2018/11/15 のログ
伊都波 悠薇 >  
「いや、いやではないけど、ほら……あの、直視できないから――……」

ふぅっと深呼吸

「異能は持ってないんだ。普通の生徒」

ふぅっと息を吐いて。深呼吸深呼吸、深呼吸。そして――ついに切り出した

「……勉強、一緒にしようか?」

雪城 氷架 >  
「ふーん…じゃ、こっち見なくていいから前髪あげて顔見せてよ」

氷架は割とぐいぐい行くタイプだった

「異能者じゃないのかぁ…勉強、してもいいけど、
 こういうヤツだよ、私が受けてる講義」

少女の横で開いたままのバッグからひょい、と取り出されたテキスト
それには異能物理学の文字が書かれている
異能者が異能の力を理解し、超常と物理的な関係を学ぶ講義だ

伊都波 悠薇 > 「……難しくないです? それ」

どうしても正面に座っているのだし――もじもじとし始め

「うん。欲しいとは思ってるけれどね。……すごく難しい勉強、してるね?」

なんていいながら、テキストを借りる

雪城 氷架 >  
「視線だけ上にあげてさ、こう」

手で自分の前髪をあげつつ天井へ視線を向けてみる
もじもじしている相手を気にかけた感じすらまったくしない
そういう性格なのだろう

「あっても結構たいへんだったり面倒だったりするけどな。
 そう、難しい、だから勉強するといつも頭がこんがらがるよ」

向いてないんだよね、勉強
なんて続けながら視線は戻して、はい、とテキストを手渡す

基本的な物理学に超常的なアプローチの加えられた、よくわからない理論が目白押しだ

伊都波 悠薇 > 「それ、見えても一瞬じゃないです? というか、ミュージシャンのヘドバン……?」

なんて、疑問を告げて

「それはもちろん、あるならあるなりの、苦労があるのは当然ですけど――」

渡されて、読む。読むペースは、一般程度――

「あ、そういえば止まってるのはどのあたり、なんです?」

雪城 氷架 >  
「とにかくこっち見なきゃいいだけなんだからいいじゃん?」

めがあってなければいいのだ、多分
とはいえあんまりしつこくするのもなんだかな、とこれ以上拒否されるならもうやめとこ、と思いつつ

「……じゃあ、なんでほしいの?異能」

苦労も大変さもわかってるのに、と思う
単なる便利なだけのものじゃなくても、欲しがるものなのかと

「熱量の法則、一番私にとって必要な部分なんだけど、ほんとよくわかんない」

伊都波 悠薇 > 「――……じゃあ、帰り際に一回だけやります。それで、いいですか?」

今はまだ心の準備ができてないといいつつ――

「――識りたいから」

その景色、その苦悩、その大変さを、識りたい
そして寄り添えるなら、寄り添いたい。

誰に――なんて言わなくても決まっているけれど。
そんな思いを込めた、一言だった

「……えっと、あの――もうちょっと、時間、ください」

読む、読む、読む。それはあなたの読むペースよりも遥かに遅く、時間のかかる――
でも彼女が真剣に――テキストを、理解しようとしているのは、見て取れた

雪城 氷架 >  
「いいよそれで」

にまっとした笑みを返す
こっちが好奇心なら向こうも好奇心だ
識りたい…と言う彼女の言葉も認めざるを得ない

「気持ちはわかるかも。でもヘンなものに手出しちゃだめだぞ。
 最近へんな薬が流行ってるらしいし……」

大丈夫だろうとは思いつつも知ってて損なこともない

「……う、うん…」

なんだか真剣な様子の彼女を、頬杖をついて眺めた

伊都波 悠薇 >  
「……変なクスリ?」

首を傾げれば、サラリと髪が流れて

「………………」

そして普通よりも遥かに時間はかかったが――

「えっと……説明して、いいです、かね?」

そっと口を開く

雪城 氷架 >  
「なんか異能を使いやすくする薬みたいな触れ込みらしいけど、
 異能がないと思ってたヤツが実は使えなかっただけで、急に使えるようになったり、とか、
 SNSの投コメで見かけたし、手を出すやついそうなんだよな」

絶対裏があるはずなのに、と
…それでも劣等感や、不安…いろんな感情が人を誘惑するんだろう

「お、おう…いいぞ」

なんだかこっちまで緊張してしまう迫力を感じた

伊都波 悠薇 > 「そう、なんだ。それって風紀委員とか、取り締まるのかな?」

どうなんだろうと、口にしつつ。

「じゃあ――」

説明していく。とてもわかり易い。自分がわからなかったところをより重点的に、丁寧に行程、なぜこの式が成り立つのか――それらをすべて説明していく。きっと、氷架にはわかりやすく、なるほどと納得するだろう。過程は――

でも息ついた結論は。説明された氷架には、答えがわかった。だって全て悠薇が説明してくれたから。だからわかったからこそ――

彼女が行き着いた結論、答えが間違っていることが
たしかにわかってしまうのだ

「……と、こんな感じのこと内容なんですけど。参考に、なりましたかね?」

雪城 氷架 > 「公安は過去にやらかしてるし、風紀がやるんじゃないか?
 まぁ、私達一般学生には関係ないよ、手さえ出さなきゃいいんだから」

言いつつ再びコーヒーを口に運ぶ
…さて、そして……

ちょっとした、お勉強会がはじまった

「──……えっと」

バッグからメモを取り出して、サラサラと悠薇の説明した順の通り、書き記していく

「此処とココがこうだから、答えはこうだな。
 うん、答えこそ違ってるけど考え方はわかったぞ、ありがとう悠薇。
 …ていうか考え方が正しくて答えだけは間違うって、変わってるなぁ」

伊都波 悠薇 > 「……風紀が」

つまり、姉がまずいのはわかった。わかってしまった。
きっと姉のことだ。前線で動いてるに違いない、間違いない――

「そう、ですね。クスリとか、怖いもんね」

ふぅっと静かに説明を終えて水を一口

「…………あ、やっぱり……まだそこは、残ってるんだ」

困ったような、でも少し、嬉しいような複雑な表情をして

「雪城さんが、わかったなら、良かった」

よかったと、もう一度つぶやいて

雪城 氷架 >  
「……?」

残ってる、という言い回しも、その表情も何だか違和感を覚える
初対面であんまり深くつっこむのも何だかな、と思ってそこは遠慮するのだが

「うん。悠薇のおかげだなー。サンキュー」

とりあえず素直にお礼と感謝の気持ちを伝える

「氷架でいいって、さん付けとかむずがゆい」

伊都波 悠薇 >  
「――いえいえ、どういたしまして。総量とか、そういうのはスキだから」

スキ、というよりも――過去、自分のそれがある意味ではそういうものであったからというのもあったから、理解しやすかったのは僥倖だったのだ

「シンじゃうから、雪城さんでゆるして」

真剣で泣きそうな声だった

雪城 氷架 >  
「……ん、まぁ、人殺しにはまだなりたくないな……」

ぽりぽり、頬をかきつつ複雑な表情
…そこまで呼び捨てで呼ぶことに抵抗があるのも変わってる

「悠薇って変わってるな。
 ヘンとかって意味じゃなくて、個性的」

伊都波 悠薇 >  
「……そうかもしれません」

じゃなきゃ、こんなふうに友達作りに苦労してない

「勉強、進んだみたいですし。そろそろ、私、帰りますね」

ゆっくりと立ち上がる。姉が帰ってくる頃合い。

聞きたいことは山ほどある

雪城 氷架 >  
「あ、待てよ」

立ち上がる悠薇を呼び止めて

「ほい」

すっと自分のスマホを差し向ける
連絡先の通信交換、とつもりだが伝わるだろうか…

「また勉強手伝ってもらえるかもしれないし…一応な」

伊都波 悠薇 > 差し出されて、数秒の間。そして、スマホを見て。
あなたを見て。もう一回スマホをみて、あなたを見て……
12秒。

気づいた

「あ、わ! まって!! しまわないで、まってまってまって、いまだします、出しますから!!」

大慌てでスマホを出し――交換した

雪城 氷架 >  
気づくのに随分時間がかかった、その様子にちょっと苦笑する

席から自分のバッグを肩にかけて、スカートのおしりの皺をなおして…

「んじゃ私も帰るし、途中まで一緒しよっか。支払い済ませてくる」

言うだけ言うとぱぱっと会計を済ましにレジへ

お互いのスマホには連絡先が1つずつ増え、
数万円をレジに支払っているとんでもない光景を見せ…

「おーい、いくぞ悠薇ー」

きっと途中で買い食いの一つでもしながら、今日は別れたのだろう

伊都波 悠薇 > 「……あ、えっと……」

支払いを終えて、買い食いをしたあとに。
別れ際――

背中を向けて――

「雪城さんっ」

呼び。こっちを向いた――そのタイミングで振り返り……

「またねっ」

髪を上げた――キレイな青色の笑顔(ばら)が咲いたのを

あなたはみて。

悠薇は、恥ずかしそうに。ぱたたたっと走って帰っていった

雪城 氷架 >  
なんだ、やっぱ可愛いじゃん

そう思って今日は少しお腹以外のものも満たされた感じで、帰路についたのだった

ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」から雪城 氷架さんが去りました。
ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」から伊都波 悠薇さんが去りました。