2016/05/21 のログ
ご案内:「カフェテラス「橘」」に寄月 秋輝さんが現れました。
寄月 秋輝 >  
かなり疲れた様子で入店してくる男の姿。
肩は重そうに巻き込み、日当たりのいい席を確保したら、さっさとアイスコーヒーを頼んでぐったりしてしまった。

「……答えが出せない……」

十日以上複雑な計算と向かい合って、すでにグロッキーであった。

前やめようとしたのに、全くやめられていない辺り女々しい。

ご案内:「カフェテラス「橘」」にリビドーさんが現れました。
リビドー >  店内に足を踏み入れ、周囲を見渡す年若き風貌の男性。
 席について尋ねられれば、人と待ち合わせしているから構わないと嘯き。

「やあ。なんだか面白そうなものと向き合ってるじゃないか。」

 遠慮もせずに寄月と同卓にやってくる。
 馴れ馴れしく声を掛け、着席するだろうか。

寄月 秋輝 >  
しばし顔を机にくっつけたまま見上げ。
はっとしたようにがばっと顔を上げ、背筋を正した。

「失礼しました、お疲れさまです、リビドー先生」

手には端末がまだ握られている。
ついでに疲れた表情も変わらない。

リビドー > 「そこまで畏まらなくても良いんだが。
 ああ、ボクが女だったらもう少しなついてくれたかな。
 キミの好みは知らないが……」

 冗句めかして笑ってみせてから、甘そうなミルクティーを注文。
 注文を待ちがてら、端末に視線を向ける。

「……で、何とにらめっこしていたのかな。
 箱入り娘辺りで遊んでいたのかい。」

寄月 秋輝 >  
「……勘弁してください……」

どの部分にかけた『勘弁』なのだろうか。
とはいえ、そこまで警戒しているわけでもない。
単純に目上の相手に対する態度、といった具合だ。

「何ですか箱入り娘とは。
 ……ちょっとだけ難しい計算をしていました」

端末を見せる。
画面の半分は何やら無数の犯罪・事件記録。
もう半分はグラフで、規則があるのかないのかわからないような蛇行線。

リビドー > 「パズルだよ。で、難しい計算、な。
 キミで難しいならボクでも難しいだろうが――」

 グラフを覗き込む。
 それを見て、暫し考え込み。

「犯罪・事件の記録か。見るに内容でなく数重視だな。
 ふむ、斉藤朱莉先生辺りにその手の課題でも出されたのかい。」

寄月 秋輝 >  
「僕はそんなに頭もよくないですよ……
 高等部の教育まで先駆けして学んだ程度ですから……」

ぐったり。
画面とのにらみ合いに疲れた様子。

「いえ……事件の件数とばらつきから、ある問題点を探しています。
 一部の高等魔術に、こうした事件等の起こる確率分布をあえてずらす技術があるのですが……
 最近の事件の多さに、もしかしたらその技術が使われているかもしれないと思って計算を……始めたのですが……」

げんなりした様子から、全くそれが進んでいないことはわかるかもしれない。
届いたアイスコーヒーにストローを突き刺し、じゅるるるーと啜り始めた。
この堅物がかなりだらけた様子なのは、それなりにレアかもしれない。

リビドー > 「知識ではなく回転だよ。
 ……ふむ。本当に疲れているな。」

 覇気がない。
 もともと大人しい気がするが、輪をかけて元気がない気がする。
 音を立てて飲みものを啜る辺りからも整える気力のなさを感じる。

「事件の発生を偶発的なもの捉え、因果を捻じ曲げてそれの発生確率を偏らせる類かい。
 それとも、帳簿上のデータをいじくりまわす方かな。確かに多く見えるが、去年は去年で色々あったからな。ふむ……」

 真剣そうにデータとにらめっこ。
 何か読み取れるだろうか、と、データと向き合うだろう。

寄月 秋輝 >  
「もう随分とにらめっこしてますから……」

三分の一ほど飲み干して、ふへぇ……と息を吐く。

「そんなところです。
 実際はいい事件も悪い事件も含めて変化するのですが、何せ風紀で管理出来ない『ちょっとしたラッキー』まで計算に入れると、本気で頭が割れそうなので……」

無理無理、と手を振って見せた。

「……そう、ここ二年分のデータです。
 特に去年は、炎の巨人による事件を含めて大規模な案件が多かったので、どうしても気になって。
 この揺れの収縮点を見極めれば、今後の犯罪に対する予防も取れなくはないのですが……」

研究者の目線から見ればどうだろうか、と考える。
何せ自分の手と知恵ではほぼお手上げだ、諦めるか誰かにすがる他に道はない。

リビドー > 「私見を述べるのなら、大規模な事件は必然的に起きたものと見て良いだろう。
 炎の巨人にしろ、フェニーチェにしろ、活動を活発化させたグエンにしろ、東郷をはじめたロストサインにしろ、
 あのあたりは偏らせて起こるようなものでもないだろうな――研究者と言うよりはボク個人の見地だが。」

 目つきを鋭く、睨むようにそれを見る。
 大型の事件および、動機が明瞭である事件をを差っ引いて読むべきだと判断した。

「そういうものを除いた上で、この島全域にそのような魔術を掛けるのは学園が目を付けるだろうな。
 故に部分的に揺らぎが起きていると見るべきと睨むが、そもそも自然に事件が起こり得る可能性があるのは落第街ぐらいでもある。
 処理しきれなければ絞り込みを掛ける他ない。さて、この辺を踏まえてもう一度見てみるか。」

 見当違いの可能性も片隅に置きつつ、そのように絞り込みを掛けてデータを見るだろうか。

寄月 秋輝 >  
「僕もその魔術による影響ではない可能性も考えました。
 全ては偶然的に、または必然的に発生した事件ばかりで、術とは関係のないところだと」

そうして他のデータも開いていく。
今度は大きな事件を消し、小さな事件……それこそ学生なら、学生証の提示と注意警告だけで済むような軽微なものばかり。

「……しかしここで計算をやめてしまって、次に起きる事件を未然に防げなかった場合、どうしようかと思って……
 そう考えるとやめるにやめられなく……」

要するに一直線な真面目バカのやっていることである。
やめる踏ん切りがついていないだけ。

しかし研究者がデータを見て考えてくれているなら、もう少し頑張ってみようかとも思ってしまうあたり、悪い性格である。

リビドー > 「だが、起こすなら起きる。
 ……とは言えそうだな。魔術によって偏らせられていると見るならば
 いくら改竄済みのデータを見た所で整合性は取れないかもしれないか。」

 届いたミルクティーを啜って一息。
 大きく息を吐いて、仕切り直した。

「魔術によってランダムに増やされていると見るなら、大本や術式を叩く他あるまい。
 そうでないなら、魔術などを抜きに増えている理由があると見るべきだな。」

 言葉だけを遣りながらデータを見る。
 軽いものだけを読み取るが、軽さ故に理由も事細かには掛かれていない。

(引き起こすにしたってやり口は色々あるからな。これだけでは何とも言えん。)

 ……端末から視線を外し、読むことをやめた。

「もう少し、そう思い至った根拠が欲しい所だ。
 特に魔術とまで目星を付けた背景を教えてくれればまだ何か分かるかもしれないな……。」

寄月 秋輝 >  
「僕が元居た世界で、同じような事件があったからです。
 そしてこの計算式を使ったのも、当時その世界の上司から教わったものの流用です」

その言葉ははっきりしていた。
事実起きた事件と、実際役に立てた計算式。
それ自体は真実であり、迷いはない。

「……もちろん、こちらで同じ術があるとも限りませんし……
 本当に思い過ごしの可能性もあることは間違いないです」

はぁー。
すごく大きなため息をついたあと、ガムシロップを一気に6個ほど開けて、コーヒーに叩き込んだ。
黒いコーヒーの底に、溶け切らない透明なガムシロップの層が出来た。
それをずずーっとまた吸い上げる。ほとんどシロップ。

「……考えすぎでしょうかね?」

渋い顔。多分すごい甘かった。

リビドー > 「悩ましいな。在るとも無いとも言えん。
 どっちにせよ、その計算式で見て増えているのは確かな 」

 そこまで言いかけた辺りで渋い顔が見える。
 6つもガムシロップを開ければ、それはそうなる。
 必然だ。

「……キミはそんなにガムシロップを突っ込むタイプだったかな。
 先程まであのような話をしていると、そこまで気になってしまうよ。」

 冗句めかしつつも、寄月の行動に苦笑してみせた。

寄月 秋輝 >  
「……普段はブラックで飲んでいるんですけどね……」

ちょっとストローを上げて、ほぼブラックのコーヒーを飲み。
ストローを下ろして、軽くかき混ぜる。
なんとかシロップの層は溶けて消えた。

「もうかれこれ十日は、授業中も並列思考で計算づくめで……
 疲れた時は甘いものが欲しくなるんですよ……
 先生も、頭が疲れると甘いものでリフレッシュしたくなりませんか?」

失態を見せたと言わんばかりの微妙な表情で聞いてみた。
多分自分はおかしくない、とでも言いたい。

リビドー > 「ああ、わかるよ。
 ボクも甘味は良く食べる――ふむ。差し支えなければその事件の首謀者と、その上司の名前を聞いても良いかい。
 理由なく、あるいは理由を捏ねてランダムな事件を増やすだけと言う事ならば、少々思う所があってね。
 ハッピーとバッドを至上主義とするルギウスの野郎なら喜ぶんだろうが――」

 何か厭なものを思い出したのだろう。
 表情が段々と険しいものに変わる。

「一応、その辺で調べられそうなら調べてみるよ。
 そうだな。教えてくれるならここの支払いは持ってやるし、
 そんな間に合わせでなくちゃんとしたデザートも押し付けてやる。」

寄月 秋輝 >  
「元居た世界の話です。
 この世界には僕だけ飛ばされてきてますから、上司も首謀者も教えても仕方がないですよ」

小さく苦笑する。
ただそれを喜ぶ、という人に関しては少々悩ましいところだ。
とはいえ、おそらく手出しすべきではない話なのだろう。
この先生が顔を歪ませるほどの相手だ、自分の手には余る。

「……すみません、お願いします。
 それと、お茶代くらい自分でちゃんと出しますよ……
 生徒の身分とはいえ、先生に金銭面まで甘えていてはいけませんから」

強く自分を律する。
そしてデータをぱたぱたと弄り、恐ろしく複雑な計算式まで含めて複製する。

リビドー > 「それは可笑しい話だな。」

 断言し、鋭く――どこか見咎めているとすら思える視線を向ける。
 それこそ、何かを見定めようととするような。

「"そうと思えぬからこそ"、その計算式を持ち出して、
 十日十晩、参る程に計算をしているんじゃないかい。キミは。」

寄月 秋輝 >  
すぅ、と目線を上げた。
なるほど、本当に賢い人だと思った。

まだ捨てきれない迷いと恐れもあったからこそ、この計算をしているのだ。

『ヤツ』が絡んでいる可能性があると思って。

「……『ミシェル』……という名の女性研究者が居ました。
 その女が起こした事件で、僕の居た世界に未曽有の大事件が引き起こされました。
 大小問わず、偶発的に、アトランダムに『引き起こされた』事件により混乱させられたのです。
 その混乱に乗じて、世界の転覆が起こされる間際まで行きました。
 最後の最後で追い詰めたのですが……その最後の戦いで僕が瀕死になってしまい、目が覚めたらこの世界に居たのでわかりません」

怒りと憎しみ。彼には縁遠いように見える暗い感情が、表情にまざまざと浮かんでくる。

「その女のクローン……『イヴ』と呼ばれた存在が居ます。
 当時数十体の『イヴ』を殺しましたが……
 その場に居た僕がここに完治した状態で飛ばされ、やつらの死体が一つも飛んでいないのが不思議でした」

冷たい、研ぎ澄まされた刃のような殺意と闘気。
それが戦闘状態でもないのに漏れだす。
強い憎悪とともに、言葉が紡がれる。

「もしヤツが一人でも来ていたら……
 そういう考えを持ってしまったので、全力で計算しています。
 こちらで何も起こらぬように、と」

リビドー > 「なるほど。
 まずはそうだな、この世界が夢や幻覚でない事はこのリビドーの名を以って保証しよう。」

 ……言葉を受け取れば、満足そうに頷いた。

「さて、そうだな。恐らくそいつは賢いのだろう。
 何かしらの信念を以って混乱させたのかは知らん。
 理念を以って転覆を狙ったのか、引き起こして楽しむだけなのかはまぁ置いておく。」

 腕を組んで思案。
 考えながら言葉を走らせるか。

「とは言えそれなら来れるだろう。何、不安を煽りたい訳ではないが、私見としてね。
 キミをここに飛ばしたのがミシェルやイヴなら自身を飛ばす事は出来るだろうし、
 そいつではなく第三者がキミを飛ばしたのなら、動機さえあればキミを追ってここに来る。
 愉快犯ならば、飛ばされたキミの様子を探ることでこの世界を知って、ちょっかいを掛ける事もあるだろう。

 ま、安心するといい。この島は強固だし、混乱慣れもしている。強い奴だって幾らでもいる。それこそボクより強い奴もな。
 故にそいつが重大な事が起こしても対処するだろう。少なくても、キミがアクションを起こすまでの時間は稼ぐ。」

 ……安堵を誘う意味合いもあるのだろう。
 彼にしては珍しく断定するような言い切る口調を交ぜて、そう告げるか。

「しかしキミもそう言う顔をするんだな。
 エスもリビドーも押し殺し切って良いものではない。
 その手の感情も肯定すべきものでもあるから、あまり自己嫌悪に陥るなよ。
 キミはその辺り考え込みそうだからな、あらかじめ言っておく。」

寄月 秋輝 >  
それらの言葉に、小さく何度も頷く。
そうなのだ。
きっと杞憂なのだろう。
だって自分より強い人はたくさんいる。
今までヤツらの絡んだ気配はしなかった。
だけど。

「……違います、リビドー先生」

一つだけ、訂正しなければならない。

「僕がアクションを起こしたところで、ヤツらには勝てません。
 それだけ敗北しきってきました。だから」

薄く開いた唇から、吐息が漏れる。

「僕は削るのが目的です。
 僕が鍛えられた理由を果たすべく。あの日と同じように。命をかけて。
 今度こそ、誰かが勝つために」

負けるんです。



ふいに、空気は霧散した。
いつも通りの堅物の顔、今日は少し疲れた様子の寄月秋輝の表情になった。

「失礼、取り乱しました。
 大丈夫ですよ、それに関しては少し前に区切りをつけたつもりです。
 もっとも、ついていないから今日まだこうして計算していたのですが」

んふ、と鼻から息を吐いて言葉を締めた。
最後に残ったコーヒーを飲み干し、満足した様子。

リビドー > 「そうかい。女々しい奴だな。股間のシンボルを切り取りたくなる女々しさだ。
 ――今は良いが、勝ちたいと思った時ぐらいは勝ちに行けよ。勝てる勝てないの話ではなくてな。
 ああ、この件に限った話ではない。」
 
 瞑目してミルクティーを啜り、飲み干す。

(今はこの辺りまでが限度だな。
 彼の意志力には光るものがあると睨んでいるんだが――)

「それが普通だよ。
 切ろうと思ってすっぱり切れるのは、化け物か超人か機械ぐらいだ。
 決別した後も余韻に浸る位が丁度良い。」

寄月 秋輝 >  
「……すみません。
 僕ももう少しくらい、勝ちに行ければいいんですが」

そうしたいが、そう出来ないくらいに積み重なった敗北は、秋輝をがんじがらめに縛っている。
少しずつ勝とうとしているのだが、すぐには変われない。

「……何せ恐ろしい相手でしたから。
 もう少し楽観出来ればいいんですけど、ね」

コップに残った氷をからから回しながら呟く。
そこを否定されなくて、少しだけ安心した表情。

リビドー > 「困った奴だな。全く。」
 
 それは誰に向けた言葉か。
 曖昧にそう言ってみせてから、ゆっくりと立ち上がる。

「一応、貰ったもので見ておくだけは見ておく。
 とは言え十日悩んで答えが出ないのならば、割り切ってしまってもいいのかもしれないな。
 ボクはそろそろ行くよ。また会おう。」

 ……自分の伝票だけ持って、その場を立ち去った。

ご案内:「カフェテラス「橘」」からリビドーさんが去りました。
寄月 秋輝 >  
「……割り切ってしまってもいい、か……」



一瞬、修羅の様相に変化する。

そうだ、負けは許されない。

今度こそ殺すのだ。

勝つのだ。



席を立つ。
その瞬間にはまたいつもの無表情になっていた。

ご案内:「カフェテラス「橘」」から寄月 秋輝さんが去りました。
ご案内:「カフェテラス「橘」」に烏丸秀さんが現れました。
烏丸秀 > あ、今日は何だか良い事ありました?
ナンパ、成功したんですか?

「ま、そんなとこ」

笑いながら答え、抹茶ラテとメロンケーキを頼む。
陽射しが日毎に強くなっていく気がする。
夏の足音が聞こえる、といった所か。

烏丸秀 > さて、第一の目的は達成。
次は彼女の出方を見る番だが……

「ここまで依存するとはねぇ」

まったく、面白い。
あの完璧超人とまで言われた少女が。

いや、だからこそ。
固い鉄ではあったが、しなやかさと弾性を持つ鋼には、まだなれていなかったか。

「楽しませてもらうけど、ね」

ご案内:「カフェテラス「橘」」にカミューさんが現れました。
カミュー > 「やあ、相席いいでござるか。」

カフェテラスは混んでいるだろうか、それともすいているだろうか。
まあどちらにしろかまわずに、まっすぐと烏丸くんの元へと向かって。
相手と同じ…いや、ちょっと違うアイス黒糖抹茶ラテカプチーノを頼んだ人物が向かいに座る。

「なにやら楽しそうでござるな。」

口元を笑みの形に。

烏丸秀 > 「ああ、どうぞ」

やって来たのは一人の少女。
これはナンパの――んん?

(――何かがおかしいなぁ)

どうも違和感を感じる。
女の子の姿形なのに、全く興味が沸かないこの――

「ボクは烏丸秀。
失礼だけど――お名前を伺っていいかな?」

カミュー > 一応上のジャケットは男子学生服のもの…
首元も女子用のリボンではなく、男子用のネクタイをつけている。
上半身だけみればなんとか、ぎりぎり男子か男装に見えなくも無いかもしれない。
下はスカートだが。

「烏丸殿でござるな。
拙者はカミュー・アズーリンだでござる。カミューと呼んでくれ。」

相手の名乗りに一つ頷いて、にこやかに名乗り返す。
席に座る仕草は女性らしい印象を抱かせて…
注意力があればどこかちぐはぐに思えるだろう。

烏丸秀 > 「――ふむ」

つけている制服、アクセサリーは男子。
所作は女子。名前は男子。
下は女子。

紛 ら わ し い

「――単刀直入に聞くけど。君、その男装は趣味?」

ここら辺からせめていこう。
万が一男子だったら適当に扱えばいいし。

カミュー > 「さあ、どちらにみえる…?と、質問に質問に返すのは無礼でござるな。
その問いに答えを言うならば、この服装は趣味ではなく宗教的な事情でござるよ。」

くすりと笑って、人差し指を口元に当てる。
と、そんな間に注文のグラスが手元に来てストローをくりくりといじりながら解答を述べた。
男装とも女装とも付かないあべこべな格好であるため、男装という点には触れない。

「それともどちらかで無いと困る事情でもあるでござるか?」

こてり、と首を傾げて見せて。

烏丸秀 > むむむ、これは困った。
烏丸は現在挑発されている。
しかも、女性か男性か分からない存在に。
女性ならばナンパすればいい話だが、万が一男なら――

(うーん、体つきは女性そのものなんだけど)

そして

「そうだねぇ、女性だったら無礼を詫びて、何か奢らせてもらう――あぁ、店員さん、この白玉ふたつ頂戴」

まぁ、順当に女性と判断したようだ。
カミューの分も含めてふたつ、冷たい白玉を注文する。

カミュー > 透明なグラスに透き通った氷。
緑色に何処か白さの混じったドリンクにたっぷりとホイップされたミルクの泡が乗せられて、その上に黒糖シロップをかけたドリンク。
まずはかき混ぜずに奥の甘みの薄いところを一口。冷たさとともに苦味と香りが鼻を抜けていくのが心地よい。

「んー、美味い。
ではせっかくだから答えあわせは支払いの時に、とでもさせてもらおうかでござる。
そうなるともし男性だったらきちんと支払わねばならないでござるなー。」

白玉にちょっと興味をそそられて注文を受けた店員のほうを目で追いかけながら、
足をぱたぱたとさせた。

烏丸秀 > 「うーん、こればっかりは自信が無いなぁ。
仮に男の子だとしても、キミ、かわいいしなぁ」

やれやれと肩を竦める。
難問だが、烏丸、難しい問題ほど燃えるタイプである。

「まぁ、そのかわいさは女の子そのもの――あ、どうも」

白玉が来る。
冷たいフルーツシロップの中に、小さな白玉団子がふたつ。
夏の定番のおやつである。

カミュー > 「あはは、褒めても何もでないでござるよ。
おっと、食べてもいいんだ?」

軽く照れつつ、平手をぱたぱたと扇ぐように上下に振る。
やってきた白玉に興味は向けつつも一応注文したのは烏丸くんのため、やや乗りだし気味…上目遣いに尋ねて。

「まあそういう異能もきっとあるだろうし。
あ、拙者がそう言う異能を持っているわけではないでござるよ。」

かわいさとか女の子とかいう言葉にあえてかく乱するような言葉を投げかけてみたり。

烏丸秀 > 「いや、本当に。
小悪魔的かわいさというか――むしろ男でもアリ?」

いや無しだろう。
――無しだと思う、たぶん。
確証はない。

「どうぞ。ボクは二個もいらないし」

さて、挑発の意図はなんだろうか。
こちらに靡くような子とはあまり思えないのだが――

「あー、あるある。
一度ひどい目にあいそうになった事あるよ。
なにもベッドの中で異能切らなくてもねぇ」

カミュー > 「では、『いただきます』。」

異世界の言葉でいただきますを述べてから、さっそく白玉に手を出す。
まださほど固くなっていないつやっとした白玉団子をひとつ匙にのせて口に運んだ。
こちらはすぐに喉を通さずによく噛んで、舌の上で食感を楽しみながら。

「ふにゅふにゅ…アリでござるかー。
なんだったら直接確かめてみるとかやってみるでござるか?」

一応男色の気はカミューにもない…ないはずだ。
でもまあエロイことを抜きにすれば別に男子相手に裸をってのは別に恥ずかしいわけじゃない。
男子寮に大浴場だってあるし。

「…既に一度ひどい目にあっているとは、なかなかでござるな。
そうそう、有名でござるよ。なんだか、カフェでナンパ待ちしているイケメンがたまにいる、って。」

あははー、とひどい体験談に慰めになるかも分からない笑いを返しつつ、
本当に流れているかどうか分からない噂を語る。

烏丸秀 > 「あー、やめとく。
それで捕まったら目も当てられないよ」

やれやれと肩を竦める。
一応、スネに傷持つ身だ。
これで実は12歳です、とかなって別件逮捕されたりしたら事だ。

今は悠薇ちゃんを攻略する事に全力を注がないと。

「そうそう。で、ナンパ対象を探してたら、見事鴨がネギしょってやってきたんだよねぇ」

けらけらと笑いながら白玉を口に運ぶ。

カミュー > カミューは口の中が果実の甘味から素朴な餅の甘さに変わったところで、ごくんと飲み込む。
白玉はよく噛んで食べましょう。

「そうでござるか?
またまたー、そういって最近は何人引っ掛けたんだか。
拙者よりスタイルが良かったりする子もいたりするでござろう?」

匙で涼しげな切子の器をかき混ぜながら、そう問いかけてみて。

「でもそう言うならせっかくだし、ツーショットでもとっとくでござるか?
撮っておけば知り合いに自慢できそうだ。」

匙を一度置いて懐に手をやり、携帯を取り出して見せた。

烏丸秀 > 「んー、そうだねぇ。まぁ、こうぼんきゅっぼーんな娘も居たねぇ。
でも、そんな何人も引っ掛けてないよ」

やれやれと溜息をつきながら。
さて、どういうつもりなのか、この子は。

「んー? あぁ、いいけど別に」

これでも呪い避けはちゃんとしてある。
写真の一枚くらいはどうという事も無いだろう。

カミュー > 「そうでござるか?
でもあんまり聞くのも…というか、さっきから聞いてばかりな気がするでござるな。」

ちゅーっとドリンクを吸いながらそう問い返し。
会話が一方的過ぎるかな、とちょっと首をかしげて様子を伺って見せる。

「いいでござるか!では…」

そして撮影にはいいけど、の答えに嬉しそうにすると
とてとたとそばによって行って、顔と顔を近づけて携帯で自撮りしようとする。
抵抗しなければすべっとした肌が触れるだろうし、いい香りもするだろう。

烏丸秀 > 「うーん……」

やっぱり男とは思えない。
この肌、この香り、どうしても女の子。
だが――

(何でかなぁ、いまひとつ……)

気乗りしない。
ナンパする気になれない。
彼の本能が告げている。

(ひょっとして、女の子だけどなにか危険な裏が……公安委員の内偵とか?)

にしてはちょっと、いやかなり抜けていると思うが……

「あ、よければボクにも送ってよ。はい、アドレス」

カミュー > 「さて撮れたかな…。
一度漫画みたいなこういう写真取ってみたかったんでござるが、知り合いは恥ずかしがって撮らせてくれなかったんでござる。」

日常4コマもののタイトルとかにありそうな感じの。おなじ男子寮の男性だとそうなりますよね。
小走りで自身の席に戻り、保存具合を確認する。
呪いとかは…まあ、変なところに流れたりしなければ無いはずだ。

公安の資料くらいには添付されるかもしれないけど。

「いい感じに…あ、どうぞでござる。」

手際よく渡されたアドレスにメールで写真を送る。

烏丸秀 > 「ん、ありがとー」

にこにこしながら写真を受け取る。
まぁ、別に男でも女でもいいか。
適当に、愛想だけを撒いておく。
そう、ここは見、様子見……!

「さてと……それじゃ、ボクはそろそろ行こうかな」

ゆっくり立ち上がり

カミュー > 「じゃあ拙者もそろそろ。
白玉も空になったことでござるし。」

剣帯を支えながらこちらも立ち上がる。
スカートをぱたぱたとはたき、くるりと回って見せて変なところがないか確認しつつ。
はっとしたように目を瞬かせると烏丸くんのほうを真っ直ぐ向いた。

「そういえば、後で答えを言う約束だったでござるな。
拙者、大抵男子寮かたまに公安の委員会棟にいるから、また会おうでござる!」

それで答えになっているのかどうか。
強引に相手の手を掴んでぶんぶんと握手しようとその手を伸ばしながら、そんなことをのたまった。

烏丸秀 > 絶句した。
公安委員のうえに男子。

「え、やっぱり!?
くそっ、騙された!!」

頭を抱えながら叫ぶ。
男子で、しかも公安委員とは!

「詐欺じゃないか!」

叫びながらぶんぶん握手し。
悔しそうに呻くのであった。

カミュー > カミューのほうはそんな様子お構いなしに楽しそうで、
ひとしきりぶんぶん(もちろん力の加減はしているが)握手を振り回したあと、一応自分の分のお代は支払って去っていく。

「…拙者にあんだーかばーはちょっと無茶だと思うでござるけどなー。」

美味しかったデザートの味を思い出しつつ、そんなことを呟いたとか。

ご案内:「カフェテラス「橘」」からカミューさんが去りました。
ご案内:「カフェテラス「橘」」から烏丸秀さんが去りました。