2017/07/23 のログ
ご案内:「常世公園」に筑波 察さんが現れました。
筑波 察 > 「……」

(日付も変わり、外を行き来する人も減る時間。
あと1時間もすれば人通りは完全になくなり、物音すら聞こえないような時間の公園。
そのベンチに腰掛け、うなだれている青年が一人。
深夜の街灯に照らされる姿は、たとえそうでなくとも疲れ切った風に見える。
いつものように独り言を言うでもなく、徒然な思考に時間を割くわけでもなく、
ただ黙って、何もせずに座っている。>

筑波 察 > 「……なんか、飲もうか。」

(どれくらいうなだれていただろう。
ふと顔を上げてそんなことを思った。腕時計を確認すると1時を回っていた。
30分以上ボーっとしていたようだ。さすがに何もしないことに飽きたのか、自販機に向かう。
硬貨を数枚入れれば自販機の灯りが点灯して商品を照らす。
迷うことなくいつも飲んでいる缶コーヒーのボタンを押して、落ちてきた缶を手に取った)

「やっぱりおかしい。」

(缶を手に取った瞬間に抱く違和感。
キンキンに冷やされていたはずの缶を触っても、何も感じないのだ。
冷たいとか、熱いとか、そういった感覚がない)

「高齢者になると温度とかに鈍感になるって話は聞くけど……」

(何かの病気を疑って病院に行ったが、特になんともなかった。
原因がわからないというのはなんとも気持ちが悪く、落ち着かない。
それはほとんど直接、今気分が沈んでいる原因として心にはびこっている>

筑波 察 > 「こないだも何か見えたし。今日だって温度を感じないし。
ついに異能が僕の身体から独り立ちかねぇ?」

(缶コーヒーを開けて中身を胃に流し込む。相変わらず甘い。微糖の意味を問う。
味覚は正しく働く当たり、やっぱり皮膚からの感覚、特に温度の高低が麻痺しているようだ。
缶を握った時の感覚は正しく、ハッキリと認識できている。
徐々にわかることを分析していくと、状況の整理とともに冗談が出てくるくらいの余裕が生まれて)

「原因がわからないんだよねぇ」

(疑問には必ず答えがなければならない。それを信条に生きてきた身としては、
何が、どうして起こっているのかわからない今の状況が気持ち悪くて仕方がない>

筑波 察 > 「なんなんだろうねぇ。変なものは見えなくていいからふつうに視力を返してほしいよねぇ」

(まるで幽体離脱したかのような視界は今思い出しても奇妙なものだ。
そのくせしてひが落ちれば何も見えないと来たもんだから都合が悪い。
そっとゴーグルのフレームをなぞってみる。幼いころからずっとお世話になっている道具。
もはや器官と言ってもいいこの代物、とはいえつけなくていいならつけたくはない)

「まさかとは思うけど僕の異能に対する理解が根本的に間違ってるのかねぇ?」

(理解できないのは前提が間違っているから?
その可能性を考えたとき、これまで学んだことは一体何だったのか。
そんな不安がこみ上げてくる>

筑波 察 > 「帰ろうか。不安がってても仕方がない。」

(不安なのは今に始まったことじゃない。
今までは不安が薄かっただけで、いつもどこか背中についてきてた。
その不安が濃くなっても、自分がやることは変わらないのだ。
自分の力として受け入れる覚悟を決め、その時に備えるほかない。
今はまだ僕自身が、能力がお互いを完全に認め合っていないのだ)

「どうなったって僕の身体だ。僕が自分で受け入れないといけないものだ」

(躊躇うことをやめてここに来たのだ。今更それをやめたって変わりはしない。
もし前提が間違っているのなら、また新しく演繹していくほかない。
手探りで進むというのはそういうことだ。
飲み干した缶を自販機の脇に置いてあるゴミ箱に入れ、公園を後にする。>

ご案内:「常世公園」から筑波 察さんが去りました。
ご案内:「常世公園」に水月エニィさんが現れました。
水月エニィ > 「あっついわね……」

 初夏の昼下がり。
 試験等々もほぼ終わり、後は夏休みを満喫するだけだ。

 最近はこれと言って大きな問題もなく、また、己の異能や性格とも折り合いを付け始めている。
 丸くなったと言えばその通りかしら。そんな思考をめぐらせながらベンチでジュースを飲んでいる。おしるこサイダーだ。

「……これも相変わらずの味ね。」

ご案内:「常世公園」に谷蜂檻葉さんが現れました。
谷蜂檻葉 > そんな、ぼんやりとした思考の只中。
蜃気楼の先から現れるように、ふわりと金色の人影がエニィに近づいてくる。


「―――あら、水月さん。 こんにちは♪ 試験はどうだったかしら?」


親しげに笑いかけてくるのは……誰かに似ているようだが……会ったことがあるだろうか?
微かに記憶に引っ掛かる「誰か」と印象が違うように思えるが。

そう、具体的には、横のアスペクト比。

水月エニィ > 「思えば遠くに来たものね。
 ……私も随分と丸くなっちゃったわ。」

 性格と異能の話だ。
 前ほど刺々しくもなければ、ここぞで理不尽な敗北を味わう事もめっきりと減った。
 無能力者――と言うには異常であることには変わりはないが。

 そのまま気を抜いていれば、いつの間にかに誰かがいる。
 見覚えのある顔。――友人の――友人の――

「ええ、普通に出来てしまったわよ。こんにちは。」

 ――谷蜂檻葉。だと思う。
 確信がなかった為、名前を呼び返す前に言葉を切ってしまったが。

谷蜂檻葉 > 「ふふふ、こうして話すのはお久しぶりね。
 最近は貴女のような反応を皆から貰うし、改めて―――常世学園4年期生の谷蜂檻葉さんですよ♪

 もうずっと研究棟の周りしか動いてないから、偶にはこうして出歩いているの。

 知り合いに会うのも、ちょっと久しぶりでつい声をかけちゃった。」

『横、良いかしら。』と言いながらも返事をする前に座られる。
名前を聞けば詳細に彼女のことを思い出せるだろう。

演習場で対峙して以降、ポツポツと見かける程度で最近はめっきり見なかったがそういう理由らしい。

水月エニィ > 「そう。適度な運動は大事よね。
 ……研究も大変そうねえ。」

 座る彼女を見つめつつ色々と思い返す。
 研究に掛かりっきりならめっきり見なかった事にも納得出来る。
 やや太った――もとい大分太った様に見えるのも運動する暇がなかったものだろうと紐付けられる。
  
「研究は順調かしら?
 調子はよさそうだけれど、見る限りちょっと大変そうじゃない。」

谷蜂檻葉 > 「いやぁ、それが大変は大変だけど面白くってねぇ。」

いくらか、同情的な視線を受けて照れたように頬を掻く。

「どちらかって言うと、本当に不摂生が祟ってこの有様って感じかしら。
 筋肉も元からないからもっちもちよ、もっちもち♪ ……触ってみる?」

カラカラと笑う様子は自虐を通り越して色々と吹っ切れてしまっている様だ。

「でもまぁ、今やってる研究も没頭できるだけ有り難いわ。
 本当に色々あって、一時期精神状態大変だったんだから。

 ……って言っても、水月さんも似たようなものか。  顔付き、だいぶ違うわよ♪」

水月エニィ > 「あら、そうなの。
 ……流石に遠慮しておくわ。」

 吹っ切れていると見れば気にするものはない。
 研究にものめり込んでいるなら平和な事なのだろう。
 ただ、流石に真夏真昼の公園で触る事は遠慮しておいた。暑そう。


「……ええ、私も丸くなったわよ。自覚はあるわ。」

 自覚はある。
 勿論、体重の話ではなく性格や異能の話だ。
 表情も良い意味で豊かになった気がしている。

谷蜂檻葉 > 「お互い、何だかんだ言いながら良い方向に進んでるみたいね。」

クスクスと、この学園でそれぞれが『抱える』ものについて思いを馳せ、
それでいてしぶとくやっている自分らに、今度こそ自虐的な笑みで笑う。


「あ、そうだ。 久々に出会った記念に良い物―――

 ―――になるといいなー、っていうモノ。プレゼントしちゃいましょう♪」

そして、二人の会話の区切りに唐突に檻葉が手を打ち合わせて奇妙な提案をした。

水月エニィ > 「良いもの?」

 何かの空気を切り替えるような手を打ち合わせる音。
 そして唐突な提案。不思議に思うものの、断る理由もない。

「ちょっと気になるわね。何かしら?」

 ひとまず、伺ってみる事にした。

谷蜂檻葉 > 「ほら、さっき私は今”研究してる”って言ってたじゃないですか。

 私の研究は『新薬開発』なんです。 ちょっと異能に関する事ですので詳細は教えられませんけど。
 それで、幾つかは動物実験も終えた試験段階まで入ったんです。

 ……って言うわけで、その『檻葉先輩プレゼンツ 特製ドリンク(試薬品)』をあげようかな、って。」

凄いでしょう♪
と、笑って実に善意に満ちた表情をしているがそれはただの治験だ!

「今回のは自信作なんですよ、なんて言ったって理論段階から構成変更なしでここまで来たんですから。」

うんうんと自信を持って勧めてくるが、どうするべきだろうか。

水月エニィ > 「あら、試薬品?
 折角だから貰っちゃいましょう。」

 中身はともかく、完成品に自信があるのだろう。
 彼女の自信作を断る理由もないと言わんばかりに受け取るつもりだ。

「……それで、そのお薬。大雑把にはどんな効用なのかしら?」

谷蜂檻葉 > 「美容効果――というよりは『スタイルを良くする』お薬ですね。
 『美しくなるプロテイン』とでも言うべきなんでしょうか。」

エニィを見て、少し苦笑しながら

「水月さんぐらい元からスタイルが良いと期待するべきは美容効果だけですかね。

 肌ツヤも良くなりますし、抗体が強くなるのでしばらく病気にも罹りづらくなりますよ。
 ちょっとした夏バテ対策です♪」


言いながら立ち上がって水月を促す。

「それじゃあ、私の研究室[ラボ]まで行きましょうか。
 あまり研究棟の方は行ったことがないでしょう? せっかくですし、少しご案内しますよ。」

水月エニィ > 「あら、ありがと。
 ――美容・健康、抗体。ね。魅力的な研究じゃない。」

 美容・スタイルの増強・抗体の強化。
 ルーツはともかくとして、エンハンスメントの類だろうか?

「ええ。……折角だし向かいましょう。」

 
 そんな事を考えながら手元のおしるこサイダーを飲み干す。
 立ち上がってから空きボトルをゴミ箱に捨てれば、檻葉へと付いていく事にした。
 

ご案内:「常世公園」から谷蜂檻葉さんが去りました。
ご案内:「常世公園」から水月エニィさんが去りました。
ご案内:「常世公園」に藤巳 陽菜さんが現れました。
藤巳 陽菜 > 夜中の公園ブランコに座る一人の女子生徒の姿があった。
漕いでいるとか遊んでいるとかではなくて座っている。
この蛇の身体でどうやってブランコを漕いで良いのか見当もつかないし
遊ぶような気分にもなれないのだから。ただ座っている。

「元には戻れないね…。」

先日、ある人物、正確に言えば人ではないが…に言われた言葉を口に出す。
生物学的に構造が変質してしまっている。

つまり異能の制御を身に着けたところでこの身体が元に戻る事はない。
元通りの二本の足で立って歩くことは出来ない。

ご案内:「常世公園」に筑波 察さんが現れました。
筑波 察 > 「さてさて、深夜徘徊も良いところって……あれって…」

(夜もそれなりに更けてきたころ。
いつものように思考を巡らせようと公園に出向いたが、先客がいたようだ。
暗いためゴーグル越しでは顔まで判別が出来なかったが、その影が有無を言わせない)

「器用なもんだ。そしてこんなところで見かけるとは珍しいねぇ」

(いつも座っているベンチに腰掛けると、ブランコに乗る彼女に声をかける。
見た感じ落ち込んでいるようにみえるが、今更気を使うことはないだろう>

藤巳 陽菜 > その事実は異能を制御することで元に戻れると考えていた陽菜の気力を大きく削いだ。

「これからどうしようかしら…。」

既に、十全に動かせるその尻尾を弄ぶように動かす。
既に、動かし方を忘れ始めた二本の足を懐かしく思う。

…このまま、諦めてしまえば楽になれるのかもしれない。
この島で暮らす分には不便はない。別に本土に帰れないわけでもない。

…そうするのが一番楽だろう。きっと、誰も責めはしない。

「…ああ、あなた?
 今、少し落ち込んでるから放っておいてほしいんだけど…。」

掛けられた遠慮のない声に弱気な考えを頭から払い声を返した。

筑波 察 > 「ああ、知ってるよ?知ってて話しかけたんだ。今更そんな気遣いを僕に望む君じゃないだろう?」

(都合がよくて身勝手な奴、そう言われたならそれは事実だ)

「その感じだと相当きてるねぇ。
前が見えないうえに足場もふらついてて絶望を見たような顔してるよ」

(彼女に何があったのかは知らないが、こちらから聞くようなことはあえてしない。
彼女なら勘違いしてほしくないことは自分から言うだろう。
初めて会った時と変わっていないならば、という前提だが>

藤巳 陽菜 > 「…知ってるなら、こんな時くらいは気を使ってほしかったんだけど…。」

正直、少しくらい優しくしてくれてもという思いはある。
弱ってるのを知ったら少しは気を使ってくれるかなとも思った。
…もう、二度と思わない。

「…そんなにひどい顔してる?
 でも、大体そんなところね。」

そんな一歩も進めないような状況が顔にまで出ていたのだろうか?
しかも、彼にまで見抜かれてしまうぐらいに分かりやすく。

「…もう、私の足、元に戻らないんだって。」

今にも泣き出しそうな顔になるべく無表情を張り付けて
震えそうな消えてしまいそうになる声を少しでも大きく出して誤魔化して
その言葉を…その事実を話す。

筑波 察 > 「僕にやさしくされて癒えるような落ち込み具合には見えないからね。
何よりもそんな無責任なこと僕にはできない」

(そう、中途半端にやさしく接するというのは、その場しのぎでしかない。
無責任このうえないことだ。ある意味、この遠慮のない接し方は自分なりの優しさかもしれない。
それが彼女に伝わるかは知らない、所詮はエゴだ)

「いつも酷い顔してるけど今回は特にねぇ。――そう。なら……」

(言葉が詰まった。出てこなかった。躊躇しているのではない。
言葉が見つからなかった。そして、当たり障りのないことをいうこともできなかった>

藤巳 陽菜 > 「驚いて落ち込んでたこと忘れられるかもしれなかったわよ?
 まあ、期待した私が悪かったわ。」

…確かにいつも通りに接してくれたことで軽口を言えるくらいは出来た。
いつも通りみたいにに振る舞う事が出来た。

「…なら?」

続きを促す。

自分にもどうしていいのか分からない。
誰かにそれを教えて欲しい。どうしたらいいのか道を示してほしい。
誰かが教えてくれればきっとその方向に進める。
次の行き止まりまでは考えなくても済む。

「なら…どうしたの?いつもみたいに遠慮なく言えばいいじゃない?
 私、今なら何を言われても受け入れられそうな気がするわ。」

筑波 察 > 「………」

(促された。でも、言葉は出てこなかった。
僕が彼女にしてあげられることは、たぶんいくつもない。
珍しく、いやおそらく初めて、彼女の前で申し訳なさそうな顔をした)

「僕にはわからない。僕が君の立場なら…夜目が利かなくなった僕の立場から言えば、
君はまず休むべきだ。君がどこに行くべきかを、僕は知らない。
君が自分で探すべきだ。だから、僕が君に言えるのは、休むべきだとしか、言えない」

(自分で言ったくせに、こんなにも無責任な発言が出てくるとは>

藤巳 陽菜 > 「…そう、そうね。
 ありがとう、異能の事は忘れてしばらく休む事にする。」

素直に礼を告げて

「…そろそろ夏季休みに入るし丁度いいかもしれないわね。」

異能を忘れて、その身体でどう異能を忘れるのか?
呪いのように或いは重い荷物のようにどこに行こうともついてくるその異形の身体を…
それは、現実逃避に過ぎない。ただ、目を背けているだけだ。

でも、今はもうしばらくは落ち着く時間が必要となる。

「…楽しみね夏休み。
 そういえば確か海水浴とかも出来るのよね。」

…明らかに話題を変える。
もう、異能の話には足の話には触れたくなかった。

筑波 察 > 「いや、それは少し違うかな。君はこれから戦わなくちゃいけない。
君は忘れるべきじゃない。きっと途方もなく長い時間悩むことになる。
その長い時間を戦うために、休むべきだ。忘れちゃいけない」

(少しハッとしたようにすると、言葉をつづけた。
こんな言い方は少々酷かもしれないが、目を背けてはいけないのだ。
今背ける癖を持ってはいけないのだ。
少なくとも、彼女がどんな選択をしたって、楽な道はない。
それは異能を持ったものすべてが背負う現実だ)

「夏休みか。楽しみではあるけど、海水浴は遠慮したいね。」>