2017/03/21 のログ
ご案内:「常世公園」に東雲七生さんが現れました。
■東雲七生 > 「………。」
さて困った。
ベンチの下、息を殺してタイミングをうかがう小柄な姿があった。
東雲七生、二年生。知り合いの異邦人に頼まれて猫探しをしていたところ。
目撃情報を頼りに公園まで来て、ベンチの下に何か発見し潜り込んだのが異形の人影が公園を訪れる直前。
それから実に今まで、ベンチの下から這い出るタイミングを完全に逃していた。
「………。」
今更出ていくのも気まずい。しかし、出て行かない訳にもいかない。
ちなみにベンチの下にあったのは、スポーツタオルだった。猫ではなかった。
■永井ひとつ > 「ふう…」
一通り歌い終えてレジ袋をもってベンチに座ろうとする。
しかしその直前にその人間よりよく見える目でベンチの下に誰かいるのを見てしまう。
「あ…」
いろいろと瞬間的に駆け巡る思考。なぜこんなところに、とか不審者!?とか聞かれてた!とかいろいろ考えるが、とりあえずフレンドリーにこう話しかける
「あ、あ…すいません、うるさかった、ですか?」
■東雲七生 > 「はぅぁっ……!」
気付かれた。何故、どうして。
自分の気配遮断は完璧だったはず……でもないか、
と瞬時に反省をしつつ、少しだけバツが悪そうにベンチの下より這い出てくる。
「あ、えっと、ぜ、全然大丈夫!
俺の方こそ、何か、盗み聞きしちゃったみたいでごめん……」
汚れたタオルを片手に、小さな体を更に縮こまらせながら頭を下げる。
ベンチに潜る前に園内をあちこち創作したのだろう、小枝や葉っぱが体中に付いていた。
■永井ひとつ > 這い出てきた人物がおもったより小柄でかわいらしい少年だとわかり安心する。
「あ、あ、そうですか…いえ、わたしも、だいじょうぶです」
気にしてないよ!と身振り手振りで可能な限りにこやかに接する。
そこで少年のからだがわりと汚れていることに気づいた。
「だいじょうぶ、ですか?枝が…」
そーっと警戒されないようにできるだけゆっくり、自然に小枝や葉っぱを払い落そうとする。
■東雲七生 > 「えっ?……あ、ああ。ちょっと猫探しててさ。
だいじょうぶだいじょうぶ、これくらい。帰ったらすぐ風呂入るしさ。」
身体についたゴミを払い落とされれば、少しだけ困った様に笑顔を向ける。
その際、貴女の手や背の高さに少しだけ驚いた様に目を瞠った。
「えっと、その……凄く大きいね。」
さっきは伏せていたからそう見えただけかとも思ったが、実際対峙してみると、小柄な七生では完全に見上げる体勢になってしまっていた。
■永井ひとつ > 「ねこ…そう、ですか…みつかると、いいですね」
実際大丈夫そうなので安心して笑顔を向ける。ネコ探ししてるのは素直にすごいと思う。できれば自分もさがしてやりたいが、そんな能力も技能もないので曖昧に笑うにとどめる。
「あはは…そう、ですね。こう、種族的な、あれで……」
怖がられたかな?と思い、ゆっくりとひざまずくように腰を下ろして猫背になって可能な限り視線を合わせる。それでも多分170くらいの人の目線くらいの高さ。
「ねこ…たのまれた、ですか?あなたの、ねこ?しゃしん、ありますか?みつけたら、おしえます。ほかに、てつだえること、ありますか?」
それにしてもかわいいなあこの子!と内心で思う。できれば何か手助けしたい。そう思ってそう言う。
可能ならば撫でたい。
■東雲七生 > 「うん、写真?……それが持ってなくてさ。
何度か見た事のある知り合いの猫だから、俺が見れば分かると思うんだけど……」
ともあれそろそろ暗くなってきたので今日のところは切り上げるつもりだった。
七生自身夜目が利く方ではあるが、流石に猫の見分けを付けられるほどでも無い。
「まあ、こう暗くなって来ちゃったら今日はそろそろ諦めないと。
それより、種族的なあれって事はやっぱり異邦人なの?
……ああ、いきなり不躾な事聞いてごめんね。俺、東雲七生。
一応二年。君は?」
わざわざ屈んで目線の高さを合わせようとしてくれたことを察して、申し訳なさそうに笑みを浮かべる。
今は春休みで制服を着ている訳でもないからお互い学生同士なのかも解らないだろう、と自己紹介にそっと学年を添える。
■永井ひとつ > 「そう、ですか…ざんねんです」
普自分では役に立たないようなので少しだけ残念に思う。
物怖じせずに素直に尋ねられて逆に好印象になる。
しかし自分のややこしい身の上をどう説明したものかと思う。
「え、と…せつめい、ながくなります。いいですか?
わたしは、地球、日本で生まれました。おかあさんは人間です。
でもお父さんは、何かわかりません。多分、上位者とか、旧支配者とか…エイリアン的な?そういう感じのあれです」
ここまでで一息ついて。
「永井ひとつです。わたし、1年生です。よろしくおねがいします。先輩」
にこっと笑って握手しようと手を差し伸べる。
■東雲七生 > 「ふうん、生まれがこっちだけど、父親が異邦人……てことはハーフなんだね。
両親は日本に居るの?」
上位者や、旧支配者といった言葉は耳慣れないのか僅かに首を傾げる。
だが、エイリアンというのは分かった。大昔から映画とかで馴染のある感じのあれなのだろう。
だとすれば目の前の彼女の異形も納得だ。
「永井、だね。うん、宜しく!」
差し出された手を、こちらも笑顔で握る。
自分より背の高い後輩はたくさんいるが、彼女ほど突き抜けているとあまり気にならなくなって来るな、と内心。
■永井ひとつ > これもどう説明したものかなーと少し困りつつも、まあそれはそれで面白いさ!と前向きになる。そしてできるだけ引かれないように自然に言おうとする。
「あ、はい…そんな感じです。りょうしん……さあ…?たぶん、いません」
母親は多分寿命からして死んでいるだろうし、父親はおそらく宇宙にでもいってしまったのだろう。もとより捨て子の身には知る由もない。人間である部分はそれを寂しいと思うが、人外の部分はそんなものだ、と思っている。それらが混ざり合って、ちょっと寂しいけどまあいいさ。くらいの軽い感じになる。
「はい、よろしくお願いします」
握手するととても嬉しそうに笑う。
「あ、あ、先輩は、お時間大丈夫ですか?大丈夫、でしたら、おはなし、しませんか?」
彼女はわりと話し相手に飢えている。まして相手がかわいくて素直に話してくれる男の子ならばなおさらだ。
■東雲七生 > 「居ないのか、そっか……」
同情……するには、永井の反応は淡泊過ぎる様に思えた。
そこからは種族上の感性の違いだけでは無い様にも思え、詮索するのも野暮かと七生は思う。
同時に初対面の相手の生い立ちをずけずけと聞くのも流石にどうなのか、と反省して曖昧に笑みを浮かべるだけに留めた。
「え?お話?……ああ、うん。別に良いよ?
それならせっかくベンチあるし、座ろっか。流石に体勢キツイでしょ?」
苦笑しながらベンチを指して促す。
彼女自身の姿勢の維持もだが、そんな風に気を使わせても新調の差はまだ開きがあって、
七生の視線の高さは奇しくも彼女の胸の高さだった。
正直、目のやり場にも困る。
■永井ひとつ > 「あはは…」
なんか気を使わせてしまった気がする!と思いつつもうまく流してくれたことに感謝する。
「あ、はい、ありがとうございます。そんなに、きつくないです。でも、すこしだけ…」
ゆらりと立ち上がってベンチにちょこんと腰かける。
その時、胸に対する視線に気づく。女性は胸への視線に敏感である。
だが、位置的にどうしても見えるよね!とすぐ思い直し曖昧に笑う。
「あの…先輩は、どうなんですか?種族とか、家族とか…あと、お話、上手です。すごいですね」
嘘偽りなく本音。ずばずば素直に物おじせず聞けるのはすごいと思う。
■東雲七生 > 「うん、座ろ座ろ。
俺もさ、昼から猫探しで疲れてたとこなんだよね。」
あはは、と笑いながらベンチに腰を下ろす。
口が裂けても胸が目の前にあると落ち着かないです、なんて言わない。表情にも出さない。
それくらいの常識とポーカーフェイスは持ち合わせている。
「ん、俺?……種族は人間だし、家族の事は……うん、ちょっと分かんねえや。
まあこの学校に入ってから色んな異邦人と知り合ったしさ、今住んでるのも異邦人街の辺りだし……
感覚的には地球人も異邦人も同じ様に思えてるからってのもあると思う。
あとは単純に性格の問題じゃないかな。あはは…」
凄くないよぉ、と小さく手を振りながら照れた様に視線を逸らす。
少し背伸びをしている子供の様な笑顔を向けるが、御年17歳。思春期真っ只中だ。
■永井ひとつ > 「昼から…おつかれさま、です。これ、飲みますか?」
レジ袋からペットボトル入りのジュースを出して見せる。
「あ、コップ、あります」
能力の「おきがえ」の応用で簡単な紙コップを作り出してジュースを注ぐ。断られなかったらそのまま差し出すだろう。
「あ、そうなんですか…あ、あ、私も異邦人街、住んでます。近いですね。ええ、ええ。多分、あんまり変わりません」
自分と同じようなものなのかも、と思いまずいこと聞いたなあ、と反省。このことは彼が流してくれたように、自分も流した方がいいだろうと思う。
近くだと分かってうれしそうに手を胸の前で軽く合わせる。
性格かぁー!難しいなそれは!と思いつつそこも流す。
子供のような笑顔につい撫でようと手が伸びる。
「え、と。何か、好きなこととか、そういうの、ありますか?」
お見合いみたいなこと聞いてるなこれ!と思いつつこの人はどんな生活をしてる人なんだろう。まともそうなしゃべり方からしてきっと今は人間らしい生活を送れているんだろうな。でも何か事情があるみたいだしあまり深く聞いたらまずいかな、と思う。
■東雲七生 > 「え?良いの?……サンキュー、そういや何も飲んで無かったわ。」
今日は暖かかったもんなあ、と昼間の事を思い出して。
貴重な休日を猫探しで潰してしまったが、こうして新たな出会いがあっただけでも良しとするのが東雲七生である。
「へえ、永井も異邦人街か。どの辺だろう。
俺は端っこの方でさ、ちょうど歓楽街とか落第街と重なるとこなんだけど。」
コップを受け取りながらつらつらと答えていく。
独り暮らしでは無く居候の身の上である事まで含めて答えた後は、ジュースを一気に呷った。
「好きな事……?
ええと、体動かすことかな。スポーツのこれが好き、とかは無くて、体動かせれば大抵は好き。
永井は?」
お互いベンチに座ってなお高低差は大きく、どう頑張っても見上げるようになってしまう事には諦めがついていた。
ルビーの様に真っ赤な瞳を真っ直ぐに向けた際に、こちらへと伸ばされた手に気付く。
しかし、撫でられようとされているなど微塵も思わず、また頭に小枝でも付いてたかな、と目を瞑った。
■永井ひとつ > 「あ、はい。だいじょうぶです。すいぶん、だいじです」
昼間から水分取ってないって大丈夫!?喉乾かない?と素で驚く。
「え、と。ひっこしてきた、ばかりです。たぶん、まんなか?巨人とか大型種族用の、区画で…」
大雑把に住所を言ってみる。治安のいい地区だがセンスや建物、住民の感覚があちら側よりの場所だとわかるだろう。
「ルームシェア?ですか?彼女さん、ですか?」
居候ときいて仲がいいといいな、いじめられたりしたらかわいそうだな、心配だな…くらいに思う。そのあと、友達だろうか、彼女とかだろうか?なんかモテそうだなあ、彼女かな…とか思う。
「スポーツ、いいですね…からだを動かす、たのしいです。
私は、歌を歌ったり、本や、ゲームをしたり…ちょっと、オタク?です」
娯楽作品が好きな軽いオタク系女子である。抵抗されないのでついわさわさと撫でてしまい、理性がはたらいてこれはまずいと思ってすっと手をひっこめる。
「あ、ごめんなさい…つい」
■東雲七生 > 「そこまで汗かいたりする訳じゃなかったしさ。」
猫探しに集中し過ぎてつい、というやつである。
空になったコップを
「ああ、そうなんだ。なるほど、あの辺りね……。
まあそんなに不便は無いでしょ、この島もさ。」
とは言っても七生はこの島の外での暮らしは知らない。
思えば入学してから今まで一度も島から出ていない気がする。
「えっ?彼女!?違う違う、ええと、ルームシェアとかでもなくて、居候なの!
俺の方が転がり込んだんだけどさ、まあそこそこ長く続いてるから仲も悪い訳じゃないよ。」
慌てた様子で首を振る。
実際のところどの様な関係かと考えれば、やっぱり居候というのが一番しっくりくるのだ。
「そっか、さっきも歌ってたもんな。
どっちかと言えばインドア派なんだな、永井は。」
ふんふん、と頷こうとしたら撫でられた。
突然の事に一瞬理解が遅れたが、その間に手は離されてしまう。
「えっと、ううん、大丈夫。ちょっとびっくりしただけ。」
何が「つい」なのか分からなかったが謝られてしまうと言及も出来ない。
にぱ、と笑みを浮かべて気にしてないよ、と告げるのがせいぜいだった。実際不快でも無かったのもあるし。
■永井ひとつ > 「ああ、まだ、そんなに暑くない、みたいですね」
暑さ寒さは彼女にはわかりにくい。ただ気温や周囲の人の反応から、どうも今は過ごしやすい季節のようだと分かる。
「はい、とても、いいところです」
実際彼女にとっては今の世の中はとてもありがたい。文明的な生活が送れるからだ。
こうなる前はずっと森とかでひっそりと隠れ住んでいた。
今はなんでも娯楽を味わうことができる、そう考えるとありがたいと思う。
「え、あ、そうですか。でも、よかったです。なかがいい、だいじです」
どうやら無用な心配だったようだ。心から安心した。
「あ、はい。そうです。娯楽、大好きです。あと、歌うの、一番好きです」
人間としても歌うのは楽しいし、人外の血がそれを後押しする。
どうも種族の特性として歌をコミュニケーションに使う種族だったらしい。
「あはは…」
心が広い人だ!ありがたい!と思う。ここでふと時計を見て。
「あ、こんな、時間……今日は、ありがとうございました。そろそろ、いかないと。あ、これ、私のアドレスです」
さっきの紙コップ同様にアドレスの書かれたメモを取り出して渡そうとする。
■東雲七生 > 「そだね、そこまでじゃなかった。日に日に暖かくなってるけどさ。」
他愛無い会話からでも、為人は覗える。
永井はあんまり気温とかを感じにくい種族なんだろうか、と考えつつ。
「そっか、それは良かった。
この島も異邦人街も好きだからさ、気に入って貰えたなら嬉しいな。」
えへへ、と子供っぽく笑いながら大きく満足げに肯く。
撫でられてしまうのも無理は無い笑みだった。
「アドレス……ああ、えっと、ありがとう。
俺のも何か伝えられれば……あ、このアドレスに空メール送っとくね。」
渡されたメモに書かれたアドレスを見て、手早くメールを送る。
宣言通り、タイトルに七生の名前が書かれただけの本文が無いメールが永井の手元に届くだろう。
「もう帰る時間か。見たところ買い物帰りだったみたいだしな。
……それじゃあ、今度また話を聞かせてよ。同じ異邦人街に住んでるもの同士だし、永井の歌、今度はちゃんと聞かせて貰いたいしさ。」
にっこりとほほ笑んで一足先にベンチから立ちあがる。
一人此処に残る理由も無いから、永井が帰るのであればその後に帰ろうと。
■永井ひとつ > 「そう、みたいですね。お花が、よく咲きます。みんな、外に出ます。たのしそうです。いいことだと、思います」
冬は縮こまっていた人々がのびのびと通りを歩き、花が咲き乱れる様は彼女にとってとても楽しいものだ。
「はい、わたしもここは好きです」
とてもいい笑顔でまた撫でたくなるが我慢する。やっぱモテるんんだろうな!すごくいい子だ!と少し感動する。
「あ、はい。これですね、ありがとうございます。メール、お早いですね」
操作がとてもうまいなあと思う。機械類はあまり慣れていない。とくに小さなものは。パソコンとテレビが例外的に興味が深かったから普通に使えるだけだ。
「はい、おはなし、ありがとうございます。うた…はい、よろこんで」
歌を聞いてくれる人がいるのはとてもうれしい。笑顔でうなずく。
ベンチから立ち上がってゆっくりゆっくりと、しかし歩幅が長いのでとても早く立ち去る。
ご案内:「常世公園」から永井ひとつさんが去りました。
■東雲七生 > 「もうすぐ桜も咲き始めて、お花見シーズンになるからなー。楽しみだよな。」
笑顔のまま、永井の話すこと一つ一つに頷いて相槌を打つ。
そんな彼女が自分を撫でようとする衝動に駆られているなど露知らず。
「あはは、こればっかりは慣れたんだ。必要だったし。」
七生も元来機械は得意な方では無かった。
それでも入学当初から同じ端末を使い続けていれば、人並に操作するくらいにはなれる。なれた。
「じゃあ、楽しみにしてるから!じゃーな、永井!」
その場を去っていく後ろ姿に声を掛けて、手を振りながら見送る。
結局猫は見つからなかったし、汚れたタオルを手に入れたけど、新しい知り合いが出来たのは素直に喜ばしい事だった。
「……にしても、色々おっきい後輩だったな。」
色々。
そんな感想を呟きながら、七生も公園を後にしたのだった。
後日、猫は無事に発見され飼い主のもとへ届けられましたとさ。
ご案内:「常世公園」から東雲七生さんが去りました。