2015/06/13 のログ
ご案内:「常世神社」に井戸木さいこさんが現れました。
■井戸木さいこ > ……一人の少女が、ぼうっと神社で本を読んでいる。
寂れた夜灯の元で、頁を捲る。
「……」
本の名前は、壊れかけた世界。
近未来における、崩壊直前の"ディストピア"の崩壊と人間関係を描いた物語。
-警戒せよ! 信用するな! レーザーを手放すな! -
「……ドロドロだねぇ。」
久々に、読みたくなった。
こういう話も嫌いじゃないし、井戸木さいこはこれも人間だと考える。
騙すのが、偽るのが、舌を回すのが、嘘を憑くのが人間だ。救われる人間も居れば救われない人間も居る。
……研究所に居た時代や、野良で居た当初のさいこに映る世界世界でそれが全てだった。
今では、どうだろうか。
確かに未だに、心の底ではそう思っている。それだけでもない事を知っている。
■井戸木さいこ > 頁を捲る。このような物語にもラブロマンスの展開はある。
ふと
「……」
脳裏に来島宗仁の顔がちらつく。
彼は底抜けにお人好しだ。火傷しそうなぐらいに救う事への熱い意思と、
離れられなくなりそうな暖かみを感じている。
でも
(きっと、彼はあの人が好きなんだよね。うふふ、私って惚れっぽい。)
今はまだ恋じゃないと思う。でも、それもいつまでかは分からない。
いつの間にか、離れきれないずっぼりなんて事もあり得る。
(それだけは、しないようにしなきゃ)
■井戸木さいこ > ……ぼうっと頁をめくり、足をぶらつかせている。
■井戸木さいこ > 「……うん。少し落ち着いた。」
本を閉じて、大きく息を吐く。
「たまにこういうのを読みたくなるのは、特に最近はこうなのは、なんでだろう?」
ご案内:「常世神社」から井戸木さいこさんが去りました。
ご案内:「常世神社」に井戸木さいこさんが現れました。
■井戸木さいこ > 「あ、いけない、忘れ物……」
そう言って、本を取りに戻る少女。
大事そうに、その本を抱えるだろう。
ご案内:「常世神社」に薄野ツヅラさんが現れました。
■薄野ツヅラ > (かつり、かつりと)
(乾いた杖をつく音が夜の───深夜の神社に反響する)
ンー……見事に完全敗北ねェ……
(のんびりと満身創痍の赤ジャージが神社を歩く)
■井戸木さいこ > ……本を抱え、空を見上げる少女。
それはさながら見果てぬ夢をへと思いを馳せるような、甘さと諦観の混ざった表情を見せているだろう。
井戸木さいこは薄野ツヅラには気がついていない。
只々本を抱え、夜空を眺めている。
■薄野ツヅラ > さいこせーんせぇ、こんな時間にノスタルジイにでも浸ってましたぁ?
(人がいるとは思わなかった。更に見慣れたオッドアイ)
(ぼんやりと空を眺める様子にどこか儚さを覚えながらも)
(またいつも通り軽口を叩いた)
■井戸木さいこ > もし、貴方が音を聞けば、誰かへの好意と諦観が窺い知れる。
彼には彼女が居るから。そんな言葉が終わることなく反響する。
井戸木さいこは、"それに"気付いていないふりをしている。だからこそ、只管反響しているのだろう。
『Es』と『超自我』のせめぎあい。彼女はそれへと目を背ける。
■井戸木さいこ > 「……ぁ、ツヅラちゃん。うふふ。」
くす、と、そのまま笑ってみせる。
それはいつも通りの柔らかい表情でこそあるものの。
始まる前に終わりを見た様な酷い顔かもしれない。
「こんばんわ、こんな所で――って、どこか具合悪いの?大丈夫?」
軽い口に応じようとした所で、杖を見る。
まるで何かから逃げる様に、意識と視線がそこへと動くだろう。反響が聞こえていれば、止む。
■薄野ツヅラ > ンー……あっちでもこっちでも色恋ねェ
(やれやれ、と云った様子でヘッドフォンを外して肩に掛ける)
(かつり、かつりと杖を頼りにさいこの横へと歩み寄る)
(ちょこん、と横に座り込んで笑った)
どうもお悩みみたいですねェ?
■薄野ツヅラ > あっは、軽い───
(軽い怪我、と云いかけて口を噤む)
(困ったように笑うと重い怪我を、と云い直す)
大丈夫ですよぉ、生きてればなんとかなりますしぃ
■井戸木さいこ > 「……なんでもないし、終わった話だよ。大丈夫。」
井戸木さいこは薄野ツヅラの能力を識っている、
心の音を拾われた可能性を察して取れば取り繕わずに短く答えるだろう。
嘘吐き、なんて言いたくなるかもしれないが。
夜灯の質素な光が井戸木さいこを照らす。
丁度顔の半分が照らされる。残りの半分が影に落ちる。
「大丈夫なら、何も言わないよ。
ちょっとは頼られたいけどね、うふふ。」
■薄野ツヅラ > 自分の気持ちには正直であるべきだと思いますよぉ──……☆
じゃないとしんどいし脳が疲れちゃいますからねェ
(どこか幻想的な風景に、薄野廿楽は息を呑んだ)
(快活な印象だった女性の、また違った表情)
(手を取らなければ消えてしまいそうな、そんな不安定な美しさ)
(ぼんやりと眺めていたのを誤魔化すかのように、ポシェットからキャンディを取り出した)
■井戸木さいこ >
「うふふ。最近は無条件に幸せだったからこのくらいでいいのかも。
幸福恐怖症、って奴なのかなあ。」
完全に向き直り、立ち位置を少し変える。
灯りからの照らされ方が変われば、見え方は変わる。
"その貌からは暗い影"は見えなくなる。
光は薄野ツヅラの視界に入る井戸木さいこを照らす。影は見えない背面に落ちる。
「にしてもツヅラちゃん、どうしたのかな。
この辺、あんまり来ないと思うんだけど……学園の方に用事でもあったの?」
■薄野ツヅラ > 幸福恐怖症───ン、解らないような解るようなぁ…?
(曖昧に返事をすれば、また笑う)
(光の当たり方が変われば無意識に勿体ないなァと思案する)
(キャンディの包み紙を開けつつ笑顔でさいこを見た)
珍しく気が向いたから散歩してただけよぉ?
カフェテラスのイタリアンはなかなか悪くはなかったわぁ───
(アア、でもフラペチーノは甘すぎた、とキャンディを口に放る)
■井戸木さいこ > 「うふふ。曖昧だねえ。」
柔らかく笑ってみせる。
落ち着かないのか、座っているであろうツヅラの周りをゆっくり歩き回る。
甘そうなキャンディを見れば、眼を細めた。
(うふふ、羨ましいぐらいに甘そう。)
「そっか。あのカフェテラス、大体のものが美味しいからねえ。
そうだね。気が向いた甲斐のあるものは見れたかなあ?」
■薄野ツヅラ > ええ、それはもう面白かったわぁ──……☆
公安の偉い人に平等な人外に改心した元不良、それから広報部の頭の切れるお嬢さん
見事ねェ、ってくらいには有名人が出揃ってて驚いたわぁ
(先刻の様子を思い浮かべて頬を緩める)
(言葉だけであそこまで気分が高揚したのは久々だ、と笑った)
(視線に気づけばポシェットからチュッパチャップスを取り出して差し出した)
よければどうぞぉ?
■井戸木さいこ >
「うふふ。そこに有名人のツヅラちゃんも混ざったら、一大イベントかもねぇ。
……顔、にやけてるかも、ツヅラちゃん。」
頬を緩めた少女へ、暢気に笑ってみせるだろう。
チュッパチャップスを受けるとも、すぐには口にしない。
「うふふ。ありがとう。でもちょっとだけ意地悪な質問。
わたしはこれを、食べてもいいのかなあ?」
■薄野ツヅラ > ボクみたいな一般人が混ざっていい場所じゃあなかったけどねェ
────楽しかったから仕方ないんだゾ、
(意地を張る気もどこへやら、のんびり笑った)
(ン、いらなかったのかしらぁ──と暫し困惑したものの直ぐにはァ?といつもの調子に)
食べてもいいって何でそんなこと聞く訳ェ?
ダイエット中?
■井戸木さいこ > 「うふふ。楽しかったなら仕方ないねえ。」
はしゃぐツヅラへと目を細めて、慈しむ様に笑う。
彼女はやっぱり、そういうことが、火遊びが好きなんだろう。
その気持ちは、奥底の感情は。何となく、察しがついた。
本人は否定するかもしれないし、本当は勘違いかもしれないけど、井戸木さいこに心を読む術はない。
悪戯をして注目を向ける。アイデアが回わし気付いてしまえば、
井戸木さいこの中で黒いものが波打った。確かな異音が響くだろう。
「甘いもの<幸せ>は好きなんだけどね。
甘いものばかろ食べていたら、後が怖いかも、なんて。うふふ。」
■薄野ツヅラ > 不可抗力、ってやつねェ……
人間だれしも楽しいことは大好きなんだし
(少し悔しそうに拗ねてみせる)
(───あまり人に見せない、素の薄野廿楽の表情)
(其れは幼く、年相応と云うにはまだ幼い少女の顔だった)
ンー、別に怖いなら無理して食べなくてもいいんじゃない?
食べたら美味しいよ、ってだけだしぃ……
(何を言ってるのやら、と少女は笑った)
■井戸木さいこ > 「そうだね。楽しい事は大好き。
……うふふ、それじゃあ頂いちゃうよ。食べなくても変わらないもの、うふふ。」
キャンディををひとつ、口に放り込む。
悩ましげな表情が、軽く緩むだろう。
「うん。甘い。砂糖の人工的なダイレクトな甘さもやっぱり大好きな甘さかも。うふふ。」
■薄野ツヅラ > どうぞ?
(不思議そうな顔を浮かべてそれだけぽつりと)
(さいこの話を聞くや否や、嬉しそうに笑った)
でしょう?"脳"にいい甘さなのよねェ───…☆
■井戸木さいこ > 「うふふ、そうだねえ。頭を癒してくれる甘さだね。」
そう、頭を。
砂糖の甘みが直接、脳へと幸福を届けてくれる。
(市民、貴方は幸福ですか?)
人工的な甘みを享受すれば――
――先ほど読んだ本にあった一フレーズを、心の中で呟いた。
■薄野ツヅラ > ────幸福よぉ?
(にっこりと、さいこの顔を覗き込んで呟いた)
(幸い、この付近には人がいないようだ)
(鮮明に、さいこの"声"が聞こえる)
(随分と思い悩む様が読まずとも見てとれた)
■井戸木さいこ > 覗きこんで発された言葉に気付けば、
恥ずかしそうに察して苦笑を浮かべる。
「ん、漏らしちゃったかも。
さっきあった、本で出てきた一フレーズなんだけどね。
なんとなく、想起しちゃって。近未来ディストピアモノの本なんだけどね。
狂ったコンピューターに支配された壊れかけた世界で、誰も信じられない、出し抜きあう世界。
そんな中で繰り広げられる人間のドラマと恋愛、まだ読み終えてないけど、よくも悪くも凄く人間を書いていたから、
ちょっと印象に残っちゃったかも。うふふ。」
そろそろ切り替えないと。
飴玉を舐める勢いが少々強まった、だろうか。
■井戸木さいこ > 「ん………そろそろ行くかも。また会おうねえ。うふふ。」
そう言って、立ち去るだろうか。
ご案内:「常世神社」から井戸木さいこさんが去りました。
ご案内:「常世神社」にソラとルナさんが現れました。
■ソラとルナ > 夜の神社に少女がふたり。
1人はいつも以上にハイになって
普段の3割増しくらいくるくるしている。
もう1人は足取りも覚束なく、
手を引かれながらふらふらと歩く。
■ソラとルナ > ソラはルナの手を引いて、
休憩できる場所を見つけるとそこに座った。
そのままルナを自分の膝の上に座らせる。
いつもなら冷静に振り払うルナも、
今日はどこか惚けている様子でそこまで考えが回らない。
ソラに抱きかかえられてぼーっとしている。
■ソラとルナ > ソラは抱えたルナを徹底的に撫でまわす。
ルナもほとんど嫌がる素振りは見せない。
あまり力が入っていないらしく、
密着するようにソラにもたれかかる。
■ソラとルナ > ふと、いたずら心でも芽生えたのか。
ソラが後ろからルナの耳を咥える。
大袈裟なほどにびっくりするルナを見て、
くすくすと笑い声を漏らした。
ルナはいたずらされて尚振り払う様子を見せない。
■ソラとルナ > ソラはそのままいたずらを続ける。
耳に息を吹きかけてみたり、
脇腹をこちょこちょとくすぐってみたり。
昼間欲しいアイスを買って貰えなかったことを
根に持っているのかもしれない。
ルナはぷるぷると震えながらそれに耐える。
脇腹を触られて変な声が出て慌てて口を抑える。
が、悪手だった。
口を抑えたことで両手がふさがる。
かといって口を押さえずに声を出すのを堪える自信もない。
そのまま抵抗も許されず、ソラに弄り倒されている。
■ソラとルナ > 流石に耐えられなくなって
ルナは拘束を振りほどこうとする。
が、ただでさえ力が入っていないところに
くすぐられていては余計に力が出せず。
おまけにいつの間にか足まで絡め取られてがっちりホールドされている。
ルナは涙目になりながらぺちぺちとソラの手を
叩いてギブアップの意志をアピールする。
しかしソラはどこ吹く風。
くすぐりながらルナを押し倒し、
のしかかるような体勢になる。
本格的に逃げ道がふさがれ、いつもは冷静な
ルナの表情にも焦りが浮かび始めた。
■ソラとルナ > しばらくしてようやくソラの手が止まる。
くすぐり倒されて半ば過呼吸になりかけていた
ルナもようやく呼吸をする余裕を取り戻した。
あとは振りほどくだけ、なのだが。
寝てる。ぐっすり寝てる。
がっちりとルナをホールドしたまま、
ソラはすぅすぅと寝息を立てている。
神社の隅っこで銀髪の少女は嘆息する。
おそらく、金髪の少女が目覚めるまでは
離してもらえないだろう。
ご案内:「常世神社」からソラとルナさんが去りました。
ご案内:「常世神社」にスピナさんが現れました。
■スピナ > なにがどうこうしてそうなったかよくわからないけど
歩いてたら何やら珍妙な建物の側に来ていたらしい
■スピナ > 「……?」
もちろん少女はこんなものを見たことはなかった。
海の底(海底遺跡群)にも、建物みたいなものがあったけど
こんな形はしていなかった。
少女の好奇心は突き動かされっぱなしだった。
■スピナ > しばらくは境内を散歩し続けているだろう。
本殿を見たり、鳥居を見上げたりしながら
境内をうろちょろしている。
■スピナ > 「……!」
そこにあったのは自動販売機だった。
売られてる飲み物の中に、以前飲んだアップルジュースと、おしるこコーラを見つけた。
少女は歓喜した、また飲めるかもしれない、と。
近寄ってみたが、それは思ったよりもでかく、手が届かない。
そもそもこの箱はなんなのだろう。
■スピナ > 自動販売機をぺたぺた触ってみるが、なにもおこらない。
下の、取り出し口を覗いてみても、何もない。
下を覗いても、何も……と思ったが、100円硬貨が1枚あった。
それが何かはわからないが、とりあえず拾ってみた。
少女の謎は深まるばかりだった
■スピナ > 「むー……」
自動販売機を見上げている。
しばらく睨んだ後、諦めたのか、その場を後にした。
そのまま境内の出口へと向かう。
ご案内:「常世神社」からスピナさんが去りました。
ご案内:「常世神社」に神宮司 ちはや さんが現れました。
■神宮司 ちはや > (階段を一段一段上がり、鳥居をくぐる。僅かに汗をかいたが田舎道に比べればそう険しくはない。)
ここが常世神社かぁ。うん、この空気感懐かしい……
(軽い深呼吸をする。神社の清浄な空気が心地よい。周りの林もあってアスファルトの道よりわずかにすずしい)
■神宮司 ちはや > あ、ご挨拶しないと……。
(手水舎で手と口を清める。参道の端を歩き、神殿に近づくとそっと賽銭箱にお賽銭を入れる。5円効果がちゃりんと底に落ちた。鐘を鳴らして二礼に拍手。)
どうか僕がもっと強くなれますように……
(願掛けのあと綺麗に一礼。作法や所作は徹底的に叩き込まれているようだ)
■神宮司 ちはや > (そっと周囲を見回す。人気は無いようだ。裏手側も覗いてみるも誰もいない……)
うん、ここならちょっといいかな。最近舞ってなかったし
(人目につかない裏手側に回ると持ってきたスポーツバッグの中から扇を取り出す。
祖父に貰った綺麗な和紙の扇だ)
■神宮司 ちはや > (それから綺麗にたたまれた巫女装束の一つ、千早を上から羽織る。これがあると何故か気持ちが引き締まる。
そっと息を吸って、姿勢を正すと表情がガラリと変わった。
いつものおどおどした態度は鳴りを潜め、神妙さにあふれた静かな表情)
■神宮司 ちはや > (そっと扇を開き、祖父に教えられたとおりの舞を舞い始める。神楽舞、巫女舞と呼ばれるものだ。)
舞え舞え 巫(こうなぎ)
頭(こうべ)の飾りを打ち振るい
焔(ほむら)見やって踊りゃんせ――
(静かに足を滑らせると、その一帯が自分の安心できる場所になっていくような気がする)
■神宮司 ちはや > (何をやっても地味でどんくさく、目立つことも好まない自分が、唯一できること。
こうして一心に舞っていると、気持ちも思考も落ち着くのだ。
それに、"よくないものたち"の視線も感じない。
ひと通りの型を確かめるように滑らかに舞うとしまいの姿勢に戻り息をほっと吐いた)
■神宮司 ちはや > (元の表情に戻ると、少しだけ上がった息ではにかんだ。
誰にも見られていないから良いものの、こんなところは恥ずかしい。
それでも積み重ねてきたものが失われていないかどうか、確かめるために隙を見ては練習せねばならない)
■神宮司 ちはや > (はっと気がついて慌てて時計を確かめる。
一瞬だと思っていた時間は結構なこと流れていたようだ。)
あ、ああ!お夕飯間に合わなくなっちゃうかも!
(慌てて千早と扇をバッグにしまい、肩に担ぐとまた参道の端を大慌てで走り、軽い足音と共に階段を降りていった)
ご案内:「常世神社」から神宮司 ちはや さんが去りました。
ご案内:「常世神社」にサヤさんが現れました。
■サヤ > 鎮守の森のはずれ、人気の全くないそこに、一人の少女が、土の上に突っ伏して泣いている。傍らには半ばから叩き折られた刀が放り出されている。
「わた、私…壊れちゃった、こわれちゃったぁ。ああぁぁぁあああ、壊れ、壊れたぁ。」虚ろな顔で、ただひたすらそれを繰り返す。
かつてサヤと名乗っていた少女は、自らの使う刀に精神を同調しすぎて、刀に体の主導権を奪われつつあった。
その最中に刀が折れてしまったことで、OS書き換え中にシャットダウンされたPCめいて、精神に多大な負荷がかかり崩壊寸前なのだ。
もはや彼女にまともな思考力は残っておらず、取り返しのつかない絶望感と恐怖に怯え続けるのみである。
ご案内:「常世神社」に鳴鳴さんが現れました。
■サヤ > 「うぷ……げぇっ…~~~~!」ストレスで胃の中身が逆流する。もう何日もまともに食べていないため、出てくるのは胃液だけだ。
「はぁ……げほっ、げほっ……私……わぁたしぃ……壊れちゃったぁ。おしまい、もう、おしまいぃ……ははは、はは……。」もはや体を支える力もなく、吐瀉物の上に倒れ力なく笑う。その目は完全に狂人か、あるいは廃人のものだった。
■鳴鳴 > 森閑たる鎮守の森の中に、奇怪な瘴気が現れていく。
奇怪な瘴気は寄り集まり、一つの形を無し、鎮守の森の中を進んでいく。
それはまだ幼い童女の姿だった。褐色の肌に黒い髪。赤い瞳。
それが、森の中を歩いていく。
「へえ……」
嘆きが聞こえた。狂気が聞こえた。それに引かれるように童女は歩いていく。
そして、そこで一人の少女が地面に突っ伏し、喘いでいるのをみた。
狂ったように己の吐瀉物の上で笑っているのを見た。そして、道服の童女は、口角を吊り上げた。
「面白そうじゃないか」
童女は苦しんでいる少女の方へと歩き、地面にしゃがみこんで、その頬に手で触れようとする。そうすれば、自然と童女の黒い髪がしなだれていく。
「ねえ、どうしてそんなに苦しんでるの? 何がおしまいなの?」
口角を吊り上げながら、優しげな口調で少女に問う。赤い瞳の光が少女を射るだろう。
■サヤ > 頬に触れられても、少女はなんの反応も示さない。ただ、問いかけられれば「あぁー……」顔をあげて声の主のほうを向く、焦点の定まらない目で、その赤い瞳を見る。
「私ぃ、壊れちゃったぁ。」震える指で折れた刀を指さす。「あっちが、私なのに、折れちゃった。体ぁ、使えない……お、終わり、もう…私ぃ……。」弱々しい声で、意味の繋がらない、うわ言を返す。
アストラル的な視野で見れば、少女の体に宿っているべき魂が、半分以上刀に移っているのがわかるだろう。
この少女は刀を主体とした人の形の鞘になりかけていたが、刀が折られたことでそれも失敗し、どちらでもない状態になっているのだ。
■鳴鳴 > 「へえ、ほんとだ。壊れちゃってるねえ、君」
赤い瞳で少女を見つめる。その表情は実に嬉しそうだ。
人が壊れている。人が壊れている。狂っている。それを見るのが、童女のもっとも好むものだ。
少女に指されるままに折れた刀を見て、大体の事象を童女は察した。
刀と精神を同調させることによって、少女は刀と一心同体になるという技の持ち主だったようだ。
だが、刀のほうに魂を持って行かれていたらしい。主導権を握られつつあったようだ。
そのまま精神を完全に持って行かれていればそれはそれで幸せだったろうが、それも中途半端に終わったらしい。
故に、このように狂っているのだ。童女の口角が嬉しそうにますます吊り上る。
「莫迦だなあ……とても酷い状態じゃないか」
嘲笑うように小声で言う。
「いいや」
壊れたように笑う少女の頬を両手で挟もうとしながら言う。
「君は確かに壊れたけれど、大丈夫だ。僕なら君を、使ってあげられるよ」
顔を近づけながら少女に言う。幼い二人の少女の色は、実に対照的だった。
童女は黒く。少女は巫女服のような、明るい色だ。
「僕が君を直してあげるよ。君のその体を。それに」
少女の精神にしみこませるように、甘い囁きを耳元でささやく。
「壊れててもいいじゃないか」
■サヤ > 「あ、あぁ………。」頬を手で挟まれ、顔が固定される。その赤い瞳から目が離せない。何故か安らぎを感じて、涙が止まる。
「な、なお、直して……くれる……こここわれ、てても……いい、の?ほんとうに?」使ってくれる……?壊れてしまった私はゴミでしかないのに、いいんだろうか……。
「つ、使って……私、を…使って…お願い……。こ、こわ…こわれてても、いいから」すがりつくような声、きっとこの人が最後だ、このままだと私は捨てられてしまう。なんの価値もないゴミとして。
■鳴鳴 > 「ああ、壊れててもいい。いや、そもそもそんなことに意味なんてないんだ」
嘲り。嗤い。目を細めて優しげな欺瞞を吐きながら、少女の瞳を見つめる。これまでの出来事を見透かすように。返り血のついた、少女の巫女服のような服を眺めて。
「わかるよ。色々あったんだろう。でもね、そんなことは気にしなくていいんだ」
気にしなくて良い。何も不安がる事なんてない。そんな響きが少女の耳に滑り込もうとする。
「君は間違ってはいない。君は何も悪くない……そうだろう?」
その頬を撫で、首筋を撫でる。淫靡なまでの滑らかさを伴って。
「善も悪も、そんなものは相対的な差別だ。意味なんてないんだよ。
君が気に病むことじゃない。僕が赦そう。だから――」
「――君の好きなようにするんだ。僕の享楽のために、使ってあげるから」
壊れた精神を繋ぎとめるように囁く。否、そうではない。
童女が手招きをすると、折れた刀はひとりでに童女の方へと引きずられていく。
そして、その刀に触れる。その刀に触れたまま、サヤに顔を近づけていく。
「もう“鞘”なんていらないよ。君のままでいようじゃないか。どうなっても、君は君だ」
邪悪な笑みを浮かべると、少女の小さな口を奪わんと、その顔を近づけていく。
そしてそのまま、無理矢理口を割り開き、舌を絡めていこうとする。
確かに、童女は壊れた少女を直してやるつもりらしい。刀に触れ、刀に奪われた魂を少女に送り返す。折れたはずの刀が一つへとつなぎ合わさっていく。
ただし。少女に返す魂は、正常なものではないかもしれないが。
■サヤ > 「私は……まちがって、ない……悪く、ない……。わたしの……好きな、ように……。」オウム返しに繰り返す。それこそがずっと少女が求めていた言葉だった、右も左も分からない異世界において、間違えることと迷惑をかけることをずっと恐れていた少女は、自分を肯定してくれる存在を探していた。
そして、それが突然現れた、砂漠を彷徨う旅人がオアシスを見つけたような顔で、その言葉を心に染みこませる。
「ん……」口づけは、なんの抵抗もなく受け入れた。私はこの人をずっと探してたんだ、この人に捨てられたら、もう後はない。そう考えて、拙いながらも必死に舌を動かし、相手を喜ばせようとする。
もう、他のことはすべてどうでもいい、私はこの人に使われるために生まれたから。この人が私をどうしようと私は受け入れなくては。
歪められた魂を返されても、それを拒絶することなく、心を開く。
■鳴鳴 > 少女の精神を覗き込んだかのように、少女の求める言葉をかけていく。
絡め取るように。絡め取るように。
異邦人故にこそ、この世界との齟齬を恐れていた少女を、赦す。
赦し、肯定する。全てはありのままであっていいのだと。
享楽のままであっていいのだと。
刀の“サヤ”などもういらないと囁く。
目の前の少女に、童女は救い主のように映っているだろうか。
この童女が破滅と混沌を好む、狂った仙人であるのにも関わらず。
抵抗なく受け入れていく。その様子に、口づけながらも童女は心底嬉しそうに眼を細める。
深く口づけ、舌を絡め取っていく。長い間、淫靡な交わりの音が森の中に静かに響いていく。
自身が汚れようがどうなろうがいとわず、少女を抱きしめるように抱きつき、体を密着させて送り込んでいく。
闇に染まった魂を。剣に残された少女の残滓を、歪めて送り込んでいく。
全てを許し、サヤであることを捨てよと命ずるように。
襟のあわせに手を滑らせ、肌を撫でながら、ようやく口を離す。
二人の間には、銀の唾液の橋が架かっていた。
「……君は最高だ。いいよ、使ってあげる。好きなようにさせてあげるよ。そして、僕の玩具になってもらうから」
既に仕込みは済んだ。少女の魂は全て送り返した。最早少女がサヤである必要はない。
思うがままに、刀であるなら刀であればいい。己が享楽のままに。
そして、童女は嗤う。嗤う。少女の顔の前で、一つの印を切る。すると――
「さあ、君はもうサヤじゃなくていい。君は全てを、さらけ出していいんだ。
闇に染まるなら闇で良い。誰も、禁止などしない、いや――
僕が、そう命じよう」
――刹那、サヤであった少女の姿が変化していく。
その服が、巫女服のような清廉な衣装が姿を変えていく。
巫女服のような服が、常夜往く闇のように、黒く黒く染まっていく。
返り血が一人で動きだし、赤い花の模様を作っていく。
それは彼岸花のようであった。曼珠沙華のような赤い赤い花であった。
「死人花」と呼ばれるそれが、咲き誇っていく。
■サヤ > 「んう……ちゅ……れろ……」生まれて初めての接吻、最初はただ必死に舌を動かすだけであったが、段々と慣れてきて、快楽を覚える余裕が生まれてくる。体を這いまわる手も、目を細めて享受する。
「……ぷはぁ……。」開放され、二人の唇を結ぶ銀の橋を、指で絡めとる。もったいない、なぜだかそう思えて、それを自分の唇に塗りつける。
「あぁ……。」ゾクゾクと背筋に電気が走る。それは自らを縛っていた鎖からの開放、自らを象徴していた名を捨ててもう一度生まれ来る喜び。存在を塗り替えられる喜び。
黒く染まった巫女服は、今の少女にぴったりであった。
穢れの黒、全てを塗りつぶす黒に、散りゆく命の赤、それは新しく生まれ変わった少女の象徴である。
「私……私は……誰でしょう?」それはすでにある答えを求める問いではなく、新しく答えを作ってもらうための問い。あなたのためなら誰にでもなる、そう求める、服従の証としての問い。
■鳴鳴 > 《無為自然》――『老子』に見える言葉だ。この童女の力を、童女はそう呼んだ。無論、その意味を捻じ曲げて。
手を加えず自然のままにあるということ。人為を加えずにいるということを。
それを、目の前の少女に成したのだ。
“鞘”だった少女に、その力を使った。精神に、心に、滑り込んで口づけを交わして、彼女の存在を作り変えたのだ。
自身を縛るサヤはもう必要ないと。
そう囁いて。
「ふふ、似合っているよ。とてもね」
唇に残った銀の糸を指で絡め取り、その指を舐めながら言う。
堕ちた。目の前の少女は堕ちたのだ。きっと、こうなることはかつては望んでいなかったであろうに。
しかし、少女は堕ちた。壊れたことを受け入れて、闇の囁きに導かれて、穢れていったのだ。
そんな姿を見るのが、童女にとっての最高の愉悦だった。
「古の道を得る者は、窮するもまた楽しみ、通ずるもまた楽しむ。 楽しむ所は窮通にあらざるなり――全ては楽しみだ」
穢れの黒、命の赤、それに染まった少女を見て、笑う。
「君はもうサヤじゃない。鞘である必要はなくなったよ。だから、僕が名づけよう。そうしたら、君は僕のものだけれど――」
「――君は、「石蒜」だ。赤く咲く死人花。それが、君だ」
本土の言葉で言えば、「彼岸花」……新たな名を童女は与えた。
全てを捧げてきた少女に、名を与える。名を与えるということは特別なことだ。
だからもう、その服従は永久の誓いとなったのである。
「さあ、楽しもうじゃないか。全てを。この世全ては享楽だ。君も好きにすると良い。僕も、君を好きにするから――」
そう妖しく笑った。
■サヤ > 「ありがとう、ございます……。」かすかに頬を赤らめる。褒められた、ただそれだけで、とても嬉しい。自分の全てが肯定されたように心地よい。
今までの私は、こんな喜びも知らずに生きてきたのか。自分で自分が哀れに思える。
さようなら、哀れな私と束縛された人生。こんにちは、喜びに満ちた私、自由に満ちた人生。
「シー、シュアン……シーシュアン……石蒜……。」刻みこむように、新たな名前を繰り返す。「私の名前は、石蒜……。」
妖しい笑顔に向ける相手に目をうるませ、心酔しきった顔で「私は……石蒜は、貴方様に付き従います、私の全ては貴方様のものです。なんでも命じてください、私は全てに従います。それが私の、やりたいことです。」跪いて忠誠を誓う。その姿勢が、自分の態度が甘美な喜びを与えてくれる。
「ですが……私は貴方様の名前すら知りません、なんとお呼びすればいいでしょうか。」
■鳴鳴 > 「そう、石蒜、僕が名づけた。
だから君は僕のものだ。僕が僕の享楽と快楽のために好きにする玩具さ。
だけど、君には全てを許している。君は、何をしてもいいよ。自分の享楽のためにね
僕が飽きるまで、そうしてもらうから」
」
彼女が名前を復唱するのを聞いて、嬉しそうに言う。
服従の言葉、忠誠の言葉。懐かしいものだ。既に、燃え立つ瞳を解放すべく立ち上がった者たちは散り散りになってしまった。
だが、それでいい。それでよかった。世界は移ろうもの。
その時々に合わせて、自分の享楽を極めればよいのだ。
この少女を弄ぶのも、その一つだ。
再び少女を引き寄せると、無遠慮にそのうなじに舌を這わせる。
そしてそのまま、囁くように。
「……そうだね。僕は、鳴鳴。君の主の、鳴鳴だよ。
僕好みに調教して弄んであげる。君も楽しんでね。
僕たちはそのために、この世にあるのだから」
■サヤ > 「玩具……うふふ、光栄です…。」年に似合わない、妖艶な笑み。玩具、私はこの人の玩具。心のなかで繰り返すたびに、背筋がゾクゾクとする。嬉しい、嬉しくてたまらない。好き勝手使われて、飽きられたら終わりなんだ、なんて素晴らしいんだろう。なんて、素晴らしいんだろう……!!
抱き寄せられれば、まるで恋人に抱かれるように、目を閉じてなすがまま。
「あ…あふっ……め、鳴鳴様……んっ……です、ね……。ごしゅ…ひゃん……ご主人様とお呼び……しても…?」うなじをなめられる感覚に、喘ぎを漏らし、きゅっと足を閉じてこらえる。
「幸せ……です…好きに遊んで…くだ、さい……し、石蒜は……んふっ、幸せです……。」
■鳴鳴 > 「ああ、じゃあそう呼んで。僕は君のご主人様だ。
僕が好きに弄んで好きに遊んで、捨ててあげるから、安心してよ。
それまでは、僕に媚びて、僕を喜ばせてよ。僕を楽しませてよ。
そうできるなら、いつまでも玩具にしてあげるから」
嗤いを隠すことなく、そう囁く。何度もうなじを舐め、口づけして舌を無理やり絡めていく。
「ああ、隠すのはだめだよ。君の全部をは、僕の物なんだから」
けらけらと笑いながら、閉じられた足に自らの足を絡め、閉じられないようにしようとする。
「幸せだろう。君は全てを赦されたんだ。
もう、矮小なことに囚われなくていい。君は道を得た「真人」となったんだ。
僕も君も、己が仙道を行くんだ。邪魔するものは壊せばいい。それもまた享楽だ。
ああ、今日はなんだか君を虐めたいな。出来たかりの従者だからね。
それじゃ、行こうか。これからの話はそこで君の体にしっかり教えてあげる。
ハハ、ハハハ、ハハハハハ!!」
妖艶な笑みを浮かべ、石蒜の体のいたるところをまさぐり、哄笑した。
「君達に会えるのが楽しみだよ。もしかしたらもう死んでるかもしれないけどね。
僕はもう面白いことを始めたよ。君達も早くそうしなよ。
全ては享楽のままに。僕たちはいつでもそうして来たじゃないか――」
空に向かってそう囁く。誰に向けた言葉であろうか。
かつての仲間――そう呼んでいいかは定かではないが――である者たちへと言葉を向ける。
燃えたつ瞳を解放させる者たちへと、そう囁いた。
そして、鳴鳴がすっと指を動かせば、一つの穴が中空に現れ、二人を飲み込もうとしていく。
鳴鳴の、どこかにあるねぐらに繋がるものだ。そこへと二人は消えることになる。
「――さあ、石蒜。これからだ。これから、面白いことを始めよう……!」
■サヤ > 「あ、ありがとう……ございます。ご主人様に……んくっ、たの…楽しんでいただけるよう……全力を…ふっ…尽くします……。」執拗な愛撫に喘ぎながら、とぎれとぎれに言葉を返す。
「し、失礼……あっ……しまし、た……。も、もう隠し……ひゃん…あふっ……たり、しませ……んっ…」足を割り開かれれば、素直に従う。我慢がきかず、艶を帯びた喘ぎが漏れる。
「はい……し……んんっ♥し、石蒜はごしゅじ……ん♥様…の♥望みの……ままにぃ♥」足ががくがくと震える、もう立っているのも難しい。半ば鳴鳴に体を預けるような形になる。そのまま、穴には無抵抗で一緒に飲み込まれることだろう。
■鳴鳴 > 「そう、隠しちゃだめだよ。お仕置きされたいなら別だけどね。
今日は特別な日だ。君が生まれ変わった日だからね。
だから悦楽を見せてあげよう。桃源郷を見せてあげよう。
地獄かもしれないけどね……行こうか。
折角表舞台に戻ってきたんだ。好き放題させてもらうよ。
君も、全ても――」
嗤いながら、彼女の肌に接吻を繰り返し、サヤだった少女の着物に手をかける。
そしてその袂を思い切り開いたとき――二人は闇へと飲まれた。
森の中には、もう誰もいなかった。
ご案内:「常世神社」からサヤさんが去りました。
ご案内:「常世神社」から鳴鳴さんが去りました。