは背を伸ばし、快活溌剌通りへ消える。
誰も彼もの顔には活気。ないしは笑顔。
それ見るせむしもクスクス笑い、満足そうに首を垂れる。
「きっと普段よりも食が、楽しみ夢見るものとなろうさ。
それはもう、胸すくほどに」
粉菓子の他に乾物も差し出して、せむしは七生少年へと笑みを向ける。
■東雲七生 > 「そっか、そりゃよかった。
ありがと!」
唇の端を釣り上げ、目を細めてにっこりと笑みを浮かべる。
そしてその場を後にする人々を見送りながら、ふと考える。
やっぱり、必要とされるから存在するのだろうか、と。
「普段っから公園で店開いてるの?
あんまり見掛けた憶えないけどさ。」
手渡された物を小脇に抱え直して、男へと訊ねる。
もしかしたら普段見落としてるだけかもしれないし、公園以外でも今みたいな取引が行われているかもしれない、と。
■濡鼠 >
「ああ、勿論さ。
求められる品は求められる場にて売り歩くもの。
尤も、今日、少年は運が良い。
此処での小売りは限られた時節のみ、丁度中るは正に天運」
小さく短い手を開き、せむしはひぃひぃ笑いを漏らす。
「もし、もっと欲しければ、次は満月の夜に此処に来るといい。
此処ではその時、商いをしよう」
■東雲七生 > 「ふぅん……。
求められる場にて、ねえ……」
やっぱり。
求める者が在るから、この品は有るんだろう。
そう思うと、少しだけ苛立ちにも似た虚しさを覚えて眉間に皺が寄る。
……求める気持ちが、分からない訳でもない故に。
「ん、そっか。満月の夜、ね。
気に入ったら来るよ、とはいえ俺大陸のより煎餅とかそっちのが好きなんだけどな……。」
ふぅ、と息を吐きながら口を尖らせる。
はてさて受け取ったこの舶来品は、何処に持って行くのが良いのだろうと頭の裡では考えつつ。
■濡鼠 >
「ひぃひぃ、なら、好みの米菓を齧る時に、丁度一緒に齧ると良い。
きっと、口に会うだろうさ。
舶来品は何かと合わせて意味がある。
それ一つでは……相対するモノがない。
それでは互いに引き立たない。
対面に座すモノがあるからこそ、引き立つ味もあるというもの」
せむしは頻りにそう笑い、すっかりモノの無くなった、露店の敷物を畳んで仕舞う。
今宵はこれで店仕舞い。
売る品無ければその他無い。
「少年よ、疲れ果てたら、是非とも口にしてみるといい。
舶来品は海越え山越え、其処にある。
きっと、千里の疲れさえ、夜毎共にしてくれるさ。ひぃひぃひぃ」
■東雲七生 > 「ふんふん……だと良いけど。
わざわざアドバイスまで、どーも。
んじゃあ店仕舞いみたいだし、俺もそろそろ行こうかな。」
小脇に抱えていたものを無造作にポケットに突っ込んで。
一度大きく背伸びをすると、深く深く息を吐き出した。
まだ少し匂う、違和感に内心穏やかでない物を覚えつつ、
「それじゃーね、ええと……おじさん?
次があるか分かんないけど、ありがとね。」
ふわっ、と柔和に微笑んでからくるりと男に背を向ける。
まずは確認だ。違和感が杞憂で済めばそれで良し。
──今この時間に、公園での出店許可が出ているのか。それを調べるには。
(……誰に電話すりゃ良いのかな。)
■濡鼠 >
「こちらこそ、手に取って頂き恐悦至極の次第であるさ。
当方自慢の舶来品。是非とも口に、合えばいいがなぁ」
それきり、気配は遠ざかり。
終いに常闇へと消える。
宛らそこには端から何も、ありはしないと嘯くように。
せむしと出店は何処か消えた。
ご案内:「常世公園」から濡鼠さんが去りました。
■東雲七生 > 静かに、しかしまっすぐに。七生は公園を後にした。
これまで何度も何度も出入りを繰り返した入口から外に踏み出した途端、どっと額に汗が浮かぶ。
心臓の鼓動が急に早くなる。
「……はぁ、はぁ……はあ~……。」
しかし浅く早い呼吸は深く長いため息へと変わり、額の汗を拭うと七生は腹を押さえた。
慣れない演技の真似事で胃がキリキリ締め付けられている気分だった。
「杞憂で済んでくれ、頼むから。」
絞り出す様にそう呟いて、再び顔を上げると七生はスマホの様な端末を片手に委員会街へ向けて歩き出した。
その結果、どうなるのか七生自身もまだ知る由も無い
ご案内:「常世公園」から東雲七生さんが去りました。
ご案内:「常世公園」に山田寺太郎さんが現れました。
■山田寺太郎 > (夜の公園に一つの影が入り込む。
その影は背中に猫を貼り付け、周囲を伺いながらベンチへと向かっていく)
みーこ。誰か来たら鳴いてくれよ?
みーこが頼りなんだからな?
(背中の猫へと声をかけた。そうしたら猫はするりと背中から肩へと登り、間近に来ていたベンチへと飛び乗った。それを確認したら、その猫の隣にゆっくりと座った。が、はっと思い返したように立ち上がると、態とらしく荒々しく腰を下ろし、満足げな息を吐きだし懐を弄った)
■山田寺太郎 > (懐を弄り、取り出したのは煙草。
それの封を切り、僅かに震える手で一本取り出し口へと咥えた。
そして、ライターも取り出し、ゆっくりと先端へと火を灯す。
勢い良く吸い込むと先端の灯りが強まり、薄く手元を照らした)
……ゲェッホォ……!
(肺へと煙が到達した瞬間、その煙を拒絶するかのように咳き込んだ。
何度も咳き込んでいる内にやっと咳も収まり荒い息が口から出ていく。
そして、隣をちらりと見れば猫が呆れたようにしらっと視線を外した)
な、なんだよ。
初めてだからしょうがないだろ?
しかし、これ普通に吸うのがレベルアップの近道なのかな。
なんか違う気がする。
(そりゃ違うだろうさ。そう言いたげに猫はあくびをかまし、パタリと尻尾を一度振った)
漫画に書いてたんだけどなー
(ど田舎から都会の高校生を間違った見方で見ている。
未だ火がついている煙草をどうしようかと手元で弄ぶ)
■山田寺太郎 > (何度か繰り返して慣れよう。手元の煙草の処遇を決定したら
震える手でもう一度口元へとフィルターを持っていく。
そして、ゆっくりと吸い、咽る。あんまり大きな音を出すのも
憚られて、音を抑えるように口元へと手をやった)
……これ後19本あるんだよな。
(そう考えたら絶望したのか口元にやっていた手から目元へと手を移し
目元を覆って空を仰いだ。しかし、案が浮かんだのか口元を歪ませ目元から手をおろした)
持ってるだけでそれっぽくね?
(空を仰いでいた顔を真正面へと向け、足を組み
口元に煙草を持つ手を近づけた。しばしそのポーズで静止)
■山田寺太郎 > 俺今……レベルアップしてる。
(満足そうにふふりと笑い、その後は何度かポーズを変えて
一人悦に入る。謎の開放感を感じていたが、指先に熱さを感じて
視線を下ろすと煙草の火が根本まで差し掛かっていた)
おわっと……これどうしよ。
灰皿なんて持ってきてねぇし。
(とりあえず地面に落として靴裏でグリグリと踏み消した。
火が消えた吸い殻を眺め、そっと煙草の箱に入れた)
俺、形から入るタイプだし
(タバコを吸う事を諦めた言い訳を自分に言い聞かせ、煙草の箱を
制服の内ポケットへと仕舞う。そうしたら猫が膝へと飛び乗り、胸元をカリカリと引っ掻いた)
おうおう、寒いもんなぁ。
(猫を抱いたらジャケットのチャックを閉める。
すると猫は甘えるような声を出し、開いている襟首から顔を覗かせた)
ご案内:「常世公園」から山田寺太郎さんが去りました。
ご案内:「常世公園」に山田次太郎さんが現れました。
■山田次太郎 > さぁて、みーこや、帰るべぇよ
(その声に答えるように鳴いた猫の声を聞き、破顔しながらベンチから腰を上げた。次はどんな事をしてレベルを上げるかを思考しながら出口まで歩いて行く)
あ、みーこ。今日は猫缶じゃなくてカリカリな?
(怒ったような声を上げて胸元を爪を立てずに掻いてくる猫にくつくつ
笑いながら、帰路へと着いた)
ご案内:「常世公園」から山田次太郎さんが去りました。