2015/06/28 のログ
ご案内:「浜辺」に万車堂さささんが現れました。
■万車堂ささ > 緩やかな日差し、穏やかな波
住まいのある住宅街からほど近いこの浜辺は、ふらりと歩いていくるのに丁度いい距離にある
サンダルで波打ち際を踏みしめる、冷たい海水が足指を洗い、少しこそばゆい
■万車堂ささ > 特に目的もなく来ることが殆どだが、こうして浜辺を歩くことが自分は嫌いではない
単純に気分転換にもなるし、時々変なものや面白いものが打ち上げられていることもある
それを見るのは少し楽しい
まさにたった今、足元に見つけたギラギラ光る銀色の魚体
興味を惹かれ、屈んで観察を始める
■万車堂ささ > 半ば砂に埋もれていたそれを、木の枝で陽光のしたに引きずり出すと、大きな背びれと大きな目玉、そして大きな口と牙が顕になった
これは見覚えがある、以前もここを歩いていた時に、同じ種類の魚が打ち上げられていたはずだった
名前は、たしか―――
(ミズウオ)
そう、そんな名前だった
肉食性の深海魚。食用には向かず、市場に並ぶこともないことから、一般家庭における知名度は殆ど無いに等しい
こんなに大きいのに、食べられないのかと最初は思ったが、肉がひどく水っぽいのだそうだ
ひとしきり眺めて満足、改めて散歩を再開しようとすると
(…………なにあれ)
■万車堂ささ > 視線の先、黒い物体。より正確には黒い大きな物体
あまりにも曖昧な表現だが、なんだかわからないのでそういう表現をするより方法が無い
初めはクジラ…?かとも思ったが、すぐにその考えは捨て去った
なぜなら、どう考えてもその生き物はクジラの形をしていなかったからだ
長く大きな体をしているように見える、クジラのようにヒレを持っているようにも見える
けれども、そのヒレは“多すぎた”
ご案内:「浜辺」に頸城 陸さんが現れました。
■頸城 陸 > 暇な休日、部屋で一人きり、という状況に耐えられず外を出歩いて、気づけば浜辺。
「僕も休日に予定とか、予定とか欲しい……」
寂しげに呟いて、周囲を見回すと見覚えのある人影と、よくわからない大きな物体。
なんとなく、そちらへと砂を踏みしめ少年は歩く。足跡と音を刻みながら。
■万車堂ささ > さく、さく、砂を踏みしめて、“それ”に近づいていく
近くで見るとますます大きい、そして、更に奇妙な特徴がはっきりしていく
(…なにこれ)
改めてなにこれ、である
その生き物はクジラのように大きく、多数のヒレを備え、そして甲殻に覆われた身体を持っていた
謎物体に目を奪われていると、不意に誰かの足音が耳に入り、振り返る
奇人変人の溢れる島においては著しく控えめな―――有り体にいって地味な感じの少年には見覚えがあった
『クビキ・リク…?』
買い物帰り、そんな名前を別れ際に聞いたはずだった
■頸城 陸 > 「……あ、久しぶり」
頭の中に響く声を聞き、少女に軽く右手を上げて挨拶する。
「別に、フルネームで呼ばなくても良いよ。陸、でも頸城、でも好きに呼んでくれて」
……苦笑を浮かべて、言葉を放つ。
……小さく息を吐いて、視線を少女から大きな物体へと視線を移す。
「……えーと……蟹?」
ぽつり、と呟く。
少し考えて、いや、絶対違うな、と心の中で付け足した。
■万車堂ささ > 『ん』
同じように、片手を上げて簡潔に応え
『…クビキの知ってる蟹は、こういういきもの?』
謎物体の前に立ったまま、少年を横目に見上げる
■頸城 陸 > 「……いやぁ、こんな大きな蟹は見たことないかなぁ……鋏も無いし。適当言っちゃった。ごめんね」
言って、軽く頭を下げた。
……再び、視線を上げ、大きな物体を観察する。
見て解った特徴。
大きい、ヒレが一杯ある、硬い殻に覆われている。
……以上の特徴を満たしている生物に関する心当たりは……無い。
「……万車堂さんは……なんだと思う?」
彼女の名前は聞いたけれど、間違ってないだろうか。名を呼ぶ時に少し不安になった。
ともあれ、尋ねてみる。
■万車堂ささ > 『んー……わかんない』
ごく普通の反応、名前に関しては特に問題は無いようだ
知識にある限り、この世界に現存している生物の中で、こういった形態のものは発見されていないはずだった
だとしたら
『異界のいきもの、かも』
この島では数えきれないほどの未知の生物が確認されている
もしかしたら、これも同じように、どこか別の世界から紛れ込んだ生き物なのかもしれない
少しだけ外殻を棒でつついてみた、硬い、そして臭い、一歩後ろに下がる
やっぱりというか当然というか、既に腐敗が始まっているようだ
『報告とか…した方がいいのかな?』
どこにどういう報告をすればいいのかといった検討はさっぱりついていない
■頸城 陸 > 「……あー、そう、なの、かも」
海の生き物には詳しくないけれど、こんな奇妙な物体ならきっと異世界のものなのだろう、多分。
殻のついたクジラも、クジラの様にでかい蟹も聞いたことがないし。
「……報告……んー……まぁ、したほうがいいんじゃないか、とは思うけど」
……とはいえ、どこに報告すべきなのだろうか。
顎に手をあて、少し考えてみる。
「……清掃業者?」
■万車堂ささ > 『それは……なんか違うと思う』
たぶんちがう、おそらくちがう
『先生とかに聞いてみたらいいかな…?』
言いながら、更に端の方へと回ってみる
頭部と思しき箇所が見当たらない、腐り落ちたか食べられたかして欠けてしまったのだろうか
もしかしたら、ここに流れ着いたのはごく一部で、想像以上に大きな生き物だったのかもしれない
■頸城 陸 > 「……あ、あはは」
とりあえず苦笑を浮かべてごまかしてみる。
やっぱり自分は他人とずれているのだろうか。
「……まぁ、それが一番、かなぁ」
解らなかったら目上の人に聞く、大事なことだと思う。自分はあまりやらないが。
……なんとなく、自分も物体に近づいてみる。漂う腐臭。
嫌な顔をしながら、外殻に触れる。硬い手触り、当然か。
「……んー、やっぱりよくわかんないや」
こんこん、と外殻を叩きながら。
■万車堂ささ > 海風に髪とマフラーを揺られながら、少年の様子を眺めるようにして、しばらく無言で佇む
やがて、程なくして
『……今から見に来るって』
突然口を開き、率直に経過だけ報告
万車堂ささが他者と会話するのに距離は関係ない、道具も要らない
この手の分野に詳しそうな教師を思い出し、直接尋ねてみたのだった
■頸城 陸 > 「……は?」
少女の言葉に、外殻を叩く手が静止する。
「……あ、その能力、距離とかも気にしなくていいんだ」
便利だね、とつけたして、ため息を吐く。
「……能力、僕もそういうのが良かった、かも」
ぽつり、言葉を吐く。
自分ももっとこう、日常生活で使える異能が良かった。
「……とりあえず、先生来るまで、待っておくべき、だよね」
頭を軽く掻いて、言葉を放つ。
その後、そういえば、と前置きして。
「……ごめんね。猫、飼い主、見つからなかった……」
そう言って、頭を下げる。
■万車堂ささ > 『ん』
こくりと頷く
『大丈夫、飼い主見つかったから……ありがとう』
掲示板での報告は済ませたが、クビキには伝え損なっていたようだ
若干申し訳なさを感じつつ、律儀に覚えていてくれたことに感謝する
『直接報告した方がよかったかな、ごめん』
今みたいに遠隔で
■頸城 陸 > 「……あ、そうなんだ」
見つかったなら、別にそんなに気にすることもない。
力になれなかったことだけは少し悲しいけれど。友達がいない現実は凄く悲しいけれど。
首を小さく横に振って、気分を切り替える。
「……あー……うん。今度からは、そうしてくれた方が嬉しい、かな」
軽く笑って、言葉を吐く。
もっとも、次があるかどうかはわからないが。
なんとなく、巨大な物体にそって歩いてみる。
どこか、甲殻のない場所などは無いだろうか、と考えながら。
■万車堂ささ > 『ん、そうする』
頷いて、ゆっくり反対側から回りこむ
謎生物の胴体部分は幾つもの体節に分かれており、全面が甲殻に覆われているようだ、そして節ごとにヒレが一対存在している
腹部の方の殻は薄そうだが、砂地に密着していて見えそうにない
『ムカデクジラかも、って言ってた』
■頸城 陸 > 「……ムカデ、ムカデかー……へー」
クジラみたいなサイズのムカデなのか。ムカデのようなクジラなのか。
恐らく、ムカデみたいなクジラなのだろう。ヒレついてるし、きっと海の生き物。
などと考えながら足を止め、なんとなく体節の継ぎ目を指でなぞってみる。
■万車堂ささ > 『地球産なんだって、おどろき』
ムカデクジラ、あるいはスコロペンドラ等とも呼ばれる怪生物
目撃談は古くから存在しているが、実在の確認されていない、所謂UMAの一種であるらしい
もっとも、これらのUMAもルーツを異界に持つものであるという主張も存在しており
真偽の程は未だ定かでない部分が多い
そんなUMAと思しき死骸をひとしきり眺めた後、不意に
『クビキの異能ってどんなの?』
なんとなく、聞きそびれていたことを尋ねてみる
■頸城 陸 > 「……うっそ」
驚きを隠せない。
これ、地球の生き物だったんだ。
じゃあビッグフットとかチュパカブラも探せば本当にいるんだろうか、などと考えつつ。
少女の言葉によって思考を中断させられる。
「あー……んー、えっとね。」
息を軽く吸って、吐く。
自分の異能は言葉では少し説明しにくい気がする。
だけれど、実際に発動して説明してみせるにしてもトラブルを生みそうな気もする。
だから、頑張って説明してみることにする。
「……付けると強くなるけど、ちょっと凶暴になっちゃう鎧をね、出せる、見たいな。そんな感じ。あんまりいいもんじゃないんだよね……。ごついし、セーブが聞かないことも多いし」
■万車堂ささ > 『よろい…?』
微かに首を傾げ、なんとなくイメージ
『禁じられた力…みたいな…? ダークな変身ヒーロー的な…?』
コミックやアニメでありそうな、そんな感じ
目の前の少年の人畜無害そうな風貌からは、にわかに想像し難いように思う
『あんまり、好きじゃない?』
■頸城 陸 > 「……まぁそんなに危険な技でも無い、けどね。見た目はそんな感じ、らしいけど」
少女の言葉に、頷いて返す。
「……正直、あまり好きじゃないよ」
少女の問に、視線を下に下げながら答える。
「……誰かを傷つけることしかできないし、そりゃあ、この異能の御蔭で助かったことも、あるけど」
軽くため息を吐いて、続ける。
「使ってる最中、あんまり凶暴になってる自覚がなくて、さ。色々と、酷いことしちゃう時とかも、あったし……、正直言うと、他のチカラが欲しかった、かな」
■万車堂ささ > 『…そう』
何か言葉をかけた方がいいだろうか、どういう言葉をかけるべきだろうか
当たり前のように異能と共にあった自分は、彼の気持ちはわからないし、適切な言葉は思いつかない
『しょうがないね、しょうがないから…がんばってみたら?』
『そのための学校だし』
「異能を制御する」という目的からいえば、まさに彼のような生徒のためにあるものだろうと思う
『そのうち上手に使えるようになるかもしれないし…たぶんだけど』
確証は無いし、無責任な言動かもしれない
それでも一応は、軽い励ましのつもりで
■頸城 陸 > 「あ、ごめんねなんか、辛気臭く、なっちゃって……」
小さく笑って、言葉を放つ。
無理をしているように、見えないだろうか、などと考えて。
「……そう、だよね。ちょっと、頑張ってみるよ」
ぐっ、と大きく伸びをする。
目覚めてしまった以上、この異能はどんなに嫌っても自分なのだ。
だから、使いこなせるようになるまで頑張ってみるのも、いいのかも知れない。
……だから、少し頑張ってみよう。
「……ありがと。ちょっと元気になれたよ」
小さく笑って、言葉を放つ。
「……先生、来るの遅いね。これ、もう帰っても、いいのかな?」
まぁ、そもそも僕はあまり関係ない人なんだけど、と付け足して。
■万車堂ささ > 『…ん』
彼の反応を見る限り、問題は無かったようで少し安心した
マフラーの下で小さく頷いて答える
『いいと思うけど…―――あ、来た』
年代物の軽自動車が海岸入口に停車するのが見える、そこから飛び出してきた先生は遠目にも大興奮している様子が伺い知れた
穏やかな海辺で起こった小さな事件
それは未知の扉を開く新たな手がかりとなるのだろうか
少なくとも、翌日の新聞記事をささやかながら賑わせた事は確かだった
ご案内:「浜辺」から万車堂さささんが去りました。
■頸城 陸 > 軽自動車が止まるのが見えた。
恐らく、彼女が呼んでいた教師のものだろう。
……気付かれない様に立ち去ることにする。
自分が答えられることもないし、いてもあまり意味が無いだろうから。
「……これから、かな」
とりあえず、己の異能に慣れるのが一番なのだろうか?
等と考えながら、浜辺を後にした。
ご案内:「浜辺」から頸城 陸さんが去りました。
ご案内:「浜辺」に渡辺慧さんが現れました。
■渡辺慧 > ヒトカラ、の後。ふと足は、普段運ぶことのない浜辺へ来ていた。
もう夏だ。だけれど、少し、海に入るのは早い。
だけれど、なんとなくだ。
なんとなく、来たくなった。
特に理由はない。
理由を求める意味もない。
潮風は心地いい。
■渡辺慧 > 「―――――」
ワザとらしいほど下手くそな鼻歌。
まぁそれはそうだ。だって――。
砂浜には立たず、少しだけ、離れた場所。よく見渡せる。
誰もいなくて、実に、自由だった。
一人だった。
「ん、っと」
■渡辺慧 > いいことを思いついた。
多分……まぁ、きっと楽しい。
体をほぐすように柔軟を始める。
慣れたものだ。
笑いを作る。
それが、猫のような笑いと言われるのかどうか。自分では、分からない。
■渡辺慧 > さぁ、て。
いっちょ、やってみますか。
――カチリ。
頭の中のスイッチが変わる音。
風景がスローになる。
この異能は、自分を自由にする。
そして、自分に自覚させる。
クラウチングスタート、の真似。
詳しい恰好は知らないし、それらしくできているならそれでいい。
■渡辺慧 > 「………………………いっ」
「―――――くっぜぇーーーっ!」
全力で駆け出す。
砂浜に向かって。
海に向かって。
もう、目の前だ。
■渡辺慧 > 速い。俺は速い、ならきっと、多分。
出来る、と思うなー。だといいなー。
目の前になって不安になるのもまたよし。
足が、海に。水中に、入ろうかとした時。
それは、水の上を走っていた。
■渡辺慧 > 「……………………シッ」
アハハハハハハハ!
笑うさ。それは、笑う。
だって、今。
水の上、走ってる。
「めっちゃ、楽しい……!」
■渡辺慧 > あ、波。
あっけなく足を取られて。
海にぷかぷかと浮かぶ白いパーカー。
…………まぁ。
見る人が見れば、土左衛門にみえなくも、ない。
■渡辺慧 > プカプカ浮かぶ白いパーカー。
うつ伏せになって海の上に浮かぶパーカー。
ピクリともしないパーカー。
段々浜辺に流れてくるパーカー。
まだ溺れてない。まだ溺れてない。
ご案内:「浜辺」に崎守 鐡さんが現れました。
■崎守 鐡 > 身体的に。
海開きとは縁がないし、あまり来ることも無いだろうから、
海開きの前に一回来てみようと、おもった、だけなんだけど……
なんだけど。
……この学園には不法入島とかも珍しくないとか、聞いたことはあるけれど。
「…………海開きの前に土左衛門が見えているんだけど、気のせいだろうか」
たぶん、きのせいじゃない。
■渡辺慧 > 気のせいじゃなかった。
大丈夫、いきてる。
ぷかぷか。ぷかぷか。
ゆらゆら。ゆらゆら。
絶妙な位置で揺れるパーカー。
浜辺につきそうでつかない位置で揺れるパーカー。
だいじょうぶ、いきてる。
■崎守 鐡 > ……一応周囲を確認する。
他の人手は………いない。
「……いや、その、あの、……しかた、ないの、かなぁ。」
諦めたようにコートを畳んで。
ズボンは…まぁ、なんとかなるか。精密機械ものだけコートに隠して。
見えている上半身だけでも完全にメカとしか言い様がない彼が、
浜辺につきそうじゃない位置で浮いてる白い土左衛門を拾いに行く。
■渡辺慧 > うつ伏せになっているから表情は見えない。
安らかに眠っているかもしれない。いきてる。
拾われるなら割とそのままずるずると引きずられると思う。
脱力だ。
だいじょうぶ、いきてる。
■崎守 鐡 > ずるずると引き上げる。まるで地引網かと言わんばかりに。
小柄ならそのまま背負えるかもしれないな―、と素直に思ってしまったり。
「しかし、ねー。もっと別の人に見つかったってたらもっと大変なことになってたんじゃないかー?」
「………聞いてないか。」
頬を抓ろうとする。
正体が知り合いかどうかも確認せずお構いなしである。
■渡辺慧 > ずるずる。
ずるずる。
脱力したまま引きずられる。
つねられる。
不意に、うぅん、と。少し声をあげ、瞼がぴくぴくと動く。
そうして、目を開いた時。
「……………ハッ。…………ハワイ!?」
じゃない。
■崎守 鐡 > 「……鳥取じゃねぇから」
それは羽合温泉である。
ついでに常世学園からハワイだとしても、相当な距離だと思うのは気のせいだろうか。
つねりを維持しつつ、
「………なんで溺れてたのさ。若気の至りって奴?」
正体を確認せずお構いなしに問うてみる。
当然ながら風紀委員に対する行動じゃないし、上級生に対してもする行動じゃない。
■渡辺慧 > 「おー……?」
つねられながら辺りを見渡す。
なんだ。流されてなかった。
「海が、俺を呼んでいた気になって全力で走った」
注釈を入れるなら、海に向かって全力で走った、で終わる。
■崎守 鐡 > その目は酷く機械的になった。
「………馬鹿かい」
機械の手に依るつねりが容赦なく襲う。
「まだ海開きしてないし、なにより呼ばれるには早すぎたんだろうな」
「……溺れてんだもんなぁ!?」
ぎりりりり。
「しかも着衣かよ!?」
「脱げよ!!脱いでから泳げよ!!溺れる気満々かよ!?」
実際、着衣で泳ぐのはかなり、難しい。
■渡辺慧 > 「いたひいたひいたひ。それいたい」
それを否定する術が特になかった。まぁ馬鹿だ。
「ふぁぁふぁて」
まぁ待て、と言ったつもりだろう。
そうすると、ポケットをあさり、何やら取り出す。
携帯だ。携帯を取り出し、なんか。得意げに見せつける。
……………あぁ、防水だから、大丈夫、と。
■崎守 鐡 > 「自分の命の心配しろよボケェ!?」
ぎりりりり。
「携帯が防水だから大丈夫とかそういう問題じゃねぇよ!」
「一応防水でも中に入ったら壊れんだからな!?」
「携帯が無事でも使用者が無事じゃなかったら誰が使うねん!?」
だめだ。こいつ相当馬鹿な気配がする。
特に正体も確かめず頬を全力でつねり、説教をするのも、だいぶ可笑しい気がするけれど。
■渡辺慧 > 「ふぉふぉふぁふぁふぇふぃふぃふぃ」
いたいいたいいたいいたい、たんま。
「ふぉうふぃふふぇふもふぁふ」
もう何言ってっかわかんねーよ。
それから逃げ出すように、いつの間にかしっかりとした足で、立って。
「ふっ……」
異能の気配。曲芸、または猫。それを思わせるジャンプで、鐵の前に、後ろ姿で着地した。
■崎守 鐡 > 「カッコつけてる場合かい!?」
見たことが有るような気がするけど、そこまで頭は回らない。
「…で、本当に何がしたかったんだよ……」
「海面大疾走かなにかでも?」
凄い適当だが、この学園なら出来そうである。誰かは。
「しかし……」
「猫が泳いだ、って話も聞かないし、ますます猫っぽいな」
■渡辺慧 > 「それ」
声には楽しげな、悪戯気な響き。
そう、それ。ただ……走りたくなった。
まぁ……もしくは。それこそ、流されたくなった、のかもしれない。……その響きは、まるで出さないが。
あぁ、しかし。
楽しかった。
だから。
「サンキュー、鐵」
「楽しかったぜ」
「なんか今度。奢るよ」
それには微笑みの響き。
もしかしたら、この少年は分かっていてこの言動なのかもしれない、そんな響。さて。それはこの少年の真意かどうかは。
「あぁ、そん時に、その話も聞かせてくれよ」
折角だ。このままかっこつけてさっても、それはそれで楽しいだろう。
顔を向けないまま、少年は手をふりながら歩き出した。
■崎守 鐡 > 「…………」
少しの間、固まって。
「………ほんとーに、アホかぁ!?」
こないだ猫になってたから完全に猫の体質になったのか、実験でもしたのだろうか。
…いや、この人に限ってそこまでの理由は無いだろうなぁ。
半分呆れ気味に叫んだ。
その背を見ながら。
なお、タオルなんかは持ってきていないので当然濡れたままだろう。
…たぶん。
■渡辺慧 > 「いいや、馬鹿だね」
シシシ。と笑った。
ま、当然のごとく、その姿は濡れ鼠で。
かっこ付かないことこの上なかったのは言うまでもない。
ご案内:「浜辺」から渡辺慧さんが去りました。
■崎守 鐡 > ………頭を抱えた。
「阿呆でも馬鹿でもどっちでも良いんだけど……」
「あの人は、もう……なぁ」
呆れて物が言えない、のではなく。
考えなし過ぎるなぁ、と思った。
俺の知らない所でそんな感じで巻き込まれるんじゃないかと、
わりとどーでもいい気がするが……そんな心配をしたそうな。
ご案内:「浜辺」から崎守 鐡さんが去りました。
ご案内:「浜辺」に御園生 こよりさんが現れました。
■御園生 こより > 放課後、寄り道に寄り道を重ね、俯き気味で少しふてくされながら
知らない道を当てもなく歩く。
なぜなら今日は最愛の相棒が先に帰ってしまったからだ。
突然の風に帽子が浮き上がり、慌てて手で押さえた。
「わっ…!」
風に乗ってふわりと香る潮の匂い。
「…?」
誘われるように高いコンクリートの堤防にかかるはしごを上ると広々とした砂浜と海を発見し。
「わぁあ!すごいすごい!」
年相応に目を輝かせながら海に魅入って。
■御園生 こより > 堤防からテトラポットへと移り、ひょいひょいと軽い身のこなしで砂浜へと降りていく。
「うわぁ…、靴に砂はいりそ…」
先ほどの子供らしい感動はどこへやら、ゲー、と眉間にしわを寄せる。
しかし興味はうせていない様子で、靴に砂が入らないようにゆっくりと波打ち際まで進んでいった。
ご案内:「浜辺」に小越 美琴さんが現れました。
■小越 美琴 > 「こより……あぶない」
ランドセルを背負って、肩ベルトを握り締めながら波打ち際にいるこよりの背後に立っている。
「あんまり海に近づくとあぶない」
■御園生 こより > 「きゃああ!な!なによ!びっくりするでしょ!」
突然背後からかかる声に思わずぴょんと跳ねてしまった。
「っていうか、美琴!先に帰ったんじゃなかったの?!」
もしや今までずっと後にいたのか?と疑うような視線をおくる。
■小越 美琴 > 「うん……間違えて先に帰った」
潮風が砂浜全体をなでるように吹いた。
長い髪が風に靡き、顔にかかった分を指で退ける。
「こより、忘れてたんだ、ごめん」
■御園生 こより > 「忘れないでよ!」
おい!と裏拳で突っ込みをいれるも、はぁ~…とあきらめた様なため息をついて
「まぁ、いっつも変な美琴のことだし…別にいいけどね」
大人ぶったような髪をかきあげる仕草、次いでやれやれと肩をすくめる。
「美琴もここ初めてなの?」