2016/09/20 のログ
■東雲七生 > ぐずついた天気が続いたせいか、若干尻が湿っぽい。
もっと天気のいい日に来ればよかったかな、とぼんやり考えたが海を眺めているうちにどうでも良くなった。
最悪、帰り際に海の中に飛び込めば全部うやむやになるだろうから。
「……それはそれとして、異能。異能なー。」
怪我をしなければ使えない異能を、どうやって怪我をせずに使うのか。
完全に怪我を避ける事はまず不可能だろう。出血しないと使えないのだから。
ご案内:「浜辺」にアイシャさんが現れました。
■東雲七生 > 極めて単純に考えて、幾つか案が無い事もない。
ひとつ、怪我をしているのが当たり前と周囲に認知させるか。
ふたつ、周囲に怪我を察知させられないようなガジェットを用いて異能を発動させるか。
みっつ、この際自傷癖のある人間として周囲に認知されるか。
……あれこれ一つ目と三つ目同じじゃねえの、と指折り数えながら首を傾げる。
だとしたら、単純に二択だなあ、とのんびり考えつつ海を眺める。
ついでに、釣竿でも持って来れば良かった、とも。
■アイシャ >
(海の方から低空を飛行してくる物体。
推進装置の光がチラチラと不安定に光っている。
海に脚部が触れるか触れないかの低空をそれなりの速度で飛行しており、海面と対衝撃空間装甲が反応して小さな爆発が何度も起こっている。
浜辺にいる彼の方へまっすぐ向かっていて、浜辺まで到達するにはそう長くはかからないだろう。)
――いて――ど――て――!
(遠くから叫ぶが、まだ彼には声は届かないだろう。
右手をぶんぶんと横へ退くように振りながら、どんどん近付いてくる。)
――どい――どいてください――!
(聞こえた頃にはもう目と鼻の先。
速度は時速四、五十キロぐらいだが、重量百五十キロほどの物体である。
直撃すればただでは済まない。
推進装置の不調で姿勢制御で手一杯なため、浜辺に侵入する直前に推進装置と対象撃反応装甲をオフに。
同時に地面を蹴って彼から見て左側に跳ねて避けようと。)
■東雲七生 > 「……へ。」
すん、と鼻を鳴らして我に返る。
何か聞こえた気がして会場に目を凝らせば、自動車並みの速度で何かがこちらへと向かって来ている。
どいてください、そう言ってる事に気付くと咄嗟に体を動かそうと試みるが、
ふと、何かの拍子に教わった「交通事故で歩行者が車が避けようとする方向へと避けてしまう」という事例を思い出す。
反射的にその場で身構えると、どうやら接近していたものは回避行動を取ったらしい。
左方へ跳ねた物体を目で追いながら、安全を確認すると腰を上げる。
一体何が突っ込んできたのだろう、と海の方を一瞥してから、浜に打ち上げられたであろうそれを確認しに向かった。
■アイシャ >
(ドッ、と砂地に着地。
が、不安定な足場と姿勢では、速度を殺しきれない。
しばらく地面を滑るように移動していたが、前方へ回転するように跳ねた。
頭部を手で覆うと同時にフィールドアーマーを展開し、砂地を跳ねる。
二度三度と跳ねたところでフィールドアーマーが切れ、横倒しになりながら砂地を滑っていく。
彼から十メートルほど離れた地点に、上下逆さまの状態で半ば砂に埋まったような形で止まった。)
――お怪我は、ありませんか。
(そこから声をかけた。
彼に届くだけの声量で、電子的な声。
DTMに使われる合成音声のような声だ。)
■東雲七生 > 「………何だアレ。」
振り返ってから少しの間、砂浜を転げるようにしていたそれは、ようやく動きを停めた。
その姿を確認すれば、どうやら人型の様で、掛けられた声からすると、此方の身の安全を確認しているらしい。
「いや、うん……無傷だけど。
ていうか、そっちこそ大丈夫?それ俺のセリフじゃない?」
見た感じ怪我をしそうにないけど──
妙にメカメカしい装甲に身を包んでいる様を見て、
あまり機械に造詣が深くない七生は首をかしげるばかりである。
■アイシャ >
それはよかったです。
(怪我がない事を確認したら、立ち上がろうと腕を動かす。
が、砂に埋まっていると言うよりめり込んでいる状態なので、腕の力だけでは上手く起き上がれない。
脚を使おうにも、そういったことには不向きな逆関節。
加えて左腕に長い回転式の機関銃を装備しているため、上手く地面を押せない。)
――申し訳ありませんが、起き上がるのを手伝っていただけないでしょうか。
脚部を押していただくだけで構いませんので。
(しばらく手足をもごもご動かしていたが、一人で起き上がるのは無理と判断。
彼に助けを求めることにした。)
■東雲七生 > 「……えっと、うん。ありがとう……。」
困った様に頬を掻きながら礼を告げる。
まあ突っ込んできたことに対するバツの悪さからこちらを心配してくれたんだろうな、と思いつつ。
そのまま身を起こそうとするのを見守って。
……
「……えっと、ああ、うん。
脚部を押すというと、この辺り?」
きっと後肢に見えるこれだろう、と見当をつけて促されるままに手を貸す。
酷く重いから驚いたが、それでもびくともしない程では無いので懸命に押した。
■アイシャ >
(彼が押すのに合わせて、もう一度腕に力を入れる。
近くにいるならば、関節部の機械部が動く音が聞こえるだろう。
そうしていれば砂にめり込んだ胴体を引き抜き、横倒しに倒れる。
ズゥン、と言う重い音と共に地面が揺れた。
そのまま逆関節の脚を器用に動かし、立ち上がる。)
ありがとうございます。
私、風紀委員会特別攻撃課所属、型式番号ISA-0000、固体名アイシャ=アシモフです。
どうぞお見知り置きを。
(お礼の後に所属と名前を名乗り、バイザー型の頭部装甲を上げてお辞儀。
関節部に砂は入り込んでいないようだ。
海上飛行と言う事で、念のため関節にシーリングを施しておいて助かった。)
■東雲七生 > 何だか耳慣れない駆動音に戸惑いを覚える。
どちらかといえば、機械には親しい方では無い。一人暮らしをしていた頃も、今の居候先でも、家電以外の機器には触れない生活をしていきている。
なので変に触れれば壊れてしまいそうな気がして、身を起こす手助けをした後はすぐさま離れた。
「あ、えっと。別に良いよ、気にしないで。
……アイシャ、アシモフさん?
俺は東雲七生。……そっか、風紀委員なんだ。」
相手の自己紹介とお辞儀に釣られる様に返しつつ。
ごてごてとしている様に見える装甲に目を向ける。
こんな重装備が必要なほど今の風紀委員って困窮してるのかな、と内心で首を傾げつつ。
■アイシャ >
東雲七生さん、ですね。
はい、風紀委員の所属です。
(逆関節タイプの脚部は巨大だ。
身長は二メートルほどになるため、彼からすればかなり見上げる形になるだろう。
疲れるだろうと出来るだけ脚を縮めて見たが、それでも彼より少し高い。)
――ああ、この装備ですか。
特別攻撃課の所属ですので、高い戦闘力を持つ兵器として作られた結果です。
風紀特攻課、マルトクと呼ばれていますがご存知無いですか?
(風紀が誇る決戦部隊の一つ、特別攻撃課。
理不尽な犯罪者相手に、より強い理不尽を叩き付けるような部隊である。
いろいろな意味で結構有名だと思っていたので、首をかしげて尋ねてみた。)
■東雲七生 > 「いや、全然。」
元より何かに所属する事に抵抗があった七生である。
風紀委員の事情なんて露ほども知らなければ、知る気もあまりない。
風紀委員に対して無関心なわけでは無く、割とあらゆる委員会、部活動に対しても同様だった。
「まあ、何て言うか……大変なんだなあ。」
実情を知らない以上、労いの言葉も思い浮かばず。
呆けた様な間の抜けた声で感心した様に言葉を発した。
特に犯罪者になる気も関わる気も然程無いので、それに併せてそういった対応組織と関わる事もないだろうなあ、なんて他人事である。
■アイシャ >
そうですか……。
(自分の所属している組織を知らない、と言われて少ししょんぼり。
結構名前が知られていると思ったのだが、確かにあまり知られない方が平和で良いのかもしれない。)
――東雲さんはここで何をしてらしたんですか?
(気を取り直して彼の事を聞きつつ、辺りを見回す。
泳ぐには少し時期が遅いし、何よりそんな格好ではない。
釣りにしては道具が見えないし、走っていたと言うわけでもなさそうだ。)
■東雲七生 > 知らないものは知らない、関心もあんまり無いから仕方ない──
少しだけしょんぼりした様な気配には申し訳なく思ったが、仕方ない物は如何とも言えない。
ふぅ、と息を吐いて気を取り直すと、掛けられた問いに一度海に振り返って。
「──ああ、考え事。
静かだし、ちょうどいいなって思ってさ。」
まだギリギリ泳げる気候だと七生は思っているのだが、
ここのところの悪天候の所為か水が濁っていてどうもその気にはならない。
■アイシャ >
それは、――申し訳ありません。
(考え事にちょうど良い静寂を、自身がめちゃくちゃにしてしまった。
彼が皮肉で言っているわけではないと言う事はなんとなく分かる。
が、結果としてそういうことになってしまったのは事実だし、申し訳なく思う。)
私は海上の哨戒を兼ねて飛行試験を行っていたのですが、推進装置の調子が悪くなってしまって。
進行方向を陸へ向けたは良いのですが、上手く制御できず、ごらんの有様です。
(先ほど着陸した地点へ目を向ける。
バウンドした地点には窪みがあるし、そのあと転がったところにはしっかり跡が付いている。
そして足元、止まった場所はものの見事にえぐれていた。)
■東雲七生 > 「あっ、いやいや気にしないで!
煮詰まってたところだし、別段迷惑被った訳でもないし!」
驚きはしたけれど、と苦笑を浮かべて首を振る。
それよりも、と砂浜の状況を見て、装甲を含めたアイシャの総重量が相当な物である事を再認識した。
「飛行試験って……何か凄く重そうだけど、それで飛べるんだ……?」
何でもありだなあ、と小さく肩を竦める。
まあ、それらが自分に対して何か影響を及ぼすとも思えないので、他所でやる分には一向に構わないのだが。
■アイシャ >
そう、ですか?
(どうやら邪魔をしたわけではないらしい。
少し気が楽になった。)
ええ、高濃度の粒子を放出する推進装置で、脚部装甲と背部に装備されています。
背部のものは可動式で高い機動性がありますし推力重量比は装備無しの状態で3.5、全武装装備状態でも1.5の高出力を有するほか瞬間的に推力を高める事によって爆発的な加速を実現する事で運動性能と速度性能を両立させ――
(装備のスペックを語りだすと途端に嬉しそうになる。
そのあまり聞かれていない事までベラベラと妙に滑舌の良い早口で喋りだした。
止めないといつまでも喋り続けそうだ。)
■東雲七生 > 「うん、うん。」
こくこく、と頷く。
何だか湿っぽい空気を察しての気休めのつもりだったが、思いの外上手くいったらしい。
だが、
「………えーと、
………へー
………なるほど。もういいよ、分かった。分かったから!」
自分で訊ねたこととはいえ、流石に訊きたかったことの範疇から出てしまえば慌てて止めに入る。
というか話している事の内、1/10も理解できなかった自信がある。
まるでチンプンカンプンで、こんなに意味が理解できないのは魔術の初歩と言われてルーン文字の解読をさせられた時以来だった。
■アイシャ >
――あ、し、失礼しました。
どうしても装備の説明になると熱が入ってしまい……。
(てへへ、と恥ずかしそうに笑う。
機械の腕で頭をかきつつ、舌を出して謝罪。)
ええと、簡単に言うと超凄い推進装置、と言うわけです。
(改めてざっくり説明。
同時に背中の推進装置を動かしてみせる。
メカメカしい音を発しながら滑らかに動いている。)
■東雲七生 > 「いや、うん……ビックリした……。」
恥かしそうな様子にも若干薄ら寒い物を感じつつ。
ひとまず小さく深呼吸して気持ちを落ち着かせる。
流石に声を荒げて制止するほどの事でも無かったかな、と反省して。
「……ふうん、超凄い推進装置……。」
今度はまたえらいざっくりしてきたな、と思いつつ、
それでようやく理解に至る自分にも呆れてしまう。
超凄いんだから、きっと自分が付けても空を飛べるんじゃないだろうか。
そんな事を考えながら、推進装置が動く様を見つめて、
「うーん、でも着替える時とかいちいち面倒臭そうだな。」
以前背中にトンボの翅が生えた時も、相応に邪魔だったし、と。
■アイシャ >
ええ、超凄いです。
宇宙にいけちゃうぐらい凄いです。
(スペック上は大気圏を突破出来るらしい。
やった事はないし、必要性も感じないが。)
着替え、ですか?
装甲は動きに干渉しない形状になってますし、着脱も邪魔にならないようになってますが。
(着替え、と聞いて首を傾げる。
服を着ると言う概念はない。
装甲の着脱の事かなと思い、特には邪魔にならないと説明。)
■東雲七生 > 「そりゃ凄いや!
いやまあ、流石に宇宙に行けても困るだろうけどさ。」
行ってみたい事は行ってみたいが、流石に踏むべき手順を踏んで行きたいものである。
ぼんやりとそんな事を考えてたら、どうやら認識に齟齬が生じていたらしいことに気づき、
「あっ、そうじゃなくて。
その推進装置を、俺が背負ってみたらって話。」
流石に他人の衣類関係に口を出すつもりは更々無い。
見た目と話を聞く限りでは相手が少女を模した機械的な何かである事は間違いないだろうし。
■アイシャ >
行く用事も無いですからね。
(あれば行くが、今のところはその予定も無い。
もしかしたら今後そういう任務も組まれるかもしれないけれど。)
あ、そう言うことですか。
うーん、私の動力炉の生成する粒子を推進剤として使用しているので、そういう機材も一緒に積めば可能ではありますが……。
(腕を組んで考え込む。
魔術的な要素を組み込んでいるとはいえ、基本的には機械なので、ジェットパックの要領で作れば出来なくも無いのだけれど。)
――使ったとしても制御しきれず地面にぶつかるか、加速時のGで身体が潰れてしまいますね。
(それよりもそこが問題である。)
■東雲七生 > 「だ、だよねぇ……」
そもそも一学校の委員会でしかないのに宇宙に行く要件って何だろ、と思わなくもない。
「あー、なるほどなあ。
すいしんざい、そういうのも必要なのかぁ。」
どうやら思ってた以上に複雑らしい。
元々妄想半分で考えていたことなので、無理だと分かればあっさり諦める。
飛べない所で今のところ苦労したことは無いのだ。今のところは。
「うーん、なるほどねえ。
そう簡単に空は飛べないか……。」
■アイシャ >
推進装置は推進剤を噴射してその反作用で――あー、えーと。
ペットボトルロケットは水を空気圧で押し出して飛びますから、その場合の水が推進剤です。
(推進剤の説明をしようとしてまた話が難しくなりそうになった。
出来るだけ簡単に説明しようとするのだけれど、これでもまだ難しいかもしれない。)
上向きの力を垂直方向に維持するのって、結構難しいですから。
(ヘリのようにバランスを取るのが難しかったり、飛行機のように進み続けていないと重力に負けたり。
支えていれば立てる地上とは感覚が違ったりする。)
あ、すみません、ちょっと失礼します。
――はい、こちらISA-0000……はい、推進装置のトラブルで――現在地は――
(と、そこで通信が入った。
断りを入れてバイザーを下げる。
なにやら色々と通信を交わし、彼に向き直った。)
――すみませんでした。
私、そろそろ戻らないと。
天気も良くないので、お気をつけて。
(ぺこりと一礼し、歩き出す。
この姿で街中を歩くわけにも行かない。
近くの詰め所まで行けば迎えのトラックが来るので、とりあえず詰め所に向かおう。
途中、振り返って彼に手を振って――)
ご案内:「浜辺」からアイシャさんが去りました。
■東雲七生 > 「はあ── うん、じゃあなアイシャ!」
推進剤についての説明も半分ちょっと分かったか分からないかくらいで、ぐるぐる頭が回る様な状態だったが、
その場を去ると言うアイシャに我に返って頷くと、こちらからも軽く手を振って別れの挨拶をする。
街中や学校で見掛けたら目立つ事この上ないだろうけれど、どうするんだろうかなどと思いながら、去り往く後ろ姿を見送った。
「……うん、言われた通り天気も怪しいし、俺も帰ろう。」
再び一人になった浜辺で、空を見上げた七生。
結局異能について何一つ進展の無いまま、浜辺を後にしたのだった。
ご案内:「浜辺」から東雲七生さんが去りました。