2015/06/17 のログ
苗羽 寧々 > 寧々は貧乏から空腹と戦うすべを学び取っていた。
ひもじいときは歯を食いしばり、枕を抱きしめて寝るのがよい。
粛々と、ストイックに。それこそ減量中のボクサーのように。
そう!ここでうどんなど食べてしまっては!
その糖分はみるみる肉体に吸収され!
減量は瞬く間に水泡に帰す!

そうなれば、このうどん野郎!、訂正、うどん乙女!と顎を殴られ、土手を転げて川に落ちるばかりである!!

「ジョー!許して!」

頭をわしゃわしゃとかき回して葛藤する。
別に減量などしていないのだが。むしろ痩せてるし。
肉よつけ。主に胸に。それ以外にはつかなくていい。
随意にならないのが肉であった。
人生のなんとままならぬことか。寧々は机につっぷし嘆くばかりである。

ご案内:「食堂」に倉来 灯さんが現れました。
倉来 灯 > ちょっと小腹が空いたので、少し買い物にという隠れた目的を連れて、軽くジョギングしようと準備した。
何せ深夜でバツが悪かったのもあるし。
……のだが。

「こんな時間に……誰かいるの?」

苗羽 寧々 > 「………………」

「……………………」

「…………………………はっ」

夜中にあまり騒ぐのも迷惑だ。少し落ち着こう。半分ほどそう思ってのつっぷしであった。
つっぷした先は10分先の未来である。あからさまに疲れている。

ごく短時間の睡眠中、カップうどんは無意識ながら大切に抱きしめていた。
なにしろ貴重な食料である。時間帯さえ誤らなければ。
防衛本能はまだ生きている。寧々は少しだけ嬉しくなった。自慢はできない。

誰かいるのかと問われれば、きゅるんという音が返事であった。
腹の虫もまだ生きている。我慢はしがたい。

倉来 灯 > ああ、腹の虫で返事をされた。
「なんだお夜食作る人がいたんだ」
そのまま中に入ってくる。

「……この時間のカップ麺とか すごいおいしいよねー」
本人は世間話のつもりの追い討ち。

苗羽 寧々 > 寧々は自然と腕を組み、むつかしい顔をして闖入者を出迎えた。
眼前、机上、鎮座するかっぷうどん。傍らには湯をなみなみと肚におさめた電子ポット。

「まさしく」

武将気取りだが深夜テンション故のこと。寧々はアルバイトで疲れている。
ギアをナチュラルハイに入れ、無意識のうちに踏み込んでいた。

「でも」

「お肉がつく」

葛藤に塗れた乙女の顔は、むしろ悲愴と呼ぶのが相応しかろう。

倉来 灯 > 「アタイね、ずっと前に先輩に言われた事があるの」
なんとはなしに、向かいの席に腰掛ける。

そして少々声音を変えて。
「なに、どうせ夜食を食べても増える体重は食った分だけだよ」
似てない物真似。
仮に似ていたとしても先輩がわかるかどうかすら定かではないのだが。

「その先輩が、背がすらっとしてるのにすっごいスタイルよくてさ……」
思い出して。
「世の中って不公平だと思う」
なんか項垂れた。

苗羽 寧々 > 「食った分だけ太らない人が」

「食った分しか太らぬという」

人、それを不条理という。
世の中に跋扈する大いなる矛盾である。
持てるものには持たざるものの道理が通じぬ。
太るものには太らざるものの道理も、また。なんという世の無常か。
ちなみにその先輩が誰なのかは寧々にはよくわからなかった。これもまた無念である。

「食べたぶんだけ走れば、いいんじゃないかな」
「……今食べても」

深夜の食欲は獰猛であり、油断するとすぐ牙をむく。
妬心が油を注いだのではないと、否定することはできなかった。

倉来 灯 > ガバっと顔をあげる。

「逆に考えるとさ……今がマイナス状態なら食べてそのまま寝ても許される……?」

悪魔の囁きである。
疲れたのだから、カロリーは消費してマイナスであろう。
食べたとしてもマイナスならトントンなのではないか?
無論、そんな事は滅多にない。

苗羽 寧々 > 「でも、体が飢餓状態だとさ」

「栄養の吸収効率って、すっごくいいらしいよ」

「食べてすぐ寝ると倍率ドン」

理性が。理性と本能が。今、戦っている。
知的な寧々が警鐘を鳴らす。獰猛な寧々は腹の虫を鳴らす。
それはそれとして。

「許されたい」

心からの本音!

倉来 灯 > 「くっ……体はなんて正直なの!
 そのくせ伸びてほしい背丈とか伸びないのに!!」
後、3センチと怨嗟の声をあげる。

「アタイが許す。
 ただ、許した結果は深夜のジョギングかなんかなんだけど」

苗羽 寧々 > 「おなかとおしりにはつく。にく、つく。むね、つかない」

あと3センチ。なんだか部族めいた声をあげる。
空腹が限界なのかもしれない。人格に乱れが生じている。いろんなものがあぶない。

「明日じゃダメかな?絶対明日走るからさ。10kmくらい
明日から頑張るから!!」

がんばれないやつを口走りながら、勢いでカップうどんのビニールをむく。

倉来 灯 > 「……ゆだんする だめ。 うで やばい」
もうそういう部族なんじゃなかろうか。
片言で会話が進む。

「ちゃんと走れるならいいんじゃない?
 イエァ!ロックだね!」
たぶん違う事を言いながら部族さようならこんにちは文明。
ビニールを向くのを見れば、箸立てにある割り箸をスティック代わりにポコポコ使う。
お行儀は悪い。

苗羽 寧々 > 「ろけんろー!」

聞こえるリズムはさながら原始のドラムが豊穣のよろこびを祝福するかのよう。
だが原始と呼ぶにはいささか8ビートであったので訂正する。

蓋に手をかける。
安価なスーパーでひときわ安かったので買ったカップきつねうどん『どん、おまえだったのか』のパッケージに鎮座するきつねらしきマスコットと目が合う。
『ここから先は、後戻りできないぜ』
きつねらしき何かが語り掛けるかのよう。
「承知の上よ」
一気呵成に、そして丁寧に、半分まで蓋をあけ、お湯を注ぎ、割り箸でめくれ上がらないよう蓋をする。
時計を見る。待つこと5分。うどんは長めだ。

倉来 灯 > 「そういえばさ。そのカップうどんシリーズ東西で味付けが違うらしいよ?」

ポコポコとテーブルでドラムの練習。
……練習?
ビートを刻む速度は一定に。ドラムが狂えば曲が狂う。
地味な練習だった。

苗羽 寧々 > 「この島ってどっちなんだろ」

関西風と関東風。色は違うが味は見た目ほど変わらず、
前者は色の薄さほど薄味じゃないし、後者は色の濃さほど濃い味じゃない。

パッケージをまじまじと見れば、目の前のうどんは後者だった。
たぶんどっちもごちゃ交ぜに、その時の感じで入荷しているというのが真相。
また今度買えば関西風に当たることもあるだろう。

ビートが1分間に刻む所定の打数を5セット重ねたころ。
ようやくおうどん様の御開帳となった。
かぐわしいダシと醤油の香りが鼻腔を刺激する。
日本人ならば抗えない。空腹であればなおさらである。
割り箸をぱっちと開いて、ずるずるともはやためらうことなく麺を啜る。

「~~~~!!」

背徳の味がした。

倉来 灯 > 「個人的には関西風のが好きかなー」
味は似ているがやっぱり食べ比べると違うものなのだ あれは。
……まぁ、食べ比べる機会がどれだけあるのかはわからないけれど。


「ん、時間ぴったり かな?」
壁にかかった時計と合わせながらリズムを体に刻み込めていたらいいなぁ。
「くぅ……アタイも自分のを用意してからくればよかった」
この時間でのその匂いはもはや凶器と言っても過言ではない。
小腹程度の空腹感が俺もいるんだぜ と 自己主張を始めている。

苗羽 寧々 > 麺を啜るのは一息に、歯で余りを噛み切ったりはしなかった。
なぜならば。

「食べる?」

共犯者の甘い囁き。
分け合えば罪の重さは半分。体重の増加も半分。必要な運動量も半分。
自分のも用意すればよかった。そう語る少女に向け、わずかに丼を滑らせる。
かぐわしい香りが接近する。香りはより鮮明に、よりリアルに、鼻から胃の腑に抜け落ちるかのようになる。

倉来 灯 > 「う……く……」
視線は丼から逸らさずに……否、逸らせずに。
逡巡する。

・どうせ夜食用に半額パンとか買いに行くつもりだったんだろう?
・今日、外出する手間が省けるぜ?
・だめだよ食べちゃ悪いよ。でも貰わないのも失礼だよね。

賛成2条件付賛成1で可決されました。

「す、少しだけ……」
手にはすでに割り箸を持っていたのだ。
何を躊躇う事があろうか。

苗羽 寧々 > 平素なら食事を分けるということは恐らくない。
カロリーはお金で買っている。お金の大切さは骨の髄までしみている。
すなわちカロリーは大事である。寧々は吝嗇であった。

「ごゆるりと」

「半分まではゆるすよ」

そんな寧々も乙女として贅肉の危機が迫れば別である。
十を出しながら五分を許可する寛容!

倉来 灯 > 「この恩は、いつか必ず。
 具体的には別の夜食とかで」
寮生同士、持ちつ持たれつ。
助けられたら、助けよう。

音を立てて麺を啜る。
「……この味よね……」
シミジミと臓腑にしみ込む 醤油味。
深夜であるからこその このチープさがたまらない。

苗羽 寧々 > 「割のいいアルバイトの情報があればそれでも可」

うどんでバイトを釣ろうとする。海老で鯛よりあつかましい。しかもうどんは半分である。

「染み入るよね……」
「でも半分までだよ」

吝嗇と寛容、せめぎあいのボーダーライン。
それが半分という区切りであった。互角である。
箸と視線がそわそわしている。早く私にもまた食わせろの意がほとばしる。

倉来 灯 > 「そんなアルバイトがあったら考えておく」
あるとは思えないが。

「大丈夫だよ、アタイはもともと小腹が空いてた程度だから。
 がっつり食べないって」
苦笑しながら丼を返す。

苗羽 寧々 > 「よろしくどうぞ」

一方の寧々は存在を確信している。
いくつかのバイトで甘いお汁を吸えたことはあった。そうした蜜月は長く続かなかったが。
名誉のために記しておくと、誓っていかがわしい意味ではない。

「ばっちり半分残ってる。ありがたい……」

残り半分を平らげるのはあっという間だった。
その様はまさしく飢えた獣めいていたが、最低限のつつしみは備えていたことを、これも名誉のために記しておく。

「ごちそうさま!」

手を合わせて食物に感謝を捧げると、
共用キッチンの使用規則に従い然るべき手順でもって残りのお汁や丼その他を片付けた。

「いやー、これでよく眠れそうだよ」

贅肉への恐怖は胃がいくらか満たされたことへの多幸感で忘却せしめられている。
寧々は笑顔であった。

倉来 灯 > 「そんな割がいいのあったかなぁ……」
それほど財布事情が明るいわけではない自分だ。
まぁ何かあったら優先的に回すようにしよう。
行動範囲は健全な場所しかないからいかがわしいものはないだろうし、うん。

「……すごい食べっぷりだなぁ」
驚きつつも、笑みがこぼれて。
「こっちもご馳走様。
 アタイもよく眠れそうだよ。
 ……ところで、明日の講義までに起きれそう?」
あくびをひとつ。

苗羽 寧々 > 「朝寝坊の神様に、華麗な腕ひしぎを決めてやりますよ」

関節技宣言をしたくせ、シャドーボクシングめいてしゅっしゅと拳を素振りする。
女の子の戯れの域を出ない、他愛もないパンチが空を切る。お腹が満ちると無駄に元気だ。
そのままそろってキッチンを出て、各々部屋へと戻るその分岐点。

「寝る前に歯、磨かなきゃダメだよ」
「それじゃあおやすみ!」

思えば自己紹介を忘れていたが。
別れ際のドアの脇には、『苗羽寧々』のネームプレートが下がっていた。

倉来 灯 > 「それは期待しちゃうわ。アタイの分までやっといてよ」
パンチを見ると楽しそうに笑う。
キッチンを出るときに明かりを消すのを忘れない。
寮母などに怒られるのはごめんこうむりたい。

「そっちもね!」
別れ際におやすみ と声をかけた時にネームプレートを確認できた。
後で学年とかを調べておこう。
なんなら朝食時にでも探せばいいや と軽く考える。

ご案内:「食堂」から苗羽 寧々さんが去りました。
ご案内:「食堂」から倉来 灯さんが去りました。
ご案内:「部屋」に焔誼玖杜さんが現れました。
焔誼玖杜 > 「――――っ!?」

【自室で五行思想、理論について調べている最中。
 余りにも強烈な不快感を感じ、胸を抑えた。
 体を起こしていられず、机に突っ伏す。
 表情筋に久しく力が入り、苦悶の顔を形作った】

『お前も感じ取ったか』

【玖杜のベッドに転がっていた、火の玉から手足が生えたような四足の獣。
 それが赤い瞳をぎらつかせ、窓の外に視線を向けた。

 この学校に来てからというもの、様々な力や気配を感じ取ることがあった。
 特に『炎の巨人』以降は、より感覚が鋭くなったような気がしている。
 その為か、いや最近は特にだが。
 強い力を感じ取ることが非常に多い。
 今日も、はっきりと感じただけで四つ五度。
 そのどれもが玖杜と同様、『神の力』に関わる物だ。
 一つはとても静かで透明で二度、一つは強く激しく、一つは眩しく清らかで、そして一つは――】

焔誼玖杜 > 「ぅ……っ」

【吐き気がこみ上げてくる。
 以前から時々、この『不快感』を感じ取ってはいた。
 感じるたびに湧き上がってくる、敵愾心。
 そう、玖杜は感じ取っていた。
 その力の源が、発生源が、己の敵だと】

『まだ焦るな。
 今の我らではヤツには到底届かん。
 お前がそれを完成させて……それでもまだ足りんだろう』

「わかって……る……」

【今の自分では、感じ取った力そのいずれにも届かない。
 理性では、頭ではわかっているのだ。
 けれど、魂が。
 心でも精神でもなく、生まれたときから神と繫がっていた魂が、アレは敵だと訴える】

焔誼玖杜 > 「…………」

【気を紛らわせよう。そうだ、明日のお弁当、その下ごしらえでもしておこう。
 久しぶりに東雲さんに会ったのだから、次に渡すお弁当に備えて弁当用のレシピを開発するのもいいだろう。
 そんな事を努めて考えて、椅子から倒れるように降りる。
 体を膝と手で支えて、壁にもたれながら立ち上がった。

 それでも、こみ上げる吐き気と、敵愾心は収まらない。
 それに後押しされるように、玖杜の心に一つ、波紋が広がる。決意が刻まれる。

 この力――あの混沌は、焔誼玖杜の宿敵である。
 もしも……己があの域に届いた時、アレがまだ討たれていなかったのなら。
 その時は必ず、この炎もって、焼き尽くすのだと】

ご案内:「部屋」から焔誼玖杜さんが去りました。
ご案内:「ロビー」に夜香さんが現れました。
夜香 > 微かに湿った髪を揺らしながら浴場の方から歩いてくる。
ぱたぱたと気の抜けるスリッパの音。
寮内だからか、特に周囲を気にする様子は無く、
真っ直ぐに自動販売機へとやってくる…。

巾着から財布を取り出し、投入。
さて、どうしようかな、と指先をさまよわせる。

夜香 > …。
緩く彷徨い、たどり着いたボタンを押す。

がこん、と音がして缶のカフェオレが出てきた。

それを持ってソファーへと向かう。

夜香 > ソファーにゆったりと腰掛け、缶を開ける。
それを持ったまま、少しぼんやり…。

誰が点けたのか、流れているテレビへと視線を向けた。

バラエティ番組が笑い声を流している。
…それを無表情に眺めながら、缶を呷った。

夜香 > くだらない。と感じる。
何故これが面白いのかがわからない。という表情。

…こちら側の娯楽というのは時に理解に苦しむ。
そんな表情。

その表情のままでカフェオレを黙って飲んでいる。
…正直、重苦しい。

ご案内:「ロビー」に四十万 静歌さんが現れました。
四十万 静歌 > 神社から帰り、
ふっとロビーを見渡すと、
何かロビーでテレビを見ている人がいたので、

「こんばんは、面白い番組ありま……す……?」

面白い番組があるか聞こうとして、
夜香の重苦しい表情をみて、
笑顔が固まった。

夜香 > 声をかけられ、ん、と視線を向ける。
独特の色の瞳が少女を見た。
…自分より魔女らしい格好ではないか、と口元を少し笑みの形にした。

「…いや。私にはわからないわ。」
変えたかったらどうぞ、とテーブルの上のリモコンを指差す。

四十万 静歌 > わ、綺麗な人、瞳も凄い綺麗、
などと思いつつ、
笑みを浮かべるとほっとして、

「そうですか。
 いえ、私も特に何が見たい番組あるって訳でもないんですけど、
 面白い番組だったらご一緒させてもらおうかなって。
 ほら、面白い番組は、
 皆で見たほうがより面白くなる感じがしません?」

などと首をかしげて問う。

夜香 > 「そう。」
笑みを浮かべた少女を見つめながら、ほぅ、と息を吐く。
「…そうかもしれないわね。」

「あなたが楽しめるのなら、楽しめるのかしら。
……教えてもらえる?」
そう言って、またカフェオレを飲む。

…お酒でもあったら違うのかもしれない、とふと考えた。
さすがに学生寮にアルコール類の自販機はないだろうが。

四十万 静歌 > 「私が楽しめるのですか。」

そんな番組あるのかな、とリモコンを手にとって、
番組を色々みている。
いろんな番組がある、あるが――

「ううん。
 これ、かなぁ。」

歌謡番組で止める。
最近の流行の曲から昔なつかしの曲まで、
紹介しながら流していくものだ。

「なんていうか、
 私の場合、下手な番組よりも、
 音楽を聴いてる方が楽しいんですけど、
 どうでしょう?」

ちょっと心配そうに夜香の方をみて、
問いかける。
なんというか、カフェオレを飲む様子がサマになっていて、
大人だなぁと思ってたりする。

夜香 > カフェオレを飲みながら、ふぅん、と瞳が揺れた。
歌、か。小さく口の中で呟いた。聞こえたかもしれない。

「…そうね。面白さがわからないよりは、いいわ。」

そういうと、微かな笑みを向けた。
「…そういえば、あなたは寮生?」

その表情のままじーっと見つめている。
睨んでいるようではなく、自然体のようだ。

四十万 静歌 > 「歌は万能のコミュニケーションなんていいますしね。」

歌という言葉が聞こえたのか、
そんな事をいいつつ……
じーっと見つめられると、
照れたように顔を少し赤くして、
照れ隠しであはは、と笑う。
なんていうか、特徴の無いどこでもいそうな感じだ。
黒マントが異様に浮いてる割に。

「はい、寮生ですよ。
 2年の四十万 静歌(しじま しずか)と申します。
 なんというか、綺麗な人に見つめられると、
 女性同士って分かっていても気恥ずかしいですね。」

夜香 > 万能。と聞くと、なるほど、という表情をした。
確かに故郷でも詩人の歌う詩はよく広まるものだった。
「言い得て妙、という事ね。」

「3年のヨスガ。夜に香ると書くの。」
自己紹介に一つゆったりと頷くと、名前を名乗った。
「…どうして?
女性同士だし、減るものでもないでしょう?」
少し愉快そうに口角を上げ、ふふっと笑みを漏らす。

…ここの学生には可愛い子が多いわね、と思いながら。

四十万 静歌 > 「そんな風に最初に表現した人はほんと凄いと思います。
 夜に香るで、ヨスガ……夜香先輩……
 なんというか、蟲惑的な響きの名前ですね。
 やっぱり年上の先輩は大人っぽいのかなー」

私はなんというか、
どちらかというと子供っぽい気がする、
などと冷や汗をかきつつ、

「まぁ、減るものではないですけど……
 なんというか――
 私は男の子が好きなのみたいに自分に言い聞かせないと、
 危ない!
 みたいな感じですかね?」

だから、危険なんですよ?
と冗談めかして首を傾げるだろう。

夜香 > 「そうね。どこの世界でも……。」
言いかけて、口を閉ざした。
詮無き事だ。

「あなたも充分可愛いでしょうに。
それで、危ない…?」
少し、小首を傾げて考え…あぁそういう事、と呟いた。
落ち着いた様子で笑う。
冷や汗をかいている様子もじっと見つめながら。

「女同士もそれはそれでいいものよ。
…一般的ではないけれどね。」

しれっと口にした。

四十万 静歌 > 「?
 どうかされ……あ。
 ――すみません。」

口を閉ざしたのをみて、
そんな言葉が口をついてでた。
異世界からきて、
帰れなくなった人もいるのだという事は、
知っている。
それが夜香にあてはまるとは限らないが、
当てはまるかもしれないと思って。

「十分可愛いってそんな。
 私なんて平々凡々ですからたいした事――」

ないですよ、といおうとした所で、
しれっと口にされた。
滝のように冷や汗が流れていく。

「まぁ、その……
 私は一般的な人間だと思ってますので、
 そういうのはちょっと。
 って経験あるんですか!?」

違う、違うんですとかいいつつ、
あれ、経験あるのかというところに行き当たり、大声がでた。

夜香 > 「? …何を気にしているのかしら。」
首を傾げる。
表情は笑みのまま、不思議そうだ。
むしろ内心で考えている様子を楽しんでいるようにも見える。

「経験ね。…どうかしら?」
明確な回答は避け、くすっと笑みが深まる。
謎めいた、艶っぽさを感じさせる表情。
金の瞳が微かに揺らめく。


―――瞳をまじまじと見てしまうと、引き込まれるような感覚があるかもしれない。

四十万 静歌 > 「なんていうか、
 夜香先輩っていろっぽいじゃないですか、
 私なんかとは違って――
 それに経験も――」

ありそうで困るんですけどーと続けようとした所で、
瞳を見てしまうだろう、
引き込まれる感覚、
いけない、これはいけない。
――見つめすぎては、いけない。
飲まれるな――

――心が警鐘を鳴らす。

「あ、え……?
 何が――」

夜香 > その間も一瞬。

「………どうかした?」
普通に会話を続けている。
特に不自然な点は見当たらない…。

「…それはまぁ…多少は気を使うわ。女だもの。
より魅力的に映りたい、と思うのは普通の事でしょう?」
見つめながら、会話を続ける。
特に不自然な点は見当たらない。

が。

『魅力的に映る』という言葉がするりと思考に滑り込んでくるような感覚。
目の前の女性に魅力を感じてしまうかもしれない。