2015/07/13 のログ
■雪城 氷架 > ベッドの上にぬくもりを感じながら、ゆっくりと目を閉じる
このまま眠っていたら
帰ってきた括流がびっくりして起こしたりしないだろうか
…もしくは、そんな夢でもいい
括流の顔が見たい、声が聞きたい
こんなに長く離れていたことは今までなかった
子供の頃に、括流が拾われてきてから
みんな最初だけは言葉を話すことにびっくりしたけど、
どこかあいくるしくて、括流はすぐに家族の一員になった
自分はまだ子供だったからはっきりとは覚えていないけど、誰が拾ってきたのだったか……
あの頃はお父さんもまだ日本の雪城家にいて…
ヒュクルールクルケイア、そう名乗った蛇に、
長いからとククルって名前をつけたんだ
それからずっと、一緒
雪城括流はペットで、姉妹のようで、もう一人の母親のようで
ずっと家族だったのだ
「括流……」
枕を抱き込み、顔を埋める
暖かさを感じて自然と涙が溢れる
………──いつしか、考えることにも疲れたのか、静かな寝息が聞こえ始めた
ご案内:「職員寮・雪城括流の部屋」に雪城 括流さんが現れました。
■雪城 氷架 > ──穏やかな寝息
制服のままで、
本来なら皺がどうのこうのと気にする氷架だが、今は何も考えずに
ただそのベッドのぬくもりに包まれて、眠っている
■雪城 括流 > こっそりと戻ってくると、気配を殺したままベランダから中の様子を伺う。
カーテン越しの熱視覚は中にいる…氷架が寝ていることを示していて。
ため息をついてどうするか考えた。
ここを離れて一晩何処かで過ごすのは簡単だ。
でも…氷架がここまでたどり着いたということは、そろそろ潮時かなとも思う。
それならそろそろ、何らかの決着をつけるべきなのだろう。
決意と覚悟を決めて、魔術でベランダの鍵を開けた。
同時に魔方陣を展開、起動準備。
陣の構成は以前にも使った…睡眠術式だ。氷架が間違って起きないように。
■雪城 括流 > 「…馬鹿だ。」
念を入れて眠らせた、その相手の髪を撫でる。悲しそうな、愛おしそうな複雑そうな表情をして。
誰にも言わず一人で来たのだろうか。
りょーだって、宗仁くんだって、しずに空子もいるし、何より零くんだっているのに。
なんでも意地と見栄を張って一人でやろうとするその性格は、昔とそっくりだ。
どくん、どくんとこみ上げる執着を覚悟を持って押さえ込む。
記憶が分かたれたことでこの、意味のない執着がどこから来るのかはなんとなく分かっていた。
嫉妬の名を冠する蛇。知恵の実を与え、恋人を破滅に追いやるもの。
本当に妬ましく思っているわけでも、今の氷架を欲しいと思っているわけでもない。
ただ己の寂しさに浸け込んでその衝動が牙をむいていただけに過ぎない。
■雪城 括流 > 少しは彼に相談しただろうか。
睦みあうことはできなくても、そんな二人の軽い障害には慣れただろうか。
そして…どうか、この騒動が終われば二人のつながりから…りょーの事故を忘れさせられることができるだろうか。
公園で零くんが事故に悩むひょーかを支えるといったとき、違和感があった。
それが始まりなら…もしかしたら二人は、その悪夢の呪いから逃れられないのではないか…と。
もしくはそう思うことで、執着をごまかしていたのかもしれないが。
氷架の顔をじっとみていると、どくん、どくんと己の鼓動が聞こえる。
息が荒いのは、自分自身の喉から出ているのだろうか。
牙が立ち、毒液がシーツにたれる。
ぎゅっ、と手を握り締め、衝動に耐える。これは…まやかしの嫉妬だ。
■雪城 括流 > 氷架の顔から目をそらす。
その懐を探り、スマホを取り出した。
零くんの連絡先は括流は知らない。
でも、氷架の通話履歴を見ればすぐに分かる。
すぐに出てきたそれ宛に、メールを入力していく…。
『このメールが届いたならわかるだろうけど、ひょーかは預かった。
なんだったら…通話してくれてもいいよ。
もう私はかつての括流じゃない。括流はもうどこにもいない。
だから、止めたければ殺しに来るといい。でなければ生贄の安全は保障しないわ。』
…これで もうどうしようもなかった と思ってくれるだろうか。
ひょーかはその先を乗り越えられるだろうか。
睡眠魔術は頃合を見計らって切れるようにしておいた。
目覚ましも 偶然 ちょうどいい時間になるようにセットしてある。
…あとはこの部屋に零くんを犠牲にするような、悪役らしい居場所のメモを残しておけば…いい。
氷架が起きたときに見つけられるように。
■雪城 括流 > 戸締りをし、部屋を出ようとして…
ふと思いだして夏とはいえ風邪を引かないように、そっと氷架にタオルケットをかける。
…偶然かかった風を装うのに少し苦労する。
「…またあとでね、ひょーか。」
微笑んでそっと部屋を出、鍵をかけた。
ご案内:「職員寮・雪城括流の部屋」から雪城 括流さんが去りました。
■雪城 氷架 > ………どれくらい、眠っていただろう
ここのところあちこち括流を探し歩いて疲れているのもあったけれど
「……ん…」
うっすらと、目を開ける
「あ…」
……完全に眠っていた
夢の中に括流が出てきたような…
なにかそんな、ぼんやりとしたことを考えつつ、むくりと体を起こす
途端、真横で目覚ましがなってびっくりする、慌ててスイッチを叩いた
■雪城 氷架 > 目を擦りながら立ち上がろうとすると、タオルケットに気づく
……かけて眠った覚えはない、偶然?
……本当に?
バッと立ち上がる
慌てて部屋の入口に走り、ドアを───
ガキン
「っ……私、鍵閉めてないよな…括流!!」
ガチリと鍵を開けてドアを開き、職員量の廊下を探すが、姿は見えない
「……なにか…何かないのかよ、くそ…」
部屋に戻り、何か眠る前と変わったことがないか、探し始める
■雪城 氷架 > そして部屋に戻った氷架は、
テーブルの林檎の横にあるメモに気付く
───何が書かれてる?
もう会わない、とかじゃないだろうな
そう思って、恐る恐るそれを拾い上げた
■雪城 氷架 > 「………」
メモを持つ手が震えているのがわかる
これはきっと悲しみとか、怒りとか、そういう感情の発露じゃない
ただただ、ショックを受けた人間の反応
メモに書かれていたのは、霜月零を闇討ち───、
言い換えれば…【殺すため】の計画のようなものだった
「……………」
しばし呼吸をするのも忘れて、嫌な汗が頬を伝う
「こんなこと…してる場合じゃない……、
零と……それから、兄貴と、お母さんにも、連絡っ…」
制服のポケットに手をやって、そこで初めて気付く
携帯…スマホが、ない
■雪城 氷架 > 「何でないんだよ!なんで!!」
先ほどまで寝ていたベッドのシーツを、かけられていたタオルケットをバサバサと振りはたいて探すも、見つからない
ベッドの下にも、テーブルの上にも下にも部屋の入り口にもどこいもない
「……っ」
嫌な汗が増える
あのメモは、寝る前に気付かなかっただけだろうか?そんなはずはない
入り口のドアの鍵は、ちゃんと閉めて忘れていただけだろうか、ちがう
このタオルケットも、偶然かかったものでは断じて無い、もうわかってる
携帯電話は、私が眠っている間に此処に現れた括流が持っていったのだ
■雪城 氷架 > 走る、部屋の備え付けの受話器を取って───
「………っあぁ、もう!!」
バンッと乱暴に受話器を戻した。
たかが11桁の番号、されど暗記などしているわけもない
ダメだ、今すぐ誰かに連絡なんて取れるわけがない
公安…風紀……委員会街へ行けば…?
いや、この場合何かあったら加害者は括流になる、迷わずそれを受け入れられるかといえば…NOなのだ
それに委員会街に行くには時間も───
「……あ」
はた、と気づいた
このメモの内容が闇討ちの計画だとして、いつやるんだ?
バッと振り返って、さっき自分で止めた目覚まし時計を見る
‥…なんでこんな時間にセットされてるんだ?
朝でもない、こんな時間に起きるよう───に───
■雪城 氷架 > 嫌な予感がする
ただひたすらに嫌な予感がする
不安と、緊張と、入り混じった何か言い知れない感覚
■雪城 氷架 > 「……やばい…よくわかんないけど、絶対、このままじゃダメだ…」
零を、探さなければ
ベッドの側に置いてあった自分の鞄を引ったくるように肩にかけ、足早に括流の部屋を後にした───
ご案内:「職員寮・雪城括流の部屋」から雪城 氷架さんが去りました。