2015/08/28 のログ
嶋野陽子 > 『…万が一の時はお願いね』
と明るい声の中に深刻さを感じた陽子は、
「その際には全身全霊を込めて当たらせてもらいます」
と平岡さんに答える。
(ステラ、あの光を分析できたら教えて。まさかチェ
レンコフ放射光じゃないわよね?)と、心の中で解析
を依頼する陽子。

唐沢さんも白い仮面の男と何かあったのだろうか?
後で聞いてみよう。
「応急手当ですむ範囲でお願いしますね」と二人に言う
陽子。本当は神社の境内で流血沙汰はご法度なのだが。

平岡ユキヱ > 「…」
嶋野の言葉に、安心したように少しだけ笑い。手合せに集中する。

分析すればすぐに判明するであろう。
光の正体は異能型チェレンコフ放射、そのものズバリの系統であることが。
周囲にこそ影響はないかもしれないが、辺り一帯の異能を強引に取り込んで変換し、
その変換炉の中核たる人間を異能線でもって魂の根底から傷つけていく事故である。


「『千刃訓』…」
その場でスピンするように超高速で回転すると、振り下ろされた唐沢の一撃を紙一重で避けて飛ぶ。
背中越しに隠した木刀と、右腕を、勢いよく伸ばす。

「奇襲機動…猿飛!!」
バオッ、と土煙を上げなら、横に薙ぐような強烈な一閃を繰り出す。

唐沢響 > 応急手当の済む範囲で
と陽子に言われたものの油断しているとこちらがやられる

それは分かりきったことで改めて目の前の戦いに集中する



「ぐっ…!弾き飛ばせ!<朔姫>!」


攻撃はかわされた
それはなんとなく予測していたことで相手の強襲にもなんとか食らい付き、すぐに体制を整え攻撃を防ぐ


そして間一髪入れずにユキエを弾き飛ばすように大剣でなぎ払う


剣同士の一対一。
本来響は戦争の人間でルールのある勝負事や試合などしたことがない

対してユキエの剣は剣同士の一対一のものであると見る



このまま<朔姫>で戦ってもいずれは負ける。
故にこの展開を打開する事だけを考える

嶋野陽子 > おっと、忘れてはいけない事後の
治療の準備を…湿布と絆創膏はよし。もっと重傷な
場合に使うナノマシンの用意もしなきゃ・・・と、
手合わせ終了後の治療の準備に余念がない陽子。

平岡ユキヱ > 「!!! 速いな…!」
木刀と大剣が真っ向から打ち合い、火花を散らす。
唐沢の薙ぎ払いを木刀の鎬で受け止め、数m後退した。

「やるじゃあないですか、唐沢センパイ! 貴方を一流として認める!」
燃えるぜ! と本当に髪先と瞳を覆うように青白い焔が燃え始める。

「『千刃訓』…二の太刀いらずの機動!」
八相の構え、右肩に担ぐように木刀を動かすと、ただ槍のように一直線に飛ぶ。
バチバチと光をまといながら、真正面からのド直球、突撃する牛のような一撃を袈裟に繰り出す。

「オラァァァァッッッ!!!!」

唐沢響 > 「一流…か…。私には荷が重いな…」


一流と認められてもそれを超えるものを見てきた。否、それは今でもその一流を凌駕するものを見るだろう



このような純粋な強者を相手するのは始めてではない

故に有効策を検索する。
少しでも判断をミスすれば負ける。彼女はそういう相手なのだ


「きたか…」


研ぎ澄まされた一撃。
自分の技量を凌駕するほどの一撃がついにきた


機動を読むのは容易く大剣での防御に成功。
大剣の重量で助かった。これが普通のサーベルならば防ぎきれず折られて“斬られて”いただろう


防ぐことに成功したが完全ではない
その大剣は弾かれ注に舞う。


これが普通の試合ならば勝負ありであろう

だが――


「<万物得手>発動…。<鳴神>」


剣を弾かれて無手になったはずの響には次の瞬間には両手に一つずつダガー<鳴神>で握られている

異能<万物得手>を発動し取り出したものである


今度は先ほどとは動きが異なりパワーはないもののスピードにおもむきをおいた一撃を右手のダガーで振るう

平岡ユキヱ > 「…!」
ギラリと相手の右手に唐突に表れた閃光に、思わず舌打ちする。
回避。無理だ、一度発動した『千刃訓』は途中では止められない。

完全に振り下ろすところまでが1セットの挙動を選択した以上、
たとえ見えていても力の制約上、反応できず。

「一手…いや半手…見誤ったか…!!」
駆け抜けた勢いのまま振り返り、残心。見事! と笑うと同時、
ユキヱの脇腹に赤いラインが走っていた。木刀を納刀するように収め。
参った、と告げて手合わせを終わらせた。

「次の武器は、出させないで押し切るつもりだったんですがね…」

嶋野陽子 > 平岡さんが参ったと言って手合わせを
終えると同時に、唯一傷を負った平岡さんに歩み寄り、
脇腹の傷に特製の絆創膏を貼る陽子。
「見事な攻防でした。複数の武器を持ち替える、唐沢
先輩の流儀は、先日拝見したアスティアさんの七剣流
に近いですね」
と感想を述べる陽子。

唐沢響 > 「……複数の武器を使うと見抜いていたか。…流石だ。」



そのダガーはたしかにユキエのわき腹を裂いたが幸い、浅い
相手が武器を納めるとこちらもダガーと大剣を納める


初見で自分の異能を見切っていていた
どうりで本気でやったつもりだが手ごたえが薄いわけである



「七刀流に近いか…私の剣数はあるが寄せ集め。最も、ユキエ相手には私の業物を使ったつもりなのだが…次は通用しないだろうな」



多数の武器を操るのは似ているがこちらは所詮数だけのもの。品質、技では恐らく劣るであろうと推測


数だけとはいえ今回使ったのは紛れもない業物。
次回手合わせしたとしても同じ技は通用しないであろう

平岡ユキヱ > いてて、と絆創膏を貼られながらも嶋野の言葉には興味深そうに首をかしげて。

「七剣流…アスティア? そりゃあまた…本当に在野にはすごい子が多いのねえ…」
みんな風紀にきてくれよ、と目を細めながら、また咳き込む。

「私はそんなに沢山の武器を使いこなせいないんでアレですが…。
 まあ、一つしか知らない故の強みってやつです! 負けましたけど!」
わははと豪快に笑いながらも、見抜いたことの種明かしというよりは、根拠を述べる。

「一つしか知らない奴と、幾つも知っている奴、その動きが違うのは自然の道理。
 …どっちが上とか下じゃあなくて、その辺の心構えの違いは意外と動きににじみ出るモンですよ」

では、まだ謹慎中なのでこれにて失礼。と踵を返して寮に戻る。
発光は再び収まっていたが、やはりどこか調子は悪そうで。咳が続いていた。

嶋野陽子 > 寮に戻る平岡さんを、
「お気を付けて」と見送る陽子。

自らの剣技を寄せ集めと言う唐沢先輩には、
「4世紀近く剣技を磨いてきたアスティアさんと比べ
ては、ほとんどの人が寄せ集めになってしまいます」
と励ます陽子。そこで何かを思い出したのか口調を
変えて、
「所で、唐沢先輩は、《『銀腕』アガートラーム》の
噂を聞いたことありますか?」と尋ねる陽子。

ご案内:「常世神社」から平岡ユキヱさんが去りました。
唐沢響 > 「気をつけて帰えるといい…」


相手の言葉をしっかりと聞いて頷く。
その言葉は最もである

去っていくユキエの姿を少し心配しながら見送る
アレは自分が斬った傷のせいではなさそうだと見て


「4世紀近く…。はっそれだけ時間もあれば究極の1つどころか究極の7つも持てるわけか…」


4世紀もあればそれだけ数多く使えることも納得でその年月の長さから察するにどれもすさまじいものであるとみて


「…?なんだ?その名前は?どういったものなのだ?」


アガートラーム…そのような名前に心当たりはなくどのようなものなのか説明を要求し

嶋野陽子 > アガートラームを知らない唐沢先輩
に、銀の義腕を持つ少女の事で、落第街の複数の勢力
が後を追っている存在である事と、その正体が陽子と
同じ一年生の保健委員であり、本人はなぜ彼女の義腕
がそのような異名を授かる程の関心の的となっている
か判らない事を手短に説明すると、
「ここからはお仕事の相談なのですが、もし彼女の護
衛を依頼するとなると、お値段や条件はどんな感じに
なるのでしょうか?」と尋ねる陽子。

ご案内:「常世神社」に嶋野陽子さんが現れました。
唐沢響 > 「護衛任務か…一日辺りこの世界の値段だと安くて15万か?私の元いた世界に換算したつもりだが」


最も、お偉いさんだと話は違ってくるがねと付け足す
異世界でも護衛任務は少なからず付いた経験はあり値段を提示する


「どんな相手が狙っているかにもよるが…というより意外だな君がこのようなことを言うなんて」


仕事のことならば引き受けるが彼女がそのようなことを聞いてくるのは少々意外だったようで

嶋野陽子 > 1日15万…だと陽子が考えていた
報酬…純金1ポンドだと12日分になるか。

どんな相手が狙っているかと聞かれると、
「一人の名前は判っています、流布堂乱子さんです。
彼女をご存知ですか?」と答える陽子。

異次元ストレージから、戦略予備の金の延べ棒を取
り出すと、「ここに純金1ポンド、約180万円相当
分あります」と報酬を見せる陽子。本来は家の敷金や、
学費が不足した際の戦略予備なのだが、薬師寺さんを
今の状態で放置するのは危険過ぎるし、出来れば流布
堂さんとはやり合いたくない陽子。

唐沢響 > 「っ…!奴か…知ってるとも。一回営業妨害されたことがある」



流布堂乱子…少し前に裏路地でやりあった相手である
それは営業妨害のいざこざでありその時は離脱したのだが


「ちょうどいい…が、想定外のことが起きたら報酬は上乗せ。報酬は終わってから受け取る」



彼女が相手ならばその危険度故に値段もだいぶ変わってくる
が、しかし値段を吊り上げることはせずに代わりに条件を提示


なにやら彼女と因果があるのか乗る気でいる


報酬に関しては申し分ないのだが受け取るのは終わってからという自身でそう決めてるのか今は確認だけして

嶋野陽子 > 唐沢先輩は、相手が流布堂さんだと
知っても受ける気のようなのでほっとする陽子。

「条件については判りました。可能な限り私も援護に
駆けつけるようにしますが、私は基本的に盾と回復
役にしかなれないと思っていて下さい。期間は10
日を目処に、実際の流れを見ながら相談しましょう。
こんな感じでどうでしょうか?」と提案する陽子。

唐沢響 > 「言いづらいのだがわけあって9月1日から4日は不在6、7日も怪しいところだ。」



スケジュールを確認するが都合の悪い時間を読み上げていく
もしその日時に護衛任務が組み込まれていたら報酬はそれ相応にしか貰わない予定で

嶋野陽子 > 「9月の1,2,3,4,6,7が駄目なのですね?
了解しました。そこは私がカバーするか、別な手を考
えるようにします。ならば期限は9月の10日までとす
るで良いですか?恐らくそこまでには噂の出所を突き
止めてこちらから打って出る事が可能となるかと」
と対案を出す陽子。

唐沢響 > 「10日までか了解した。そちらは任せた」


噂のでどころなどを突き止めることなどはこちらの仕事に入っていない
だが突き止めることに関しては他の人に任せることにして自分の仕事だけをまっとうする
それがじぶんのやり方なのだから

嶋野陽子 > 噂の出所の調査を頼めそうな何でも屋
の顔を脳裏に浮かべながら、調査については陽子の方
で動くことを伝える。
「守って欲しい人の名前は薬師寺瀬織さんです。狙っ
ているのは流布堂さんだけではないし、彼女にも仲間
がいるようです」と最後に注意喚起して、
「それでは、よろしくお願いします」と頭を下げる陽子。

唐沢響 > 「あぁ、こちらはこちらで仕事をまっとうしよう」


薬師寺瀬織…その名を確かに覚える
近々仕事が始まる…そのためにも今日のうちにそなえをしておかねばと帰って準備をしようと考えて


「何かあったら連絡をよろしく。それでは」
最後にアドレスを相手に渡すと準備をするために家にへと帰宅するためにその足をすすめる

ご案内:「常世神社」から唐沢響さんが去りました。
ご案内:「常世神社」から嶋野陽子さんが去りました。
ご案内:「常世神社」に迦具楽さんが現れました。
迦具楽 >  
【常世神社の境内は、今日も静かだ。
 人の数も少なければ、騒ぐような人間はまず来ない。
 ここ数日、ほぼ毎日、休憩用の椅子に座って眺めていたが、何事が起こることも無い、静かで平穏な場所だった】

「ほんと、”あっち”とは大違いね」

【落第街はなんだかんだ、随分と騒がしい場所だった。
 それとはやはり大きく違うこの場所は、落ち着いて物事を考えるには丁度いい。
 苦い缶コーヒーを手に持って人を模倣した脳細胞に刺激を入れながら、青と白の鮮やかな空を背凭れに体を預けながら見上げた】

迦具楽 >  
【――この数日、少しずつ情報を整理し思考した結果を言えば。
 まず自分は、なんらかの目的を持って作られ、状況に応じて自己最適化を繰り返す人造生命……いや、人に作られたとは限らないし、生命と言うにも歪だが、それはともかく。
 このハードウェアは随時なんらかの物質に変換可能であり、最適化に容易な純粋エネルギー体。
 そしてソフトウェアは、情報を収集し処理を繰り返し、致命的なエラーが発生した際に再起動から最適化を行う。
 それを繰り返すことにより、おそらくその”目的”とやらに近づくようプログラムされている……のだろうけれど。
 そして生まれたのは六月、けれど作られたのはおそらくそれよりずっと昔。
 それが何をどうしたのか、なぜか”アイツら”の中に仕込まれていて、あの日、偶然起動した。

 わかったことはそこまでで、それだけだ。
 結局自分がなんなのか、どんな意味を持って生まれたのか、作られたのか。
 これからどうすればいいのか、さっぱりだ】

「……誰かに、相談できればいいんだけど」

【そうは思うものの。
 こんな話を出来る相手なんて――】

ご案内:「常世神社」に東雲七生さんが現れました。
東雲七生 > 「こうして目的があって神社に来るって久々かもな。」

石段を上りながら、ふとそんな事を呟く。
以前来た時の茹だる様な暑さとは打って変わって涼しい風の吹く午後。
唐突に空いた時間が出来たので、七生は神社へと向かう事にした。

目的は、友人に会う為。

「迦具楽、ホントに神社に住んでんかな。」

石段を上り終え、鳥居の下で境内を見回す。

迦具楽 >  
【――いた】

「ななみー!」

【石段をあがって、境内を見回す姿を見つければ。
 椅子の上から手を振って呼びかけた。
 その服装はいまどきの少女らしいかもしれないが……伸び放題に伸びたままの髪が、どこかのホラー映画のような有様だ。
 演習場のときのように後ろでまとめていればマシだったのだろうが、少々境内という場所柄もあり異様かもしれない】

東雲七生 > 「……ホントに居たぁ。」

こちらに向かって手を振る少女を見つけ、妙な安堵とともにその風体に驚く。
髪が伸びたことは演習場で会った時に知ってはいたが、改めて見ると長髪というよりは蓬髪と呼ぶべき有様だ。

「床屋とか行かなかったのかよ。」

軽く肩を竦めてから、少女の方へと歩み寄って行く。

迦具楽 >  
「……ほんとに来てくれたんだ。

 ――ほら、ななみ、こっちこっち!」

【しんみりと、その姿を見てつぶやいたのもつかの間。
 すぐに嬉しそうにはしゃぎだし、近づいてくる少年に、自分の隣を右手で叩いて示す。
 その姿はまるっきり、子供のような様子だろう】

東雲七生 > 「ちゃんとやれてんのか心配だったしな。」

何時かの様に行き倒れられてても困るし。
そもそも此処は神社で、それなりに管理してる人とかも居るのだろうし、行き倒れる事は無いとは思うが。

自分の隣へと招く少女を見て、その様子に心配は杞憂だったかと少しだけ笑みを浮かべる。
それにしても、

「……なーんか、会うたびに子供っぽくなってねえ、お前。」

椅子に腰を下ろしながら、呆れ半分、そんな事を告げる。

迦具楽 >  
「あ、心配してくれたんだ?」

【それはそれで、嬉しいことだ。
 暖簾のように顔に掛かる前髪の隙間から笑顔が覗けるだろう】

「んん、そんな事ないわよ。
 ……でも、そう見えるとしたら、七生が特別だからかしら?」

【少年が腰をおろしたと見れば、間髪居れずに寄りかかって抱きつこうとする。
 はっきり言ってしまえば、どのあたりが子供っぽくないのかという有様だが……ともかく、見るからに幸せそうな表情を浮かべている】

東雲七生 > 「そりゃあ、まあ、最近涼しくなったしな。」

抱き着いてくる迦具楽を制止するでもなく、振り払うでも無く。
とりあえずしたいがままにさせておこうと、甘んじて受け入れる。
恥かしいのはまあ、七生自身が気にしなければよいだけの話で。

「……特別ねえ。
 まあいいや、それで?こんなとこ座って何してたんだ?」

傍から見ても鬱陶しい少女の前髪を軽く左右に分けながら、
適当に雑談でもしようかと、話を振る。

迦具楽 >  
「そうね、あっという間に涼しくなっちゃった」

【とはいえまだ、抱きついていれば少し暑いくらいだろうか。
 数少ない周囲の視線も気にせずに、熱く抱きついて満面の笑み】

「そう、とっても特別なの。
 ……うん、ちょっと考え事」

【前髪を除けられれば、くすぐったそうにしながら、甘えるように体を預ける。
 そうしながらも、少しだけトーンを落とした】

「……ねえ、七生は自分が何者なのかって、考えたことはない?」

【どこか不安げにたずねながら、上目遣いに見上げる。
 反対側に置き去られた缶コーヒーが、風に吹かれてホウ、と音を立てた】

東雲七生 > 「自分が何者なのか?」

至近距離でこちらを見上げる少女を一瞥し、それから宙に目を向ける。
いきなり突拍子もない質問が飛んできたな、と少し逡巡する様に視線を彷徨わせて

「いや……うーん、考えたことは無い、かな。
 それが迦具楽の考え事なのか?」

答えてから、再度少女へと顔を向ける。
出来ればもうちょっと顔を離して欲しいが、どう伝えたものか、と。

迦具楽 >  
「うん……私はいったい何者で、何のために生まれて、これから何をすればいいのか……って」

【少年が顔が近いことを気にしてるなど、まったく気づく様子もなく。
 幸せそうな様子に変わりはないが、やはり声の調子は静かに、ともすれば自信なく】

「……私ね、死んだの。二回。
 そして二回、生き返ったみたい」

【また唐突に……以前話すと約束した内容を、口にする】

東雲七生 > 「なる、ほど……。」

自分が何者か、何て事は大体の人間はそれまでの記憶から大まかに掴み取っていくものだろう。
少なくとも七生はそうだ。東雲七生として生きてきた記憶があるから、自分は東雲七生だと言えるわけで。
しかし、目の前の少女はまだそんなに長い期間の記憶があるわけではない、産まれて数ヶ月、とは本人の談で。

「……え?死んだ?
 いやまあ、どうやって、とか気になる事はあるけどそれはいい。置いとこう。
 
 で、生き返ったと……それで、
 それとお前が何者かって疑問と、何の関係が?」

僅かに少年の顔に浮かぶ動揺。
そして、困惑。

迦具楽 >  
「……うん、それが、なんていうか」

【短く、端的に説明するとなると、難しい。
 『ちょっと長くなるかもだけど』そんな前置きをしながら話し始めた】

「……最初はね。”わたし”があいまいだったときに、自我崩壊を起こしたの。
 七生と海で遊ぶ少し前の事ね。
 その結果、私の”自己意識”に悪影響を及ぼす記憶を封印して、人格や記憶が都合よく再構築された。
 覚えてる、かな。
 あの時、私は自分がどうして七生に助けてもらったかも覚えてなかったでしょ?」

【一つずつ。
 自分でも再確認するかのように、順番に話していく】

東雲七生 > 「……う、うん。」

何かすごい難しい話始めたぞこいつ。
……などと口が裂けても言えないし、表情にすら出せない。
それだけ迦具楽の表情は真剣だからだ。それだけ今話している事は、彼女にとって大事な事なのだろう。
だったらそれを、拒絶する様なことは間違っても出来ない。

とりあえず、話を全部聞いてからだ。

「……ああ、そういえば。」

言われてみると、確かにどこか違和感があったような。

ご案内:「常世神社」にサヤさんが現れました。
サヤ > 今日も、迦具楽の無事を祈って神社へと足を運んだサヤ。
「…………っ…。」そこで見つけたのは、確か…東雲七生という男子生徒と、彼に親しげに抱きつく迦具楽。
声をかけることも出来ず、気配を消して、木の陰から2人を見ている。

迦具楽は無事だったようだ、良かった。笑顔も浮かべていた、良かった。親しい相手も居る、良かった。幸せそうだ、良かった。
何も、悪いことはない、良かった。良かった。良いことだ。喜ばなくては。私は彼女に何も出来なかった、彼を妬む資格はない。
首輪も、言葉も、全てからかっていただけなのだから。なんて嫌な人間なんだろう、友達が生きていることを喜ぶより、相手が居ることを妬んでいる。
こんな人間と付き合っていては迦具楽もダメになる。白くなるほど、両拳を握りしめて、後ずさる。

「…………。」このまま姿を消すのが、二度と会わないのが一番だろう。気配を消したまま、ゆっくりとその場から歩み去ろうとする。
すり足が災いし、踵に石が引っかかる。「あっ……。」涙で滲む視界が空を向き……。
ドサリ、と音を立てて派手に転んだ。

迦具楽 >  
「あれも、都合の悪い記憶を封印した結果みたい。
 まあそのおかげで、今度は思い出せないことにイラついてたんだけど……」

【わかりづらい話だろうなあ、なんて思いながらも。
 結論から話しても結局わかりづらいだろうし、と開き直って続ける。
 一生懸命に聞こうとしてくれている、その好意に精一杯甘えて】

「その次は、うん、色々あって、私が私で居られなくなりそうだったから、自殺した。
 私が蓄えてたエネルギーを放出して、自分を構成できないくらいに消耗させてね。
 けどそうしたら、どこからかエネルギーを補充して、今度は体が再構築された。
 記憶も元通りで、でも、私の体はなぜか人と同じように作りかえられていたの」

【と、これまであった出来事を大まかに話して――話してるうちに重い物が落ちるような音がして、少年から少し離れてそちらを向く】

「……サヤ?」

【木の陰だ。
 その姿は全部伺えなかったけれど。
 その”匂い”は、はっきりと覚えていた】

東雲七生 > 「都合の悪い記憶を封印。」

そういう事も出来たのか、と妙な感心をしつつ。
少しだけ解った様な、解らない様な、何とも言えないもどかしさを抱えながら話を聞いていく。
そもそも普通の人間が理解できるような話ではないのは重々承知の上である。
だが、理解できない事だからと拒絶する理由には成り得ない。
少なくとも、今、理解できないと言うだけで害は無いのだから。

「人間の体として作り変えられた。」

ということは。
以前落第街で見た様にその姿を変化させることは出来ないのだろうか。
それを確認しようと思った矢先、物音に気付いて七生も迦具楽と同じ方へ目を向ける。

──迦具楽が呼んだ名前に聞き覚えは無い、が。

サヤ > ゆっくりと立ち上がる。本当は急いで立ち去りたいのに、胸を締め付けられるような痛みに、緩慢な動きしか出来なかった。
泣き顔を見られたくなくて、下を向き、袴を握る。「お、お邪魔してしまいまして…すぐ、すぐ消えますから……。」
「迦具楽さん、お元気そうで……何よりです……。すみません、それだけ……言わせてください……。消えますから、もう来ませんから……。」震える声。
それだけは伝えたかった、無事で良かったと。でも、今自分を支配しているのは違う感情、喜ぶべきなのに、悲しみと嫉妬が荒れ狂っている。
そんな醜い想いを知られたくなくて、せめて友達で居たくて。地面を雫が濡らした。

「ごめんなさい……!ごめんなさい…ッ!!」何を謝っているのか、自分でもわからなかった。これ以上口を開けば、余計なことを言ってしまう気がして、その場から走り去った。

ご案内:「常世神社」からサヤさんが去りました。
迦具楽 >  
「あ……え……」

【サヤの様子に、何も言えないまま音を漏らすばかり。
 会ったら謝りたいことも、話したいこともあったはずなのに……言葉に出来ないままただ見ているだけ】

「あ――、待って、サヤっ!」

【零れ落ちる雫だけは辛うじて目に留まって――走り去っていく背中を見て、ようやく声が出たが、それだけだった】

「……どう、しよう」

【すとん、と。
 僅かに身を乗り出したが、また逆再生のように椅子の上に戻り。
 それまで話していたこともすっかり抜け落ちて、呆然とサヤが走り去った方向を眺めている】

「……七生、どうしよう。
 なんか、凄い勘違いされた気がする」

【謝りたいことや、無事だと話したいこともあったけれど……それ以上に、サヤがしただろう勘違いに、頭を抱えたくなりながら、助けを請うように少年を見た】

東雲七生 > 「えーと……」

何だったんだろう今のは。

真っ先に思い浮かんだのはそんな言葉で。
どうしよう、とこちらを見る少女の、助けを請うような視線に軽く溜息が零れる。

「どう考えたって自業自得だろ。
 ちゃんと説明して解って貰うしか無いんじゃないか?」

少女が走り去った方へ、七生も目を向ける。
追って間に合うだろうか、と自分でも驚くほど冷静に考えつつ。
結論、自分の脚なら可能だが迦具楽ではどうだか分からない。

「とりあえず、追うか?」

否か。
七生が提示できるのは選択肢のみ。

迦具楽 >  
「ううん、追えるかもしれないけど。
 今追いかけても、聞いてもらえるかわからないし……」

【いや、それでも追いかけたほうがいいのだろうか?
 頭の中の聲がいっせいに議論を始めたが、とりあえず無視して――今は保留にして置こう。
 あっちもこっちも動揺してる状態じゃ、まともに話するのも難しそうだ】

「……はあ。
 うん、本当に自業自得」

【迦具楽にしては珍しく。
 本気で落ち込んでいるのか、ぐったりと肩を落として俯いた】

東雲七生 > 「まあ、確かに。」

迦具楽とさっきの少女との間にどんな付き合いがあったのか分からないが。
何も聞かず一方的に去っていった姿を思い返すに、追って話をしようにも意味がない事は十分察しがついた。
まったく、と息を吐きながら肩を竦めて。

「流石に俺はお前の擁護はしないからな。」

飽く迄迦具楽自身が考え動くべきこと。
言外にそう告げる。

迦具楽 >  
「うん……わかってる。
 ああもう、ただでさえ謝らなくちゃいけなかったのに、誤解も解かなくちゃ……」

【などと、言う割には。
 疲れたように少年へ寄りかかろうとするのだから、懲りていないのかもしれない。
 これはこれ、それはそれ、ということなのだろう】

「……えっと、なんの話をしてたんだっけ」

【あまりに想定外の展開、遭遇に、ここ数分の記憶がすっかり飛んでしまっていた】

東雲七生 > (──ホントにわかってんのかコイツ……。)

反省した様子の見えない迦具楽に半ば諦めにも似た視線を送り。
やっぱり女子という生き物は分からない。本当にわからない、と頭を抱えた。
しかしまあ、少女の方も多少はショックを受けている様なので、落ち着かせるためにも軽く頭を撫でる。
完全に犬か猫に対する扱いだし、七生自身そのつもりだ。

「人間の体に作り替えられてた、ってとこまで聞いたな。」

確か、と記憶を手繰ってみる。

迦具楽 >  
「……んぅ。
 うん、そう、それなの」

【撫でられると目を細め、ゆっくりと脱力していく。
 ペットか何かのような扱いをされている自覚はあるけれど、少女としてもそのほうが心地よかった】

「あのね、色々あったって話したけど……結論を言っちゃえば、私は自然に生まれた生き物じゃないかも、って事なの。
 ただ生き返るだけならともかく、記憶や人格が変わったり、体が変わったり……前みたいに液体みたいになるなんて出来なくなっちゃったし。
 それがなんだか、凄く作為的に思えて……」

【作為的、人為的に思えて。
 考えれば考えるほど、自分の何もかもが作り物めいていた】

「……だから、もし、私が誰かに作られたモノなんだとしたら。
 その目的は、私が作られた理由はなんなのかな、って」

【正直、その目的自体はどうでもよかった。
 ただ、自分が生まれた意味を、理由を知って、自分が何者なのかを知りたいというだけ。
 確かにこれからは……あのトカゲに言われたように、これからの自分はどうとだってなれるかもしれない。
 けれどそれまでが。それまでの自分があまりに曖昧で。
 だからどうすることも、どこに歩き出すことも出来ずに悩んでいたのだ】

東雲七生 > 「自然に生まれた、生き物じゃない……。」

まあ、そこはいい。そんな気はしてた。
いや、だからと言って人の手によって生み出された、とも思い難かった。
迦具楽のような存在を人為的に生み出せるのだとしたら。
──考えただけでも背筋が寒くなる。

「んー………。」

しばし考えるように辺りを見回す。
足元の玉砂利を一つ蹴り転がして、

「その理由を知って、迦具楽はどうするんだ?
 ……何か、変わるのか?

 いや、知りたいって気持ちは分かるけど。
 その理由が、例えば──今後俺と話すときに、何か重要になるとは、俺は思わないけど。」

そういう事じゃないのだろうとは思う。
しかし、そこまでして固執し思い悩む程の事でも無いだろう、と。

迦具楽 >  
「……うん、それはそう、なんだけどね」

【そのとおりだ。
 自分の、少年への気持ちは変わるものじゃないし、知ったところで何かを変える、変わることでもない。
 けれど。だから、怖いのは――】

「……私がまた、何かの拍子に作り変えられたりして。
 見た目どころか、記憶も、人格も別物になっちゃったら――そう思ったら怖くて。
 だから、じゃないけど。
 目的に沿って、作られた意図に沿っていれば、少なくとも今の記憶は、忘れないで居られるんじゃないかって思ったから……」

【結局、曖昧さに不安だったのは、これからも何が起こるかわからない。
 そういう怖さがあったからかもしれない。
 これまでがあったのだから、これからも――あるかもしれないのだ】

東雲七生 > 「……ああ。」

──なるほど。

此処で漸く少女の抱える不安を理解した様な気がする。
これまでの事が怖いのではなく、これからの事が怖いのだろう。
確かに、今まで何度か起きた改変が、今後一切ないとは思えない。

「作り変えられないように気を張ってるのも何だかしんどそうだしな。
 
 けど、お前が作られた目的や意図なんかは俺には分からねえし……。」

皆目見当もつかない。
七生にとって焔誼迦具楽は、焔誼迦具楽でしかないわけで。
──焔誼。

「あー、まあそれなら取り敢えず、焔誼に聞いてみりゃ何か分かるんじゃねえか?」

一番近い取っ掛かりは、そこだろうと。
人差し指立てて、提案してみる。

迦具楽 >  
「……アイツに?」

【きょとん、とした表情を浮かべて少年を見る。
 そう、それはまったくの盲点で、思考の隅にも思い浮かべていなかった】

「そっか、アイツにきけば――」

【いや、きっと”玖杜”は何も知らないだろう。
 けれど、一緒に居るあの炎なら、何か知っているかもしれない】

「……さっすが七生!
 ぜんっぜん、これっぽちも思いつかなかった!」

東雲七生 > 「──何で思いつかないんだよ。」

出生はともかく、容姿は酷似しているのだから。
まず自分の顔を見たときにでも思いつきそうな物だろうと、七生は半ば本気で呆れた。

「とりあえず、まずは焔誼に聞いてみて、
 それでも何も分からなかったらその時改めて考えりゃ良いじゃねえか。」

しかし実際のところ彼女が解らなければお手上げである事も間違いない。
そう思ってはいたものの、口に出すことはせず、代わりにぽん、と迦具楽の頭を撫でた。

迦具楽 >  
「うん、あー……でも、私が直接会うと、まずいかも……。
 お互い、悪影響与えあっちゃうかもしれないし……」

【元々、その可能性があったから避けていたのだ。
 なにか連絡手段があればその限りじゃないけれど】

「……七生、代わりに聞いて来てくれたりとか」

【と、少しだけ期待してたずねて見るが】

東雲七生 > 「しょうがないな……。」

何がどう悪影響なのかさっぱりわからないが。
言いだしっぺの法則に従って、というのもある。
溜息を一つ零して、期待する様な迦具楽の眼差しに頷きを返した。

「その変わり、お前はさっきの奴とちゃんと話をしとけよ?」

念の為釘を刺しておく。

迦具楽 >  
「う゛……うん。
 ちゃんとあやまって、誤解も解く。
 また逃げられちゃうかもしれないけど、捕まえるまで追いかける」

【眉を顰めて呻いたが……すぐに、真剣な表情で頷く】

「サヤは私の……友達、だから」

【不安そうに少年の服を握りながらも、そうはっきり言って】

「……ありがと、七生。
 七生に話したら少し、すっきりした。
 ね、七生はもし、私がこれから変わっちゃっても、私の面倒見てくれる?」

東雲七生 > 「なら良し。」

うん、と大きく一つ頷いてから、にっこりと笑みを浮かべる。

「そうだな、友達は……大事にしろよ。」

そういえばそんな事を、いつだったか玖杜の方にも言った気がする。
そんな事を思い出しながら、目の前の少女の髪を指で梳く様になでた。

「え? ああ?
 いや、そりゃ当たり前だろ。

 ……お前がそれを望むんならな、それがダチってもんだし。」

何を分かり切った事を。
そう言いたげな表情で、迦具楽を見つめる。

迦具楽 > 「……そっか、よかった」

【少年の答えに満足げな笑顔を浮かべて】

「それじゃあ、もしもね。
 私がただのバケモノになったら……ううん、なりそうだったら、その時は」

 ――七生が殺してね

 

東雲七生 > 「ならねーって。」

にっ、と笑みを浮かべたまま告げる。

「なったとしても、また迦具楽に戻すさ。
 ……まあ、考え得ることは全部試して、それでもダメそうなら、その時はその時だけど。」

──お前が望むならな

やたらと重責抱え込んでるなあ、最近。
そんな事を思いながら小さく溜息を零した。

迦具楽 >  
「ふふ、ありがと。
 うん私だって、そうならないように頑張るし。
 それに――七生にこうして甘えられなくなるのなんて、嫌だもの」

【そしてまた、無邪気な笑顔で甘えるように頬を寄せる】

「ごめんね、七生には頼って、甘えてばっかりで。
 でもね、私も……七生に何かあったら何時だって助けるんだからね?」

【そしてまた見上げれば、少年の瞳を覗き込むように】

東雲七生 > 「別にまあ、迷惑でも無いからさ。
 ダチの為に何かするのなんて、当たり前過ぎるだろ。」

気にすんな、と笑う顔。
覗き込まれれば少し困った様に頬を掻いて。

「と、言われてもな。
 まあその時がいつになるか分からないけど、何かあった時は宜しくな。」

とんとん、とからかうようにその鼻先を指小突こうと。

迦具楽 >  
「……うん、その時は思う存分、私に頼っていいんだからね!」

【鼻先を小突かれれば、自信ありげに笑って、ようやく少年から身を離す】

「よっし、七生分もたくさん補給できたし、晩御飯調達にでもいこうかしら。
 この体になってから、しっかり食べないといけなくて困っちゃう」

【ぴょん、と飛び上がるように立ち上がり、うーん、と大きく背伸び。
 サヤとの事も解決しなくちゃいけないし、自分のことも大変だ。
 けれどなにより、まずは腹ごしらえが大事である。
 置きっぱなしだった缶コーヒーを拾い上げると、一気に飲み干した】

東雲七生 > (──はぁ、やっと離れた)

立ち上がった迦具楽を見て、ほっと安堵の息を吐く。
頼られるのも、頼るのも、甘えられるのも別に構わないが、出来ればあまり近付き過ぎないで貰いたいのだが。
まあ、誰かが真似するわけでも無し、迦具楽だけだと思えばまだ気は楽なのだが。

「飯か。俺もそろそろ飯に──

 そうだ、これから一緒にどっか食いに行くか?
 金なら俺が出すからさ、折角だし、どうだ?」

コーヒーを飲み干したタイミングで、迦具楽へ声を掛ける。

迦具楽 >  
「……えっ、いいの?
 私たぶん、かなり大食いだと思うけど」

【それは遠慮しないぞ、との宣告である】

「まあ私は?
 七生と御飯食べられるなら、すーっごく嬉しいけど!」

【ぐっと、身を乗り出しながら前かがみになる。
 すると今度は正面から、また近い位置に顔がやってくるだろうか。
 目と鼻の先まで近づいた少年の顔に、そういえば前はもっと近づいた事もあったっけ。
 などと、いつかの呆然とした少年のことを思い出した】

東雲七生 > 「量があって安いのが学生相手の飲食店の売りだろ。」

人間の範疇で考えてもいいものか少し悩んだが、
まあ幾ら迦具楽でも限度を超えた真似はしないだろうと高をくくる。

「はいはい、じゃあさっさと行くぞ。」

顔を寄せた少女を少しだけ脇に退けて。
椅子から立ち上がると、さっさと先に歩き出してしまった。
少しだけ、頬が赤い。

迦具楽 >  
「やった、ありがと七生!」

【頬が赤くなった様子には気づきつつ、立ち上がった少年の腕に腕を絡めて抱きつこうとする】

「ねえねえ七生。
 私ね、路地裏で会うよりも前に、七生に会ったことあるのよ。
 いつ、どこであったからわかるかしら?」

【少年にくっついて境内を歩き、石段へと向かいながら。
 なぞなぞを出すように、わくわくとした様子で見上げて問いかける。
 けれどそれは、答えを期待したものじゃない。
 少年はソレを知らないのだから、きっと答えられるはずが無いのだ】

「……もしわかったら、何でも一つ、言うこと聞いてあげる」

【だからこそ、少しだけ意地の悪い問題を出す。
 それは店までの暇つぶしか、ただの世間話。
 けれど少しだけ答えてくれることを期待した、問いかけ】

東雲七生 > 「あー?路地裏より前に?」

路地裏とはあの、迦具楽が盛大にドンパチして、自分が拉致未遂に遭った、あの時のことだろう。
それより以前に、となるととんと見当が──
記憶を辿っていくが思い当たる節は無い。が、似たような気配を感じた時は一度だけあった。

「──焔誼が、倒れてた時。」

ぽつりと、呟きが零れる。
あの時、遠くも無いが近くも無い距離で。
異質な気配を感じた気がした。それくらいしか心当たりは無い。

「なんてな。
 別に当てたところで、お前に聞いて貰いたい事なんて思いつかねーし。」

けらり、口元に弧を描かせて腕に絡みついた少女を見遣る。
そして他愛無い話を続けて、
そのまま適当な飲食店へと連れて行ったのだろう。

迦具楽 >  
「――――」

【少年が答えたとき、きっと随分と驚いた顔をしたことだろう。
 まさか、そう、答えてもらえるなんて思っていなかったのだ】

「……あの時ね、私が始めてみた人が、七生だったんだよ」

【合ってるとも外れているとも言わず。
 ただそう告げて、幸せそうに隣を歩く。
 ソレからは交わす言葉、触れる体温……何もかもが嬉しくて、幸せで。
 終始浮ついた様子だっただろう。

 しかしそれも、飲食店に入るまで。
 気になるメニューを片っ端から頼み続ける迦具楽に、少年がどんな反応を見せるのか――それはまた、別の話】

ご案内:「常世神社」から迦具楽さんが去りました。
ご案内:「常世神社」から東雲七生さんが去りました。