2016/08/23 のログ
東雲七生 > 「んー、俺も知ってる事が多くないからこうして訊いたんだけど。」

最近になって見掛けられようになった霧の魔物について簡単な説明をする。
曰く、今年の海開き以降見かけられることがあること、
新出の魔物だけに情報自体が極端に少なく、また被害もそう多くない事など。

「何かあってからじゃ遅いのには同意だから、手を打てるうちに打っとこうと思ったんだけどさ。」

遭遇どころか目撃情報自体が無く、文字通り五里霧中である。
結果、何かの見間違いか夏場の雰囲気作りのために誰かが流した噂話、都市伝説の類ではないかと思い始めているのだが。

三谷 彰 > 「もう被害が出てるのか」

 顔をしかめ海の方を睨みつける。
 自分達が聞いていない以上噂話の可能性もあり、本当に噂話であるなら安心なのだが……
 唇をかみ締めてしまうのは現につい最近こういった事件で助けられなかったからなのだろうか。

「ある程度はわかった。情報提供ありがとうな、他に何かわかったら風紀委員の方から連絡しとく、ああそれと……市内とは思うけどしばらく遠洋は禁止な」

 二次被害を抑えるためにそう警告しておく。

東雲七生 > 「被害っても因果関係は不明だけどね。
 霧が出たと思ったら火傷みたいな、傷が出来たっていう感じでさ。
 クラゲか何かに刺された可能性だってあるけど、用心に越したことないでしょ。」

海を睨む視線を追って、水平線へ目を向ける。
特にこれと言って異変は見受けられないし、サメなども居る気配はしない。
見渡す限り、平和な海水浴場だ。

「はいよ、了解。
 まあ海で泳ぐのも飽きて来たし、そんなに遠くまでは行く気無かったし──」

そもそも不定形の相手には分が悪い。
何か出来る事を模索しに来たのであって、直接魔物を退治しようなんて思ってもいないのだ。

三谷 彰 > 「それでも何もないと判断してゴーサイン出すわけにもいかないからな。まぁ安心しろすぐに調べた結果は出せるからよ。見る事に関してなら俺は自信あるぜ?」

 少しニヤリと笑う。
 おそらくだが少し高いところ。時計塔に一週間くらい張り込みをすれば自分の目なら捉えることができるだろう。それが噂なのか本物なのか。
 だがそれが確認できるまでは風紀委員として、そして彼個人として容認できないのだ。

「あんたも何かわかったら……そうだな俺に連絡してもらっても良いか? 2年の三谷彰だ」

 シャツのポケットから携帯電話を取り出し連絡先を表示させる。

「連絡先は無理にとは言わない。まぁ可能ならって程度だ」

東雲七生 > 「まあ、うん……期待しておくね。」

根拠は解らないけれど、自信はあるようなので肩の力を抜いた笑みを浮かべる。
風紀委員に属するものなのだから、まあ、自信は無いより有る方が一般生徒といては有り難い。

「ああ、同級生なのかあ。
 俺は東雲、東雲七生。……えっと、ごめん、財布以外持って来てないから何かメモして貰って良い?」

自分も携帯端末を取り出そうとして家に置いて来た事を思い出す。
お陰で友人を呼び出そうにも叶わなかった事が最初の黄昏の始まりだったことも思い出した。

三谷 彰 > 「……え、そうだったのか。悪い完全に年下だと思ってた」

 同級生と聞いて目が点になる。
 目線を逸らして頬をポリポリと掻いたあとに元の顔に戻り。

「ま、まぁいいや。メモなメモメモ……って流石にメモはこの格好で持ってないか」

 少しだけ探すもののそんなにシャツにポケットなどあるわけもなく結果的にメモは見つからずに肩を落とすしかなかった。
 そしてよいしょという声と共に立ち上がると海の家のほうを眺め。

「あっちまで着いてきてくれるか? そうすればメモ渡せるんだが……悪いな色々と苦労かけちまって」

東雲七生 > 「………いいよべつに、慣れてるし。」

一瞬頬が引き攣ったが、それ以外はにこやかな笑顔だ。
度々後輩に同級生だと思われる始末なので、もう何をしても無駄だろうと若干諦めが入っている。

「……良いよ、海の家ならレシートくらいに書いてくれれば。
 財布に入れて帰るから、失くさないと思うし。」

こくん、と頷くと改めてレジャーシートの上に立ち上がり、サンダルを履いた。
ついでに瓶捨てて行こう、と空き瓶を手に取ってから、準備が出来たとばかりに三谷へと頷いてみせる。

三谷 彰 > 「アーハハハハ」

 目線をそらしながら明後日の方向を向いて笑うしかない。
 つい先日の公園でも図書館でもそうだったのだがこいつはどうにも地雷を踏み抜く傾向が強いのか相手を良く困らせたりしていることが多い。
 
「よ、よしそれじゃあ行くか!」

 気分を入れ替えて海の家に向かい始め相手の手を見て思い出したかのようにさっきまで座っていた場所へダッシュ。砂浜に刺さったままだったビンを回収して海の家へと向かった。
 そして破棄するレシートを1枚貰い裏にアドレスを書き込むとそれを七生に差し出した。

「ほら、後でメールでも何でもくれれば返信するから」

 そう言うと彼は肩をポンポンと叩かれる。
 その叩いた主は店主。少し買出しを頼みたいと言われてしまう。

「……悪いそういうことだ。俺行くな。なんかカキ氷用のシロップが無いらしいから買いにいかねぇと。またな七生」

 シャツをちゃんと着直し外に止めてあった自転車に跨ると手を振ると街の方へと走っていくのだった。

ご案内:「浜辺」から三谷 彰さんが去りました。
東雲七生 > 連絡先を受け取って、先述の通りにそれを財布にしまい込む。
こうしておけば財布を落とさない限り連絡先を失う事は無いし、帰ったらすぐ端末に登録するので忘れると言う事も無いだろう。

「おう、サンキュー。
 それじゃあな、三谷!……それと店長も、お疲れさんっす。」

買い出しに向かう少年と、海の家の店長の両方に挨拶をして。
ついでにイカ焼きを一つ買ってから、七生は元居たレジャーシートの上に戻ってきた。

もう少しのんびりして行こう、と。

東雲七生 > 特に何かしたい訳でもない。
ただただ砂浜に寝そべって、ぼんやり波の音に耳を傾けたり、他の海水浴客の歓声を他人事のように聞き流したり。
意味があるのか無いのか、どちらかと言えばほぼほぼ意味なんて無い時間を過ごすのだ。

無益な時間の使い方が出来るのも、今の内じゃないかと思う。
少なくともあと一週間ほどもすれば学校が再開される。
そうすれば毎日授業や課題に追われる事になるだろう。先の三谷の主張ではないが、それこそ恋人を作る暇すら無い……のは言い過ぎかもしれない。

「そもそも作る気もあんまりなあ……」

何度考えても、自分には縁の遠い話だと思う。
そう言って自ら避けているだけだというのも、何となく、自覚はあるのだけれど。

東雲七生 > 学校でも、『草食系』とクラスメイトに言われた事がある。
そんなつもりは更々無いのだが、傍目から見てそういう風に見えるだろう事は否定出来ないので曖昧に笑って誤魔化した。
ただ、ムッツリスケベだけは全力で否定した。何故草食系男子かムッツリスケベかの二択なのか。
………いや、強い否定に出た分、自分自身思い当たるフシがない事もない様な気がしないでもない。

「……はぁ、高2の夏が終わるなぁ……。」

去年の夏休み後がそうだったように、今年の夏休み明けも彼女が出来ただのなんだのといった話に付き合わされるのだろうか。
正直、祝福する気が無い訳じゃないが、だからって赤裸々に様々な事を報告されても困る。何処でナニをシようが知ったことじゃあない。
でも、そういう自慢をしてしまいたがる年頃なのだろう。
もし自分が、もう少しだけそう言った事に奔放だったら。

「……くぁ。」

あくまで仮定の話だが。
もしかしたら、今よりもっと“男らしく”あれたかもしれない。

──馬鹿馬鹿しいな、と思いつつ。
波の音を聞きながら、いつの間にか七生は眠りに落ちていたのだった。

ご案内:「浜辺」から東雲七生さんが去りました。