2016/07/02 のログ
ご案内:「浜辺」に寄月 秋輝さんが現れました。
■寄月 秋輝 >
しばらくゆっくりと休んだおかげで、体調は治った。
家事の負担が大幅に減った分、かなり体力に余裕がある。
その体力を早速ふんだんに使い、自分の弟子のためのデータ整理をしている。
彼女を最速最強とすることこそ、新たな秋輝の夢。
「……あとはあの子が納得するかどうかだな」
データの整理を終え、端末を閉じる。
ご案内:「浜辺」に八雲咲雪さんが現れました。
■八雲咲雪 > ボディスーツを着込み、太ももまである靴を履いた少女。
長いポニーテールや一部を揺らしながら、寄月まで走ってくる。
とはいえ、軽いランニング程度の速さだが。
「コーチ、体温め終わったよ。
準備はOKだけど、つぎは?」
適度にあったまった体。
とはいえ、夏の日差しのせいで汗はかいているけれど。
体力は十分そうだ。
■寄月 秋輝 >
「大会が近いですね。
もう来月でしたか」
この少女を鍛えるにあたって、それなりにエアースイムについて調べてきている。
というか、最近の過労の影響の半分はこれである。
言わないし、そもそも本人が過労とは思っていないが。
「では、しばらく基礎的な練習ばかりさせていましたから……
一度、僕と並走してタイムを計りましょうか。
そろそろ成果も出るはずですから」
微笑みを浮かべながら、ふわりと浮いた。
■八雲咲雪 > 「はい、来月です。
まず地区大会があって、場所にもよりますが大体二位までが次の全国に出場できます。
地区大会は毎年、コース周回制なのであまり負けることはないですけど……。」
当然、寄月が倒れていたことなどしらず普段どおりに接する。
同じくふわりととびあがり、寄月についていくよう飛ぶ。
なお、全国大会の種目は毎年変わり、去年はスカイファイトだった。
「はい、宜しくお願いします。
全力で飛びますから、コーチも全力でお願いします」
■寄月 秋輝 >
「まず負けないでしょうね。
咲雪は元々全国大会レベルだったはずですから」
それは理解していた。
これまでの訓練内容も鑑みると、ちゃんとこれまでの大会動画も見てきたのかもしれない。
「もちろん、全力で飛びますよ。
ただ、咲雪の付けているスウィングの最大速度と同じレベルまで、速度キャップを付けます。
同じレベルでないと、咲雪の成長度がわかりませんからね」
頭の中で魔術の式を組み替える。
何せ本気で飛んでしまったら、音速の数倍での戦闘機動のスピードになってしまう。
「ではここから、あちらに浮かべた赤の光の玉から、ずっと向こうにある緑の光の弾を一往復します。
準備が出来たら、咲雪がスタートの合図を」
相変わらず、空中に直立する。
まるで地面に立っているような安定感。
■八雲咲雪 > むぅ、と少し嫌そうな顔。
仕方がないとはいえ、手加減されているように思えてしまう。
ならば、いつしか絶対にその速度を引き出してやろう。
今日は甘んじてやろう。
そう思いながら、空中で立っているかのような寄月の隣に並ぶ。
準備を完了させ、前を見据えてから、隣をそっと見る。
「コー……寄月。
それじゃあスタートの合図をするけど、いい?」
■寄月 秋輝 >
「ええ、どうぞ。
行けますよ」
不満そうな気配を感じるが、こればかりは仕方がない。
特に今の咲雪のためにならない。
全身をスウィングと同質の魔力で覆い、お互いの差をほぼゼロにする。
差が出るとすれば、あとはお互いの飛行技能だけだ。
■八雲咲雪 > 若干前屈姿勢になり、背中と脚部のスウィングに魔力を籠める。
当然、推進力は発生する。
が、その方向は背中と足で衝突しあうよう発揮している。
つまり、背中からは下へ。足からは上へと。
磁石のN極とN極を無理やり合わせようとしているかのように、咲雪の体が揺れ始める。
「それでは、カウントします」
――3。
咲雪が行なっているのはスタートダッシュの一つ。
スピーダーたちの間では、大会に参加するなら必須の技術だった。
――2。
鍛えたからだが、吹き飛びそうな咲雪の体を支える。
一歩間違えればどこかへ吹き飛ぶ技術でもある。
――1。
しかし、それをスタートまで抑えておくことさえ出来れば。
「スタートっ!」
自ら合図し0.5秒ほど開けた後、推進力を切り替える。
すなわち、一気に加速し、前へと飛び出す!
■寄月 秋輝 >
直立姿勢のまま、スタートダッシュのための魔力を込める。
脚に魔力を纏わせ、咲雪と同じように背中から安定させるための魔力。
違いは、足に込められた魔力。
その場で螺旋を描くように、高速で回転する推進力。
軸を揺らさぬまま、開幕の速度を高め。
「んっ……!」
スタートの声と共に。
正しくは人間の反射神経で把握できるくらいのタイミング、咲雪よりほんの一瞬程度の遅れ。
ぎゅるりと、体を捻じれさせてロケットスタート。
三回転だけバレルロールしながら、開幕を咲雪とほぼ等速で駆け出した。
■八雲咲雪 > 速い。
それは寄月への感想だけでなく、自分に対しても。
いつもより加速が乗っており、いい姿勢で飛んでいる気がする。
が、今はそれにかまけている暇はなく。
「あああっ!」
強く叫びながら、白いコントレイルを残しながら、強く強く飛び続ける。
背中のスウィングからは既に最大魔力を注ぎ込み、性能限界まで出力している。
■寄月 秋輝 >
真っすぐに、高速で飛びながらも小さく笑みを浮かべる。
自分が彼女の師となることを決めた時より、多少ながら早い。
何も技術を教えてない段階で、既にこれである。
(やはり体幹は大事だな。
でも……)
さすがに、ひと月かそこらの鍛錬ではいまだに完璧にならない。
スリップストームに入らぬよう、横をまっすぐに、まるでぶれぬミサイルのように飛んでいく。
速度そのものは同じだが、じわり、じわりと咲雪が最初に付けた差を縮めていく。
■八雲咲雪 > 何かが足りていない。
スウィングの速度は既に最高速をたたき出している。
姿勢も悪くないはず。
なのに、何かが足りていない。
なのに、差を縮められている。
(まだ、こんなものじゃ……!!)
逃げるように、突き放すように飛び続けるけれど、後ろから圧倒的な重圧を感じ続ける。
往復ポイントである緑の珠が近づけば、即座にスウィングへの魔力供給を止め、慣性に従いながら飛ぶ。
■寄月 秋輝 >
「前を見ろ!!!」
普段静かな秋輝が、怒声にも等しい大声を上げる。
こちらを気にしてしまっている少女に、全力の叱咤。
折り返し地点へと迫る。
秋輝は逆に魔力供給を緩めない。
その差が表れ、わずかに咲雪を越えるだろう。
トップスピードで折り返し地点へ近付いていく。
そして開幕のスタートダッシュと同じく、今度は逆回転の魔力渦を足に。
体を折りたたむように丸くなり、ぐるんと回転し。
緑の光の玉を越えた瞬間、水泳選手のターンのように反転する。
魔力の渦で再びバレルロールをしながら、爆速のターン。
用意した推進力を蹴るかのように、ほとんど速度を落とさずに、これまでの道のりを逆走し始めた。
■八雲咲雪 > 飛んでくる叱責に唇を噛む。
分かっている、気にしている暇なんてないと。
しかし、最高速度で飛んでいるのに迫られる恐怖。
それは自信を蝕んでいくような気がして。
緑の珠を越えた瞬間、同じように回転し、スウィングを同時に起動。
空気を蹴るように推進力を発揮し、逆走し始める。
けれどその時点で、寄月が先行しており。
「っ、こ、のぉ!」
寄月の後ろは追わず、変わりに海へ落ちるように斜めに飛び始める。
重力で加速をつけ、無理やり速度をつける。
水面まで降りてくれば、足を水面につけて抉るように飛ぶ。
咲雪を覆う魔力膜と海水がぶつかり弾け、水しぶきをあげ咲雪をぬらす。
しかし濡れることなど気にせず、膝を曲げ、脚部スウィングから瞬間的に魔力を大放出し、海面をはじける様に上へ飛び出す。
最高速に乗り、寄月の後を追う。
追うけれど、その寄り道は決して短いものではなく。
彼に追いつこうと手を伸ばすけれど、届かない。
■寄月 秋輝 >
真っすぐ、一切ブレずに飛び続ける。
途中で最高速に達した咲雪を感じながらも、真っすぐに。
真っすぐに。
ゴールを突き抜ける。
ぐるりと回り、砂浜に着地する。
その衝撃で砂が舞い上がり、小さなクレーターを生んだ。
「……ふぅ……」
ほんのわずかな焦りを、なんとか拭い去る。
予想よりも咲雪の初速、そして最大速度が速かった。
危うく師としての威厳が吹っ飛ぶところだった。
■八雲咲雪 > 数秒ほど遅れてゴールをする。
しばらくはその速度を殺すため、空中を飛び続けるが、一分もすればゆっくりと降りてくる。
全身は汗と海水で濡れており、肩で息をするほど疲弊している。
「はっ……はっ……、お疲れ様……です……」
■寄月 秋輝 >
「お疲れさまです。
……正直、ここまで差を開けないとは思っていませんでした」
鞄からタオルを取り出し、咲雪の頭にかけた。
この季節とはいえ、冷やしたままではいけない。
「……飛び方を教えたりはしませんでしたが、今まで僕の言うトレーニングをちゃんと守っていたんですね。
それがよくわかる成長ぶりでした」
そう言って、優しく微笑んだ。
そして今言える最大の賛辞。
「最初に開いた差を中盤まで縮めたのが、僕の言う『体幹』です。
安定した飛行が出来るため、受ける空気抵抗が一律になります。
また細かな軌道修正も必要なくなるため、無駄なエネルギーも不要になりますね」
つらつらと原理を並べ立て。
「そして、それが咲雪にも強く備わり始めている。
それが設定を変えずに、初速から最大速度がわずかに増した理由です」
■八雲咲雪 > サイバーグラスを放り投げ、背中のスウィングを外す。
錘が外れたように、体が軽くなる。
あたまにかかったタオルを首にかけ、大人しく寄月の説明を聞いており。
「体幹……。
今までは、それが備わってなかったから遅かった……ってこと?」
確かに、姿勢はよくなった。
そして早くなったのも実感していた。
しかし、その理由がはっきりとは分かっていなかった。
■寄月 秋輝 >
「そういうことです。
実際は競技者として最低限は備わっていたのですが……
それでも小さな上下左右のブレは、最終的なタイムにどうしても絡んでしまう」
また一瞬浮かんで見せる。
空中にいるのに、まるで地面に直立しているかのように、ぴたりと静止。
「このレベルになると、もう少しタイムが縮むでしょう。
これは技術云々ではなく、基礎として身に着けるべき項目ですね。
これまでのトレーニングメニューは、それを養うためのものです」
なので、と前置きして。
「今の咲雪なら、全国ランキング、二つか三つは上に登れるでしょうね。
今まで通りに飛ぶだけで」
にや、と笑う。
その確信がある。
他の選手の成長速度を過大に計算に入れて、それでもなお彼女はいくつか駆け上がれるだろう。
■八雲咲雪 > 今の状態で、ランキングがあがる。
その言葉にぐっと握りこぶしをつくって嬉しさを表現しようとするが堪える。
「……逆にいえば。
ううん、もっといえば、これだけじゃ足らない。
全国で一位を狙うためには、もっと、もっと早くならないといけない。
そう、だよね?」
喜ぼうとする体を抑え、強く寄月を見る。
今大会での目標を思い出し、それだけでは足らないことを思い出す。
■寄月 秋輝 >
「そうですね。
ただ、今回はそれは気にしてはいけません」
着地し、首を縦に振るが。
その目標すら、一旦控えさせる。
「さすがに全国トップを、あとひと月かそこらで抜くのは難しい。
何せ相手も成長していますからね。
なのでまずは、完璧な飛行姿勢を作ることから始めました。
今日まで飛び方を教えてこなかったのも、そのためです」
まっすぐに、その強い瞳を見つめ返す。
ゆっくりと体を作り、確実に技術を仕込み、必ずトップの座に立たせる。
それが彼の目標だ。
「いいですか、咲雪。絶対に焦らないことです。
今日の飛び方もそう、僕に追われている焦りから、後ろを気にしてしまった。それはタイムに如実に表れる。
前だけを見て、自分の飛ぶ道だけを見ていきなさい。
僕が必ず、あなたを世界一にしてみせる。
咲雪なら、必ずトップになれるという確信があります。
今回もし勝てないとしても、焦らず前だけを見て、咲雪の飛び方を貫きましょう」
いいですね?
そう尋ね、微笑んで見せた。
■八雲咲雪 > 強く、しかしゆっくり頷く。
そう、今回は……今回も、相手を気にしてしまったが故に、タイムが遅れた。
もし、咲雪の心が強ければもっとタイムはあがるだろう。
「――うん、よろしくコーチ。
今度こそ。
今年こそ、私は一位になりたい」
■寄月 秋輝 >
今年こそ。
その言葉に、わずかに逡巡する。
正直一年はかかると見込んでいた上、体の故障の危険を冒してまで激しいトレーニングをさせるつもりはなかった。
素質もあり、彼女自身の技量も高く、それでいて伸びしろは大きい。
本当はゆっくりと育てたかった。
しかし、このひたむきな少女が。
今年こそ、というならば。
「……ええ、今年一位になりましょう。
そのためにも、夏大会で反撃の狼煙を上げるのです。
『私が一番楽しく空を飛んでいる』と証明してきてください」
そう、笑いかけた。
「では、今日からも基礎練習です。
三週間はこれまでより更にハードにしますが、最後の一週間は回復と調整に当てましょう」
そう言って、新たなメニューを掲げた。
大変だろうが、彼女ならクリアできる。
そしてきっと、誰より早く飛べるようになる。
そう信じ切っていた。
■八雲咲雪 > 来年がある。
再来年がある。
そんな風に甘えていたのでは、いつまで経っても一位になれない。
そんな風に思い。
「――うん。
必ず、皆に証明する。
私が、一番楽しんでいるって」
そして、私が一番速い、と。
空のように青い目で、寄月を見て、頷いた。
――夏大会まで、あと一ヶ月。
間に合うかは分からないけれど。
必ず間に合わせて見せると、気合を籠めた。
ご案内:「浜辺」から寄月 秋輝さんが去りました。
ご案内:「浜辺」から八雲咲雪さんが去りました。
ご案内:「浜辺」に蔵田 怡与さんが現れました。
■蔵田 怡与 > ………。
(しかめ面をした女生徒が、浜辺を一人うろうろと歩いている。)
(髪に絡みつくような熱い潮風を気にする様子もなく、大きな鞄を提げたまま、とつとつと浜辺に足跡を残しながら歩き…)
……この辺りでいいかな。
(適当に見繕ったと見える汀に鞄を置き、靴を脱いでゆったりとあぐらをかくように座る。)
(その姿勢のまま、鞄からごそごそと折り紙の束を取り出した。)
■蔵田 怡与 > (取り出した折り紙の束を膝に置き、一枚取り上げると素早く飛行機の形に折り上げる。)
(折り上げた飛行機は、女生徒の手のひらから、小さな小さな戦闘機に姿を変えて飛び立っていく。)
(一機、飛び立てば、また折り紙を手に飛行機を折る。)
(それを何度か繰り返す。うちに、女生徒の周囲には何機もの戦闘機がぐるぐると旋回する、どこか異様な光景となった。)
………
(女生徒はある程度の折り紙を折ったところで手を止め、折り紙を鞄にしまいこむ。)
(そのまま、ゆったりと座禅を組むような姿勢を取り、目を閉じた。)
■蔵田 怡与 > ………。
(深く。息をする。腹の底までゆっくりと息を吸い、奥に溜まったものと入れ替えるように、またゆっくりと息を吐く。)
(戦闘機たちは、変わらず女生徒の周りをぐるぐると飛び交っている。翼に光が反射して、きらりきらりと輝く。)
(遠くから見たら、虫にでもたかられているように見えるかもしれない…。)
ご案内:「浜辺」にリビドーさんが現れました。
■蔵田 怡与 > (体力をつけなければ。)
(それが女生徒の目的であった。)
(体力づくりとして、トレーニングの本を図書館で借りたり、それに従って早朝や夜のランニングや軽い筋トレなどをしていたが、それでも、まだ足りない、と思ったのだ。)
(この異能には精神力が強く関わってくる。)
(体を鍛えても、心が鍛えられないとだめだ。女生徒はそう思った。)
(筋トレを少し減らし、精神力のトレーニングを始めようと、そのきっかけにしたのが座禅だったのだ。)
■リビドー > 「……ふむ。」
季節は夏に差し掛かり、海開きも間近。
そろそろ浜辺にでも行ってみるかと足を運んでみれば、何かに集っているようなものが伺える。
興味を示して近付けば、それらが少女を中心に旋回する戦闘機群であると気付く。
その飛行機にも、少女にも、覚えはある。確か――。
(蔵田 怡与、だったかな。)
■蔵田 怡与 > ………。
(目を閉じ、精神力を限界まで絞り上げて戦闘機を動かしていると、体に張り巡らされたありとあらゆる感覚が過敏になる。)
(女生徒は、まだ遠くで砂を踏む音を微かにだが感じ取っていた。)
(だが、ここは人の往来が全くない場所ではない。何か用事がある人なのかもしれない。)
(そう思い、再び戦闘機を操作することに集中していく。)
■リビドー >
「……。」
彼女の異能以前ちょっとした手ほどきをしたものの、
それ以降は暫く見ていなかった。
(さて、以前と比べて、どうかな。)
故に、久々に見かける彼女がどのような成長を遂げているのかには興味がある。
しばしの間その場に立ち尽くし、鍛錬の光景を眺めるだろう。
■蔵田 怡与 > ……!
(ぐるぐると飛んでいた戦闘機群…20機はある零式艦上戦闘機が、雑然と、しかし互いにぶつからないようにある程度の距離と高度を保って飛んでいる。)
(が、そのうち、その渦の中に小さな火花が巻き起こる。)
(制御しきれなかった一機が失速し、後続を巻き込んで墜落する。墜落した戦闘機はまた別の闘機を巻き込み、戦闘機の渦は煙を上げながら崩壊していく。)
……? ……!
(女生徒は目を開けて、頭上を仰いだ。これはもうだめだ、と判断するのも早かった。)
(片手を上げ、振り下ろす。)
(戦闘機だったものたちは、すべて折り紙の飛行機に戻り、まるで蚊取り線香に巻かれた蚊が落ちるように、次々と力なく浜辺に落下していった。)
……ふう。まだダメか。上手くいかないな…。
■リビドー >
鍛錬が終わったと見ればゆっくりと近づきつつ、声を掛ける。
「とは言え、進歩はしている風に思えるよ。
途中からしか見てから推察も交じるが……
編成が崩れるまでは以前よりも安定していたし、
制御できる時間も増えていた様にも思える。」
彼女が呟く言葉とは裏腹に好ましい評価を見出したのだろう。
その様に評し、告げた。
「……お疲れ様。久しぶりかな。
元気にしていたかい?」
■蔵田 怡与 > ……!?
あ……リビドー先生……。
お久しぶりです……その節は、ええと……お世話に、なりました。
元気…です。はい。先生は……お変わりない、ようで。
(かけられた声に顔を上げると、急いで立ち上がり、スカートをはたいて頭を下げた。)
……進歩、してましたか?
………まだまだ、だと、思います……。
(浜辺に散らばった折り紙の飛行機たちを眺め、どこかぼんやりとした口調でそう答えた。)
■リビドー >
「ふむ。しくじったのは確かだし、まだまだではあるだろう。
とは言え、まだまだな事と進歩した事は両立するよ。」
ゆっくりと折り紙の飛行機を拾い上げ、纏める。
ある程度拾えば、両手で蔵田へと返そうと手を伸ばす。。
「さっきの鍛錬法だってキミが独自に編み出したものだろう。
少なくとも、それは確かな進歩だよ。」
思い返してみれば精神修養の類だろう。
傍目からみればその様に伺えた。