2015/06/20 のログ
ご案内:「常世神社」に谷蜂 檻葉さんが現れました。
谷蜂 檻葉 > 常世神社。

学園地区の隅にある海岸沿いの社殿にて、参拝を終えた少女が石造りの腰掛けでのんびりと座っていた。

谷蜂 檻葉 > 「はー……結構歩いたわね……。前はもっと近かった気もしたけど、日差しのせいかな。」

パタパタと手で顔を仰ぎながら木陰の上で燦々と輝く太陽に視線を向ける。
参拝も終え、後は元の目的であった妖精魔術の練習をするばかりとなったところで、不意に倦怠感を覚え―――何事もやろうと思えばやれるが、先を見通すばかりに億劫な思いをするもので。

小休止の為に涼んでいた。

谷蜂 檻葉 > 「そろそろ行こうかな……。」

とは言え、わざわざ足を運んだのに本来の目的を蔑ろにするのも癪に触る。
故にグッと伸びをしながら立ち上がると、一息よしと力を入れて神社の一角。鎮守の森へと足を進める。

谷蜂 檻葉 > 森、というにはささやかな。
しかし確かに木々の息吹を感じるその中央で目を閉じて集中を始める。


「―――――――」

呼ぶのは土木に縁を結ぶ妖精。
風、水とは接触を持ったが彼らとは初の対話になる。

【森のなか、深呼吸をするように集中を始める】

谷蜂 檻葉 > 「……柱を。」

ふ、と目を開き言葉を放つ。
確かに捉えた姿に、強く香り立つ蜜の香りと共に思いを託す。

やがて、メキメキと音を立てて一抱えほどもある幅の、高い高い土の柱が檻葉の目前に建ち上がる。

谷蜂 檻葉 > 「屋根を作って」

イメージをしっかり持って、次いで言葉を足す。

すると柱の頂が横に広がりながら、降りるようにして柱は茸のような傘を持った形状に変わる。
そこから先は海辺の水と変わらぬかのように、檻葉が言葉を継いでいく度にゆっくりと、しかし確かに柱から不思議なオブジェのような形へと次々にその見た目を変えていく。

谷蜂 檻葉 > 【集中したまま、一心に柱を見つめながら妖精に頼みながらその形を変えさせていく……】
谷蜂 檻葉 > やがて、形容しづらい何かになった段になり。一通りの形成を終えたことを実感すると

「崩して、土を均して。」

その一言でグズグズと端から土から砂へ、そして大地に落ちると再び土に戻り何事もない静かな鎮守の森へと戻る。

谷蜂 檻葉 > 「……はふぅ。」


思ったより長い時間集中し続けられた。
―――しかし、剥き出しの土を相手にこのぐらいゆっくりとなると護身にはやはり風や水のほうが扱いやすそうだ。 定形として扱える分応用の幅はこちらのほうが広そうだけれど。

谷蜂 檻葉 > 「やっぱり重い方が疲れるってことなのかしら……」

まだまだ習熟が必要そうだ、と。
そんなことを考えながら再び神社の木陰へと戻っていった。

谷蜂 檻葉 > 【神社の木陰にある石の腰掛けから、境内をのんびりと眺めている……。】
谷蜂 檻葉 > そうして、非常にゆっくりとした時間を過ごすと、また来た時のようにふらっと神社を後にした……。
ご案内:「常世神社」から谷蜂 檻葉さんが去りました。
ご案内:「常世神社」にクロノスさんが現れました。
ご案内:「常世神社」からクロノスさんが去りました。
ご案内:「常世神社」にサヤさんが現れました。
ご案内:「常世神社」からサヤさんが去りました。
ご案内:「常世神社」に石蒜さんが現れました。
石蒜 > 常世神社の鎮守の森、私はかつてここでご主人様の手で石蒜となった。
ちょうどここ、今立っているここが、その思い出の場所だ。神気臭くて嫌になる神社の空気も、ここだけはなぜか安らげる。きっとご主人様が居たせいだろう。
落ち葉の上に横たわり、空を見上げる。この世界ではあまり星が見えない。
元の世界、ファーイースト・レルムでは、空いっぱいに星々が輝いていたのに。

石蒜 > 星……星といえば、最近星を見ると不思議な気分になる。
まるで人に……いや、もっと大きな何かに見られているような……。
ふと見上げた時に、一瞬だけ大きな目が見えたことも何度かあった。
この世界の星空はどこか妙だ、でも見ているととても安らぐ。
元の世界に居た頃よりずっと。

石蒜 > 大きく息を吸って、吐く。ここにはご主人様の残り香のようなものを感じられる。
落ち葉はご主人様の腕よりずっと触り心地が悪いけど、目を閉じればご主人様のすぐ傍に居るような気分になる。いい場所だ。

ご案内:「常世神社」に畝傍・クリスタ・ステンデルさんが現れました。
畝傍・クリスタ・ステンデル > 「……ややっ」
『ヒト』が近づいてきたような気配を察し、茂みの中に身を潜めていたブロンドの少女――畝傍は警戒する。
その両手は、身の丈に合わぬ長大な狙撃銃を縋るように抱き締めていた。実銃である。
つい先日――大時計塔にてある男と邂逅し、その能力で自らの心的外傷を掘り起こされて以来、
畝傍は『狩り』を目的とせずとも実銃を持ち歩くようになっていた。

石蒜 > 「…………すぅ~、はぁ~。うふふふ。」葉っぱの上に寝転がって深呼吸をしながら時折笑い声を漏らす。
しかし、かすかに、本当にかすかに匂ってくる。硝煙と鉄の匂いに。顔をしかめる。ご主人様の残り香を汚したな!
「誰か、居ますね?」何処に居るかはわからないが、どこかに居る。身を起こし、わずかに怒りを込めた声で尋ねる。

畝傍・クリスタ・ステンデル > このまま身を潜めていても、いずれ発見されることは避けられないだろう。
元よりこの場に来たのは殺戮ではなく、休息のためだ。
いざとなれば交戦の意思はないことを伝え身を退くか――あるいは。
顔も見えぬ相手の声に応えるように、茂みから姿を現す。
見ると、視線の先には漆黒の巫女装束を纏った、畝傍と同程度に思われる年代の黒髪の少女。
その顔を、そしてその瞳を。一目見ただけで、畝傍は確信した。
「キミ……ボクとおなじニオイがする♪」

石蒜 > 姿を表したのは、派手な橙色の服を着た少女。
抱えているのは黒くて長い筒……、硝煙の匂いがしたし、銃の一種だろうか。だとしたらこの距離ではこちらに分がある。
体をかすかに緊張させ、敵の出方を見ようとしたが
「……?」眉をひそめる。何を言っているんだ、同じ匂い?
「何のことですか。」ゆっくりと立ち上がり、半ば睨みつけるように相手を見る。

畝傍・クリスタ・ステンデル > 畝傍は眼前の黒い少女をじっと見つめ、蠱惑的な笑みを浮かべ語り始める。
狙撃銃は両腕で抱えたままで、少女に銃口は向いていない。今の時点では敵対の意思がない証拠だ。
「ボクとおんなじ……♪狂ってる『人』のニオイ……♪学園のほうにいっぱいいる『ヒト』とは、ちがう……」
畝傍には自分と同じ『ニオイ』のする狂人――つまり『人』――と、そうでない人間――『ヒト』――の見分けがつく。
ただし畝傍の判断にも確証はなく、時には判断を誤ることもある。
いずれにせよ、今の畝傍には、眼前の少女が自身と異質な存在であるとは感じられないのだ。

石蒜 > 敵対の意志はないようだ、こちらに笑みを浮かべる相手の目はどこかおかしい、もしかして……。
そして、相手の言葉を聞いて疑惑が確信に変わる。
ああ、こいつも狂ってるのか。
「あはっ、なるほどなるほど。」なら、仲間だ。緊張を解き、口の端を歪ませる。
「まさかお仲間に会えるとは思いませんでした。アハハ、そっかぁ。あなたもなんですね。」まるで昔からの友人のように、朗らかに。
そう、彼女も狂っていた。

畝傍・クリスタ・ステンデル > 「そうだよ。ボクたち、トモダチになれるかもね」
――『ヒト』には見せたことのない、満面の笑み。
こちらも緊張が解かれてはいるが、狙撃銃は抱かれたままである。
これは彼女の精神の均衡を保つため必要なものであり、
いかに精神の安寧を得ていようとも手放すわけにはいかないのだ。
「ボクはウネビ。キミはだあれ?」
黒い少女に名乗り、相手の名も聞いておく。

石蒜 > 「友達……」その言葉に、首をふる。「私友達は作らないんです。だってそんなもの何の意味もないんですから。」そう、世界に意味があるのは私のご主人様、鳴鳴様だけ。彼女は本気でそう思っていた。「あなたと私は同類、それだけでいいんじゃないですか?」

「私は石蒜(シーシュアン)よろしくおねがいしますね、ウネビ。」感極まって、抱擁しようと腕を広げる、相手を刺激しないように。ゆっくりと。

畝傍・クリスタ・ステンデル > 「……そう、だね……♪」
石蒜と名乗った少女と畝傍は同類。ただそれだけでもいい。
畝傍は今まで、自分と同じ匂いのする『人』――狂人との出会いに飢えていたのだ。
それが、今日ここで石蒜に出会えた。それで十分だった。
「うん……よろしくね、シーシュアン」
右腕に狙撃銃を抱えたまま、広げられた石蒜の腕の中に入り、自らも左腕でその体を抱かんとする。

石蒜 > お互いに抱き合う。畝傍の体は豊満で、ご主人様に抱きつかれるのとは随分違った。ご主人様は幼児体型だから仕方ないけど。
「ねぇウネビ、あなたはどうして狂ってるんですか?」初めて合う同類に、ちょっとした好奇心から質問。
「先に私から話しますね。私は、ちょうどさっき私が寝ていた場所で、ご主人様に歪めてもらったんです。その時のことを思い出すと、今でも背筋がゾクゾクするんですよ……♥」今少し思い出しただけでダメだ、にやけるのが止まらない。少し膝が震える。

畝傍・クリスタ・ステンデル > 「そう、なんだ……」
石蒜の話を興味深そうに聞きつつ、続いて自身も答える。
「ボクはね……むかし、ボクのいたくにの、わるいヒトたちにつかまって」
つい先日邂逅した男に無理矢理話させられたことだ。
だが、眼前の少女ならばごく自然に話せるだろう。
自身のトラウマにも、何らかの理解を示してくれるだろう。そう思っていた。
「――いっぱい、たたかれて。けられて……それから……おかされたんだ」

石蒜 > 「……。」彼女が狂ったのは、私のような理由ではなかった。
きっと彼女は狂いたくて狂ったのではないだろう。
それを思いやる程度の正気は残っていた。
「すみませんね、辛いことを聞いてしまいました。」ぎゅっと、少し強く抱きしめる。背丈が違うから、石蒜が畝傍の首元に顔を埋めるような形だ。
「大丈夫、ここには私が居ますよ。ご主人様が居るからあなたを一番には出来ないけど、他の人よりあなたはずっと特別です。だから、可能な限りあなたを守りましょう。」宥めるように、慰めるように、優しげな顔で声をかける。

畝傍・クリスタ・ステンデル > 「シーシュアン……」
抱きしめられ、思わず畝傍の目からは涙が零れる。先日のような恥辱の涙ではなく、
この小さな少女が自身を気遣ってくれた、そのことの嬉しさで。
「……ありがと」
小さく、感謝の気持ちを告げる。

先程から石蒜の言葉に出てくる『ご主人様』のことも、畝傍には気になっていた。畝傍は石蒜に聞いてみる。
「シーシュアンは……『ご主人さま』のこと、だいすきなんだね」

石蒜 > 「どういたしまして、同類ですもの、助けあいましょう?」もう一度だけ、強く抱きしめて、離れる。

ご主人様について聞かれると、頬を赤らめ、乙女のように恥じらいつつ「ええ、大好きです。愛してます。八百万の言葉を尽くしても表せないぐらい。今の私はご主人様のおかげなんです。だから私は、ご主人様に喜んでもらうために、もっと狂って、歪みたいんです。」狂気に満ちた目で歪んだ笑いを見せる。彼女の狂気のきっかけは『ご主人様』である。もしご主人様に害を及ぼす存在だとわかれば、例え今しがた優しく気遣った少女ですら即座に斬り捨てるだろう。そういう類の狂信であった。

畝傍・クリスタ・ステンデル > 石蒜から離れたのち、左腕を再び狙撃銃に添える。
「……いいな。だいすきなひとがいて」
畝傍は素直に羨む。畝傍には石蒜のように、この人のために狂ってもいいと言えるような人はいなかった。
身体強化実験の被験体として。慰み物として。その身を自らの意思によらず他者に利用されるばかりであった畝傍は、他者を信じることができなかった。
故に。心からその身を捧げられる他人がいる石蒜が羨ましかったのだ。