2016/07/09 のログ
ご案内:「部屋」に雪城氷架さんが現れました。
雪城氷架 > もぞり
ルームシェアされた部屋の一室
カーテンが閉められて、昼間だというのに室内は暗い

そんな室内でもぞもぞと何かが蠢く

「…は ぁ───」

雪城氷架 > 薄暗い部屋の中に異常は2つあった

1つは…まるで冷凍庫のように室温が低下していること
もう1つは、その凍気の発生源……
布団を頭から被り、ベッドの上で丸くなっている少女

その中心だけが、まるで炎のように、熱い

「ぅ…んぅ……っ」

息苦しいような、小さな呻き声が漏れる

雪城氷架 > 「(私…一体、どうなって───)」

まるで高熱に侵されたような、ぼやけた視界
焦点が揺らぐ瞳

「はぁ……っ…う……」

髪飾りを握りしめる
括流が、魔術式を刻んでくれたそれを胸元に押し当てるようにして抱え込むと、
少しだけ、体が楽になった

雪城氷架 > 「はぁっ、はぁっ……っ」

熱い、熱いのに、凍るように寒い
理由はわかる
自分で自分の異能が制御できていない

この感覚は、初めてではなかった

それは確かあの時
一番最初に、この力が発現した時だ

暴発した力で建物が崩れて、
ぼやける視界の中でもはっきり見える"赤"があって
それは、自分に覆い被さった、母親から流れ出ていて───

「ぐ───」

目を見開き、被っていた布団を跳ね除ける

「うえっ───」

込み上げてきた衝動
ベッドの側にあったくずかごへと、我慢できずに戻してしまう

雪城氷架 > 自分の異能の力は、精神の影響を受ける…
いわゆる昂ぶりや、極端な落ち込み
そういったものの影響が如実に現れるタイプのものだと、今まで何度も言われた

でも今回のこれはそうじゃない
精神的に不安定になんてなっていなかったし、そもそも───

「(まるで、異能の力が、私を……)」

覆い尽くしはじめているような─────

ご案内:「部屋」に霜月芙蓉さんが現れました。
雪城氷架 > 先日からの漠然とした不安は、きっとこれを暗示していた
全てを燃やし尽くすように湧き上がる感情と
全てを凍りつかせるように覆い尽くす感情

どちらも自分のものではないのに、
自分の感情を、上から色を塗りたくるように上書きしてゆく

だから今感じているこれは、間違いなく"危機感だった"

よくわからないプレッシャーが、自分を塗り変えてゆく

霜月芙蓉 > 「たっだいまー、っと」

玄関を開けて、室内に入って行く。
ルームメイトである霜月芙蓉は、雪城氷架が現状良くない状態なのは把握している。
何より、心配して電話した兄、零の様子が非常におかしかった。
多分、表面的な物以上にマズいのだろうとは、想像がつく。
とは言え、現状これと言って出来る事が見当たらなかったので……。

「ひょーかちゃん、だいじょぶ?取り敢えず食べるものと、解熱剤とか色々買ってきたよ」

風紀の見回りついでに、色々と買い込んできた。
ルームメイトとして、友達として……出来る事がこれだけなのは、口惜しいけれど。

雪城氷架 > ルームメイトの声に、目を見開く
ベッドの上に蹲ったまま、顔をそちらに向けて

…今朝、氷架は心配するルームメイトに「ごめんな、心配かけて」と精一杯笑いかけていた
その面影が、今の氷架には既に残っていない

虚ろな目をそちらに向けて、小さな声で

「入ってくんな」

……部屋の温度が、更に下がった気がした

霜月芙蓉 > 「ひょーか、ちゃん……?」

おかしい。
雪城氷架は、友達を大切にする子だ。つっけんどんに突っ撥ねる子ではない。
取り敢えず原因がはっきりとしないので、ドアの外で待機しつつ、問い掛ける。

「どしたの?気分悪いの?」

もう場合によっては、警告とか全部無視して乗り込んでいくつもりでいるのだが。

雪城氷架 > "精神の変調が異能の力に影響を与えるならば───"

「…る、さい……」

ギシリ、とベッドが軋む
シーツを掴む手に力が篭もる

違う、これは私の感情じゃない

「うるさい!!お前には関係ないだろ!!私に構うな!!!」

"異能の力の変調が精神に影響を与えるのも、また然りではないでしょうか"

霜月芙蓉 > 「……はぁ」

溜息。これは重傷だ。
相当に気分が参っている、と見える。なので、ここは……

「お断りします、っと。あーもう、さっむいなぁ」

火行の力を借りて温度調整。そして平然と部屋の中に入って行く。

「さーって、ひょーかちゃんはそう言うけど、私にも関係大ありなんだよねー。ひょーかちゃんは私の友達で、お兄ちゃんの恋人なんだもん。
嫌って言っても精一杯構うからね?」

言いながら、近くに食品を置く。
そのまま、じーっと氷架を観察。
外部からわかる異常はないか。些細でもいい、特質的な違和感は発見できないか。
弓使いの鷹の目を凝らし、違和感を探る。

雪城氷架 > 「ッ…!!構うなって言って───!!」

部屋の扉が開くと、その眼をギラつかせて立ち上がりその掌を芙蓉へと向ける
……が

「──う…、ぁ…?」

芙蓉の顔を見て、表情が変わる
困惑と、混乱に満ちた顔

「え…今、私っ、なんて…?」

頭を抱え、倒れるようにしてベッドへと座り込む

「(今の言葉、私が言ったのか?全然、そんな、思っていもいな……)」

部屋の温度が少しだけ暖かくなり、氷架の周囲の高温も、僅かに和らいでゆく
同時にその目尻から大粒の涙がぽろぽろと溢れてゆく

「ごっごめんっ、芙蓉、わた、私───」

自分が言った言葉が信じられないといったような表情で、泣き始めた

霜月芙蓉 > 「……ホント重傷だね。ひょーかちゃん、狐にでも憑かれた?」

半分本気で確認しつつ、優しく頭を撫でる。
兄のように上手くは出来ないかもしれないけど、無いよりはマシだろう。
そして一つ分かった。
自分で自分の精神が制御出来ていない。それに異能の制御不振が伴っているのか。もしくは

「(異能に精神が引っ張られてるとか……んー、そうだとしたらマズくない?)」

異能を支配するのは精神だが、異能が暴走する事によって精神も連れ立って暴走する事もあり得るかもしれない。
風紀委員ならそう言う事案の資料はあるだろう。後で確認しなくては、と記憶に留めつつ。

「今の、ひょーかちゃんの本心じゃないのは分かってるから。だからあんまり気にしないで。ほら、ひょーかちゃんの好きなクレープ買って来たよ」

苺クレープ。食べたら胸が大きくなる(かもしれない)アレだ。
……実際は、成長期の成長ホルモンの分泌を促進する作用があるのが原因らしいので、成長期に食べておかないとあんまり意味がないらしいが。

雪城氷架 > 「…わかんない……でも…」

頭を撫でられて頭を垂れる様子は、普段よりも更に氷架を小さく見せた
まるで見えないモノに怯える子供のような、不安定さ

「私が、私じゃなくなるような感じがして…こわい、こわいよ……」

本来ならば信頼をおいているルームメイト
自分の素直な気持ちだって、打ち明けることが出来る
そんな相手に、あんな言葉を一瞬とはいえ投げかけたのが、自分だとは信じられなかった

「……ありがと…あとで食べる」

食べ物ならすぐに食いつく氷架も、さすがに今は食欲がないらしい
氷架を知る人物ならば、それを聞いただけで重傷だと判断しそうなところだった

霜月芙蓉 > 「私達の世界で言えば、狐憑きとかが引っかかりそうなんだけどね。
低級な憑依霊、隙のある人に憑りついて精神を乱し暴走を引き起こす」

撫でつつ考察。
この学園にも、まあ狐憑き程度ならいるかもしれない。だが。
それにしても、この振れ幅はちょっと異常だ。

「もしくは……うーん、魔術的知識じゃちょっと無理があるかも。くくるせんせーとかに聞いてみた?何なら、こっちも先輩とかに色々聞いてみるけど……」

例えば、自身の尊敬する先輩に強力な異能を持つ人がいる。
その人なら、異能の制御に関して詳しいかもしれない。
そう言った伝手は出来るだけ当たって行かないと、と小さく決意。
と同時、あまりの発言に雷に打たれたような衝撃を受ける。

「え……あと、で……?」

雪城氷架は、こういうと難だが大食いだ。
芙蓉が一日で食べる量を、一食でぺろりと平らげるレベルの大食い。兄の零が『分量的にも本気出す』と気合を入れるレベルである。
その氷架が、病気とは言え、食欲がないというのは明らかに異常だった。

「……大丈夫、ひょーかちゃんはひょーかちゃんだよ。だから怯えないで。弱気の隙間から、良くない事は入り込んでくるんだから」

撫でから軽いハグに移行し、包み込むようにして安心させようとする。
こういう時、こちらがあまり不安を表に出してはいけない。その不安は、伝染してしまうから。

雪城氷架 > 「…落ち着いたら、一度保険課に行ってみる……」

優しいハグに包まれる
その体は、熱い
およそ風邪で高熱だとかそういうのを超えて、
部屋の温度が零度近いというのに

「……うん、こうされてると、少し落ち着く……」

自分よりも年下である芙蓉に安心させられる
普段ならなんだか悔しさを感じるところだろう
でも、今は文字通り子供のように、それに身を委ねた

「……なんかの病気とかだったら、ヤダな………」

霜月芙蓉 > 「なんなら、今から連れてこーか?温度調整しつつおぶってくくらいは出来るよ?」

私も鍛えてるからさー、と、むんと力こぶ。これでも武術は一通りやっている身である。
だが、ハグした時の温度の異常さに脳内で思考を巡らせる。

「(ひょーかちゃんの異能は原子運動掌握、温度の上下はその副作用に過ぎない。
だけど、原子運動掌握は高レベルの異能で、高度な演算処理が必要なハズ。自分の温度を上げて外の温度を下げる、なんて真似、出来たっけ?)」

今の状態を鑑みるに、氷架は自分の異能で自分の体温を上げ、自分の異能で室温を下げている。
これは結構複雑な動作だ。魔術的にも、こういうマルチタスクは難易度が若干高い。

「(やろうとしている動作の暴走?それとも結果の帳尻合わせ……?魔術的に見るなら、魔力暴走が考えられるけど……)」

だが、魔力暴走と言うだけなら、結果は一方向に偏りがちだ。
しかし、魔術と異能を同列に判断していいものか。
やはり専門家の意見が必要だ。

「病気、だとしても大丈夫。くくるせんせーが何とかしてくれるから。だから、一旦『落ち着いて』?」

試しに。
簡易的な暗示の魔術を掛けてみる。効果は意識鎮静。
精神が暴走して異能がそれに伴って暴走しているのなら、これで収まるはずだ。
だが、これがレジストされる、もしくは効果を発揮しても異能が暴走を続ける場合……『異能自体の暴走』の目算が高い。
さあ、どうなる……?

雪城氷架 > 「今からはさすがに…う、うん…そうだな…落ち着いて……」

ふぅーと小さく意気を吐く

部屋の気温は相変わらず、氷架の体の熱も、どちらも"多少マシになった"程度であった

「…ありがとな、芙蓉。おかげで少し眠れそうだ」

霜月芙蓉 > 「……うん、ゆっくり休んで。起きちゃったら呼んでね、今日は私、残りの時間オフだから」

嘘だ。だが、風紀の仕事は詫びを入れて休ませてもらう事にする。
何故か?単純な話だ。
『寝ている間に暴走する可能性』を否定しきれなくなったからだ。
精神的には、この暗示である程度落ち着いたように見える。だが、それに対して異能の効果減衰が少ない。
即ち……異能自体が独立して暴走状態にある可能性を、否定できなくなってしまった。

「(……ついでに、それとなく資料探して貰おうかな)」

そんな事を考えつつ、取り敢えず寝てしまうまでは近くで見守っておこう、と座り込む。

雪城氷架 > 「………うん、ありがと」

素直にお礼を言って、布団を被る
程なくして聞こえてくる寝息は安らかなもので、
精神的に疲弊していたのか少し長めに氷架は眠り続けた

…氷架が眠っている間もその室温と体温は不安定な変動をし続けていた

ご案内:「部屋」から雪城氷架さんが去りました。
霜月芙蓉 > 「だいじょーぶ、焦らず治してね」

言いながら、寝付いたのを見ると少し距離を置いて電話する。

「あ、先輩……ごめんなさい、今日の見回り、休ませてください。はい、友達の看病で……はい、今度その分やりますから。はい、ごめんなさい。
あと、異能関係の事件の資料、お願いできますか?あ、はい、そうです。異能暴走とかに関するやつです。はい、お願いします。失礼します」

電話を終えて戻っても、室温と体温は不安定に変動し続けている。
これは、いよいよもって気が抜けないな。と感じ、見回り以上に神経を使って、寝ている友達を見守り続けるのであった。

ご案内:「部屋」から霜月芙蓉さんが去りました。