2015/07/27 のログ
ご案内:「ロビー」に佐伯貴子さんが現れました。
■佐伯貴子 > (ロビーのソファーでグダっている)
(いくら日頃から鍛えていると言っても、暑い中外を歩くと疲れる)
(だからとりあえず涼しいロビーにいついてしまった)
(エアコンは人類の生み出した宝だな)
(そんなことを思いながら)
あ゛~…
■佐伯貴子 > (夕食は外で済ませてきたが、入浴しなければならない)
(髪を乾かして寝るか、乾かさず朝に回すか)
(ドライヤーは熱いしな…)
あ゛~…
(どうでもいいことを考えながら奇妙な声を出している)
■佐伯貴子 > (海に行きたいな)
(髪がゴワゴワになるけど)
(疲れるけど)
(冷たくて楽しいし)
(そういえばスイカ割りの約束をしてたっけ)
(いつ行こうかな)
あ゛~…
(女子力の欠片もないいきものである)
ご案内:「ロビー」にレイチェルさんが現れました。
■レイチェル > 「どうしたよ、ゾンビみてーな声だして」
そんな貴子に近づく少女が一人。
制服姿のレイチェルであった。
一応彼女も女子寮住みである。仕事を片付けたりなどする為に
風紀委員の本部で寝泊まりしていることが多いので、
ここに帰ってくることはそこまで多くないのであるが。
今日は珍しく帰ってきたらしい。
「ま、気持ちは分かるけどさ。オレだって今にも溶けそうだし」
そう言って、自分の手で顔を仰ぎながら片手に持った
キンキンに冷えたジュース缶を口につける。
ご案内:「ロビー」に園刃 華霧さんが現れました。
■佐伯貴子 > 夏に負けたのだ…
まだ本番はこれからだというのに…
(若干身体を起こしながら応える)
(自分の寝床は基本的に寮だ)
レイチェルも大変そうだな。
フェニーチェ?だったか言う連中とやりあっているんだろ?
噂は聞いているぞ。
(もっとも報告は上がっていないので詳細は知らないのだが)
■園刃 華霧 > 「ぁー……なーんダー……って。
……乙女らしからヌ声が聞こえたと思ったラ……貴子チャンか……」
適当星人の登場である。彼女も一応は女子寮に部屋が存在している。
もっとも、普段は落第街やら歓楽街やらをフラフラとしているのであまり見かけることはなかったりする。
「不審者かと思っタ……と、あら。レイチェルちゃんも一緒か」
■佐伯貴子 > 乙女らしからぬ声で悪かったな。
園刃も女子寮住まいだったのか。
(この間海で遊んだ二人だが、ここで見かけるのは珍しい)
昨日はお疲れだったな。
>園刃
■レイチェル > 「あ~、まぁ、大体終わったよ。オレの仕事、やるべきことはな。
あとはちょいとまぁ、後片付けというか、事後処理というか。
まぁそんなのがちょっと残ってるだけだ」
ぐいぐい、と冷えたジュースを一気に喉に流し込む。
『超炭酸! メロンソーダ』と記されたその缶を片手で握り潰すと、
ゴミ箱に放り投げた。
「っつー訳で、ちょいとオレも余裕ができたって訳よ。だから久々に
自分の部屋に帰って掃除でもしようかと思ってなー」
そう言って、ぱしぱし、と両の手を払うと大きく伸びをするレイチェル。
「華霧か、お前も女子寮住みだったんだな」
なにせ、殆ど帰ることが無いのだ。
華霧自身があまり女子寮に現れない、ということもあるだろうが
一度も顔を会わせたことが無いのは何も不思議なことではなかった。
■園刃 華霧 > 「そうヨー。女子寮住み。どっか二家を手に入れられるホド、よゆーもないシー?
寮に居るのガ一番楽ってモンさー。こっちからすれバ、レイチェルちゃんが寮住まいなのには驚いタ」
二人の言葉に答える。
「いやいや、まータマには仕事しないとバチが当たるらしーシ?
まあ、少しは貢献したでショ」
貴子に返す。
「あー……しかしまー、此処はまだ涼しいケドほんと、夏本番って感じで暑いネー……アイスでも食べる?」
これは二人に聞いてみた。
■佐伯貴子 > 無事終わったのなら何よりだ。
なんだか普通の違反部活より凶悪そうな感じだったからな。
(ジュースを飲むほど喉は乾いていない)
(ただだるいだけだ)
年頃の女子が泊まりこみとかよくないぞ。
忙しくても帰ってきた方がいい。
(これは自分が心がけていることだ)
>レイチェル
君がいてくれて安心だったのは事実だな。
それにバチは当たらないが手当がつかないだけだと思うぞ。
…アイス?
異能で出現させたりするのか?
(喉は乾いていないが、冷たくて甘いモノは魅力的だ)
(身を乗り出す)
>園刃
■園刃 華霧 > 「ああ、フェニーチェってアレか。劇団名乗っタぶっ飛んだ集団だっケ。
演劇と現実をごっちゃにさレてもナー……ま、ごくろーサンだったネ、レイチェルちゃん」
おやおや、と肩をすくめた。
一応、事件とかその手のものは目を通しているらしい。
だって、自分が巻き込まれると厄介だし……
■レイチェル > 「まぁ、一応な。殆ど帰ってきてねーからなー。それでも一応部屋はあるんだぜ。
部屋はまぁ、半分武器庫みてーなもんだけどな」
華霧の発言には、たはは、と笑いながら頬を掻くレイチェル。
彼女の部屋の壁には銃器が取り付けられており、クローゼットの内もさながら武器庫
の様になっている。勿論、その分セキュリティは万全にしてある。
「ん、アイスか。じゃあ貰おっかな」
ジュースは飲んだものの、まだまだ暑いのに変わりはない。
「向こうもシャワーとかあるし、生活できちまうからなー。確かに
もっとちゃんと自分の部屋に戻って来といた方がいいんだろーけど。
ま、貴子に言われちゃ仕方ねーな。気をつけとくよ」
そう言って、腰に手をやりながら貴子に対して返す。
風紀委員本部は実際、生活するのに全く困らないだけの施設がある。
それでも確かに、自分のような年の女が泊まり込み、というのも確かに
あまりよくないのかもしれないな、と。
貴子の言葉を聞いてようやく改めて
自分を見直すことが出来たレイチェルであった。
■園刃 華霧 > 「ン……異能……まあ、そんな感じ……かナ?
ほい、ほい、ほい、ト。」
貴子に言われれば、手品のように手元にアイスが出たり消えたりする。
しかも、出る度に違う種類のアイスが出てきている。
■園刃 華霧 > 「帰っても、武器庫……って、辺りがレイチェルちゃんらシーのかネ……
アタシなんか、布団くらいしカないヨ。まあ、それもあンま戻ってないカラ寝るだけ、だよネー。」
レイチェルの言葉を聞きながら、ははは、と笑う。
いやまったく、この子らしいなあ。
■佐伯貴子 > (レイチェルの部屋には一度入ったことがある)
(ぬいぐるみなど可愛い物があったが、他言するつもりはない)
君は確かに強いが、ただの女子学生でもあるということを忘れないでくれよ。
あんまり仕事に追われても楽しい青春を逃すぞ。
(これも自分が心がけていることだ)
(日常を楽しまないで仕事ばかりしてると何のために生きているのかわからなくなる)
>レイチェル
情報を持っておきながら前線に出ないのは、呼ばれてないからかサボっているのか…
(誰にいうわけでもなく)
何だその手品みたいな能力。
あれあるかな?高いアイス(商品名は伏せる)
(そういえば以前に色々コンビニでおごった記憶があったな)
>園刃
■レイチェル > 「大丈夫だって。先日だって休暇とって海に行ったばっかりだからな。
オレだって戦ってばっかりなんて嫌だって。せっかくこの学園に来た
んだからな、学生っぽいことだってしたいと思ってるさ。ま、忠告は
感謝するぜ」
こくこくと頷いて、腕組みするレイチェル。
この学園に来るまでは、毎日が戦いの日々であった。
その日々からすればまだ、この学園での生活は平穏寄りなものであるのだが、
傍から見ればそれでも戦ってばかりのように見えるのだろうか。
心の内でうーむ、と思案するレイチェルであった。
「へー、すげぇな。じゃあオレは何かオススメのやつ貰えるか?」
アイスの種類などあまり詳しくはなかったレイチェルは、
そう華霧に対して問いかけるのであった。
■園刃 華霧 > 「エッ……た、高い……? あ、アー……うん、あル……あるヨ」
貴子の言葉に一瞬、ショックを受けた表情をしたが素直に一つの……いや、三つのアイスを取り出す。
この場でまさか一人だけに渡すわけにもいかないだろう。
おお……なんたる散財であろうか……
「うン……こう……女子力?みたいなノ、高めのヤツ……」
まあ高いと言っても流石にしれているが、でも高いアイスだ。
それは見た感じは棒アイスにフルーツやらが盛りつけてある、確かに豪華感のあるシロモノ。
見ようによってはフルーツパフェか何かが棒アイスになったかのようにも見える。
■佐伯貴子 > 説教してるようになってしまってスマンな。
別にレイチェルに死相が見えるとかそういうんじゃないんだ。
ただもっと可愛くなってほしいなと思ったんだ。
(少し慌てて取り繕う)
(何を言っているのだ)
(戦わない身からすればレイチェルは十分戦闘民族だ)
(戦乱とは無縁に培養されてきたせいもあるだろう)
>レイチェル
…なんか、ごめんな、高いのとか贅沢言って…
(ちょっと申し訳なくなった)
おお…食べてみたかったんだよな…
(恐る恐る手を伸ばす)
(テレビや雑誌で話題のこの夏女子に大受けのアイスだ)
>園刃
■レイチェル > 「か、可愛くってなんだよ?」
目を白黒させて首を傾げて貴子を見やるレイチェルであった。
長らく、可愛いという言葉は自分とは無縁の筈であった。
つい先日某人に言われたばかりでもあったが、未だにその言葉
と自分を並べ立てれば、違和感を覚えてしまう。
「へー、女子力……女子力? まぁいいや、さんきゅー! この恩は忘れねーぜ!」
そう言って、アイスの内の一本を受け取るレイチェル。
「すげぇな、何かすげー沢山ついてる」
なんとまぁシンプルな感想もあったものである。
が、彼女はしっかり目をきらきら輝かせているのであった。
■園刃 華霧 > 「戦うキミは美しイ……なんて言葉もあるけどナ。
はっはっはっ、貴子チャン。可愛い可愛くないで言えば、十分可愛いンじゃないの貴子チャンもレイチェルちゃんもサ。
まあ、着飾ってみて欲しい、トカそういうのナラなんか納得。」
けらけらけら、とようやく調子を取り戻して笑う。
自分のペースさえ保てればこんなものよ。
最近色々ペースが乱れることが多くて困る。
「ン、まあ前に色々おごって貰ったしネ。気にしない気にしなイ。
そもそも食べるかドーカ聞いたのはアタシだしネ?」
アイスを渡しながら笑う。
面倒がりで楽したがりだが別にケチではないのだ。
■佐伯貴子 > その反応、可愛いね!
(チャラいことを言ってしまう)
(自分が言われると鉄壁の防御を見せつけるのに女子には言いたがるのであった)
(ともあれ、彼女の良い一面が見れてほっとひと安心といったところか)
アイスを食べて女子力を高めよう!
(なんか元気になってきた)
>レイチェル
園刃のセクハラには慣れているが、素直に褒められるのは珍しい気がするな…?
(自分だって十分普通以上なのに)
(でも園刃の気持ちも最近ちょっとわかってしまう自分がいた)
ありがたくいただきます…
(アイスを受け取ると包装を取り、一口)
…とろけるなあ…
(フルーツを凍らせた食感とアイスクリームのクリーミーさ)
(これは凍らせたパフェである!)
>園刃
■レイチェル > 「……? えっと?」
可愛いと言われれば全く訳が分からないという様子のレイチェルであった。
今の発言の何処が可愛いというのか。心の底から疑問なのであった。
「女子力ってアイスを食べれば上がるものなのか?」
ぱくり、と棒アイスを咥えるレイチェルの顔は何とも
不思議そうなそれであった。
「お、美味い! 美味いじゃねーか!」
ぱあっと表情が明るくなるレイチェル。
甘いものに目が無いレイチェルである。
この豪華さ溢れるアイスは彼女を魅了するに十分な力を持っていた
ようであった。
■園刃 華霧 > 「ン……むグ……貴子チャン、暑さで頭ヤられた……?」
自分の分のアイスを選んでかじりつつ……なんだか心配そうな目で見る。
生暖かい目ではなく、かなり真剣な目で。
大丈夫か、この子本当に。
実はこの間の誘拐事件で脳になんか細工されてるとか……?
などと一瞬本気で考え始めた辺り大変失礼である。
ちなみに残りのアイスはまた手品のように消えている。
「やー……アイス食べて女子力とかいう謎パワーが上がるかハ、知らないケドね。
ただマ……アイス食べて顔を輝かせてル女の子ってー構図は可愛いンじゃないかネ?
そりゃ、女子力も向上しますワ」
けけけけけ、と明るい表情になったレイチェルの顔をみて笑う。
あー、武闘派過ぎて自分って物がよく分かってないタイプだな、この子。
男から言い寄られた時に困惑する感じだよナー。
……あー……ウン、まあ……いいや、うん。
一瞬、何かの記憶を引き出しかけて慌てて頭を振る。
■佐伯貴子 > わからなくていいんだ…
(わかっているように頷く)
(そう、レイチェルはこれでいい)
(きっとそのうちいい男も見つかるだろう)
さあな…そこんところだが私にもよくわからん…
(下がる条件はわかるが上げ方は謎に包まれている女子力であった)
>レイチェル
たまにあるんだ、気にするな。
(四十万静歌などによく行う言動であった)
(レイチェルが小動物のぬいぐるみなどを好きなように、
自分も恥ずかしがる女子に可愛いというのが好きなのだ)
(これは最近気づいたのであるが)
アイスごちそうさま。
>園刃
(アイスの食べかけを持ったまま)
じゃあ、私は部屋に戻るよ。
食べ終わるとまた力尽きそうだからな。
汗をしっかり洗い流してから寝る。
じゃあな、二人とも。
(軽く手を降ってエレベーターの方へ歩いて行った)
ご案内:「ロビー」から佐伯貴子さんが去りました。
■レイチェル > 「いや~、一気に涼しくなってきたぜ。やっぱりアイスって偉大だな~」
そのままアイスをぺろりぺろりと舌先で味わいながら、ふぅ、と一息つく
レイチェル。じっくり味わっていたが、やがてアイスは無くなってしまう。
食べ終えれば残った棒もゴミ箱に捨てて、レイチェルは再び大きく伸びをした。
「ほんとにさんきゅー、華霧。ほんといつか礼はするからさ」
クロークを翻し、掃除をする為にレイチェルは自室へと向かうのであった。
ご案内:「ロビー」からレイチェルさんが去りました。
■園刃 華霧 > 「ははは、まあ気にしなイ気にしナい。
それなラ、アタシがピンチの時に颯爽と駆けつけて助けてヨ」
冗談めかせてレイチェルに答える。
まあ気にするなってことさ。
「ん、まあマタ乙女らしからヌ声出されても困るしナー。
そんじゃネ、貴子チャン」
立ち去る二人に向かって、ひらひらと手を振る。
■園刃 華霧 > 「……サテ。アタシはー……ウー……ちっと頭冷やすかナ……」
はぁ、と溜息を一つついて……ふらふらとその場を立ち去った。
ご案内:「ロビー」から園刃 華霧さんが去りました。
ご案内:「ロビー」にラブライナーさんが現れました。
■ラブライナー > 『行け、教授!行ってくれッ』
『ここは俺達が食い止めるから!』
『頼む、希望を――』
魂さえあの場においてきたような気がした。
血と汗と涙を流せ…そんな雰囲気を背後に感じながら、男子寮を走り去った歌づ……ラブライナーは、
団員たちにも未だ教えていなかった第二異能、『nowhere』を用いて、
彼ら全員の悲願にして彼岸、約束の地であり楽園、はるか遠き理想郷――
女子寮に、足を踏み入れていた。
オートロックを解除した女生徒に続けて後から入ったのである。
■ラブライナー > 「はぁっ、はぁ……はぁ……」
息が荒いのは、走ってきたからだけではない。
せめてこの異能が透明になるものだったら。
自分の目からこの体を隠してくれていさえすれば。
ロビーに備え付けの(もちろん男子寮にはこんな洒落たモノはない)大きな姿見に映る仮面の姿はまごうことなき変態である。
……そして、その変態の後ろには女子寮ロビーの日常、
お風呂あがりの少女たちがソファに腰かけ、あるいは足を揃えて乗せたりしたり、電話を掛けていたり、テレビを見ていたり、
甘いモノを食べては『こんな時間だと太るよ―?だから貰ってあげる』『あ、こらー!』
などと遊んでいたり、
『見てよこの日焼け』『あ、また今日も海?』と言い合いながら、その眩しい小麦色の肌を無防備に晒している。
「落ち着け……落ち着いて、まず落ち着くんだ、落ち着け歌月…仲間たちのことを思い出すんだッ」
唇の端が変に釣り上がるのを押さえながら、仮面の変態は身悶えしていた。
ご案内:「ロビー」に嶋野陽子さんが現れました。
■ラブライナー > 多くの民話において、妖精郷に紛れ込んだものは『おみやげ』を授かり、
そのおみやげは幸福を生み出すという。
パラディーソにたった一人たどり着いた自分の役目は、つまりそういうことだろう。
「せめて……せめて、なにか手に入れなくちゃ、男子寮で待ってるみんなのためにも」
『nowhere』も無敵の能力ではない。
ここがDLsi島であれば話は別だが、その異能の特徴として歌月のことを見知った人間に見つかってしまえば、全ての幻惑効果を無視して看破されてしまう。
通報されてしまえば、待っているのは鳥葬の慧と聞いている。
「でも、どうすればいいんだ?衣類とかを手に入れればいいって聞いてるけど…」
今ロビーに居る妖精たちの中には着替えを持っている子たちもいるけれど、不用意に近づくのは危険だ。
自分が冷静で居られない可能性がある。
となると、部屋に入るのはどうだろうか?
先ほどの玄関のオートロックと同じく、誰かが入るのを待てば…
いや、それじゃ時間がかかりすぎる。状況はジリープアーだ。
「判断は素早く、行動は冷静に、オマエの手に命がかかってるなんて事実は重くもなければ軽くもない、そうだろ?」
生活委員会保健課で救急医療をやっていた頃に先輩に教えてもらった言葉。
思考をクリアに。迷いは捨てる。
「そう、か……わかったぞ」
「部屋に入ろうなんて考えは捨てて、大浴場の脱衣所に行けばいい――!」
■嶋野陽子 > 風紀委員会本部での押し問答と
その後の騒動で疲れて女子寮に帰ってきた陽子。
色々と複雑な事があったので、全てをお風呂で
洗い流したい。そう思った陽子は、自室でバス
ローブに着替えると、すぐに入浴セットを持って
大浴場に向かう。
どうやら先客がいるようだ。
■嶋野陽子 > (あれ?誰か居たような気がしたのに・・・)
大浴場の脱衣場は、案に相違して空だった。
陽子はそこでゆっくりとバスローブを脱ぎ、その
巨大で強靭な筋肉に覆われた巨体を余すところ無く
さらけ出す。
先日のトレーニングで全体を引き締めて、バランスを
取ったらば、サヤさんがちゃんと認識してくれた事を
思い出して、鏡の前で全裸でポーズを極めてみたりす
る陽子。
■ラブライナー > 「…!?」
現れたのは、巨体。
いや……大きいが、女性。しかも、かなりの美人の類の。
『めちゃくちゃいい子だと思うし団内の格付けもかなり高いけど彼女としては…』
「いや、あの人は多分もう付き合ってると思う」
『マジかよ教授!?』
回想シーンを終えて意識を現在に引き戻す。
現在地は大浴場の手前、脱衣場。
男子寮のそれはいまどきパチンパチンとボタンを押しこんで風量を切り替えるしか出来ない業務用扇風機の支配下だが、
この空間は違う。
真っ白の壁にはカビの生える気配さえ無く、完璧な空調が静音性を保ちながら真夏とは思えない冷気と乾燥をもたらしている。
そしてその差は脱衣カゴと適当に湿気ってる木製の棚と、
一回一回個人認証登録可能なロッカーの差でも有る…!
「……これじゃ手が出せない……いや!」
先ほどの教訓を思いだせ。
開けられないなら?
開けてもらえばいい…!
仮面の少年はロッカーの影に潜みながら、陽子の着替えを待つには待っているのだがじっと見ているわけでもなく。見られるはずもなく。
首をねじ曲げてクーラーを眺めながら、待っていると
「ポージングだって!?……いやいやいや、見てない見てない、今のは周辺視、カラーでは見てない」
両手で仮面を押さえつつ、指と指の間には隙間が開いていた。
■嶋野陽子 > まずはお風呂だ。
いつものロッカーにバスローブとパンティーを入れて
大浴場に入っていく陽子。
いつもだとシャワーとバスで、15分は出てこない。
■ラブライナー > (止せ歌月……そっちに行ってはいけない―)
脳裏に仲間たちの声が響く。だけれども、止まらない。止められるわけがない。
(だってオマエそれは……ずるいって!)
ロッカーは野太刀の掛けヒモを引っ掛けておくことで
『実際は閉まっていないけど、異能のお陰でなんとなく気づかれない』
状態を作り出せた…はずだ。
つまり、既に罠は解除してある。お宝は目前。
だったら――
だったら、このダンジョンを、最期まで攻略することは間違っているだろうか?
今僕がこうしてここに立っているのは、人の思いを受け継いだから。
かつて大浴場を見るために多くの人が散り、
あるいはその一片を覗くためだけに近隣の建物の屋上で前門がタイガー、後門に狼と言った次第の包囲戦が行われたという。
(なあ兄弟)
(ひいてやろうぜ、ラインをよ―)
脳内に響いたのは何よりも大事な言葉。
そうだ、こうして仮面を付けたのは何のためだ、
「女子寮に……」
「男子が入ってもいい、そんなラインの世界が有ってもいい、そうだろ…!」
現状よりもはるかに高く引かれた目標線へ向けて、
震える手を抑えて、両の手で大浴場の扉を少年は引いた…!
■嶋野陽子 > 浴槽の中で、今日の騒ぎの
間に、生活委員会の本部で手に入れた、保健課員の
顔写真付きリストを脳内で再生していた。
まだ編入後間もない陽子には、保健課員全員の顔と
名前を一致させたいという望みがあった。
3年生のページに差し掛かる陽子。
■嶋野陽子 > アイウエオ順の名簿の一番最初は、
(或蓮歌月[あるばす かづき]先輩。治癒魔法が得意なのか・・・)
■ラブライナー > 少年の得物である野太刀は、あいにくその体格では腰に差していては抜き放つことすら出来ない。
であればこそ背中に背負い、転ぶようにして身を正面に投げ出して抜き放つのがその戦法。
扉を開ければそこは戦場、既に背に武器はなくとも前転して少年は飛び込んでいく。
「せめて地形だけでも把握できれば後続の助けに…!」
自分すら騙しきれない嘘が浴場に木霊する!
■嶋野陽子 > 或蓮先輩の顔を思い浮かべた
途端にがらりと扉が開き、何者かが転がり込む気配が
する。
「あらいらっしゃい。19号室の嶋野陽子てす。そち
らはどなた?」
扉に背を向けている陽子が聞く。自分の巨体で相手が
怯えないように、まず女の子の声で名乗りを上げて
安心させるのが、浴場での陽子の気配りだ。
■ラブライナー > ……
頭を伏せて四つん這いの状態から、聞こえた言葉を反芻する。
いや反芻するまでもない。
自分に、言葉が掛かった。……異能は、切ってない。
たしかに、保健課の後輩、だったような気がする。
もしかすると……もしかしてしまったのか。
さっきの仲間たちの声はマジだったのか。
横目でチラリと、噂の換気扇の穴を目視すると、その先に散ったはずの戦友たちの顔が見えた。
『無茶しやがって』。その言葉を、向こう側から投げかけられる…!
「か……カゲツ、です、」
「ごめんなさい、誰か居ると思わなくて」
あらん限りの変声を尽くして、応答しながら、じりじりと四つん這いのママ後ろに下がっていく。
救急治療の現場において、こういう小手先の技術も時に必要になる。
死の淵まで行った人間が、『もう駄目だと思った時に、行くなという大切な人の声を聞いた』ということがある。それは本当にその人の声という場合もあるけれど、時には…
……先輩。僕、先輩に教わったこと、今でもちゃんと活かせてますよ……!
■嶋野陽子 > 「カゲツ・・・さん?」
女子にも「カゲツ」という名前はあるので、声変わり前
の男の子だったら、気付かれなかっただろう。
しかし15才の男の子の声は、流石に女子としては違
和感が残る。素早く湯船から飛び出し、脱衣場への扉
の前に立つ陽子。そこで見たものは・・・?