2016/06/17 のログ
ご案内:「ロビー」に伊都波 凛霞さんが現れました。
■伊都波 凛霞 > 「ふあ……あー…… はふ」
ロビーの大きめのソファにかけて、大きなあくび
自宅と環境が違うせいか、ついつい規則正しかった生活が乱れがちだ
のんびりする余裕はそんなにないはずだけど、
焦ってもどうにも動かない
そんな状況に立たされていると、ふと緊張感が切れるタイミングもある
うっかり居眠りをしてしまって、深夜のこの時間に起床
同居人を起こさないようにこっそりとロビーへ降りてきたのだ
流石に誰もいない
■伊都波 凛霞 > ガコンッ
すぐ近くの自販機で缶コーヒーを買う音すら大きく感じる、そんな時間帯
「ふぅ」
ソファへ戻って、さすに薄寒くもなくなりつつある夜、アイスコーヒーの缶の冷たさを楽しむ
■伊都波 凛霞 > 高峰司の部屋で寝泊まりをはじめてまだ数日
妹が退院するまで、と条件をつけて親は納得済み
放課後には自主鍛錬もするから、と
まだ日も浅いはずだが、
学園きっての神童とか噂される生徒の登場に、女子寮の中はちょっとした噂になっていた
人に懐かず、他人を遠ざけ続けてきた高峰司との関係性が意外だったのだろう
凛霞と親しい友人達は、当然知っているのだが
寮住まいの友人はいなかったな、と思い返す
■伊都波 凛霞 > さて、なんとなく気分も穏やかになる静かな深夜
ふと、こういった女子寮には怪談みたいなものがつきものではないか、
などという考えが湧いた
そういえば学園のほうにも七不思議があった気がする
「常世学園…七不思議…と」
スマホを取り出して、調べてみる
好奇心というのはいつも大事なものだ
ご案内:「ロビー」に視界の影を蠢く影さんが現れました。
■視界の影を蠢く影 > 薄暗い深夜のロビー。
視界の端を何か、細長いものの影が素早く通り過ぎて物陰に隠れる。
かたん。
微かな物音が静か過ぎる部屋のなかに反響した。
人がいる気配は無いです。
■伊都波 凛霞 > 「ひえッ!!?」
突然の物音に飛び上がり、スマホを落としそうになる
青垣山の自宅ならともかくこんな町中で怪異が?!
そして視界の端に一瞬だけ見えた小さな影…
「(何か…いる…!?)」
ご く り
■視界の影を蠢く影 > しーん。
静かだ。先ほどの物音がまるで気のせいだったかの
ばさっ ばさささっ!!
ロビーに何処かから入り込んだらしい蛾が、ソファーの影から羽をバタつかせて這い出して来る。
その蛾には……… 片羽しか、なかった。
そして先ほど見えた影はこんな姿じゃなかった気がする。
■伊都波 凛霞 > 「………」
静まり返っている
ブーン……という自動販売機の音が不気味に思えてきた
──と
「ひぃえッ!?」
突然大きな蛾がバタバタと…
慌ててソファから立ち上がって見れば、…藻掻いている蛾は羽根が片方しかない…
寮に入り込んで何かにひっかけた…?
でもさっきの影ってこんな小さくなかったような
色々と思考がめぐり
「だ…誰かいるの…?」
静寂に向けて声を投げる
■視界の影を蠢く影 > 問いかけに応える声はない。
いや。
薄暗い深夜の明かりが届かない物影に何かが潜んでいる、その気配が濃くなったのがその答えなのだろうか。
ばたっ ばたたっ…
蛾の命が目の前で燃え尽きようとしている。
この様子を見る限りでは、蛾が傷ついたのはちょうどすぐさきほどなのかもしれなかった。
蛾の位置に視線を向ければ。静寂の気配から視線を外すことになるだろう。
その逆も叱り。静寂に目を向ければそこから離れ行く瀕死の蛾を視界に収めることはできない。
どちらを注視するか。選択を迫られる。
■伊都波 凛霞 > 「……」
返答がない
確かに、何かがいるはずなのに
蛾のはためく音だけが、聞こえて
ぎゅっと唇を結んで、意を決する
気配を感じるその物陰に向けて早足に体を運び…
その勢いのままに、その物陰を覗き込んだ!
■視界の影を蠢く影 > さくっ…と
微かな、本当に微かに何かが砕けるような音が聞こえた、ような気がする。
そこには…(ごくり)
薄暗いロビーの廊下になにやら同化した一匹の小さな蛇がおくちにひっかかった蛾の羽をちょうど噛み砕いたところだったらしく。
にょろーんと存在していた。
「ぱりっ。あーやっとしゃべれるよ。
すぐに応えられなくてごめん。くくるせんせーです。」
その細長い身体をまとめてしゅるんと丸くなる。ちょっとピンクのカーペット部分に同化しづらくなった。
■伊都波 凛霞 > 「………はぁ~~~…」
文字通り緊張の糸が切れた
カーペットの上にぺたんと座り込んでしまった
「脅かさないでくださいよぉ…幽霊かと思ったじゃないですか…」
もしかしたら少し涙目で、じとーっと見ているかもしれません
「何してるんですかこんな時間に…」
■視界の影を蠢く影 > 「何とか飛び掛ったところだったから…誰もいないと思ったし。
夜更かし?」
にょろーん。と頭をたかくまで伸ばして視点を揃え、
少し下に下げ気味にした。申し訳なさそうなうわめづかいてくにっく!
「ちょっと変わった蛾を見つけたから、追いかけていたんだ。
さっきやっと一撃入れたところだったんだけど…。」
瀕死だったはずの蛾の呻くような羽ばたきは、もう聞こえない。
代わりに背後から聞こえるのは…。
■伊都波 凛霞 > 「ちょっと変な時間に起きちゃって眠れなくって。
…変わった蛾って」
苦笑する
そういうところはちゃんと蛇らしいんだなぁなんて
よくわからない感想が浮かんだ
そういえばもう羽ばたきは聞こえない
死んじゃったのかな、と後ろを振り返った
■視界の影を蠢く影 > そこにはもう蛾は綺麗さっぱり見当たらない。
何かそこに透明な水面があるような、薄暗くてわかりにくい少しの透明な揺らぎだけが残っている。
その波紋は静かに広がって、やがて消え行くように溶けて消えた。
「ヒヒル だよ。珍しいね。」
目を細めた括流はそれをそう評する。
くあぁー、と大きく口を開けて小さな蛇はあくびをした。
「へびぇ…暖かくなってきたけどさすがにまだ深夜は冷えるよ。
くくるはひょーかのとこにもどるね…。伊都波さんもあまり身体を冷やし過ぎないように…。」
眠そうな蛇がしゅるしゅると部屋のほうへ戻っていく。
静かな夜が再び戻って―――。
■伊都波 凛霞 > ヒヒル…?
あまり耳馴染みのない名前に、括流先生にそれを問うてみようと思ったが
くぁーという欠伸を見て、思わずくすりと笑ってしまう
「はい、私ももう戻って寝ますね。
先生も、おやすみなさい」
すいすいと戻っていく蛇先生の背中?に声をかけて
部屋に戻った後しばらくスマホでヒヒルのことを調べていたそうな
ご案内:「ロビー」から伊都波 凛霞さんが去りました。
■視界の影を蠢く影 > ヒヒルは蛾の古い言葉。
ヒラヒラと舞うもの。揺れ動くものの象徴。
そして眠るもののそばにだけ現れる。不吉を告げるもの。かもしれないし、そうでないかもしれない。
すべては古すぎて存在もおぼろげで、すぐに溶けて消えてしまう。
その出現はきっと何かの暗示なのだろう。
そんなことをふと、一度振り返りながら思い出しつつ…。
「…まさかね。」
とだけ、呟いた。静かな、夜。
ご案内:「ロビー」から視界の影を蠢く影さんが去りました。