2015/09/25 のログ
ご案内:「カフェテラス「橘」」に雪城 氷架さんが現れました。
雪城 氷架 > 学校帰り
今日はアルバイトもないので久しぶりにカフェテラスで一服しようとやってきたのだ

窓際のテーブルで手慣れた様子で化粧をなおす

テーブルにはパンケーキとコーヒー
彼女にしては少し珍しいメニューを注文したようである

雪城 氷架 > リップは食べ終わってからでいいや、と手鏡で化粧のノリをチェックチェック。
薄化粧ではあるものの、整った目鼻口元をしっかりと目立たせる
少しだけ横によれてた髪のリボンをなおして、キラキラツインテールもばっちりだ
今日も美少女、よしカワイイ
自分の中で満足したので化粧ポーチに道具をしまって、鞄に戻す

あんまりだらだらしているとせっかくのパンケーキが冷たくなってしまう

雪城 氷架 > 生クリームのたっぷり乗った贅沢なパンケーキをナイフで丁寧にカットし、口へと運ぶ

ふんわりもっちり、暖かい生地の上でとろける生クリーム
超美味い、それ以外の感想が出てこない

生クリームに加えてメープルシロップもかけられているのでかなり甘いのだが、
いっそこれぐらい甘く無いと逆に物足りないような気すらしてくるから不思議だ

ご案内:「カフェテラス「橘」」に美澄 蘭さんが現れました。
美澄 蘭 > 「こんにちは」

白い日傘を携えた制服姿の少女が、カフェテラスに姿を見せる。
先客たる銀髪の少女の前を通り過ぎて、直射日光の当たらない席に腰掛けた。

(………綺麗な子)

通り過ぎる際にそんな事を思ったが、視線は向けない。
じろじろ見るのも、無礼に当たると思ったからだ。

席に着いてから店員を呼び、紅茶と焼き菓子のセットを頼む。
頼み終わると、おもむろに勉強道具を取り出した。

雪城 氷架 > 「ん…」
新しく入店してきた少女
見たことない顔だな、と思いつつ次の一口を頬張る

ぱっと見て自分たちと同じくらいの年代かなー、と考えるものの、
なんだか落ち着き払ったような様子で大人びて見えた

自分ももう少し落ち着いたほうがいいのだろうか、と
パンケーキを口いっぱいに頬張っている現状を客観視する

美澄 蘭 > オッドアイの少女が取り出した勉強道具は数学のようだ。
かなりの分量のプリントと、表題に「数学基礎」と書かれたノート。
準備が整うあたりで、紅茶と焼き菓子が運ばれてくる。

「ありがとうございます」

少女らしい綺麗な声でそう言いながら、プリントを避けて注文した品を置くスペースを作る。
そうして置かれた紅茶を、育ちの良さそうな所作でまずは1口。
そうしてから、改めて勉強用のプリントを広げ、筆記用具を手に問題をこなしにかかった。

自分が銀髪の少女の美しさに目を留めたように、銀髪の少女が自分の所作を気に留めたのには、特に気付かなかったようである。

雪城 氷架 > 「(喫茶店でも勉強かぁ…)」

座学が嫌いな自分にはなかなか理解し難い行動であった
図書館みたいな静かな空間が落ち着かないというのならちょっとわかる

ぱくん、と最後の一口を放り込むと同時に、氷架の携帯が鳴り始める

電話ではなくメールの着信音
なので別段あわてることもなく取り出して、携帯の画面とにらめっこする

ピシ、と少女の雰囲気が凍る
滅多にメールもよこさない相手からのメールだったからだ

ご案内:「カフェテラス「橘」」に雪城括流さんが現れました。
美澄 蘭 > 元々蘭は、(脳を含めて)体力が許す限り勉強をそこまで苦にしない性質だった。
それでも、熊谷教員の担当する数学基礎は課題の量が尋常ではないので、何日かに分けて細切れにこなす。
図書館での勉強は苦手ではないが、飲食禁止ではないカフェテラスの方が、集中力が保つ総合時間が長く、効率が良い面があった。出費は馬鹿に出来ないので、たまにしか出来ない贅沢だが。

「…?」

…と、どこからか携帯の着信音が鳴って、不思議そうに顔を上げる。

雪城括流 > メールの着信で起きたのか、それとも別の何かか。
寝ぼけた様子でひょこっと氷架のポケットから小さな蛇が顔を出す。

「へびぇぇ…。」

だらーんと頭首が垂れて。

雪城 氷架 > メールの差出人は…父親
此処に転入してから半年余りも連絡すらよこさなかった男である

「(なんだよ、今更)」

内心そう思いつつメールを開く
正直、面白くはない
自分が構ってもらえなかったことは比較的どうでもいい
ただ、母さんにすら全く連絡しないのは少し許せない
記憶にある限り母親は父親とべったりべたべただったから

自分はといえば、姉のような括流と兄のような来島先生の存在のおかげもあって比較的早く自立意識が生まれていた
だからそこまで気にしていなかったのだが…

「と…なんだ括流。そこで寝てたのか」

指でついついと括流の頭を撫でつつ、携帯に目をやる
そして目を疑った

『新しい家族が増えたよ。養子のヴァルちゃんです。仲良くしてね\(^o^)/』

もうその顔文字が煽りにしか見えない
そして写メには金髪の美少女が映っているのだった

「………」
そして整理がつかない

美澄 蘭 > 顔を上げたタイミングで、更に聞き覚えのある声。
そちらの方を見ると…

「………くくる先生?」

銀髪の少女の服のポケットから、見覚えのある小さなピンク色の蛇が垂れていた。

雪城括流 > ついついと撫でられて目が覚めたか、二、三度目をぱちぱちとさせて周囲をきょろきょろと見渡す。

「う、カフェテラスなんだ…。おや。」

そんな声を上げながら、見知った顔――美澄さんを見つけて目をぱちくりとさせる。
向けられる視線に軽くウインクを返しながら、するりと氷架のポケットから滑り落ちて。

雪城 氷架 > 「はぁぁぁぁっ!?」
やっと理解が追いついて素っ頓狂な声をあげる
慌てて自分の口を塞いで着席
落ち着け氷架、美少女が台無しだ


「…ふぅ…そ、カフェテラス。……知り合いか?あんまり動き回るなよ。
 蛇が苦手なお客さんもいるかもしれないし」

とりあえず滑り落ちていった括流にそう声だけかけて

再び携帯に向き直る
読み間違いじゃないよな、と

美澄 蘭 > 括流と目が合うと、「お久しぶりです」と口でだけ動かして会釈をした。
…丁度そのすぐ後に銀髪の少女が素っ頓狂な声を上げたので、

「…!」

びくぅっという感じで背筋を伸ばす。
目を丸くして、大きく瞬きを2つ。

(………何があったのかしら…凄い、声だったけど………)

びっくりしてどぎまぎする胸を抑えてそんな事を考えるが…括流先生の身内と思しき少女とはいえ、見知らぬ人にそんな事は聞けるわけもない。
視線を、自分のテーブルの方にぎこちなく戻した。

雪城括流 > 小さな蛇がテーブルを避けてそのまま地面に落ち――ようとするところで、光る鱗が立ち上り人姿の括流へと変化する。

「見た目もそうだけど…食事処で蛇姿は怒られるからね…。売り上げにもならないし。」

近くの椅子を確保して、氷架のテーブルの席に付く。
どうやらカフェテラスで蛇姿は基本厳禁なようだ。衛生的とか売り上げ的に。
小さければたっぷり食べれる!とか言うずるは怒られるらしい。…もしくは怒られたらしい?

氷架の携帯の画面はちらりと横目で確認していた。

「…まあ気持ちは分かるけど、落ち着こうひょーか。なんど見ても画面は変わらないと思うよ。」

「…。」
会釈に少し考えるような仕草をすると、まあ大変なことでもないか、と言う様子を見せ
にっこり笑って美澄さんのほうに軽く手招きしてみせた。

雪城 氷架 > 「ま、まぁね。まぁ、うん…パパなら何しても別に驚かない…うん、驚かないよ」
変わった人間であるのは重々承知である
まさかいきなり妹が増えたよみたいなこと言われるとは思ってなかっただけで

追記で、この学園都市の研究区に異動になったということも書かれていた
列車に乗ればすぐに会える位置だ
家族とはいえ簡単にいれてはもらえないだろうけど

そして此処の研究区に来たということは、一学期の頃にあった事件のことも知るはず、
心配したような文面がなかったことを考えると、知らないのかそれとも、複雑でもある

「この年でいきなり妹が出来たとか言われてもな…しかも写真見ろよ。私よりデカいよ」

ずい、と写メを括流に見せる
年の頃は同じくらいか年下、ただし胸部装甲が厚い

美澄 蘭 > 「………」

見慣れた小さな蛇から人の姿が現れるのを見て、また大きな瞬きを2つ。
そして、そのピンク色の髪の少女が軽く手招きをするのを見て…

「………」

少し、戸惑うような仕草をした後。

「………あの…」

括流と…銀髪の少女、氷架の方に向けて、躊躇いがちに声をかけた。

「何か、大変な事があったみたいですけど………ご一緒、しても良いですか?」

雪城括流 > 「こっちにも来てるようだから、そんなに鼻息荒く見せなくてもいいけど。」

括流自身の端末を取り出して軽く確認。同じ内容のメールが来ていることを確認して。

「考えられる事情はいくつかあるね。
浮気、現地妻、養子、適当に拾った、預かった…。」

適当な事情をつらつら並べつつ…まあ最初のほうはそうだと本気で思っているわけでも無いようだが。

声をかけてくる美澄さんにはきちんとそちらを向いて微笑んで。

「大変と言うか、ひょーか自身のことじゃないから大丈夫だよ。
せっかくだしどうぞ、美澄さん。ひょーかもいいよね?」

軽くお互い確認をとる。

「…そして蛇姿からみてたから分かると思うけど、人姿だけどくくるです。
図書館とか職員室ならいいけど、カフェだとさすがに…なんだよね。」

苦笑しつつ、疑問に思うだろうなというところをあらかじめ説明しておくのだった。

雪城 氷架 > 「括流にも行ってるなら浮気とかはないんじゃないの。
 お母さんが卒倒するよそんなの」

はぁ~~~~っと大きくため息をついて

「いいよ、括流の知り合いだろ?
 私雪城氷架、よろしく」

簡単に自己紹介をしつつ、コーヒーを口に運ぶ

美澄 蘭 > 浮気、現地妻、養子………何やら凄いワードが飛び交っている。
………とりあえず、深堀りはしないことにした。初対面の人間がやっていい事でもないし。

「…ありがとうございます」

了承がもらえれば、少しぎこちないながらも笑ってみせ、そして、勉強道具や注文した品をいそいそと移動させる。
そして、氷架から自己紹介を受けると

「………あなたが、前にくくる先生が言ってた、"ひょーかちゃん"…?
奇遇ですね」

そう言って、少し表情を和らげた。

「私は美澄 蘭。1年生です。氷架さん、って呼ばせてもらっても良いですか?」

そして、こちらも名乗り返して…同じテーブルの、空いた席に腰掛けた。

雪城括流 > 「そう言うところは流石に信用しているんだ。
言っておいて私も無いと思うけど。なら心配するようなことは無いんじゃないかな。」

別の意味で気をつけたほうがいい気はするけどね、とは考えつつ。

「美澄さんは…どうかな。学校生活には慣れた?
ひょーかは成績はいまいちだけど…うん、仲良くしてあげてね。」

名乗りあう二人をにこにこ眺めながら、そう間を取り持…つ?

雪城 氷架 > 「美澄蘭、ね。別にさんづけいらないよー一年同士だし」
固苦しいじゃん、と笑って見せて

「括流と知り合いってことは保険課だったりとか?」
そんなところかな?とあたりをつけて聞いてみる


「心配とかは置いといていきなり家族が増えたっていっても…どうすればいんだよ」
がくーんと肩を落とす氷架
でもよく考えれば兄貴と呼んで慕ってる来島先生も他人だし、括流だって言ってしまえば拾われてきた身だ
括流の言うとおり、心配することはそんなにないのかもしれない

「…その情報いるか?」
成績いまいちとか言われてジト目になる氷架

美澄 蘭 > 「はい、大分知り合いも増えましたし。
夏休み明けからはコゼット先生の実技の授業にも参加してるんですよ」

学生生活への慣れを聞かれれば、晴れやかな笑顔で答える。
括流は、前提知識が追いつかなかった古典基礎や政治学概論、難解な獅南教員の魔術学概論以外で蘭が優秀な成績を修めた(一応、これらの教科もそこそこ程度の成績は修めた)ことを知っていても良いし、知らなくても良い。

氷架に「さん付けは要らない」と言われれば、

「………なかなか、慣れない事が多くて。
この学園だと、同じ学年だから同い年、とも限らないし」

だから気楽なんだけど…と言って、苦笑する。

「………それじゃあ、お言葉に甘えて………氷架ちゃん、って、呼んでもいい?」

呼び捨ての習慣はまだない。ちゃん付けすら、おっかなびっくりで尋ねる蘭だった。

「寧ろ、くくる先生に保健課に誘われたの。簡単な治癒魔術は使えるから。
…保健課に入ったから治癒魔術ももっと勉強したいんだけど…生物基礎を取ってないから、なかなか」

そう言って苦笑する。
新しい事を学ぶのに、基礎を固める事を重視したがる性格のようだ。

「………あ、えーっと………
…まあ、必要な情報ではない、かしらね」

成績の件は、うまくフォロー出来なくてぎこちない笑顔でぼやかして逃げた。
いかんせん、以前括流に会ったとき、"ひょーかちゃん"に対して「蘭の爪の垢を飲ませたい」というようなことを話していたのと、今の会話の流れで色々察せてしまったのだ。

雪城括流 > 「学力差がちょっと…。」

必要かどうかについて、そっと氷架から目をそらす。
生徒個々の成績については完璧に記憶していると言うわけでも無さそうだが、いくつかが優秀な結果だということくらいはいくらか把握しているようだ。

「友人として紹介を、と思ったけど…知り合いも増えたんだ。いいことだね。」

二人の間を取り持つおせっかいのつもりだったようだが、必要なかったかなと照れたように。
コゼットせんせの名前が出ると知っているらしくふんふん、と言った様子で話を聞く。

「確かに、学年と年は一致しないね。
…ひょーか、一応私せんせいだから保健課ばっかりでもないんだけど…。」

間違いではないけどどういうイメージなのか…ちょっと半目でひょーかを睨むように。


「家族が増えた…うん、まあこの島だと増えることもあるよ。付き合い方は会って見てから決めればいいんじゃ無いかな。
あ、ええと…ひょーかの父から、養子が増えた、っていうふざけたメールが来たんだ。
…たぶん大変な事情とかじゃないと思うから、気をつかわなくてもいいはずだよ。」

氷架をフォローしつつ、事情がわからないだろう美澄にざっとした解説を語る。

雪城 氷架 > 「まぁ、それでいいよ、よろしく」
氷架ちゃん、と呼ばれれば少しむず痒そうな笑みを浮かべてそう応える
「ふーん、括流って勧誘もしてるのか」
なんだか意外そうに見て


「いや、それは知ってるけど講義だけでの接点じゃない感じだったからだよ。
 …なんだよその目、そんなこと忘れるほど頭悪くないぞ…」
別に記憶力がよくもないのは確かだが。

「会ってみてからねぇ……。
 まぁ、見た感じ悪い子っぽくはなさそうだけど、なぁ……」

うーん、と写メを見つつぼやくのであった

美澄 蘭 > 学力について深掘りするのはやめよう…と決めた蘭だった。
自己紹介した流れでわざわざ喧嘩を売るのもおかしな話だし。

「それじゃあ…改めてよろしくね、氷架ちゃん。
…勉強の事で力になれる事があったら、言ってもらえれば出来るだけ力になるわ」

と、言うだけに留めておく。表情は、ちょっと引きつってるというか、ぎこちないかもしれない。

「くくる先生には、図書館で勉強中助けてもらったのよ。
その頃は、保健課も今ほど人がいなかったから…それで、かな」

括流と出会った経緯について、氷架にざっくりと説明をする。
その表情は、いくぶん緊張感が取れていて、保健課という立ち位置から、それなりの安心感を得ているらしかった。

「………養子…そういうの、家族に相談しないで、簡単に決まっちゃうの………」

さっきからの氷架の様子の理由が説明されて、目に見えて表情が強張る。
蘭の父も子どもが好きだが、母親の異能との兼ね合いで子どもを蘭1人で諦めた経緯がある。
そんな父が、帰る家のない子どもを1人引き取る、と言い出せば反対はしないつもりでいるが………せめて、相談は欲しいな、と思う蘭だった。

雪城 氷架 > 「そういう人なんだよ。
 昔っからいまいち何考えてるかわかんなくってさー」
養子が増えた
父親の今回の行動についても理由はわからないが、
あの父親なら何をしてもおかしくない、というイメージは氷架も持っているのだ

「と…零と約束があるんだった。
 一足先に出るよ、括流も夜までには帰ってこいよな」

鞄を肩にかけて、席を立つ
足取り軽く、自分の会計をすませるとひらひらと二人に手を振って店から出て行った

雪城括流 > 「美澄さんとは講義での接点ではないのは否定しないけど。
一体どう思われてるのかと思ったんだよ。
それに勧誘と言うか、紹介…だね。一年生は委員会の詳細を把握して無いことが多いんだ。」

教師として学園のシステムを説明しただけ、ということのようだ。
軽く反論すると折角のカフェということで温かいロイヤルミルクティーを頼む。
一応保健課も所属人数は結構いるはず…新入生の加入はあんまりだから、掲示などで周知はしていたようだが。

「…確かに、普通は相談するね。
ただこう…拾ってきちゃうのは家系な気もするんだけど。
ひょーかだってぽんぽんルームメイト増やしちゃうし。美澄さんにとって家族は離れているからこそ、大事なのかもしれないね。」

家族、という意味合いが少し違うのだろう。
変わった様子を少し気遣いながら、そう問いかけるように。

ご案内:「カフェテラス「橘」」から雪城 氷架さんが去りました。
美澄 蘭 > 「………凄い、関係なのね………」

父親が「そういう人」であるだけでなく、そういう人である事を受け入れて成り立っている家族像。
蘭には、なかなか想像し難いものだった。

「ええ…それじゃあまたね、氷架ちゃん」

店を出る氷架を見送る。

(………零?霜月君と同じ名前ね…)

知り合いと同じ名前に、若干世間の狭さを覚えながら。

「…寮って、ルームシェアなんかも出来るんですね。

………まあ…うちはうちで、家族のあり方、ちょっと変わってるかもしれないですけど…家族が増えるって、そんなに軽い事じゃないんじゃないかな、って」

苦笑する。
蘭の実家は、母親の異能が、家族の人間関係を少し面倒くさいものにしていた。
それでも家族関係が崩壊せずにいたのは、子ども好きの父をはじめ、周囲の人間の理解と協力があってこそだった。
…それでも、「家」の外はそうでもなかったから、蘭は今、この島にいるのだが。

雪城括流 > 「え、ちょっと。…約束?」

注文しちゃったミルクティーが来るころに、さっと出て行く氷架の様子にちょっとわたわたと視線を彷徨わせる。
お茶は置いていくわけにもいかないし、くくるを置いていく約束というのも気になる…。

ちょっと零くんのせいで最近扱いがぞんざいと言うか、ないがしろにされている気がする…。
こないだの分とは別に、ちょっとオハナシするべきだろうか…などと、考えてみたりしつつ。

「家族については…血縁と言う考え方もあるから、それぞれだね。
雪城家に限ればうん、ひょーかは身内だけど私は姉とか、そういうのじゃないんだ。血も当然つながってない。
だからなのかもしれないね。ひょーかたちの受け入れ方が違うのは。」

うーん、と悩むように頬に指をあて、そう答えてみせる。
ただぼそりと、付け加えるように

「…その父親が、ひどく変わった人物というのもあるけどね。」

と呟いた。


「寮のなかはいろいろと…うん、部屋は自在みたいなところがあるからね。
やっぱりじっくり見学してみたらいいんじゃないかな。ひょーかと知り合いになったなら、訪問もできるだろうし。」

ぐーっとミルクティーを飲み干そうとしつつ。
あつあつだ。まあ、その熱さがいいんだろうけど。

美澄 蘭 > 氷架に置いていかれて、括流が露骨に動揺しだす。
蘭は、別々に動く事に慣れていなくて、不安なのだろうか…などと考えた。

「…血のつながってない「家族」、ですか…
まあ、家族のあり方なんて色々ですよね」

うちも、言うほど「模範的」じゃないですよ…なんて言って、少し笑った。
しかし、

「………相談なしに家族を増やせちゃえる人は、流石に…とは、ちょっと思っちゃいますけど」

蘭は淑やかに見えて、意外と歯に衣を着せないところがあるのだった。

「…見学、ですか…」

うーん…と、考え込む仕草。

「寮の中で固定された人間関係出来ちゃうとちょっと怖かったし、一人暮らしで良かったのかな…なんて、最近は思ってたところだったんですよね。

あ、でも、氷架ちゃんのところに遊びに行かせてもらえるなら、ちょっとお邪魔してみたいです。どんな感じなのかな、っていうのは気になりますし。

次の試験前ででも、何か私が氷架ちゃんの力になれそうなら是非呼んで下さいね」

成績、大変みたいですし…という言葉は、流石に飲み込んだ。

雪城括流 > 「うん、その素直な感想は大事だと思うよ。
よく言えば信頼だけど…ひょーかたちのは家族と言う色眼鏡がかかっているはずだからね。」

流石に、という感想にたいして意味ありげに、よくできました、といった様子で微笑む。
どうやら何かあるようだ…直接関わらなければ、関係の無いことでもあるだろうが。

「住む、とかそう言うことを前提に考えなくても…
そう、遊びに来るといい。ひょーかも約束とか言って挨拶くらいしかできなかったからゆっくり話もできるだろうしね。
…一方的に勉強見てもらうことになるだろうから、家庭教師扱いになると思うよ。」

提案には苦笑しつつ、頼りにしてるよ。と続けて。
試験前に二人を合わせるだけでも刺激にはなるだろうとは計算する。

「えっと、それじゃ席をはずすね。追いかけるわけじゃないけど…追いかけるわけじゃないけど。うん。
もう少しゆっくりしていくなら、差し入れ代わりに一杯分程度は置いていくから。」

がんばって、と言うようにウィンクして、席をたつ。
止めなければそのまま立ち去り、またねと告げるだろう。

美澄 蘭 > 「…家族の輪って、その親しい範囲を大事に守るから尊いんだと思うんです。
その親しさって、相談込みっていうか、まあ…きっと、そんな感じじゃないですか」

上手く言えないですけど…と、真剣な表情で。
蘭もまだ16歳で、こういった持論を学術的な言葉に載せて語る事は出来ない。

「そうですね…私とは生活も色々違うだろうから、色々、お話聞いてみたいです。
………家庭教師扱い、別に良いですよ。自分の理解度も確認出来ますから」

そう言って、楽しそうに笑う。
「勉強」というものに対する心構えのようなものが、よく表れた言葉と表情と言えるだろうか。

「…いえ、気にしないで下さい…それじゃあ、また保健課の講習ででも」

内心「ああ、追いかけるんだな」と思いながら。
柔らかい笑顔で、括流を見送るだろう。

雪城括流 > 「うん、また連絡するね。」

そう美澄さんに答えると。
蛇の尻尾のようなテールをぴたぴたと揺らしながら、会計を済ませて走っていった…。

ご案内:「カフェテラス「橘」」から雪城括流さんが去りました。
美澄 蘭 > 括流の後ろ姿を見送り。

「………家庭教師扱い歓迎、なんて言っちゃったからには、自分の事もちゃんとしないとね」

そう言って、さきほどまで氷架と括流と一緒にいたテーブルで、自分の数学の課題に取りかかり始めるのだった。

ご案内:「カフェテラス「橘」」から美澄 蘭さんが去りました。