2015/08/02 のログ
■エルピス > 「うん。触感はあるけど、冷熱は感じないみたい。
仕様や意図はボクは知らないんだけど……」
やや、困った風な苦笑いを浮かべてみせれば、ゆっくりと食べる。
「えへへ、そうだね。……あむ、んっ、れろ……
……自分の身体の事なんだけど、主要な兵装以外何も教えてくれないから、よく知らないんだ」
言葉を繰り返す。
思い悩んだ、やや消沈した声が響いただろうか。
■六連星 葵 >
「自分のことなのに知らない?
そんなことあるの? だって、自分の体なんだよ。ある程度はちゃんと把握してないと、どんなトラブルがあるかわからないじゃないか」
[〉葵にはマシーンとしてもポリシーがある。それは自己の機能の把握である。
[〉被造物であり、教育により経験を得る彼女は、自らの機能についても教育の過程で説明を受けていた。
[〉それは彼女を人間らしくするための行為の一環であるのだが、そうした事を育ちの中彼女は繰り返してきていた彼女は、そのことが疑問だった。
[〉急いでアイスを、ガリガリと噛み砕くと思いって飲み込んだ。
「あー……ツツッ……」
[〉キーンと頭にくる感触を抑えつつ、エルピスに顔を向ける。
「エルピス、最近落ち込んでたけど、何かあったの?
色々悩んでいるようだけど、まるで話すべきじゃないような口ぶりで教えてくれないし。
僕、君の友達なんだから、相談ぐらいには乗れるつもりだよ」
[〉もちろん誘ったのはそればかりではないのだが、楽しんだ後に切り出すのも嫌だった。
[〉だから最初に暗くなりがちな話を促し、後ははっちゃけて心をスッキリさせようというのが、葵の算段だった。
■エルピス > 「あっ………言われてみれば、そうだよね。
でも聞いても、何時もはぐらかされちゃって……なんでだろう。」
表情が曇る。
今の所大きなトラブルは起きていない故に、"どんなトラブルがあるか分からない"に発想には至らなかったものの、
一度気付いてしまえば、自身に対する会議をより深いものにする。
「……ううん、大きくなにかあった、って訳じゃないんだけどね。」
周囲を見渡す。外ではなく内、おまけに警備が厳重な女子寮と来ている。
"外"からの盗聴には気にしなくて良さそうか、そう思案しながらアイスを舐める。
「でも、そうだね、えっと……何から……
……ねぇ、葵、サイボーグやアンドロイドに大事なのって、中身<じんかく>なのかな。
嶋野陽子お姉さんから、葵がそう言ってたって、聞いたけど……」
■六連星 葵 > 「なんでだろうって……それってまるで……」
[〉はぐらかして、と言われて不思議と首を傾げた。
[〉そして、ようやく葵はエルピスと自分の間にある齟齬について理解した。自分は命あるものとして惜しみないバックアップを受けてきたが、エルピスは多分、そうではないのだと。
「ん、中身……心? 陽子さんが……?」
[〉奇妙なところでの繋がりに葵は目を丸くした。交遊があったのなら陽子を引き止めるべきだっただろうという後悔があった。
[〉しばし沈黙。葵は悩んだ後ぽつぽつと言葉を紡ぐ。
「僕はサイボーグやアンドロイドにとって、あるべきものは他者との信頼だと思ってるよ。僕らは人じゃない。人より優れて、人より強い。だから、誰かとの絆は絶対忘れちゃいけないと思ってるんだ。これも、母さんからの受け売りみたいなもんだけど。実感としてそう思ってるよ」
■エルピス > 「まるで……?」
正体の見えない不安が何かと問い返す。
幼い朱い瞳のようなものが、葵を覗く。
「この前、偶々公園であって、それで……。
……ううん。そっか、そう言う意味だったんだね。
人じゃないからこそ、信頼が大事、かぁ……そうだよね。」
一人納得すれば、表情は変えぬものの頷いた。
いや、寧ろ。改めて己が人でない事実を突きつけられれば、昏くするか。
「信頼出来ない機械なんて、気味が悪くて、怖いだけだもんね。
……ボクは……。」
自分<エルピス>を、信頼できているのだろうか?
好きになれるのだろうか?
ありのままの自分<エルピス>を、信頼しているのだろうか?
……思考がぐるぐると回り始めたのか、沈黙した。
■六連星 葵 >
「モルモットみたいだって。
母さんがそうだったんだ。実験動物みたいに扱われて。そういう存在には余計なものを教えないほうがいいから、都合の悪いことは伏せるんだって。
だからいいことばかりを教える奴は信じるな、って。
エルピスも、きっとそんな状況なんじゃ、ないのかい?」
[〉これは確認だし、同時に言うことによって葵は自分の立場を明確にする覚悟の発言でもあった。
[〉この問いを投げかけることは、エルピス自身について関わっていくこととも同義でもあるかだ。
[〉だから、葵は続けて言葉をかける。
「できれば、応えてほしいんだ。
僕はエルピスという友達を、見捨てたくない。
同じマシーンとして、悩んでいるなら手を差し伸べたいし、マシーン同士だから話せることだって、あると思うんだ。
お願いエルピス。悩んでいるなら、打ち明けて。
僕は、君の味方だ」
■エルピス > 「……。」
沈黙。モルモットの単語を、脳裏で反芻する。
そうじゃないか、と思える部分も多い。
僅かに、それにしては、と思って居る部分も多い。認めたくないかもしれない。
煮え切らない態度が、葵には見えるか。
「言われてみれば……でも……うう、ん。また悩みが増えちゃったかも。
……と、とりあえず悩んでいるのは、別のことなんだけどね。ねぇ、葵。
ボクって、本当にボクなのかな?」
■六連星 葵 >
[〉悩みが増えた、とエルピスは言う。
[〉では違う悩みだったのだろうか。葵は分からず見つめたまま沈黙した。
[〉悩むエルピスの問いに葵は「君は君だ」と答えようとして、言葉を止める
[〉そうではない。そういう次元の投げかけではないのだ、と。
「君はサイボーグに改造されたって、いったよね。
もしかして……前の君と今の君はその、変わってしまった?」
[〉言葉をずいぶん選んだ気がした。でも、真意を知りたいと葵は思った。
[〉安心させるのでは無意味なのだ。エルピスが、葵を通して自分を得るための、そのための儀式が、今のこの会話の真意の一つにさせなければならない。
[〉だから、葵は、自分の答えに対するエルピスの言葉を静かに待った。
■エルピス > 「……ちょっとだけ。
女の子っぽくなったのかな、って思うよ。静歌お姉ちゃんが元々そんな所があったって言うから、
ボクが思う程、変わってないのかもしれないけどでも、それ以上に――なんて、言うのかな。
認識している過去も思い出も、経験も――全部、捏造されたもの、って。」
瞳を伏せて、応える。
「……ボクはボクだと思うし、ボクの過去を知っている静歌お姉ちゃんもいるから、
ボクの持っている記憶は真っ赤の嘘の記憶じゃないと思うんだ。けど……
……【人格は造られたもので】【この記憶も用意されたもの】って思うと……」
■六連星 葵 >
[〉自己の根底があやふやなこと。それが、エルピスの持つ不安の正体なのだと、葵は理解した。
[〉そして突然現れた女性の名前に、いや家族の名前だろうか。葵は思案しつつ、答えを返した。
「僕からはうまく言えない、かな。捏造されたと言われても、信じないし、信じられない。
もし、母さんとの積み重ねが嘘だったら、とぞっとしない。
だから僕から言えることは――
『少なくともこれからの君だけは、僕は不安にさせたりやしない』
っていう、たったそれだけ。
昔の君は助けられないけど、今の君なら、僕は救えると、なんとなく思うからさ」
[〉救うだなんて、と。恥じた。そんな大層な器、自分にありはしないと心で嗤う。
[〉それでもそれくらいは言いたいのだ。言わなければならないのだ。
[〉今目の前にいる少女を助けたいと想うのであれば、それは態度に、言葉として表明しなければならないのだから。
[〉六連星 葵は嘯く。故人の救済という行動を。
■エルピス > 実際はいとこの名前であるが、それはさておき。
「……嬉しい。けど、どうして?
どうして、ボクにそこまで――?」
震えた声で、改めて問う。
嬉しさが。不安が。疑問がエルピスの感情をかき乱し、畝る。
「ボクは葵にそこまでの事をしていない、と思う。よ……」
■六連星 葵 >
「どうして、って言われても……
友達じゃないか。
それとも何? 友達だとエルピスを助けることも、支えることもしちゃだめなの?」
[〉吊り合わない関係性の対価を問われる。施しは人を戸惑わせ、過ぎれば堕落させる。
[〉葵は、そういった事を知らない少女である。
[〉掛け値なしに誰かを助ける善意を好む。そういう娘だ。
[〉だが、一つ加えるとすれば――
「それに、君は僕を呼び捨てにしてくれたしね。
それってつまり「末永く友達でいたい」ってことだろ?
僕は、理由はそれだけあれば十分さ」
■エルピス > 「それは、その……
……でも、……うん、ボクも葵と、友達でいたい。
だから、その、ふつつかものだけど、宜しくね、葵――」
あう、と、声を漏らす。
落ち着かないのだろう。ぺこりと頭を下げながらも、片手で自分の服をぎゅっと、掴――濡れてる?
「……ぁ。」
■六連星 葵 >
「ふ、ふつつか者って。
別に恋人になるわけでもないんだしさ」
[〉ううん、と頭を指で抑えた。思い切った言葉は投げたつもりだったけれど、そんな返しがくるとも露ほど思っていなかった。
[〉と、エルピスが声を漏らした。
「ん、どうした……の?」
[〉何か、あったのか。気づいた様子の彼女に、葵は不思議そうな視線を送り――
[〉ああ、そうかと理解した。
「そういう顔されると僕も嬉しいよ」
[〉と、微笑むだろう。
[〉エルピスの顔を見て、葵はそう言葉を紡いで、机に頬をついて彼女を眺めた。
■エルピス > 「あっ、ご、ごめんね。動転しちゃって。それで、えっと……
って。も、もう……ちょ、ちょっとアイスが溶けちゃっただけだよう……」
棒のアイスはすっかりと溶けて、エルピスの服に大きな染みを作っている。
………それ以外に零れ落ちたものも、あるかもしれないが。
いずれにせよ、はにかんだ苦笑を見せた。
何かがこの場で解決した訳じゃないけれど、凄く、嬉しい。
「……うん。決めた。
えっとね、ボクの身体の事を調べてくれるって申し出てくれた人が居るんだ。
だから、ちょっと怖いけど、調べて貰ってくる。どこまで分かるか、分からないけれど……。」
■六連星 葵 >
[〉ずるっと頬から顔が滑り落ちて半眼になった。
「ちょっと、ちょっとー。ダメだよ食べ物粗末にしたら」
[〉とはいえエルピスの声は弾んでいる。
[〉改善ができたようで、葵はほっと胸を撫で下ろした。
「ん。いい結果、出るといいね。
もし、それで。君にとって何か大変なことが分かったら、解決には手を貸すよ。
僕、風紀だしね。困った人がいたら、助けるのも仕事だからね。
何より僕は愛と正義の魔法少女! 困ったらドーン頼って!」
■エルピス > 見事なズッコケが見えた。
「ご、ごめん。話すのに夢中になっちゃって……
……うえ、結構濡れてるなあ……」
うえー、とぼやきながらショートドレスをつまみ上げる。
黒いスパッツが見えるかもしれない。
「う、うん。
……一応ボクは公安委員会で、常世財団英雄開発課だから、あんまり変な事には出来ないけど……
……やっぱり公安って、容赦ないし……公安らしくない、風紀よりって云われるボクが送り込まれた理由も、
公安委員会のイメージアップとか、黒い行為から目を逸らさせるみたいな事も言ってたし……
でも、本当なのかなぁ。確かにボクの影響はそこそこ在ると信じたいけど、所詮ボク一人だし……」
■六連星 葵 >
「シャワー浴びていきなよ。入っても平気? 左手のそれ、カバーされてるように見えないけど」
[〉流石にこのまま返すのは忍びない。
[〉服は持たせるにしても、このまま着替えというのも申し訳ないと感じた。
「英雄開発課? なんだかドラマみたいな話だね。
んー。影響力なんて、後からついてくるから、いいんじゃないかな?
僕、なんとも言えないけど」
[〉イメージアップ戦略というのは、理解ができる。
[〉なにせ葵の魔法少女というのが、まさにそれだ。
[〉タイムパトロールとしての新人である彼女たちに期待されているのは前向きさと若くして正義感を持って活動する直向きさなのだから。
「それに存外、見られているものだよ。
やっていることってさ」
■エルピス > 「そうだと良いんだけど……
あ、そう言えばこれ、つけっぱなしだったね。」
左腕を垂直に下ろせば、機械音が轟く。
左腕の機械部分が変形し収縮。
肩からは肌色の肉のようなものが降りるように展開された。それは機械をすっぽりと覆い、生身の腕を作る。
「そうだといいな。
……ちょっと落ち着いたら疲れちゃったかも。先にシャワー浴びて来ちゃって、いいかな。」
■六連星 葵 >
[〉普通の腕に戻せることを知り、葵は目を丸くした。
[〉質量とかどうなっているんだろう。好奇心が心の中で悶えていた。
「便利だね、そういう体」
[〉葵自身はこういったトンデモギミックは内蔵装備としてほとんど積んでいない。術式の刻印を皮膚下に刻んであるだけだ。
[〉製造コンセプトの違いであるのだから、それは当然のことである。
[〉でも葵自身は被造物として、やはり無いものには関心を持ってしまうのだ。
「んふふ。何いってるの。せっかくなんだし一緒に入ろ、一緒に。
僕も汗だくだくでさー。ついでに済ませちゃうよ。
背中も洗うの、そのほうが楽だしさ」
[〉エルピスの答えを聞かずに私室のドアを開くと、クローゼットに向かって着替えとタオルを取りに向かうだろうか。
■エルピス > 「うん。首から下は殆ど機械だよ。首から上も、結構機械みたいだけど、よくわからない。おかげですっごく重いんだけどねー…‥
……って、でも、ボク心は男の子だよ、それでもいいの――?」
あわわ、とあわてふためいている内に行ってしまった。
着替えとタオル取りに向かったのだろうか。
「……もう……」
■六連星 葵 >
[〉戻ってくると、聞こえてきた言葉にかえして驚きの声をあげる。
「え、男の子だったんだ、エルピスって?
それで今は女の子……?
よくわかんないや。でも、いいよ。今はもう女の子なんでしょ?」
[〉一瞬躊躇したけれども、自分よりは遥かに女の子らしいと葵は感じている。
[〉なら別に、一緒に入るぐらいかまわないだろう、と葵は判断した。よもや裸になった瞬間押し倒すような性格でもあるまいと思った。
[〉男は狼だというが、それはあくまで男女関係による肉体的な都合だということを葵は知っている。
[〉それならば、今女の子であるエルピスは条件にあてはまらないだろう。
「それならこの機会に女の子同士の付き合いをなじませてもいいんじゃない?
ほらほら。お風呂にいったいった」
[〉葵は中学時代から、部活で共用のシャワー室があり、よく使っていた。
[〉いわゆるお嬢様といってもいいだろう。更衣室はまとまっているし、シャワーも薄いカーテンで仕切られているだけで、こういった裸の付き合いには慣れていた。
[〉だからエルピスに対して裸になることに、あまり抵抗がないのだ。
■エルピス > 「う、うん。そう言えば言ってなかったっけ……。
……うー、本当に女の子になっちゃったんだなぁ。ボク……」
途端にもじもじと恥じらいだした。
一方のエルピスは性格もあってか、女の子と一緒にお風呂に入るのは抵抗がある。
とは言え、観念すれば風呂場室へと進むだろうか。
「……ありがとう、葵」
■六連星 葵 >
「なんだかそのあたりも大変そうだね。
僕と違って後天的な機械だよね、サイボーグなら。
そのあたりも色々聞かせてほしいな。
僕は生まれた時から機械だから、よくわからない感覚なんだよね」
[〉エルピスのだから、とは口には出さない。
[〉友人の一人として興味がある。その友人が自分と違うから更に一入、知りたいと思うのだ。
「どういたしまして?
別にこれくらいはよくやると思うよ。
温泉とかもみんな一緒に入るじゃない」
[〉明るい声音で気楽に言う。
[〉行うが易しということがあるということを、彼女は経験から知っている。
[〉だからエルピスを促すのだった。一緒に入ろうと。
[〉それで深まる絆も、あるだろう。葵は中学時代に先輩に弄くられた過去を思い出していた。
[〉くすりと笑いながら、今は自分が先輩の側にいるのだろうか、と考えを巡らせつつ、エルピスとともに風呂場の前の通路まで入っていった。
ご案内:「部屋」からエルピスさんが去りました。
ご案内:「部屋」から六連星 葵さんが去りました。
ご案内:「ロビー」に嶋野陽子さんが現れました。
■嶋野陽子 > (習慣の力は恐ろしいわね・・・)
たった3週間の間の経験だったのに、風呂上がりに
ロビーで寛ぐ事は、すでに陽子の中で習慣として確
立され、折角内風呂でゆっくりとできたのに、湯上
がりにわざわざバスローブ姿でロビーの自販機から
コーヒー牛乳を買って、ソファーで涼んでいる陽子
の姿があった。
ご案内:「ロビー」に蘆 迅鯨さんが現れました。
■蘆 迅鯨 > 黒いフードを被った少女が、夜の女子寮のロビーを訪れる。
しかし、いつものような活発さはどこへやら。
足を引きずるようなおぼつかない動きで、のろのろと歩いている。
彼女――迅鯨の腹には、思いきり殴られたような痣があった。
ふとソファーのほうに目が向くと、見覚えのある姿が迅鯨の視界に入る。
先日一線を越えることとなった間柄でもある彼女を見かければ、
声をかけるわけにはいかないだろう、と考え。
「ちぃース……」
異能によるテレパシーではなく肉声で、力なさげに挨拶をしてみる。
■嶋野陽子 > 『ちぃース…』と迅鯨さんの声が
した方を振り向いて、挨拶を返しかけた陽子の動きが
凍り付く。 保健委員の陽子には、一目見て迅鯨さん
が怪我をしている事が見てとれる。 慌てて駆け寄る
と、迅鯨さんの脇に跪いて、「迅鯨さん!大丈夫です
か!?」と尋ねる陽子。
■蘆 迅鯨 > 跪いた陽子に対して。
「あぁ……大丈夫大丈夫。心配すんなって」
と、早口気味に嘯く。実際、大丈夫ではない。
少しでも心配を取り払うための、見え透いた嘘である。
「いやぁ……歓楽街のほうに遊びに行ったらチンピラ共に絡まれちまってサ。ナントカ逃げられはしたけどこのザマだよ。タハハー」
このような状況に陥るに至った事情を陽子に説明すると、力なく笑う。
■嶋野陽子 > 手当てをするなら、取り敢えず
陽子の部屋に戻ればナノマシン入りの湿布を始め、
保健室並みの治療薬がそろっているので、
「私の部屋に戻れば、きちんと手当ができるけど、
どうしますか?」と迅鯨さんに尋ねる陽子。
■蘆 迅鯨 > 陽子の言葉を聞き、しばし考える。
腹の痣はともかく、足の怪我についてはこのまま放置して足がまともに動かなくなったりしようものなら、
迅鯨が一人で活動可能な範囲は今より確実に狭まってしまう。それは迅鯨の望むところではない。
そして何より、たちばな学級に所属する生徒が不良生徒に襲われ負傷したことが知れれば、教師の面子にも関わるだろう。
本来なら他者の施しを受けることを好まない迅鯨だが、
「(まあ……今回ばかりは、しゃーないわな)」
そう考え。
「じゃ、そうさせてもらうわ。悪いねー」
と、軽い口調で答える。
■嶋野陽子 > 『じゃ、そうさせてもらうわ。悪いねー』
と、迅鯨さんの了承を得たので、片足を痛めている
迅鯨さんを支えながら、自室に誘導する陽子。
「生徒の手当ては保健課のお仕事ですから、遠慮は要
りませんよ」と、これが自分の仕事でもある事を遠回
しに伝える陽子。
ご案内:「ロビー」から嶋野陽子さんが去りました。
ご案内:「ロビー」から蘆 迅鯨さんが去りました。