2016/08/14 のログ
ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」に祐樹臨助さんが現れました。
ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」に加賀見 望さんが現れました。
祐樹臨助 > 「2名だ、席は空いてるか?」

横柄にも見える態度で店員に開口一番申し付けると、案内された席に少年を降ろし、自分もまた向かいに座った。
何も注文しないのも悪いので、とりあえずドリンクバーだけ注文しておく

祐樹臨助 > 「ほら、お冷届いたぜ」

店員が運んできたコップをそちらに寄せて飲むように促した。

加賀見 望 > 事のはじまりは、夏の日差しが燦燦と照りつける学生通りでの出会いだった。

気づかないうちに熱中症になりかけていた所を、
見知らぬ青年に助けられ、最寄のファミレスまで運ばれたのがついさっきの出来事。

「……す、すいま……せん………」

まるで人形を扱うかのように軽々と自分を抱えたまま
店員に連絡し、そのままドリンクバーを注文する。
その手際の良さを薄ぼんやりとした意識で見つつ、
重くねばつき、絡まるような舌を動かしてなんとかお礼をいう。

差し出されたお冷を受け取り、少し口をつけて――
そして、ほぼ反射的に一息で飲み干してしまった。

無意識の動きに自分でも驚いて……
しかし、体の熱と乾きが少し和らぎ、頭のもやもやがはれてくるのがわかった。

「あ。ありがとう、ございます」

祐樹臨助 > 「礼はいらねぇよ。」

水を一気飲みする程度にはマシなようだ。
取り敢えず大事に至らなかったことに安堵する。

「ちったぁ落ち着いたか?」

加賀見 望 > 「……ぷぁっ……はい……」

口元を軽く拭い、改めて頭を下げた。
先ほどまでは赤かった長髪が、ゆっくりと黄色、
そして青へとその色合いを変えながら揺れる。

「ありがとう、ございました……急に、くらくらして」

店内の空気は熱射が降り注ぐ屋外と異なり
冷房によって程よく冷やされており……
手先からひんやりとした冷たさを伝えるコップと合わさって、
火照った身体が段々と冷えていくのが感じられる。

「お兄さんは……えっと、はじめまして、ですよ、ね?」

小さく首をかしげ、改めて目の前にいる青年の黒い瞳を見つめた。

祐樹臨助 > 「ならよかった。」

冷房の効きすぎた部屋に急に入って更に体調を悪くしないか、失敗したのではないかと心配したがそんな様子もなく、顔色が良くなっている様子が見て取れた。

「はじめましてだ。急に連れ出して悪かったな。俺は祐樹臨助だ。なんか予定があって邪魔したなら謝るし、何かあるなら手伝わせてもらうぜ。」

加賀見 望 > 「りんすけお兄さん、ですね。ぼくの名前は、のぞむです」

手の中で温くなったコップをテーブルに置きつつ、
問いかけに対してふるふると手と首を横に振る。

「えっと、しないといけないこととかは、ないです。
 その、お散歩してたらなんだかつかれて……やすんでたら、ぼーっとしてきて」

散歩と遊びを兼ねて、学生通りを散策する。
それ自体はありふれた行為であり、夜間などでなければ問題はないだろう。

それでも――問題があったとするならば、
帽子を被るなどして日差しへの対策をしなかったこと。
そして、水筒を携行して水分補給の用意をしなかったこと。

つまるところは、熱中症への対策を怠ったが故の当然の帰結であり、
『知識はある』が『経験がない』ことの弊害が顕在化した結果であると言えるだろう。

限界を把握できずに倒れかけたたところを臨助に助けられたことは、
幸運以外の何者でもないと言えた。

祐樹臨助 > 「何もねえなら良かった。」

今は夏休み真っ只中。
おそらく遊びか何かで出てきて、油断して熱にやられてしまったといったところだろうか。
さらにこの少年はとても幼く見える。
もしかしたら平均的に体温も高いかもしれず、それも起因したかもしれない、
などと推測してみる。

「ま、わかっちゃいるだろうが。水分補給は適度にな。
あぁ、折角だからなんか食っていかねぇか。
ドリンクバーだけで席取るのも、なんとなく申し訳ねえしさ」

なんでもいいぜ、懐に余裕はある。
そう言いながらメニューを渡した。

加賀見 望 > 「はい……きをつけます」

申し訳なさそうな様子で肩を落とし、しょぼんとする。
別の見方をすれば、限界を把握するいい経験と言えるしれないが……
それでも、自分の身を過度の危険にさらしたことは褒められることではないだろう。

「え、と、そんな、わるいです。
 助けてもらったのに、ごはんも、もらったら」

自分の分は、自分で――そう言いつつ
ゴソゴソとズボンのポケットに手を入れると、
中から小さながま口財布を取り出した。

ややふくよかな蛙の中には
お手伝いで貯めたお小遣いがまだ多少は残っており――
一食二食ならば問題なく注文することが出来るだろう。

ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」に祐樹臨助さんが現れました。
祐樹臨助 > 「助けてもらったってのは違うぜ」

首を横に振って、申し訳なさそうな態度を否定する。それにつられて長い黒髪が揺れた。

「俺がほっとけなかったから、お節介に、考えなしにファミレスに連れ込んで席をとったんだ。だからお前は負い目を感じることは一つもねぇ。しかも俺は何か注文しろと頼んでる立場だ。考えなしの尻拭いしてくれって頼んでる立場なわけだ、あんたに借りを一つ作ってるっつっても過言じゃねえ」

これは偽らざる本心だ。
勝手に放置できなくなって、勝手に手を出した自分に全て責任があるのは当然だ。
しかも自分はあまり余計な飲食をしたくないからと小さな子に何か食べてもらおうとせがんでいる。
全くこの少年に非はない。
臨助はそう思っている。

「……あ、もしかして食欲ねえか?だったら忘れてくれ、悪りぃな」

加賀見 望 > 「…………」
はっきりとそう告げた青年の姿をじっと見る。
その瞳には嘘やごまかしの様な揺らぎはなく、
それを当然と思う真っ直ぐな光があるのがわかる。

言い方や口調はぶっきらぼうで、つっけどんであるが――



――ガチリ     ガチリ     ガチン――

――写し取った鏡が、心の欠片が、弾丸として納められる――



「りんすけおにいさんは、やさしいお兄さん、です」

そう、『わかっている』けど何も『わかっていない』
自分を迎えてくれた優しい姉の様な。
何処か、自分の内側が暖かくなるような気持ちだ。

――髪と瞳の色以外は、雰囲気も佇まいも違うのだけれど。

「その、そうじゃない、です。
 あまり、お外で食べません、ですし」

外食よりもお姉ちゃんのご飯がすきなのは、子どもらしい甘えであろうか。

祐樹臨助 > 「……ま、無理強いは出来ねえ。」

そちらに寄せたメニューを手繰り寄せてパラパラとめくる。
そもそものぞむは炎天下の熱でフラフラしていたのだ。
下手なものを食べたら気持ち悪くなるかもしれない。
何にせよその気がないなら勧めるべきではない。

「ま、でも飲み物くらいは飲んでゆっくりして行けよ。」