2017/01/08 のログ
ご案内:「海底遺跡群」にファウラさんが現れました。
ファウラ > 「……」

海底遺跡、その中にある大広間の中
ぼんやりとした明かりに照らされるそこに一つの人影があった
ゆっくりと身を起こすその姿は時と湿気に蝕まれた遺跡の中では
場違いな装いで、ワンピースと……背中に浮かぶ奇妙な翼のようなものだけ。
潜水具すらないそのいでたちはぼろぼろになっており、
ある意味この場所に唯一ふさわしい点かもしれない。

「--------(此処は……どこ)」

伸びきった髪の合間から見える口元が不思議な響きの言葉を放つ。
はだしのまま立ち上がろうとし、そのままぺたんと座り込む。
よくわからないが少し前まで飛んでいた空とは全く違う場所。
暗くて、じめじめしていて……

(空が、重い)

高めとはいえ重厚な作りの天井が彼女の愛する空を覆い隠している。
建物の中というのはわかっても、
まさかここが水底にある遺跡の一部とは認識できているわけもない。

ファウラ > 広間の一角に目を向ける。
そこは壁が崩れており、その断面はまだ真新しいものに見える。
それもそうだ。
数時間前、厳密には2時間11分32秒前に彼女自身が突っ込んで崩落した場所なのだから。
音速近い飛行速度で目前に壁が突然現れれば回避などできるはずもない。
当然防御姿勢をとる暇もなく叩きつけられ、頚椎をはじめ体中の至る場所に重大なダメージを受けてしまった。

(活動維持、可能。本国との通信不可
 現在状況は不明)

自動治癒能力は働いているものの……いまだ直立歩行が可能なほどの回復には至っていない。
状況把握が叶わないため完全に機能を眠らせて修復にかかるわけにもいかず……人でいうなれば”眠る”程度の事しかできなかった。

ご案内:「海底遺跡群」に黒龍さんが現れました。
黒龍 > その海底遺跡の入り口辺り、何やら人一人分が納まる程度には巨大な”泡”に包まれた一人の男が海中を搔き分けるようにやって来る。
浜辺には偶に気分転換で訪れた事が何度かあったが、海底遺跡というものがあるらしいと知ったのはつい最近の事だ。
まぁ、暇潰しには最適だろうという軽い考え。
数十メートルだろうが数百メートルだろうが、潜水に適した魔術など幾らでもある。
その内の一つを使って、こうして海底遺跡まで何時もの黒いスーツ姿にグラサン姿でやって来たのだ。

「……へぇ、これが海底遺跡ってヤツか……思ったよりもデケぇな」

泡に包まれながらそう小さく呟く。そのまま、泡に包まれたまま堂々と中へと侵入していこうか。
その後、何だかんだで空気のある場所にまで侵入出来れば魔術を解除して泡が弾ける。

「……空気はある、と。まぁ来るヤツは来るだろうしな…しっかし」

お得意の気配感知と魔術探知をしてみれば、不可思議なモノは感じるが特に目立った反応は無い――筈だった。
いや、奥のほうに一つ”不自然な反応”を捉えた。それが何かまでは分からないが。

「……あぁ?”先客”かぁ?」

不審そうに独り言を漏らしつつ、その足は迷わず気配の先…海底神殿の大広間へと向おうか。
やがて、隻腕の黒スーツ姿の男が大広間へと姿を見せる事になるだろう。

ファウラ > 『……痛い』

やはりまだ体中が痛い。
ここはどこなのだろう?不安ばかりが募る。
明かりが機能しているところを見ると施設としては生きているようだが
世界には永遠に燃え続ける物も珍しくはない。
見たところかなり長い間放置されている場所のようで人の気配や温かさは全くと言っていいほど感じられなかった。

……いや、一つ知らない、けれどよく知っているような気配を感じる。
あまり動かない体をずりずりと引きずり、そちらへと顔を向ける。
ヒト族ではないもっと厄介な何か……それの捕獲術式にでも捕らわれたのだろうか。

「-----」

今の彼女はまさに手負いの獣で、真っ先に思い浮かんだ対処は……殲滅。
幾つかの術式と武装を展開しようとし……

(リンクの切断を確認。予備移転武装に切り替え)

そのほとんどが呼び出せないことに気が付く。
損傷が原因かはたまたほかの原因か。
なんにせよ今の状態では多少心もとないかもしれない。
それでも当たり前のようにいくつかの武装を展開し、入り口に無表情な瞳を向ける。
その片手は巨大なかぎづめに覆われ、体の周りにはいくつもの術式が展開されている。
その姿はぼろぼろの姿も相まって一見完全に人型をした怪物だった。

黒龍 > 「……何だぁ?この感覚……俺の世界とはちげぇが、”似たモン”を少し感じるぜ…」

どうやら、先客は只者ではないらしい。とはいえ、それで歩みを止めるほどに小心者ではない。
堂々と、革靴の音を海底神殿の無機質な空間へと響かせながら…やがて、広い空間へと出る。
――そこに、飛び込んできた光景をサングラス越しに金色の瞳で見据え。

「……ハッ!何だなんだヤる気満々じゃねーか小娘…」

その、彼女の片手の爪と周囲に展開された…己の世界とは異なる術式の展開を一瞥して笑う。
印象としては、獰猛な肉食獣のような…いや、もっと危険な”何か”を彼女に感じさせるかもしれない。

「――攻撃するのは勝手だが、一応聞いておいてやる。何者だ?テメェ…ここで何してやがる。」

自分の事を半ば棚上げにしてはいるが、そもそも先客は彼女の方だ。
そして、この臨戦態勢のお出迎え。それに、少女の様子を観察していて思う。

(……どう見ても本調子って感じじゃねーわな…コイツも俺とか他の異邦人みたいに別世界から来たクチか?)

ファウラ > 「-------。」

現れた相手に警告を告げるもそもそも言語が通じる世界ではない。
相手から放たれる言葉ももちろん彼女の記憶には一切ない言語。
彼女の認識できるものではない……はずだったが

(干渉術式の感知、解析......敵性術式との識別開始)

どうやら言語を共通認識させる術式が広間に広がる。この場所に設置された術式だろうか。
数分ほどあれば解析と適応が終わるはずだ。
しかし……

(待っている暇はない)

もしも拘束を目的に転移させられたなら、目前の相手は
”敵だ”
左手でゆらりと上体を起こすとともに背中の翼が大きく開く。
それと同時に翼から光子のようなものがパッと散り……

(排除)

超加速。閃光を残しながら亜音速で接近し相手に鉤爪を叩きつける。
まさに問答無用と言わんばかりのお出迎え。
同時に周囲の術式から槍やミサイルが先端を覗かせる。
それは瞬く間に広間に満ちていき、その切っ先を目前の男へと向けるだろう。

黒龍 > 「―――あぁ?」

彼女からの返答が無い。…あぁ、そうか。と、男は直ぐに思い当たる。
そう、言語の壁というヤツだ。翻訳術式を併用して語りかけるべきだっただろうが失念していた。

(…と、干渉術式…ああ、言語の共通認識のヤツか。まぁ、それは今はどうでもいい)

どうやら、目の前の手負いの”怪物”は完全にこちらを敵だと認識したらしい。
そして、こちらが動き出すよりも速く――少女の鉤爪の奇襲が男を襲う!!
対して男は無防備で…しかも、左腕が無い隻腕だ。右手もダランと垂らしたまま。
しかも、彼女が周囲に展開していた術式から槍やミサイルが先端をこちらへと向けている。二段構え…いや。

(先手で一気に畳み掛けて潰すつもり…か。こりゃ本調子だったらこの小娘面倒だな)

そう、面倒だ――が、次の瞬間。ガギィィィィィィンッ!!!と、鋼と鋼がぶつかり合う音が響く。
彼女の鉤爪は男のスーツを切り裂き、肉を抉る…いや、その皮膚で”止まっていた”。

「……どうした?もっと殺す気で来いよ」

淡々とした…冷めた声。まだ術式の展開はされきっていないから伝わらないかもしれないが。
そして、至近距離でサングラスの奥から黄金の双眸が少女をひたり、と見据えた。

ファウラ > 「…っ!?」

普段であれば姿勢制御をしつつ追撃を繰り出しているところだろう。
巨大質量を叩きつける程度であれば制御など造作もない。
けれど今は完全に姿勢制御も加速も翼に頼っていた。
受け流すでもなく、真正面から受け止められれば当然不安定な者の姿勢が崩れる。
この場合どちらかなど言うまでもない。

「アアァァァァ!」

分かりやすい言語……雄たけびを上げながらそのまま振り切ろうとするも
姿勢が流れていては押し切れず、かえって自分を吹き飛ばす形になってしまう。
そのまま空中で姿勢制御をおこない術式の発動。
無数の槍と爆発物を目前の男へと叩き込もうとする。
先ほどの一撃を止められた以上さほどダメージは期待していないが……

(多重転送……不可
 上位武器転送……不可
 衛星兵器起動……応答なし)

今のところ使える手段はそう多くない。
手持ちの中で目前の敵を”排除”しきらなければならない。

黒龍 > (まぁ、槍とミサイルを同時にぶち込まれてたら流石に無防備に受けるのは避けた…が)

人の姿をした怪物はこちらも同じだ。人間形態で能力はランクダウンしているとはいえ…正真正銘のドラゴン。龍種。
彼女の一撃に”真っ向から”耐え切ってみせた。とはいえ、相手も姿勢を崩してもすかさず距離を取って体勢を立て直すのは中々だ。

(成る程、戦闘慣れしてる…っつぅのは今更か。…おお、大盤振る舞いが来やがった)

男に向けて無数の槍とミサイルが叩き込まれる。そこで初めて男は動いた。
まず右手を握り締めて拳に。そして思い切り振りかぶり――…こう告げるのだ。

「そろそろ”解析”も終わる頃だろ小娘。少しだけ付き合ってやるから…」

そして、拳を振るえば、ミサイルと槍を”殴り飛ばす”。幾つか弾みで爆発してしまうが構わない。
そのまま強引に拳を振り抜き、爆発したミサイルの爆風も利用して槍も纏めて殲滅していこうか。

流石に、右拳からドロリとした血が滴り落ちるが…一歩、二歩と無造作に距離を詰めていく。

「気が澄んだらこっちの話を聞けやオイ。手負いのヤツと戦ってもつまんねーんだよ」

爆発と衝撃で流石にスーツもあちこちボロボロになりかけだが、その肉体も態度も揺るぎはしない。
――これが男の、龍の王の一人としての在り方だ。

ファウラ > 「-----聞け---。--いの-------つまん---だよ。」

ダメージは期待していなかったが目くらまし程度にはなる。
爆風の中相手の言葉が少しだけ伝わってくる。
戦闘中に会話をしたがるものは意外と多いが……相手もそうなのだろうか。
特に竜…翼竜などの低ランクのものでなく知恵あるものと称される
古きものや魔の力を宿す絶対者などにその傾向は強い。
気配とも一致する。

ブォンという低い音と共に手負いの鷹の周囲に光子の剣が九振り浮かび上がる。
某宇宙大戦の映画を見たことがあるのであればとある武器を思い出すだろう。
……浮いているそれが大剣サイズで出力とその数がおかしいという点を無視すれば。
その一振りを片手でつかみ無言で投擲。同時に

(もっと広い空を飛びたい)

根源たる欲求が鎌首を擡げる。
それの邪魔をするものはすべて…全て全て全て

「排除」

そう呟くとともに眼前のそれへと爆風を切り裂き再び切りかかる。
その姿はまるで巨大な光の猛禽のような姿で
それに触れたミサイルや槍の破片は剣呑な音を立てながら
悉く蒸発していった。

黒龍 > 「……チッ、爆風とかで聞こえてねぇか。纏めて術式で外に逃がすべきだったか」

どうもこちらの世界に来てから、まともに強者との戦闘をしていないのもあり勘が鈍ったようだ。
男は、元々龍としての格は最底辺…そこから、実力だけで最高位まで上り詰めた存在だ。
蓄積された技術と魔術のソレは尋常ではない。だからこそ、手負いの相手より万全の相手の方が楽しいのだが。

「……へぇ、光の剣、ねぇ。俺の世界にも同じようなのはあったが…っとぉ!」

別の世界であっても、ある程度の類似性はあるのだろうか?それが機械であり兵器や武器というものか。
…もっとも、その光の剣は1本1本の出力がどう見ても桁違い。そして無言で投擲されたそれを右手で掴み取る。瞬間、光が消えてしまうが…。

(…解析…構成模倣…展開…ついでに…形状変化、と!)

ブォォンッ!!光子の剣が、全く別の光の剣…いや、巨大なハルバードへと再構成される。
そして、爆風を切り裂き迫る光の猛禽。迎え撃つは隻腕黒衣の龍。

「―――テメェが飛ぶのはこんな海の底じゃねーだろうが。”飛ぶ場所を間違えて”んじゃねぇ!!」


次の瞬間、光子の刃と再構成された光斧剣が真っ向から激突する!!
流石に、激突の余波で二人が衝突した基点を中心に床などが溶け落ちていくがそれは無視。
激しい激突により振動すら起こるが構わない。龍は猛禽を真っ向から受け止める!!

ファウラ > 相手はあの飽和攻撃を拳ひとつで防いで見せた。
近接戦闘に関しては相手に一日の長以上の優位性があるのはおそらく間違いない。
ならば……とる手段は真っ向勝負ではなく搦め手。

「邪魔……しない、で」

つかみ取り展開される斧槍に真っ向から突っ込んでいく。
4本を束ね出力をあげ、迎撃に振るわれる刃を抑え込む。
残りの4本は触れることなくとも宙を駆け、対象へと切りかかる。
余りの熱量と衝撃で周囲が溶け、砕け、罅が走っていく。
並みの存在ならそのまま瞬時に消し飛びかねない暴風の中
二匹の獣が激しい衝突を繰り返し続ける。
それと同時にクラッキング開始。

(……システムの変異を確認
 干渉開始、予定セコンドより2.3秒の遅延を確認)

本来であれば迎撃された時点で干渉し、刃を消してしまうつもりではあったが
相手の解析速度と高度に重ねられた術式の練度を見誤った。
干渉にはしばらく時間がかかるだろう。

(間に合わない)

見た目通りかなり派手な攻撃だが、この攻撃は見た目通り
光子を利用した物の為、かなり消耗が激しい。
ましてや相手に大型の刃を展開されれば……
この場で光子を放っているのはただ一人。余計な消耗を強いられる。
それでも……

「私の、先、誰も飛ばさない」

合計5振りの致死の刃を振るい、その全てを往なされ続けても前進を続ける。
一瞬でも動きを止めればその隙に光剣が突き刺さるような状況でなお
一歩も引かず迎撃し続ける相手と舞い踊るように空を駆けて。
その瞬間は他の存在をすべて忘れ、ただ目前の龍に今振るえるすべてをぶつけていった。